説明

植栽用ディスプレーおよびその使用方法

【課題】 長期間飾っておける植栽用ディスプレーおよびその使用方法を提供する。
【解決手段】 額縁状に縁どりした窓を前面に開設した奥行きのある額状筐体のその窓の内側に植栽可能な植栽容器収納構造を備え、該植栽容器収納構造が植物育成用媒体を含む植栽用ディスプレーであって、該植物育成用媒体が吸水性樹脂の粉末またはゲルを含むことを特徴とする植栽用ディスプレーであり、特に吸水性樹脂が、25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下であるのがよい;また、植物が植えられた前記植栽容器を、植栽容器収納構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えることを特徴とする植栽用ディスプレーを使用する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を生活空間やショーウインドにおいて美しく表示する植栽用ディスプレーおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生きた植物を植えた額縁状の植栽用ディスプレーとしては、奥行きのある額の内側下の植栽容器構造に水または培養液を入れたもの(たとえば、特許文献1)や、植物マットを利用して全面に植物を植えた額縁(たとえば、特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−245263号公報
【特許文献2】特開2010−241999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の植物額の植物は、水などの液体に植えられているので、振動などにより液体がこぼれたりする問題や、植物を変えるときは額縁において植え替えたりする必要があり作業も煩雑になるという問題がある。また給水装置を設ける必要があり、植物額としては大掛かりになりコスト高になるという問題もある。
後者の植物額には、植物育成に適した保水剤がマットに入っており、無散水期間が2週間程度でも植物は枯れたりしないが、植物の種類によって、また無散水期間がさらに長くなると植物が枯れたりするのでやはり散水装置を設ける必要があったり、植物を変えるときは植物額全体を変える必要があり、コスト高になり、作業も煩雑になるという問題がある。
【0005】
生きた植物を植えた植物額であって、長期間飾っておける植物額が望まれている。
本発明は、長期間飾っておける植栽用ディスプレーおよびその使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、植物を植える植物育成用媒体に吸水性樹脂を含ませれば、長期間飾っておける植栽用ディスプレーができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、額縁状に縁どりした窓を前面に開設した奥行きのある額状筐体のその窓の内側に植栽可能な植栽容器収納構造を備え、該植栽容器収納構造が植物育成用媒体を含む植栽用ディスプレーであって、該植物育成用媒体が吸水性樹脂の粉末またはゲルを含むことを特徴とする植栽用ディスプレーである。
また本発明は、前記吸水性樹脂が25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下であることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記植物育成用媒体が前記植栽容器構造に出し入れ可能な植栽容器に入っていることを特徴とする。
また本発明は、前記植物育成用媒体が前記吸水性樹脂と植物育成用担体の混合物であることを特徴とする。
また本発明は、前記植物育成用担体が土壌以外のものであることを特徴とする。
また本発明は、前記植栽容器収納構造が額状筐体前面の下部、中間部、上部の少なくともひとつに配置されていることを特徴とする。
さらに本発明は、植物が植えられた前記植栽容器を、植栽容器構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えることを特徴とする植栽用ディスプレーを使用する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の植栽用ディスプレーは、下記の効果を奏する。
(1)植物育成用媒体に吸水性樹脂が含まれるので、保水性が良く長期間植物が枯れることがなく、長期間飾っておくことができる。
(1)25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下である吸水性樹脂を用いると、植物が枯れないでいる無散水期間が3週間以上である従来よりも長期間であり、長期間飾っておくことができる。
(2)植物育成用媒体に土が入っていないと、植栽用ディスプレーは軽量化でき額として壁に掛けても安定である。また、周囲が土で汚れる心配がない。
(3)植栽容器収納構造が額状筐体前面の下部、中間部、上部の少なくとも一つに配置されているので、植栽用ディスプレーに植物を飾る自由度が高い。
(4)植物が植栽容器構造に出し入れ可能な植栽容器に入っているので、既に植栽容器構造にある植栽容器と交換して植物を植えた新たな植栽容器を植栽用ディスプレーに簡単にセットすることができる。したがって、植栽用ディスプレーを取り外すことなく、長期間飾っておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における一実施形態である、植栽用ディスプレーの筐体の正面図(A)と側面図(B)と図AのXY軸における断面図(C)である。
