説明

植生判定方法及び画像処理装置

【課題】植生調査対象地域を撮像した画像から植生調査対象地域の有害植生の繁殖状況を把握できるようにする。
【解決手段】植生調査対象地域を撮影した植生調査対象地域画像中の識別対象植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成するRGB成分画像作成手段17と、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出する特徴量抽出手段19とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植生調査対象地域を撮像した画像から植生調査対象地域の有害植生の繁殖状況を把握可能とした植生判定方法、及び、この方法に使用する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星あるいは航空機を用いて上空から撮影したカラー画像を白黒画像に変換して樹木の樹冠形状を求めるとともに、前記カラー画像のスペクトル分析を行うことで樹木の分布を評価する方法が知られている(特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2001−357380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
河川防災において重要な堤防周辺の植生において、イタドリ、カラムシなどのように、葉が大きく、しかも背丈が2m程度にも達する有害な植物(以下、有害植生という)が、背丈の小さい在来種や堤防の機能を維持するために植えられた芝のような有害でない植物の生育を妨げ、これら植物を生えなくさせるといった害を及ぼす例がある。有害植生の繁殖した堤防では、法面表面に日が当たらないことによって、堤防法面の裸地化が進行し、堤防法面は、雨水流下等の際に、徐々に浸食を受ける。法面の浸食が進んだ堤防においては、河川増水時に更なる浸食を受けやすく、堤防崩壊を招く危険性が高まる。さらに、このような害をもたらす有害植生は、根の発達が非常に著しく、堤防内に大きな穴を作るほか、堤防を守る目的で設けられている護岸のわずかな隙間からでも根を伸ばし、徐々に堤防の機能を低下させていると言われている。このような理由により、河川周辺の植生状況、特に有害植生の繁殖状況を把握しておくことは、生態系の維持、環境保全と言った観点のみならず、自然災害に対する環境整備・防災対策という観点から、堤防の健全度を知る上で、年々重要な課題となってきている。
しかしながら、上述した従来技術のスペクトル分析では、植生調査対象地域に異なる種類の植生が混在している場合、植生の種類を区別できない。特に上述したような堤防法面に生える植生群は複雑なパターンであるので、色や形状だけで特徴を把握しづらいからである。つまり、従来技術では、植生調査対象地域の有害植生の繁殖状況を把握できないという課題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、植生調査対象地域を撮像した画像から植生調査対象地域の有害植生の繁殖状況を把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の植生判定方法は、有害植生を撮影した有害植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成し、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出するとともに、植生調査対象地域を撮影した植生調査対象地域画像中の識別対象植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成し、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出し、有害植生画像の特徴量と識別対象植生画像の特徴量とを比較することによって、識別対象植生画像の植生が有害植生画像の有害植生であるか否かを判定することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、植生調査対象地域を撮影した植生調査対象地域画像中の識別対象植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成するRGB成分画像作成手段と、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出する特徴量抽出手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、有害植生を撮影した有害植生画像及び植生調査対象地域の植生を撮影した識別対象植生画像からこれら画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成するRGB成分画像作成手段と、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出する特徴量抽出手段と、有害植生画像の特徴量及び植生識別対象画像の特徴量を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
