検体検査システム
【課題】 従来に比してシステムの構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定結果の取得に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体に対して自動的に再検を実行することが可能な検体検査システムを提供する。
【解決手段】
検体検査システム1は、検体搬送装置3と、検体検査装置5と、検査情報管理装置9とを備える。検査情報管理装置9は、初検の検査結果に基づいて再検の要否を決定し、決定結果を検体検査装置5へ送信する。検体搬送装置9は、検体の初検のために当該検体を検体検査装置5へと搬送した後、再検の要否が判定される前に、所定位置を越えて検体を進めないように、検体を搬送する。また、検体の再検が必要であると判定されると、搬送方向を反対方向へと切り換えて、当該検体を検体検査装置5に取り込ませるための位置へ搬送する。
【解決手段】
検体検査システム1は、検体搬送装置3と、検体検査装置5と、検査情報管理装置9とを備える。検査情報管理装置9は、初検の検査結果に基づいて再検の要否を決定し、決定結果を検体検査装置5へ送信する。検体搬送装置9は、検体の初検のために当該検体を検体検査装置5へと搬送した後、再検の要否が判定される前に、所定位置を越えて検体を進めないように、検体を搬送する。また、検体の再検が必要であると判定されると、搬送方向を反対方向へと切り換えて、当該検体を検体検査装置5に取り込ませるための位置へ搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を搬送し、搬送された検体を検査装置で検査する検体検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者等の被験者から採取された血液又は尿等の検体を検査する検体検査システムが知られている。かかる検体検査システムには、自動的に検体を検査装置へ搬送し、検査装置によって当該検体に対する第1回目の検査(初検)を行い、初検の結果が正常な範囲を逸脱する場合には、自動的に検体を検査装置へと搬送し、検査装置によって当該検体に対する第2回目の検査(再検)を行うものが存在する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、1次分析を行うための第1血液分析装置と、2次分析を行うための第2血液分析装置と、検体容器が収容されたラックを、第1血液分析装置及び第2血液分析装置の各々の検体供給位置に搬送する機能を有する搬送装置とを備えたシステムが開示されている。このシステムでは、第1血液分析装置による1次分析は、全ての検体試料について行われるとともに、第2血液分析装置による2次分析は、1次分析の結果に基づいて詳細な分析が必要と判断された検体試料のみについて行われる。
【0004】
また、特許文献2には、多機器臨床作業セルの複数の検体−処理機器の各々と共に使用するようになっている検体−搬送モジュールが開示されている。かかる検体−搬送モジュールは、関連した検体−処理機器の吸引プローブによって接近されるべき位置に検体−容器ラックを支持するための検体−吸引ステーションと、このモジュールからラックが取り除かれるべき位置で複数のラックを支持するための排出バッファ等を画定するハウジングを備える。この検体−搬送モジュールは、投入された検体−容器ラックを検体−吸引ステーションに搬送し、および、そのラック内の容器のすべてまたは選択された1つからの所望の検体吸引の後に、排出バッファにラックを配送する働きをする。また、この検体−搬送モジュールは、排出バッファへの配送時に、第1の試験結果が特定の標本の第2の吸引が必要とされることを示す場合または、第1の試験結果が明らかに誤りである場合のように、ラックをリフレックス試験または反復試験のために検体−吸引ステーションに戻すことが可能である。かかる検体−搬送モジュールでは、排出バッファへラックを押し込むためのX/Y可動トラックが設けられており、対象の検体に対する反復検査またはリフレックス検査を行うために、このラックの排出待ち行列内の最後の検体−容器ラックを取り出すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−275567号公報
【特許文献2】特表2007−527011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているシステムにあっては、2次分析用の第2血液分析装置が必要となるため、システムが複雑化するという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2には、検体−搬送モジュールに設けられたX/Y可動トラックが排出待ち行列内の最後の検体−容器ラックを取り出し、X/Y可動トラックに取り出された検体−容器ラックが検体−吸引ステーションに戻されることが開示されている。しかしながら、リフレックス試験又は反復試験を行う必要があると判定されるまでに想定された以上の時間を要すると、その判定された時点で、リフレックス試験又は反復試験を行う必要がある検体が保持された検体−容器ラックが排出バッファ内の奥に押し込まれ、当該検体−容器ラックの後ろに他の検体−容器ラックが押し込まれている場合がある。このような場合に当該検体−容器ラックを自動的に検体−吸引ステ−ションヘ戻す技術については、上記特許文献2に開示されていない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来に比してシステムの構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体に対して自動的に再検を実行することが可能な検体検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体検査システムは、第1位置と第2位置とを経由して検体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により前記第1位置に搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して第1検査を実行し、前記第1検査の検査結果に基づいて、前記第1位置に搬送された前記検体を再度取り込み、取り込んだ検体に対して第2検査を実行することが可能な検査装置と、検体の第2検査が必要であるか否かを判定する要否判定手段と、前記第1検査が完了した検体について前記要否判定手段により前記第2検査の要否が判定される前に前記検体が前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御し、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御する搬送制御手段と、を備える。
【0010】
この態様においては、前記搬送制御手段が、前記検体が前記第2位置に到達したときに前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査の要否が判定されていない場合には、前記第2位置で前記検体を待機させるよう前記搬送装置を制御することが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、前記第1位置と前記第2位置とを経由して検体を搬送するための搬送路に沿って、検体を搬送可能に構成され、前記搬送制御手段が、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記搬送路に沿って前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記要否判定手段により前記第2検査が不要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記第1位置側から前記第2位置を越えて前記検体を搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記検体が前記第2位置に到達する前に前記検体を前記第1位置へ搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、複数の検体が保持された検体ラックを搬送するように構成されており、前記搬送制御手段が、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された全ての検体について、前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされるまでは、前記検体ラックが前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定されたときは、当該他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記検査装置による前記第1検査が行われておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると決定されたときは、前記検査装置に前記他の検体について前記第2検査を行わせるために、前記他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記搬送装置により搬送されている検体について、予め定められた所定期間内に前記要否判定手段により前記第2検査の要否判定がなされなかったときには、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、前記搬送路上の検体を前記第1位置から前記第2位置へと向かう第1搬送方向及び前記第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向へ搬送可能な搬送機構と、検体を前記搬送路へ送り込む送り込み部と、前記搬送路から検体を受け取る受け取り部と、を具備することが好ましい。
【0019】
また、上記態様においては、前記第2位置が前記搬送路の前記第1搬送方向についての終端位置であり、前記搬送機構が、前記終端位置に到達した検体を前記受け取り部へ送出する送出機構を有し、前記終端位置に到達した検体を前記送出機構により前記受け取り部へ送出することにより、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送するように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、上記態様においては、前記検体検査システムが、前記搬送装置から搬送された検体を受け取って搬送する第2搬送装置と、前記第2搬送装置により搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して所定の処理を行う検体処理装置と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る検体検査システムによれば、従来に比してシステムの構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体に対して自動的に再検を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る検体検査システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】第1搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】第1搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る検体検査装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態に係る検査情報管理装置の構成を示すブロック図。
【図11】実施の形態に係るシステム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図12A】実施の形態に係るシステム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図12B】実施の形態に係るシステム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図13】実施の形態に係る検体搬送装置の制御部による制御処理の流れを示すフローチャート。
【図14A】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる第1搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図14B】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる第1搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図15】搬送管理テーブルの構造を示す模式図。
【図16A】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる検体の検査処理の手順を示すフローチャート(前半)。
【図16B】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる検体の検査処理の手順を示すフローチャート(後半)。
【図17】実施の形態に係る情報処理ユニットによる再検要否決定通知受付処理の流れを示すフローチャート。
【図18】実施の形態に係る検査情報管理装置による測定オーダ提供処理の流れを示すフローチャート。
【図19】実施の形態に係る検査情報管理装置による検査結果受付処理の流れを示すフローチャート。
【図20】実施の形態に係る検査情報管理装置による再検結果受付処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
本実施の形態は、検査装置と、複数の検体を収容したサンプルラックを搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって搬送された検体に対して検査装置によって第1回目の検査(初検)を行った後、第2回目の検査(再検)の要否の判定が行われるまで搬送装置の所定位置を越えないように所定の第1搬送方向へ当該検体ラックを搬送し、再検が必要と判定された場合に、検査装置によって検体の再検を実行させるために第1搬送方向と反対の第2搬送方向へ検体を搬送する検体検査システムである。
【0025】
[検体検査システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体検査システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体検査システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3と、検体搬送装置301と、検体収容装置4と、検体検査装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体検査システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0026】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、バーコード読取ユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。バーコード読取ユニット22は、検体投入ユニット21と検体送出ユニット23との間に配置されており、検体投入ユニット21に投入された検体は、バーコード読取ユニット22を経由して検体送出ユニット23へ移送されるように構成されている。検体投入ユニット21及び検体送出ユニット23は、複数の検体容器を収納した後述するサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。
【0027】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0028】
上述したバーコード読取ユニット22は、回転装置が設けられたバーコードリーダ22aを備えており、かかる回転装置によって、サンプルラックLに保持されている複数の検体容器TをサンプルラックLに収容したまま水平方向に回転させながら検体容器Tの検体バーコードを読み取るように構成されている。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコードリーダ22aに対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコードリーダ22aへ向けることができ、バーコードリーダ22aに検体バーコードを読み取らせることが可能である。
【0029】
また、検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、バーコード読取ユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。検体投入装置2の制御部2aは、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット23に搬送され、検体送出ユニット23から検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0030】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体検査システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。検体検査装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを受け入れることが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0031】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を検体検査装置5の測定ユニット51へ供給するための第1搬送機構31と、検体を下流側の検体搬送装置3(又は検体搬送装置310)へ搬送するための第2搬送機構32と、第2搬送機構を制御する制御部300とを備えている。第1搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、サンプルラックLを図中矢印X1方向(左方向)及び矢印X2方向(右方向)へ水平に直線移動するラック搬送部35と、サンプルラックLの有無を検出するラックセンサ37と、検体容器Tの有無を検出する検体容器センサ38と、第2搬送機構32へサンプルラックLを送出するラック送出部39とを備えている。
【0032】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、第2搬送機構32に連なっており、後述する第2搬送機構32のラック送出部322によって、第2搬送機構32からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。第2搬送機構32から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で図中Y1方向(後方。ラック搬送部35に近接する方向。)へ移動することにより、サンプルラックLがY1方向へと移送される。これにより、分析前ラック保持部33上のサンプルラックLは、ラック搬送部35の右端の送り込み位置35aまでY1方向へ搬送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0033】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって送り込み位置35aに移送されたサンプルラックLを、前記X1方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体検査装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35bが存在する。ラック搬送部35は、検体供給位置35bに検体が搬送されるように、送り込み位置35aにあるサンプルラックLを搬送可能に構成されている。ラック搬送部35により検体供給位置35bに検体が搬送された場合には、後述する検体検査装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、当該検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込んで検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。かかる検体供給位置35bに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0034】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y1方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y1方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX1方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351eによりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X1方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352eによりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X2方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0035】
ラックセンサ37及び検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。ラックセンサ37及び検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0036】
上記のような構成のラック搬送部35により、ラック搬送部35の左端の位置(以下、「分析後ラック送出位置」という。)391までサンプルラックLが搬送される。この分析後ラック送出位置391の近傍には、接触型のラックセンサ391aが設けられており、ラック搬送部35により搬送されたサンプルラックLがラック送出位置391に到達したときには、当該ラックセンサ391aによってサンプルラックLが検出される。上記のようなラックセンサ37,391a及び検体容器センサ38の出力信号は後述する検体検査装置5の情報処理ユニット52に与えられる。
【0037】
ラック送出部39は、ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するように配置されており、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y2方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の分析後ラック送出位置391にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移送することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、第1搬送機構31から第2搬送機構32へ送出される。
【0038】
第2搬送機構32は、ラック搬送部321と、ラック送出部322と、分析後ラック保持部34とを備えている。ラック搬送部321は、図中矢印X1方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X1方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X1方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX1方向へ移動可能である。また、ラック送出部322は、分析前ラック保持部33の前側に、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するように配置されており、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y1方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。また、ラック搬送部321は、X1方向と反対のX2方向へは駆動されない。このように、ラック搬送部321が一方向(X1方向)にのみ駆動可能な構成とすることで、検体搬送装置3の構成の複雑化及び検体搬送装置3の大型化が抑制される。
【0039】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で図中Y2方向(前方。ラック搬送部321に近接する方向。)へ移動することにより、サンプルラックLがY2方向へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0040】