【図2】本発明における一実施形態である、組立によりできる植栽用ディスプレーの筐体の斜視図である。
【図3】本発明における一実施形態である、組立によりできる植栽用ディスプレーの筐体の斜視図である。
【図4】本発明における一実施形態である植栽用ディスプレーの筐体の正面図(A)とXY軸における断面図(B)である。
【図5】本発明における一実施形態である植栽容器の斜視図である。
【図6】本発明における一実施形態である植栽用ディスプレーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態につき、説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0012】
本発明の植栽用ディスプレーにおける植物育成用媒体には吸水性樹脂の粉末またはゲルが含まれる。本発明における吸水性樹脂は、従来土壌改良剤や植物用吸水剤として用いるものであれば使用できる。好ましくは、25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下である吸水性樹脂である。
本発明における吸水性樹脂は、エチレン性不飽和単量体(以下、モノマーという場合がある)の重合体架橋物であり、ノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)単独からなる重合体(X)、アニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(C)単独からなる重合体(Y)、およびノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)とアニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)を構成単位とする共重合体(Z)が挙げられる。(X)、(Y)、(Z)のみで使用することも可能であり、(X)、(Y)、(Z)を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの内、より好ましくは(Y)、(Z)のアニオン性の重合体からなる吸水性樹脂が植物の根の生長を特に阻害しにくく、長期間散水しなくても植物が枯れることがない。
【0013】
上記において、重合体(X)の構成単位であるノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)としては、水酸基含有ラジカル重合性水溶性単量体(アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートなど)、アミド基含有ラジカル重合性水溶性単量体((メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミドなど)、3級アミノ基含有ラジカル重合性水溶性単量体(ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)、エポキシ基含有ラジカル重合性水溶性単量体(グリシジル(メタ)アクリレートなど)、およびその他ラジカル重合性水溶性単量体(4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなど)が挙げられる。これらの内、好ましいものとしては、重合性が良好である(メタ)アクリルアミド及び/又はアルキル基の炭素数が2〜3のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートである。
【0014】
アニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体[たとえば、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など];またはその塩が挙げられる。特に好ましくはアクリル酸、スルホン酸系単量体およびその塩である。
【0015】
塩としては、上記カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を含有する水溶性単量体の塩[たとえば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アミン塩もしくはアンモニウム塩など]などが挙げられる。これらの内、好ましいものとしては、重合性が良好である(メタ)アクリル酸塩、スルホン酸系単量体塩を挙げることができる。
【0016】
アニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)が(メタ)アクリル酸塩である時、カルボキシル基の中和時に必要なイオンとしては、アルカリ金属イオン、周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオン及びアンモニウムイオンが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、Na+、K+が好ましく、周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンとしては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、B3+、Al3+等が好ましい。
【0017】
