検体ラック搬送システム
【課題】搬送装置にトラブルが発生した場合に、検体測定の効率を向上させることが可能な検体ラック搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送装置においてトラブルが発生した場合に、サンプルラックに保持された検体の測定オーダの測定項目を測定可能な測定装置にサンプルラックを搬送可能な場合は、サンプルラックを測定装置に搬送し、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収するとともに、サンプルラックに保持された検体の測定オーダの測定項目を測定可能な測定装置に検体ラックを搬送できない場合は、サンプルラックをラック回収装置に回収するように検体ラック搬送システムを制御する。
【解決手段】搬送装置においてトラブルが発生した場合に、サンプルラックに保持された検体の測定オーダの測定項目を測定可能な測定装置にサンプルラックを搬送可能な場合は、サンプルラックを測定装置に搬送し、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収するとともに、サンプルラックに保持された検体の測定オーダの測定項目を測定可能な測定装置に検体ラックを搬送できない場合は、サンプルラックをラック回収装置に回収するように検体ラック搬送システムを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を収容した検体容器を複数保持可能な検体ラックを搬送し、測定装置に検体ラックを供給する検体ラック搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検体ラックを搬送するための搬送ラインおよび搬送ラインの始端側に検体ラックを戻す帰還ラインを備える搬送装置と、搬送装置に検体ラックを供給する供給部と、検体ラックの処理状況に関する情報を記憶し、搬送装置を制御するための制御部と、を備える検体ラック搬送システムが記載されている。この検体ラック搬送システムは、複数の搬送装置を連結して搬送ラインを構成し、それぞれの搬送装置に対応する検体処理ユニットに搬送ラインを介して検体ラックを搬送可能である。
【0003】
この検体ラック搬送システムでは、検体ラック搬送中に搬送装置においてトラブルが発生した場合、システムがトラブルから復旧した後に、制御部が、ラックの処理状況に関する情報に基づき次に搬送すべき検体処理ユニットに検体ラックを供給するよう搬送装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−318237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記検体ラック搬送システムでは、検体ラック搬送中に搬送装置においてトラブルが発生した場合、トラブルが解消されるまで搬送装置による検体ラックの搬送動作が完全に停止してしまう。
【0006】
本発明は、搬送装置にトラブルが発生した場合に、検体測定の効率を向上させることが可能な検体ラック搬送システムを提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる検体ラック搬送システムは、検体ラックを搬送するための搬送路、検体ラックを搬送路から測定装置に供給する供給機構、および測定装置に供給された検体ラックを搬送路に送り込む送込機構を備えた複数の搬送装置と、複数の搬送装置のうち上流側に位置する搬送装置に検体ラックを投入するラック投入装置と、検体ラックを回収するラック回収装置と、各検体ラックの搬送先の測定装置を決定し、決定された測定装置に検体ラックを搬送するとともに、測定の完了した検体ラックをラック回収装置に回収するようにラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、一の搬送装置において異常が発生し、異常が生じた搬送装置以外の所定の搬送装置によって所定の測定装置に検体ラックの搬送が可能な場合、ラック投入装置による検体ラックの投入を継続し、所定の測定装置に搬送する検体ラックについては、所定の搬送装置を介して所定の測定装置に供給し、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収するとともに、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックについては、所定の搬送装置を介してラック回収装置に回収するように、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する。
【0008】
上記様態において、搬送路は、第一搬送路と第一搬送路と逆方向に検体ラックを搬送する第二搬送路を含み、供給機構は検体ラックを第一搬送路から測定装置に供給し、送込機構は測定装置に供給された検体ラックを第一搬送路または第二搬送路に送り込み、ラック投入装置は、上流側に位置する搬送装置の第一搬送路に検体ラックを投入し、ラック回収装置は、搬送装置の第二搬送路を介して検体ラックを回収してもよい。
【0009】
また、上記様態において、ラック回収装置が、ラック投入装置の近傍に配置されてもよい。
【0010】
また、上記様態において、ラック回収装置は、検体ラックを回収する第一および第二回収部を備え、制御装置は、測定が完了した検体ラックを第一回収部に回収し、測定が未完了の検体ラックを第二回収部に回収するようにラック回収装置を制御してもよい。
【0011】
また、上記様態において、制御装置は、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収し、測定が未完了の検体ラックをラック投入装置に回収するようにラック回収装置およびラック投入装置を制御し、前記異常が解消すると、ラック投入装置に回収された検体ラックを搬送装置に自動的に投入するようラック投入装置を制御してもよい。
【0012】
また、上記様態において、測定オーダを記憶する記憶装置を備え、ラック投入装置が、検体ラックに収容された検体容器に付された識別情報を取得する識別情報取得部を備え、制御装置は、取得した識別情報と測定オーダとに基づいて検体ラックの搬送先を決定してもよい。
【0013】
また、上記様態において、制御装置は、測定装置への検体ラックの供給状況を取得し、取得した供給状況に基づいて検体ラックの搬送先を決定してもよい。
【0014】
また、上記様態において、制御装置は、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置と通信可能に接続され、搬送装置は、異常が発生すると、異常が発生したことを示す異常情報を制御装置に送信し、制御装置は受信した異常情報に基づき、異常情報受信前に投入された検体ラックを搬送先の測定ユニットに搬送可能であるか否かを判定し、搬送可能でない場合、当該検体ラックをラック回収装置に回収するように各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御してもよい。
【0015】
また、上記様態において、制御装置は、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックを、ラック投入ユニットから直接ラック回収装置に回収するように、ラック投入ユニットおよびラック回収装置の動作を制御してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる検体ラック搬送システムによれば搬送装置にトラブルが発生した場合に、検体測定の効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかる検体処理装置の全体構成を示す概略平面図。
【図2】実施の形態1にかかる検体投入回収装置の構成を示す平面図。
【図3】検体容器の外観を示す斜視図。
【図4】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図5】実施の形態1にかかる血液分析装置用の検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図6】実施の形態1にかかる塗抹標本作製装置用の検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図7】実施の形態1にかかる血液分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態1にかかる血液分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態1にかかるシステム制御装置の構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態1にかかる検体投入回収装置の検体搬出動作の流れを示すフローチャート。
【図11】実施の形態1にかかるシステム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図12】実施の形態1にかかるシステム制御装置の第1搬送路指示動作の流れを示すフローチャート。
【図13】実施の形態1にかかる血液分析装置用の検体搬送装置の第1搬送動作の流れを示すフローチャート。
【図14】実施の形態1にかかるシステム制御装置のトラブル発生時における搬送先変更処理の流れを示すフローチャート。
【図15】実施の形態1にかかる血液分析装置のラック搬送制御動作の流れを示すフローチャート。
【図16】実施の形態1にかかる血液分析装置の検体分析動作の流れを示すフローチャート。
【図17】実施の形態1にかかるシステム制御装置の第2搬送路指示動作の流れを示すフローチャート
【図18】実施の形態1にかかる検体搬送装置の第2搬送動作の流れを示すフローチャート。
【図19】実施の形態1にかかる検体投入回収装置のラック分別回収動作の流れを示すフローチャート。
【図20】実施の形態2にかかる検体投入回収装置の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態は、複数の検体を収容した検体ラックを投入するための投入装置と、投入された検体ラックを搬送し、測定装置に供給する検体搬送装置と、検体ラックを回収する複数の回収装置と、を備え、トラブル(異常)発生時に、測定オーダに基づく測定項目が全て測定されているか否かに応じて、検体ラックを複数の回収装置に分別回収する検体ラック搬送システムである。ここで、本実施形態におけるトラブルとは、の検体ラックの搬送ミスなどの軽微なトラブルではなく、検体搬送装置の搬送機構が物理的に故障し、サービスマンによる修理が必要であるような重篤なトラブルを指す。
【0020】
図1は、本実施の形態にかかる検体ラック搬送システムを備える検体処理システム100の全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体ラック搬送システム100は、検体投入回収装置2と、検体搬送装置3a,3b,3c,4と、システム制御装置8と、を備えている。また、検体処理システム1は、検体ラック搬送システム100と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、を備えている。また、本実施の形態にかかる検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0021】
<検体投入回収装置2の構成>
図2は、本実施の形態にかかる検体投入回収装置2の構成を示す平面図である。検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21と、前処理ユニット22と、検体回収ユニット(ラック回収部)23,24を備えている。当該検体投入回収装置2は、複数の検体容器が収納された検体ラックを載置することができる。かかる検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21および前処理ユニット22により構成された検体投入ユニット群2Aと、検体回収ユニット23,24から構成された検体回収ユニット群2Bとを有している。
【0022】
図3は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、図4は、サンプルラックLの外観を示す斜視図である。図3に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコード(検体バーコード)が印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコード(ラックバーコード)が印刷されている。
【0023】
図2に示すように、検体投入ユニット21は、検体容器Tが収容されたサンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部211を有している。このラック載置部211は、長方形状をなしており、複数のサンプルラックLを同時に載置することが可能である。なお、サンプルラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック載置部211に載置される。ラック載置部211には、サンプルラックLを検出するためのセンサ212、213と、サンプルラックLを移送するための係合部211aとが設けられている。センサ212および213は、光学式センサであり、センサ212は発光部212aと受光部212bとを、センサ213は発光部213aと受光部213bとをそれぞれ備えている。発光部212aはラック載置部211の左前側の位置に配置され、受光部212bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。また、発光部213aはラック載置部211の左後側の位置に配置され、受光部213bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。発光部212aは、右斜め後方へ向けて光を発するように配置されており、受光部212bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。また、発光部213aは、右斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部213bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLによって、発光部212aまたは213aから発せられた光が遮られ、受光部212bまたは213bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ212または213により検出される。ラックセンサ212,213で検出されたサンプルラックLは、係合部211aに係合され、係合部211aがサンプルラックLに係合した状態で前後方向へ移動することで、ラック載置部211上でサンプルラックLが移送されるようになっている。
【0024】
ラック載置部211の最も奥側(後方)の位置は、左側へサンプルラックLを送出するためのラック送出位置214とされている。かかるラック送出位置214には、左右方向へ移動可能な突出部215が設けられている。この突出部215は、ラック送出位置214にサンプルラックLが移送されるまでは、ラック送出位置214の右端近傍の位置に待機しており、ラック送出位置214にサンプルラックLが到達すると、左方向へ移動する。かかる突出部215に押されて、サンプルラックLは左方向へ移送される。またこのラック送出位置214の左右両側の壁は欠落している。したがって、突出部215に押されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21から送出されることとなる。図2に示すように、検体投入ユニット21の左側には前処理ユニット22が設けられており、前処理ユニット22の右側の壁の一部が欠落していて、これにより、ラック送出位置214から送出されたサンプルラックLは前処理ユニット22に導入される。
【0025】
また、ラック載置部211の前方には、2つの平行なベルトコンベヤである第1搬送ライン216および第2搬送ライン217が設けられている。検体投入ユニット21のラック載置部211を取り囲む壁の第1搬送ライン216および第2搬送ライン217の左右両側の部分のそれぞれは欠落しており、サンプルラックLを第1搬送ライン216および第2搬送ライン217に搬入し、また第1搬送ライン216および第2搬送ライン217から他のユニットへサンプルラックLを搬出することが可能である。ラック載置部211の底面、第1搬送ライン216、および第2搬送ライン217の高さは揃えられており、概ね均一な平面が形成されている。また、検体投入ユニット21には、第1搬送ライン216または第2搬送ライン217に搬入されたサンプルラックLを後方へ移送するためのラック移送部218が設けられている。かかるラック移送部218は、横長の棒状をなしており、第2搬送ライン217からラック載置部211の前後方向の中間位置までの範囲内で前後方向に移動可能となっている。第1搬送ライン216または第2搬送ライン217に搬入されたサンプルラックLの前側に配置されたラック移送部218が後方へ移動することにより、ラック移送部218がサンプルラックLの前面に当接し、さらにラック移送部218が後方へ移動することにより、サンプルラックLが後方へ押動される。これによって係合部211aを越える位置までサンプルラックLが後方へ移送され、その後係合部211aによりサンプルラックLがラック送出位置214まで移送される。このように、検体投入ユニット21は、第1搬送ライン216または第2搬送ライン217により搬入されたサンプルラックLをそのまま右側の検体回収ユニット23へ送出することも可能であるし、第1搬送ライン216または第2搬送ライン217にあるサンプルラックLをラック送出位置214まで移送した後、左側の前処理ユニット22に送出することも可能である。
【0026】
かかる構成の検体投入ユニット21は、CPUおよびメモリ等からなる制御部21aを備えている。この制御部21aにより、上述した検体投入ユニット21の機構が制御される。また、検体投入ユニット21は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。検体投入ユニット21には、操作パネル21bが設けられている。ユーザはこの操作パネル21bを操作して、検体処理システム1に検体処理開始の指示または終了の指示を与えることができる。
【0027】
検体投入ユニット21の左側には、前処理ユニット22が接続されている。ラック送出位置214から左側に送出されたサンプルラックLは、前処理ユニット22に搬入される。かかる前処理ユニット22は、複数のサンプルラックLを収容可能な平面視四角形状のラック載置部221を備えている。また前処理ユニット22は、ラック載置部221の奥側にバーコード読取部22bを備えている。かかるバーコード読取部22bは、サンプルラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードを同時に読出すことが可能であり、しかもサンプルラックLのラックバーコードを読出すことも可能である。かかるバーコード読取部22bには、検体容器T検出用の光学センサが設けられており(図示せず)、サンプルラックLがバーコード読取部22bによるバーコード読取位置に到達したときに、当該光学センサによって検体容器Tの有無が検出される。また、バーコード読取部22bは、ラック載置部221における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構(図示せず)を備えている。ラック投入ユニット21のラック送出位置214から送出されたサンプルラックLは、前処理ユニット22に左方向へ搬入され、バーコード読出位置に到達する。その後、サンプルラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構により水平回転されながら、バーコード読取部22bによってバーコードラベルBL1から検体IDが読み出され、サンプルラックLのバーコードラベルBL2からラックIDが読み出される。
【0028】
サンプルラックLがバーコード読取位置に到達したとき、上述した光学センサによって検体容器Tの有無が検出され、バーコード読取部22bにより各検体容器Tの検体バーコードが複数回連続して読み取られる。複数回読み出された各検体IDのデータが一致している場合に、検体バーコードの読み取りが成功したとされ、検体IDおよび読み取られたラックIDがシステム制御装置8へ送信される。
【0029】
ラック載置部221の左右の壁のそれぞれからは係合部221aが突出している。かかる係合部221aは、バーコード読取部22bにより検体バーコードおよびラックバーコードが読み取られたサンプルラックLに係合し、前方へ移動する。これによってサンプルラックLがラック載置部221上を前方へ移動することとなる。ラック載置部221の最も前側の位置は、ラック送出位置222とされている。このラック送出位置222の前側には、ベルトコンベヤである搬送ライン223が設けられており、搬送ライン223とラック送出位置222との間には壁状の仕切り部224が突設されている。仕切り部224には左右方向へ移動可能な突出部225が設けられている。この突出部225は、ラック送出位置222にサンプルラックLが移送されるまでは、ラック送出位置222の右端近傍の位置に待機しており、ラック送出位置222にサンプルラックLが到達した後に、左方向へ移動する。かかる突出部225に押されて、サンプルラックLは左方向へ移送される。またこのラック送出位置222の左右両側の壁は欠落している。したがって、突出部225に押されたサンプルラックLは、前処理ユニット22から送出されることとなる。図1に示すように、前処理ユニット22の左側には検体搬送装置3aが接続されており、ラック送出位置222は、後述する検体搬送装置3aの追い越しラインと直線的に連なっている。これにより、ラック送出位置222から送出されたサンプルラックLは検体搬送装置3aの追い越しラインに導入される。
