説明

検査方法および検査容器

【課題】微量の試薬と検体の混合溶液を試薬セル内で攪拌する際の蒸発や攪拌棒への付着による影響を低減させること。
【解決手段】円形の試薬プレート2の上面に円形の上蓋3を装着して試薬カートリッジ1を形成する。試薬プレート2の上面の凹部25を上蓋3の蓋板部31によって閉鎖して試薬セル4を形成し、試薬セル4内に、凹部25の底面中央の円形面34aと、この円形面34aと対峙する蓋板部31の円形面27aの間に架け渡された液柱5の状態で、検査用液体試薬を保持させる。試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させる動作により、円形面34aと円形面27aを相対移動させて液柱5を形成している液体に流れを生じさせ、攪拌する。また、この相対回転動作により試薬プレート2の貫通孔28と上蓋3の貫通孔35を連通させて連通孔から検体の液滴を液柱5に向かって飛ばし、非接触で検体を分注する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の検査用液体試薬を検体と反応させるための反応室を有する検査容器、および、このような検査容器を用いて検査を行う際の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体検査などにおいて、液体試薬を入れた検査容器の反応室に血液や血漿などの検体を分注して液体試薬と反応させる方法が用いられている。検体と試薬を混合する過程では、攪拌棒を用いて混合用液を攪拌する方法が用いられているが、検体や試薬を微量化した場合、攪拌棒の大きさを溶液の量に応じて小型化するには限界がある。また、攪拌棒への混合溶液の付着が微量化の妨げになるという問題点がある。
【0003】
攪拌棒を用いない攪拌方法としては、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1には、反応容器の内部に向けたノズルから空気を吐出し、このとき、ノズルと反応容器を相対回転させることにより、旋回する空気の流れによって反応容器内の混合溶液を攪拌する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように空気流によって混合溶液を攪拌する方法では、空気との接触による液体試薬の蒸発量が多く、攪拌に伴う液体試薬の濃度変化が大きい。そのため、正確な検査結果が得られないという問題点がある。特に、検体や試薬が微量である場合には蒸発の影響が大きく、検査精度が低下する恐れがある。
【0006】
本発明の課題は、上記のような問題点に鑑みて、微量の試薬と検体の混合溶液を反応室内で攪拌でき、攪拌に伴う蒸発などの混合溶液への影響を低減することが可能な検査方法、および、このような検査方法に用いられる検査容器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の検査方法は、
所定間隔で対峙する一対の対峙面を内部に備える反応室が形成された検査容器を用意し、
検査用液体試薬を、前記一対の対峙面の間に架け渡された液柱の状態で前記反応室内に保持させ、
前記一対の対峙面を、前記液柱を形成している液体内に流れを生じさせるように相対移動させることを特徴としている。
【0008】
本発明では、このように、反応室内に液柱の状態で検査用液体試薬を保持させているので、液柱の両端を保持している一対の対峙面を相対移動させることにより、液柱に変形を加えて液柱を形成している液体内に流れを生じさせることができる。よって、この流れによって液柱を形成している液体を攪拌できる。このような方法によれば、空気流や攪拌棒などを液柱に接触させることなく微量の液体を攪拌できるので、攪拌による蒸発を抑制できる。また、攪拌棒への付着による液量の減少を防止できる。よって、微量の液体試薬や検体を用いた検査を精度良く行うことができる。
【0009】
このとき、前記一対の対峙面を対峙方向と直交する方向に相対移動させる動作を行うとよい。また、前記一対の対峙面を所定量だけ相対移動させて元の位置に戻す往復動作を行うとよい。このような動作により、液柱の形状を保ったまま液柱内に確実に流れを形成して液柱を形成している液体を攪拌することができる。
【0010】
本発明において、前記検査容器は、所定深さの凹部が形成された容器本体と、前記凹部の上部開口を閉鎖可能な蓋板部を備える蓋体を有し、前記凹部の底面に前記一対の対峙面の一方が設けられ、前記蓋板部における前記凹部の上部開口を塞ぐ部分に他方が設けられ、前記凹部の上部開口を前記蓋板部により塞いだ状態で、前記蓋板部と前記容器本体を摺接させるように、前記容器本体と前記蓋体を相対移動させるとよい。このように、容器本体に形成した凹部の底面と蓋板の間に液柱を形成すれば、蓋板を容器本体に摺接することにより、容易に液柱に捻りや傾きを加えることができる。
【0011】