上記のような構成の第2搬送機構32は、制御部300によって制御される。一方、第1搬送機構31は、後述する検体検査装置5の情報処理ユニット52により制御される。制御部300は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された第2搬送機構32の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部300は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0041】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、第2搬送機構32によって分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により第1搬送機構の分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を検体検査装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35によりX1方向へ搬送され、分析後ラック送出位置391へと移送される。後述するように、この分析後ラック送出位置391に到達する前にサンプルラックLに保持されている検体について再検が必要と判断された場合には、検体検査装置5による再検を行うために、即座にラック搬送部35の搬送方向がX1方向からX2方向へ切り換えられ、当該検体が検体供給位置35bへと移送される。また、分析後ラック送出位置391にサンプルラックLが到達したときに、当該サンプルラックLに保持されている検体の少なくとも1つについて再検の要否が決定されていない場合には、再検の要否が決定されるまでサンプルラックLが分析後ラック送出位置391で待機させられ、再検が必要と決定されたときには、検体の再検を行うためにサンプルラックLがラック搬送部35によりX2方向へ搬送される。一方、再検が不要と判断されたとき又はタイムアウトのときには、分析後ラック送出位置391のサンプルラックLがラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、第2搬送機構32のラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、この第2搬送機構32のラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0042】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0043】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0044】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0045】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0046】
<検体検査装置5の構成>
検体検査装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血液分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる検体検査装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0047】
検体検査装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、2つの測定ユニット51,51及び3つの検体搬送装置3,3,3と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51及び3つの第1搬送機構31,31,31の動作をそれぞれ制御可能である。
【0048】
また、3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0049】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0050】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。また、検出部513では、上記のシースフローDC検出法によるPLTの測定とは別に、光学式フローサイトメトリー法による血小板(PLT−O)の測定が可能である。
【0051】
上記のWBC、RBC、PLT、及びHGBは、CBC項目と呼ばれる測定項目に含まれており、WBC、RBC、PLT、HGB、NEUT、LYMPH、EO、BASO、及びMONOは、CBC+DIFF項目と呼ばれる測定項目に含まれている。
【0052】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y1、Y2方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、検体供給位置35bに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0053】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y1及びY2方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0054】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0055】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体検査用並びに測定ユニット51及び第1搬送機構31の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0056】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0057】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0058】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0059】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0060】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0061】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0062】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0063】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介して検査情報管理装置9に通信可能に接続されている。
【0064】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0065】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0066】
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0067】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン302a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0068】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像表示装置(図示せず)へと送出される。
【0069】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体検査システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLのラックID及び当該サンプルラックLに保持されている検体の検体IDを受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0070】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0071】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0072】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0073】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ8aにデータを入力することが可能である。
【0074】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、上方処理ユニット52、及び検査情報管理装置9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0075】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)である。検査情報管理装置9は、測定オーダ及び再検オーダを記憶し、他の装置からの要求に応じて測定オーダ又は再検オーダを提供する。また、初検の検査結果に基づいて再検の要否を決定し、再検が必要な場合には再検項目を決定して再検オーダを生成する。
【0077】
図10は、検査情報管理装置9の構成を示すブロック図である。検査情報管理装置9は、コンピュータ9aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ9aは、本体91と、画像表示部92と、入力部93とを備えている。本体91は、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hを備えており、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hは、バス91jによって接続されている。
【0078】
ハードディスク91dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU91aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する検査情報管理プログラム94aも、このハードディスク91dにインストールされている。
【0079】
また、ハードディスク91dには、測定オーダデータベースDB1が設けられている。測定オーダデータベースDB1には、測定オーダが登録される。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データを測定オーダデータベースDB1から読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。また、測定オーダデータベースDB1には、再検オーダも登録される。再検オーダには、検体ID及び再検項目の情報が含まれている。後述するように検査情報管理装置9が再検オーダを生成すると、この再検オーダが測定オーダデータベースDB1に登録される。また、測定オーダデータベースDB1では、再検オーダであることを特定する情報が、各再検オーダに対応付けられて格納される。これにより、測定オーダデータベースDB1に登録されているデータが、測定オーダであるか再検オーダであるかを識別可能となっている。
【0080】
また、ハードディスク91dには、検査結果データベースDB2が設けられている。検査結果データベースDB2には、検体分析装置による検体の検査結果及び再検結果が記憶される。検査結果には、検体ID、検体の分析によって得られた各種の数値データ(RBC、PLT、HGB、WBC、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO等)並びにスキャッタグラム及びヒストグラム等の分布図データが含まれている。検査情報管理装置9は、接続された検体検査装置から検査結果又は再検結果を受信した場合に、当該検査結果又は再検結果を検査結果データベースDB2に登録する。また、検査情報管理装置9は、オペレータから与えられた指示に応じて、検査結果データベースDB2から検体の検査結果又は再検結果を読み出し、かかる検査結果又は再検結果を画像表示部92に表示する。また、検査結果データベースDB2では、再検結果であることを特定する情報が、各再検結果データに対応付けられて格納される。これにより、検査結果データベースDB2に登録されているデータが、初検の検査結果であるか再検結果であるかを識別可能となっている。
【0081】
読出装置91eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体94に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体94には、コンピュータを検査情報管理装置9として機能させるための検査情報管理プログラム94aが格納されており、コンピュータ9aが当該可搬型記録媒体94から検査情報管理プログラム94aを読み出し、当該検査情報管理プログラム94aをハードディスク91dにインストールすることが可能である。
【0082】
入出力インタフェース91fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース91fには、キーボード及びマウスからなる入力部93が接続されており、ユーザが当該入力部93を使用することにより、コンピュータ9aにデータを入力することが可能である。
【0083】
通信インタフェース91gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース91gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ9aは、通信インタフェース91gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0084】
なお、検査情報管理装置9のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
以下、本実施の形態に係る検体検査システム1の動作について説明する。
【0086】
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル(図示せず)を操作して、検体検査システム1に処理開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる処理開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。分析開始の指示を受け付けた後、検体投入装置2のセンサにより、検体投入装置2上のサンプルラックLが検出される。このようにセンサによってサンプルラックLが検出されたときに、検体投入装置2の制御部によりこのサンプルラックLに番号(以下、「ラックシーケンシャル番号」という。)が割り当てられる。なお、ラックシーケンシャル番号は、センサによって検出された順に各サンプルラックLに対して割り当てられる。この後、検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0087】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、搬送路上を左方向へ移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。読み取られたラックID及び検体IDは、制御部2aによりシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLが移送される。制御部2aは、検体送出ユニット23が受け入れたサンプルラックLを検体送出ユニット23上で移送する。その後、検体投入装置2が、ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0088】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0089】
システム制御装置8の測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとして検査情報管理装置9に測定オーダを問い合わせて測定オーダを取得する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0090】
図11は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダにより読み出した検体ID及びラックID並びに当該ラックIDによって特定されるサンプルラックLに割り当てられたラックシーケンシャル番号をシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID、検体ID及びラックシーケンシャル番号は、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。CPU81aにおいて、ラックシーケンシャル番号、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0091】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックID及びラックシーケンシャル番号に対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS104)。
【0092】
次に、CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて、測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS105)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS105においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダを検査情報管理装置9に要求する。一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS105においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0093】
システム制御装置8から検体投入装置2への第1搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックIDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へサンプルラックLの搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0094】
図12Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0095】
ステップS112において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS112)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS113)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0096】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS114)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(第1搬送機構31又は第2搬送機構32)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、サンプルラックLのラックシーケンシャル番号、当該サンプルラックLにおいて検体が保持されている保持位置、及び当該サンプルラックLに保持されている全検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3の第1搬送機構31である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして第1搬送機構を示すデータがセットされる。一方、これより後段の検体搬送装置3の第1搬送機構31が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして第2搬送機構を示すデータがセットされる。後述するように、この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0097】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS115においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS115においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS116)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS117においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS117においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS118においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS118においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0098】
システム制御装置8から検体搬送装置3への第2搬送指示処理
次に、システム制御装置8から検体搬送装置3に送信される第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、何れかの検体搬送装置3にサンプルラックLの搬送指示が与えられる。図12Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS131)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS132の処理が呼び出される。
【0099】
ステップS132において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS132)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS133においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS133においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS134)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS135においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS135においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS136においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS136においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0101】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4に対しても、システム制御装置8は上述と同様の第2搬送指示処理を実行する。
【0102】
<検体搬送装置3の制御部300の動作>
ここでは、検体検査装置5の前方に配置された検体搬送装置3の制御部300の動作について説明する。図13は、制御部300による第2搬送機構32の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部300により受信される(ステップS201)。制御部300のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部300においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0103】
ステップS202において、制御部300は、第2搬送機構32のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS202)。搬入準備が完了したときには、制御部300は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0104】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが第2搬送機構32に搬入される(ステップS204)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部300は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS205)。
【0105】