【0030】
また、ラック送出位置222の近傍には、ラックバーコード読み取り用のバーコードリーダ222aが設けられている。ラック送出位置222に搬送されたサンプルラックLのラックIDがこのバーコードリーダ222aによって読み取られ、読み取られたラックIDはシステム制御装置8へ送信される。システム制御装置8は、後述するように、このラックIDを受信し、これによって当該サンプルラックLの搬送先を決定する。
【0031】
また、搬送ライン223の左右両側の壁も欠落しており、搬送ライン223は、後述する検体搬送装置3aの帰還ラインおよび前述した検体投入ユニット21の第2搬送ライン217と直線的に連なっている。これにより、搬送ライン223は検体搬送装置3aの帰還ラインからサンプルラックLを受け入れ、このサンプルラックLを検体投入ユニット21の第2搬送ライン217へ搬出する。
【0032】
かかる構成の前処理ユニット22は、CPUおよびメモリ等からなる制御部22aを備えている。この制御部22aにより、上述した前処理ユニット22の機構が制御される。また、前処理ユニット22は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0033】
検体投入ユニット21の右側には、検体回収ユニット23,24が左右に並設されている。検体投入ユニット21は、最も左側の検体回収ユニット23と接続されている。これらの検体回収ユニット23,24のそれぞれは、ラック投入ユニット21と同様の構成とされている。つまり、検体回収ユニット23,24は、サンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部231,241、ラック載置部231,241に載置されたサンプルラックLを後方へ移送するための係合部231a,241a、サンプルラックLを検出するためのセンサ232,233,242,243と、ラック載置部231,241の前側に設けられ、サンプルラックLを横方向へ搬送するための第1搬送ライン236,246および第2搬送ライン237,247、並びに第1搬送ライン236,246または第2搬送ライン237,247に搬入されたサンプルラックLをラック載置部231,241へ移送するためのラック移送部238,248を備えている。検体回収ユニット23,24は、第1搬送ライン236,246が直線的に連なり、且つ、第2搬送ライン237,247が直線的に連なるように接続されている。
【0034】
このような検体回収ユニット23,24のそれぞれは、CPUおよびメモリ等からなる制御部23a,24aを備えている。これらの制御部23a,24aにより、上述した検体回収ユニット23,24の機構が制御される。また、検体回収ユニット23,24のそれぞれは、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0035】
検体回収ユニット24は、必要な測定が完了したサンプルラックLを回収するために用いられる。また、検体回収ユニット23は、検体搬送装置3a,3b,3cにおいてトラブルが発生し、必要な測定が未完了のサンプルラックLを回収するために用いられる。
【0036】
<検体搬送装置3a,3b,3cの構成>
次に、検体搬送装置3a,3b,3cの構成について説明する。図1に示すように、検体ラック搬送システム100は、検体搬送装置3a,3b,3cを備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,52,53の前方には、各別に検体搬送装置3a,3b,3cが配置されている。隣り合う検体搬送装置は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3aは、上述した検体投入回収装置2に接続されており、検体投入回収装置2から搬出されたサンプルラックLを導入し、また検体投入回収装置2へサンプルラックLを送出することが可能となっている。
【0037】
図5は、検体搬送装置3a,3b,3cの構成を示す平面図である。ここでは、測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送装置3aについて説明するが、測定ユニット52,53の前側にそれぞれ配置されている検体搬送装置3b,3cも同様の構成となっている。図5に示すように、検体搬送装置3aは、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。
【0038】
搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、対応する測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2、検体搬送装置3a,3bのいずれか)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3b、3c、検体搬送装置4のいずれか)へとサンプルラックLを搬出するラック追い越し搬送部321と、搬送下流側の装置(検体搬送装置3b,3c、検体搬送装置4のいずれか)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2、検体搬送装置3a,3bのいずれか)にサンプルラックLを搬出するラック帰還搬送部331と、を備えている。ラック追い越し搬送部321とラック帰還搬送部331は、ラックを搬送するための搬送ベルトと、搬送ベルトを駆動させるステッピングモータを、をそれぞれ備える。ラック追い越し搬送部321は、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送下流方向に駆動させることでサンプルラックLを搬送する。また、ラック帰還搬送部331は、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送上流方向に駆動させることでサンプルラックLを搬送する。
【0039】
また、発光部と受光部とからなる光学式センサ34a、34bにより、分析後ラック保持部34にあるサンプルラックLが検出されると、ラック送込機構34cがサンプルラックLの後端に係合した状態で移動し、サンプルラックLが、ラック追い越し位置321a、ラック帰還位置331aのいずれかに位置づけられる。ラック追い越し位置321a、ラック帰還位置331aのそれぞれの近傍には、センサ321b、331bが備えられており、サンプルラックLがそれぞれの位置に位置づけられたことを検知可能である。
【0040】
制御部32は、CPU、ROM、およびRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0041】
検体搬送装置3aは、検体投入回収装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLをラック送り込み部33bによって分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の対応する測定ユニット51(52,53)へと供給することができる。分析前ラック送出位置323の近傍には、サンプルラックLが位置323に位置づけられたことを検知可能なセンサ324が備えられている。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、このサンプルラックLに保持されている検体が搬送方向下流側の測定ユニット52若しくは53により測定され、または塗抹標本作製装置6によって塗抹標本の作製に供される必要がある場合には、ラック追い越し搬送部321へと移送され、ラック追い越し搬送部321により、後段の装置へ搬出される。また、分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLに保持されている検体の全てについて、搬送方向下流側の測定ユニット52,53による測定および塗抹標本作製装置6による塗抹標本の作製の必要がない場合には、当該サンプルラックLはラック帰還搬送部331へと移送され、ラック帰還搬送部331により、前段(搬送方向上流側)の装置へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット52,53または塗抹標本作製装置6にて処理する検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から受け入れた場合は、ラック追い越し搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X1方向へと搬送され、後段の装置3へそのまま搬出される。検体投入回収装置2によって回収されるサンプルラックLを後段の装置から受け入れた場合は、ラック帰還搬送部331によってこのサンプルラックLが矢印X2方向へと搬送され、前段の検体投入回収装置2または検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0042】
なお、搬送機構31のうち、ラック送込部33b、ラック搬送部35およびラック送出部39は、血液分析装置5の情報処理ユニット54により制御される。搬送機構31のその他の部分は、制御部32により制御される。
【0043】
<検体搬送装置4の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置4が配置されている。この検体搬送装置4は、その右側端が検体搬送装置3cと接続されている。
【0044】
図6は、検体搬送装置4の構成を示す平面図である。検体搬送装置4は、検体を搬送する搬送機構41と、搬送機構41を制御する制御部42とを備えている。搬送機構41は、塗抹標本の作製が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な処理前ラック保持部43と、塗抹標本作製装置6によって検体が吸引された検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な処理後ラック保持部44と、検体を塗抹標本作製装置6に供給するために、サンプルラックLをX1方向へ水平に直線移動させ、処理前ラック保持部43から受け付けたサンプルラックLを処理後ラック保持部44へ搬送するラック搬送部45と、搬送上流側の検体搬送装置3cからサンプルラックLを搬入し、当該サンプルラックLをX1方向へ搬送するラック追い越し搬送部421と、検体の塗抹標本の作製が完了したサンプルラックLを検体投入回収装置2に回収させるために、搬送上流側の検体搬送装置3cへと当該サンプルラックLを搬出するラック帰還搬送部431とを備えている。なお、検体搬送装置4は、構成部品の大きさ、形状および位置が検体搬送装置3a,3b,3cと異なっているが、機能は同様であるので、その構成についての説明を省略する。
【0045】
検体搬送装置4は、上流側の検体搬送装置3cから搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部421により導入し、図示しないラック送出部により処理前ラック保持部43へ移送し、このサンプルラックLを処理前ラック保持部43からラック搬送部45へと送出し、さらにラック搬送部45によって搬送することにより、検体を塗抹標本作製装置6へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部45により搬送され、図示しないラック送出部により処理後ラック保持部44へ送出される。処理後ラック保持部44に保持されたサンプルラックLは、ラック帰還搬送部431へと移送され、ラック帰還搬送部431により、前段(搬送方向上流側)の検体搬送装置3cへ搬出される。
【0046】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
【0047】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
【0048】
図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3aのラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0049】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0050】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、および希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0051】
検出部513は、RBC(赤血球)検出およびPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBCおよびPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりRBCおよびPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりWBCの測定が行われる。RBC、PLT、HGB、およびWBCは、測定項目CBC(complete blood count)が指定されたときに測定される。
【0052】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接および離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向および前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、検体供給位置に位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0053】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516aおよび検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0054】
測定ユニット52および53は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、および検体容器搬送部を備えているが、測定ユニット52の検出部は測定ユニット51の検出部513と異なり、CBCだけでなく、白血球の5分類(測定項目DIFF)が可能である。さらに詳しくは、測定ユニット52の検出部は、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、およびMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。かかる測定ユニット52の検出部では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、およびWBCの測定が行われる。
【0055】
測定ユニット53の検出部は、測定ユニット51および52の検出部と異なり、CBCおよびDIFFに加え、網状赤血球(RET)の測定が可能である。RETの測定は、RET測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部のWBC/DIFF(白血球5分類)検出用の光学検出部に前記測定試料を供給することで行われる。
【0056】
次に、情報処理ユニット54の構成について説明する。情報処理ユニット54は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット54の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット54は、コンピュータ54aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ54aは、本体541と、画像表示部542と、入力部543とを備えている。本体541は、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、および画像出力インタフェース541hを備えており、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、および画像出力インタフェース541hは、バス541jによって接続されている。
【0057】
読出装置541eは、コンピュータを情報処理ユニット54として機能させるためのコンピュータプログラム544aを当該可搬型記録媒体544から読み出し、当該コンピュータプログラム544aをハードディスク541dにインストールすることが可能である。
【0058】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、サンプルラックLの検体容器Tから血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0059】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入回収装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。また、システム制御装置8は、検体処理システム1のそれぞれの装置の稼動状態を監視しており、それぞれの装置にトラブルが発生した場合には、即座に検知することができる。
【0060】
図9は、本実施の形態にかかるシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図9に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、および画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、および画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0061】
読出装置81eは、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aを可搬型記録媒体84から読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0062】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血液分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8へ送信し、また、血液分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。
【0063】
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、および血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体IDおよび実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
[検体処理システムの動作]
以下、本実施の形態にかかる検体処理システム1の動作について説明する。
【0065】
<検体投入回収装置2の検体搬出動作>
図10は、検体投入回収装置2の検体搬出動作の流れを示すフローチャートである。検体処理システム1による検体処理を開始する場合には、まずオペレータが検体投入ユニット21の操作パネル21bを操作して、検体処理の開始の指示を検体処理システム1に与える。この状態でサンプルラックLが検体投入ユニット21に投入されると、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLがセンサ212,213によって検出される(ステップS101)。検体投入ユニット21の制御部21aによって実行される制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、検体投入ユニット21の制御部21aは、センサ212,213によってサンプルラックLが検出された場合には、ステップS102の処理を実行する。
【0066】
ステップS102において、制御部21aは、係合部211aを駆動してサンプルラックLをラック送出位置214に至るまで後方へ移動させ、さらに突出部215を駆動して当該サンプルラックLを前処理ユニット22へ送出する(ステップS102)。
【0067】
ラック投入ユニット21のラック送出位置214から送出されたサンプルラックLは、前処理ユニット22に左方向へ搬入され、バーコード読出位置に到達する。前処理ユニット22の制御部22aは、サンプルラックLがバーコード読取位置に到達すると、バーコード読取部22bを制御してサンプルラックLに保持された各検体容器Tの検体IDおよび当該サンプルラックLのラックIDを読み取る(ステップS103)。サンプルラックLがバーコード読取位置に到達したとき、バーコード読取部22bの光学センサによって検体容器Tの有無が検出され、バーコード読取部22bにより各検体容器Tの検体バーコードが複数回連続して読み取られる。複数回読み出された各検体IDのデータが一致している場合、検体バーコードの読み取りが成功したとされる。このようにして、サンプルラックLに保持された全ての検体容器Tの検体バーコードから検体IDが読み取られ、サンプルラックLにおける保持位置と、その保持位置に保持されている検体容器から読み出された検体IDとが対応付けられて制御部22aに記憶される。