ここで、前記検査容器に、前記反応室と外部を連通する連通部を形成した状態と、当該連通部を形成しない状態に変位可能な開閉部を設けておき、前記連通部を形成した状態において、当該連通部を通って前記検査容器の外部から前記反応室内に検体の液滴を飛ばして前記液柱に着滴させ、前記液柱に前記液滴が着滴する前および/または後に、前記検体の混入前および/または混入後の前記検査用液体試薬に流れを生じさせるように前記容器本体と前記蓋体を相対移動させるとよい。このように、液柱状の検査用液体試薬への検体の分注直前あるいは直後に液柱内に流れを生じさせれば、効率的に攪拌を行うことができ、速やかに検体と検査用液体試薬を反応させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記容器本体は円板状プレートであり、当該円板状プレートの上面に前記凹部が少なくとも1つ形成されており、前記蓋体は、円板状の前記蓋板部と、当該蓋板部の外周縁に形成され、内側に前記円板状プレートを嵌合可能な円環状の周壁部を備え、前記開閉部は、前記凹部の側壁面から前記円板状プレートの径方向外側に延びて前記円板状プレートの外周面に開口している第1貫通孔と、前記周壁部を前記蓋体の径方向に貫通している第2貫通孔を備え、前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートを前記蓋体に対して周方向に相対回転させる回転動作を行うことにより、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を連通させて前記連通部を形成し、当該連通部を通って前記検査容器の外部から前記反応室内に飛ばした前記検体の液滴を前記液柱に着滴させた後、前記回転動作とは逆方向に、前記円板状プレートを前記蓋体に対して相対回転させるとよい。このようにすれば、検体を分注するための連通孔を形成する動作によって分注前に液柱内に流れを発生させて、分注後には逆の動作によってさらに流れを発生させると同時に連通孔を閉鎖することができる。
【0013】
次に、本発明の検査容器は、
所定深さの凹部が上面に少なくとも1つ形成された円板状プレートと、前記円板状プレートの上部に装着可能な蓋体を有し、
当該蓋体は、前記円板状プレートに装着した状態において前記凹部の上部開口を塞ぐ円板状の蓋板部と、当該蓋板部の外周縁に形成され、内側に前記円板状プレートを嵌合可能な円環状の周壁部を備え、
検査用液体試薬を、前記凹部の底面と、前記蓋板部における前記凹部の上部開口を塞ぐ面の間に架け渡された液柱の状態で前記反応室内に保持可能に構成され、且つ、前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートを、前記蓋体に対して周方向に相対回転可能に構成されており、
上記の検査方法による検査に用いられることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の検査容器において、前記円板状プレートは、前記凹部の側壁面から前記円板状プレートの径方向外側に延びて前記円板状プレートの外周面に開口している前記第1貫通孔を備え、前記蓋体は、前記周壁部を前記蓋体の径方向に貫通している前記第2貫通孔を備え、前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートの前記蓋体に対する周方向の相対回転位置を、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔が連通する位置と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔が連通しない位置に調整可能に構成するとよい。このようにすると、円板状プレートに装着した蓋体を回すことにより第1貫通孔と第2貫通孔を連通させて凹部内に検体を飛ばすことが可能となる。
【0015】
また、本発明の検査容器を、前記凹部の底面に透明な第1窓を設けると共に、前記蓋板部における前記第1窓と対峙する部分に透明な第2窓を形成し、前記一対の対峙面は、前記第1窓と前記第2窓に設けられている構成にするとよい。このようにすると、透明な第1窓と第2窓の間の一定長さの光路上に検査用液体試薬の液柱が形成されるので、この第1窓と第2窓の一方から検査光を照射し、他方から液柱を通過した検査光を検出して吸光度測定を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反応室内に液柱の状態で検査用液体試薬を保持させ、液柱の両端を保持している一対の対峙面を相対移動させることにより、液柱に変形を加えて液柱を形成している液体内に流れを生じさせることができる。よって、この流れによって液柱を形成している液体を攪拌できる。このような方法によれば、空気流や攪拌棒などを液柱に接触させることなく微量の液体を攪拌できるので、攪拌による蒸発を抑制できる。また、攪拌棒への付着による液量の減少を防止できる。よって、微量の液体試薬や検体を用いた検査を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る試薬カートリッジの分解斜視図である。
【図2】本発明に係る試薬カートリッジの断面図である。
【図3】試薬カートリッジを装填した検査装置の斜視図である。