次に、制御部300は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、第1搬送機構31及び第2搬送機構32のいずれを示しているか、すなわち、第1搬送機構31及び第2搬送機構32のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS206)。ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが第1搬送機構31を示している場合、すなわち、第1搬送機構31が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「第1搬送機構」)、制御部300は、ラック搬送部321を制御して、分析前ラック送出位置へサンプルラックLを搬送し(ステップS207)、その後、ラック送出部322を駆動して、第1搬送機構31の分析前ラック保持部33へサンプルラックLを送り込む(ステップS208)。さらに、制御部300は、情報処理ユニット52へ、サンプルラックLの搬送開始を指示する搬送開始指示データを送信する(ステップS209)。
【0106】
その後、後述するように第1搬送機構31によってサンプルラックLが搬送され、検体が測定ユニット51に供給される。サンプルラックLが保持する全ての検体の測定が完了した後、このサンプルラックLは第1搬送機構31によってさらに搬送され、分析後ラック保持部34に送出される。また、このとき、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送完了を通知するための搬送完了通知データが情報処理ユニット52から送信される。情報処理ユニット52から送信された搬送完了通知示データは、制御部300により受信される(ステップS210)。CPU521aにおいては、搬送完了通知データを受信するイベントが発生すると、ステップS211の処理が呼び出される。
【0107】
ステップS211において、制御部300は、ステッピングモータ34cを駆動することにより、ラック送込部34bを動作させ、これによって、サンプルラックLをラック搬送部321まで移送する(ステップS211)。次に、制御部300は、ステッピングモータ321bを駆動することにより、ラック搬送部321を動作させ、これによって、サンプルラックLをラック搬送部321上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS212)。その後、制御部300は、処理をステップS214へ移す。
【0108】
一方、ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが第2搬送機構32を示している場合、すなわち、第2搬送機構32が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「第2搬送機構」)、制御部300は、ラック搬送部321を制御して、サンプルラックLをラック搬送部321上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS213)。その後、制御部300は、処理をステップS214へ移す。
【0109】
ステップS214において、制御部300は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックシーケンシャル番号を含む搬出要求データを送信する(ステップS214)。その後、制御部300は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS215においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS215においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS216)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS217)。そして、制御部300は、処理を終了する。
【0110】
<検体検査装置5の動作>
次に、検体検査装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、検体搬送装置3と協調して第1搬送機構31の制御を行う。以下、情報処理ユニット52の第1搬送機構31の制御動作について説明する。
【0111】
図14A及び図14Bは、検体検査装置5の情報処理ユニット52による第1搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信された搬送開始指示データは、情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信される(ステップS301)。かかる搬送開始指示データには、当該サンプルラックLにおいて検体が保持されている保持位置、及び当該サンプルラックLに保持されている全検体の測定オーダが含まれている。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行されるコンピュータプログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、搬送開始指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0112】
ステップS302において、CPU521aは、RAM521aに搬送管理テーブルを作成する(ステップS302)。図15は、搬送管理テーブルの構造を示す模式図である。搬送管理テーブルTTは、テーブル形式のデータであり、サンプルラックLの保持位置1〜10のそれぞれに対応付けて、保持フラグを格納するフィールドF11及び再検フラグを格納するフィールドF12が設けられている。保持フラグは、対応する保持位置に検体容器Tが保持されているか否かを示すフラグであり、対応する保持位置に検体容器Tが保持されている場合には「1」が格納され、対応する保持位置に検体容器Tが保持されていない場合には「0」が格納される。一方、各再検フラグは、再検の要否を示すフラグであり、「0」がセットされていればその検体について再検が不要であることを示し、「1」がセットされていれば再検が必要であることを示している。ステップS302の処理においては、搬送開始指示データに基づき、サンプルラックLにおいて検体が保持されている保持位置に対応する保持フラグには「1」がセットされ、検体が保持されていない保持位置に対応する保持フラグには「0」がセットされる。
【0113】
上述のようにラック送出部322によって分析前ラック保持部33のラック検出位置33aにサンプルラックLが送り込まれると、このサンプルラックLがラックセンサ37により検出される。CPU521aは、ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されているか否かを判定し(ステップS303)、サンプルラックLが検出されていない場合には(ステップS303においてNO)、処理を終了する。一方、サンプルラックLが検出されている場合には(ステップS303においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ33cを駆動することにより、ラック送込部33bを動作させ、これによって、サンプルラックLを分析前ラック保持部33上で移送し、当該サンプルラックLを送り込み位置35aへ搬送する(ステップS304)。
【0114】
次に、CPU521aは、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS305)、受信した搬送開始指示データを参照し、保持位置iに検体が保持されているか否かを判定する(ステップS306)。保持位置iに検体が保持されている場合には(ステップS306においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ351eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、保持位置iの検体容器Tが検体供給位置35bに到達するまで、送り込み位置35a上に到達したサンプルラックLをX1方向へ移送し(ステップS307)、RAM521cに設けられた検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS308)。これにより、保持位置iに保持されている検体容器Tが検体供給位置35bに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。なお、検体吸引可能フラグの初期値は「0」である。かかる検体吸引可能フラグは、後述するように、検体の吸引が完了し、ハンド部515aにより検体容器TがサンプルラックLに戻された後に、再度「0」にセットされる。CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS309においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS309においてYES)、処理をステップS310へ進める。
【0115】
一方、ステップS306において保持位置iに検体が保持されていない場合には(ステップS306においてNO)、CPU521aは、処理をステップS310へ進める。ステップS310において、CPU521aは、RAM521cに記憶されている搬送管理テーブルTTを参照し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定する(ステップS310)。
【0116】
ステップS310において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には(ステップS310においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ352eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、再検フラグに「1」がセットされている検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLをX2方向へ移送し(ステップS311)、検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS312)。ステップS311の処理では、再検の要否結果が得られている検体は、常に保持位置iの検体(最後に初検が行われた検体)よりも先に測定(初検)が行われているため、再検対象の検体はX2方向へと搬送されることになる。その後、CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS313においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS313においてYES)、その検体の再検フラグに「0」をセットし(ステップS314)、処理をステップS310へ戻す。
【0117】
ステップS310において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在しない場合には(ステップS310においてNO)、CPU521aは、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS315)、iが10未満である場合には(ステップS315においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS316)、ステップS306へ処理を戻す。
【0118】
上記のステップS310〜S314の処理により、サンプルラックLに保持されている検体の全てについて初検が完了する前において、そのサンプルラックLに保持されている既に初検が完了した検体に再検が必要と判断された場合に、当該再検が必要と判断された検体がX2方向へ搬送されて検体供給位置35bに到達し、当該検体の再検が実施される。その後、再度X1方向へサンプルラックLが搬送され、初検を未実施の検体について初検が実施される。
【0119】
ステップS315において、iが10以上である場合には(ステップS315においてYES)、CPU521aは、ラック搬送部35のステッピングモータ351eを駆動してサンプルラックLをX1方向へ移送する(ステップS317)。これにより、保持している全ての検体の初検が完了したサンプルラックLがX1方向へ搬送される。
【0120】
次にCPU521aは、RAM521cに記憶されている搬送管理テーブルTTを参照し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定する(ステップS318)。ステップS318において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には(ステップS318においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ352eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、再検フラグに「1」がセットされている検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLをX2方向へ移送し(ステップS319)、検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS320)。ステップS319の処理では、サンプルラックLに保持されている検体の全てについて初検が完了しており、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391へ向けて搬送されている途中である。したがって、この時点において再検フラグに「1」がセットされた検体が存在した場合には、再検対象の検体を検体吸引位置35bに位置させるために、当該検体はX2方向へと搬送されることになる。ステップS320の処理の後、CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS321においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS321においてYES)、その検体の再検フラグに「0」をセットし(ステップS322)、処理をステップS317へ戻す。これにより、サンプルラックLが再度X1方向へ搬送される。
【0121】
ステップS318において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在しない場合には(ステップS318においてNO)、CPU521aは、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に到達しているか否かを判定する(ステップS323)。この処理では、ラックセンサ391aによって分析後ラック送出位置391にサンプルラックLが検出されることにより、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391へ到達されたと判定される。ステップS323において、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に到達していない場合には(ステップS323においてNO)、ステップS318へと処理を戻す。一方、ステップS323において、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に到達している場合には(ステップS323においてYES)、CPU521aはステッピングモータ351eを停止させ、サンプルラックLの搬送を停止する(ステップS324)。これにより、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に位置した状態が保持される。
【0122】
次に、CPU521aは計時を開始する(ステップ325)。続いて、CPU521aは、RAM521cに記憶されている搬送管理テーブルTTを参照し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定する(ステップS326)。つまり、CPU521aは、搬送管理テーブルTTにおいて、各検体の再検フラグに「1」がセットされているか否かを判定することにより、検体の再検の要否を判定する。ステップS326において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する(再検が必要な検体が存在する)場合には(ステップS326においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ352eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、再検フラグに「1」がセットされている検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLをX2方向へ移送し(ステップS327)、検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS328)。ステップS327の処理が実行されるときには、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に位置している状態となっている。したがって、この時点において再検フラグに「1」がセットされた検体が存在した場合には、再検対象の検体を検体吸引位置35bに位置させるために、当該検体はX2方向へと搬送されることになる。ステップS328の処理の後、CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS329においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS329においてYES)、その検体の再検フラグに「0」をセットし(ステップS330)、処理をステップS317へ戻す。これにより、サンプルラックLが再度X1方向へ搬送される。
【0123】
ステップS326において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在しない(再検が必要な検体が存在しない)場合には(ステップS326においてNO)、CPU521aは、サンプルラックLに保持された全検体について、再検の要否の決定が完了しているか否かを判定する(ステップS331)。この処理は、搬送管理テーブルTTにおいて、保持フラグが「1」にセットされている全ての保持位置に対応する再検フラグが「0」にセットされている場合に、サンプルラックLに保持された全検体について再検の要否の決定が完了していると判定され、保持フラグが「1」にセットされている保持位置の内の1つでも、対応する再検フラグが「0」にセットされていない場合には、サンプルラックLに保持された検体の少なくとも1つについて再検の要否の決定が完了していないと判定される。
【0124】
ステップS331において、サンプルラックLに保持された検体の少なくとも1つについて再検の要否の決定が完了していないと判定された場合には(ステップS331においてNO)、CPU521aは、ステップS325において計時を開始した時点から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS332)。所定時間が経過していない場合には(ステップS332においてNO)、CPU521aは、処理をステップS326へと戻す。CPU521aは、ステップS326、S331、S332の処理を繰り返すことにより、計時開始から所定時間が経過しない限り、サンプルラックLに保持された検体のうち再検の要否の決定が完了していない検体の再検の要否の決定がなされるまで、サンプルラックLを分析後ラック送出位置391に待機させる。
【0125】
ステップS331において、サンプルラックLに保持された全検体について再検の要否の決定が完了していると判定された場合には(ステップS331においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ39aを駆動して、ラック送出部39を動作させ、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ送出する(ステップS333)。なお、ステップS332において、ステップS325において計時を開始した時点から所定時間が経過していると判定された場合にも(ステップS332においてNO)、CPU521aは、タイムアウトであるとして、処理をステップS333に移し、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ送出する。その後、CPU521aは、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送完了を通知するための搬送完了通知データを検体搬送装置3の制御部300へ送信し(ステップS334)、処理を終了する。この搬送完了通知データを受信した検体搬送装置3の制御部300は、上述したように、サンプルラックLを搬送し、後段の装置へと搬出する。
【0126】
次に、検体検査装置5による検体の検査動作(分析動作)について説明する。図16A及び図16Bは、本実施の形態に係る検体検査装置5の情報処理ユニット52による検体の検査処理の手順を示すフローチャートである。まず、情報処理ユニット52のCPU521aは、定期的にRAM521cの検体吸引可能フラグをチェックする。CPU521aにおいて、検体吸引可能フラグに「1」がセットされているイベントが発生すると(ステップS341)、ステップS342の処理が呼び出される。
【0127】
ステップS342において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、検体供給位置35bにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS342)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS343)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS344)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS345)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS346)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gに検査情報管理装置9へ送信させ(ステップS347)、測定オーダ又は再検オーダを問い合わせる。再検オーダは、検査情報管理装置9によって検体の検査結果が解析され、再検が必要と決定された場合に生成されるデータであり、検体ID、及び再検を行うべき項目(再検項目)を示すデータを含んでいる。
【0128】
その後、CPU521aは、測定オーダ又は再検オーダの受信を待機し(ステップS348においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダ又は再検オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS348においてYES)、受信した測定オーダ又は再検オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS349)。
【0129】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS350)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目又は再検オーダに含まれる再検項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS351)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS352)、検体吸引可能フラグに「0」をセットする(ステップS353)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0130】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS354)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS355)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS356)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された検査結果データ又は再検結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS357)、また、検査情報管理装置9へ送信される(ステップS358)。初検の検査結果データが送信された場合には、検査情報管理装置9は、上述した測定オーダに検査結果データを統合してハードディスクに記憶し、また、再検の要否を決定する。再検が必要と決定された検体については、さらに再検項目が決定される。また、検査情報管理装置9は、上記のようにして送信された検査結果データ又は再検結果データを、検査結果データベースDB1に登録する。ステップS358の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0131】