【0068】
次に制御部22aは、係合部221aを制御して、ラック載置部221上においてサンプルラックLを前方のラック送出位置222へ移送し(ステップS104)、記憶したラックID、保持位置および検体IDをシステム制御装置8へ送信する(ステップS105)。後述するように、ラックID、保持位置および検体IDを受信したシステム制御装置8は、検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行い、ラックID、保持位置および検体IDに対応付けて測定オーダを記憶する。
【0069】
制御部22aは、サンプルラックLがラック送出位置222に到達すると、バーコードリーダ222aを制御して、当該サンプルラックLのラックバーコードからラックIDを読み取り(ステップS106)、読み取られたラックIDを含む搬出指示要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS107)。システム制御装置8は、この搬出指示要求データを受信すると、同一のラックIDに対応付けられている測定オーダをハードディスクから検索し、ここから当該サンプルラックLの搬送先を決定し、決定された搬送先へサンプルラックLを搬送するための搬送指示データを前処理ユニット22へ送信する。制御部22aは、システム制御装置8から搬送指示データを受信するのを待機し(ステップS108においてNO)、搬送指示データを受信すると(ステップS108においてYES)、突出部225を制御してサンプルラックLをラック送出位置222から左方向へ送出し(ステップS109)、処理を終了する。
【0070】
新たなサンプルラックLが検体投入ユニット21に投入される都度、上記ステップS101〜S109の処理が実行される。
【0071】
<システム制御装置8の測定オーダ取得動作>
図11は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8は、前処理ユニット22から送信されたラックID、保持位置および検体IDを、通信インタフェース81gを介して受信する(ステップS111)。システム制御プログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aは、ラックID、保持位置および検体IDを受信すると、ステップ112の処理を実行する。
【0072】
ステップS112において、CPU81aは、検体IDを含む測定オーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信することによって、受信した全ての検体IDについて検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行う(ステップS112)。次にCPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS113においてNO)、測定オーダを受信すると(ステップS113においてYES)、ラックID、保持位置および検体IDに対応付けて測定オーダをハードディスク81dに記憶し(ステップS114)、処理を終了する。
【0073】
<システム制御装置8の第1搬送指示動作>
図12は、システム制御装置8の第1搬送指示動作の流れを示すフローチャートである。CPU81aは、搬出指示要求データ(ラックID)を、通信インタフェース81を介して受信すると(ステップS121)、受信したラックIDに対応付けられている測定オーダを、ハードディスク81dから検索する(ステップS122)。
【0074】
次いで、CPU81aは、トラブル情報を受信したか否かを判定する(ステップS123)。検体搬送装置3a,3b,3cおよび4は、故障などのトラブルが発生した場合、発生したトラブルの種別を示す情報(例えばトラブルコード)を含むトラブル情報をシステム管理装置8に送信する。CPU81aは、トラブル情報を受信していないと判定した場合(ステップS123においてNO)、最も効率的に検体の処理が可能な測定ユニット51,52,53を特定し、これをサンプルラックLの搬送先に決定する(ステップS124)。
【0075】
CPU81aは、サンプルラックLの搬送状況をリアルタイムで管理しており、いずれの測定ユニット51,52,53へ検体を供給すれば最も効率的に検体処理が行えるかを判定することができる。
【0076】
CPU81aは、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれに、分析前ラック保持部33にサンプルラックLが保持されているか否かを問い合わせることで、サンプルラックLの搬送状況を管理している。例えば、検体搬送装置3aの分析前ラック保持部33にサンプルラックLが保持されている場合、CPU81aは、測定ユニット51がサンプルラックLを受入不可能であると判定する。すなわち、ステップS124において、CPU81aは、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダに含まれる測定項目を測定可能であり、サンプルラックLを受入可能な測定ユニットを搬送先に決定する。
【0077】
CPU81aは、トラブル情報を受信したと判定した場合(ステップS123においてYES)、トラブル情報に基づき、検体搬送装置3aにおいてトラブルが発生しているか否かを判定する (ステップS125)。CPU81aは、検体搬送装置3aにおいてトラブルが発生していると判定した場合(ステップS125においてYES)、検体ラック搬送システム100におけるサンプルラックLの搬送動作を停止させ(ステップS126)、検体搬送装置3aにおけるトラブルの解消を待機する(ステップS127)。CPU81aは、当該検体搬送装置3aにおけるトラブルが解消されたと判定した場合(ステップS127においてYES)、ステップS121の処理を実行する。
【0078】
CPU81aは、検体搬送装置3aにおいてトラブルが発生していないと判定した場合、すなわち検体搬送装置3bまたは検体搬送装置3cにおいてトラブルが発生していると判定した場合(ステップS125においてNO)、サンプルラックLを搬送可能な搬送ユニットがあるか否か判定する(ステップS128)。ここで、CPU81aは、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目を測定可能な測定ユニットに、サンプルラックLを搬送可能であるか否かを判定する。
【0079】
以下、具体例として、検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合について説明する。検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合、測定ユニット52および測定ユニット53にサンプルラックLを搬送することができない。したがって、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目にDIFFまたはRETが含まれている場合、CPU81aは、サンプルラックLを搬送可能でないと判定する。一方、搬送サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目にDIFFまたはRETが含まれていない場合、CPU81aは、測定ユニット51にサンプルラックLを搬送可能であると判定する。
【0080】
CPU81aは、サンプルラックLを搬送可能な搬送ユニットがあると判定した場合(ステップS128においてYES)、サンプルラックLを測定可能な測定ユニットを搬送先に決定する(ステップS129)。上記具体例であれば、CPU81aは、サンプルラックLの搬送先を測定ユニット51に決定する。また、CPU81aは、サンプルラックLを搬送可能な搬送ユニットがないと判定した場合(ステップS128においてNO)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット23に決定する(ステップS130)。
【0081】
次いで、CPU81aは、搬送先にサンプルラックLを搬送するための指示を示す搬送指示データを、検体投入回収装置2と検体搬送装置3a,3b,3cへ送信し(ステップS130)、処理を終了する。この搬送指示データには、サンプルラックLのラックID並びにサンプルラックLに保持されている全検体の保持位置、検体IDおよび測定オーダが含まれている。上記具体例においては、CPU81aは、搬送指示データを、検体搬送装置3aと検体投入回収装置2へ送信する。
【0082】
<検体搬送装置3a,3b,3cの第1搬送動作>
図13は、検体搬送装置3a,3b,3cの第1搬送動作の流れを示すフローチャートである。前処理ユニット22の制御部22aは、搬送指示データを受信すると、突出部225を左側へ移動させて、ラック送出位置222にあるサンプルラックLを検体搬送装置3aのラック追い越し搬送部321に搬出する。一方、検体搬送装置3の制御部32は、搬送指示データを受信すると(ステップS131)、受信した搬送指示データに基づき、サンプルラックLの搬送先が、検体搬送装置に対応する測定ユニットであるか否かを判定する(ステップS132)。つまり、検体搬送装置3aの制御部32は、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット51であるか否かを、検体搬送装置3bの制御部32は、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット52であるか否かを、検体搬送装置3cの制御部32は、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット53であるか否かをそれぞれ判定する。
【0083】
制御部32は、搬送先が対応する測定ユニットであると判定した場合(ステップS132においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、追い越し搬送部321によってサンプルラックLを搬入し、ラック送出部322を前側に移動させて分析前ラック送出位置323に位置したサンプルラックLを分析前ラック保持部33に移動させる(ステップS133)。また制御部32は、サンプルラックLのラックID並びにサンプルラックLに保持されている全検体の保持位置、検体IDおよび測定オーダを含む測定指示データを情報処理ユニット54へと送信し(ステップS134)、処理を終了する。
【0084】
一方、制御部32は、搬送先が対応する測定ユニットでないと判定した場合(ステップS132においてNO)、サンプルラックLの搬送先が検体投入回収装置2であるか否か、すなわち搬送先が検体回収ユニット23または24であるか否かを判定する(ステップS135)。制御部32は、搬送先が検体投入回収装置2(検体回収ユニット23または24)であると判定した場合(ステップS135においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、ラック送込部34cによってサンプルラックLをラック帰還搬送部331へと移送し、ラック帰還搬送部331により、サンプルラックLを前段の装置へ搬出し(ステップS136)、処理を終了する。制御部32は、搬送先が検体投入回収装置2(検体回収ユニット23または24)でないと判定した場合(ステップS135においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、ラック追い越し搬送部321によってサンプルラックLを搬入し、そのまま後段の装置へサンプルラックLを搬出し(ステップS137)、処理を終了する。
【0085】
ここで、搬送先がラック回収ユニット23であるサンプルラックLが、前処理ユニット22によって搬出されるときの検体搬送装置3aによる搬送動作について説明する。
【0086】
分析後ラック保持部34のセンサ34a,34bによってサンプルラックLが検知されていない場合、検体搬送装置3aは、前処理ユニット22から搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321によってラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック帰還搬送部331によって検体投入回収装置2に搬出する。
【0087】
一方、分析後ラック保持部34のセンサ34a,34bによってサンプルラックLが検知されている場合には、センサ34a,34bによるサンプルラックLの検知と、前処理ユニット22のバーコードリーダ222aによるラックIDの読み取りのいずれが早かったかによって検体搬送装置3aの動作が異なる。
【0088】
まず、センサ34a,34bによるサンプルラックLの検知のほうが早かった場合、前処理ユニット22は、サンプルラックLの搬出を待機する。一方、検体搬送装置3aは、分析後ラック保持部34のサンプルラックLを、ラック送り込み機構34cによってラック追い越し位置321aまたはラック帰還位置331aに移送し、ラック追い越し搬送部321またはラック帰還搬送部331によってサンプルラックLを搬送する。その後、前処理ユニット22は、サンプルラックLを搬出し、検体搬送装置3は、搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321によってラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック帰還搬送部331によって検体投入回収装置2に搬送する。
【0089】
次に、前処理ユニット22のバーコードリーダ222aによるラックIDの読み取りのほうが早かった場合、検体搬送装置3aは、分析後ラック保持部34に移送されるサンプルラックLを分析後ラック保持部34において待機させておき、検体投入回収装置2から搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321によってラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック帰還搬送部331によって検体投入回収装置2に搬送する。その後、検体搬送装置3aは、ラック送り込み機構34cによって分析後ラック保持部34のサンプルラックLをラック帰還位置331aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック追い越し位置321aまたはラック帰還位置331aに移送し、ラック追い越し搬送部321またはラック帰還搬送部331によってサンプルラックLを搬送する。
【0090】
図14は、システム制御装置8の搬送先変更処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、トラブルが発生時に検体搬送装置に投入されているサンプルラックLの搬送先を変更するための処理である。
【0091】
システム制御装置8のハードディスク81dには、検体搬送装置に投入されているサンプルラックLの搬送先が記憶されている。CPU81aは、検体搬送装置からトラブル情報を受信すると(ステップS141)、サンプルラックLの搬送先をハードディスク81dから検索する(S142)。次いで、CPU81aは、ステップS142における検索結果に基づき、トラブル発生時に投入されていたサンプルラックLを、搬送先に搬送できるか否かを判定する(ステップS143)。
【0092】
例えば、検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合、測定ユニット51にサンプルラックLを搬送することはできるが、測定ユニット52,53にサンプルラックLを搬送することができない。したがって、CPU81aは、検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合において、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット51であるとき、サンプルラックLを搬送先に搬送できると判定する。一方、CPU81aは、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット52または53であるとき、CPU81aは、サンプルラックLを搬送先に搬送できないと判定する。
【0093】
CPU81aは、サンプルラックLを搬送先に搬送できないと判定した場合(ステップS143においてYES)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット23に変更し(ステップS144)、搬送指示データを検体投入回収装置2および検体搬送装置3a,3b,3cに送信し(ステップS145)、処理を終了する。また、CPU81aは、サンプルラックLを搬送先に搬送できると判定した場合(ステップS143においてNO)についても、処理を終了する。
【0094】
<血液分析装置5のラック搬送制御動作>
図15は、血液分析装置5のラック搬送制御動作の流れを示すフローチャートである。血液分析装置5の情報処理ユニット54のCPU541aは、検体搬送装置3a,3b,3cに設けられているラックセンサにより分析前ラック保持部33においてサンプルラックLを検出し(ステップS151)、且つ、検体搬送装置3a,3b,3cから測定指示データを受信すると(ステップS152)、ステップS153の処理を実行する。
【0095】
ステップS153において、CPU541aは、ラック送込部33bを後方へ移動させ、サンプルラックLをラック搬送部35に移送する。次に、CPU541aは、ラック搬送部35を駆動制御し、検体容器Tが検体供給位置に位置するようサンプルラックLを搬送する(ステップS154)。
【0096】
後述する検体分析動作において、検体供給位置に位置する検体容器TはサンプルラックLから抜き出され、測定ユニット内部に取り込まれて、検体が検体容器Tから吸引され、検体の分析が行われる。測定ユニット内部における検体の吸引が完了すると、検体容器TはサンプルラックLに返却される。そして、CPU541aはサンプルラックL内の全ての検体容器Tの取り込みが完了したか否かを判定する(ステップS155)。CPU541aは、サンプルラックL内の全ての検体容器Tの取り込みが完了していないと判定した場合(ステップS155においてNO)、すなわちまだ取り込まれていない検体容器Tが存在する場合にはラック搬送部35を駆動制御して、次の検体容器Tが検出された保持位置が検体供給位置に位置するようサンプルラックLを搬送し(ステップS156)、処理をステップS155へと戻す。
【0097】
ステップS155において、CPU541aは、サンプルラックLに保持されている全ての検体容器Tの取り込みが完了したと判定した場合には(ステップS155においてYES)、ラック搬送部35を駆動制御し、サンプルラックLを分析後ラック送出位置391に至るまで搬送し、さらにラック送出部39を駆動制御し、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ移送し(ステップS157)、サンプルラックLのラックIDを含む測定完了通知データを対応する検体搬送装置へ送信し(ステップS158)、処理を終了する。
【0098】
<血液分析装置5の検体分析動作>
図16は、血液分析装置5の検体分析動作の流れを示すフローチャートである。なお、上述した血液分析装置5のラック搬送制御動作と、本検体分析動作とは、マルチタスク処理により平行して実行される。CPU541aは、サンプルラックLに保持された検体容器Tが検体供給位置に到達すると(ステップS171)、ステップS172の処理を実行する。
【0099】
ステップS172において、CPU541aは、測定ユニットの検体容器搬送部515を制御して、検体供給位置に位置した検体容器Tを、サンプルラックLから抜き出して測定ユニットの内部に取り込む(ステップS172)。さらにCPU541aは、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌した後、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送し、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS173)。
【0100】
その後、CPU541aは、測定指示データに含まれる測定オーダを使用して、検体の測定を実行する(ステップS174)。
【0101】
CPU541aは、測定に必要な量の検体を検体容器Tから吸引し、測定試料を調製し、検体の測定を開始した後に、測定ユニットの検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを測定ユニットからサンプルラックLへ返却する(ステップS175)。この後、上記のラック搬送制御動作において、ラック搬送部35が制御され、サンプルラックLがX1方向へ搬送される。またCPU541aは、検体を測定して得られた測定データを処理し、検体の分析結果を取得する(ステップS176)。次いで、CPU541aは、得られた分析結果を、システム制御装置8および検査情報管理装置9へ送信し(ステップS177)、処理を終了する。
