説明

棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置

【課題】溶接装置として裏当金部とシールドヘッド部とで構成して行なうための新規のガスメタルエンクローズ溶接装置を提供するものである。
【解決手段】所定の開先間隔を設けて同軸上に開先面を対向配置された一対の棒状の被溶接材の両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金と、この裏当金の中央所定部分に対向挿入され当該裏当金と反対側の被溶接材の両端部の残りの略半周を包囲するシールドヘッド部材と、このシールドヘッド部材の中央部に被溶接材の対向軸に略垂直方向に形成された溶接操作のための矩形状開口部と、この矩形状開口部の対向する長径面に平行する少なくとも一対のシールドガス吐出溝と、この吐出溝には先端部に被溶接材の外周に沿うように所定幅の半環状開口部が対向して設けられ、かつ、吐出溝の中間部には吐出されるシールドガス流を均一化する整流体を配置して行なうようにした棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異形棒鋼等の棒状の被溶接材をその端部で突合せガスメタルアーク溶接を行うための溶接装置であって、特に溶接装置として裏当金部とシールドヘッド部とで構成して行なうガスメタルエンクローズ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエンクローズ溶接に関連のガスシールドの手段としては、流路に整流体を配置し、これにより整流された上下2層のシールドガス流を、溶接操作開口部で対向衝突させるもの(例えば特許文献1参照))や、このような技術を基本としかつ複数個の細噴流列を特定の複数方向に施工開口部に対して対称的に噴出させて行なうようにしたもの(例えば特許文献2および特許文献3参照)などがある。
【0003】
【特許文献1】特公平7−29204号公報
【特許文献2】特許2003−098621号公報
【特許文献3】特公平1−202367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1は、本件発明者による発明(1989年)であり、ガスシールドの手段として高い性能を有し広く実用化されていた。 然し乍、構成手段が複雑であるために、シールド装置部分の加工費用が非常にかかるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2及び特許文献3のものは、複数の高速乱流状態の細噴流ガス列を所定方向に配置し、かつそのうちの2列を被溶接材側に指向・噴出させて行なうことを特徴とする方法であるが、高速噴流を直接溶接施工開口部および開先空間内に噴出することに起因する外気巻き込みによるシールド性の劣化と言うような問題が生じた。 さらに、シールド装置としても特許文献1のものと同様に構造が複雑で加工コストが掛かると言う問題があった。
【0006】
更に、上記した従来の技術に於いては、要部構成たる整流体やガス噴出口が溶接の施工空間側に開口しているため、溶接の際に発生する超高温・高速のスパッタに直接曝されて、この部分にスパッタが付着して閉塞させてしまうと言う問題が生じ易かった。 そのため、これらの部位に付着したスパッタを除去したり、整流体自体の交換といった清掃作業を頻繁に行なわなければならないと言う問題があった。
【0007】
本発明は、ガスシールド手段をより単純化することに基づき、好適なガスシールド性能を確保すると共に、シールドの要点手段としての整流体が直接スパッタにさらされることを回避することに依って、シールド装置としての使用特性の改善化を図り、もって、上述したような従来の問題点を解消した新規の「棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置」の提供を図ったものである。
【0008】
更に本発明は、シールド手段と分離可能に一体化して使用する裏当金に対する製作上のコストダウンが図られるようにすることにより、装置全体の加工コストを安価ならしめるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、所定の開先間隔を設けて同軸上に開先面を対向配置された一対の棒状の被溶接材M,Mの両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金11と、この裏当金11の中央所定部分に対向挿入されかつ当該裏当金11と反対側の被溶接材M,Mの両端部の残りの略半周を包囲するシールドヘッド部材Aから成り、当該シールドヘッド部材Aの中央部に被溶接材M,Mの対向軸に略垂直方向に形成された溶接操作のための矩形状を呈するシールドヘッド開口部A1と、当該開口部A1の対向する長径面に平行する少なくとも一対のシールドガス案内溝2dと、この案内溝2dの下端部分に被溶接材M,Mの外周に沿うような所定幅の半円形の切欠き部2aを対向して設けると共に、当該案内溝2dの中間部には吐出されるシールドガス流を均一化する整流体5を配置したことを特徴とする棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置に係るものである