次に、再検要否決定通知受付処理について説明する。図17は、情報処理ユニット52による再検要否決定通知受付処理の流れを示すフローチャートである。後述する検査情報管理装置9による検査結果データの解析処理により、検体の再検の要否が決定された場合には、検査情報管理装置9から再検要否決定結果通知データが送信される。かかる再検要否決定結果通知データは、検体毎のデータであり、再検の要否を示している。つまり、ある検体について再検が必要と決定された場合には、この検体IDと、再検が必要であることを示す情報とが含まれる再検要否決定結果通知データが検査情報管理装置9によって送信される。一方、ある検体について再検が不要と決定された場合には、この検体IDと、再検が不要であることを示す情報とが含まれる再検要否決定結果通知データが検査情報管理装置9によって送信される。
【0132】
検査情報管理装置9から再検要否決定結果通知データが送信されると、情報処理ユニット52の通信インタフェース521gによって当該再検要否決定結果通知データが受信される(ステップS361)。CPU521aにおいて、かかる再検要否決定結果通知データを受信するイベントが発生すると、ステップS362の処理が呼び出される。
【0133】
ステップS362において、CPU521aは、受信した再検要否決定結果通知データが、再検が必要であることを示しているか否かを判定する(ステップS362)。ステップS362において、当該再検要否決定結果通知データが、再検が必要であることを示している場合は(ステップS362においてYES)、CPU521aは、当該検体IDよりこの検体がサンプルラックLにおいて保持されている保持位置を取得し、搬送管理テーブルTTにおいて、取得された保持位置に対応する再検フラグに「1」をセットし(ステップS363)、処理を終了する。
【0134】
一方、ステップS362において、再検要否決定結果通知データが、再検が不要であることを示している場合は(ステップS362においてNO)、CPU521aは、ステップS363と同様に保持位置を取得し、搬送管理テーブルTTにおいて、取得された保持位置に対応する再検フラグに「0」をセットし(ステップS363)、処理を終了する。
【0135】
上記のように、再検要否決定通知受付処理により搬送管理テーブルTTが更新される。この処理によって再検フラグに「1」がセットされた保持位置に係る検体は、上記の搬送制御によって検体供給位置35bに搬送され、当該検体の再検が実施される。一方、再検フラグに「0」がセットされた保持位置に係る検体は、検体供給位置35bに搬送されることなく、当該検体の再検は行われない。
【0136】
<検査情報管理装置9の動作>
検査情報管理装置9は、情報処理ユニット52による測定オーダの問い合わせを受け付け、測定オーダを送信する。また、再検オーダが存在する検体については、再検オーダを送信する。以下、検査情報管理装置9の測定オーダ提供処理について説明する。
【0137】
図18は、検査情報管理装置9による測定オーダ提供処理の流れを示すフローチャートである。情報処理ユニット52から送信されたオーダ要求データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS401)。かかるオーダ要求データには、測定オーダ又は再検オーダが必要な検体の検体IDが含まれている。検査情報管理装置9のCPU91aにより実行される検査情報管理プログラム94aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU91aにおいては、オーダ要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0138】
ステップS402において、CPU91aは、測定オーダデータベースDB1から、受信されたオーダ要求データに含まれる検体IDに対応する測定オーダ又は再検オーダを検索する(ステップS402)。この処理では、当該検体IDに対応する測定オーダが存在し、再検オーダが存在しない場合には、測定オーダが測定オーダデータベースDB1から読み出され、当該検体IDに対応する再検オーダが存在する場合には、再検オーダが測定オーダデータベースDB1から読み出される。
【0139】
次にCPU91aは、オーダの要求元の情報処理ユニット52へ、読み出した測定オーダ又は再検オーダを通信インタフェース91gに送信させ(ステップS403)、処理を終了する。
【0140】
また検査情報管理装置9は、情報処理ユニット52から送信される検査結果データ又は再検結果データを受信し、受信した検査結果データ又は再検結果データを検査結果データベースDB2に記憶する。また、受信したデータが初検の検査結果データである場合には、当該検査結果データに基づいて再検の要否を決定し、再検が必要と決定された検体については、さらに再検項目を決定する。
【0141】
図19は、検査情報管理装置9による検査結果受付処理の流れを示すフローチャートである。情報処理ユニット52から送信された検査結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS411)。検査結果データには、当該データが初検の検査結果であることを示す情報が含まれており、再検結果データには、当該データが再検の結果であることを示す情報が含まれている。したがって、データの内容を確認することにより、当該データが初検の検査結果データであるか、再検結果データであるかを判別可能である。検査情報管理装置9のCPU91aにおいては、初検の検査結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0142】
ステップS412において、CPU91aは、受信した検査結果データを検査結果データベースDB2に記憶する(ステップS412)。次にCPU91aは、検査結果データベースDB2に記憶した当該検査結果データに基づいて、この検体の再検の要否を決定し、再検が必要な場合は再検項目を決定する(ステップS413)。この処理においては、検査結果に含まれる測定値(数値データ)と、予め定められた基準値とを比較することにより再検の要否が決定される。基準値は、測定値の正常範囲を示しており、測定項目毎に設けられている。ある測定項目の測定値が基準値内であれば当該検体については再検が不要と判断され、測定値が基準値を越えると当該検体について再検が必要と判断される。また、再検が必要と判断された場合は、再検項目が決定される。例えば、初検においてCBC+DIFF項目の測定が行われたとき、初検で得られた白血球(WBC)の数値が第1基準範囲(正常範囲)内に入っていれば、再検は不要と決定される。一方、初検で得られた白血球の数値が第1基準範囲を越え、且つ当該第1基準範囲よりも大きい第2基準範囲(疑異常範囲)内に入っていれば、初検と同じCBC+DIFF項目が再検項目として決定される。また、初検で得られた白血球の数値が第2基準範囲を越え、且つ当該第2基準範囲よりも大きい第3基準範囲(異常範囲)内に入っていれば、初検の測定項目であるCBC+DIFF項目にPLT−Oを追加した項目群が再検項目として決定される。
【0143】
次にCPU91aは、上記のステップS413の処理によって再検が必要と決定されたか否かを判定し(ステップS414)、再検が必要と決定された場合には(ステップS414においてYES)、検体ID及び決定された再検項目を含む再検オーダを生成し、当該再検オーダを測定オーダデータベースDB1に記憶し(ステップS415)、ステップS416へ処理を移す。一方、ステップS413において再検が不要と決定された場合には(ステップS414においてNO)、CPU91aはステップS416へ処理を移す。
【0144】
ステップS416において、CPU91aは、再検要否決定通知データを通信インタフェース91gに送信させる(ステップS416)。この処理では、ステップS413において再検が必要と決定された場合には、再検が必要であることを示す再検要否決定結果通知データが送信され、ステップS413において再検が不要と決定された場合には、再検が不要であることを示す再検要否決定結果通知データが送信される。ステップS416の処理の後、CPU91aは、検査結果受付処理を終了する。
【0145】
図20は、検査情報管理装置9による再検結果受付処理の流れを示すフローチャートである。情報処理ユニット52から送信された再検結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS421)。検査情報管理装置9のCPU91aにおいては、再検結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS422の処理が呼び出される。
【0146】
ステップS422において、CPU91aは、受信した再検結果データを検査結果データベースDB2に記憶する(ステップS422)。そして、ステップS422の処理の後、CPU91aは、再検結果受付処理を終了する。
【0147】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0148】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0149】
以上のような構成とすることにより、検体検査システム1の構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定結果の取得に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体については自動的に再検を実行することができる。
【0150】
また、検体検査システム1に再検専用の検体検査装置を設ける必要がなく、また再検専用のサンプルラックの搬送経路を設ける必要がないため、システム全体の構成を従来に比して簡略化することができ、システムの生産コストを低減することができる。
【0151】
また、検体検査装置5の1つの測定ユニット51によって初検及び再検の何れの測定も行うため、測定ユニット51の稼働率が高く、その結果、システム全体の可動効率が高い。
【0152】
また、初検の検査結果に基づいて再検の要否及び再検項目が自動的に決定され、決定された再検項目による再検が自動的に実行される。したがって、オペレータにとって利便性が高いシステムとすることができる。
【0153】
さらに、サンプルラックLに保持されている全ての検体について再検の要否が決定するまで、分析後ラック送出位置391より先にサンプルラックLが進まないようにサンプルラックLの搬送制御が行われる。これにより、検体供給位置35b及び分析後ラック送出位置391が存在するラック搬送部35においてX1方向及びX2方向の両方向にサンプルラックLの搬送を行える構成とすれば、分析前ラック保持部33及び第2搬送機構32においては一方向にのみ搬送可能な構成とするだけで、初検が行われた後再検が必要と決定された検体を検体供給位置35bまで戻すことができる。したがって、サンプルラックLの搬送経路全体において、双方向にサンプルラックLを搬送可能な部分を少なくすることができ、この結果、構造の複雑化及び大型化並びに生産コストの高騰を抑制することができる。
【0154】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、検体検査装置5の情報処理ユニット52により第1搬送機構31の制御を行い、検体搬送装置3の制御部300により第2搬送機構32の制御を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御を情報処理ユニット52及び制御部300の一方で行う構成としてもよい。また、第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御部を、情報処理ユニット52及び制御部300とは別個に設ける構成としてもよい。
【0155】
また、上述した実施の形態においては、サンプルラックLの搬送経路が矩形状に折れ曲がっており、その矩形の1つの角部に分析後ラック送出位置391が設けられた構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLの搬送経路を直線状に構成し、その途中(検体吸引位置より搬送方向下流側)に分析後ラック送出位置を設け、サンプルラックLに保持された全ての検体について再検の要否が決定するまで、その分析後ラック送出位置を越えてサンプルラックLを前記搬送方向下流側へと進ませないように、サンプルラックLを搬送する構成とすることもできる。
【0156】
また、上述した実施の形態においては、CPUが第1搬送機構の制御用のコンピュータプログラムを実行することにより、第1搬送機構の制御を行う構成について述べたがこれに限定されるものではない。第1搬送機構の制御用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、第1搬送機構の制御処理を実行する構成としてもよい。同様に、第2搬送機構の制御用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、第2搬送機構の制御処理を実行する構成としてもよい。
【0157】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ52aによりコンピュータプログラム524aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム524aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0158】
また、上述した実施の形態においては、第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御、再検の要否決定、及び再検項目の決定を情報処理ユニット52、制御部300、検査情報管理装置9によって分散して行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、情報処理ユニット52によってこれらの処理の全てを行う構成としてもよい。
【0159】
また、上述した実施の形態においては、検体検査装置5を多項目血液分析装置としたが、これに限定されるものではない。検体検査装置5は、被験者から採取された検体を分析する装置であればよく、尿を分析する尿分析装置、又は骨髄液を分析する分析装置とすることもできる。
【0160】
また、上述した実施の形態においては、再検の要否の決定が完了していない検体を保持したサンプルラックLを、その検体の再検の要否の決定がなされるまで分析後ラック送出位置391に待機させることにより、再検の要否の決定が完了していない検体が分析後ラック送出位置391を超えて搬送方向下流側に搬送されないように構成しているが、これに限定されるものではない。検体供給位置35bから分析後ラック送出位置391までのサンプルラックLの搬送速度を、送り込み位置35aから分析後ラック送出位置391までのサンプルラックLの搬送速度よりも遅くすることにより、再検の要否の決定が完了していない検体が分析後ラック送出位置391を超えて搬送方向下流側に搬送されないように構成してもよい。
【0161】
また、上述した実施の形態においては、再検が必要と判定された検体を、検体供給位置35bから分析後ラック送出位置391に向かう検体の搬送経路と同一の搬送経路を用いて検体供給位置35bに搬送しているが、これに限定されるものではない。例えば、再検される検体を検体供給位置35bに搬送するための搬送経路を、検体供給位置35bから分析後ラック送出位置391に向かう検体の搬送経路とは別途設けてもよい。
【0162】
また、上述した実施の形態においては、分析後ラック送出位置391に検体が到達したときに、当該検体について再検の要否が決定されていない場合には、再検の要否が決定されるまで上記検体を分析後ラック送出位置391で待機させているが、これに限定されるものではない。例えば、分析後ラック保持部34上の検体をY1方向およびY2方向に搬送可能に構成し、再検の要否が決定されていない検体を分析後ラック保持部34の搬送経路上に待機させておいてもよい。
【0163】
また、上述した実施の形態においては、分析後ラック送出位置391にサンプルラックLを停止させてから計時を開始して所定時間が経過した場合には、タイムアウトとして、サンプルラックLを分析後ラック保持部34に送出しているが、これに限られない。例えば、サンプルラックLに保持された全ての検体についての初検の検査結果の取得が完了してから計時を開始してもよいし、サンプルラックLに保持された複数の検体のうち最初に初検が行われた検体の初検の検査結果の取得が完了してから計時を開始してもよい。他にも、サンプルラックLに保持された全ての検体が初検のために測定ユニットに取り込まれた時点から計時を開始してもよいし、サンプルラックLに保持された複数の検体のうち一の検体が最初に初検のために測定ユニットに取り込まれた時点から計時を開始してもよい。
【0164】
また、上述した実施の形態においては、検査情報管理装置9が検体について再検の要否を決定し、検査情報管理装置9が再検要否決定結果通知データを情報処理ユニット5へ送信し、情報処理ユニット5が再検要否決定結果通知データに基づいて搬送管理テーブルTTの各検体に対応する再検フラグに「1」又は「0」をセットし、搬送管理テーブルTTにおいて再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定することで、情報処理ユニット5がサンプルラックLに保持されている検体の再検の要否を判定し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には、当該検体の再検を実行するために、その検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLを搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体検査システムの外部において検体の再検の要否決定が行われ、検体検査システムが再検の要否決定の結果を示す再検要否決定結果情報を外部から取得し、当該検体検査システムがこの再検要否判断結果情報を用いて検体の再検の要否を判定する構成としてもよい。例えば、検体検査システムの外部において検体の再検の要否を決定し、オペレータによって手作業で入力されたり、システム外部から送信されたりした再検要否決定結果情報を情報処理ユニット5が取得し、情報処理ユニット5が再検要否判断結果情報を参照し、再検要否決定結果情報に基づいて搬送管理テーブルTTの各検体に対応する再検フラグに「1」又は「0」をセットし、搬送管理テーブルTTにおいて再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定することで、情報処理ユニット5がサンプルラックLに保持されている検体の再検の要否を判定し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には、当該検体の再検を実行するために、その検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLを搬送する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の検体検査システムは、検体を搬送し、搬送された検体を検査装置で検査する検体検査システムとして有用である。
【符号の説明】
【0166】
1 検体検査システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 第1搬送機構
32 第2搬送機構
300 制御部
4 検体収容装置
5 検体検査装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 検体情報管理装置
L サンプルラック
T 検体容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を搬送し、搬送された検体を検査装置で検査する検体検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者等の被験者から採取された血液又は尿等の検体を検査する検体検査システムが知られている。かかる検体検査システムには、自動的に検体を検査装置へ搬送し、検査装置によって当該検体に対する第1回目の検査(初検)を行い、初検の結果が正常な範囲を逸脱する場合には、自動的に検体を検査装置へと搬送し、検査装置によって当該検体に対する第2回目の検査(再検)を行うものが存在する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、1次分析を行うための第1血液分析装置と、2次分析を行うための第2血液分析装置と、検体容器が収容されたラックを、第1血液分析装置及び第2血液分析装置の各々の検体供給位置に搬送する機能を有する搬送装置とを備えたシステムが開示されている。このシステムでは、第1血液分析装置による1次分析は、全ての検体試料について行われるとともに、第2血液分析装置による2次分析は、1次分析の結果に基づいて詳細な分析が必要と判断された検体試料のみについて行われる。
【0004】
また、特許文献2には、多機器臨床作業セルの複数の検体−処理機器の各々と共に使用するようになっている検体−搬送モジュールが開示されている。かかる検体−搬送モジュールは、関連した検体−処理機器の吸引プローブによって接近されるべき位置に検体−容器ラックを支持するための検体−吸引ステーションと、このモジュールからラックが取り除かれるべき位置で複数のラックを支持するための排出バッファ等を画定するハウジングを備える。この検体−搬送モジュールは、投入された検体−容器ラックを検体−吸引ステーションに搬送し、および、そのラック内の容器のすべてまたは選択された1つからの所望の検体吸引の後に、排出バッファにラックを配送する働きをする。また、この検体−搬送モジュールは、排出バッファへの配送時に、第1の試験結果が特定の標本の第2の吸引が必要とされることを示す場合または、第1の試験結果が明らかに誤りである場合のように、ラックをリフレックス試験または反復試験のために検体−吸引ステーションに戻すことが可能である。かかる検体−搬送モジュールでは、排出バッファへラックを押し込むためのX/Y可動トラックが設けられており、対象の検体に対する反復検査またはリフレックス検査を行うために、このラックの排出待ち行列内の最後の検体−容器ラックを取り出すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−275567号公報
【特許文献2】特表2007−527011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているシステムにあっては、2次分析用の第2血液分析装置が必要となるため、システムが複雑化するという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2には、検体−搬送モジュールに設けられたX/Y可動トラックが排出待ち行列内の最後の検体−容器ラックを取り出し、X/Y可動トラックに取り出された検体−容器ラックが検体−吸引ステーションに戻されることが開示されている。しかしながら、リフレックス試験又は反復試験を行う必要があると判定されるまでに想定された以上の時間を要すると、その判定された時点で、リフレックス試験又は反復試験を行う必要がある検体が保持された検体−容器ラックが排出バッファ内の奥に押し込まれ、当該検体−容器ラックの後ろに他の検体−容器ラックが押し込まれている場合がある。このような場合に当該検体−容器ラックを自動的に検体−吸引ステ−ションヘ戻す技術については、上記特許文献2に開示されていない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来に比してシステムの構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体に対して自動的に再検を実行することが可能な検体検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体検査システムは、第1位置と第2位置とを経由して検体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により前記第1位置に搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して第1検査を実行し、前記第1検査の検査結果に基づいて、前記第1位置に搬送された前記検体を再度取り込み、取り込んだ検体に対して第2検査を実行することが可能な検査装置と、検体の第2検査が必要であるか否かを判定する要否判定手段と、前記第1検査が完了した検体について前記要否判定手段により前記第2検査の要否が判定される前に前記検体が前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御し、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御する搬送制御手段と、を備える。
【0010】