【0102】
<システム制御装置8の第2搬送指示動作>
図17は、システム制御装置8の第2搬送指示動作の流れを示すフローチャートである。後述するように、検体の測定が完了し、分析後ラック送出位置391から分析後ラック保持部34に移送されたサンプルラックLは、センサ34a,34bによって検出される。また、情報処理ユニット54から送信された測定完了通知データが対応する検体搬送装置によって受信される。このとき、当該検体搬送装置は、サンプルラックLのラックIDを含む搬送指示要求データをシステム制御装置8へ送信する。システム制御装置8のCPU81aは、搬送指示要求データを受信すると(ステップS191)、ハードディスク81dから搬送指示要求データに含まれるラックIDに対応する分析結果を検索する(ステップS192)。
【0103】
CPU81aはサンプルラックLに保持されている検体の中に、再測定または鏡検が必要な検体が含まれているか否かを判定する(ステップS193)。CPU81aは、再測定または鏡検が必要な検体が含まれていないと判定した場合(ステップS193においてNO)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット24に決定する(ステップS194)。CPU81aは、再検査または鏡検が必要な検体が含まれていると判定した場合(ステップS193においてYES)、トラブル情報を受信しているか否かを判定する(ステップS195)。トラブル情報を受信していないと判定した場合(ステップS195においてNO)、CPU81aは、処理をステップS198に進める。
【0104】
CPU81aは、トラブル情報を受信していると判定した場合(ステップS195においてYES)、サンプルラックLの検体の再測定が可能な測定ユニットまたは塗沫標本作製装置6にサンプルラックLを搬送できるか否かを判定する(ステップS196)。具体的には、検体搬送装置3bにおいてトラブルが発生しており、サンプルラックLが測定ユニット51で測定され、測定ユニット52または53で再測定する必要がある検体が含まれている場合、CPU81aは、サンプルラックLをいずれの測定ユニットにも搬送できないと判定する。
【0105】
CPU81aは、再測定が可能な測定ユニットまたは塗沫標本作製装置6にサンプルラックLを搬送できないと判定した場合(ステップS196においてNO)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット23に決定する(ステップS197)。CPU81aは、再測定が可能な測定ユニットまたは塗沫標本作製装置6にサンプルラックLを搬送できると判定した場合(ステップS196においてYES)、測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6を搬送先に決定する(ステップS198)。
【0106】
上述のようにサンプルラックLの搬送先が決定された後、CPU81aは、決定した搬送先へサンプルラックLを搬送するための指示を示す搬送指示データを検体投入回収装置2、検体搬送装置3a,3b,3cへ送信し(ステップS199)、処理を終了する。
【0107】
<検体搬送装置3a,3b,3cの第2搬送動作>
図18は、検体搬送装置3a,3b,3cの第2搬送動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、サンプルラックLがラック送出部39によって分析後ラック保持部34に移送されると、ラックセンサによってサンプルラックLが検出される(ステップS211)。また、サンプルラックLがラック送出部39によって分析後ラック保持部34に移送されるときに、情報処理ユニット54からラ送信される測定完了通知データを受信する(ステップS212)。制御部32は、ラックセンサにより分析後ラック保持部34においてサンプルラックLを検出し、且つ、情報処理ユニット54から測定完了通知データを受信すると、ステップS213の処理を実行する。
【0108】
ステップS213において、制御部32は、サンプルラックLのラックIDを含む搬送指示要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS213)。前述したように、システム制御装置8は、搬送指示要求データを受信すると、サンプルラックLの搬送先を決定し、その搬送先へサンプルラックLを搬送するための搬送指示データを検体搬送装置3a,3b,3cへ送信する。制御部32は、搬送指示データの受信を待機し(ステップS214においてNO)、搬送指示データを受信すると(ステップS214においてYES)、搬送指示データにおいて示される搬送先が後段の測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6であるか否かを判定する(ステップS215)。制御部32は、搬送指示データにおいて示される搬送先が後段の測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6である場合には(ステップS215においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、ラック送込部34bによってサンプルラックLをラック追い越し搬送部321へ移送し、その後追い越し搬送部321によってサンプルラックLを搬送方向下流側へ搬出し(ステップS216)、処理を終了する。
【0109】
また、制御部32は、搬送指示データにおいて示される搬送先が後段の測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6でないと判定した場合、即ち、搬送先が検体回収ユニット23または24のであると判定した場合には(ステップS215においてNO)、搬送機構31を駆動制御し、ラック送込部34bによってサンプルラックLをラック帰還搬送部331へと移送し、ラック帰還搬送部331により、サンプルラックLを前段の装置へ搬出し(ステップS217)、処理を終了する。
【0110】
検体搬送装置3b,3cまたは4のラック帰還搬送部331からこれより搬送方向上流側の装置へサンプルラックLが搬出された場合には、サンプルラックLを搬入した装置がラック帰還搬送部331によりサンプルラックLを搬送方向上流側へ搬送し、さらに上流側の装置へサンプルラックLを搬出する。
【0111】
<検体投入回収装置2のラック分別回収動作>
図19は、検体投入回収装置2のラック分別回収動作の流れを示すフローチャートである。このラック分別回収動作は、検体投入ユニット21および検体回収ユニット23,24のそれぞれの制御部が実行する動作であり、ステップS221において、前述した搬送指示データをシステム制御装置8から受信することによって開始される。以下、検体回収ユニット23の制御部23aが実行するラック分別回収動作について説明する。
【0112】
検体回収ユニット23の制御部23aは、前述した搬送指示データをシステム制御装置8から受信すると(ステップS221)、帰還ライン、前処理ユニット22の搬送ライン223および第2搬送ライン217を経由して第2搬送ライン237に搬入されたサンプルラックLの搬送先が検体回収ユニット23であるか否かを、搬送指示データに基づいて判定する(ステップS222)。制御部23aは、搬送先が検体回収ユニット23であると判定した場合(ステップS222においてYES)、ラック移送部238を駆動して第2搬送ライン237に搬入されたサンプルラックLをラック載置部231へと移送し(ステップS223)、処理を終了する。これにより、サンプルラックLが検体回収ユニット23に回収される。
【0113】
制御部23aは、搬送先が検体回収ユニット23でないと判定した場合(ステップS222においてNO)、第2搬送ライン237を駆動してサンプルラックLを搬送方向上流側(X2方向)へ搬送し、検体回収ユニット24へサンプルラックLを第2搬送ライン247側に搬出する(ステップS224)。
【0114】
上述したように、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100では、最上流の検体搬送装置3aを除く複数の検体搬送装置3b,3c,4のいずれかにおいてトラブルが発生しても、システム全体の検体ラック搬送動作が停止することがない。そのため、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100によると、トラブルが発生した場合であっても、検体測定の効率を向上させることが可能である。
【0115】
また、ユーザは、トラブルが解消すると、必要な測定が未完了のサンプルラックLを、手作業で検体投入ユニット21に投入する必要がある。ここで、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100では、サンプルラックLが、検体投入ユニット21に隣接する検体回収ユニット23に回収される。したがって、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100では、ユーザによるサンプルラックLの再投入が容易である。
【0116】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、検体投入回収装置2の構成とサンプルラックLの回収先が異なる。
【0117】
図20は、本実施の形態にかかる検体投入回収装置2の平面図である。図21に示すように、本実施の形態にかかる検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21と、前処理ユニット22と、回収ユニット23と、を備える。本実施形態において、必要な測定が未完了のサンプルラックLは検体投入ユニット21に搬送され、必要な測定が完了したサンプルラックLは回収ユニット23に搬送される。
【0118】
システム制御装置8は、トラブルが解消されると、検体投入回収装置2に搬送指示を送信する。その後の処理は、実施の形態1における検体投入回収装置2の検体搬出動作のステップS103〜S109の処理と同様であるのでその説明を省略する。
【0119】
本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100においては、必要な測定が未完了のサンプルラックLを自動的に検体ラック搬送システム100に再投入することができる。これにより、ユーザによる検体ラック搬送システム100へのサンプルラックLの再投入の手間を省くことができる。
【0120】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、システム制御装置8のコンピュータ8aがサンプルラックLの回収先を決定し、決定された回収先に基づいて検体回収ユニットの制御部がラック移送部および第2搬送ラインの動作を制御することにより、サンプルラックLの分別回収が行われているが、本発明はこれに限定されるものではない。サンプルラックLの回収先の決定処理とラック移送部および第2搬送ラインの動作の制御処理とを1つのコンピュータ(制御部)で実行することにより、サンプルラックLの分別回収を行ってもよい。
【0121】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体または尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0122】
また、上述した実施の形態においては、血液分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53および情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは1つでも複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPUおよびメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
【0123】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0124】
上述した実施の形態においては、具体例として、検体搬送装置3bにトラブルが発生した場合について説明した。しかし、当然ながら、検体搬送装置3cにトラブルが発生した場合についても、上記実施形態にかかる検体ラック搬送システム100は、同様の処理を実行する。
【0125】
なお、検体搬送装置3cにトラブルが発生した場合であって、システム制御装置8の第1搬送指示においてサンプルラックLの搬送先が検体回収ユニット23に決定された場合、サンプルラックLは、前処理ユニット22から検体搬送装置3aに搬出され、検体搬送装置3aが、検体投入回収装置2から送出されたサンプルラックLを、ラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック搬送部35によって検体投入回収装置2に搬出するようにしてよい。
【0126】
また、上述した実施の形態においては、サンプルラックLに保持された測定オーダの測定項目にDIFFが含まれており、検体測定装置3bにトラブルが発生している場合、搬送先は検体回収ユニット23に決定される。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目にCBCとDIFFが含まれている場合、サンプルラックLの搬送先を測定ユニット51に決定してもよい。この場合、測定ユニット51においてはCBCのみが測定され、その後、システム制御装置8によって、サンプルラックLの搬送先が検体回収ユニット23に決定されても良い。このように、測定ユニットにおいて測定可能な測定項目については測定するようにすることで、検体の処理効率を向上させることができる。なお、検体測定装置3cにトラブルが発生している場合であって、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目に、RETとCBCまたはDIFFが含まれている場合についても同様である。
【0127】
また、上記した実施の形態におけるトラブルは、サービスマンによる修理が必要であるような重篤なトラブルであるが、本発明はこれに限らず、検体ラックの搬送ミスなどの軽微なトラブルであってもよい。
【0128】
また、上記した実施の形態において、検体搬送装置3a,3b,3cは、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送下流方向に駆動させることでサンプルラックLを搬送するラック追い越し搬送部321と、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送上流方向に駆動させことでサンプルラックLを搬送するラック帰還搬送部331をそれぞれ備える。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、検体搬送装置3a,3b,3c,4が、搬送ベルトと、搬送ベルトを駆動させるステッピングモータを備え、搬送ベルトの駆動方向を搬送下流方向と搬送上流方向に切り替え可能な単一の搬送部によりサンプルラックを搬送するよう構成されてもよい。この場合、システム制御装置8によって搬送可能な測定ユニットがあると判定されたサンプルラックLは、前処理ユニット22によって検体搬送装置3aに搬出され、搬送下流方向に駆動する搬送ベルトによって分析前ラック送出位置323に搬送され、ラック送り込み部33bによって分析前ラック保持部33に送り込まれる。測定が完了すると、サンプルラックLは、分析後ラック保持部34からラック送り込み機構34cによってラック追い越し位置321aに送り込まれ、搬送上流方向に駆動する搬送ベルトによってラック回収ユニット24に搬送される。一方、システム制御装置8によって搬送可能な測定ユニットがないと判定されたサンプルラックLは、前処理ユニット22によって検体搬送装置3aに一旦搬出され、搬送上流方向に駆動する搬送ベルトによってラック回収部23に搬送される。ここで、システム制御装置8によって搬送可能な測定ユニットがないと判定されたサンプルラックLは、前処理ユニット22からラック回収部23に直接搬送されるようにしてもよい。
【0129】
また、上記した実施の形態において、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれが、下流にラックを搬送するラック追い越し搬送部321と上流にラックを搬送するラック帰還搬送部331の両方を備えている。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれが、上流にラックを搬送する機構を備えるユニットと下流にラックを搬送する機構を備えるユニットから構成されてもよい。すなわち、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれが、少なくとも追い越し搬送部321を備える第一の検体搬送ユニットと少なくともラック帰還搬送部331を備える第二の検体搬送ユニットから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 検体処理装置
100 検体ラック搬送システム100
2 検体投入回収装置
23,24 検体回収ユニット
3a,3b,3c 検体搬送装置
5 血液分析装置
51,52,53 測定ユニット
54 情報処理ユニット
8 システム制御装置
9 検査情報管理装置
L サンプルラック
T 検体容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を収容した検体容器を複数保持可能な検体ラックを搬送し、測定装置に検体ラックを供給する検体ラック搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検体ラックを搬送するための搬送ラインおよび搬送ラインの始端側に検体ラックを戻す帰還ラインを備える搬送装置と、搬送装置に検体ラックを供給する供給部と、検体ラックの処理状況に関する情報を記憶し、搬送装置を制御するための制御部と、を備える検体ラック搬送システムが記載されている。この検体ラック搬送システムは、複数の搬送装置を連結して搬送ラインを構成し、それぞれの搬送装置に対応する検体処理ユニットに搬送ラインを介して検体ラックを搬送可能である。
【0003】
この検体ラック搬送システムでは、検体ラック搬送中に搬送装置においてトラブルが発生した場合、システムがトラブルから復旧した後に、制御部が、ラックの処理状況に関する情報に基づき次に搬送すべき検体処理ユニットに検体ラックを供給するよう搬送装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−318237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記検体ラック搬送システムでは、検体ラック搬送中に搬送装置においてトラブルが発生した場合、トラブルが解消されるまで搬送装置による検体ラックの搬送動作が完全に停止してしまう。
【0006】
本発明は、搬送装置にトラブルが発生した場合に、検体測定の効率を向上させることが可能な検体ラック搬送システムを提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる検体ラック搬送システムは、検体ラックを搬送するための搬送路、検体ラックを搬送路から測定装置に供給する供給機構、および測定装置に供給された検体ラックを搬送路に送り込む送込機構を備えた複数の搬送装置と、複数の搬送装置のうち上流側に位置する搬送装置に検体ラックを投入するラック投入装置と、検体ラックを回収するラック回収装置と、各検体ラックの搬送先の測定装置を決定し、決定された測定装置に検体ラックを搬送するとともに、測定の完了した検体ラックをラック回収装置に回収するようにラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、一の搬送装置において異常が発生し、異常が生じた搬送装置以外の所定の搬送装置によって所定の測定装置に検体ラックの搬送が可能な場合、ラック投入装置による検体ラックの投入を継続し、所定の測定装置に搬送する検体ラックについては、所定の搬送装置を介して所定の測定装置に供給し、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収するとともに、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックについては、所定の搬送装置を介してラック回収装置に回収するように、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する。
【0008】
上記様態において、搬送路は、第一搬送路と第一搬送路と逆方向に検体ラックを搬送する第二搬送路を含み、供給機構は検体ラックを第一搬送路から測定装置に供給し、送込機構は測定装置に供給された検体ラックを第一搬送路または第二搬送路に送り込み、ラック投入装置は、上流側に位置する搬送装置の第一搬送路に検体ラックを投入し、ラック回収装置は、搬送装置の第二搬送路を介して検体ラックを回収してもよい。
【0009】
また、上記様態において、ラック回収装置が、ラック投入装置の近傍に配置されてもよい。
【0010】