画像処理装置が、有害植生画像や識別対象植生画像の画像分解能を調整するための画像分解能調整手段を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、同一種類の有害植生を異なる時刻に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、同一種類の有害植生を異なる季節毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、同一種類の有害植生を異なる天候時毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、同一の植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量の変化と、異なる季節毎に撮影された有害植生画像の特徴量の変化とを比較する特徴量変化比較手段を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、特徴量を抽出する前に有害植生画像や植生識別対象画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像のノイズを除去するノイズ除去手段、特徴量を抽出する前に有害植生画像や植生識別対象画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像のコントラストのばらつきを抑えるコントラスト正規化手段、特徴量を抽出する前に有害植生画像や植生識別対象画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像のコントラストや明るさのばらつきを抑えるコントラスト及び明るさ調整手段のうちの1つ以上を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、特徴量算出手段で算出された特徴量に基づいてヒストグラムを作成する特徴量ヒストグラム作成手段を備えたことも特徴とする。
画像処理装置が、2つ以上の異種類の有害植生画像から抽出された同一種類の特徴量のヒストグラムの交点が示す特徴量の値をしきい値として設定するしきい値設定手段と、識別対象植生画像の特徴量の値と上記しきい値とを比較して、識別対象植生画像の植生が上記2つ以上の異種類の有害植生であるか否かを判定する判定手段とを備えたことも特徴とする。
特徴量抽出手段が、近傍画像推定法によって特徴量を抽出したことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の植生判定方法によれば、有害植生画像の特徴量と識別対象植生画像の特徴量とを比較することによって、植生調査対象地域にどのような種類の有害植生が繁殖しているかを正確に把握できるようになる。
本発明の画像処理装置によれば、識別対象植生画像から特徴量を抽出する特徴量抽出手段を備えたので、植生調査対象地域にどのような種類の有害植生が繁殖しているかを判定できる。
本発明の画像処理装置によれば、有害植生画像及び識別対象植生画像から特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、有害植生画像の特徴量及び植生識別対象画像の特徴量を出力する出力手段とを備えたので、植生調査対象地域にどのような種類の有害植生が繁殖しているかをより正確に判定できる。
画像処理装置が画像分解能調整手段を備えたので、有害植生画像や識別対象植生画像の画像分解能を所望の値に設定でき、また、識別対象植生画像の画像分解能を有害植生画像の画像分解能と一致させることができるので、特徴量の精度を向上でき、正確な植生判定を行える。
画像処理装置が、同一種類の有害植生を異なる時刻に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことにより、識別対象植生画像を撮影した時刻の影響を受けることなく、正確な植生判定を行える。
画像処理装置が、同一種類の有害植生を異なる季節毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことにより、識別対象植生画像を撮影した季節の影響を受けることなく、正確な植生判定を行える。
画像処理装置が、同一種類の有害植生を異なる天候時毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことにより、識別対象植生画像を撮影した天候時の影響を受けることなく、正確な植生判定を行える。
画像処理装置が、特徴量変化比較手段を備えたことにより、同一の植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量の変化と、異なる季節毎に撮影された有害植生画像の特徴量の変化とから、より正確な植生判定を行える。
画像処理装置が、ノイズ除去手段、コントラスト正規化手段、コントラスト及び明るさ調整手段のうちの1つ以上を備えたので、識別対象植生画像や有害植生画像から正確な特徴量を抽出することが可能となり、植生判定を行える。
画像処理装置が、特徴量ヒストグラム作成手段を備えたので、識別対象植生画像や有害植生画像の特徴量を視覚的に表示させることができ、植生判定を容易とできる。
画像処理装置が、しきい値設定手段と判定手段とを備えたので、識別対象植生画像内に複数の有害植生が混在している場合であってもその複数の有害植生を正確に判定できるようになる。
特徴量抽出手段が、近傍画像推定法によって特徴量を抽出したので、近傍画像の影響によって、連続的かつ安定な特徴量を得ることができるので、有害植生の特徴を的確に得ることができ、正確な植生判定を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
