説明

植毛金属板

【課題】雨水や結露水等の浸透によって植毛金属板の植毛層に見苦しい変色などが発生せず、しかも、生産性の向上した植毛金属板を提供する。
【解決手段】植毛金属板4は、植毛層の所定領域の短繊維3および短繊維植付層2の表面に撥水処理が施されて、撥水剤5が付着させられている。撥水処理は、植毛層の所定領域に撥水剤が滲透させられて乾燥させられることにより、行われる。撥水剤は、有機官能基ポリシロキサンとフッ素系樹脂との混合溶液が、混合溶液1対水5〜7の割合で希釈されて得られる。撥水処理が施された所定領域の植毛層により、雨水や結露水等が領域4bの植毛層に浸透するのが妨げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材などに使用される植毛金属板に関する。
【背景技術】
【0002】
植毛金属板は従来から建築材料として使用されており、屋根材としても使用されていた。そもそも植毛金属板とは、少なくとも片面に防錆加工等の表面処理を施した金属板面に、短繊維を植設する接着剤を塗布して短繊維植付層を形成し、その短繊維植付層に極細で且つ極短の短繊維を静電植毛法により濃密度の短繊維群として植設して成るもので、その短繊維群の植設間隔を超極小の隙間とする植毛層として形成して成るものである。
【0003】
この植毛金属板を屋根材として使用して屋根を構成した場合、その植毛金属板に形成された植毛層の超極小の隙間は、植毛金属板の一部が雨水や雪解け水に濡れたときには毛細管現象を発揮して植毛金属板を濡らした水分を吸水する吸水機能を果たす働きをすることになるとされ、また、冬期の温度条件の変化により結露が生じたときには毛細管現象を発揮して生じた結露を保水する保水機能を果たしていたと言われている。
【0004】
これらの機能は、好ましい結果を生む機能としても働き、或いは好ましくない結果を生む機能としても働く。
【0005】
屋根材として使用した植毛金属板に生ずる好ましくない結果を生む機能の働きを阻止するための植毛金属板を作る技術として、特許文献1や特許文献2に記載された発明が開発された。
【0006】
その技術は、要するに植毛金属板の縦辺の一方或いは双方、または横辺の一方或いは双方に沿った所定幅の領域の植毛層に、毛細管現象を生ずる機能を抹殺する手段を講じた植毛金属板とすることである。
【0007】
特許文献2には、その技術の1つとして、植毛金属板の縦辺の一方或いは双方、または横辺の一方或いは双方に沿った所定幅の領域の植毛層に塗料を塗布して、該植毛層の毛細管現象を生ずる機能を抹殺する手段が開示されている。
【0008】
その手段は、特許文献2に開示されているもう一つの技術のように、植毛層の前記所定幅の領域にわたって、熱圧着部としたと同じような機能を奏させる領域を作ろうとするものである。
【0009】
ところで熱圧着手段により植毛層の超極小の隙間を破壊した熱圧着部とする手段は、熱圧着手段を講ずる植毛層の所定領域を構成する短繊維群を加熱器具で加熱軟化させ、そして融化させて押し潰すことになる。この状態は、特許文献2の添付図面の図2、図6、図10に符号3(W3)を付して図解されているとおり、熱圧着部が凹部として段差に形成されることになる。
【0010】
但し、熱圧着部とする前記手段を講ずるのには、加熱器具の加熱温度を調整することにより、その作業時間も調整できる。
【0011】
これに対し、植毛金属板の植毛層に前記塗料を塗布する手段を講じた状態は、特許文献2の添付図面の図2、図6、図10に符号4を付して図解されているように、植毛層の前記領域の植毛層の超極小の隙間を熱圧着によって押し潰したと同様に、塗料で塗りつぶした状態とすることである。
【0012】
上記の加工を施した植毛金属板の塗装部を軒先側に位置させて屋根材として用いた場合、軒先側の植毛層が塗料で塗り固められているため、該加工を施した植毛金属板の軒先側から植毛層側に回り込んだ僅かな雨水等が、毛細管現象によって植毛層に浸透しようとするのを、塗装部によってその浸透が妨げられる。このため、上記の植毛金属板によれば、雨水や結露水等が植毛層に浸透することによって発生する植毛層の見苦しい変色などの不都合を防止することが出来る。
【特許文献1】特開2006−83625号公報