また、上記様態において、ラック回収装置は、検体ラックを回収する第一および第二回収部を備え、制御装置は、測定が完了した検体ラックを第一回収部に回収し、測定が未完了の検体ラックを第二回収部に回収するようにラック回収装置を制御してもよい。
【0011】
また、上記様態において、制御装置は、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収し、測定が未完了の検体ラックをラック投入装置に回収するようにラック回収装置およびラック投入装置を制御し、前記異常が解消すると、ラック投入装置に回収された検体ラックを搬送装置に自動的に投入するようラック投入装置を制御してもよい。
【0012】
また、上記様態において、測定オーダを記憶する記憶装置を備え、ラック投入装置が、検体ラックに収容された検体容器に付された識別情報を取得する識別情報取得部を備え、制御装置は、取得した識別情報と測定オーダとに基づいて検体ラックの搬送先を決定してもよい。
【0013】
また、上記様態において、制御装置は、測定装置への検体ラックの供給状況を取得し、取得した供給状況に基づいて検体ラックの搬送先を決定してもよい。
【0014】
また、上記様態において、制御装置は、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置と通信可能に接続され、搬送装置は、異常が発生すると、異常が発生したことを示す異常情報を制御装置に送信し、制御装置は受信した異常情報に基づき、異常情報受信前に投入された検体ラックを搬送先の測定ユニットに搬送可能であるか否かを判定し、搬送可能でない場合、当該検体ラックをラック回収装置に回収するように各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御してもよい。
【0015】
また、上記様態において、制御装置は、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックを、ラック投入ユニットから直接ラック回収装置に回収するように、ラック投入ユニットおよびラック回収装置の動作を制御してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる検体ラック搬送システムによれば搬送装置にトラブルが発生した場合に、検体測定の効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかる検体処理装置の全体構成を示す概略平面図。
【図2】実施の形態1にかかる検体投入回収装置の構成を示す平面図。
【図3】検体容器の外観を示す斜視図。
【図4】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図5】実施の形態1にかかる血液分析装置用の検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図6】実施の形態1にかかる塗抹標本作製装置用の検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図7】実施の形態1にかかる血液分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態1にかかる血液分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態1にかかるシステム制御装置の構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態1にかかる検体投入回収装置の検体搬出動作の流れを示すフローチャート。
【図11】実施の形態1にかかるシステム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図12】実施の形態1にかかるシステム制御装置の第1搬送路指示動作の流れを示すフローチャート。
【図13】実施の形態1にかかる血液分析装置用の検体搬送装置の第1搬送動作の流れを示すフローチャート。
【図14】実施の形態1にかかるシステム制御装置のトラブル発生時における搬送先変更処理の流れを示すフローチャート。
【図15】実施の形態1にかかる血液分析装置のラック搬送制御動作の流れを示すフローチャート。
【図16】実施の形態1にかかる血液分析装置の検体分析動作の流れを示すフローチャート。
【図17】実施の形態1にかかるシステム制御装置の第2搬送路指示動作の流れを示すフローチャート
【図18】実施の形態1にかかる検体搬送装置の第2搬送動作の流れを示すフローチャート。
【図19】実施の形態1にかかる検体投入回収装置のラック分別回収動作の流れを示すフローチャート。
【図20】実施の形態2にかかる検体投入回収装置の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態は、複数の検体を収容した検体ラックを投入するための投入装置と、投入された検体ラックを搬送し、測定装置に供給する検体搬送装置と、検体ラックを回収する複数の回収装置と、を備え、トラブル(異常)発生時に、測定オーダに基づく測定項目が全て測定されているか否かに応じて、検体ラックを複数の回収装置に分別回収する検体ラック搬送システムである。ここで、本実施形態におけるトラブルとは、の検体ラックの搬送ミスなどの軽微なトラブルではなく、検体搬送装置の搬送機構が物理的に故障し、サービスマンによる修理が必要であるような重篤なトラブルを指す。
【0020】
図1は、本実施の形態にかかる検体ラック搬送システムを備える検体処理システム100の全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体ラック搬送システム100は、検体投入回収装置2と、検体搬送装置3a,3b,3c,4と、システム制御装置8と、を備えている。また、検体処理システム1は、検体ラック搬送システム100と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、を備えている。また、本実施の形態にかかる検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0021】
<検体投入回収装置2の構成>
図2は、本実施の形態にかかる検体投入回収装置2の構成を示す平面図である。検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21と、前処理ユニット22と、検体回収ユニット(ラック回収部)23,24を備えている。当該検体投入回収装置2は、複数の検体容器が収納された検体ラックを載置することができる。かかる検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21および前処理ユニット22により構成された検体投入ユニット群2Aと、検体回収ユニット23,24から構成された検体回収ユニット群2Bとを有している。
【0022】
図3は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、図4は、サンプルラックLの外観を示す斜視図である。図3に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコード(検体バーコード)が印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコード(ラックバーコード)が印刷されている。
【0023】
図2に示すように、検体投入ユニット21は、検体容器Tが収容されたサンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部211を有している。このラック載置部211は、長方形状をなしており、複数のサンプルラックLを同時に載置することが可能である。なお、サンプルラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック載置部211に載置される。ラック載置部211には、サンプルラックLを検出するためのセンサ212、213と、サンプルラックLを移送するための係合部211aとが設けられている。センサ212および213は、光学式センサであり、センサ212は発光部212aと受光部212bとを、センサ213は発光部213aと受光部213bとをそれぞれ備えている。発光部212aはラック載置部211の左前側の位置に配置され、受光部212bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。また、発光部213aはラック載置部211の左後側の位置に配置され、受光部213bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。発光部212aは、右斜め後方へ向けて光を発するように配置されており、受光部212bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。また、発光部213aは、右斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部213bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLによって、発光部212aまたは213aから発せられた光が遮られ、受光部212bまたは213bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ212または213により検出される。ラックセンサ212,213で検出されたサンプルラックLは、係合部211aに係合され、係合部211aがサンプルラックLに係合した状態で前後方向へ移動することで、ラック載置部211上でサンプルラックLが移送されるようになっている。
【0024】
ラック載置部211の最も奥側(後方)の位置は、左側へサンプルラックLを送出するためのラック送出位置214とされている。かかるラック送出位置214には、左右方向へ移動可能な突出部215が設けられている。この突出部215は、ラック送出位置214にサンプルラックLが移送されるまでは、ラック送出位置214の右端近傍の位置に待機しており、ラック送出位置214にサンプルラックLが到達すると、左方向へ移動する。かかる突出部215に押されて、サンプルラックLは左方向へ移送される。またこのラック送出位置214の左右両側の壁は欠落している。したがって、突出部215に押されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21から送出されることとなる。図2に示すように、検体投入ユニット21の左側には前処理ユニット22が設けられており、前処理ユニット22の右側の壁の一部が欠落していて、これにより、ラック送出位置214から送出されたサンプルラックLは前処理ユニット22に導入される。
【0025】
また、ラック載置部211の前方には、2つの平行なベルトコンベヤである第1搬送ライン216および第2搬送ライン217が設けられている。検体投入ユニット21のラック載置部211を取り囲む壁の第1搬送ライン216および第2搬送ライン217の左右両側の部分のそれぞれは欠落しており、サンプルラックLを第1搬送ライン216および第2搬送ライン217に搬入し、また第1搬送ライン216および第2搬送ライン217から他のユニットへサンプルラックLを搬出することが可能である。ラック載置部211の底面、第1搬送ライン216、および第2搬送ライン217の高さは揃えられており、概ね均一な平面が形成されている。また、検体投入ユニット21には、第1搬送ライン216または第2搬送ライン217に搬入されたサンプルラックLを後方へ移送するためのラック移送部218が設けられている。かかるラック移送部218は、横長の棒状をなしており、第2搬送ライン217からラック載置部211の前後方向の中間位置までの範囲内で前後方向に移動可能となっている。第1搬送ライン216または第2搬送ライン217に搬入されたサンプルラックLの前側に配置されたラック移送部218が後方へ移動することにより、ラック移送部218がサンプルラックLの前面に当接し、さらにラック移送部218が後方へ移動することにより、サンプルラックLが後方へ押動される。これによって係合部211aを越える位置までサンプルラックLが後方へ移送され、その後係合部211aによりサンプルラックLがラック送出位置214まで移送される。このように、検体投入ユニット21は、第1搬送ライン216または第2搬送ライン217により搬入されたサンプルラックLをそのまま右側の検体回収ユニット23へ送出することも可能であるし、第1搬送ライン216または第2搬送ライン217にあるサンプルラックLをラック送出位置214まで移送した後、左側の前処理ユニット22に送出することも可能である。
【0026】
かかる構成の検体投入ユニット21は、CPUおよびメモリ等からなる制御部21aを備えている。この制御部21aにより、上述した検体投入ユニット21の機構が制御される。また、検体投入ユニット21は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。検体投入ユニット21には、操作パネル21bが設けられている。ユーザはこの操作パネル21bを操作して、検体処理システム1に検体処理開始の指示または終了の指示を与えることができる。
【0027】
検体投入ユニット21の左側には、前処理ユニット22が接続されている。ラック送出位置214から左側に送出されたサンプルラックLは、前処理ユニット22に搬入される。かかる前処理ユニット22は、複数のサンプルラックLを収容可能な平面視四角形状のラック載置部221を備えている。また前処理ユニット22は、ラック載置部221の奥側にバーコード読取部22bを備えている。かかるバーコード読取部22bは、サンプルラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードを同時に読出すことが可能であり、しかもサンプルラックLのラックバーコードを読出すことも可能である。かかるバーコード読取部22bには、検体容器T検出用の光学センサが設けられており(図示せず)、サンプルラックLがバーコード読取部22bによるバーコード読取位置に到達したときに、当該光学センサによって検体容器Tの有無が検出される。また、バーコード読取部22bは、ラック載置部221における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構(図示せず)を備えている。ラック投入ユニット21のラック送出位置214から送出されたサンプルラックLは、前処理ユニット22に左方向へ搬入され、バーコード読出位置に到達する。その後、サンプルラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構により水平回転されながら、バーコード読取部22bによってバーコードラベルBL1から検体IDが読み出され、サンプルラックLのバーコードラベルBL2からラックIDが読み出される。
【0028】
サンプルラックLがバーコード読取位置に到達したとき、上述した光学センサによって検体容器Tの有無が検出され、バーコード読取部22bにより各検体容器Tの検体バーコードが複数回連続して読み取られる。複数回読み出された各検体IDのデータが一致している場合に、検体バーコードの読み取りが成功したとされ、検体IDおよび読み取られたラックIDがシステム制御装置8へ送信される。
【0029】
ラック載置部221の左右の壁のそれぞれからは係合部221aが突出している。かかる係合部221aは、バーコード読取部22bにより検体バーコードおよびラックバーコードが読み取られたサンプルラックLに係合し、前方へ移動する。これによってサンプルラックLがラック載置部221上を前方へ移動することとなる。ラック載置部221の最も前側の位置は、ラック送出位置222とされている。このラック送出位置222の前側には、ベルトコンベヤである搬送ライン223が設けられており、搬送ライン223とラック送出位置222との間には壁状の仕切り部224が突設されている。仕切り部224には左右方向へ移動可能な突出部225が設けられている。この突出部225は、ラック送出位置222にサンプルラックLが移送されるまでは、ラック送出位置222の右端近傍の位置に待機しており、ラック送出位置222にサンプルラックLが到達した後に、左方向へ移動する。かかる突出部225に押されて、サンプルラックLは左方向へ移送される。またこのラック送出位置222の左右両側の壁は欠落している。したがって、突出部225に押されたサンプルラックLは、前処理ユニット22から送出されることとなる。図1に示すように、前処理ユニット22の左側には検体搬送装置3aが接続されており、ラック送出位置222は、後述する検体搬送装置3aの追い越しラインと直線的に連なっている。これにより、ラック送出位置222から送出されたサンプルラックLは検体搬送装置3aの追い越しラインに導入される。
【0030】
また、ラック送出位置222の近傍には、ラックバーコード読み取り用のバーコードリーダ222aが設けられている。ラック送出位置222に搬送されたサンプルラックLのラックIDがこのバーコードリーダ222aによって読み取られ、読み取られたラックIDはシステム制御装置8へ送信される。システム制御装置8は、後述するように、このラックIDを受信し、これによって当該サンプルラックLの搬送先を決定する。
【0031】
また、搬送ライン223の左右両側の壁も欠落しており、搬送ライン223は、後述する検体搬送装置3aの帰還ラインおよび前述した検体投入ユニット21の第2搬送ライン217と直線的に連なっている。これにより、搬送ライン223は検体搬送装置3aの帰還ラインからサンプルラックLを受け入れ、このサンプルラックLを検体投入ユニット21の第2搬送ライン217へ搬出する。
【0032】
かかる構成の前処理ユニット22は、CPUおよびメモリ等からなる制御部22aを備えている。この制御部22aにより、上述した前処理ユニット22の機構が制御される。また、前処理ユニット22は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0033】
検体投入ユニット21の右側には、検体回収ユニット23,24が左右に並設されている。検体投入ユニット21は、最も左側の検体回収ユニット23と接続されている。これらの検体回収ユニット23,24のそれぞれは、ラック投入ユニット21と同様の構成とされている。つまり、検体回収ユニット23,24は、サンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部231,241、ラック載置部231,241に載置されたサンプルラックLを後方へ移送するための係合部231a,241a、サンプルラックLを検出するためのセンサ232,233,242,243と、ラック載置部231,241の前側に設けられ、サンプルラックLを横方向へ搬送するための第1搬送ライン236,246および第2搬送ライン237,247、並びに第1搬送ライン236,246または第2搬送ライン237,247に搬入されたサンプルラックLをラック載置部231,241へ移送するためのラック移送部238,248を備えている。検体回収ユニット23,24は、第1搬送ライン236,246が直線的に連なり、且つ、第2搬送ライン237,247が直線的に連なるように接続されている。
【0034】
このような検体回収ユニット23,24のそれぞれは、CPUおよびメモリ等からなる制御部23a,24aを備えている。これらの制御部23a,24aにより、上述した検体回収ユニット23,24の機構が制御される。また、検体回収ユニット23,24のそれぞれは、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0035】
検体回収ユニット24は、必要な測定が完了したサンプルラックLを回収するために用いられる。また、検体回収ユニット23は、検体搬送装置3a,3b,3cにおいてトラブルが発生し、必要な測定が未完了のサンプルラックLを回収するために用いられる。
【0036】
<検体搬送装置3a,3b,3cの構成>
次に、検体搬送装置3a,3b,3cの構成について説明する。図1に示すように、検体ラック搬送システム100は、検体搬送装置3a,3b,3cを備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,52,53の前方には、各別に検体搬送装置3a,3b,3cが配置されている。隣り合う検体搬送装置は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3aは、上述した検体投入回収装置2に接続されており、検体投入回収装置2から搬出されたサンプルラックLを導入し、また検体投入回収装置2へサンプルラックLを送出することが可能となっている。
【0037】
図5は、検体搬送装置3a,3b,3cの構成を示す平面図である。ここでは、測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送装置3aについて説明するが、測定ユニット52,53の前側にそれぞれ配置されている検体搬送装置3b,3cも同様の構成となっている。図5に示すように、検体搬送装置3aは、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。
【0038】
搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、対応する測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2、検体搬送装置3a,3bのいずれか)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3b、3c、検体搬送装置4のいずれか)へとサンプルラックLを搬出するラック追い越し搬送部321と、搬送下流側の装置(検体搬送装置3b,3c、検体搬送装置4のいずれか)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2、検体搬送装置3a,3bのいずれか)にサンプルラックLを搬出するラック帰還搬送部331と、を備えている。ラック追い越し搬送部321とラック帰還搬送部331は、ラックを搬送するための搬送ベルトと、搬送ベルトを駆動させるステッピングモータを、をそれぞれ備える。ラック追い越し搬送部321は、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送下流方向に駆動させることでサンプルラックLを搬送する。また、ラック帰還搬送部331は、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送上流方向に駆動させることでサンプルラックLを搬送する。
【0039】
また、発光部と受光部とからなる光学式センサ34a、34bにより、分析後ラック保持部34にあるサンプルラックLが検出されると、ラック送込機構34cがサンプルラックLの後端に係合した状態で移動し、サンプルラックLが、ラック追い越し位置321a、ラック帰還位置331aのいずれかに位置づけられる。ラック追い越し位置321a、ラック帰還位置331aのそれぞれの近傍には、センサ321b、331bが備えられており、サンプルラックLがそれぞれの位置に位置づけられたことを検知可能である。
【0040】
制御部32は、CPU、ROM、およびRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54およびシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0041】
検体搬送装置3aは、検体投入回収装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLをラック送り込み部33bによって分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の対応する測定ユニット51(52,53)へと供給することができる。分析前ラック送出位置323の近傍には、サンプルラックLが位置323に位置づけられたことを検知可能なセンサ324が備えられている。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、このサンプルラックLに保持されている検体が搬送方向下流側の測定ユニット52若しくは53により測定され、または塗抹標本作製装置6によって塗抹標本の作製に供される必要がある場合には、ラック追い越し搬送部321へと移送され、ラック追い越し搬送部321により、後段の装置へ搬出される。また、分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLに保持されている検体の全てについて、搬送方向下流側の測定ユニット52,53による測定および塗抹標本作製装置6による塗抹標本の作製の必要がない場合には、当該サンプルラックLはラック帰還搬送部331へと移送され、ラック帰還搬送部331により、前段(搬送方向上流側)の装置へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット52,53または塗抹標本作製装置6にて処理する検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から受け入れた場合は、ラック追い越し搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X1方向へと搬送され、後段の装置3へそのまま搬出される。検体投入回収装置2によって回収されるサンプルラックLを後段の装置から受け入れた場合は、ラック帰還搬送部331によってこのサンプルラックLが矢印X2方向へと搬送され、前段の検体投入回収装置2または検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0042】
なお、搬送機構31のうち、ラック送込部33b、ラック搬送部35およびラック送出部39は、血液分析装置5の情報処理ユニット54により制御される。搬送機構31のその他の部分は、制御部32により制御される。
【0043】
<検体搬送装置4の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置4が配置されている。この検体搬送装置4は、その右側端が検体搬送装置3cと接続されている。
【0044】
図6は、検体搬送装置4の構成を示す平面図である。検体搬送装置4は、検体を搬送する搬送機構41と、搬送機構41を制御する制御部42とを備えている。搬送機構41は、塗抹標本の作製が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な処理前ラック保持部43と、塗抹標本作製装置6によって検体が吸引された検体容器Tを保持するサンプルラックLを一時的に保持することが可能な処理後ラック保持部44と、検体を塗抹標本作製装置6に供給するために、サンプルラックLをX1方向へ水平に直線移動させ、処理前ラック保持部43から受け付けたサンプルラックLを処理後ラック保持部44へ搬送するラック搬送部45と、搬送上流側の検体搬送装置3cからサンプルラックLを搬入し、当該サンプルラックLをX1方向へ搬送するラック追い越し搬送部421と、検体の塗抹標本の作製が完了したサンプルラックLを検体投入回収装置2に回収させるために、搬送上流側の検体搬送装置3cへと当該サンプルラックLを搬出するラック帰還搬送部431とを備えている。なお、検体搬送装置4は、構成部品の大きさ、形状および位置が検体搬送装置3a,3b,3cと異なっているが、機能は同様であるので、その構成についての説明を省略する。
【0045】
検体搬送装置4は、上流側の検体搬送装置3cから搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部421により導入し、図示しないラック送出部により処理前ラック保持部43へ移送し、このサンプルラックLを処理前ラック保持部43からラック搬送部45へと送出し、さらにラック搬送部45によって搬送することにより、検体を塗抹標本作製装置6へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部45により搬送され、図示しないラック送出部により処理後ラック保持部44へ送出される。処理後ラック保持部44に保持されたサンプルラックLは、ラック帰還搬送部431へと移送され、ラック帰還搬送部431により、前段(搬送方向上流側)の検体搬送装置3cへ搬出される。
【0046】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
【0047】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
【0048】
図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3aのラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0049】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0050】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、および希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0051】
検出部513は、RBC(赤血球)検出およびPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBCおよびPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりRBCおよびPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりWBCの測定が行われる。RBC、PLT、HGB、およびWBCは、測定項目CBC(complete blood count)が指定されたときに測定される。
【0052】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接および離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向および前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、検体供給位置に位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0053】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516aおよび検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0054】
測定ユニット52および53は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、および検体容器搬送部を備えているが、測定ユニット52の検出部は測定ユニット51の検出部513と異なり、CBCだけでなく、白血球の5分類(測定項目DIFF)が可能である。さらに詳しくは、測定ユニット52の検出部は、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、およびMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。かかる測定ユニット52の検出部では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、およびWBCの測定が行われる。
【0055】
測定ユニット53の検出部は、測定ユニット51および52の検出部と異なり、CBCおよびDIFFに加え、網状赤血球(RET)の測定が可能である。RETの測定は、RET測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部のWBC/DIFF(白血球5分類)検出用の光学検出部に前記測定試料を供給することで行われる。
【0056】
次に、情報処理ユニット54の構成について説明する。情報処理ユニット54は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット54の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット54は、コンピュータ54aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ54aは、本体541と、画像表示部542と、入力部543とを備えている。本体541は、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、および画像出力インタフェース541hを備えており、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、および画像出力インタフェース541hは、バス541jによって接続されている。
【0057】
読出装置541eは、コンピュータを情報処理ユニット54として機能させるためのコンピュータプログラム544aを当該可搬型記録媒体544から読み出し、当該コンピュータプログラム544aをハードディスク541dにインストールすることが可能である。
【0058】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、サンプルラックLの検体容器Tから血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0059】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入回収装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。また、システム制御装置8は、検体処理システム1のそれぞれの装置の稼動状態を監視しており、それぞれの装置にトラブルが発生した場合には、即座に検知することができる。
【0060】
図9は、本実施の形態にかかるシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図9に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、および画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、および画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0061】
読出装置81eは、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aを可搬型記録媒体84から読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0062】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血液分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8へ送信し、また、血液分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。
【0063】
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、および血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体IDおよび実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
[検体処理システムの動作]
以下、本実施の形態にかかる検体処理システム1の動作について説明する。
【0065】
<検体投入回収装置2の検体搬出動作>
図10は、検体投入回収装置2の検体搬出動作の流れを示すフローチャートである。検体処理システム1による検体処理を開始する場合には、まずオペレータが検体投入ユニット21の操作パネル21bを操作して、検体処理の開始の指示を検体処理システム1に与える。この状態でサンプルラックLが検体投入ユニット21に投入されると、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLがセンサ212,213によって検出される(ステップS101)。検体投入ユニット21の制御部21aによって実行される制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、検体投入ユニット21の制御部21aは、センサ212,213によってサンプルラックLが検出された場合には、ステップS102の処理を実行する。
【0066】
ステップS102において、制御部21aは、係合部211aを駆動してサンプルラックLをラック送出位置214に至るまで後方へ移動させ、さらに突出部215を駆動して当該サンプルラックLを前処理ユニット22へ送出する(ステップS102)。
【0067】
ラック投入ユニット21のラック送出位置214から送出されたサンプルラックLは、前処理ユニット22に左方向へ搬入され、バーコード読出位置に到達する。前処理ユニット22の制御部22aは、サンプルラックLがバーコード読取位置に到達すると、バーコード読取部22bを制御してサンプルラックLに保持された各検体容器Tの検体IDおよび当該サンプルラックLのラックIDを読み取る(ステップS103)。サンプルラックLがバーコード読取位置に到達したとき、バーコード読取部22bの光学センサによって検体容器Tの有無が検出され、バーコード読取部22bにより各検体容器Tの検体バーコードが複数回連続して読み取られる。複数回読み出された各検体IDのデータが一致している場合、検体バーコードの読み取りが成功したとされる。このようにして、サンプルラックLに保持された全ての検体容器Tの検体バーコードから検体IDが読み取られ、サンプルラックLにおける保持位置と、その保持位置に保持されている検体容器から読み出された検体IDとが対応付けられて制御部22aに記憶される。
【0068】
次に制御部22aは、係合部221aを制御して、ラック載置部221上においてサンプルラックLを前方のラック送出位置222へ移送し(ステップS104)、記憶したラックID、保持位置および検体IDをシステム制御装置8へ送信する(ステップS105)。後述するように、ラックID、保持位置および検体IDを受信したシステム制御装置8は、検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行い、ラックID、保持位置および検体IDに対応付けて測定オーダを記憶する。
【0069】
制御部22aは、サンプルラックLがラック送出位置222に到達すると、バーコードリーダ222aを制御して、当該サンプルラックLのラックバーコードからラックIDを読み取り(ステップS106)、読み取られたラックIDを含む搬出指示要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS107)。システム制御装置8は、この搬出指示要求データを受信すると、同一のラックIDに対応付けられている測定オーダをハードディスクから検索し、ここから当該サンプルラックLの搬送先を決定し、決定された搬送先へサンプルラックLを搬送するための搬送指示データを前処理ユニット22へ送信する。制御部22aは、システム制御装置8から搬送指示データを受信するのを待機し(ステップS108においてNO)、搬送指示データを受信すると(ステップS108においてYES)、突出部225を制御してサンプルラックLをラック送出位置222から左方向へ送出し(ステップS109)、処理を終了する。
【0070】
新たなサンプルラックLが検体投入ユニット21に投入される都度、上記ステップS101〜S109の処理が実行される。
【0071】
<システム制御装置8の測定オーダ取得動作>
図11は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8は、前処理ユニット22から送信されたラックID、保持位置および検体IDを、通信インタフェース81gを介して受信する(ステップS111)。システム制御プログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aは、ラックID、保持位置および検体IDを受信すると、ステップ112の処理を実行する。
【0072】
ステップS112において、CPU81aは、検体IDを含む測定オーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信することによって、受信した全ての検体IDについて検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行う(ステップS112)。次にCPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS113においてNO)、測定オーダを受信すると(ステップS113においてYES)、ラックID、保持位置および検体IDに対応付けて測定オーダをハードディスク81dに記憶し(ステップS114)、処理を終了する。
【0073】
<システム制御装置8の第1搬送指示動作>
図12は、システム制御装置8の第1搬送指示動作の流れを示すフローチャートである。CPU81aは、搬出指示要求データ(ラックID)を、通信インタフェース81を介して受信すると(ステップS121)、受信したラックIDに対応付けられている測定オーダを、ハードディスク81dから検索する(ステップS122)。
【0074】
次いで、CPU81aは、トラブル情報を受信したか否かを判定する(ステップS123)。検体搬送装置3a,3b,3cおよび4は、故障などのトラブルが発生した場合、発生したトラブルの種別を示す情報(例えばトラブルコード)を含むトラブル情報をシステム管理装置8に送信する。CPU81aは、トラブル情報を受信していないと判定した場合(ステップS123においてNO)、最も効率的に検体の処理が可能な測定ユニット51,52,53を特定し、これをサンプルラックLの搬送先に決定する(ステップS124)。
【0075】
CPU81aは、サンプルラックLの搬送状況をリアルタイムで管理しており、いずれの測定ユニット51,52,53へ検体を供給すれば最も効率的に検体処理が行えるかを判定することができる。
【0076】
