説明

棒状をした食品の搬送装置

【課題】 棒状をした食品を同じ向きに揃えて、しかも同一の間隔を空けて搬送することにより、破損を可及的に減少させかつ正確に計数できるようにする。
【解決手段】 食品の縦搬送機と、その先端下方にあって食品の受け入れ時には先下がりで食品の差し出し時には水平になる中間容器4と、その下方にあるホッパ6と、このホッパから棒状の食品1を掬い上げて所定間隔で別の位置に供給する無端コンベヤ8からなる搬送装置とした。搬送装置は、左右の無端チェン82の間にこれらチェンの連続方向に等間隔に掛け渡されて前後間に棒状の食品1を収容する空間を形成する多数のクロスバー83と、その下面で食品を下から支えるガイドレール84と、を備え、クロスバー83の間隔と径は棒状の食品が前後のクロスバーの間に1本だけ入る寸法としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スナック菓子などの棒状の食品を包装などのために向きを揃えて所定間隔で搬送する搬送装置にかかる。
【背景技術】
【0002】
棒状をしたスナック菓子は穀物や芋類などの粉を練って棒状にしたものに油揚げなどの加熱処理をしたものが多い。かかる棒状をした食品は容器に入れて販売されるが、食品を計量して所定量を容器に収納して商品化されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、食品は前記のように製造されたものであるため軽くて脆く折れ易い性状になっているから、計量や搬送時に破損されるものが多い。特に、これまでの搬送装置ではベルトコンベヤ上に食品を集合させたまま搬送したり複数をまとめて計量していたために、外力のほか、食品どうしの接触により破損されることもあって歩留りがよくないという不具合があった。
そこで、この発明は、包装容器に収容する食品を重量ではなく数でカウントすることとし、そのために棒状をした食品を同じ向きに揃えて、しかも同一の間隔を空けて搬送することにより、破損を可及的に減少させかつ正確に計数できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の棒状をした食品の搬送装置は、棒状の食品をその長手方向たる縦方向に向けて搬送する縦搬送機と、その下流側の中間容器と、その下流側のホッパと、その下流側の無端コンベヤからなるものであり、前記中間容器は、前記縦搬送機の先端下方にあり、その底が断面弧形又は断面V字形又はこれらの複合形をなして幅方向中央が低くなり且つ幅方向に開閉可能で長手方向を前記搬送機の搬送方向に沿わせており、さらに前記底の前記縦搬送機の先端に近い側の端部よりも同先端から遠い側の端部が下がる方向に傾斜する傾斜位置と前記底の前記両端部が同じ高さになる水平位置との間で俯仰可能になっていて、傾斜位置で前記縦搬送機から前記棒状の食品を受け入れ水平位置で次のホッパに供給するようになっている。
【0005】
ホッパは、その内部に臨んで無端コンベヤが上方に向けて走行して内部の棒状の食品を前記無端コンベヤに水平状態で供給するようになっている。
無端コンベヤは、前記ホッパから棒状の食品を掬い上げて所定間隔で別の位置に供給するものであって、幅方向の両側にある無端チェンと、左右の無端チェンの間にこれらチェンの連続方向に等間隔に掛け渡されて前後間に棒状の食品を収容する空間を形成する多数のクロスバーと、左右の無端チェンの間で幅方向に所定の間隔をおき且つ前記チェンに沿う方向に延在して前後の前記クロスバーどうしの間にある棒状の食品を下から支えるガイドレールと、を備え、前記多数のクロスバーの間隔と径は棒状の食品が前後のクロスバーの間に1本だけ入る寸法とし、前記ホッパから棒状の食品を掬い上げる部分を前上がりにしてなる。
【0006】
ここで、前記ホッパには当該ホッパを振動させる起振装置を設けるとよい。この起振装置は、ホッパを重量により前記無端コンベヤ方向に付勢させて機枠に支持する支持体と、前記支持体又はホッパに前記無端コンベヤの無端チェンに接触させて設けられ移動する無端チェンの凹凸によりホッパを前記重量による付勢に抗して振動させる振動子と、を備えてなるものとするとよい。
【発明の効果】
【0007】
中間容器の底の形状と傾斜によって、これを目指して縦方向に向けて搬送される棒状の食品は、縦方向を向いたまま中間容器に底から順次積み重ねられ、この同じ向きをしたままホッパに供給されるから無端コンベヤに確実に掬い上げられる。無端コンベヤでは食品は1つずつが同じ向きをしたまま同一の間隔をもって搬送されるから食品どうしの接触による破損はなくなるとともに食品の計数が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜図3はこの発明の実施の形態であって、棒状の食品1を縦搬送機2から中間容器4、ホッパ6、無端コンベヤ8を順次介して所定数の食品1を包装容器12に供給する投入バケット10まで搬送するようになっている。