重合体(Y)(Z)中のカルボキシル基の中和時に必要なイオンとしては、アルカリ金属イオン、周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオン及びアンモニウムイオンが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、Na+、K+が好ましく、周期律表2族又は13族に属する多価金属イオンとしては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、B3+、Al3+等が好ましい。
【0018】
ここでアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンの合計による中和度が10当量%未満では、保水性を向上させる能力が低くなり、多量に使用する必要が生じる。周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンによる中和度は、好ましくは、0〜50当量%である。ここで、第2族又は13族に属する多価金属イオンによる中和度が50当量%を超えると吸水性樹脂の架橋度が高くなりすぎるため製造しにくくなる。
【0019】
該吸水性樹脂は実質的にアニオン性であり、この性質を阻害しない範囲内でカチオン性重合性単量体(C)(アクリル酸トリメチルアンモニウムエチル・クロライドなど)や他のモノエチレン性不飽和単量体(D)(たとえば、スチレン、アクリル酸n−ブチルなど)を、たとえば(A)と(B)の合計質量に対して10モル%を超えない範囲で共重合してもよい。
【0020】
吸水性樹脂の製造に当たり、重合方法については特に限定されず、水溶液重合法、逆相懸濁重合法、噴霧重合法、光開始重合法、放射線重合法などが例示される。
好ましい重合方法は、ラジカル重合開始剤を使用して水溶液重合する方法である。この場合のラジカル重合開始剤の種類と使用量、ラジカル重合条件についても特に限定はなく、従来と同様にできる。なお、これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えばチオール化合物等)等を添加しても差し支えない。
【0021】
重合して得られる吸水性樹脂の含水ゲル状重合体を乾燥後、粉砕し、さらに必要により粒度調整して得られる吸収剤粒子の表面近傍を、カルボキシル基、スルホン酸基などの酸基及び/又はその塩基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する架橋剤で表面架橋して吸水性樹脂とすることもできる。このような表面架橋型の吸水性樹脂は、常圧下だけでなく加圧下においても吸収性能と吸収速度に優れ、かつゲル強度も大きくなるので、土壌中に吸水性樹脂の粉末を混合しても加圧により吸水が阻害されるのがより少なくなる。また水可溶性成分が少なくなる。
【0022】
表面架橋に使用する架橋剤としては、従来から使用されている公知の架橋剤(たとえば、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリアミン系樹脂及びアジリジン化合物)が使用できる。表面架橋における架橋剤の量は、架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能などにより種々変化させることができるため特に限定はないが、吸水性樹脂に対して好ましくは0.001〜3重量%である。
【0023】
また、乾燥や粉砕については従来の方法が使用できる。たとえば、重合ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化あるいはヌードル化し、必要によりアルカリ金属塩水酸化物を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥や通気乾燥などの方法などが挙げられる。乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間などにより種々異なるが、好ましくは、50〜150℃で5〜300分である。このようにして得られた架橋重合体の乾燥物は、必要により粉砕して粉末化する。粉砕方法は、通常の方法(たとえば衝撃粉砕機や空気粉砕)で行うことができる。必要により乾燥した乾燥粉末は、必要により所望のスクリーンを備えたフルイ機を用いて、所望の粒径の乾燥粉末を採取することができる。
【0024】
このようにして得られる吸水性樹脂は、その平均粒径が好ましくは10〜1,000μmであり、より好ましくは20〜800μmである。平均粒径が10μm以上であると、吸水時にママコ(継粉)を形成しにくくなるため保水能力の向上が阻害されない。1000μm以下であると吸水速度が速くなり、粒子中心部まで水が浸透しやすくなるため保水能力、根への給水能力が向上する。吸水前の乾燥状態での、吸水性樹脂の平均粒径は、「レーザー回折散乱法」(例えば、具体的には、日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計を使用)や篩い振とう法で測定できる。平均粒子径は質量平均粒子径を意味し、質量平均粒子径は、架橋重合体の各粒度分布を横軸が粒子径、縦軸が質量基準の含有量の対数確率紙にプロットし、全体の質量の50%を占めるところの粒子径を求める方法により測定する。
【0025】
上記のようにして製造された本発明における吸水性樹脂の、25℃イオン交換水に対する吸水倍率は、好ましくは80〜1000倍、より好ましくは100〜500倍であり、特に好ましくは120〜500倍である。吸水倍率が80倍以上であると、植物への給水が十分でなり、たとえば3週間以上の長期間散水しなくても枯れにくい。吸水倍率は大きい方が少量の使用で済むので好ましいが、吸水倍率が1000倍以下である吸水性樹脂は、その製造工程において重合後の含水ゲルの密着性が高くなりすぎず、製造装置内の取り扱いやその後の乾燥が容易であり、製造上の問題点がなく現実的である。吸水倍率はモノマーの種類や架橋条件等によりコントロールできる。