【特許文献2】特開2006−83631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、特許文献2に記載の発明では、塗料を植毛層に塗布する手段について、塗料を植毛層に塗布して植毛層を塗り潰し、これを常温で乾燥する構成としている。この手段によれば、その塗料が完全に乾くまで二日程度の長時間を要する。このため、上記従来の植毛金属板は、塗装部が完全に乾くまでの長い間、塗料塗布現場から移動することが出来ず、完全に乾燥するまで塗料塗布現場に静止した状態に保管しておかなければならないため、その生産性が著しく低くなるという不都合が生じた。
【0014】
また、塗装部の形成には、植毛層の色に合わせて塗料の色を選定する色合わせ作業が必要になる。従って、この観点からも、上記従来の植毛金属板は、その生産性が劣るという不都合が生じた。
【0015】
また、塗装部を形成するための塗料に含まれる有機溶剤により、塗料を塗り込まれた短繊維群を植設する短繊維植付層が軟化してしまう。このため、上記短繊維植付層が軟化している状態の植毛金属板では、塗装部の植毛層が表面処理金属板の表面から剥がれやすくなってしまうという不都合も生じるという新たな問題が発生する。
【0016】
本発明は、植毛金属板のメーカーが植毛金属板の出荷に先立ち、或いは植毛金属板を入手した加工業者が作業現場で作業手順に応じて、必要な数だけの植毛金属板あるいは加工した植毛金属板に対し、簡単な手段でしかも短時間で、植毛金属板の植毛層の所定領域を水の浸透を阻止することができる領域とした植毛金属板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の植毛金属板はこのような課題を解決するためになされたもので、表面処理金属板の少なくとも片面に形成された植付層に短繊維群が植設されて構成される植毛層を備えた植毛金属板において、前記植毛層の所定領域に撥水剤が滲透させられて乾燥させられることにより、前記植毛層の所定領域の前記短繊維群および前記植付層の表面に撥水剤が付着させられていることを特徴とする(請求項1)。この場合、前記所定領域は、前記植毛金属板の少なくとも一辺に沿った所定幅の領域であることが望ましく(請求項2)、あるいは前記植毛金属板の少なくとも一辺に沿って所定間隔をあけて形成された少なくとも一条の領域であることが望ましい(請求項3)。
【0018】
また、上記植毛金属板(請求項1〜3)において、前記撥水剤は、有機官能基ポリシロキサンとフッ素系樹脂とから成る撥水剤、またはフッ素樹脂とフッ素系溶媒とから成る撥水剤であることを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、植毛金属板の所定領域の植毛層に撥水処理を施す作業は、植毛層の所定領域に撥水剤を滲み込ませると言う簡単な作業で行うことができ、この作業後の乾燥は、自然乾燥により短時間で行うことができるだけでなく、撥水処理を施した以外の領域の植毛層に撥水処理を施した領域から雨水、雪解け水や結露水等が植毛金属板の植毛層に浸透するのを阻止することができる。その結果、前記作業を行った領域以外の植毛金属板の植毛層に見苦しい変色などが生ずることを阻止することができる植毛金属板を提供することが可能になる。また、撥水剤を滲透させて乾燥させる撥水処理は、従来の塗料を塗布する処理に比べて、短時間で行えるので、生産性の向上した植毛金属板を提供することが可能になる。
【0020】
また、撥水剤は無色に近いため、従来の塗装部のように、植毛層の色との色合わせ作業をする必要はないため、植毛金属板の生産性が向上する。
【0021】
さらに、撥水剤には塗料のような有機溶剤が含まれていないため、撥水処理が施された所定領域の植毛層は、短繊維群が植え付けられた植付層が軟化することがない。このため、撥水処理が施された所定領域の植毛層が、表面処理金属板の表面から剥がれやすくなってしまうという、従来のように新たな問題が発生することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
本実施形態による植毛金属板は、図1の一部拡大断面図に示すように、表面処理された金属板1の片面に形成された接着剤層である短繊維植付層2に、短繊維3が静電植毛法により濃密な状態で植設された短繊維群から成る植毛層を形成して成るものである。
【0024】
表面処理金属板1には、0.03〜3.0mm程度の板厚の、冷延鋼板、表面処理鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、マグネシウム合金板等の加工性と強度を有するものが用いられる。
【0025】