図1は植生識別システムの構成を示し、図2は近傍画像推定法の概念を示し、図3及び図4は近傍画像推定法の説明図、図5乃至図9は有害植生画像から抽出した各特徴量のヒストグラムを示す。
【0007】
最良の形態1による植生判定方法は、まず、上空から有害植生を撮影し、この有害植生画像の特徴量をテクスチャ解析により抽出して記憶する。そして、上空から植生調査対象地域としての堤防法面を撮影し、この堤防法面を撮影した画像中の識別対象植生画像の特徴量をテクスチャ解析により抽出し、この識別対象植生画像の特徴量と有害植生画像の特徴量とを比較することによって、堤防法面に有害植生が存在するか否かを識別し、堤防法面における有害植生の繁殖状況を把握する。
【0008】
図1に示すように、上記植生判定方法を実現するための植生識別システムは、画像取得手段1、画像処理装置2を備える。
【0009】
画像取得手段1は、リモートコントローラ3と、リモートコントローラ3により操縦される飛行体4と、飛行体4に搭載された撮像手段5、画像記憶手段6、位置情報取得手段7とを備える。飛行体4は例えば模型飛行機や模型ヘリコプタのような模型飛行体である。撮像手段5は例えばCCDカメラやデジタルカメラ等のカメラである。位置情報取得手段7は撮影位置を取得するための例えばGPSである。
【0010】
画像処理装置2は、入力部8、出力部9、画像処理部10、有害植生画像特徴量記憶手段11、識別対象植生画像特徴量記憶手段12、地理情報記憶手段13を備える。画像処理部10は、処理プログラムと処理プログラムの命令を実行するCPUのような処理装置とを備えたコンピュータにより実現される。
【0011】
図1を参照し、画像処理部10の詳細を説明する。画像処理部10は、画像分解能調整手段14、有害植生画像作成手段15、識別対象植生画像作成手段16、RGB成分画像作成手段17、前処理手段18、特徴量算出手段19、特徴量ヒストグラム作成手段20、比較判定手段21を備える。
【0012】
画像分解能調整手段14は、撮影された画像の画像分解能を調整して、撮影高度に対する画像解析度のばらつきをなくす手段である。この画像分解能調整手段14が、堤防法面を撮影した画像の画像分解能を、有害植生を含む領域を撮影した画像の画像分解能と一致させることによって、飛行体4で空中撮影を行う際の飛行体4の操縦熟練度に対する要求条件、および撮影環境に対する要求条件を小さくできる。
【0013】
撮影高度や撮影に使用する撮像手段5の解像度によって、画像の分解能が異なる場合がある。この画像分解能は次式により求められる。
画像分解能=地上での撮影領域の縦幅又横幅(cm)/デジタル画像の縦又は横方向の画素数(画素)
よって、画像分解能を知るためには地上での撮影領域の縦幅又は横幅を知る必要があるので、例えば、有害植生を含む領域や植生調査対象地域としての堤防法面を撮影する際に、堤防法面の上部と下部とに目印を一定間隔(例えば10m間隔)で設置し、これら目印を基準にして撮影を行う。即ち、操縦者が撮像手段5から送られてきて図外のモニター画面に映し出される撮影領域の縦幅又は横幅を目印によって確認して撮影を行う。従って、撮影の際に撮影領域の縦幅又は横幅を確認することで、撮影画像の画像分解能を所望の画像分解能に近づけることが可能である。最良の形態1では、撮像手段5として、1000万画素のカメラを用い、高度センサ付きの模型飛行体4をリモートコントローラ3で操作し、目印を確認しながら堤防法面の下端から垂直方向上方に10mの位置から堤防法面を撮影した。
【0014】
有害植生画像作成手段15は、上空より有害植生を含む領域を撮影した有害植生含有画像から有害植生画像を作成する手段である。有害植生画像作成手段15は、例えば、有害植生含有画像から有害植生画像部分を切り取って、パッチワークのように、n×nマトリックス画素(例えば512×512画素)からなる空画像に貼り付けることによって、有害植生画像を作成する。空画像は、例えば、Adobe社のPhotoshopの新規作成機能で作成できる。有害植生画像としては、例えば、イタドリ、カラムシ、オオイタドリ、クズ、アレチウリ、ヒメカシヨモギ、アメリカセンダングサ、セイタカアワダチソウなどの有害植生画像を作成する。
【0015】
識別対象植生画像作成手段16は、上空より植生調査対象地域である堤防法面を撮影した堤防法面画像から識別対象植生画像を作成する手段である。識別対象植生画像作成手段16は、例えば、堤防法面画像から植生画像部分を切り取って、識別対象植生画像を作成する。
【0016】
RGB成分画像生成手段17は、有害植生画像や識別対象植生画像から、R成分のみを抽出したR成分画像、G成分のみを抽出したG成分画像、B成分のみを抽出したB成分画像を生成する。
【0017】
前処理手段18は、ノイズ除去手段、コントラスト正規化手段、コントラスト調整手段、明るさ調整手段を備える。
ノイズ除去手段は、R成分画像、G成分画像、B成分画像中の各画素の各々の輝度値を、輝度値を求めたいある画素とその周囲にあるn×nマトリックス画素の輝度値の平均値で置き換えることにより、R成分画像、G成分画像、B成分画像中のノイズを除去する移動平均フィルタ、あるいは、R成分画像、G成分画像、B成分画像中の各画素の各々の輝度値を、輝度値を求めたいある画素とその周囲にあるn×nマトリックス画素の輝度値の中央値で置き換えることにより、R成分画像、G成分画像、B成分画像中のノイズを除去する中央値フィルタを備える。