【0010】
そして本発明は、請求項2に記載のように、シールドヘッド部材Aに対して分離可能に係合され、かつ、被溶接材M,Mの接合される両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金として、所定厚さの板から所定同形状に熱切断された鋼片を複数積層すると共に、その積層界面を横断する方向に溶接して所要の裏当金形状に形成した裏当金を用いて成る請求項1に記載の棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置を実施の態様とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は請求項1に記載のような構成、すなわち、所定の開先間隔を設けて同軸上に開先面を対向配置された一対の棒状の被溶接材M,Mの両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金11と、この裏当金11の中央所定部分に対向挿入されかつ当該裏当金11と反対側の被溶接材M,Mの両端部の残りの略半周を包囲するシールドヘッド部材Aから成り、当該シールドヘッド部材Aの中央部に被溶接材M,Mの対向軸に略垂直方向に形成された溶接操作のための矩形状を呈するシールドヘッド開口部A1と、当該開口部A1の対向する長径面に平行する少なくとも一対のシールドガス案内溝2dと、この案内溝2dの下端部分に被溶接材M,Mの外周に沿うような所定幅の半円形の切欠き部2aを対向して設けると共に、当該案内溝2dの中間部には吐出されるシールドガス流を均一化する整流体5を配置するように構成したから、エンクローズ溶接の前提となる開先空間のシールドガスによるシールド性と溶接施工における良好な使用性とが、極めて簡単な構造でかつ安価な手段により達成できる。 また、裏当材30をバックアップする裏当金11は、直接超高温のアークに曝されることがないので、安価な鋼材の使用が許容化される。
【0012】
本発明は請求項2に記載のような構成、すなわち、シールドヘッド部材Aに対して分離可能に係合され、かつ、被溶接材M,Mの接合される両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金として、所定厚さの板から所定同形状に熱切断された鋼片を複数積層すると共に、その積層界面を横断する方向に溶接して所要の裏当金形状に形成した裏当金を用いるように構成することにより、裏当金11の形成が、廃材的材料の再利用に基づき達成されることとなる。 すなわち、熱切断と溶接を主とする安価な加工方法に基づき裏当金の製造が行われるため、裏当金の製造コストを著しく低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、図1乃至図3に示すシールドヘッド部材Aを、図4及び図5に示すように裏当金部材Bに対して連結し、そして、図6及び図7に示すように当該シールドヘッドAと裏当金Bとを被溶接材を中間に挟んで連結した状態で被溶接材軸に対する溶接を行うための溶接装置に係るものである。
以下、本発明の実施例を図面について詳細に説明する。
【0014】
図1乃至図3はシールドヘッド部材Aを単独で表したものである。 すなわち、当該シールドヘッドA部材は、対向する正面側と背面側の係合アーム4,4の内面側にシールド側壁体3,3を取付け(図2参照)、当該係合アーム4,4の両側部上縁寄りに、シールドガス導入体1,1を架設すると共に、その内側部分にシールドガス吐出体2,2が取付けられている。 なお、当該係合アーム4,4は、その下縁寄り部分で後述する裏当金部材Bの裏当金11に対して挟持固定するためのものである。 そして、当該係合アーム4,4はシールドヘッド部材Aと後述する裏当金11の会合面と直交して、それらの側面を遮断することによって、当該会合面に隙間を生じるような場合にも,外気が側面から開先空間へ侵入することを防止する機能をも有している。
【0015】
また、当該シールドヘッド部材Aの中央部分には、シールドガス吐出体2,2とシールド側壁体3,3とによって、後述する被溶接材Tの軸方向が短辺としかつ当該被溶接材Mの軸方向に直交する方向が長辺となるような矩形状を呈するシールドヘッド開口部A1が形成されている。
【0016】
