説明

椅子型マッサージ機

【課題】被施療者の上半身に捻りマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者の腰掛ける座部12と、該座部後端に配備された背凭れ部20と、を具え、背凭れ部20には、被施療者の背中をマッサージする左右対の施療用エアバッグ30,32を配備した椅子型マッサージ機において、背凭れ部20には、被施療者の頭部72が当接する部位の左右に、膨張することで頭部72を挟み込む頭部保持用エアバッグ40,40を配備しており、該頭部保持用エアバッグ40,40を膨張させて、被施療者の頭部72を挟み込んだ状態で、背凭れ部20の施療用エアバッグ30,32を交互に膨張することで、被施療者の上半身に捻りマッサージを施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグによって被施療者の上半身をマッサージする椅子型マッサージ機に関し、より具体的には、被施療者の上半身に捻りマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の腰掛ける座部に対して揺動可能に支持された背凭れ部の左右に夫々エアバッグを配置し、該エアバッグによって被施療者の背中をマッサージする椅子型マッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の椅子型マッサージ機では、背凭れ部のエアバッグを被施療者の肋骨に沿うように「ハ」の字状に配置しており、エアバッグが被施療者の肋骨に沿って膨張することで、背中を全体的に前に押し出すようなマッサージを施している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−272165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被施療者の上半身をマッサージする際に、被施療者の上半身を捻るマッサージを施すことで、背骨の歪みを矯正し、背中の筋肉、筋等をほぐすことで、マッサージ効果を可及的に高めることができる。
しかしながら、上記椅子型マッサージ機では、被施療者の上半身を捻ることはできない。
【0005】
本発明の目的は、被施療者の上半身に捻りマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者の腰掛ける座部と、該座部後端に配備された背凭れ部と、を具え、背凭れ部には、被施療者の背中をマッサージする左右対の施療用エアバッグを配備した椅子型マッサージ機において、
背凭れ部には、被施療者の頭部が当接する部位の左右に、膨張することで頭部を挟み込む頭部保持用エアバッグを配備しており、
該頭部保持用エアバッグを膨張させて、被施療者の頭部を挟み込んだ状態で、背凭れ部の施療用エアバッグを交互に膨張することで、被施療者の上半身に捻りマッサージを施すようにした。
【0007】
背凭れ部に配置された左右の施療用エアバッグは、背凭れ部の上側の間隔が広く、下側に向かうほど間隔が狭くなるように、V字状に配置することが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
頭部保持用エアバッグを膨張させて、被施療者の頭部を挟み込んで保持した状態で、施療用エアバッグを交互に膨張させることにより、被施療者の上半身は、中心である背骨が左右にズレることなく保持されたまま、右上半身、左上半身が交互に施療用エアバッグによって前方に押し出される。
これにより、被施療者の上半身に対して、背骨を中心とした捻りマッサージを施すことができ、被施療者の背骨を矯正したり、背中の筋肉、筋等をほぐし、ストレッチすることができ、上半身の凝りを極めて効果的に解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の一例を示す斜視図である。
椅子型マッサージ機(10)は、台座フレーム(11)の上部に形成され、被施療者の腰掛ける座部(12)と、該座部(12)の後端に揺動可能に支持された背凭れ部(20)、座部(12)の両側に形成された肘掛け部(14)(14)、被施療者のふくらはぎ等をマッサージする足用マッサージ手段(15)とを具える。また、肘掛け部(14)には、マッサージ機(10)を操作し、また、マッサージ機(10)の種々の表示を行なう操作器(17)が配備されている。
【0010】
背凭れ部(20)、座部(12)及び足用マッサージ手段(15)には、夫々圧縮空気の供給、排出により、膨張、圧縮するエアバッグ(30)(32)(40)(13)(16)等からなるマッサージ手段が配備されている。