コントラスト正規化手段は、R成分画像、G成分画像、B成分画像中の各画素の輝度値を0−255階調に正規化して、画像のコントラストのばらつきを抑える。
コントラスト調整手段は、R成分画像、G成分画像、B成分画像中の各画素の輝度値分布を0−255階調に変換して、画像のコントラストのばらつきを抑える。
明るさ調整手段は、R成分画像、G成分画像、B成分画像中の各画素の輝度値分布を0−255階調に変換して、画像の明るさのばらつきを抑える。
このような前処理手段18を備えることで、識別対象植生画像や有害植生画像から正確な特徴量を抽出することが可能となり、植生判定を行えるようになる。
尚、前処理手段18は、これらノイズ除去手段、コントラスト正規化手段、コントラスト及び明るさ調整手段のうちの1つ以上を備えればよい。
【0018】
特徴量抽出手段19は、テクスチャ解析によって、R成分画像、G成分画像、B成分画像のそれぞれの特徴量を抽出する。特徴量は、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーである。即ち、特徴量抽出手段19は、輝度値の平均値抽出手段、コントラストの平均値抽出手段、滑らかさ抽出手段、一様性抽出手段、エントロピー抽出手段を備える。
【0019】
特徴量ヒストグラム作成手段20は、特徴量算出手段19で算出された特徴量に基づいてヒストグラムを作成する。即ち、特徴量ヒストグラム作成手段20は、輝度値の平均値ヒストグラム作成手段、コントラストの平均値ヒストグラム作成手段、滑らかさヒストグラム作成手段、一様性ヒストグラム作成手段、エントロピーヒストグラム作成手段を備える。
【0020】
比較判定手段21は、識別対象植生画像の特徴量と有害植生画像の特徴量とを比較し、識別対象植生画像の植生が、比較した有害植生画像の有害植生であるか否かを判定する。
【0021】
次に実施の形態1による植生判定方法を説明する。
まず、有害植生画像作成手段15が上述したように有害植生画像を作成する。尚、画像分解能調整手段14によって指定された画像分解能(例えば、0.80〜1.30程度)に変換された画像から有害植生画像を作成すれば、識別対象植生画像の画像分解能と有害植生画像の画像分解能とを完全に一致させることができるので、識別対象植生画像の特徴量と有害植生画像の特徴量の精度を同じにでき、正確な植生判定を行える。
次に、RGB成分画像作成手段17が、有害植生画像から、画像を構成する各画素(ピクセル)の輝度値情報及び色情報を取得して、R成分画像、G成分画像、B成分画像を作成する。すなわち、カラー画像が、レンズを通して、それぞれ赤色、緑色、青色に反応するセンサで検出されて、光のエネルギーに比例する輝度値画像に変換され、画像を構成する各画素の輝度値情報及び色情報がRGB成分に分散されることによって、R成分画像、G成分画像、B成分画像が作成される。
そして、画像前処理手段18が、R成分画像、G成分画像、B成分画像に上述した前処理を実行する。
次に、特徴量算出手段19が、前処理後のR成分画像、G成分画像、B成分画像毎の特徴量を抽出する。
以下、特徴量算出手段19による特徴量算出方法を説明する。
【0022】
M×Nマトリックス画素からなるフルカラー画像の場合、通常、画素の輝度値が24ビットで記録されている。つまり、R成分画像、G成分画像、B成分画像の輝度値は、それぞれ8ビットの256階調の整数値0,1,2,3,4・・・255で表示される。ここで、ある画素の輝度値をiとすると、この画素の輝度値は0,1,2,3,4・・・255のいずれかである。この場合、式(1)のように、ある与えられた画像領域内に存在する輝度値xiを持つ画素の数(即ち、画像の輝度値のヒストグラム値)h(xi)をある与えられた画像内に存在する全画素数nで割ると、画像の輝度値の正規化ヒストグラム値p(xi)を求めることができる。

ただし、
p(xi):画像の輝度値の正規化ヒストグラム値
h(xi):画像の輝度値のヒストグラム値
i:輝度値の番号(0,1,2,3,4・・・・・・255)
xi:輝度値xがi番目の値と一致した時の輝度値の値
n:画像の総画素数
【0023】
輝度値の平均値算出手段は、式(2)に基づいて、R成分画像、G成分画像、B成分画像毎に、特徴量としての輝度値の平均値を算出する。

ただし、
W:近傍画像領域
m(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素を基準とした近傍画像中の各画素の輝度値の平均値
xi:輝度値xがi番目の値と一致した時の輝度値の値
p(xi):画像の輝度値の正規化ヒストグラム値
L:輝度値の階調数(256階調)
【0024】
エントロピー算出手段は、式(3)に基づいて、R成分画像、G成分画像、B成分画像のそれぞれの特徴量としてのエントロピーを算出する。

ただし、
W:近傍画像領域
E(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素のエントロピー
xi:輝度値xがi番目の値と一致した時の輝度値の値
p(xi):画像の輝度値の正規化ヒストグラム値
L:輝度値の階調数(256階調)
【0025】
コントラストの平均値算出手段は、式(4)に基づいて、R成分画像、G成分画像、B成分画像毎に、テクスチャ特徴量としてのコントラストの平均値を算出する。

ただし、
W:近傍画像領域
ρ(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素を基準とした近傍画像中の各画素のコントラストの平均値