【図4】試薬カートリッジを装填した検査装置の断面図(図3のA−A断面図)である。
【図5】アクリジンオレンジの時間経過に伴う状態変化を示すグラフである。
【図6】試薬プレートを上蓋に対して相対回転させる前後の液柱の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る検査容器およびこの検査容器を用いた検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(検査容器の構成)
図1は本発明に係る試薬カートリッジの分解斜視図であり、図1(a)は斜め上方から見た図、図1(b)は斜め下方から見た図である。また、図2は試薬カートリッジの断面図である。試薬カートリッジ1(検査容器)は、所定の厚さの円形の試薬プレート2(容器本体/円板状プレート)と、試薬プレート2の上面に装着可能な円形の上蓋3(蓋体)を備えている。試薬プレート2の中心には、試薬プレート2を厚さ方向に貫通する軸孔21が形成されている。試薬プレート2の上面中央には円形凸部22が形成され、試薬プレート2の裏面中央には円形凹部23が形成されている。この円形凸部22および円形凹部23の中央に軸孔21の両端が開口している。
【0020】
試薬プレート2の外周面の上部には、試薬プレート2の下部よりも一回り外周径が小さい小径部24が形成されている。この小径部24の高さは、試薬プレート2の厚さの半分程度の高さとなっている。一方、上蓋3には、円板状の蓋板部31の外周縁から下側に延びる円環状の周壁部32が形成されている。従って、試薬プレート2の上面に上蓋3を被せて周壁部32の内側に小径部24を嵌合させ、更に、上蓋3における蓋板部31の中央に形成された円形開口31aに試薬プレート2の円形凸部22を嵌合させることにより、試薬プレート2に上蓋3を装着できる。
【0021】
試薬プレート2の上面の外周縁際には、複数の凹部25が周方向に等間隔に並んで形成されている。試薬プレート2に上蓋3を装着すると、上蓋3における蓋板部31の下面が試薬プレート2の上面に密着し、且つ、周壁部32の内周面に小径部24の外周面が密着した状態となる。そのため、蓋板部31の下面部分によって各凹部25の上部開口が閉鎖され、試薬カートリッジ1の内部に、凹部25の数と同数の試薬セル4(反応室)が形成される。
【0022】
試薬プレート2における小径部24の外周面には、各凹部25の側壁面から径方向外側に延びる貫通孔28(第1貫通孔/開閉部)の一端が開口している。これらの貫通孔28は、小径部24の外周面上に周方向に等間隔に配置されている。一方、上蓋3の周壁部32には、貫通孔28と同一径の貫通孔35(第2貫通孔/開閉部)が貫通孔28と同一数形成されており、これらの貫通孔35は、周方向に等間隔に配置されている。
【0023】
上蓋3と試薬プレート2は、上蓋3を試薬プレート2に装着した状態で、周方向に相対回転可能に構成されている。すなわち、上蓋3における蓋板部31の下面を試薬プレート2の上面に摺接させると同時に、上蓋3における周壁部32の内周面と小径部24の外周面とを摺接させて、上蓋3と試薬プレート2を相対回転させることが可能である。従って、試薬プレート2に上蓋3を装着した後、各貫通孔28と各貫通孔35とが重なるように上蓋3の相対回転位置を調整して、各試薬セル4の内部空間と外部とを連通させる連通部(連通した状態の貫通孔28と貫通孔35)を形成することができる。また、各貫通孔28と各貫通孔35とが重ならないように上蓋3の相対回転位置を調整して、各試薬セル4を密閉することができる。
【0024】
各貫通孔28と各貫通孔35とが重ならないように上蓋3の相対回転位置を調整して試薬セル4を密閉した状態では、各凹部25の底面26は、蓋板部31の下面部分における各凹部25と対峙する円形部分である各閉鎖面33と対峙している。本実施形態では、各凹部25の平面形状は円形であり、且つ、一定の深さに形成されている。従って、各底面26と各閉鎖面33の平面形状はいずれも円形であり、互いに平行な面となっている。
【0025】
各底面26と各閉鎖面33における互いに正対する各位置には、それぞれ、同一径の円形の溝27および溝34が形成されている。試薬セル4の内側面のうち、各底面26における溝27に囲まれた円形面27aの部分には親水加工が施されている。また、溝27の内側および溝27よりも外側の部分には撥水加工が施されている。同様に、溝34に囲まれた円形面34aの部分には親水加工が施され、溝34の内部および溝34よりも外側の部分には撥水加工が施されている。そして、凹部25の側面にも撥水加工が施されている。
【0026】
このような構成において、円形面27aと円形面34aの間に液体試薬を導入すると、試薬の表面張力により、円形面27aと円形面34aの間に架け渡された液体試薬の液柱5を形成できる。このとき、各底面26と各閉鎖面33に溝27、溝34のような段差状の境界を形成し、さらに、各溝とその内側との境界を親水面と撥水面の境界としておくことにより、液体試薬が段差を越えて撥水面側に広がるのが抑制され、液柱5の形状がくずれにくい。また、本実施形態では、例えば、数μl程度の微量の液体試薬を用いて検査を行うことを想定しており、各試薬セル4の容積は小さく、円形面27aと円形面34aとの間の距離も短い。そのため、液柱5の長さを十分短くすることができ、その点からも、液柱5の形状がくずれにくくなっている。