なお、座部(12)及び足用マッサージ手段(15)は、公知のマッサージ手段を用いることができ、本実施例に限定されるものではない。また、これらマッサージ手段を適宜省略することもできる。
【0011】
図1及び図2に示すように、背凭れ部(20)には、被施療者の背中(70)の当たる部分(図3参照)に左右一対の施療用エアバッグ(30)(32)が配備されており、該施療用エアバッグ(30)(32)の上側には、頭部(72)の当たる部分を挟むように(図3参照)、左右一対の頭部保持用エアバッグ(40)(40)が配備されている。
施療用エアバッグ(30)(32)及び頭部保持用エアバッグ(40)(40)は、図示しないエアポンプに電磁バルブを介して接続されており、被施療者の操作器(17)の操作や、プログラムにより、夫々の膨張、収縮が制御可能となっている。
背凭れ部(20)、座部(12)、足用マッサージ手段(15)は、クッション、カバー等により覆われており、エアバッグ(30)(32)(40)(13)(16)は外部からは見えない。また、被施療者の頭部(72)が当たる部分には、別途枕状のクッション(22)を配備することができる。
【0012】
施療用エアバッグ(30)(32)は、背凭れ部(20)の長手方向に沿って延びる略平行四辺形又は略長方形の形状とすることができ、背凭れ部(20)の中心(被施療者の背骨の当たる位置)を挟んで、左右対称に配置される。図1乃至図3に示すように、施療用エアバッグ(30)(32)は、背凭れ部(20)の上側(頭部側)の間隔が広く、下側に向かうほど間隔が狭くなる略V字状に配置することが望ましい。被施療者の肩側の間隔を広くすることで、後述する捻りマッサージ時に、被施療者の上半身を大きく捻ることができる。
なお、施療用エアバッグ(30)(32)は、夫々独立して、膨張、収縮が制御可能となっている。
【0013】
頭部保持用エアバッグ(40)(40)は、枕状クッション(22)の後面に配備されており、膨張時に、図4(a)及び図4(b)に示すように、被施療者の頭部(72)を挟み込むように膨らんで保持し、頭部(72)の左右動や回転を阻止する。
【0014】
なお、背凭れ部(20)は、長尺であるため、椅子型マッサージ機(10)の出荷や輸送等に際して、背凭れ部(20)が分解できる構造であることが望まれる。この場合、図5に示すように、背凭れ部(20)を頭部保持用エアバッグ(40)(40)が配備された頭部側(23)と、施療用エアバッグ(30)(32)が配備された背中側(24)に分解可能とすることができる。
【0015】
背凭れ部(20)の組立性及び分解性を高めるために、図5に示すように、背中側(24)の上端左右に金属製の受けパイプ(25)(25)を夫々凹設し、頭部側(23)に前記受けパイプ(25)に嵌まる差込パイプ(26)(26)を突設している。受けパイプ(25)(25)の先端は、差込パイプ(26)(26)が嵌まりやすいように拡径している(図6参照)。
【0016】
一方の受けパイプ(25)及び差込パイプ(26)には、図6に示すように、エアポンプ(図示せず)から頭部保持用エアバッグ(40)(40)へ圧縮空気を送給するホース(27)(28)が内装されており、各ホース(27)(28)の先端には、差込パイプ(26)を受けパイプ(25)に係合したときに、空気が漏れないように接続されるよう、樹脂製のジョイント(27a)(28a)及びパッキンゴム(29)が配備されている。頭部側(23)のホース(28)は、他端側が分岐して、夫々頭部保持用エアバッグ(40)(40)に接続されている。
【0017】
このような構成とすることで、背凭れ部(20)は、分解した状態で輸送等を行なうことができ、使用時には、分解されている状態から、背中側(24)の受けパイプ(25)に対して、頭部側(23)の差込パイプ(26)が係合するように差し込むことで連結され、同時に、ホース(27)(28)がジョイント(27a)(28a)を介して接続される。
これにより、頭部側(23)が背中側(24)に固定されると共に、頭部保持用エアバッグ(40)(40)に圧縮空気が送給可能となる。
【0018】
上記した椅子型マッサージ機(10)において、被施療者が座部(12)に腰掛けて、背凭れ部(20)に凭れた状態で、操作器(17)の操作又はプログラム制御により、捻りマッサージが選択されると、頭部保持用エアバッグ(40)(40)は、図4(a)及び図4(b)に示すように、膨張し、被施療者の頭部(72)を保持する。この状態で、図4(a)又は図4(b)に示すように、左右何れか一方の施療用エアバッグ(30)又は(32)のみを膨張させる。これにより、被施療者の上半身は、膨張した施療用エアバッグ(30)又は(32)により前方に押し出される。このとき、被施療者の頭部(72)は、頭部保持用エアバッグ(40)(40)により左右動及び回転が不能な状態に保持されているから、図4(a)又は図4(b)に示すように、右又は左上半身が前方に押し出されることで、背骨を中心とした捻り方向の力を受ける。