m(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素を基準とした近傍画像中の各画素の輝度値の平均値
xi:輝度値xがi番目の値と一致した時の輝度値の値
p(xi):画像の輝度値の正規化ヒストグラム値
L:輝度値の階調数(256階調)
【0026】
滑らかさ算出手段は、式(5)に基づいて、R成分画像、G成分画像、B成分画像のそれぞれの特徴量としての滑らかさを算出する。

ただし、
W:近傍画像領域
R(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素の滑らかさ
ρ(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素を基準とした近傍画像中の各画素のコントラストの平均値
【0027】
一様性算出手段は、式(6)に基づいて、R成分画像、G成分画像、B成分画像のそれぞれの特徴量としての一様性を算出する。

ただし、
W:近傍画像領域
U(u,v,W):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素の一様性
xi:輝度値xがi番目の値と一致した時の輝度値の値
p(xi):画像の輝度値の正規化ヒストグラム値
L:輝度値の階調数(256階調)
【0028】
特徴量の一つである輝度値の平均値を例にして、画像の輝度値空間からテクスチャ解析法の特徴量空間へ変換するプロセスを説明する。
輝度値の平均値は、例えば近傍画像推定法と呼ばれる方法で計算する。この近傍画像推定法の概念は図2に示す。近傍画像推定法に基づいて計算する場合の計算式を、式(7)に示す。近傍画像領域のサイズを3×3行列とする。

ただし、
u:画像の横方向の画素の番号(左から右に向かって番号が増加する)0,1,2,・・・・N−1、u<0又はu>N−1の場合はその輝度値を0とする。
v:画像の縦方向の画素の番号(上から下に向かって番号が増加する)0,1,2,・・・・M−1、v<0又はv>M−1の場合はその輝度値を0とする。
N:画像の横幅
M:画像の縦幅
W:近傍画像のサイズ
i:近傍画像の横方向のインデックス(図2参照)
j:近傍画像の縦方向のインデックス(図2参照)
m(u,v):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の注目画素を基準とした近傍画像中の各画素の輝度値の平均値
x(u,v):近傍画像領域内における横方向u番目、縦方向v番目の画素の輝度値
【0029】
例えば、図3(a)に示す5×5行列の画素31(矩形で示す)からなる画像を処理する場合、この画像の各画素31が図3(a)に示す輝度値(矩形内の数字)を持っていて、近傍画像のサイズWを3×3行列の画素数=9とした場合において、近傍画像推定法による計算方法を説明する。
図4(a)に示すように、m(0,0)の位置の画素31を注目画素31aとした場合の当該注目画素31aを基準とした近傍画像中の各画素31の輝度値の平均値は、m(0,0)=(0+0+0+0+0+1+0+5+6)/9=1.33となる。
同様に、図4(b)に示すように、m(0,1)の位置の画素31を注目画素31aとした場合の当該注目画素31aを基準とした近傍画像中の各画素31の輝度値の平均値は、m(0,1)=(0+0+1+0+5+6+0+10+11)/9=3.67となる。
同様に、図4(c)に示すように、m(5,5)の位置の画素31を注目画素31aとした場合の当該注目画素31aを基準とした近傍画像中の各画素31の輝度値の平均値は、m(5,5)=(18+19+0+23+24+0+0+0+0)/9=9.33となる。
以上のように、5×5行列画素の1つ1つの画素31を注目画素31aとした場合の当該注目画素31aを基準とした近傍画像中の各画素31の輝度値の平均値を求める。
図3(a)に示す5×5行列画素の1つ1つの画素31を注目画素31aとした場合の当該注目画素31aを基準とした近傍画像中の各画素31の輝度値を上述した近傍画像推定法で計算した結果を図3(b)に示す。
【0030】
最良の形態1では、有害植生画像のサイズを512×512行列画素としたので、輝度値の平均値の行列も512×512の行列となる。近傍画像推定法による近傍画像のサイズWは、画像の大きさに応じて、例えば、16×16行列画素、32×32行列画素、64×64行列画素のいずれかを採用すればよい。最良の形態1では、近傍画像推定法による近傍画像のサイズWを、64×64行列画素として計算した。
このように求めた輝度値の平均値が、有害植生画像特徴量記憶手段11に記憶され、この輝度値の平均値に基づいて、輝度値の平均値ヒストグラム作成手段が、輝度値の平均値のヒストグラムを作成する。
【0031】
カラムシの有害植生画像から抽出した輝度値の平均値のヒストグラム、及び、イタドリの有害植生画像から抽出した輝度値の平均値のヒストグラムを、図5に示す。
【0032】
エントロピー算出手段、滑らかさ算出手段、コントラストの平均値算出手段、一様性算出手段は、画像の輝度値の正規化ヒストグラム値p(xi)や輝度値の平均値の算出式(2)を用いた式(3)〜式(6)に基づいて各特徴量を求める。このように求められた特徴量が有害植生画像特徴量記憶手段11に記憶され、これら特徴量に基づいて、コントラストの平均値ヒストグラム作成手段、滑らかさヒストグラム作成手段、一様性ヒストグラム作成手段、エントロピーヒストグラム作成手段が、各特徴量に関するヒストグラムを作成する。