【0027】
試薬プレート2および上蓋3は、透明樹脂やガラスなどの透明素材により形成されている。上記のように、各試薬セル4は、互いに平行な状態で対峙している円形面27aおよび円形面34aの間に試薬の液柱5を形成するので、試薬プレート2における円形面27aの部分と、上蓋3における円形面34aの部分との一方を、液柱5に吸光度測定用の検査光を照射するための入射窓として用いることができる。また、他方を、液柱5を通過した光を外部に出射させるための出射窓として用いることができる。ここで、各凹部25の深さは一定であるので、円形面27aと円形面34aの距離は常に一定である。従って、円形面27aおよび円形面34aを入射窓および出射窓として用いれば、各試薬セル4内を通過する際の光路長は一定となる。なお、このような入射窓および出射窓を確保するためには、少なくとも試薬プレート2における各円形面27aの部分および上蓋3における各円形面34aの部分のみを透明素材とすればよく、他の部分については不透明な素材により形成してもよい。
【0028】
(検査装置の構成)
次に、上記構成の検査容器を用いて生化学検査を行うための検査装置について説明する。図3は試薬カートリッジを装填した検査装置の斜視図、図4は試薬カートリッジを装填した検査装置の断面図(図3のA−A断面図)である。検査装置6は、試薬カートリッジ1を装填するための装填台61を備えており、この装填台61の上端部分には、試薬プレート2の裏面の円形凹部23と相補形状をなす円形凸部62が形成されている。また、円形凸部62の上端面の中央には開口が形成されてその内側に軸受け部が設けられており、この軸受け部によって回転自在に支持された回転軸63が、円形凸部62の上端面から上向きに突出している。回転軸63を回転駆動させるためのモータ等は装填台61の内部に収容されている。試薬カートリッジ1は、軸孔21および円形凹部23に回転軸63および円形凸部62を嵌合させることにより、装填台61の上部に水平な状態で装填される。試薬カートリッジ1を回転軸63に対して相対回転不能に嵌合させることにより、回転軸63を回転駆動させて試薬カートリッジ1の回転位置を調整することができる。
【0029】
検査装置6は、装填台61に隣接して配置された吸光度測定用の検査光照射部64および受光部65を備えている。検査光照射部64および受光部65は、装填台61に装填した試薬カートリッジ1の外周縁部分を上下方向に挟む位置に支持されている。本実施形態では、上蓋3の上面側に検査光照射部64が配置され、試薬プレート2の下面側に受光部65が配置されているが、この配置を上下逆にしてもよい。検査装置6は、試薬カートリッジ1の回転軸63を中心とする回転位置を適宜調整することにより、検査光照射部64から受光部65に至る光路が、試薬カートリッジ1における所望の試薬セル4の中央を上下方向に貫通する光路となるように、試薬カートリッジ1を位置決め可能に構成されている。これにより、検査光照射部64から受光部65に至る光路が、各試薬セル4内に形成された液柱5内を通る光路となるように試薬カートリッジ1を位置決めし、各試薬セル4内に保持されている試薬の吸光度を測定することができる。
【0030】
また、検査装置6は、装填台61に隣接して配置された検体分注機構66を備えている。この検体分注機構66は、公知のインクジェットヘッドと同様の機構により微量の検体を吐出可能に構成されており、装填台61に装填された試薬カートリッジ1の外周面に吐出口67aを向けて配置されているノズル67と、ノズル67の後端側に設けられ、ノズル67に送り出す検体を収容しているタンク68と、ノズル67内の検体を吐出させるためのアクチュエータ69などを備えている。タンク68は、ノズル67に連通する検体供給流路に着脱可能に構成されており、タンク68の部分を使い捨てにすることができる。例えば、血液などの検体を用いる場合は、採血器具の血液収容部をそのままタンク68として装着できるようにすれば、ノズル67に検体を供給する際の手間を省略できる。また、検体への異物の混入や検体との接触による感染などを防止できる。また、タンク68内に予め血漿分離機能を有するフィルタなどをセットしておき、タンク68内に導入した血液から血漿成分を分離してノズル67に導入できるように構成してもよい。
【0031】
ノズル67の吐出口67aは、試薬カートリッジ1の外周面に形成されている各貫通孔35と同一高さに設置されている。そのため、装填台61にセットされた試薬カートリッジ1の回転位置を適宜調整すれば、吐出口67aを各貫通孔35と正対させることができる。このとき、上蓋3側の各貫通孔35と試薬プレート2側の各貫通孔28とが連通していれば、吐出口67aから吐出した検体の液滴を、各貫通孔28と各貫通孔35を通って各試薬セル4内に分注することができる。
【0032】