食品1は穀物や芋類などの粉を主成分として練ったうえ味付けと加熱処理をしてなる棒状のスナック菓子であり、この形態では断面が長径7mm、短径5.5mmの楕円形をし、長さが50mmである。この食品1が図2に示される縦搬送機2により搬送されて中間容器4に供給される。
【0009】
縦搬送機2は慣用される振動フィーダであり、図2においては通路を振動させて物品を前進させているもので、搬送路の先端部のみが図示されていて右から左に向けて食品1が搬送される。ここでは搬送路は大体において水平又は先端部がわずかに上がって傾斜している。またこの形態では搬送路が幅方向において仕切られて細くなった搬送路が複数形成されている。このため、棒状の食品は1は姿勢が搬送方向に縦長にならざるを得ず、その向きになって搬送され、その先端から中間容器4に少しの距離だけ落下して順次供給される。
【0010】
中間容器4は上面と一方の端面が開放されていて、機枠3に支持された制御機41に取り付けられている。制御機41は枢軸42により機枠3に取り付けられ、これも機枠3に取り付けられたシリンダ装置43により図2で示した実線の位置と鎖線の位置との間で俯仰可能になっている。中間容器4は、図1に示すように下半分が断面円形をしていて全体に断面U字状をなし、したがってその底は幅方向(図1における左右方向)中央が低くなり且つ全体が図1において鎖線で示すように幅方向に開閉可能になっている。この開閉も制御機41によって実行されるようになっている。
【0011】
この中間容器4は、図2において左右方向になる長手方向を前記搬送機2の搬送方向に沿わせている。つまり、搬送機2により搬送された食品1をその姿勢(向き)のまま中間容器4に受け入れるようになっている。しかもその底は幅方向中央が低くなっているから、棒状の食品は1は中間容器4内でその長手方向に沿った向きで収容される。このときは中間容器4は、縦搬送機2に近い開放された端部が高く、縦搬送機2から遠い端部が低い状態で傾斜しているため、食品1は中間容器4内でいずれも同一の向きをして収容される。このときの傾斜の角度は30度が最良であるが、20〜45度の間においては使用可能な角度である。この範囲より角度が大きい場合と小さい場合は、この形態の食品1を取り扱うといずれも食品1の向きが揃う割合が低くなる。
【0012】
このような傾斜位置で或る数の食品1を収容すると、それを図示しないセンサが検出して縦供給装置2の供給を停止するとともに、シリンダ装置43を作動させて中間容器4を水平位置に下降させ、且つ図1に鎖線で示すように開いて、内部の食品1を下のホッパ6に供給する。その後、中間容器4は閉じるとともに再度傾斜位置に戻り、縦供給装置2も動作を再開して前記動作を繰り返す。
【0013】
ホッパ6は無端コンベヤ8の上り勾配の部分8aに寄り掛かって設置される。無端コンベヤ8は、機枠3に軸支されたスプロケット81a,81b,81c,81に、機枠3内の幅方向の両側で掛け渡された平行な無端チェン82、82と、左右の無端チェン82、82の間にこれらチェンの連続方向に等間隔に掛け渡されて前後間に棒状の食品1を収容する空間を形成する多数のクロスバー83と、左右の無端チェン82、82の間で幅方向に所定の間隔をおき且つ前記チェン82、82に沿う方向に延在して前後の前記クロスバー83どうしの間にある棒状の食品1を下から支えるガイドレール84と、を備えている。無端チェン82としては、ここではローラチェンを使用しているが他のチェンを使用することもできる。前記多数のクロスバー83の間隔と径は棒状の食品1が前後のクロスバー83の間に1本だけ入る寸法としており、具体的にはクロスバー83には直径5mmの丸棒を使用し、12.7mmのピッチでチェン82に取り付けられている。このため前後のクロスバー83の間隔は7.5mmとなって、食品1の断面の長径7mm、短径5.5mmのいずれよりも大きく、且つ前記の長径及び短径のいずれの2倍の寸法よりも小さい。これが、この発明でクロスバーの間隔と径は棒状の食品が前後のクロスバーの間に1本だけ入る寸法としたことの具体例である。なおスプロケット81cの回転軸に動力が力されて駆動軸になっている。
【0014】
スプロケット81c,81b間の上り勾配の部分8aと、スプロケット81b,81a間の間の水平の部分8bと、スプロケット81aに掛かって転回する部分8cには前記のガイドレール84が機枠3に支持されて設置されている。かくしてこれらの部分ではクロスバー83はガイドレール84に近接した状態を維持したまま移動することになる。
【0015】