表面処理鋼板としては、亜鉛メッキ、亜鉛合金メッキ、アルミニウムメッキ、ニッケルメッキ、ニッケル合金メッキ、錫メッキ、銅メッキ、または銅合金メッキ等が表面に被覆された電気メッキ鋼板あるいは無電解メッキ鋼板を用いることが出来る。これらのメッキ鋼板は、短繊維植付層2との密着強度を高めるため、その表面に公知の化成処理をしたり、クロムを含まない有機または無機複合被膜を形成したり、研磨処理を施してもよい。この化成処理としては、例えば、クロメート処理、リン酸塩処理、リチウム−シリケート処理、シランカップリング処理などがある。また、有機複合被膜としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などの有機樹脂を含有したものがある。
【0026】
また、メッキ鋼板表面のメッキ面や化成処理面と短繊維植付層2との間に、公知の有機系接着剤を介在させても良い。公知の有機系接着剤としては、エポキシ系、ポリエステル系、ビニル系、フェノール系、イソシアン酸エステル系のものを用いることが出来、その厚みは接着剤の乾燥後5〜20μmになるようにする。
【0027】
表面処理金属板1の片面に形成される短繊維植付層2を形成する接着剤は、要するに表面処理金属板1にしっかりと固着し、短繊維3をしっかりと植設する機能を有し、曲げ加工をしたとき、ひび割れなどを起こさない短繊維植付層2を形成できるものであれば、その成分は問わない。
【0028】
また、表面処理金属板1に形成する短繊維植付層2の厚みとしては、20〜80μmが望ましく、20〜40μmがより望ましい。この厚みが20μm未満では短繊維群をしっかりと固定した植毛層が得られなくなる。
【0029】
表面処理金属板1に形成された短繊維植付層2への短繊維群の植え付けは、静電植毛室内において静電植毛法によって行われる。静電植毛室内において短繊維3が接着剤層である短繊維植付層2に植設された後、加熱乾燥室を通過させられる。この工程で、短繊維植付層2の含有水分が蒸発し、接着剤層である短繊維植付層2が乾燥する。
【0030】
加熱乾燥室内において上述したように接着剤層である短繊維植付層2の乾燥が行われた後、冷却室を通過して冷却される。この冷却工程を終了すると、接着剤層である短繊維植付層2は表面処理金属板1の表面に強固に密着して剥がれないように固着し、また、短繊維群が短繊維植付層2から容易に引き抜けない状態となって該層2に固着した植毛金属板となる。
【0031】
このようにして製作された植毛金属板は、屋根材として使用するのに際して、図2の平面図に示すように、所望の長さ或いは幅の植毛金属板4として裁断される。そして、裁断された植毛金属板4の縦辺の一方(図2(a)参照)或いは双方(図2(b)参照)に沿った所定の幅にわたって、植毛層の所定領域4a或いは所定領域4a1,4a2に撥水性を発揮させる撥水処理が施される。また、裁断された植毛金属板4の横辺の一方(図3(a)参照)或いは双方(図3(b)参照)に沿った所定の幅にわたって、植毛層の所定領域4c或いは所定領域4c1,4c2に撥水性を発揮させる撥水処理が施されることもある。撥水処理は、撥水剤を植毛層の所定領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2に滲み込まして行う。撥水剤は、本実施形態では、有機官能基ポリシロキサンとフッ素系樹脂との混合溶液が、混合溶液1対水5〜7の割合で希釈したものを使用する。この撥水剤を滲み込ました後、常温下で乾燥させる。
【0032】
このように植毛層の所定領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2に撥水剤が滲透させられて乾燥させられることにより、図4の一部拡大断面図に示すように、植毛層の所定領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2の短繊維3および短繊維植付層2の表面に、撥水剤5が付着させられる。また、この撥水処理が施された所定領域以外の領域4b、つまり撥水処理が施されてない領域4bの植毛層は、毛細管現象を発揮する植毛層となる。この撥水剤の色は無色透明に近い淡黄色をしており、植毛層にこの撥水剤を滲み込まされた後、乾燥を行っても、短繊維群の色調変化はほとんど起こさない。
【0033】