さらに、上記開口部A1の長辺側対向面の下方、すなわち、シールドガス吐出体2,2の下半部には、半円形のシールドガス吐出口形成用半円形(半円筒形)の切り欠き部2a(図3参照)が設けられており、被溶接材Tを挟んで固定した状態において当該半円形切欠き部2aに基づき半円環状のシールドガス吐出口1e(図7参照)が形成されるように構成してある。
【0017】
また、上記シールドガス導入体1,1の下縁には被溶接材より所定量大きい半径の半円形(半円筒形)の切り欠き部1aが形成されており、被溶接材の上半部分に沿って位置されるように構成してある。
【0018】
上記したシールドガス導入体1,1には、シールドガス導入孔1bが内設されており、開口部A 1の対向長辺側配置された複数個のシールドガス噴出口1cを介してシールドガス案内溝2aに連通し、さらにシールドガス吐出口1e(図7参照)に到るような通路が形成されるように構成してある。 1d,1dは上記したシールドガス導入体1,1に連結したガス導入管である。
【0019】
シールドガス案内溝2d内の中間には整流体5が配設されていて、シールドガス噴出口1cから噴出した高速不均一なガス流を整流し均一化するように構成されている。
【0020】
そして、そして、既述した係合アーム4,4は、シールドヘッド部材Aと後述する裏当金部材Bにおける裏当金11の会合面に直交してそれらの側面を遮断し、当該会合面に隙間を生じるような場合にも,外気が側面から開先空間へ侵入することを防止する機能を働かせるように構成してある。
【0021】
図4及び図5は裏当金部材Bを表したものであって、当該裏当金部材Bは、下記する形態を具えた裏当金11と、その両側部上面に位置させて被溶接材Mを抱持させるために一端で枢支された締付アーム10,10と、当該締付アーム10,10をその他端に於いて締着するための締付ボルト8,8及び締付ナット9,9を具えている。 そして、当該裏当金11は、シールドヘッド部材Aと対向させた際(図7参照)に当該シールドヘッド部材Aと対向する面に被溶接材Tより所定量大きい半径の半円形(半円筒形)の切り欠き部、すなわち、シールドヘッド部材Aと対向する面には被溶接材Mに当接させるための半円筒形凹面11aが形成してある。 そして、当該半円筒形凹面11aの中央部分には、後述する裏当材30を格納するための格納ポケット11bが形成されている。
【0022】
図6は上記した裏当金11を単独で表したものであり、通常、当該裏当金11は同一材料から型抜きまたは鍛造等の手段に基づき一体成形するものである。 そして、シールドヘッド部材Aと対向する面には被溶接材に当接させるための半円筒形凹面11aが設けられている。 さらに、この凹面の長手中央部には、帯状の所定深さの格納ポケット11bが設けられている。このポケット11bには裏当材30が配置される。 この裏当材30は図7および図8に示すように、格納ポケット11bに収納されて帯状に円筒内面を形成するセラミックスなどが使用される。 格納ポケット11bの深さは、非金属裏当材の耐アーク性により決まり、セラミックス裏当材においては4mm以上が適当である。 また、その幅は溶接金属の流出防止効果の確保から、15mm以上とする。
【0023】
図10は上記した裏当金11の他の実施例たる裏当金を表したものであって、鋼板からレーザー切断などにより所定の形状に切抜いたアーム部裏当金11Aおよびポケット部裏当金11Bを複数個積層し、その積層面に直角方向にTIG溶接やレーザー溶接などの手段に基づき形成した溶接条11Cにより一体化したものである。 すなわち、図6に示すように裏当金を一つの金属材料で形成した場合、大きな材料を必要とするが、図10に示すような構成を採ることにより、余った金属材料の有効利用に基づき裏当金の形成が可能とされる。
【0024】
図7乃至図9は本発明の実施形態、すなわち、シールドヘッド部材Aと裏当金部材Bを溶接対象としかつ所定の間隔を設けて対抗させた被溶接材M,Mに対してセットした状態を表したものである。 すなわち、これは被溶接材M,Mを水平方向に配置して溶接する場合である。 裏当金11およびシールドヘッド部材Aは係合アーム4により相互に連結固定される。 また裏当金11の両端部には既述したような締付機構が設けられており、これによって一対の被溶接材M,Mの溶接端部に緊締され固定されるようになっている。
【0025】
同図に示す状態において、例えば、図7のように、一対の被溶接材M,Mの接合面を所定の開先間隔に保持して配置し、被溶接材M,Mの接合端部に下方から裏当金11をあてがう。 その際、裏当金11の格納ポケット11bには裏当材30を格納しておく。 そして、締付アーム10を回動させて被溶接材M,Mに嵌合し、締付ナット9により締付けて、被溶接材の端部間を橋絡した状態で固定する。 その際、裏当材30が裏当金11の半円筒内面から若干突き出すように配置することによって、裏当材30と被溶接材T,Tとの密着性を良好にすることができる。 次に、シールドヘッド部材Aの係合アーム4を裏当金11の中央部に挿入・嵌合させる。これによって被溶接材の端部に溶接施工のための施工空間が構成される。