CPU81aは、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれに、分析前ラック保持部33にサンプルラックLが保持されているか否かを問い合わせることで、サンプルラックLの搬送状況を管理している。例えば、検体搬送装置3aの分析前ラック保持部33にサンプルラックLが保持されている場合、CPU81aは、測定ユニット51がサンプルラックLを受入不可能であると判定する。すなわち、ステップS124において、CPU81aは、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダに含まれる測定項目を測定可能であり、サンプルラックLを受入可能な測定ユニットを搬送先に決定する。
【0077】
CPU81aは、トラブル情報を受信したと判定した場合(ステップS123においてYES)、トラブル情報に基づき、検体搬送装置3aにおいてトラブルが発生しているか否かを判定する (ステップS125)。CPU81aは、検体搬送装置3aにおいてトラブルが発生していると判定した場合(ステップS125においてYES)、検体ラック搬送システム100におけるサンプルラックLの搬送動作を停止させ(ステップS126)、検体搬送装置3aにおけるトラブルの解消を待機する(ステップS127)。CPU81aは、当該検体搬送装置3aにおけるトラブルが解消されたと判定した場合(ステップS127においてYES)、ステップS121の処理を実行する。
【0078】
CPU81aは、検体搬送装置3aにおいてトラブルが発生していないと判定した場合、すなわち検体搬送装置3bまたは検体搬送装置3cにおいてトラブルが発生していると判定した場合(ステップS125においてNO)、サンプルラックLを搬送可能な搬送ユニットがあるか否か判定する(ステップS128)。ここで、CPU81aは、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目を測定可能な測定ユニットに、サンプルラックLを搬送可能であるか否かを判定する。
【0079】
以下、具体例として、検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合について説明する。検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合、測定ユニット52および測定ユニット53にサンプルラックLを搬送することができない。したがって、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目にDIFFまたはRETが含まれている場合、CPU81aは、サンプルラックLを搬送可能でないと判定する。一方、搬送サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目にDIFFまたはRETが含まれていない場合、CPU81aは、測定ユニット51にサンプルラックLを搬送可能であると判定する。
【0080】
CPU81aは、サンプルラックLを搬送可能な搬送ユニットがあると判定した場合(ステップS128においてYES)、サンプルラックLを測定可能な測定ユニットを搬送先に決定する(ステップS129)。上記具体例であれば、CPU81aは、サンプルラックLの搬送先を測定ユニット51に決定する。また、CPU81aは、サンプルラックLを搬送可能な搬送ユニットがないと判定した場合(ステップS128においてNO)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット23に決定する(ステップS130)。
【0081】
次いで、CPU81aは、搬送先にサンプルラックLを搬送するための指示を示す搬送指示データを、検体投入回収装置2と検体搬送装置3a,3b,3cへ送信し(ステップS130)、処理を終了する。この搬送指示データには、サンプルラックLのラックID並びにサンプルラックLに保持されている全検体の保持位置、検体IDおよび測定オーダが含まれている。上記具体例においては、CPU81aは、搬送指示データを、検体搬送装置3aと検体投入回収装置2へ送信する。
【0082】
<検体搬送装置3a,3b,3cの第1搬送動作>
図13は、検体搬送装置3a,3b,3cの第1搬送動作の流れを示すフローチャートである。前処理ユニット22の制御部22aは、搬送指示データを受信すると、突出部225を左側へ移動させて、ラック送出位置222にあるサンプルラックLを検体搬送装置3aのラック追い越し搬送部321に搬出する。一方、検体搬送装置3の制御部32は、搬送指示データを受信すると(ステップS131)、受信した搬送指示データに基づき、サンプルラックLの搬送先が、検体搬送装置に対応する測定ユニットであるか否かを判定する(ステップS132)。つまり、検体搬送装置3aの制御部32は、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット51であるか否かを、検体搬送装置3bの制御部32は、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット52であるか否かを、検体搬送装置3cの制御部32は、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット53であるか否かをそれぞれ判定する。
【0083】
制御部32は、搬送先が対応する測定ユニットであると判定した場合(ステップS132においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、追い越し搬送部321によってサンプルラックLを搬入し、ラック送出部322を前側に移動させて分析前ラック送出位置323に位置したサンプルラックLを分析前ラック保持部33に移動させる(ステップS133)。また制御部32は、サンプルラックLのラックID並びにサンプルラックLに保持されている全検体の保持位置、検体IDおよび測定オーダを含む測定指示データを情報処理ユニット54へと送信し(ステップS134)、処理を終了する。
【0084】
一方、制御部32は、搬送先が対応する測定ユニットでないと判定した場合(ステップS132においてNO)、サンプルラックLの搬送先が検体投入回収装置2であるか否か、すなわち搬送先が検体回収ユニット23または24であるか否かを判定する(ステップS135)。制御部32は、搬送先が検体投入回収装置2(検体回収ユニット23または24)であると判定した場合(ステップS135においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、ラック送込部34cによってサンプルラックLをラック帰還搬送部331へと移送し、ラック帰還搬送部331により、サンプルラックLを前段の装置へ搬出し(ステップS136)、処理を終了する。制御部32は、搬送先が検体投入回収装置2(検体回収ユニット23または24)でないと判定した場合(ステップS135においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、ラック追い越し搬送部321によってサンプルラックLを搬入し、そのまま後段の装置へサンプルラックLを搬出し(ステップS137)、処理を終了する。
【0085】
ここで、搬送先がラック回収ユニット23であるサンプルラックLが、前処理ユニット22によって搬出されるときの検体搬送装置3aによる搬送動作について説明する。
【0086】
分析後ラック保持部34のセンサ34a,34bによってサンプルラックLが検知されていない場合、検体搬送装置3aは、前処理ユニット22から搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321によってラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック帰還搬送部331によって検体投入回収装置2に搬出する。
【0087】
一方、分析後ラック保持部34のセンサ34a,34bによってサンプルラックLが検知されている場合には、センサ34a,34bによるサンプルラックLの検知と、前処理ユニット22のバーコードリーダ222aによるラックIDの読み取りのいずれが早かったかによって検体搬送装置3aの動作が異なる。
【0088】
まず、センサ34a,34bによるサンプルラックLの検知のほうが早かった場合、前処理ユニット22は、サンプルラックLの搬出を待機する。一方、検体搬送装置3aは、分析後ラック保持部34のサンプルラックLを、ラック送り込み機構34cによってラック追い越し位置321aまたはラック帰還位置331aに移送し、ラック追い越し搬送部321またはラック帰還搬送部331によってサンプルラックLを搬送する。その後、前処理ユニット22は、サンプルラックLを搬出し、検体搬送装置3は、搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321によってラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック帰還搬送部331によって検体投入回収装置2に搬送する。
【0089】
次に、前処理ユニット22のバーコードリーダ222aによるラックIDの読み取りのほうが早かった場合、検体搬送装置3aは、分析後ラック保持部34に移送されるサンプルラックLを分析後ラック保持部34において待機させておき、検体投入回収装置2から搬出されたサンプルラックLを、ラック追い越し搬送部321によってラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック帰還搬送部331によって検体投入回収装置2に搬送する。その後、検体搬送装置3aは、ラック送り込み機構34cによって分析後ラック保持部34のサンプルラックLをラック帰還位置331aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック追い越し位置321aまたはラック帰還位置331aに移送し、ラック追い越し搬送部321またはラック帰還搬送部331によってサンプルラックLを搬送する。
【0090】
図14は、システム制御装置8の搬送先変更処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、トラブルが発生時に検体搬送装置に投入されているサンプルラックLの搬送先を変更するための処理である。
【0091】
システム制御装置8のハードディスク81dには、検体搬送装置に投入されているサンプルラックLの搬送先が記憶されている。CPU81aは、検体搬送装置からトラブル情報を受信すると(ステップS141)、サンプルラックLの搬送先をハードディスク81dから検索する(S142)。次いで、CPU81aは、ステップS142における検索結果に基づき、トラブル発生時に投入されていたサンプルラックLを、搬送先に搬送できるか否かを判定する(ステップS143)。
【0092】
例えば、検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合、測定ユニット51にサンプルラックLを搬送することはできるが、測定ユニット52,53にサンプルラックLを搬送することができない。したがって、CPU81aは、検体搬送装置3bにトラブルが発生している場合において、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット51であるとき、サンプルラックLを搬送先に搬送できると判定する。一方、CPU81aは、サンプルラックLの搬送先が測定ユニット52または53であるとき、CPU81aは、サンプルラックLを搬送先に搬送できないと判定する。
【0093】
CPU81aは、サンプルラックLを搬送先に搬送できないと判定した場合(ステップS143においてYES)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット23に変更し(ステップS144)、搬送指示データを検体投入回収装置2および検体搬送装置3a,3b,3cに送信し(ステップS145)、処理を終了する。また、CPU81aは、サンプルラックLを搬送先に搬送できると判定した場合(ステップS143においてNO)についても、処理を終了する。
【0094】
<血液分析装置5のラック搬送制御動作>
図15は、血液分析装置5のラック搬送制御動作の流れを示すフローチャートである。血液分析装置5の情報処理ユニット54のCPU541aは、検体搬送装置3a,3b,3cに設けられているラックセンサにより分析前ラック保持部33においてサンプルラックLを検出し(ステップS151)、且つ、検体搬送装置3a,3b,3cから測定指示データを受信すると(ステップS152)、ステップS153の処理を実行する。
【0095】
ステップS153において、CPU541aは、ラック送込部33bを後方へ移動させ、サンプルラックLをラック搬送部35に移送する。次に、CPU541aは、ラック搬送部35を駆動制御し、検体容器Tが検体供給位置に位置するようサンプルラックLを搬送する(ステップS154)。
【0096】
後述する検体分析動作において、検体供給位置に位置する検体容器TはサンプルラックLから抜き出され、測定ユニット内部に取り込まれて、検体が検体容器Tから吸引され、検体の分析が行われる。測定ユニット内部における検体の吸引が完了すると、検体容器TはサンプルラックLに返却される。そして、CPU541aはサンプルラックL内の全ての検体容器Tの取り込みが完了したか否かを判定する(ステップS155)。CPU541aは、サンプルラックL内の全ての検体容器Tの取り込みが完了していないと判定した場合(ステップS155においてNO)、すなわちまだ取り込まれていない検体容器Tが存在する場合にはラック搬送部35を駆動制御して、次の検体容器Tが検出された保持位置が検体供給位置に位置するようサンプルラックLを搬送し(ステップS156)、処理をステップS155へと戻す。
【0097】
ステップS155において、CPU541aは、サンプルラックLに保持されている全ての検体容器Tの取り込みが完了したと判定した場合には(ステップS155においてYES)、ラック搬送部35を駆動制御し、サンプルラックLを分析後ラック送出位置391に至るまで搬送し、さらにラック送出部39を駆動制御し、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ移送し(ステップS157)、サンプルラックLのラックIDを含む測定完了通知データを対応する検体搬送装置へ送信し(ステップS158)、処理を終了する。
【0098】
<血液分析装置5の検体分析動作>
図16は、血液分析装置5の検体分析動作の流れを示すフローチャートである。なお、上述した血液分析装置5のラック搬送制御動作と、本検体分析動作とは、マルチタスク処理により平行して実行される。CPU541aは、サンプルラックLに保持された検体容器Tが検体供給位置に到達すると(ステップS171)、ステップS172の処理を実行する。
【0099】
ステップS172において、CPU541aは、測定ユニットの検体容器搬送部515を制御して、検体供給位置に位置した検体容器Tを、サンプルラックLから抜き出して測定ユニットの内部に取り込む(ステップS172)。さらにCPU541aは、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌した後、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送し、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS173)。
【0100】
その後、CPU541aは、測定指示データに含まれる測定オーダを使用して、検体の測定を実行する(ステップS174)。
【0101】
CPU541aは、測定に必要な量の検体を検体容器Tから吸引し、測定試料を調製し、検体の測定を開始した後に、測定ユニットの検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを測定ユニットからサンプルラックLへ返却する(ステップS175)。この後、上記のラック搬送制御動作において、ラック搬送部35が制御され、サンプルラックLがX1方向へ搬送される。またCPU541aは、検体を測定して得られた測定データを処理し、検体の分析結果を取得する(ステップS176)。次いで、CPU541aは、得られた分析結果を、システム制御装置8および検査情報管理装置9へ送信し(ステップS177)、処理を終了する。
【0102】
<システム制御装置8の第2搬送指示動作>
図17は、システム制御装置8の第2搬送指示動作の流れを示すフローチャートである。後述するように、検体の測定が完了し、分析後ラック送出位置391から分析後ラック保持部34に移送されたサンプルラックLは、センサ34a,34bによって検出される。また、情報処理ユニット54から送信された測定完了通知データが対応する検体搬送装置によって受信される。このとき、当該検体搬送装置は、サンプルラックLのラックIDを含む搬送指示要求データをシステム制御装置8へ送信する。システム制御装置8のCPU81aは、搬送指示要求データを受信すると(ステップS191)、ハードディスク81dから搬送指示要求データに含まれるラックIDに対応する分析結果を検索する(ステップS192)。
【0103】
CPU81aはサンプルラックLに保持されている検体の中に、再測定または鏡検が必要な検体が含まれているか否かを判定する(ステップS193)。CPU81aは、再測定または鏡検が必要な検体が含まれていないと判定した場合(ステップS193においてNO)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット24に決定する(ステップS194)。CPU81aは、再検査または鏡検が必要な検体が含まれていると判定した場合(ステップS193においてYES)、トラブル情報を受信しているか否かを判定する(ステップS195)。トラブル情報を受信していないと判定した場合(ステップS195においてNO)、CPU81aは、処理をステップS198に進める。
【0104】
CPU81aは、トラブル情報を受信していると判定した場合(ステップS195においてYES)、サンプルラックLの検体の再測定が可能な測定ユニットまたは塗沫標本作製装置6にサンプルラックLを搬送できるか否かを判定する(ステップS196)。具体的には、検体搬送装置3bにおいてトラブルが発生しており、サンプルラックLが測定ユニット51で測定され、測定ユニット52または53で再測定する必要がある検体が含まれている場合、CPU81aは、サンプルラックLをいずれの測定ユニットにも搬送できないと判定する。
【0105】
CPU81aは、再測定が可能な測定ユニットまたは塗沫標本作製装置6にサンプルラックLを搬送できないと判定した場合(ステップS196においてNO)、サンプルラックLの搬送先を検体回収ユニット23に決定する(ステップS197)。CPU81aは、再測定が可能な測定ユニットまたは塗沫標本作製装置6にサンプルラックLを搬送できると判定した場合(ステップS196においてYES)、測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6を搬送先に決定する(ステップS198)。
【0106】
上述のようにサンプルラックLの搬送先が決定された後、CPU81aは、決定した搬送先へサンプルラックLを搬送するための指示を示す搬送指示データを検体投入回収装置2、検体搬送装置3a,3b,3cへ送信し(ステップS199)、処理を終了する。
【0107】
<検体搬送装置3a,3b,3cの第2搬送動作>
図18は、検体搬送装置3a,3b,3cの第2搬送動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、サンプルラックLがラック送出部39によって分析後ラック保持部34に移送されると、ラックセンサによってサンプルラックLが検出される(ステップS211)。また、サンプルラックLがラック送出部39によって分析後ラック保持部34に移送されるときに、情報処理ユニット54からラ送信される測定完了通知データを受信する(ステップS212)。制御部32は、ラックセンサにより分析後ラック保持部34においてサンプルラックLを検出し、且つ、情報処理ユニット54から測定完了通知データを受信すると、ステップS213の処理を実行する。
【0108】
ステップS213において、制御部32は、サンプルラックLのラックIDを含む搬送指示要求データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS213)。前述したように、システム制御装置8は、搬送指示要求データを受信すると、サンプルラックLの搬送先を決定し、その搬送先へサンプルラックLを搬送するための搬送指示データを検体搬送装置3a,3b,3cへ送信する。制御部32は、搬送指示データの受信を待機し(ステップS214においてNO)、搬送指示データを受信すると(ステップS214においてYES)、搬送指示データにおいて示される搬送先が後段の測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6であるか否かを判定する(ステップS215)。制御部32は、搬送指示データにおいて示される搬送先が後段の測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6である場合には(ステップS215においてYES)、搬送機構31を駆動制御し、ラック送込部34bによってサンプルラックLをラック追い越し搬送部321へ移送し、その後追い越し搬送部321によってサンプルラックLを搬送方向下流側へ搬出し(ステップS216)、処理を終了する。