植毛層の所定領域に撥水剤を滲み込ませ、常温下で乾燥することは、撥水剤に含まれている水分を蒸発させることである。この水分が蒸発した後は、図4に示すように、撥水剤5が短繊維植付層2並びにこれに植設された短繊維3の表面に付着する。従って、植毛層に塗料を塗り込んだ塗料層として形成した従来の特許文献2における植毛層を乾燥するのと、乾燥時間が極端に異なることは当然である。また、塗料を塗布した植毛層の面は堅く塗り固められているが、撥水剤を滲み込ませた植毛層の面は短繊維3が持つ柔軟性を有しており、塗料を塗布した植毛層の面とは異なる。
【0034】
上述した工程を経て製作された植毛金属板の試験片の、植毛層の撥水処理面に水滴を垂らして試験片を10°傾けたところ、試験片表面に滴下した水滴は水滴の状態を保って試験片表面から転がり落ちた。また、水滴が通った跡の試験片表面には何の痕跡も残らなかった。また、試験片の端部を容器内に収容した水に浸して垂直に立て、試験片表面に形成された撥水処理済植毛層の水吸い上げ試験を行ったところ、水の吸い上げは全く確認されなかった。また、水から試験片の端部を引き上げたところ、水に浸されていた試験片端部の植毛層は、全く濡れていなかった。これに対し、上記の撥水剤による撥水処理を行っていない試験片について、同様な水吸い上げ試験を行ったところ、水面から60mmまでの高さまでの水の吸い上げが確認された。つまり、上記の撥水剤を使った撥水処理を行った植毛層が十分な撥水性能を示すことが確認された。
【0035】
また、上記の撥水剤による撥水処理を行って試験片が乾燥する時間を測定したところ、乾燥時間は数時間であり、速乾性を示した。また、この乾燥中に試験片表面の植毛層を指の爪で掻いたところ、植毛層が表面処理金属板1の表面から剥離することはなかった。また、乾燥後に同様に試験片表面の植毛層を指の爪で掻いたところ、同様に植毛層が表面処理金属板1の表面から剥離することはなかった。つまり、上記の撥水剤を使った撥水処理を行っても、撥水処理が行われた短繊維群が植え付けられた短繊維植付層2の変化は確認されなかった。
【0036】
撥水剤は、上記の有機官能基ポリシロキサンとフッ素系樹脂とから成るものに限定されることはなく、例えば、フッ素樹脂とフッ素系溶媒とから成る撥水剤を用いることも出来る。この撥水剤は、フッ素樹脂が2〜8%、フッ素系溶媒が92〜98%の組成とされ、水で希釈することなく用いられる。また、この撥水剤は無色透明をしており、植毛層にこの撥水剤を滲み込ましても、短繊維群の色調変化はほとんど起こさない。
【0037】
上記の本実施形態による植毛金属板4によれば、撥水処理が施された端部領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2の植毛層から、雨水や結露水等が毛細管現象によって撥水処理を施していない領域4bの植毛層にまで浸透するのが妨げられる。
【0038】
また、撥水処理のために植毛層に施された撥水剤は、乾燥に二日程度を要する従来の塗装部に比べて極めて短時間で乾燥する。従って、本実施形態による植毛金属板4は、撥水処理後、短時間で植毛金属板4を移動することが出来る。従来技術として特許文献2に記載されているような、塗料を塗布して植毛層の毛細管現象が生ずるのを阻止する手段のように、塗料塗布後、塗料の乾燥のために長時間保管しておく必要はない。従って、撥水処理時間を大幅に短縮し、生産性の向上した、しかも、雨水や結露水等の浸透によって領域4bの植毛層に見苦しい変色などが発生しない植毛金属板4を提供することが可能になる。
【0039】
また、撥水剤は無色に近いため、従来の塗装部のように、植毛層の色との色合わせ作業をする必要はない。このため、この点からも上記したと同じように植毛金属板4の生産性が向上する。
【0040】
また、撥水剤には塗料のような有機溶剤が含まれていないため、撥水処理が施された端部領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2の植毛層は、短繊維群が植え付けられた短繊維植付層2が軟化することがない。このため、撥水処理が施された端部領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2の植毛層3が、鋼板1の表面から剥がれやすくなってしまうという、新たな問題が従来のように発生することもない。
【0041】
また、植毛金属板4を屋根材に用いた場合、屋根材の軒先に形成された撥水処理が施された端部領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2の植毛層より、屋根材の軒先から、雨水や結露水等が毛細管現象によって領域4bの植毛層3に浸透しようとするのが妨げられる。
【0042】