かかる無端コンベヤ8の上り勾配の部分8aが食品1を掬い上げる部分であり、ここにホッパ6が設置される。ホッパ6はクロスバー83に沿い且つ傾斜した底板61と、底板61の左右に立設された各側板62とからなり、上面と無端コンベヤ8に面する部分は開放されている。底板61にはブラケット63が固定され、このブラケット63の下部は、無端コンベヤ8から離れた位置で枢軸64により機枠3に揺動自在に枢支されている。この枢軸64と、ブラケット63を含めてホッパ6の重心との位置関係により、ホッパ6は無端コンベヤ8の上り勾配の部分8aに寄り掛かって設置されている。
【0016】
また、ブラケット63には、クロスバー83と枢軸64に平行な軸65を設け、これの両端にローラ66を取り付けている。このローラ66は、無端コンベヤ8の上り勾配の部分の無端チェン82に上側の面から転がり接触していて、無端チェン82の移動に伴い、同無端チェンを構成するローラチェンのローラ82aに当たって、無端チェンの軌道から遠ざかる斜め上の方向に昇降を繰り返す。このローラ66の動きに伴って一体にブラケット63とホッパ6が枢軸64を中心に図3に示す矢印のように振動することになる。かくして、ホッパ6のブラケット(支持体)63に設けたローラ(振動子)66を無端チェン82の上側の面に接触させることによってホッパ6を振動させる起振装置7が構成される。ローラ(振動子)66はホッパ6に直接設けることも可能である。こうして、振動のための格別の動力を必要とすることなく、無端チェン82とホッパ6の重力とを利用してホッパ6に振動を付与することができる。
このときホッパ6と無端コンベヤ8のクロスバー81との距離は、ホッパ6が無端コンベヤ8から最も離れる場合でも食品1の径(短径)寸法より小さくしてあるので、食品1が漏れることはない。
【0017】
なお、ホッパ6が無端コンベヤ8に寄り掛かっていて、ホッパ6等の荷重はローラ66から無端チェン82に負荷されるから、無端チェン82の裏側にはチェン82に摺接してこれを支持する部材67が配置され、これは図示しない部品を介して機枠3に支持されている。ここで、無端コンベヤ8の上り勾配の部分8aの傾斜角は55度にしてあるが、この形態の場合には45度から60度の角度が適当である。45度より小さい角度のときには前後のクロスバー83間に2本の食品1が乗ってしまうことがあり、60度より大きい角度のときには振動などによって前後のクロスバー83間の食品1が脱落することがあるからである。またホッパ6の底板61は50度の傾斜角をもつ。これは、食品1が大きな衝撃を受けることなくホッパ6の下部に案内される角度である。
【0018】
かくしてホッパ6は左右の側板62と傾斜した底板61とからなり、前記底板61のうち高いほうの端部近くの上に前記中間容器4が臨んでいて、その中間容器4から食品1が水平状態で供給されると、食品1は底板61を滑り又は転がり、ホッパ6の下から順次積み重ねられたようにホッパ6内に溜まる。
【0019】
一方、無端コンベヤ8の部分8aは前記ホッパ6の前記底板61とともにV字底を形成する開放された底面に沿って斜め上方に移動するから、前後のクロスバー83の間に1本ずつの食品を保持して移動することになり、こうしてホッパ6内の食品1は無端コンベヤ8に1本ずつ掬い上げられて等間隔に運び出され、クロスバー83の間に2本の食品1が入ることはない。こうした、1本の食品1の掬い上げと2本目の食品1の振り落としは前記のホッパ6の振動により確実に実行される。このとき食品1はガイドレール84上をクロスバー83に押されて滑りながら搬送される。ガイドレール84はこのときは2本が使用され、食品1はこの2本のガイドレール84に支持されるが、破損して短くなった場合にはバランスが崩れて2本のガイドレール84から外れる。よって不良品は搬送されることがない。なお、ホッパ6内の食品1は常時所定量が確保されるように中間容器4によって食品1が繰り返し供給されるようになっていることは勿論である。
【0020】
ここで、図2に示す中間容器4とホッパ6の長さ(左右寸法)は、クロスバー83などによって構成される無端コンベヤ8の幅に比較して短くなっている。その理由は、無端コンベヤ8が搬送できる食品をこれまで説明してきた食品1より長いものにまで適用できるようにしてあるからである。つまり、前記説明の食品1と材料、径、断面形状を同じくしたまま長さだけを2倍程度に長くした食品に適用できる無端コンベヤ8ということになる。そのときは中間容器4やホッパ6の寸法を変えることになる。
【0021】