【0033】
カラムシの有害植生画像から抽出したエントロピーのヒストグラム、及び、イタドリの有害植生画像から抽出したエントロピーのヒストグラムを、図6に示す。
カラムシの有害植生画像から抽出した滑らかさのヒストグラム、及び、イタドリの有害植生画像から抽出した滑らかさのヒストグラムを、図7に示す。
カラムシの有害植生画像から抽出したコントラストの平均のヒストグラム、及び、イタドリの有害植生画像から抽出したコントラストの平均のヒストグラムを、図8に示す。
カラムシの有害植生画像から抽出した一様性のヒストグラム、及び、イタドリの有害植生画像から抽出した一様性のヒストグラムを、図9に示す。
尚、図5乃至図9において、横軸は正規化した特徴量、縦軸は特徴量の頻度、RはR成分画像から抽出した特徴量のヒストグラム、GはG成分画像から抽出した特徴量のヒストグラム、BはB成分画像から抽出した特徴量のヒストグラムを示す。輝度値の平均値、コントラストの平均値、一様性の特徴量の最小値は「0」、最大値は「1」、エントロピーの特徴量の最小値は「0」、最大値は「10」である。滑らかさの特徴量の最小値は「0」、最大値は「1.0e−6」である。
【0034】
そして、堤防法面を撮影した堤防法面画像を画像処理装置2に入力すると、画像分解能調整手段14が堤防法面画像の画像分解能を指定された有害植生画像の画像分解能(例えば、0.80〜1.30程度)と同じ画像分解能に変換し、識別対象植生画像作成手段16が画像分解能の変換された堤防法面画像から識別対象植生画像を作成する。画像分解能調整手段14が、識別対象植生画像の画像分解能と有害植生画像の画像分解能とを完全に一致させるので、識別対象植生画像の特徴量と有害植生画像の特徴量の精度を同じにでき、正確な植生判定を行える。
RGB成分画像作成手段17が、識別対象植生画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成し、前処理手段18が、R成分画像、G成分画像、B成分画像に対して上述した前処理を実行し、特徴量抽出手段19が、上述と同様にしてR成分画像、G成分画像、B成分画像毎の各特徴量を抽出し、特徴量ヒストグラム作成手段が各特徴量のヒストグラムを作成する。
【0035】
そして、比較判定手段21が、識別対象植生画像の特徴量と有害植生画像の特徴量とを比較することによって、識別対象植生画像の植生がカラムシやイタドリのような有害植生であるか否かを判定して、判定結果を出力する。
この場合、識別対象植生画像から抽出した輝度値の平均値と有害植生画像から抽出した輝度値の平均値との比較、識別対象植生画像から抽出したコントラストの平均値と有害植生画像から抽出したコントラストの平均値との比較、識別対象植生画像から抽出した滑らかさと有害植生画像から抽出した滑らかさとの比較、識別対象植生画像から抽出した一様性と有害植生画像から抽出した一様性との比較、識別対象植生画像から抽出したエントロピーと有害植生画像から抽出したエントロピーとの比較、のすべてを行えば、より正確な植生判定を行える。ただし、少なくとも1種類の特徴量を比較することによって植生判定を行ってもよい。例えば、輝度値の平均値は植生の特徴が出やすいので、輝度値の平均値同士の比較だけで植生判定を行ってもよい。
【0036】
最良の形態1によれば、堤防法面にどのような種類の有害植生が繁殖しているかを正確に把握でき、堤防法面の裸地化を判別できるようになる。
最良の形態1によれば、特徴量ヒストグラム作成手段20を備えたので、識別対象植生画像や有害植生画像の特徴量を視覚的に表示させることができ、植生判定を容易とできる。
最良の形態1によれば、特徴量抽出手段19が、近傍画像推定法によって上述した種々の特徴量を抽出したので、近傍画像の影響によって連続的かつ安定な特徴量を得ることができ、有害植生の特徴を的確に得ることができるので、正確な植生判定を行える。
【0037】
最良の形態2
画像処理装置2が、2つ以上の異種類の有害植生画像から抽出された同一種類の特徴量のヒストグラムの交点が示す特徴量の値をしきい値として設定するしきい値設定手段と、識別対象植生画像の特徴量の値と上記しきい値とを比較して、識別対象植生画像の植生が上記2つ以上の異種類の有害植生であるか否かを判定する判定手段とを備えた構成とすれば、識別対象植生画像における複数種の有害植生を識別できる。
例えば、しきい値設定手段が、図10に示すように、イタドリの有害植生画像から抽出した輝度値の平均値のヒストグラムとカラムシの有害植生画像から抽出した輝度値の平均値のヒストグラムとをマッピングして、イタドリのB成分画像のヒストグラムとカラムシのB成分画像のヒストグラムとの交点Xが示す輝度値の平均値の値0.23をしきい値として設定し、イタドリのR分画像のヒストグラムとカラムシのR成分画像のヒストグラムとの交点Yが示す輝度値の平均値の値0.34をしきい値として設定し、イタドリのG成分画像のヒストグラムとカラムシのG成分画像のヒストグラムとの交点Xが示す輝度値の平均値の値0.50をしきい値として設定する。そして、判定手段が、識別対象植生画像から抽出した輝度値の平均値の値としきい値とを比較し、これらの値の差が予め決められた範囲内であれば識別対象植生画像の有害植生がイタドリとカラムシとであると判定する。
最良の形態2によれば、識別対象植生画像内に複数の有害植生が混在している場合であってもその複数の有害植生を正確に判定できる。
【0038】
最良の形態3