この態様においては、前記搬送制御手段が、前記検体が前記第2位置に到達したときに前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査の要否が判定されていない場合には、前記第2位置で前記検体を待機させるよう前記搬送装置を制御することが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、前記第1位置と前記第2位置とを経由して検体を搬送するための搬送路に沿って、検体を搬送可能に構成され、前記搬送制御手段が、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記搬送路に沿って前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記要否判定手段により前記第2検査が不要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記第1位置側から前記第2位置を越えて前記検体を搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記検体が前記第2位置に到達する前に前記検体を前記第1位置へ搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、複数の検体が保持された検体ラックを搬送するように構成されており、前記搬送制御手段が、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された全ての検体について、前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされるまでは、前記検体ラックが前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定されたときは、当該他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記検査装置による前記第1検査が行われておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると決定されたときは、前記検査装置に前記他の検体について前記第2検査を行わせるために、前記他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記搬送制御手段が、前記搬送装置により搬送されている検体について、予め定められた所定期間内に前記要否判定手段により前記第2検査の要否判定がなされなかったときには、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、前記搬送路上の検体を前記第1位置から前記第2位置へと向かう第1搬送方向及び前記第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向へ搬送可能な搬送機構と、検体を前記搬送路へ送り込む送り込み部と、前記搬送路から検体を受け取る受け取り部と、を具備することが好ましい。
【0019】
また、上記態様においては、前記第2位置が前記搬送路の前記第1搬送方向についての終端位置であり、前記搬送機構が、前記終端位置に到達した検体を前記受け取り部へ送出する送出機構を有し、前記終端位置に到達した検体を前記送出機構により前記受け取り部へ送出することにより、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送するように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、上記態様においては、前記検体検査システムが、前記搬送装置から搬送された検体を受け取って搬送する第2搬送装置と、前記第2搬送装置により搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して所定の処理を行う検体処理装置と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る検体検査システムによれば、従来に比してシステムの構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体に対して自動的に再検を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る検体検査システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】第1搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】第1搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る検体検査装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態に係る検査情報管理装置の構成を示すブロック図。
【図11】実施の形態に係るシステム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図12A】実施の形態に係るシステム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図12B】実施の形態に係るシステム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図13】実施の形態に係る検体搬送装置の制御部による制御処理の流れを示すフローチャート。
【図14A】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる第1搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図14B】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる第1搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図15】搬送管理テーブルの構造を示す模式図。
【図16A】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる検体の検査処理の手順を示すフローチャート(前半)。
【図16B】実施の形態に係る検体検査装置の情報処理ユニットによる検体の検査処理の手順を示すフローチャート(後半)。
【図17】実施の形態に係る情報処理ユニットによる再検要否決定通知受付処理の流れを示すフローチャート。
【図18】実施の形態に係る検査情報管理装置による測定オーダ提供処理の流れを示すフローチャート。
【図19】実施の形態に係る検査情報管理装置による検査結果受付処理の流れを示すフローチャート。
【図20】実施の形態に係る検査情報管理装置による再検結果受付処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
本実施の形態は、検査装置と、複数の検体を収容したサンプルラックを搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって搬送された検体に対して検査装置によって第1回目の検査(初検)を行った後、第2回目の検査(再検)の要否の判定が行われるまで搬送装置の所定位置を越えないように所定の第1搬送方向へ当該検体ラックを搬送し、再検が必要と判定された場合に、検査装置によって検体の再検を実行させるために第1搬送方向と反対の第2搬送方向へ検体を搬送する検体検査システムである。
【0025】
[検体検査システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体検査システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体検査システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3と、検体搬送装置301と、検体収容装置4と、検体検査装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体検査システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0026】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、バーコード読取ユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。バーコード読取ユニット22は、検体投入ユニット21と検体送出ユニット23との間に配置されており、検体投入ユニット21に投入された検体は、バーコード読取ユニット22を経由して検体送出ユニット23へ移送されるように構成されている。検体投入ユニット21及び検体送出ユニット23は、複数の検体容器を収納した後述するサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。
【0027】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0028】
上述したバーコード読取ユニット22は、回転装置が設けられたバーコードリーダ22aを備えており、かかる回転装置によって、サンプルラックLに保持されている複数の検体容器TをサンプルラックLに収容したまま水平方向に回転させながら検体容器Tの検体バーコードを読み取るように構成されている。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコードリーダ22aに対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコードリーダ22aへ向けることができ、バーコードリーダ22aに検体バーコードを読み取らせることが可能である。
【0029】
また、検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、バーコード読取ユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。検体投入装置2の制御部2aは、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット23に搬送され、検体送出ユニット23から検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0030】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体検査システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。検体検査装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを受け入れることが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0031】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を検体検査装置5の測定ユニット51へ供給するための第1搬送機構31と、検体を下流側の検体搬送装置3(又は検体搬送装置310)へ搬送するための第2搬送機構32と、第2搬送機構を制御する制御部300とを備えている。第1搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、サンプルラックLを図中矢印X1方向(左方向)及び矢印X2方向(右方向)へ水平に直線移動するラック搬送部35と、サンプルラックLの有無を検出するラックセンサ37と、検体容器Tの有無を検出する検体容器センサ38と、第2搬送機構32へサンプルラックLを送出するラック送出部39とを備えている。
【0032】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、第2搬送機構32に連なっており、後述する第2搬送機構32のラック送出部322によって、第2搬送機構32からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。第2搬送機構32から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で図中Y1方向(後方。ラック搬送部35に近接する方向。)へ移動することにより、サンプルラックLがY1方向へと移送される。これにより、分析前ラック保持部33上のサンプルラックLは、ラック搬送部35の右端の送り込み位置35aまでY1方向へ搬送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0033】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって送り込み位置35aに移送されたサンプルラックLを、前記X1方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体検査装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35bが存在する。ラック搬送部35は、検体供給位置35bに検体が搬送されるように、送り込み位置35aにあるサンプルラックLを搬送可能に構成されている。ラック搬送部35により検体供給位置35bに検体が搬送された場合には、後述する検体検査装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、当該検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込んで検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。かかる検体供給位置35bに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0034】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y1方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y1方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX1方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351eによりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X1方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352eによりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X2方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0035】
ラックセンサ37及び検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。ラックセンサ37及び検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0036】
上記のような構成のラック搬送部35により、ラック搬送部35の左端の位置(以下、「分析後ラック送出位置」という。)391までサンプルラックLが搬送される。この分析後ラック送出位置391の近傍には、接触型のラックセンサ391aが設けられており、ラック搬送部35により搬送されたサンプルラックLがラック送出位置391に到達したときには、当該ラックセンサ391aによってサンプルラックLが検出される。上記のようなラックセンサ37,391a及び検体容器センサ38の出力信号は後述する検体検査装置5の情報処理ユニット52に与えられる。
【0037】
ラック送出部39は、ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するように配置されており、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y2方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の分析後ラック送出位置391にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移送することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、第1搬送機構31から第2搬送機構32へ送出される。
【0038】
第2搬送機構32は、ラック搬送部321と、ラック送出部322と、分析後ラック保持部34とを備えている。ラック搬送部321は、図中矢印X1方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X1方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X1方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX1方向へ移動可能である。また、ラック送出部322は、分析前ラック保持部33の前側に、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するように配置されており、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y1方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。また、ラック搬送部321は、X1方向と反対のX2方向へは駆動されない。このように、ラック搬送部321が一方向(X1方向)にのみ駆動可能な構成とすることで、検体搬送装置3の構成の複雑化及び検体搬送装置3の大型化が抑制される。
【0039】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で図中Y2方向(前方。ラック搬送部321に近接する方向。)へ移動することにより、サンプルラックLがY2方向へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0040】
上記のような構成の第2搬送機構32は、制御部300によって制御される。一方、第1搬送機構31は、後述する検体検査装置5の情報処理ユニット52により制御される。制御部300は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された第2搬送機構32の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部300は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0041】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、第2搬送機構32によって分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により第1搬送機構の分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を検体検査装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35によりX1方向へ搬送され、分析後ラック送出位置391へと移送される。後述するように、この分析後ラック送出位置391に到達する前にサンプルラックLに保持されている検体について再検が必要と判断された場合には、検体検査装置5による再検を行うために、即座にラック搬送部35の搬送方向がX1方向からX2方向へ切り換えられ、当該検体が検体供給位置35bへと移送される。また、分析後ラック送出位置391にサンプルラックLが到達したときに、当該サンプルラックLに保持されている検体の少なくとも1つについて再検の要否が決定されていない場合には、再検の要否が決定されるまでサンプルラックLが分析後ラック送出位置391で待機させられ、再検が必要と決定されたときには、検体の再検を行うためにサンプルラックLがラック搬送部35によりX2方向へ搬送される。一方、再検が不要と判断されたとき又はタイムアウトのときには、分析後ラック送出位置391のサンプルラックLがラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、第2搬送機構32のラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、この第2搬送機構32のラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0042】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0043】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0044】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0045】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0046】
<検体検査装置5の構成>
検体検査装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血液分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる検体検査装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0047】
検体検査装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、2つの測定ユニット51,51及び3つの検体搬送装置3,3,3と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51及び3つの第1搬送機構31,31,31の動作をそれぞれ制御可能である。
【0048】
また、3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0049】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0050】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。また、検出部513では、上記のシースフローDC検出法によるPLTの測定とは別に、光学式フローサイトメトリー法による血小板(PLT−O)の測定が可能である。
【0051】
上記のWBC、RBC、PLT、及びHGBは、CBC項目と呼ばれる測定項目に含まれており、WBC、RBC、PLT、HGB、NEUT、LYMPH、EO、BASO、及びMONOは、CBC+DIFF項目と呼ばれる測定項目に含まれている。
【0052】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y1、Y2方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、検体供給位置35bに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0053】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y1及びY2方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0054】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0055】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体検査用並びに測定ユニット51及び第1搬送機構31の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0056】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0057】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0058】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0059】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0060】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0061】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0062】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0063】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介して検査情報管理装置9に通信可能に接続されている。
【0064】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0065】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0066】