無端コンベヤ8によって掬い上げられた食品は1は水平な部分8bを経て転回する部分8cに移動する。ここでは転回中に食品1が無端コンベヤ8から脱落しないようにカバー85がかけられ、これも図示しない手段により機枠3に支持されている。カバー85には補充容器86が設けられ、これにも食品1が供給されている。補充容器86からは1本ずつの食品1が無端コンベヤ8の転回する部分8cに供給されるようになっていて、無端コンベヤ8のクロスバー83間に、途中で破損した食品が落下して空きがあるときだけ当該コンベヤ8に供給される。この空きがないときには、コンベヤ8の食品1とクロスバー83とに邪魔されて補充容器86内の食品がコンベヤ8に供給されることはない。
【0022】
かくして転回する部分8cを通過したときには無端コンベヤ8には確実に食品1が1ピッチに1個ずつ確保されている。このため、転回する部分8cが終了した位置ではカバー85が途切れて排出部8dが構成される。
この排出部8dの下側には投入バケット10が設置される。投入バケット10は中心軸が機枠3に支持される回転式のドラムで、中心軸を介して相互に反対側になる位置に室10aが設けられ、また上下に開口するカバー10bに覆われている。上向きの室10aに所定数の食品1が供給されると投入バケット10が半回転して下の包装容器12に食品1を投入する。上向きの室10aへの食品1の投入数は、食品1の通過数を検出するほか、スプロケットホイール81aの回転数又は回転角度、若しくはクロスバー83の通過数又は移動距離によって計数することができる。包装容器12はコンベヤ13上に多数並んでいて、投入バケット10の半回転と同期して1ピッチごとに搬送され、各包装容器12内には所定数の食品1が収容されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】断面図。
【図2】図1の左側面図。
【図3】ホッパの起振装置の拡大図。
【符号の説明】
【0024】
1 食品
2 縦搬送機
3 機枠
4 中間容器
6 ホッパ
7 起振装置
8 無端コンベヤ
82 無端チェン
83 クロスバー
84 ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の食品をその長手方向たる縦方向に向けて搬送する縦搬送機と、
この縦搬送機の先端下方にある中間容器であって、その底が断面弧形又は断面V字形又はこれらの複合形をなして幅方向中央が低くなり且つ幅方向に開閉可能で長手方向を前記搬送機の搬送方向に沿わせており、さらに前記底の前記縦搬送機の先端に近い側の端部よりも同先端から遠い側の端部が下がる方向に傾斜する傾斜位置と前記底の前記両端部が同じ高さになる水平位置との間で俯仰可能になっていて、傾斜位置で前記縦搬送機から前記棒状の食品を受け入れ水平位置で次の工程に供給する中間容器と、
この中間容器の下方にあるホッパであって、その内部に臨んで無端コンベヤが上方に向けて走行して内部の棒状の食品を前記無端コンベヤに水平状態で供給するホッパと、
このホッパから棒状の食品を掬い上げて所定間隔で別の位置に供給する無端コンベヤであって、幅方向の両側にある無端チェンと、左右の無端チェンの間にこれらチェンの連続方向に等間隔に掛け渡されて前後間に棒状の食品を収容する空間を形成する多数のクロスバーと、左右の無端チェンの間で幅方向に所定の間隔をおき且つ前記チェンに沿う方向に延在して前後の前記クロスバーどうしの間にある棒状の食品を下から支えるガイドレールと、を備え、前記多数のクロスバーの間隔と径は棒状の食品が前後のクロスバーの間に1本だけ入る寸法とし、前記ホッパから棒状の食品を掬い上げる部分を前上がりにした無端コンベヤと、
から構成したことを特徴とする棒状をした食品の搬送装置。
【請求項2】
前記ホッパには当該ホッパを振動させる起振装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の棒状をした食品の搬送装置。
【請求項3】
前記ホッパには当該ホッパを振動させる起振装置を設け、その起振装置は、ホッパを重量により前記無端コンベヤ方向に付勢させて機枠に支持する支持体と、前記支持体又はホッパに前記無端コンベヤの無端チェンに接触させて設けられ、移動する無端チェンの凹凸によりホッパを前記重量による付勢に抗して振動させる振動子と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の棒状をした食品の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−335460(P2006−335460A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165620(P2005−165620)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(390026631)株式会社冨士製作所 (25)
【Fターム(参考)】