本実施形態では、試薬セル4を試薬カートリッジ1の外周縁部に周方向に等間隔で配置しているので、試薬セル4の周方向の配置間隔に対応する角度ずつ試薬カートリッジ1を回転させながらノズル67から検体を分注すれば、各試薬セル4に順次微量の検体を分注することができる。各試薬セル4内には、上述したような試薬の液柱5が形成されているので、ノズル67の吐出口から飛んだ液滴を液柱5に着滴させて試薬と反応させることが可能である。また、ある試薬セル4の貫通孔35と吐出口67aとを正対させたときに、他の試薬セル4が検査光照射部64と受光部65との間に位置するように検査装置6の各部を設置しておけば、吸光度測定と検体の分注を同時に行うことも可能であり、そのための位置決めも容易となる。
【0033】
(検査方法)
本実施形態では、上記構成の試薬カートリッジ1に予め液体試薬を導入して密閉したものを検査に備えて保存しておき、必要な時に必要な数の試薬カートリッジ1を保存場所から取り出して検査を行う。ここで、各試薬カートリッジ1にはそれぞれ12個の試薬セル4が設けられているが、そのうち1つのセルには、この検査容器内における各液体試薬の蒸発量をモニターするための試薬としてアクリジンオレンジ(蒸発量モニター用試薬)を導入しておき、他の11個のセルには、検体と反応させるための検査用液体試薬を導入しておく。11個の試薬セル4にそれぞれ異なった検査用液体試薬を導入しておけば、この試薬カートリッジ1によって一度に最大限11種類の検査を行うことが可能である。なお、1つの試薬カートリッジ1に設ける試薬セル4の数は12個に限定されず、必要な検査用液体試薬の種類数や一度に検査を行う検体数などに応じて適宜変更が可能である。
【0034】
アクリジンオレンジは、時間が経過しても状態が変化しにくい安定した試薬である。また、アクリジンオレンジはモル吸光係数が高いため、吸光度の変化を測定することにより、その濃度変化や蒸発量を精度良く判定することが可能である。図5(a)〜(c)は、アクリジンオレンジ(濃度10μM/L、液量4μL)を試薬セル4と同様の容器内に保存した際の時間経過に伴う状態変化を示すグラフである。図5(a)は蒸発量の変化のグラフ、図5(b)は吸光度の変化のグラフ、図5(c)は図5(a)(b)に基づいて作成された蒸発量と吸光度の対応関係のグラフである。図5(c)によれば、アクリジンオレンジの蒸発量と吸光度はおおむね比例関係にある。そこで、試薬セル4内に密閉したアクリジンオレンジの吸光度を検査光照射部64および受光部65を用いて測定し、測定結果と対応する蒸発量を図5(c)のグラフから読み取ることにより、アクリジンオレンジの蒸発量を算出することができる。
【0035】
試薬カートリッジ1内の各試薬セル4内にアクリジンオレンジあるいは検査用試薬を導入して液柱5を形成する方法としては、例えば、上蓋3を装着していない試薬プレート2上の各凹部25にアクリジンオレンジあるいは検査用液体試薬をそれぞれ所定量ずつ分注して、各底面26の中央の円形面27a上に、表面張力で半球状に盛り上がった状態に液体試薬を着滴させる。そして、この状態で上蓋3を装着することにより、液体試薬の頂部を上蓋3の下面の円形面34aと接触させ、液柱5を形成すると同時に試薬セル4を形成して密閉する方法などが用いられる。あるいは、各円形面34aに半球状に盛り上がった状態に液体試薬を着滴させた上蓋3を試薬プレート2に装着して、液体試薬の頂部を円形面27aと接触させて液柱5を形成してもよい。
【0036】
各試薬セル4に各液体試薬を導入したら、試薬カートリッジ1の表面に、試薬セル4への導入時点でのアクリジンオレンジの初期吸光度を読み取り可能な状態で記録しておく。例えば、初期吸光度をコード化したバーコードラベル7を試薬カートリッジ1の表面に貼り付けておく。貼り付け位置は、吸光度測定用の検査光を遮らず、且つ、検体分注用の貫通孔35を閉鎖しないように設定することができ、本実施形態では、上蓋3の上面に貼り付けている。なお、試薬カートリッジ1の表面に初期吸光度を直接記載しておいてもよいし、目視で読み取り可能となるようにコード化せずに記載してもよい。また、アクリジンオレンジの初期吸光度に対応する初期濃度、初期液量、試薬セル4内の光路長などを記録しておいて吸光度を算出できるようにしてもよいし、保存開始時期や製造者、保存場所などの他の情報を含めて記録しておいてもよい。
【0037】
血液や血漿などを検体とする検体検査を行う際には、まず、予め液体試薬を導入して密閉保存しておいた試薬カートリッジ1を取り出し、検査装置6の装填台61に装填する。次に、アクリジンオレンジの液柱5が形成されている試薬セル4を検査光照射部64と受光部65との間に位置決めして、アクリジンオレンジの吸光度を測定する。そして、事前にあるいはこの時点でバーコードラベル7から読み取った初期吸光度の情報と、測定により得られた現時点での吸光度に基づき、アクリジンオレンジの蒸発量を算出する。例えば、図5(c)のグラフを用いて、初期吸光度から現時点における吸光度までの吸光度の変化に対応する蒸発量の変化量を読み取り、この変化量をアクリジンオレンジの蒸発量とする。