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0067】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン302a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0068】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像表示装置(図示せず)へと送出される。
【0069】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体検査システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLのラックID及び当該サンプルラックLに保持されている検体の検体IDを受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0070】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0071】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0072】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0073】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ8aにデータを入力することが可能である。
【0074】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、上方処理ユニット52、及び検査情報管理装置9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0075】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)である。検査情報管理装置9は、測定オーダ及び再検オーダを記憶し、他の装置からの要求に応じて測定オーダ又は再検オーダを提供する。また、初検の検査結果に基づいて再検の要否を決定し、再検が必要な場合には再検項目を決定して再検オーダを生成する。
【0077】
図10は、検査情報管理装置9の構成を示すブロック図である。検査情報管理装置9は、コンピュータ9aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ9aは、本体91と、画像表示部92と、入力部93とを備えている。本体91は、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hを備えており、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hは、バス91jによって接続されている。
【0078】
ハードディスク91dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU91aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する検査情報管理プログラム94aも、このハードディスク91dにインストールされている。
【0079】
また、ハードディスク91dには、測定オーダデータベースDB1が設けられている。測定オーダデータベースDB1には、測定オーダが登録される。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データを測定オーダデータベースDB1から読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。また、測定オーダデータベースDB1には、再検オーダも登録される。再検オーダには、検体ID及び再検項目の情報が含まれている。後述するように検査情報管理装置9が再検オーダを生成すると、この再検オーダが測定オーダデータベースDB1に登録される。また、測定オーダデータベースDB1では、再検オーダであることを特定する情報が、各再検オーダに対応付けられて格納される。これにより、測定オーダデータベースDB1に登録されているデータが、測定オーダであるか再検オーダであるかを識別可能となっている。
【0080】
また、ハードディスク91dには、検査結果データベースDB2が設けられている。検査結果データベースDB2には、検体分析装置による検体の検査結果及び再検結果が記憶される。検査結果には、検体ID、検体の分析によって得られた各種の数値データ(RBC、PLT、HGB、WBC、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO等)並びにスキャッタグラム及びヒストグラム等の分布図データが含まれている。検査情報管理装置9は、接続された検体検査装置から検査結果又は再検結果を受信した場合に、当該検査結果又は再検結果を検査結果データベースDB2に登録する。また、検査情報管理装置9は、オペレータから与えられた指示に応じて、検査結果データベースDB2から検体の検査結果又は再検結果を読み出し、かかる検査結果又は再検結果を画像表示部92に表示する。また、検査結果データベースDB2では、再検結果であることを特定する情報が、各再検結果データに対応付けられて格納される。これにより、検査結果データベースDB2に登録されているデータが、初検の検査結果であるか再検結果であるかを識別可能となっている。
【0081】
読出装置91eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体94に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体94には、コンピュータを検査情報管理装置9として機能させるための検査情報管理プログラム94aが格納されており、コンピュータ9aが当該可搬型記録媒体94から検査情報管理プログラム94aを読み出し、当該検査情報管理プログラム94aをハードディスク91dにインストールすることが可能である。
【0082】
入出力インタフェース91fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース91fには、キーボード及びマウスからなる入力部93が接続されており、ユーザが当該入力部93を使用することにより、コンピュータ9aにデータを入力することが可能である。
【0083】
通信インタフェース91gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース91gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ9aは、通信インタフェース91gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0084】
なお、検査情報管理装置9のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
以下、本実施の形態に係る検体検査システム1の動作について説明する。
【0086】
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル(図示せず)を操作して、検体検査システム1に処理開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる処理開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。分析開始の指示を受け付けた後、検体投入装置2のセンサにより、検体投入装置2上のサンプルラックLが検出される。このようにセンサによってサンプルラックLが検出されたときに、検体投入装置2の制御部によりこのサンプルラックLに番号(以下、「ラックシーケンシャル番号」という。)が割り当てられる。なお、ラックシーケンシャル番号は、センサによって検出された順に各サンプルラックLに対して割り当てられる。この後、検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0087】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、搬送路上を左方向へ移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。読み取られたラックID及び検体IDは、制御部2aによりシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLが移送される。制御部2aは、検体送出ユニット23が受け入れたサンプルラックLを検体送出ユニット23上で移送する。その後、検体投入装置2が、ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0088】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0089】
システム制御装置8の測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとして検査情報管理装置9に測定オーダを問い合わせて測定オーダを取得する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0090】
図11は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダにより読み出した検体ID及びラックID並びに当該ラックIDによって特定されるサンプルラックLに割り当てられたラックシーケンシャル番号をシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID、検体ID及びラックシーケンシャル番号は、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。CPU81aにおいて、ラックシーケンシャル番号、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0091】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックID及びラックシーケンシャル番号に対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS104)。
【0092】
次に、CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて、測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS105)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS105においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダを検査情報管理装置9に要求する。一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS105においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0093】
システム制御装置8から検体投入装置2への第1搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックIDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へサンプルラックLの搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0094】
図12Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0095】
ステップS112において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS112)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS113)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0096】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS114)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(第1搬送機構31又は第2搬送機構32)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、サンプルラックLのラックシーケンシャル番号、当該サンプルラックLにおいて検体が保持されている保持位置、及び当該サンプルラックLに保持されている全検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3の第1搬送機構31である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして第1搬送機構を示すデータがセットされる。一方、これより後段の検体搬送装置3の第1搬送機構31が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして第2搬送機構を示すデータがセットされる。後述するように、この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0097】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS115においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS115においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS116)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS117においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS117においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS118においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS118においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0098】
システム制御装置8から検体搬送装置3への第2搬送指示処理
次に、システム制御装置8から検体搬送装置3に送信される第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、何れかの検体搬送装置3にサンプルラックLの搬送指示が与えられる。図12Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS131)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS132の処理が呼び出される。
【0099】
ステップS132において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS132)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS133においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS133においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS134)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS135においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS135においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS136においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS136においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0101】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4に対しても、システム制御装置8は上述と同様の第2搬送指示処理を実行する。
【0102】
<検体搬送装置3の制御部300の動作>
ここでは、検体検査装置5の前方に配置された検体搬送装置3の制御部300の動作について説明する。図13は、制御部300による第2搬送機構32の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部300により受信される(ステップS201)。制御部300のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部300においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0103】
ステップS202において、制御部300は、第2搬送機構32のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS202)。搬入準備が完了したときには、制御部300は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0104】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが第2搬送機構32に搬入される(ステップS204)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部300は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS205)。
【0105】
次に、制御部300は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、第1搬送機構31及び第2搬送機構32のいずれを示しているか、すなわち、第1搬送機構31及び第2搬送機構32のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS206)。ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが第1搬送機構31を示している場合、すなわち、第1搬送機構31が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「第1搬送機構」)、制御部300は、ラック搬送部321を制御して、分析前ラック送出位置へサンプルラックLを搬送し(ステップS207)、その後、ラック送出部322を駆動して、第1搬送機構31の分析前ラック保持部33へサンプルラックLを送り込む(ステップS208)。さらに、制御部300は、情報処理ユニット52へ、サンプルラックLの搬送開始を指示する搬送開始指示データを送信する(ステップS209)。
【0106】
その後、後述するように第1搬送機構31によってサンプルラックLが搬送され、検体が測定ユニット51に供給される。サンプルラックLが保持する全ての検体の測定が完了した後、このサンプルラックLは第1搬送機構31によってさらに搬送され、分析後ラック保持部34に送出される。また、このとき、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送完了を通知するための搬送完了通知データが情報処理ユニット52から送信される。情報処理ユニット52から送信された搬送完了通知示データは、制御部300により受信される(ステップS210)。CPU521aにおいては、搬送完了通知データを受信するイベントが発生すると、ステップS211の処理が呼び出される。
【0107】
ステップS211において、制御部300は、ステッピングモータ34cを駆動することにより、ラック送込部34bを動作させ、これによって、サンプルラックLをラック搬送部321まで移送する(ステップS211)。次に、制御部300は、ステッピングモータ321bを駆動することにより、ラック搬送部321を動作させ、これによって、サンプルラックLをラック搬送部321上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS212)。その後、制御部300は、処理をステップS214へ移す。
【0108】
一方、ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが第2搬送機構32を示している場合、すなわち、第2搬送機構32が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「第2搬送機構」)、制御部300は、ラック搬送部321を制御して、サンプルラックLをラック搬送部321上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS213)。その後、制御部300は、処理をステップS214へ移す。
【0109】
ステップS214において、制御部300は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックシーケンシャル番号を含む搬出要求データを送信する(ステップS214)。その後、制御部300は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS215においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS215においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS216)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS217)。そして、制御部300は、処理を終了する。
【0110】
<検体検査装置5の動作>
次に、検体検査装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、検体搬送装置3と協調して第1搬送機構31の制御を行う。以下、情報処理ユニット52の第1搬送機構31の制御動作について説明する。
【0111】
図14A及び図14Bは、検体検査装置5の情報処理ユニット52による第1搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信された搬送開始指示データは、情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信される(ステップS301)。かかる搬送開始指示データには、当該サンプルラックLにおいて検体が保持されている保持位置、及び当該サンプルラックLに保持されている全検体の測定オーダが含まれている。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行されるコンピュータプログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、搬送開始指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0112】
ステップS302において、CPU521aは、RAM521aに搬送管理テーブルを作成する(ステップS302)。図15は、搬送管理テーブルの構造を示す模式図である。搬送管理テーブルTTは、テーブル形式のデータであり、サンプルラックLの保持位置1〜10のそれぞれに対応付けて、保持フラグを格納するフィールドF11及び再検フラグを格納するフィールドF12が設けられている。保持フラグは、対応する保持位置に検体容器Tが保持されているか否かを示すフラグであり、対応する保持位置に検体容器Tが保持されている場合には「1」が格納され、対応する保持位置に検体容器Tが保持されていない場合には「0」が格納される。一方、各再検フラグは、再検の要否を示すフラグであり、「0」がセットされていればその検体について再検が不要であることを示し、「1」がセットされていれば再検が必要であることを示している。ステップS302の処理においては、搬送開始指示データに基づき、サンプルラックLにおいて検体が保持されている保持位置に対応する保持フラグには「1」がセットされ、検体が保持されていない保持位置に対応する保持フラグには「0」がセットされる。
【0113】
上述のようにラック送出部322によって分析前ラック保持部33のラック検出位置33aにサンプルラックLが送り込まれると、このサンプルラックLがラックセンサ37により検出される。CPU521aは、ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されているか否かを判定し(ステップS303)、サンプルラックLが検出されていない場合には(ステップS303においてNO)、処理を終了する。一方、サンプルラックLが検出されている場合には(ステップS303においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ33cを駆動することにより、ラック送込部33bを動作させ、これによって、サンプルラックLを分析前ラック保持部33上で移送し、当該サンプルラックLを送り込み位置35aへ搬送する(ステップS304)。