画像処理装置2が、同一種類の有害植生を異なる時刻に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えた構成とすれば、識別対象植生画像を撮影した時刻の影響を受けることなく、正確な植生判定を行える。つまり、撮影した時刻によって識別対象植生画像から抽出される特徴量も変わるため、異なる時刻に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶しておくことで、同じ時刻に撮影された識別対象植生画像及び有害植生画像の特徴量を比較できるので、正確な植生判定を行える。
【0039】
最良の形態4
画像処理装置2が、同一種類の有害植生を異なる季節毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えた構成とすれば、識別対象植生画像を撮影した季節の影響を受けることなく、正確な植生判定を行える。つまり、撮影した季節によって識別対象植生画像から抽出される特徴量も変わるため、季節毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶しておくことで、同じ季節に撮影された識別対象植生画像及び有害植生画像の特徴量を比較できるので、正確な植生判定を行える。
【0040】
最良の形態5
画像処理装置2が、同一種類の有害植生を異なる天候時毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えた構成とすれば、識別対象植生画像を撮影した天候時の影響を受けることなく、正確な植生判定を行える。つまり、撮影した天候時によって識別対象植生画像から抽出される特徴量も変わるため、晴れ、曇り、雨などの異なる天候時に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶しておくことで、同じ天候時に撮影された識別対象植生画像及び有害植生画像の特徴量を比較できるので、正確な植生判定を行える。
【0041】
最良の形態6
画像処理装置2が、同一の植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量の変化と、異なる季節毎に撮影された有害植生画像の特徴量の変化とを比較する特徴量変化比較手段を備えた構成とすれば、同一の植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量の変化と、異なる季節毎に撮影された有害植生画像の特徴量の変化とから、より正確な植生判定を行える。例えば、まず、異なる季節毎に有害植生としてのイタドリを撮影し、この異なる季節毎に撮影した有害植生画像の特徴量を記憶しておく。そして、同一の堤防法面のような植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量を記憶する。そして、季節毎に撮影した有害植生画像の特徴量の変化と、同一の堤防法面のような植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量の変化とを比較し、変化が似ていれば複数の識別対象植生画像の植生がイタドリであると推定できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
有害植生を含む領域や植生調査対象地域である撮影対象を撮影対象から所定距離離れた地上より撮影した画像から有害植生画像や識別対象植生画像を作成してもよい。
画像処理装置2の出力部9が出力した識別対象植生画像及び有害植生画像の特徴量の値や特徴量ヒストグラムを人が比較することによって、識別対象植生画像の植生がカラムシやイタドリのような有害植生であるか否かを判定してもよい。この場合、比較判定手段21は不要である。
有害植生画像の特徴量の値や特徴量ヒストグラムを印刷した紙などを別途作成しておき、画像処理装置2で識別対象植生画像の特徴量を抽出して識別対象植生画像の特徴量の値や特徴量ヒストグラムを出力すれば、人が有害植生画像の特徴量と識別対象植生画像の特徴量とを見比べることによって識別対象植生画像の有害植生を特定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】植生識別システムの構成図(最良の形態1)。
【図2】近傍画像推定法の概念図(最良の形態1)。
【図3】近傍画像推定法の説明図(最良の形態1)。
【図4】近傍画像推定法の説明図(最良の形態1)。
【図5】有害植生画像から抽出した輝度値の平均値のヒストグラムを示す図(最良の形態1)。
【図6】有害植生画像から抽出したエントロピーのヒストグラムを示す図(最良の形態1)。
【図7】有害植生画像から抽出した滑らかさのヒストグラムを示す図(最良の形態1)。
【図8】有害植生画像から抽出したコントラストの平均値のヒストグラムを示す図(最良の形態1)。
【図9】有害植生画像から抽出した一様性のヒストグラムを示す図(最良の形態1)。本発明における植生の特徴量の左側しきい値と右側しきい値の概要を示す図。
【図10】イタドリとカラムシの有害植生画像から抽出した輝度値の平均値のヒストグラムを示す図(最良の形態2)。
【符号の説明】
【0044】
1 画像取得手段、2 画像処理装置、
4 飛行体、5 撮像手段、8 入力部、9 出力部、画像処理部10、
11 有害植生画像特徴量記憶手段、12 識別対象植生画像特徴量記憶手段、14 画像分解能調整手段、15 有害植生画像作成手段、