【0038】
一方、検体を各試薬セル4に分注するために、被験者の血液が導入された採血器具から血液が収容されたタンク68を外し、検体分注機構66に装着してノズル67に検体を供給する。例えば、血漿を検体とする場合には、タンク68内のフィルタで分離された血液中の血漿成分を、ノズル67に供給する。
【0039】
一方、所望の検査用液体試薬が導入されている試薬セル4の貫通孔35を検体分注機構66の吐出口67aに正対させるために、装填台61に装填した試薬カートリッジ1を所定量だけ回転させて、試薬カートリッジ1を位置決めする。このとき、図示しない相対回転機構により、試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させ、内側の貫通孔28を外側の貫通孔35と連通させ、連通孔が吐出口67aと正対するように位置決めする。各試薬セル4は、試薬カートリッジ1に各液体試薬を導入した後は貫通孔28と貫通孔35を連通させない状態とすることにより密閉状態とされている。なお、試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させて貫通孔35と貫通孔28とを連通させる動作は、試薬カートリッジ1を装填台61に装填する前に行っておいてもよいが、検査用液体試薬と外気との接触時間を短縮するためには、分注直前に行うのが望ましい。
【0040】
この状態で、検体分注機構66のアクチュエータ69を作動させて吐出口67aから検体(血漿)の液滴を飛ばし、貫通孔35および貫通孔28を通って試薬セル4内の液柱5に検体(血漿)を着滴させることにより、検体(血漿)を分注する。他の試薬セル4にも検体(血漿)を分注する場合には、試薬セル4の配置間隔に応じた回転量だけ試薬カートリッジ1を回転させ、この回転動作と連動させてアクチュエータ69を作動させることにより、各試薬セル4に検体(血漿)を順次分注する。各試薬セル4への検体(血漿)の分注は、一度に行っても良いし、所定量ずつ複数回に分けて行っても良い。分注が終了したら、試薬プレート2を上蓋3に対して逆方向に相対回転させて各試薬セル4を再び閉鎖する。そして、各試薬セル内で検体(血漿)と検査用液体試薬を反応させる。
【0041】
なお、アクリジンオレンジの吸光度測定は、各試薬セル4への検体(血漿)の分注直前ではなく、分注作業中や、分注終了直後などの各タイミングで行うことも可能である。貫通孔35と貫通孔28を連通させる前のタイミングで吸光度測定を行えば、保存中の蒸発量のみを算出できるが、分注作業終了時のタイミングで吸光度測定を行えば、保存中および分注作業中の蒸発量を算出できる。検査用液体試薬が微量であるため、分注作業中の外気との接触による蒸発量の検査結果への影響が懸念される場合には、分注作業中の蒸発量を算出すれば、より精度の良い検査を行うことができる。
【0042】
各試薬セル4内において検査用液体試薬と検体(血漿)を反応させるためには、混合溶液の攪拌を行う必要がある。本実施形態では、分注直前に貫通孔28と貫通孔35を連通させるために試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させているので、この動作によって液柱5の両端を支持している円形面27aと円形面34aが試薬カートリッジ1の周方向に相対移動している。図6(a)は、試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させる前の液柱5の状態を示す説明図であり、図6(b)は相対回転させた後の液柱5の状態を示す説明図である。この図に示すように、円形面27aと円形面34aが相対移動することにより液柱5が傾いて変形し、この動作によって分注前の液柱5内に流れが生じる。このように流れを発生させた液柱5に検体(血漿)を分注すると、分注直後から、検体(血漿)と検査用液体試薬の混合溶液の攪拌が開始される。更に、分注後に再度試薬プレート2を上蓋3に対して分注前とは逆方向に相対回転させて貫通孔28と貫通孔35を連通させない状態にすることにより、分注後の液柱内にさらに流れが生じ、攪拌が進む。
【0043】
ここで、各試薬セル4への検体(血漿)を分注前、あるいは、分注後に、試薬プレート2を上蓋3に対して僅かに相対回転させた後、同じ量だけ逆回転させて元に戻す往復捻り動作を繰り返し行うようにすれば、各試薬セル4内で液柱5が傾いて元に戻る動作が繰り返されるので、さらに流れを大きくすることができ、効率的に攪拌を進めることができる。
【0044】
検体(血漿)と検査用液体試薬との反応が完了した後、各試薬セル4を検査光照射部64と受光部65の間に位置決めし、反応溶液に対する吸光度測定を行う。そして、この測定結果に基づいて検査結果が導き出される。ここで、反応時点での検査用液体試薬は、保存中の蒸発により試薬カートリッジ1に密閉して保存開始した時点よりも濃度が濃くなっているが、保存中の蒸発量は、同一の検査容器内に同一環境で保存されていたアクリジンオレンジの蒸発量と同程度であると推定できる。そこで、反応時点での検査用液体試薬は、アクリジンオレンジの吸光度測定結果および初期吸光度から算出した蒸発量と同量だけ蒸発していたと推定し、このことを考慮して検査結果を評価することができる。このとき、蒸発量に基づいて検査結果を補正すれば、検査結果の評価が容易となり、蒸発量が異なる検査用試薬を用いた検査結果同士の比較も容易となる。