【0114】
次に、CPU521aは、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS305)、受信した搬送開始指示データを参照し、保持位置iに検体が保持されているか否かを判定する(ステップS306)。保持位置iに検体が保持されている場合には(ステップS306においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ351eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、保持位置iの検体容器Tが検体供給位置35bに到達するまで、送り込み位置35a上に到達したサンプルラックLをX1方向へ移送し(ステップS307)、RAM521cに設けられた検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS308)。これにより、保持位置iに保持されている検体容器Tが検体供給位置35bに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。なお、検体吸引可能フラグの初期値は「0」である。かかる検体吸引可能フラグは、後述するように、検体の吸引が完了し、ハンド部515aにより検体容器TがサンプルラックLに戻された後に、再度「0」にセットされる。CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS309においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS309においてYES)、処理をステップS310へ進める。
【0115】
一方、ステップS306において保持位置iに検体が保持されていない場合には(ステップS306においてNO)、CPU521aは、処理をステップS310へ進める。ステップS310において、CPU521aは、RAM521cに記憶されている搬送管理テーブルTTを参照し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定する(ステップS310)。
【0116】
ステップS310において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には(ステップS310においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ352eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、再検フラグに「1」がセットされている検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLをX2方向へ移送し(ステップS311)、検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS312)。ステップS311の処理では、再検の要否結果が得られている検体は、常に保持位置iの検体(最後に初検が行われた検体)よりも先に測定(初検)が行われているため、再検対象の検体はX2方向へと搬送されることになる。その後、CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS313においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS313においてYES)、その検体の再検フラグに「0」をセットし(ステップS314)、処理をステップS310へ戻す。
【0117】
ステップS310において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在しない場合には(ステップS310においてNO)、CPU521aは、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS315)、iが10未満である場合には(ステップS315においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS316)、ステップS306へ処理を戻す。
【0118】
上記のステップS310〜S314の処理により、サンプルラックLに保持されている検体の全てについて初検が完了する前において、そのサンプルラックLに保持されている既に初検が完了した検体に再検が必要と判断された場合に、当該再検が必要と判断された検体がX2方向へ搬送されて検体供給位置35bに到達し、当該検体の再検が実施される。その後、再度X1方向へサンプルラックLが搬送され、初検を未実施の検体について初検が実施される。
【0119】
ステップS315において、iが10以上である場合には(ステップS315においてYES)、CPU521aは、ラック搬送部35のステッピングモータ351eを駆動してサンプルラックLをX1方向へ移送する(ステップS317)。これにより、保持している全ての検体の初検が完了したサンプルラックLがX1方向へ搬送される。
【0120】
次にCPU521aは、RAM521cに記憶されている搬送管理テーブルTTを参照し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定する(ステップS318)。ステップS318において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には(ステップS318においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ352eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、再検フラグに「1」がセットされている検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLをX2方向へ移送し(ステップS319)、検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS320)。ステップS319の処理では、サンプルラックLに保持されている検体の全てについて初検が完了しており、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391へ向けて搬送されている途中である。したがって、この時点において再検フラグに「1」がセットされた検体が存在した場合には、再検対象の検体を検体吸引位置35bに位置させるために、当該検体はX2方向へと搬送されることになる。ステップS320の処理の後、CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS321においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS321においてYES)、その検体の再検フラグに「0」をセットし(ステップS322)、処理をステップS317へ戻す。これにより、サンプルラックLが再度X1方向へ搬送される。
【0121】
ステップS318において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在しない場合には(ステップS318においてNO)、CPU521aは、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に到達しているか否かを判定する(ステップS323)。この処理では、ラックセンサ391aによって分析後ラック送出位置391にサンプルラックLが検出されることにより、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391へ到達されたと判定される。ステップS323において、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に到達していない場合には(ステップS323においてNO)、ステップS318へと処理を戻す。一方、ステップS323において、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に到達している場合には(ステップS323においてYES)、CPU521aはステッピングモータ351eを停止させ、サンプルラックLの搬送を停止する(ステップS324)。これにより、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に位置した状態が保持される。
【0122】
次に、CPU521aは計時を開始する(ステップ325)。続いて、CPU521aは、RAM521cに記憶されている搬送管理テーブルTTを参照し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定する(ステップS326)。つまり、CPU521aは、搬送管理テーブルTTにおいて、各検体の再検フラグに「1」がセットされているか否かを判定することにより、検体の再検の要否を判定する。ステップS326において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する(再検が必要な検体が存在する)場合には(ステップS326においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ352eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、再検フラグに「1」がセットされている検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLをX2方向へ移送し(ステップS327)、検体吸引可能フラグに「1」をセットする(ステップS328)。ステップS327の処理が実行されるときには、サンプルラックLが分析後ラック送出位置391に位置している状態となっている。したがって、この時点において再検フラグに「1」がセットされた検体が存在した場合には、再検対象の検体を検体吸引位置35bに位置させるために、当該検体はX2方向へと搬送されることになる。ステップS328の処理の後、CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS329においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS329においてYES)、その検体の再検フラグに「0」をセットし(ステップS330)、処理をステップS317へ戻す。これにより、サンプルラックLが再度X1方向へ搬送される。
【0123】
ステップS326において、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在しない(再検が必要な検体が存在しない)場合には(ステップS326においてNO)、CPU521aは、サンプルラックLに保持された全検体について、再検の要否の決定が完了しているか否かを判定する(ステップS331)。この処理は、搬送管理テーブルTTにおいて、保持フラグが「1」にセットされている全ての保持位置に対応する再検フラグが「0」にセットされている場合に、サンプルラックLに保持された全検体について再検の要否の決定が完了していると判定され、保持フラグが「1」にセットされている保持位置の内の1つでも、対応する再検フラグが「0」にセットされていない場合には、サンプルラックLに保持された検体の少なくとも1つについて再検の要否の決定が完了していないと判定される。
【0124】
ステップS331において、サンプルラックLに保持された検体の少なくとも1つについて再検の要否の決定が完了していないと判定された場合には(ステップS331においてNO)、CPU521aは、ステップS325において計時を開始した時点から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS332)。所定時間が経過していない場合には(ステップS332においてNO)、CPU521aは、処理をステップS326へと戻す。CPU521aは、ステップS326、S331、S332の処理を繰り返すことにより、計時開始から所定時間が経過しない限り、サンプルラックLに保持された検体のうち再検の要否の決定が完了していない検体の再検の要否の決定がなされるまで、サンプルラックLを分析後ラック送出位置391に待機させる。
【0125】
ステップS331において、サンプルラックLに保持された全検体について再検の要否の決定が完了していると判定された場合には(ステップS331においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ39aを駆動して、ラック送出部39を動作させ、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ送出する(ステップS333)。なお、ステップS332において、ステップS325において計時を開始した時点から所定時間が経過していると判定された場合にも(ステップS332においてNO)、CPU521aは、タイムアウトであるとして、処理をステップS333に移し、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ送出する。その後、CPU521aは、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送完了を通知するための搬送完了通知データを検体搬送装置3の制御部300へ送信し(ステップS334)、処理を終了する。この搬送完了通知データを受信した検体搬送装置3の制御部300は、上述したように、サンプルラックLを搬送し、後段の装置へと搬出する。
【0126】
次に、検体検査装置5による検体の検査動作(分析動作)について説明する。図16A及び図16Bは、本実施の形態に係る検体検査装置5の情報処理ユニット52による検体の検査処理の手順を示すフローチャートである。まず、情報処理ユニット52のCPU521aは、定期的にRAM521cの検体吸引可能フラグをチェックする。CPU521aにおいて、検体吸引可能フラグに「1」がセットされているイベントが発生すると(ステップS341)、ステップS342の処理が呼び出される。
【0127】
ステップS342において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、検体供給位置35bにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS342)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS343)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS344)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS345)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS346)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gに検査情報管理装置9へ送信させ(ステップS347)、測定オーダ又は再検オーダを問い合わせる。再検オーダは、検査情報管理装置9によって検体の検査結果が解析され、再検が必要と決定された場合に生成されるデータであり、検体ID、及び再検を行うべき項目(再検項目)を示すデータを含んでいる。
【0128】
その後、CPU521aは、測定オーダ又は再検オーダの受信を待機し(ステップS348においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダ又は再検オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS348においてYES)、受信した測定オーダ又は再検オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS349)。
【0129】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS350)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目又は再検オーダに含まれる再検項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS351)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS352)、検体吸引可能フラグに「0」をセットする(ステップS353)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0130】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS354)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS355)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS356)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された検査結果データ又は再検結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS357)、また、検査情報管理装置9へ送信される(ステップS358)。初検の検査結果データが送信された場合には、検査情報管理装置9は、上述した測定オーダに検査結果データを統合してハードディスクに記憶し、また、再検の要否を決定する。再検が必要と決定された検体については、さらに再検項目が決定される。また、検査情報管理装置9は、上記のようにして送信された検査結果データ又は再検結果データを、検査結果データベースDB1に登録する。ステップS358の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0131】
次に、再検要否決定通知受付処理について説明する。図17は、情報処理ユニット52による再検要否決定通知受付処理の流れを示すフローチャートである。後述する検査情報管理装置9による検査結果データの解析処理により、検体の再検の要否が決定された場合には、検査情報管理装置9から再検要否決定結果通知データが送信される。かかる再検要否決定結果通知データは、検体毎のデータであり、再検の要否を示している。つまり、ある検体について再検が必要と決定された場合には、この検体IDと、再検が必要であることを示す情報とが含まれる再検要否決定結果通知データが検査情報管理装置9によって送信される。一方、ある検体について再検が不要と決定された場合には、この検体IDと、再検が不要であることを示す情報とが含まれる再検要否決定結果通知データが検査情報管理装置9によって送信される。
【0132】
検査情報管理装置9から再検要否決定結果通知データが送信されると、情報処理ユニット52の通信インタフェース521gによって当該再検要否決定結果通知データが受信される(ステップS361)。CPU521aにおいて、かかる再検要否決定結果通知データを受信するイベントが発生すると、ステップS362の処理が呼び出される。
【0133】
ステップS362において、CPU521aは、受信した再検要否決定結果通知データが、再検が必要であることを示しているか否かを判定する(ステップS362)。ステップS362において、当該再検要否決定結果通知データが、再検が必要であることを示している場合は(ステップS362においてYES)、CPU521aは、当該検体IDよりこの検体がサンプルラックLにおいて保持されている保持位置を取得し、搬送管理テーブルTTにおいて、取得された保持位置に対応する再検フラグに「1」をセットし(ステップS363)、処理を終了する。
【0134】
一方、ステップS362において、再検要否決定結果通知データが、再検が不要であることを示している場合は(ステップS362においてNO)、CPU521aは、ステップS363と同様に保持位置を取得し、搬送管理テーブルTTにおいて、取得された保持位置に対応する再検フラグに「0」をセットし(ステップS363)、処理を終了する。
【0135】
上記のように、再検要否決定通知受付処理により搬送管理テーブルTTが更新される。この処理によって再検フラグに「1」がセットされた保持位置に係る検体は、上記の搬送制御によって検体供給位置35bに搬送され、当該検体の再検が実施される。一方、再検フラグに「0」がセットされた保持位置に係る検体は、検体供給位置35bに搬送されることなく、当該検体の再検は行われない。
【0136】
<検査情報管理装置9の動作>
検査情報管理装置9は、情報処理ユニット52による測定オーダの問い合わせを受け付け、測定オーダを送信する。また、再検オーダが存在する検体については、再検オーダを送信する。以下、検査情報管理装置9の測定オーダ提供処理について説明する。
【0137】
図18は、検査情報管理装置9による測定オーダ提供処理の流れを示すフローチャートである。情報処理ユニット52から送信されたオーダ要求データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS401)。かかるオーダ要求データには、測定オーダ又は再検オーダが必要な検体の検体IDが含まれている。検査情報管理装置9のCPU91aにより実行される検査情報管理プログラム94aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU91aにおいては、オーダ要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0138】
ステップS402において、CPU91aは、測定オーダデータベースDB1から、受信されたオーダ要求データに含まれる検体IDに対応する測定オーダ又は再検オーダを検索する(ステップS402)。この処理では、当該検体IDに対応する測定オーダが存在し、再検オーダが存在しない場合には、測定オーダが測定オーダデータベースDB1から読み出され、当該検体IDに対応する再検オーダが存在する場合には、再検オーダが測定オーダデータベースDB1から読み出される。
【0139】
次にCPU91aは、オーダの要求元の情報処理ユニット52へ、読み出した測定オーダ又は再検オーダを通信インタフェース91gに送信させ(ステップS403)、処理を終了する。
【0140】
また検査情報管理装置9は、情報処理ユニット52から送信される検査結果データ又は再検結果データを受信し、受信した検査結果データ又は再検結果データを検査結果データベースDB2に記憶する。また、受信したデータが初検の検査結果データである場合には、当該検査結果データに基づいて再検の要否を決定し、再検が必要と決定された検体については、さらに再検項目を決定する。
【0141】
図19は、検査情報管理装置9による検査結果受付処理の流れを示すフローチャートである。情報処理ユニット52から送信された検査結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS411)。検査結果データには、当該データが初検の検査結果であることを示す情報が含まれており、再検結果データには、当該データが再検の結果であることを示す情報が含まれている。したがって、データの内容を確認することにより、当該データが初検の検査結果データであるか、再検結果データであるかを判別可能である。検査情報管理装置9のCPU91aにおいては、初検の検査結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0142】
ステップS412において、CPU91aは、受信した検査結果データを検査結果データベースDB2に記憶する(ステップS412)。次にCPU91aは、検査結果データベースDB2に記憶した当該検査結果データに基づいて、この検体の再検の要否を決定し、再検が必要な場合は再検項目を決定する(ステップS413)。この処理においては、検査結果に含まれる測定値(数値データ)と、予め定められた基準値とを比較することにより再検の要否が決定される。基準値は、測定値の正常範囲を示しており、測定項目毎に設けられている。ある測定項目の測定値が基準値内であれば当該検体については再検が不要と判断され、測定値が基準値を越えると当該検体について再検が必要と判断される。また、再検が必要と判断された場合は、再検項目が決定される。例えば、初検においてCBC+DIFF項目の測定が行われたとき、初検で得られた白血球(WBC)の数値が第1基準範囲(正常範囲)内に入っていれば、再検は不要と決定される。一方、初検で得られた白血球の数値が第1基準範囲を越え、且つ当該第1基準範囲よりも大きい第2基準範囲(疑異常範囲)内に入っていれば、初検と同じCBC+DIFF項目が再検項目として決定される。また、初検で得られた白血球の数値が第2基準範囲を越え、且つ当該第2基準範囲よりも大きい第3基準範囲(異常範囲)内に入っていれば、初検の測定項目であるCBC+DIFF項目にPLT−Oを追加した項目群が再検項目として決定される。
【0143】