特に、施療用エアバッグ(30)(32)を図1乃至図3に示すように、略V字状に配置しているから、被施療者の肩を効果的に前方に押し出すことができ、大きな捻り方向の力を被施療者の上半身に作用させることができる。
【0019】
次に、膨張していた施療用エアバッグ(30)又は(32)を収縮させると共に、他方の施療用エアバッグ(30)又は(32)のみを膨張させることで、上記とは逆側が前方に押し出される方向の捻り力を受ける。
【0020】
上記捻り動作を繰り返すことで、被施療者の上半身に背骨を中心とした捻りマッサージが施され、背骨の矯正、背中(70)の筋肉及び筋のほぐし、ストレッチ等の効果の高いマッサージを受けることができる。
【0021】
なお、施療用エアバッグ(30)(32)を略V字状に配置した場合、頭部保持用エアバッグ(40)(40)を省略し、又は、膨張させることなく、施療用エアバッグ(30)(32)のみを交互に膨張、収縮させることで、上記実施例よりも効果は低減されるが、捻りマッサージを施すことができる。
また、両施療用エアバッグ(30)(32)を同時に膨張させることで、押圧マッサージを施すことも、勿論可能である。
【0022】
頭部保持用エアバッグ(40)(40)によって頭部(72)を保持した状態で行なう捻りマッサージのいて、施療用エアバッグ(30)(32)は、図7に示すように、施療用エアバッグ(30)(32)を背凭れ部(20)の中心に対して略平行に配置してもよい。この場合、頭部保持用エアバッグ(40)(40)によって、被施療者の頭部(72)を保持した状態で、左右の施療用エアバッグ(30)(32)を交互に膨張、収縮させることで、捻りマッサージを施すことができる。
【0023】
また、図8に示すように、左右の施療用エアバッグ(30)(32)間に中央エアバッグ(50)(50)を配置し、図9(a)に示すように、中央エアバッグ(50)(50)を膨張させた状態で、図9(b)及び図9(c)に示すように、左右の施療用エアバッグ(30)(32)を交互に膨張、収縮させることで、捻りマッサージを施すこともできる。この場合も、頭部保持用エアバッグ(40)(40)を膨張させて頭部(72)を保持しているが、図9では、頭部保持用エアバッグ(40)(40)を省略している。図示の実施例では、中央エアバッグ(50)(50)を上下に2つ並べ、下側の中央エアバッグ(50)の左右に施療用エアバッグ(30)(32)を設けることで、腰を中心とした捻りマッサージを実現しているが、中央エアバッグ(50)(50)の個数や、施療用エアバッグ(30)(32)の配置は、これに限定されるものではない。
勿論、頭部保持用エアバッグ(40)(40)を省略し、又は、膨張させることなく、中央エアバッグ(50)を膨張させた状態で、施療用エアバッグ(30)(32)を交互に膨張、収縮させることで、上記実施例よりも効果は低減されるが、捻りマッサージを施すことも可能である。この場合は、捻りマッサージよりむしろ背骨に十分な刺激を与えるためのマッサージである。
【0024】
施療用エアバッグ(30)(32)を膨張することによるマッサージは、施療用エアバッグ(30)(32)の押圧力が被施療者に対して面当りするため、指圧的なマッサージとはならない。そこで、図10及び図11に示すように、エアバッグ(60)(60)の膨張、収縮によって出没可能な指圧子(61)(61)を背凭れ部(20)に配置し、指圧子(61)(61)によって被施療者の背中を指圧マッサージするようにしてもよい。
図11の指圧子(61)は、背凭れ部(20)に固定された螺旋状のガイド(65)を有するホルダー(64)に嵌まっており、ガイド(65)に沿うガイドピン(62)が突設されている。また、エアバッグ(60)が収縮した場合に、指圧子(61)が後退可能となるように、ホルダー(64)と指圧子(61)との間には、指圧子(61)を後退方向に付勢するコイルバネ等の付勢手段(63)が配備されている。
【0025】
指圧子(61)は、エアバッグ(60)を膨張させることで、付勢手段(63)の付勢力に抗して、ガイドピン(62)が螺旋状のガイド(65)に沿って回転しながら突出する。これにより、指圧子(61)は、被施療者の患部に対して押圧力だけでなく、ねじり力を合わせたマッサージ(回転指圧マッサージ)を施すことができ、まるで人に施療してもらっているかの如きマッサージを受けることができる。