【0109】
また、制御部32は、搬送指示データにおいて示される搬送先が後段の測定ユニットまたは塗抹標本作製装置6でないと判定した場合、即ち、搬送先が検体回収ユニット23または24のであると判定した場合には(ステップS215においてNO)、搬送機構31を駆動制御し、ラック送込部34bによってサンプルラックLをラック帰還搬送部331へと移送し、ラック帰還搬送部331により、サンプルラックLを前段の装置へ搬出し(ステップS217)、処理を終了する。
【0110】
検体搬送装置3b,3cまたは4のラック帰還搬送部331からこれより搬送方向上流側の装置へサンプルラックLが搬出された場合には、サンプルラックLを搬入した装置がラック帰還搬送部331によりサンプルラックLを搬送方向上流側へ搬送し、さらに上流側の装置へサンプルラックLを搬出する。
【0111】
<検体投入回収装置2のラック分別回収動作>
図19は、検体投入回収装置2のラック分別回収動作の流れを示すフローチャートである。このラック分別回収動作は、検体投入ユニット21および検体回収ユニット23,24のそれぞれの制御部が実行する動作であり、ステップS221において、前述した搬送指示データをシステム制御装置8から受信することによって開始される。以下、検体回収ユニット23の制御部23aが実行するラック分別回収動作について説明する。
【0112】
検体回収ユニット23の制御部23aは、前述した搬送指示データをシステム制御装置8から受信すると(ステップS221)、帰還ライン、前処理ユニット22の搬送ライン223および第2搬送ライン217を経由して第2搬送ライン237に搬入されたサンプルラックLの搬送先が検体回収ユニット23であるか否かを、搬送指示データに基づいて判定する(ステップS222)。制御部23aは、搬送先が検体回収ユニット23であると判定した場合(ステップS222においてYES)、ラック移送部238を駆動して第2搬送ライン237に搬入されたサンプルラックLをラック載置部231へと移送し(ステップS223)、処理を終了する。これにより、サンプルラックLが検体回収ユニット23に回収される。
【0113】
制御部23aは、搬送先が検体回収ユニット23でないと判定した場合(ステップS222においてNO)、第2搬送ライン237を駆動してサンプルラックLを搬送方向上流側(X2方向)へ搬送し、検体回収ユニット24へサンプルラックLを第2搬送ライン247側に搬出する(ステップS224)。
【0114】
上述したように、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100では、最上流の検体搬送装置3aを除く複数の検体搬送装置3b,3c,4のいずれかにおいてトラブルが発生しても、システム全体の検体ラック搬送動作が停止することがない。そのため、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100によると、トラブルが発生した場合であっても、検体測定の効率を向上させることが可能である。
【0115】
また、ユーザは、トラブルが解消すると、必要な測定が未完了のサンプルラックLを、手作業で検体投入ユニット21に投入する必要がある。ここで、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100では、サンプルラックLが、検体投入ユニット21に隣接する検体回収ユニット23に回収される。したがって、本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100では、ユーザによるサンプルラックLの再投入が容易である。
【0116】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、検体投入回収装置2の構成とサンプルラックLの回収先が異なる。
【0117】
図20は、本実施の形態にかかる検体投入回収装置2の平面図である。図21に示すように、本実施の形態にかかる検体投入回収装置2は、検体投入ユニット21と、前処理ユニット22と、回収ユニット23と、を備える。本実施形態において、必要な測定が未完了のサンプルラックLは検体投入ユニット21に搬送され、必要な測定が完了したサンプルラックLは回収ユニット23に搬送される。
【0118】
システム制御装置8は、トラブルが解消されると、検体投入回収装置2に搬送指示を送信する。その後の処理は、実施の形態1における検体投入回収装置2の検体搬出動作のステップS103〜S109の処理と同様であるのでその説明を省略する。
【0119】
本実施形態にかかる検体ラック搬送システム100においては、必要な測定が未完了のサンプルラックLを自動的に検体ラック搬送システム100に再投入することができる。これにより、ユーザによる検体ラック搬送システム100へのサンプルラックLの再投入の手間を省くことができる。
【0120】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、システム制御装置8のコンピュータ8aがサンプルラックLの回収先を決定し、決定された回収先に基づいて検体回収ユニットの制御部がラック移送部および第2搬送ラインの動作を制御することにより、サンプルラックLの分別回収が行われているが、本発明はこれに限定されるものではない。サンプルラックLの回収先の決定処理とラック移送部および第2搬送ラインの動作の制御処理とを1つのコンピュータ(制御部)で実行することにより、サンプルラックLの分別回収を行ってもよい。
【0121】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体または尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0122】
また、上述した実施の形態においては、血液分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53および情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは1つでも複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPUおよびメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
【0123】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0124】
上述した実施の形態においては、具体例として、検体搬送装置3bにトラブルが発生した場合について説明した。しかし、当然ながら、検体搬送装置3cにトラブルが発生した場合についても、上記実施形態にかかる検体ラック搬送システム100は、同様の処理を実行する。
【0125】
なお、検体搬送装置3cにトラブルが発生した場合であって、システム制御装置8の第1搬送指示においてサンプルラックLの搬送先が検体回収ユニット23に決定された場合、サンプルラックLは、前処理ユニット22から検体搬送装置3aに搬出され、検体搬送装置3aが、検体投入回収装置2から送出されたサンプルラックLを、ラック追い越し位置321aに移送し、ラック送り込み機構34cによってラック帰還位置331aに移送し、ラック搬送部35によって検体投入回収装置2に搬出するようにしてよい。
【0126】
また、上述した実施の形態においては、サンプルラックLに保持された測定オーダの測定項目にDIFFが含まれており、検体測定装置3bにトラブルが発生している場合、搬送先は検体回収ユニット23に決定される。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目にCBCとDIFFが含まれている場合、サンプルラックLの搬送先を測定ユニット51に決定してもよい。この場合、測定ユニット51においてはCBCのみが測定され、その後、システム制御装置8によって、サンプルラックLの搬送先が検体回収ユニット23に決定されても良い。このように、測定ユニットにおいて測定可能な測定項目については測定するようにすることで、検体の処理効率を向上させることができる。なお、検体測定装置3cにトラブルが発生している場合であって、サンプルラックLに保持された検体の測定オーダの測定項目に、RETとCBCまたはDIFFが含まれている場合についても同様である。
【0127】
また、上記した実施の形態におけるトラブルは、サービスマンによる修理が必要であるような重篤なトラブルであるが、本発明はこれに限らず、検体ラックの搬送ミスなどの軽微なトラブルであってもよい。
【0128】
また、上記した実施の形態において、検体搬送装置3a,3b,3cは、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送下流方向に駆動させることでサンプルラックLを搬送するラック追い越し搬送部321と、ステッピングモータにより搬送ベルトを搬送上流方向に駆動させことでサンプルラックLを搬送するラック帰還搬送部331をそれぞれ備える。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、検体搬送装置3a,3b,3c,4が、搬送ベルトと、搬送ベルトを駆動させるステッピングモータを備え、搬送ベルトの駆動方向を搬送下流方向と搬送上流方向に切り替え可能な単一の搬送部によりサンプルラックを搬送するよう構成されてもよい。この場合、システム制御装置8によって搬送可能な測定ユニットがあると判定されたサンプルラックLは、前処理ユニット22によって検体搬送装置3aに搬出され、搬送下流方向に駆動する搬送ベルトによって分析前ラック送出位置323に搬送され、ラック送り込み部33bによって分析前ラック保持部33に送り込まれる。測定が完了すると、サンプルラックLは、分析後ラック保持部34からラック送り込み機構34cによってラック追い越し位置321aに送り込まれ、搬送上流方向に駆動する搬送ベルトによってラック回収ユニット24に搬送される。一方、システム制御装置8によって搬送可能な測定ユニットがないと判定されたサンプルラックLは、前処理ユニット22によって検体搬送装置3aに一旦搬出され、搬送上流方向に駆動する搬送ベルトによってラック回収部23に搬送される。ここで、システム制御装置8によって搬送可能な測定ユニットがないと判定されたサンプルラックLは、前処理ユニット22からラック回収部23に直接搬送されるようにしてもよい。
【0129】
また、上記した実施の形態において、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれが、下流にラックを搬送するラック追い越し搬送部321と上流にラックを搬送するラック帰還搬送部331の両方を備えている。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれが、上流にラックを搬送する機構を備えるユニットと下流にラックを搬送する機構を備えるユニットから構成されてもよい。すなわち、検体搬送装置3a,3b,3cのそれぞれが、少なくとも追い越し搬送部321を備える第一の検体搬送ユニットと少なくともラック帰還搬送部331を備える第二の検体搬送ユニットから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 検体処理装置
100 検体ラック搬送システム100
2 検体投入回収装置
23,24 検体回収ユニット
3a,3b,3c 検体搬送装置
5 血液分析装置
51,52,53 測定ユニット
54 情報処理ユニット
8 システム制御装置
9 検査情報管理装置
L サンプルラック
T 検体容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体ラックを搬送するための搬送路、検体ラックを搬送路から測定装置に供給する供給機構、および測定装置に供給された検体ラックを搬送路に送り込む送込機構を備えた複数の搬送装置と、
複数の搬送装置のうち上流側に位置する搬送装置に検体ラックを投入するラック投入装置と、
検体ラックを回収するラック回収装置と、
各検体ラックの搬送先の測定装置を決定し、決定された測定装置に検体ラックを搬送するとともに、測定の完了した検体ラックをラック回収装置に回収するようにラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
制御装置は、一の搬送装置において異常が発生し、異常が生じた搬送装置以外の所定の搬送装置によって所定の測定装置に検体ラックの搬送が可能な場合、ラック投入装置による検体ラックの投入を継続し、所定の測定装置に搬送する検体ラックについては、所定の搬送装置を介して所定の測定装置に供給し、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収するとともに、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックについては、所定の搬送装置を介してラック回収装置に回収するように、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する検体ラック搬送システム。
【請求項2】
搬送路は、第一搬送路と第一搬送路と逆方向に検体ラックを搬送する第二搬送路を含み、供給機構は検体ラックを第一搬送路から測定装置に供給し、送込機構は測定装置に供給された検体ラックを第一搬送路または第二搬送路に送り込み、
ラック投入装置は、上流側に位置する搬送装置の第一搬送路に検体ラックを投入し、
ラック回収装置は、搬送装置の第二搬送路を介して検体ラックを回収する請求項1に記載の検体ラック回収装置。
【請求項3】
ラック回収装置が、ラック投入装置の近傍に配置される請求項または2に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項4】
ラック回収装置は、検体ラックを回収する第一および第二回収部を備え、
制御装置は、測定が完了した検体ラックを第一回収部に回収し、測定が未完了の検体ラックを第二回収部に回収するようにラック回収装置を制御する請求項1〜3のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項5】
制御装置は、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収し、測定が未完了の検体ラックをラック投入装置に回収するようにラック回収装置およびラック投入装置を制御し、
前記異常が解消すると、ラック投入装置に回収された検体ラックを搬送装置に自動的に投入するようラック投入装置を制御する請求項1〜3のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項6】
測定オーダを記憶する記憶装置を備え、
ラック投入装置が、検体ラックに収容された検体容器に付された識別情報を取得する識別情報取得部を備え、
制御装置は、取得した識別情報と測定オーダとに基づいて検体ラックの搬送先を決定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項7】
制御装置は、測定装置への検体ラックの供給状況を取得し、取得した供給状況に基づいて検体ラックの搬送先を決定する請求項1〜6のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項8】
制御装置は、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置と通信可能に接続され、
搬送装置は、異常が発生すると、異常が発生したことを示す異常情報を制御装置に送信し、
制御装置は受信した異常情報に基づき、異常情報受信前に投入された検体ラックを搬送先の測定ユニットに搬送可能であるか否かを判定し、搬送可能でない場合、当該検体ラックをラック回収装置に回収するように各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する請求項1から7のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項9】
制御装置は、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックを、ラック投入ユニットから直接ラック回収装置に回収するように、ラック投入ユニットおよびラック回収装置の動作を制御する請求項1に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項1】
検体ラックを搬送するための搬送路、検体ラックを搬送路から測定装置に供給する供給機構、および測定装置に供給された検体ラックを搬送路に送り込む送込機構を備えた複数の搬送装置と、
複数の搬送装置のうち上流側に位置する搬送装置に検体ラックを投入するラック投入装置と、
検体ラックを回収するラック回収装置と、
各検体ラックの搬送先の測定装置を決定し、決定された測定装置に検体ラックを搬送するとともに、測定の完了した検体ラックをラック回収装置に回収するようにラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
制御装置は、一の搬送装置において異常が発生し、異常が生じた搬送装置以外の所定の搬送装置によって所定の測定装置に検体ラックの搬送が可能な場合、ラック投入装置による検体ラックの投入を継続し、所定の測定装置に搬送する検体ラックについては、所定の搬送装置を介して所定の測定装置に供給し、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収するとともに、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックについては、所定の搬送装置を介してラック回収装置に回収するように、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する検体ラック搬送システム。
【請求項2】
搬送路は、第一搬送路と第一搬送路と逆方向に検体ラックを搬送する第二搬送路を含み、供給機構は検体ラックを第一搬送路から測定装置に供給し、送込機構は測定装置に供給された検体ラックを第一搬送路または第二搬送路に送り込み、
ラック投入装置は、上流側に位置する搬送装置の第一搬送路に検体ラックを投入し、
ラック回収装置は、搬送装置の第二搬送路を介して検体ラックを回収する請求項1に記載の検体ラック回収装置。
【請求項3】
ラック回収装置が、ラック投入装置の近傍に配置される請求項または2に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項4】
ラック回収装置は、検体ラックを回収する第一および第二回収部を備え、
制御装置は、測定が完了した検体ラックを第一回収部に回収し、測定が未完了の検体ラックを第二回収部に回収するようにラック回収装置を制御する請求項1〜3のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項5】
制御装置は、測定が完了した検体ラックをラック回収装置に回収し、測定が未完了の検体ラックをラック投入装置に回収するようにラック回収装置およびラック投入装置を制御し、
前記異常が解消すると、ラック投入装置に回収された検体ラックを搬送装置に自動的に投入するようラック投入装置を制御する請求項1〜3のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項6】
測定オーダを記憶する記憶装置を備え、
ラック投入装置が、検体ラックに収容された検体容器に付された識別情報を取得する識別情報取得部を備え、
制御装置は、取得した識別情報と測定オーダとに基づいて検体ラックの搬送先を決定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項7】
制御装置は、測定装置への検体ラックの供給状況を取得し、取得した供給状況に基づいて検体ラックの搬送先を決定する請求項1〜6のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項8】
制御装置は、ラック投入装置、各搬送装置およびラック回収装置と通信可能に接続され、
搬送装置は、異常が発生すると、異常が発生したことを示す異常情報を制御装置に送信し、
制御装置は受信した異常情報に基づき、異常情報受信前に投入された検体ラックを搬送先の測定ユニットに搬送可能であるか否かを判定し、搬送可能でない場合、当該検体ラックをラック回収装置に回収するように各搬送装置およびラック回収装置の動作を制御する請求項1から7のいずれか一項に記載の検体ラック搬送システム。
【請求項9】
制御装置は、異常が生じた搬送装置を介して他の測定装置に搬送する必要のある検体ラックを、ラック投入ユニットから直接ラック回収装置に回収するように、ラック投入ユニットおよびラック回収装置の動作を制御する請求項1に記載の検体ラック搬送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−209218(P2011−209218A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79195(P2010−79195)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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