吸水倍率は下記の方法で測定した。
【0026】
[イオン交換水中の吸水倍率の測定法]
ナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料L(g)を入れ、これを袋ごと過剰のイオン交換水に浸した。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量M(g)を測定して下式より吸水倍率を求めた。
なお網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量N(g)をブランクとして差し引いた。 イオン交換水の吸水倍率=(M−N)/L
【0027】
また、本発明の吸水性樹脂の、水可溶性成分含量は好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは2重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以下である。水可溶性成分含量が5重量%以下であると長期間散水せずとも植えた植物が萎んだりせず元気がある。2重量%以下であると植えた植物がさらに元気で勢いがある。1重量%以下であると植えた植物はさらに勢いがよく生長も早い。5重量%以下、2重量%以下、1重量%以下と水可溶性成分量が少ないほど元気がよく、枯れない状態を維持する無散水期間が長くなり、植物の成長も早い。この理由としては推定であるが、水可溶性成分には分子量の小さい単量体、オリゴマーなどの化学成分があり、これが植物に吸収されると植物の状態や生長に悪影響を及ぼすものと考えられ、少ない程植物にとって都合がよい。
【0028】
[水可溶性成分含量の測定法]
吸水性樹脂10.00gを吸水量に対して過剰量の純水に入れ、20〜25℃で24時間攪拌する。その後、液を濾過し(たとえば、No.5の濾紙を使用)、母液をエバポレーターで濃縮した後、120℃の恒温槽で蒸発乾固(目安として5時間以上)させる。測定に使用した吸水性樹脂の量に対する蒸発残分の割合を重量%で計算する。
また、測定時間を短縮するために、上記母液を一定量とり測定した結果を、最初投入した水に対する割合から計算して水可溶性成分含量を算出することができる。
【0029】
吸水性樹脂中の水可溶性成分含量を下げる方法としては、特に限定はないが、たとえば、(i)重合濃度を下げたり、架橋密度を上げたりする吸水性樹脂の分子量を上げる方法、(ii)重合して架橋した後、再度架橋剤を加えて加熱する方法、(iii)重合して架橋し乾燥した後、水を加えて再膨潤して加熱する方法、(iv)乾燥後にそのまままたは水に膨潤させて架橋剤を加えて加熱し、低分子量の化学物質を架橋させて水不溶性とし水可溶性成分を減らす方法、(v)乾燥後に粒子を溶剤中でかき混ぜた後溶剤を濾過した後粒子を乾燥する方法、などが挙げられる。これらのいずれかまたは組み合わせて水可溶性成分含量を下げることができる。好ましいのは、(iii)、(iv)であり、より好ましいのは(iv)である。乾燥すると単量体などの低分子量化合物もさらに反応したり飛散したりして少なくなり、再膨潤すると粒子の中の未反応物が外に出てきて、加熱によりまたは架橋剤により反応してさらに低分子量化合物が少なくなると推定される。
【0030】
また、本発明における吸水性樹脂1重量部を25℃のイオン交換水100重量部に吸水させた時の含水ゲルの電気伝導率が0〜3.0mS/cmであるのが好ましい。0〜2.0mS/cmであるのがより好ましい。含水ゲルの電気伝導率が3.0mS/cm以下であると、含水ゲルに植えた植物が元気であり、従来よりもさらに長期間散水や雨がなくても植物は枯れにくい。従来、水可溶性成分が多いと含水ゲルの電気伝導率の上限は2.0mS/cmでないと植物は枯れやすい傾向があるが、水可溶性成分が少ないと上限を3.0mS/cmまで上げることができる。吸水性樹脂の電気伝導率は単量体の種類、中和度、架橋度、重合条件により決まる。
電気伝導率は下記の方法で測定した。
【0031】
[電気伝導率の測定法]
25℃のイオン交換水100重量部に吸水性樹脂1重量部を入れ、25℃で8時間、恒温槽中で放置して、前記吸水性樹脂を膨潤させ含水ゲルを作成する。含水ゲルの温度が25℃であることを温度計で確認し、比伝導度測定装置の電極を含水ゲルに差し込み値を読み取る。なお、吸水性樹脂の吸水倍率が小さい場合には、高吸水性樹脂の含水ゲルとイオン交換水が分離して二相になるので、撹拌して均一にした後、比伝導度測定装置の電極を差し込み値を測定する。撹拌・均一化してもすぐに二相に再び分離する場合は、撹拌下に比伝導度測定装置の電極を差し込み値を測定する。
【0032】
また、本発明における吸水性樹脂が水溶性単量体の架橋重合体であって、その吸水性樹脂中の残存水溶性単量体量(たとえばアクリル酸)は100ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのがより好ましい。100ppm以下であると植えた植物が元気で勢いが出て3週間以上の無散水期間であっても枯れることがない。50ppm以下であると植えた植物はさらに勢いがよく生長も早い。残存水溶性単量体量を下げる方法としては、還元性物質を重合後に添加する方法が効果が大きいが、重合条件、たとえば上記の吸水性樹脂の分子量を上げるなどの水可溶性成分を少なくする方法と同じ方法によっても達成ができる。還元性物質としては、亜硫酸ソーダ、アスコルビン酸、アミン類(アンモニア、モノエタノールアミン等)等が挙げられる。使用量は吸水性樹脂に対して好ましくは0.001〜5重量%である。