16 識別対象植生画像作成手段、17 RGB成分画像作成手段、
18 前処理手段、19 特徴量算出手段、20 特徴量ヒストグラム作成手段、21 比較判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害植生を撮影した有害植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成し、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出するとともに、植生調査対象地域を撮影した植生調査対象地域画像中の識別対象植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成し、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出し、有害植生画像の特徴量と識別対象植生画像の特徴量とを比較することによって、識別対象植生画像の植生が有害植生画像の有害植生であるか否かを判定することを特徴とする植生判定方法。
【請求項2】
植生調査対象地域を撮影した植生調査対象地域画像中の識別対象植生画像からR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成するRGB成分画像作成手段と、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出する特徴量抽出手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
有害植生を撮影した有害植生画像及び植生調査対象地域の植生を撮影した識別対象植生画像からこれら画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像を作成するRGB成分画像作成手段と、テクスチャ解析によって、これらR成分画像、G成分画像、B成分画像から各々の画像の特徴量としての、輝度値の平均値、コントラストの平均値、滑らかさ、一様性、エントロピーのうちの1つ以上を抽出する特徴量抽出手段と、有害植生画像の特徴量及び植生識別対象画像の特徴量を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
有害植生画像や識別対象植生画像の画像分解能を調整するための画像分解能調整手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
同一種類の有害植生を異なる時刻に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
同一種類の有害植生を異なる季節毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
同一種類の有害植生を異なる天候時毎に撮影した複数の有害植生画像の特徴量を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
同一の植生調査対象地域を異なる季節毎に撮影して得られた複数の識別対象植生画像の特徴量の変化と、異なる季節毎に撮影された有害植生画像の特徴量の変化とを比較する特徴量変化比較手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
特徴量を抽出する前に有害植生画像や植生識別対象画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像のノイズを除去するノイズ除去手段、特徴量を抽出する前に有害植生画像や植生識別対象画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像のコントラストのばらつきを抑えるコントラスト正規化手段、特徴量を抽出する前に有害植生画像や植生識別対象画像のR成分画像、G成分画像、B成分画像のコントラストや明るさのばらつきを抑えるコントラスト及び明るさ調整手段のうちの1つ以上を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
特徴量算出手段で算出された特徴量に基づいてヒストグラムを作成する特徴量ヒストグラム作成手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
2つ以上の異種類の有害植生画像から抽出された同一種類の特徴量のヒストグラムの交点が示す特徴量の値をしきい値として設定するしきい値設定手段と、識別対象植生画像の特徴量の値と上記しきい値とを比較して、識別対象植生画像の植生が上記2つ以上の異種類の有害植生であるか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
特徴量抽出手段が、近傍画像推定法によって特徴量を抽出したことを特徴とする請求項2乃至請求項11のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−210165(P2008−210165A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46436(P2007−46436)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(503368214)社団法人東北建設協会 (7)
【出願人】(501257196)株式会社 エマキ (3)
【Fターム(参考)】