なお、本実施形態では、植毛金属板4の少なくとも一辺に沿った所定幅の端部領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2を、撥水処理が施される植毛層の所定領域とした場合について説明した。しかし、撥水処理が施される植毛層の所定領域は、この端部領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2に限定される必要はない。例えば、植毛金属板4の端部から所定距離離れた位置に、植毛金属板4の少なくとも一辺に沿った所定幅の領域を領域4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2のように設けてもよい。
【0043】
また、撥水処理が施される植毛層の所定領域は、図3(c)に示すように、植毛金属板4の少なくとも一辺に沿って所定間隔をあけて形成された3条の領域4d1,4d2,4d3であってもよい。また、図示しないが、植毛金属板4の少なくとも一辺に沿って形成された一条の領域であってもよい。また、上述した各領域を組み合わせて所定領域とするようにしてもよい。また、所定領域は、撥水処理が施されていない領域4bを少なくとも一方側と他方側とに分断するように、所定幅を有して植毛金属板4の一方向に連続して形成されていればよい。また、その形状は直線帯状でなくてもよく、湾曲したり、屈曲したりしたものであってもよい。また、所定幅を有すればよく、一定の幅である必要もない。
【0044】
また、植毛金属板4を加工する前だけでなく、屋根材などに加工した後、加工した植毛金属板4の植毛層の所定領域に撥水処理を施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明による植毛金属板4は、屋根材に使用するのに限らず、屋根材以外の建築材料などにも、同様に使用することができる。そして、この場合にも、上記の本実施形態と同様な作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態による植毛金属板の一部拡大断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による植毛金属板の平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による植毛金属板の他の平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態による植毛金属板の撥水剤が付着した状態を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…表面処理金属板
2…短繊維植付層
3…短繊維
4…植毛鋼板
4a,4a1,4a2,4c,4c1,4c2,4d1,4d2,4d3…所定領域
4b…領域(所定領域以外の領域)
5…撥水剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理金属板の少なくとも片面に形成された植付層に短繊維群が植設されて構成される植毛層を備えた植毛金属板において、
前記植毛層の所定領域に撥水剤が滲透させられて乾燥させられることにより、前記植毛層の所定領域の前記短繊維群および前記植付層の表面に撥水剤が付着させられていることを特徴とする植毛金属板。
【請求項2】
前記所定領域は、前記植毛金属板の少なくとも一辺に沿った所定幅の領域であることを特徴とする請求項1に記載の植毛金属板。
【請求項3】
前記所定領域は、前記植毛金属板の少なくとも一辺に沿って所定間隔をあけて形成された少なくとも一条の領域であることを特徴とする請求項1に記載の植毛金属板。
【請求項4】
前記撥水剤は、有機官能基ポリシロキサンとフッ素系樹脂とから成る撥水剤、またはフッ素樹脂とフッ素系溶媒とから成る撥水剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植毛金属板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−120289(P2007−120289A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−309058(P2006−309058)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(591013986)株式会社メサック (4)
【Fターム(参考)】