【0033】
[残存水溶性単量体量の測定法]
(試料溶液の作成)300mlのビーカーに吸水性樹脂1gを入れ、0.9%の食塩水249gを加えてマグネチックスターラーで3時間攪拌する。濾紙で吸水ゲルを濾別した後の濾液を試料溶液とした。
(測定)試料溶液を液体クロマトグラフィーに注入して残存水溶性単量体のピークの面積を求める。別に既知の濃度の水溶性単量体溶液から検量線(水溶性単量体量とピークの面積との関係)を作成し、この検量線から残存水溶性単量体量を求めた。
【0034】
上記の吸水性樹脂は、水を加えてゲルとした含水ゲルに植物を植えたり播種すれば植物育成や発芽ができる。含水ゲルは吸水性樹脂粉末に吸水倍率以下の水を加えれば容易に含水ゲルとなる。吸水性樹脂粉末と水との比率は、吸水性樹脂の吸水倍率以内の水であれば特に問題はないが、重量比で1:100〜20:100が好ましい。
【0035】
また、上記の吸水性樹脂は植物育成用担体に混合して植物育成用媒体として用いることができる。すなわち、吸水性樹脂を保水剤として用いることもできる。
本発明における植物育成用担体(以下、単に担体という場合がある)としては、従来植物育成用担体として用いられるものが使用できる。
【0036】
具体的な植物育成用担体としては、たとえば、無機質粉体(土壌、タルク、カオリン、ドロマイト、炭酸カルシウム、アルミナなど);無機質繊維(ロックウール、ガラス繊維など);無機質多孔体[フィルトン(多孔質セラミック、くんたん)、バーミキュライト、軽石、ゼオライト、シラスバルーンなど];無機質発泡体(パーライトなど)などの無機質系;有機質粉末[ヤシガラ、モミガラ、ピーナッツの殻、ミカンの殻、木くず、木粉、ヤシの実乾燥粉体など];有機質繊維[天然繊維〔セルロース系のもの(木綿、オガクズ、ワラなど)およびその他、草炭、羊毛など〕、人造繊維(レーヨン、アセテート等のセルロース系など)、合成繊維(ポリアミド、アクリルなど)、パルプ〔メカニカルパルプ(丸太からの砕木パルプ、アスプルンド法砕木パルプなど)、ケミカルパルプ(亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、硫酸塩パルプ、硝酸パルプ、塩素パルプなど)、セミケミカルパルプ、再生パルプ(たとえばパルプを一旦製紙して作った紙の機械的破砕または粉砕物、または故紙の機械的破砕または粉砕物である再生故紙パルプなど)など〕、その他廃材(紙オムツの製造より出る廃材など)など];有機質多孔体(ヤシ殻活性炭など)などの有機質系が挙げられる。これらのうち好ましいものは、吸水性のある無機質粉体、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質繊維の粒状物、粉体である。これらの担体は、単独で、あるいは必要に応じて2種類以上の併用が挙げられる。
【0037】
また、植物育成用担体として土壌以外のものを用いれば植物育成用媒体は、軽量になり植栽用ディスプレーとして壁に掛けやすくなると共に周囲が汚れにくくなる。また、土壌を使用していないので輸出入用植栽用ディスプレーとしても適用しやすい。
【0038】
植物育成用媒体は、吸水性樹脂と上記の植物育成用担体を混合するだけで得られ、混合方法は特に限定されず、混合装置で混合すればよい。吸水性樹脂と植物育成用担体の配合比率も限定はないが、重量比で0.5:100〜10:100が使用上好ましい。また、植物育成用媒体は水を加える前に加圧成型してペレット状にして、これに水を加えて植物育成用媒体として用いることもできる。
【0039】
また、上記の植物育成用媒体には必要に応じて肥料、抗菌剤、防虫剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤、爽快感を与える薬剤(メントール等)、マイナスイオンを発生する物質(トルマリン等)、界面活性剤(ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤等の公知の界面活性剤)、他の吸収剤(パルプ、綿、シリカゲル等)を添加することができる。添加量は吸水性樹脂の吸水を妨げない範囲であれば特に限定はないが、好ましくは吸水性樹脂100重量部に対して30重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。
【0040】
本発明における植栽用ディスプレーの構造は、額縁状に縁どりした窓を前面に開設した奥行きのある額状筐体のその窓の内側に植栽可能な植栽容器収納構造を備えるものである。
上記の構造は基本的な構造であり、変形される構造のすべてを含む。図1に本発明における一実施形態である植栽用ディスプレーの筐体の正面図(A)と側面図(B)とXY軸における断面図(C)を示した。図1に示された植栽用ディスプレー1の筐体には、直方体の筐体2の一方の広い面(前面)に窓3があり、額縁状に縁どられている。背面を構成する板4も1枚の簡単な構成になっている。側面の板5は上部が後方(図面に向かって右方向)に向かって下に傾斜するように形成されている。筐体2の下側に凹部が形成されており、この凹部が植栽容器収納構造6である。この植栽容器収納構造6には吸水性樹脂の含水ゲルまたは植物育成用媒体を直接入れてもよいし、植物育成用媒体を入れた植栽容器を入れてもよい。この植栽容器は植栽容器収納構造にすでにある植栽容器と交換することができる。後者の方法が植栽用ディスプレーに簡単に植物を飾ることができるので好ましい。また、背面を構成する板4の裏側の上部両側部には、全体を吊り支持するための吊下げ金具7が取付けられている。この植栽用ディスプレー1は、額縁同様に吊下げ金具7を使って室内の壁に掛けたり、大型のものでは床面上に設置して使用することができる。