次にCPU91aは、上記のステップS413の処理によって再検が必要と決定されたか否かを判定し(ステップS414)、再検が必要と決定された場合には(ステップS414においてYES)、検体ID及び決定された再検項目を含む再検オーダを生成し、当該再検オーダを測定オーダデータベースDB1に記憶し(ステップS415)、ステップS416へ処理を移す。一方、ステップS413において再検が不要と決定された場合には(ステップS414においてNO)、CPU91aはステップS416へ処理を移す。
【0144】
ステップS416において、CPU91aは、再検要否決定通知データを通信インタフェース91gに送信させる(ステップS416)。この処理では、ステップS413において再検が必要と決定された場合には、再検が必要であることを示す再検要否決定結果通知データが送信され、ステップS413において再検が不要と決定された場合には、再検が不要であることを示す再検要否決定結果通知データが送信される。ステップS416の処理の後、CPU91aは、検査結果受付処理を終了する。
【0145】
図20は、検査情報管理装置9による再検結果受付処理の流れを示すフローチャートである。情報処理ユニット52から送信された再検結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS421)。検査情報管理装置9のCPU91aにおいては、再検結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS422の処理が呼び出される。
【0146】
ステップS422において、CPU91aは、受信した再検結果データを検査結果データベースDB2に記憶する(ステップS422)。そして、ステップS422の処理の後、CPU91aは、再検結果受付処理を終了する。
【0147】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0148】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0149】
以上のような構成とすることにより、検体検査システム1の構成を簡単にするとともに、再検の要否の判定結果の取得に想定された以上の時間を要した場合でも、再検が必要な検体については自動的に再検を実行することができる。
【0150】
また、検体検査システム1に再検専用の検体検査装置を設ける必要がなく、また再検専用のサンプルラックの搬送経路を設ける必要がないため、システム全体の構成を従来に比して簡略化することができ、システムの生産コストを低減することができる。
【0151】
また、検体検査装置5の1つの測定ユニット51によって初検及び再検の何れの測定も行うため、測定ユニット51の稼働率が高く、その結果、システム全体の可動効率が高い。
【0152】
また、初検の検査結果に基づいて再検の要否及び再検項目が自動的に決定され、決定された再検項目による再検が自動的に実行される。したがって、オペレータにとって利便性が高いシステムとすることができる。
【0153】
さらに、サンプルラックLに保持されている全ての検体について再検の要否が決定するまで、分析後ラック送出位置391より先にサンプルラックLが進まないようにサンプルラックLの搬送制御が行われる。これにより、検体供給位置35b及び分析後ラック送出位置391が存在するラック搬送部35においてX1方向及びX2方向の両方向にサンプルラックLの搬送を行える構成とすれば、分析前ラック保持部33及び第2搬送機構32においては一方向にのみ搬送可能な構成とするだけで、初検が行われた後再検が必要と決定された検体を検体供給位置35bまで戻すことができる。したがって、サンプルラックLの搬送経路全体において、双方向にサンプルラックLを搬送可能な部分を少なくすることができ、この結果、構造の複雑化及び大型化並びに生産コストの高騰を抑制することができる。
【0154】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、検体検査装置5の情報処理ユニット52により第1搬送機構31の制御を行い、検体搬送装置3の制御部300により第2搬送機構32の制御を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御を情報処理ユニット52及び制御部300の一方で行う構成としてもよい。また、第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御部を、情報処理ユニット52及び制御部300とは別個に設ける構成としてもよい。
【0155】
また、上述した実施の形態においては、サンプルラックLの搬送経路が矩形状に折れ曲がっており、その矩形の1つの角部に分析後ラック送出位置391が設けられた構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLの搬送経路を直線状に構成し、その途中(検体吸引位置より搬送方向下流側)に分析後ラック送出位置を設け、サンプルラックLに保持された全ての検体について再検の要否が決定するまで、その分析後ラック送出位置を越えてサンプルラックLを前記搬送方向下流側へと進ませないように、サンプルラックLを搬送する構成とすることもできる。
【0156】
また、上述した実施の形態においては、CPUが第1搬送機構の制御用のコンピュータプログラムを実行することにより、第1搬送機構の制御を行う構成について述べたがこれに限定されるものではない。第1搬送機構の制御用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、第1搬送機構の制御処理を実行する構成としてもよい。同様に、第2搬送機構の制御用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、第2搬送機構の制御処理を実行する構成としてもよい。
【0157】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ52aによりコンピュータプログラム524aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム524aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0158】
また、上述した実施の形態においては、第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御、再検の要否決定、及び再検項目の決定を情報処理ユニット52、制御部300、検査情報管理装置9によって分散して行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、情報処理ユニット52によってこれらの処理の全てを行う構成としてもよい。
【0159】
また、上述した実施の形態においては、検体検査装置5を多項目血液分析装置としたが、これに限定されるものではない。検体検査装置5は、被験者から採取された検体を分析する装置であればよく、尿を分析する尿分析装置、又は骨髄液を分析する分析装置とすることもできる。
【0160】
また、上述した実施の形態においては、再検の要否の決定が完了していない検体を保持したサンプルラックLを、その検体の再検の要否の決定がなされるまで分析後ラック送出位置391に待機させることにより、再検の要否の決定が完了していない検体が分析後ラック送出位置391を超えて搬送方向下流側に搬送されないように構成しているが、これに限定されるものではない。検体供給位置35bから分析後ラック送出位置391までのサンプルラックLの搬送速度を、送り込み位置35aから分析後ラック送出位置391までのサンプルラックLの搬送速度よりも遅くすることにより、再検の要否の決定が完了していない検体が分析後ラック送出位置391を超えて搬送方向下流側に搬送されないように構成してもよい。
【0161】
また、上述した実施の形態においては、再検が必要と判定された検体を、検体供給位置35bから分析後ラック送出位置391に向かう検体の搬送経路と同一の搬送経路を用いて検体供給位置35bに搬送しているが、これに限定されるものではない。例えば、再検される検体を検体供給位置35bに搬送するための搬送経路を、検体供給位置35bから分析後ラック送出位置391に向かう検体の搬送経路とは別途設けてもよい。
【0162】
また、上述した実施の形態においては、分析後ラック送出位置391に検体が到達したときに、当該検体について再検の要否が決定されていない場合には、再検の要否が決定されるまで上記検体を分析後ラック送出位置391で待機させているが、これに限定されるものではない。例えば、分析後ラック保持部34上の検体をY1方向およびY2方向に搬送可能に構成し、再検の要否が決定されていない検体を分析後ラック保持部34の搬送経路上に待機させておいてもよい。
【0163】
また、上述した実施の形態においては、分析後ラック送出位置391にサンプルラックLを停止させてから計時を開始して所定時間が経過した場合には、タイムアウトとして、サンプルラックLを分析後ラック保持部34に送出しているが、これに限られない。例えば、サンプルラックLに保持された全ての検体についての初検の検査結果の取得が完了してから計時を開始してもよいし、サンプルラックLに保持された複数の検体のうち最初に初検が行われた検体の初検の検査結果の取得が完了してから計時を開始してもよい。他にも、サンプルラックLに保持された全ての検体が初検のために測定ユニットに取り込まれた時点から計時を開始してもよいし、サンプルラックLに保持された複数の検体のうち一の検体が最初に初検のために測定ユニットに取り込まれた時点から計時を開始してもよい。
【0164】
また、上述した実施の形態においては、検査情報管理装置9が検体について再検の要否を決定し、検査情報管理装置9が再検要否決定結果通知データを情報処理ユニット5へ送信し、情報処理ユニット5が再検要否決定結果通知データに基づいて搬送管理テーブルTTの各検体に対応する再検フラグに「1」又は「0」をセットし、搬送管理テーブルTTにおいて再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定することで、情報処理ユニット5がサンプルラックLに保持されている検体の再検の要否を判定し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には、当該検体の再検を実行するために、その検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLを搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体検査システムの外部において検体の再検の要否決定が行われ、検体検査システムが再検の要否決定の結果を示す再検要否決定結果情報を外部から取得し、当該検体検査システムがこの再検要否判断結果情報を用いて検体の再検の要否を判定する構成としてもよい。例えば、検体検査システムの外部において検体の再検の要否を決定し、オペレータによって手作業で入力されたり、システム外部から送信されたりした再検要否決定結果情報を情報処理ユニット5が取得し、情報処理ユニット5が再検要否判断結果情報を参照し、再検要否決定結果情報に基づいて搬送管理テーブルTTの各検体に対応する再検フラグに「1」又は「0」をセットし、搬送管理テーブルTTにおいて再検フラグに「1」がセットされている検体が存在するか否かを判定することで、情報処理ユニット5がサンプルラックLに保持されている検体の再検の要否を判定し、再検フラグに「1」がセットされている検体が存在する場合には、当該検体の再検を実行するために、その検体が検体供給位置35bに到達するまでサンプルラックLを搬送する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の検体検査システムは、検体を搬送し、搬送された検体を検査装置で検査する検体検査システムとして有用である。
【符号の説明】
【0166】
1 検体検査システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 第1搬送機構
32 第2搬送機構
300 制御部
4 検体収容装置
5 検体検査装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 検体情報管理装置
L サンプルラック
T 検体容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置とを経由して検体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により前記第1位置に搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して第1検査を実行し、前記第1検査の検査結果に基づいて、前記第1位置に搬送された前記検体を再度取り込み、取り込んだ検体に対して第2検査を実行することが可能な検査装置と、
検体の第2検査が必要であるか否かを判定する要否判定手段と、
前記第1検査が完了した検体について前記要否判定手段により前記第2検査の要否が判定される前に前記検体が前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御し、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御する搬送制御手段と、
を備える、検体検査システム。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、前記検体が前記第2位置に到達したときに前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査の要否が判定されていない場合には、前記第2位置で前記検体を待機させるべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の検体検査システム。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記第1位置と前記第2位置とを経由して検体を搬送するための搬送路に沿って、検体を搬送可能に構成され、
前記搬送制御手段は、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記搬送路に沿って前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1又は2に記載の検体検査システム。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、前記要否判定手段により前記第2検査が不要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記第1位置側から前記第2位置を越えて前記検体を搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項5】
前記搬送制御手段は、前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記検体が前記第2位置に到達する前に前記検体を前記第1位置へ搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項6】
前記搬送装置は、複数の検体が保持された検体ラックを搬送するように構成されており、
前記搬送制御手段は、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された全ての検体について、前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされるまでは、前記検体ラックが前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項7】
前記搬送制御手段は、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定されたときは、当該他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項6に記載の検体検査システム。
【請求項8】
前記搬送制御手段は、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記検査装置による前記第1検査が行われておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると決定されたときは、前記検査装置に前記他の検体について前記第2検査を行わせるために、前記他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項7に記載の検体検査システム。
【請求項9】
前記搬送制御手段は、前記搬送装置により搬送されている検体について、予め定められた所定期間内に前記要否判定手段により前記第2検査の要否判定がなされなかったときには、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至8の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項10】
前記搬送装置は、
前記搬送路上の検体を前記第1位置から前記第2位置へと向かう第1搬送方向及び前記第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向へ搬送可能な搬送機構と、
検体を前記搬送路へ送り込む送り込み部と、
前記搬送路から検体を受け取る受け取り部と、
を具備する、請求項3に記載の検体検査システム。
【請求項11】
前記第2位置が前記搬送路の前記第1搬送方向についての終端位置であり、
前記搬送機構は、前記終端位置に到達した検体を前記受け取り部へ送出する送出機構を有し、前記終端位置に到達した検体を前記送出機構により前記受け取り部へ送出することにより、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送するように構成されている、請求項10に記載の検体検査システム。
【請求項12】
前記搬送装置から搬送された検体を受け取って搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置により搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して所定の処理を行う検体処理装置と、をさらに備える、請求項1乃至11の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項1】
第1位置と第2位置とを経由して検体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により前記第1位置に搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して第1検査を実行し、前記第1検査の検査結果に基づいて、前記第1位置に搬送された前記検体を再度取り込み、取り込んだ検体に対して第2検査を実行することが可能な検査装置と、
検体の第2検査が必要であるか否かを判定する要否判定手段と、
前記第1検査が完了した検体について前記要否判定手段により前記第2検査の要否が判定される前に前記検体が前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御し、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御する搬送制御手段と、
を備える、検体検査システム。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、前記検体が前記第2位置に到達したときに前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査の要否が判定されていない場合には、前記第2位置で前記検体を待機させるべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の検体検査システム。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記第1位置と前記第2位置とを経由して検体を搬送するための搬送路に沿って、検体を搬送可能に構成され、
前記搬送制御手段は、前記要否判定手段により前記検体について前記第2検査が必要であると判定された場合には、前記検体を前記搬送路に沿って前記第1位置まで搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1又は2に記載の検体検査システム。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、前記要否判定手段により前記第2検査が不要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記第1位置側から前記第2位置を越えて前記検体を搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項5】
前記搬送制御手段は、前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定された検体が前記第2位置に到達していない場合には、前記検体が前記第2位置に到達する前に前記検体を前記第1位置へ搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項6】
前記搬送装置は、複数の検体が保持された検体ラックを搬送するように構成されており、
前記搬送制御手段は、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された全ての検体について、前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされるまでは、前記検体ラックが前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送されないように前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項7】
前記搬送制御手段は、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記要否判定手段による前記第2検査の要否の判定がなされておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると判定されたときは、当該他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項6に記載の検体検査システム。
【請求項8】
前記搬送制御手段は、前記搬送装置によって搬送されている検体ラックに保持された一部の検体について前記検査装置による前記第1検査が行われておらず、前記検体ラックに保持された他の検体について前記要否判定手段により前記第2検査が必要であると決定されたときは、前記検査装置に前記他の検体について前記第2検査を行わせるために、前記他の検体を前記第1位置へと搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項7に記載の検体検査システム。
【請求項9】
前記搬送制御手段は、前記搬送装置により搬送されている検体について、予め定められた所定期間内に前記要否判定手段により前記第2検査の要否判定がなされなかったときには、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送すべく前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1乃至8の何れかに記載の検体検査システム。
【請求項10】
前記搬送装置は、
前記搬送路上の検体を前記第1位置から前記第2位置へと向かう第1搬送方向及び前記第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向へ搬送可能な搬送機構と、
検体を前記搬送路へ送り込む送り込み部と、
前記搬送路から検体を受け取る受け取り部と、
を具備する、請求項3に記載の検体検査システム。
【請求項11】
前記第2位置が前記搬送路の前記第1搬送方向についての終端位置であり、
前記搬送機構は、前記終端位置に到達した検体を前記受け取り部へ送出する送出機構を有し、前記終端位置に到達した検体を前記送出機構により前記受け取り部へ送出することにより、前記検体を前記第1位置側から前記第2位置を越えて搬送するように構成されている、請求項10に記載の検体検査システム。
【請求項12】
前記搬送装置から搬送された検体を受け取って搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置により搬送された検体を取り込み、取り込んだ検体に対して所定の処理を行う検体処理装置と、をさらに備える、請求項1乃至11の何れかに記載の検体検査システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−236952(P2010−236952A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83637(P2009−83637)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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