【0045】
このように、上記構成では、蒸発量モニター用の試薬として試薬カートリッジ1内の複数の試薬セル4の1つにアクリジンオレンジなどの安定した試薬を封入しておき、他の試薬セル4に検査用液体試薬を封入して保存しておくので、必要なときに簡便に検査を行うことができる。また、アクリジンオレンジを透明部材の間に液柱の状態に保持させておくので、内部の検査用液体試薬に影響を与えずに、アクリジンオレンジの検査時吸光度を測定できる。そして、測定した検査時吸光度と初期吸光度に基づき、保存中の各検査用液体試薬の蒸発量や濃度変化を正確に把握できる。よって、長期保存した試薬カートリッジ1を用いた場合でも精度良く検査結果を評価でき、検査精度の向上を図ることができる。また、検査を行う前に試薬カートリッジ1内の検査用液体試薬の状態の良否を判定して試薬カートリッジ1を選別することなども可能である。
【0046】
また、初期吸光度をコード化したバーコードを試薬カートリッジ1の表面に表示しておくことにより、必要なときに適宜バーコードを読み取って容易かつ確実に初期吸光度を知ることができる。
【0047】
更に、上記構成では、試薬プレート2と上蓋3を相対回転させる往復捻り動作によって検査用液体試薬と検体の混合溶液を攪拌しているので、攪拌棒や空気流などを用いずに、簡単な装置構成および動作によって、液柱5の状態で保持されている微量の混合溶液を攪拌できる。よって、攪拌中の蒸発量を低減でき、攪拌棒への付着によって混合溶液の液量が減少することもない。
【0048】
そして、上記構成では、上蓋3の試薬プレート2に対する相対回転位置を調整して液柱5の側方に設けた貫通孔28と貫通孔35を重ねることにより、各液柱5の側方に連通孔を形成することができるので、この連通孔から、インクジェットヘッドなどの液滴吐出機構を用いて、各試薬セル4内に非接触で検体を分注することができる。このような構成により、検査用液体試薬を試薬セル4内に液柱5の状態に保持したままで検体分注および攪拌を行うことができ、更に、反応溶液に対する吸光度測定を行うことが可能となっている。
【0049】
(改変例)
(1)上記構成では、蒸発量モニター用の液体試薬としてアクリジンオレンジを用いているが、保存中の変化が少なく安定した試薬であれば、他の試薬を用いても良い。
【0050】
(2)上記構成では、円形の試薬カートリッジ1を用いたが、試薬カートリッジを、複数の試薬セル4が直線状に並んで形成された長方形の平面形状にすることも可能であり、他の形状にしてもよい。複数の試薬セル4を直線状に配置した場合には、上蓋をその配列方向にスライドさせることにより、各試薬セル4と外部とを連通させる状態と連通させない状態に変位させることができる。また、このスライド動作によって液柱を変形させて攪拌することができる。
【0051】
(3)上記構成では、上蓋3を試薬プレート2に対して相対回転させる動作によって、貫通孔35と貫通孔28を連通させる動作と、液柱5を傾けることによる攪拌動作を同時に行っていたが、上蓋3の蓋板部31と周壁部32を相対回転可能に組み付けた構成にすれば、これらの動作を独立に行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の検査方法および検査容器は、検体検査に限定されず、微量の液体試薬および検体を用いるマイクロ化学反応一般に適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1…試薬カートリッジ(検査容器)、2…試薬プレート(容器本体/円板状プレート)、3…上蓋(蓋体)、4…試薬セル(反応室)、5…液柱、6…検査装置、7…バーコードラベル、21…軸孔、22…円形凸部、23…円形凹部、24…小径部、25…凹部、26…底面、27…溝、27a…円形面、28…貫通孔(第1貫通孔/開閉部)、31…蓋板部、31a…円形開口、32…周壁部、33…閉鎖面、34…溝、34a…円形面、35…貫通孔(第2貫通孔/開閉部)、61…装填台、62…円形凸部、63…回転軸、64…検査光照射部、65…受光部、66…検体分注機構、67…ノズル、67a…吐出口、68…タンク、69…アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で対峙する一対の対峙面を内部に備える反応室が形成された検査容器を用意し、
検査用液体試薬を、前記一対の対峙面の間に架け渡された液柱の状態で前記反応室内に保持させ、
前記一対の対峙面を、前記液柱を形成している液体内に流れを生じさせるように相対移動させることを特徴とする検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査方法において、