【0026】
上記したようなセット状態において、シールドガス導入孔1b、シールドガス噴出口1c、整流体5、並びに、シールドガス案内溝2dを経て、整流された均一なシールドガスがシールドガス吐出口1eから開先空間Wに供給される。 シールドガス案内溝2dは、シールドヘッド開口部A1の対向する長辺に平行に開設されており、整流ガスは全体として下方に向い被溶接材表面とシールドヘッド部材Aおよび裏当金11との間隙および開先空間Wを充填して、外気を排除する。 整流ガスの大部分は被溶接材M,Mの表面で衝突・屈曲して半円筒状に開先中心部に向い、そこで対向流と会合して開先奥部へ向う流れと開口に向う流れを生起して開先空間Wを充填した後にシールドヘッド開口部から流出する。
【0027】
また、被溶接材M,Mとの衝突により、前記流れとは反対側に向おうとする流れと、被溶接材M,Mとの隙間を下方に向うながれが生じる。 これらは裏当金11とシールドヘッド部材Aと被溶接材M,Mとの隙間に沿って外側に流出することによって、当該隙間からの外気の進入を阻止する。
【0028】
以上のようにして図9に示すように、整流された均一な流れを被溶接材M,Mに指向させるという簡単な手段によって、全体として開先空間Wの内部からその外部に向う多方向の流れを生起させて、開先空間Wを常に良好なシールド状態に保持する。
【0029】
その後、溶接ワイヤを溶接トーチのコンタクトチップを通じ、開口部を経て開先空間W内に挿入し、その底部で溶接アークを発生させる。 溶接金属の充填高さに応じて開先面を溶融・融合させるように、アークを略円形状開先面に沿って横断・走査・反転させかつ、開先面方向にセミウイービングを加えるなどの操作を順次反復する。 こうして開先内に溶接金属を完全に充満させ、適正な余盛りを付加して継手が完成する。
【0030】
上記した本実施例は、被溶接材が水平方向に配置される場合としたが、被溶接材が垂直方向や傾斜した方向に配置される場合においても本実施例と原理的にはまったく同一である。 本発明はこのような形態での実施可能とするものである。
【0031】
本発明においては、被溶接材棒鋼間の開先空間およびそれらの接合端部の略半周に非金属裏当材を金属製裏当金を介してあてがい、さらに被溶接材を間に挟んで裏当金に対向させる状態でシールドヘッド部材Aを裏当金部材Bに挿入・連結する。 こうして、被溶接材の端部および開先空間Wが、裏当金11にバックアップされた非金属裏当材30とシールドヘッド部材Aにより包囲される。 そしてシールドヘッド部材Aに設けられた溶接施工のための開口部A1から溶接ワイヤを溶接コンタクトチップを通して開先空間W内に挿入し、その奥部からアークを形成・操作して溶接金属を開先空間に盛り付けると同時に開先面を融合させて被溶接材を接合する。
【0032】
この溶接施工の際、開口部の被溶接材軸横断対向面の底部で被溶接材の外周に沿わせて略半周の範囲に設けた一対のシールドガス吐出口1eからシールドガスを被溶接材M,Mに衝突・吐出させることにより、衝突に基づき被溶接材軸方向の表面に沿って開口部A1 および開先中心に向かう流れを生起させる。 同時に、この流れと反対方向および下方に向かう流れが生起される。 これらのシールドガス流は、シールドガス吐出溝2d内に設けられた整流体5を介して整流された乱れの小さい均一な流れとなっているので、吐出口形成用切欠き部2aから流出した後に外気が巻き込まれるような恐れを最小化する。
【0033】
上述したような流れは、被溶接材M,Mに沿って開先空間Wで会合しその空間に充満・滞留した後に開口部上方に向い外気の進入を阻止する。 そして、後者の流れは、前記流れと反対方向および底部に向い被溶接材と裏当金との隙間から外側に流出して、この隙間からの外気を遮断する。 このようにして開先空間Wはシールドガスによりその内部から確実にガスシールすることができる。 そのため、シールドガス流を均一化する整流体5は吐出溝の奥部に配置され、溶接の際に発生するスパッタに直接曝されることはない。
【0034】
ところで、図10に示す実施例は、シールドヘッド部材Aと係合・一体化して被溶接材M,Mの接合部を包囲すると共に非金属裏当材をバックアップして溶接施工空間を構成する裏当金11として、汎用厚さの鋼板から所定半円形に切り欠いた矩形板を熱切断により形成し、これの複数個を半円形部が半円筒を構成するように積層して形成し、更に、当該矩形板の積層界面を横断溶接して一体化することにより、裏当金ブロックを形成したものである。