【0041】
額縁状の筐体の形態は額縁状であれば限定はなく、矩形状、円形状、三角形状などが挙げられるが、好ましくは矩形状の額縁が違和感がなく安心して観察できる。大きさも限定はないが、額縁として壁に掛けられるか台の上に置かれる程度であればよい。高さ、横幅については限定がなく、横長であっても縦長であってもよい。奥行きは植栽容器収納構造の幅を決定するが、植物が植えられれば特に限定はない。植える植物によって植栽容器収納構造や植栽容器の大きさや形状を決めてもよい。筐体を構成する材料は硬質であれば特に限定はないが、ウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルなどのプラスチック、木材などが好ましく適用できる。
【0042】
図1の植栽用ディスプレーの筐体の構造は非常にシンプルで、筐体を構成する部材を連結するだけで作成することができる。また、筐体を組立式に形成できるようにしてもよい。
図2、3に組立によりできる植栽用ディスプレーの筐体の実施形態を示した。図2は嵌めこみ式で形成できる植栽用ディスプレーの筐体の一実施形態である。図2において、ベースユニット8、植生シート9、嵌めこみ式フレーム10を準備し、ベースユニット8に植生シート9を3枚重ねて入れ、その上から嵌めこみ式フレーム10を被せた額縁状筐体2である。したがって、それぞれの部材は簡単に交換ができる。下側の凹部が植栽容器収納構造6であり、筐体2の下部にその植栽容器収納構造6が形成できるようにフレームの下側の縁部分を大きくとってある。
【0043】
図3はスライド式で形成できる植栽用ディスプレーの筐体の実施形態である。図3に示すような前面と上部が開き上から差し込みができるフレーム11、植生シート9、上部の蓋12を準備し、フレーム11に植生シート9を3枚上から入れ、その上から蓋12を固定した額縁状筐体2である。図3の筐体2における部材も簡単に交換ができる。フレーム11の下側の縁部分を大きくとればその下側の凹部が植栽容器収納構造6となる。
【0044】
図2、3に記載された植生シートとは、たとえば吸水性樹脂が入った吸水シート8’、もみがらにより構成されたもみがらマット8’’などで吸水性、親水性のあるシート、マット類であり、それ自体でも植物の植生ができるものである。これを入れることにより植栽容器収納構造にある植物育成用媒体へ水分を補充したり、背面(植生シート)に植物を植えることもできる。植生シートの厚みは筐体に収まれば限定はないが、好ましくは3〜15mmであり、より好ましくは5〜10mmである。植生シートは1枚でも複数枚でもよい。一般的に吸水シートは弾力性があるが、もみがらにより構成されたマットは硬質であるので、図2、3に示されたように組み合わせて用いてもよい。このような植生シートは図1に記載した植栽用ディスプレーに交互に用いることもできる。
【0045】
図4は図1の筐体において、さらに中間部分に植栽容器収納構造を設けたものである。図4には、この筐体の正面図(A)、側面図(B)およびXY軸における断面図(C)を示した。これらの図から中間部分に植栽容器収納構造6は植栽容器が収納できるように薄い板を斜めに設けたものである。
植栽容器収納構造6は筐体の下部であっても図4に記載のように中間部分であっても上部であってもよく、また部分的に形成されていてもよく、その場所に合わせて植物を選定して植えれば色々の植栽用ディスプレーを作製することができる。植栽容器収納構造を形成する材料、形態は特に限定はない。植栽容器収納構造は板状であっても網状であってもよいが、植栽容器収納構造が板状である場合は植物育成用媒体でも植栽容器でも入れることができるが、網状の場合は植栽容器を置けばよい。
【0046】
植栽容器収納構造の深さ(高さ)は限定がなく、植物が安定的に存在すればよい。深さが浅い場合には、植栽容器をセットした後筐体の両側から紐などをはり植栽容器が筐体から落ちないようにしてもよい。
【0047】
植栽容器は、植物育成用媒体を入れその中に植物を植え、それを植栽用ディスプレーの植栽容器収納構造に納めるものである。植栽容器は、プラスチック、フィルムや布などで形成されることができる。プラスチックは硬質でも軟質でもよい。布の場合は、中の植物育成用媒体がはみ出ないものがよく、そのため植物育成用媒体もできるだけ団粒になっているものが好ましい。また、植栽容器が、吸水性樹脂を中に含むフェルトなどの不織布で構成されていると植物育成用媒体の水分が多くても外に出ようとする水分を吸収するので水がこぼれることはなく、吸収された水が植物育成用として役立つ。この不織布中にある吸水性樹脂も本発明における植物育成用媒体に含まれる吸水性樹脂と同じものが好ましい。
【0048】
植栽容器は植栽容器収納構造に入る大きさであれば限定はなく、入れる個数も1個でも複数でもよい。図5に植物育成用媒体に植物が植えられた植栽容器15の一実施形態を示した。図5の植栽容器15は布製である。植物育成用媒体13に植物14が植えられた後、植物14と植物14の間の植栽容器15の上部を留め具16で留められている。これにより布製の植栽容器15に植物育成用媒体13が入ることによる横への広がりを抑制し植物14を固定することができる。この植栽容器15が植栽容器収納構造6に納められることにより植物14はさらに植栽用ディスプレー1である筐体2にしっかりと固定されることができる。上記の留め具16は特に限定はなく、ホッチクスなどで留めることができる。
【0049】