前記一対の対峙面を対峙方向と直交する方向に相対移動させることを特徴とする検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検査方法において、
前記一対の対峙面を所定量だけ相対移動させて元の位置に戻す往復動作を行うことを特徴とする検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの項に記載の検査方法において、
前記検査容器は、所定深さの凹部が形成された容器本体と、前記凹部の上部開口を閉鎖可能な蓋板部を備える蓋体を有し、
前記凹部の底面に前記一対の対峙面の一方が設けられ、前記蓋板部における前記凹部の上部開口を塞ぐ部分に他方が設けられ、
前記凹部の上部開口を前記蓋板部により塞いだ状態で、前記蓋板部と前記容器本体を摺接させるように、前記容器本体と前記蓋体を相対移動させることを特徴とする検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載の検査方法において、
前記検査容器に、前記反応室と外部を連通する連通部を形成した状態と、当該連通部を形成しない状態に変位可能な開閉部を設けておき、
前記連通部を形成した状態において、当該連通部を通って前記検査容器の外部から前記反応室内に検体の液滴を飛ばして前記液柱に着滴させ、
前記液柱に前記液滴が着滴する前および/または後に、前記検体の混入前および/または混入後の前記検査用液体試薬に流れを生じさせるように前記容器本体と前記蓋体を相対移動させることを特徴とする検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の検査方法において、
前記容器本体は円板状プレートであり、当該円板状プレートの上面に前記凹部が少なくとも1つ形成されており、
前記蓋体は、円板状の前記蓋板部と、当該蓋板部の外周縁に形成され、内側に前記円板状プレートを嵌合可能な円環状の周壁部を備え、
前記開閉部は、前記凹部の側壁面から前記円板状プレートの径方向外側に延びて前記円板状プレートの外周面に開口している第1貫通孔と、前記周壁部を前記蓋体の径方向に貫通している第2貫通孔を備え、
前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートを前記蓋体に対して周方向に相対回転させる回転動作を行うことにより、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を連通させて前記連通部を形成し、
当該連通部を通って前記検査容器の外部から前記反応室内に飛ばした前記検体の液滴を前記液柱に着滴させた後、前記回転動作とは逆方向に、前記円板状プレートを前記蓋体に対して相対回転させることを特徴とする検査方法。
【請求項7】
所定深さの凹部が上面に少なくとも1つ形成された円板状プレートと、前記円板状プレートの上部に装着可能な蓋体を有し、
当該蓋体は、前記円板状プレートに装着した状態において前記凹部の上部開口を塞ぐ円板状の蓋板部と、当該蓋板部の外周縁に形成され、内側に前記円板状プレートを嵌合可能な円環状の周壁部を備え、
検査用液体試薬を、前記凹部の底面と、前記蓋板部における前記凹部の上部開口を塞ぐ面の間に架け渡された液柱の状態で前記反応室内に保持可能に構成され、且つ、前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートを、前記蓋体に対して周方向に相対回転可能に構成されており、
請求項1ないし6のいずれかの項に記載の検査方法による検査に用いられることを特徴とする検査容器。
【請求項8】
請求項7に記載の検査容器において、
前記円板状プレートは、前記凹部の側壁面から前記円板状プレートの径方向外側に延びて前記円板状プレートの外周面に開口している前記第1貫通孔を備え、
前記蓋体は、前記周壁部を前記蓋体の径方向に貫通している前記第2貫通孔を備え、
前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートの前記蓋体に対する周方向の相対回転位置を、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔が連通する位置と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔が連通しない位置に調整可能に構成されていることを特徴とする検査容器。
【請求項9】
請求項7または8に記載の検査容器において、
前記凹部の底面に透明な第1窓を設けると共に、前記蓋板部における前記第1窓と対峙する部分に透明な第2窓を形成し、
前記一対の対峙面は、前記第1窓と前記第2窓に設けられていることを特徴とする検査容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−181376(P2010−181376A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27487(P2009−27487)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】