【0035】
本発明においては、溶接アークが直接作用するのは非金属裏当材であり、そのバックアップ機能としての裏当金自身は直接に超高温の溶接アークに曝されることがない。 然し乍、従来のエンクローズ溶接においては、裏当金材料として溶接アークに対する熱拡散性の点から高価な銅および銅合金の極厚のブロックを用い、これを機械加工により形成したため、切りくずロスを多く発生させて高い加工コストで製作されていた。 これに対し、上述したような構成(図10に示す構成)を採ることにより、最も汎用性のある安価な素材としての鋼板を用いることができるので、これに熱切断と溶接加工という機械加工に比較してはるかに安価な加工技術を組み合わせることにより、裏当金の材料費および加工費とを著しく低減することができる。 また、比較的薄い板から横断面の定形を複数積層し、これを適当な手段で結合して、全体として大きな機能ブロック体を構成するという手段は、各種の応用が可能である。素材としても、鋼以外の金属やセラッミックスなどにも利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明における要部たるシールドヘッド部材を表した正面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】図1におけるX−X線断面図である。
【図4】本発明における要部たる裏当金部材の正面図である。
【図5】同上側面図である。
【図6】裏当金を単独で表した斜視図である。
【図7】シールドヘッド部材と裏当金とを被溶接材を中間に挟んで係合した状況での被溶接材軸中心における縦断面図である。
【図8】同上その開口部中心における横断面図である
【図9】図7に示す状態においてシールドガス流によるシールド状態を示す模式図である。
【図10】裏当金の他の実施例を表した斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
A シールドヘッド部材
A1 シールドヘッド開口部
1 シールドガス導入体
1a 半円形の切り欠き部
1b シールドガス導入孔
1c シールドガス噴出口
1d ガス導入管
1e シールドガス吐出口
2 シールドガス吐出体
2a シールドガス吐出口形成用半円形の切り欠き部
2d シールドガス案内溝
3 シールド側壁体
4 係合アーム
5 整流体
B 裏当金部材
8 締付ボルト
9 締付ナット
10 締付アーム
11 裏当金
11a 半円筒形凹面
11b 格納ポケット
30 裏当材
M 被溶接材
W 開先空間
11A アーム部裏当金
11B ポケット部裏当金
11C 溶接条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の開先間隔を設けて同軸上に開先面を対向配置された一対の棒状の被溶接材(M,M)の両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金(11)と、この裏当金(11)の中央所定部分に対向挿入されかつ当該裏当金(11)と反対側の被溶接材(M,M)の両端部の残りの略半周を包囲するシールドヘッド部材(A)から成り、
当該シールドヘッド部材(A)の中央部に被溶接材(M,M)の対向軸に略垂直方向に形成された溶接操作のための矩形状を呈するシールドヘッド開口部(A1)と、当該開口部(A1)の対向する長径面に平行する少なくとも一対のシールドガス案内溝(2d)と、この案内溝(2d)の下端部分に被溶接材(M,M)の外周に沿うような所定幅の半円形の切欠き部(2a)を対向して設けると共に、
当該案内溝(2d)の中間部には吐出されるシールドガス流を均一化する整流体(5)を配置したことを特徴とする棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置。
【請求項2】
シールドヘッド部材(A)に対して分離可能に係合され、かつ、被溶接材(M,M)の接合される両端部の所定部分を略半周包囲する裏当金として、所定厚さの板から所定同形状に熱切断された鋼片を複数積層すると共に、その積層界面を横断する方向に溶接して所要の裏当金形状に形成した裏当金を用いて成る請求項1に記載の棒状部材に対するガスメタルエンクローズ溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−269064(P2009−269064A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122822(P2008−122822)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(508139893)株式会社武蔵野ガス圧接 (2)
【Fターム(参考)】