図6には上記のようにして形成された植栽用ディスプレーの実施形態を示したがこれらに限定されない。図6(A)は通常の額縁状の植栽用ディスプレー1であり、植栽容器収納構造6は筐体2の下部のみである。図6(B)は縦長型の額縁状の植栽用ディスプレー1であり、植栽容器収納構造6は筐体2の下部と中間の二か所にある。図6(C)の植栽容器収納構造6は筐体2の下部と比較的上部にあり、上部は部分的である。図6(D)の植栽容器収納構造6は筐体2の下部の1か所であるが、上部には植生マット9に植物14が切り込みにより植えこんである。
植栽容器収納構造が額状筐体の下部、中間部、上部の少なくともひとつに配置されるので、植栽用ディスプレーに植物を飾る自由度が高い。さらに背面の植生マット9に植物を植えこむことなどを組み合わせると額縁全面に植物をもたらすなど植物を飾るのに非常に自由度の高い植栽用ディスプレーが可能となる。
【0050】
また、本発明植栽用ディスプレーには、下記の機能を有する付属的な設備を付加することができる。
窓の周囲の縁どりには、装飾を施して絵画を鑑賞するための額縁と同様に窓部分の美観を高めることができる。小型送風機を組込んで窓に臨んだ植物に微風を吹きかけ、そよがせて、自然の風を演出し自然感や清涼感を醸すことができる。また、芳香を放つ植物を植込むと、芳香を室内に広く拡散させ、室内雰囲気を向上させることもできる。窓部分を照明する照明手段を設けると、植栽した植物の美しさを引き立たせると共に植物の光合成にも寄与できるようになる。植物マットなどの植生シートを用いる場合は、植生シートに給水するような装置を付加すると植生シートに植えた植物を長く飾ることができる。給水装置は従来この分野で使用できるものが使用できる。給水は植生シートの中を通して、もしくは上下から、もしくは背面から行うことができ、方法は限定されない。
【0051】
本発明の植栽用ディスプレーを用いれば、植物が植えられた植栽容器を、植栽容器収納構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えて新たな植物を簡単に植栽用ディスプレーに設置することができる。
【0052】
以下の実施例において本発明を説明するが、これらに限定されない。
[吸水性樹脂の製造]
(製造例1)
1Lのビーカーに、単量体(C)に該当するアクリル酸230.4g(3.2mol)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名溶存酸素計
DO220PBで測定)とした後、重合開始剤として、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。約30分後、重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で4時間熟成させて重合を終了させた。得られた重合体(重合体(Y)に該当)は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH
KNEADER PNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の水酸化カルシウム分散液61.6g、48%の水酸化ナトリウム水溶液64.0gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。その後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して平均粒径370μmの吸水性樹脂の粉末を得た。この吸水性樹脂100gをとり、水300gを入れて再膨潤しニーダーで1時間攪拌した後、120〜130℃で3時間加熱した後、バンド乾燥機を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して吸水性樹脂の粉末(1)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0053】
(製造例2)
製造例1において、再膨潤する際にグリセロールポリグリシジルエーテル0.1gを入れる他は製造例1と同様にして、吸水性樹脂の粉末(2)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0054】
(製造例3)
製造例1において、乾燥する前の吸水性樹脂の含水ゲル状物100gにエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03gと水50gの混合液を加えてニーダーで約1時間撹拌した後110℃で2時間加熱した。その後、バンド乾燥機を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して吸水性樹脂の粉末(3)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0055】
(製造例4)
製造例1において、最初に乾燥した吸水性樹脂100gをとり、メタノール100gを入れ室温で3時間攪拌して洗った後濾過し乾燥して、粉砕して吸水性樹脂の粉末(4)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0056】
(製造例5)
製造例4において、メタノール洗浄をしない以外は製造例4と同様にして吸水性樹脂の粉末(5)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0057】
(製造例6)
製造例3において、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.3gに替えてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01gを用いる以外は製造例3と同様にして吸水性樹脂の粉末(6)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0058】