エアバッグ(60)を収縮させると、指圧子(61)は、付勢手段(63)の付勢力により、後退する。
【0026】
上記構成の指圧子(61)を背凭れ部(20)に1又は複数配備することで、従来にない効果的な回転指圧マッサージを受けることができる。勿論、このような指圧子(61)は、背凭れ部(20)以外に座部(21)、足用マッサージ手段(15)にも配備することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、被施療者の上半身に捻りマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の椅子型マッサージ機の正面図である。
【図3】施療用エアバッグ及び頭部保持用エアバッグの被施療者に対する配置を説明する説明図である。
【図4】頭部保持用エアバッグを膨張させた状態で、左右の施療用エアバッグを交互に膨張させた状態を示す説明図である。
【図5】背凭れ部が分解式である椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図6】背凭れ部の頭部側と背中側の接続用のパイプ及びホースの断面図である。
【図7】施療用エアバッグを平行に配置した本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図8】施療用エアバッグ間に中央エアバッグを配置した本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図9】中央エアバッグを膨張させた状態で、左右の施療用エアバッグを交互に膨張させた状態を示す説明図である。
【図10】回転式の指圧子を出没可能に配置した本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図11】図10の指圧子の断面図である。
【符号の説明】
【0029】
(10) 椅子型マッサージ機
(12) 座部
(20) 背凭れ部
(30) 施療用エアバッグ
(32) 施療用エアバッグ
(40) 頭部保持用エアバッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部後端に配備された背凭れ部と、を具え、背凭れ部には、被施療者の背中をマッサージする左右対の施療用エアバッグを配備した椅子型マッサージ機において、
背凭れ部には、被施療者の頭部が当接する部位の左右に、膨張することで頭部を挟み込む頭部保持用エアバッグを配備しており、
該頭部保持用エアバッグを膨張させて、被施療者の頭部を挟み込んだ状態で、背凭れ部の施療用エアバッグを交互に膨張することで、被施療者の上半身に捻りマッサージを施すことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
背凭れ部に配置された左右の施療用エアバッグは、背凭れ部の上側の間隔が広く、下側に向かうほど間隔が狭くなるように、V字状に配置される請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
背凭れ部に配置された左右の施療用エアバッグ間に、中央エアバッグを配備した請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部後端に配備された背凭れ部と、を具え、背凭れ部には、被施療者の背中をマッサージする左右対の施療用エアバッグを配備した椅子型マッサージ機において、
左右の施療用エアバッグは、背凭れ部の上側の間隔が広く、下側に向かうほど間隔が狭くなるように、V字状に配置されることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項5】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部後端に配備された背凭れ部と、を具え、背凭れ部には、被施療者の背中をマッサージする左右対の施療用エアバッグと、該施療用エアバッグ間に中央エアバッグを配備した椅子型マッサージ機において、
中央エアバッグを膨張させた状態で、左右の施療用エアバッグを交互に膨張させることを特徴とする椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−237820(P2008−237820A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86513(P2007−86513)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】