(製造例7)
製造例1において、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0gに替えてペンタエリスリトールトリアリルエーテル2.0gを用い、水酸化ナトリウム85.0gを用いる以外は製造例1と同様にして吸水性樹脂の粉末(7)を得た。このものの分析値を表1に示した。
【0059】
【表1】

【0060】
[額状筐体の製造]
図1に示した筐体に準じて、厚さ8mmの木製の板で、幅44cm、高さ32cm、奥行き7cmの筐体の前面を上部5cm、下部7cm、両端5cmに縁とりした縦20cm、横34cmの窓が形成されるように額状筐体を作成した。下部の凹部が植栽容器収納構造となる。
【0061】
(試験例1)
バーミキュライト(市販バーミキュライトを2000μm以下に粉砕)60重量部、「PANGELB 40」(セピオライト、楠本化成社製、嵩密度200g/L)30重量部に吸水性樹脂の粉末(1)〜(7)10部を加えて均一に混合したものを、「DF−17」(ポリビニルアルコール:日本酢ビポバール社製)の1.5重量%および「花工場」(市販活力剤、住化タケダ園芸)1重量%含む水溶液200重量部に加えてよく練りディスクペレッター型成形機にて径10〜20mmの団子状に成型後、温度120〜130℃で加熱乾燥して固形化してペレット(1)〜(7)を得た。
1Lの広口容器に各ペレット80gを入れた後、水500mlを加えてそのまま膨潤させ、吸水性樹脂を中に含むフェルトで作られた高さ7cm、幅27cmの袋状の植栽容器に7割程度いれ、その中に5種類の植物(コンシンネセラミス、ポトスグリーン、サンデリアーナ、ドラセナ、初雪カヅラ)を植えた。図5に記載されたように植栽容器の上部の植物間をホッチクスで留め固定した。
この植栽容器を上記の額状筐体の植栽容器収納構造に入れ、植栽用ディスプレーを作成した。
また、バーミキュライト(市販バーミキュライトを2000μm以下に粉砕)250重量部、「PANGELB 40」(セピオライト、楠本化成社製、嵩密度200g/L)125重量部に水500mlを加えて均一に混合したものを、高さ7cm、幅27cmの袋状の植栽容器に7割程度いれ、上記と同様にして植栽用ディスプレーを作成した。
これらの植栽用ディスプレーを室内に置き、20〜25℃で4週間放置した。その間は散水しなかった。4週間後の状態を観察した。また、葉が枯れることが明確になるまでの期間(日数)を表に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
上記の表から本発明の植栽用ディスプレーは、長期間植物を飾ることができる。また、枯れた植物が入った植栽容器は新しい植物が入った植栽容器と交換して置き換えて常に生きた植物を飾る植栽用ディスプレーとすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 植栽用ディスプレー
2 筐体
3 窓
4 背面を構成する板
5 側面の板
6 植栽容器収納構造
7 吊下げ金具
8 ベースユニット
9 植生シート
9’ 吸水シート
9’’もみがらマット
10 嵌めこみ式フレーム
11 上から差し込みができるフレーム
12 上部の蓋
13 植物育成用媒体
14 植物
15 植栽容器
16 留め具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
額縁状に縁どりした窓を前面に開設した奥行きのある額状筐体のその窓の内側に植栽可能な植栽容器収納構造を備え、該植栽容器収納構造が植物育成用媒体を含む植栽用ディスプレーであって、該植物育成用媒体が吸水性樹脂の粉末またはゲルを含むことを特徴とする植栽用ディスプレー。
【請求項2】
前記吸水性樹脂が、25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の植栽用ディスプレー。
【請求項3】
前記植物育成用媒体が前記植栽容器収納構造に出し入れ可能な植栽容器に入っていることを特徴とする請求項1または2記載の植栽用ディスプレー。
【請求項4】
前記植物育成用媒体が前記吸水性樹脂と植物育成用担体の混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレー。
【請求項5】
前記植物育成用担体が土壌以外のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレー。
【請求項6】
前記植栽容器収納構造が額状筐体前面の下部、中間部、上部の少なくとも一つに配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレー。
【請求項7】
植物が植えられた前記植栽容器を、植栽容器収納構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレーを使用する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−115226(P2012−115226A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270106(P2010−270106)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(507277103)株式会社アイ・イー・ジェー (32)
【Fターム(参考)】