説明

検査用接触子装置

【課題】
【解決手段】本発明は、半導体部品の検査用接触子装置(15)であって、検査用接触子支持体(13)に配設され、片持梁状に形成された少なくとも1つの検査用接触子(10)を備え、当該検査用接触子は、固定基部(12)、及び当該固定基部に接続され且つ接触端部(11)の形成された接触アーム(30)を有し、前記固定基部は、当該固定基部の固定凸部(16)の下端部(17)が前記検査用接触子支持体の下面(18)と実質的に面一となるように、前記固定凸部が前記検査用接触子支持体の開口部(14)内に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用接触子支持体に配設され、片持梁状に形成された少なくとも1つの検査用接触子を備え、当該検査用接触子が、固定基部、及び当該固定基部に接続され且つ接触端部の形成された接触アームを有し、固定基部は、当該固定基部の固定凸部の下端部が検査用接触子支持体の下面と実質的に面一となるように、固定凸部の下端部が検査用接触子支持体の開口部内に挿入されていることを特徴とする半導体部品の検査用接触子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体部品、特に半導体チップ等の電子部品検査には、検査用接触子支持体に配設された複数の検査用接触子を備える検査用接触子装置が用いられている。当該検査用接触子装置は、検査対象部品である半導体チップの端子表面を検査装置に一時的に接続することができ、これによって所定の検査工程に対応した電圧を当該部品に印加することが可能である。
【0003】
このために、既知の検査用接触子装置は基本的にはプリント基板(printed circuit board:PCB)の形式の回路基板として構成される検査用接触子支持体に特徴がある。接触子支持体は、その上面に検査用接触子を備えており、当該検査用接触子が半導体チップに一時的に接続する機能を有している。また、接触子支持体の下面には、検査装置と電気的に接続する接続端子を備えている。上面に配置された検査用接触子と下面に配置された接続端子との間の接続は、回路基板内に形成されるビア(内部通路)を介して行われるのが一般的であり、例えば導体通路構造によって形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、回路基板素材内に一体化されるビアの形成に起因して、既知の検査用接触子装置の製造には多数の工程が関与しており、このため検査用接触子装置の製造が複雑化することがわかっている。
【0005】
このような課題に鑑み、本発明の目的は、複雑化することなく製造可能な検査用接触子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は請求項1の特徴を有する検査用接触子装置によって達成される。
【0007】
本発明に係る検査用接触子装置は、検査用接触子支持体に配設され、片持梁状に形成された少なくとも1つの検査用接触子を備え、当該検査用接触子は、固定基部、及び当該固定基部に接続され且つ接触端部の形成された接触アームを有する検査用接触子装置であって、前記固定基部は、当該固定基部の固定凸部の下端部が検査用接触子支持体の下面と実質的に面一となるように、固定凸部が検査用接触子支持体の支持体開口部内に挿入されている。
【0008】
検査用接触子支持体の支持体開口部の部分で検査用接触子が検査用接触子支持体を貫通するような検査用接触子の構成により、検査用接触子が接触アームを介して検査対象部品と接続できるだけでなく、下端部が検査用接触子支持体の下面と実質的に面一となっている固定凸部を用い、検査装置と直接的に接続するための接続端子を構成することが可能となり、検査用接触子支持体に検査用接触子とは独立したビアを形成する必要がなくなる。
【0009】
また、本発明の検査用接触子装置の構成により、ビアの機能は検査用接触子により充足され、検査用接触子は2つの機能を備える。すなわち、検査用接触子が、一方では検査対象部品との接続を行い、他方では、検査用接触子支持体の上側にある接触アームと検査用接触子支持体の下側との間で、固定基部及び固定凸部をビアのように用いることにより電気的接続を確立する。この2つの機能を達成するために、固定凸部の下端部と検査装置の接続部との間でさらなる通電経路を設けることなく直接の電気的接続を確立できるのであれば、固定凸部の下端部が検査用接触子支持体の下面と完全に面一であるか否かあるいは、検査用接触子支持体の下面が僅かにへこんだり突き出したりしているか否かは、基本的に重要ではない。
【0010】
検査用接触子装置の好ましい態様として、固定基部は下端部から間隔をもって設けられた少なくとも1つの位置決め部を有しており、当該間隔は検査用接触子支持体の厚さに相当している。上記のような特定の構成をなすことで、検査用接触子装置の製造において、検査用接触子支持体の開口部内に検査用接触子が挿入されて、位置決め部が検査用接触子支持体の上部と当接したときに、上述したように検査用接触子における固定凸部の下端部が検査用接触子支持体の下面と実質的に面一となるような配置が必然的に実現される。
【0011】
また、検査用接触子支持体の開口部内に挿入されている検査用接触子の固定凸部と検査用接触子支持体の開口部との間の結合を、圧入結合とすることも有効である。これにより、検査用接触子が検査用接触子支持体の開口部内に挿入されたとき、検査用接触子と検査用接触子支持体とが圧接結合される。ここで発生する圧接力の大きさに応じて、検査用接触子支持体に検査用接触子を少なくとも一時的に固定することが可能となり、その後の検査用接触子と検査用接触子支持体との間の恒久的な連結が容易になる。
【0012】
また、検査用接触子支持体と検査用接触子とを、検査用接触子支持体の下面にて形成されたはんだ付け接合を介して互いに結合すれば、製造における恒久的な機械的連結作業の複雑化を最小限に抑えることができる。また同時に、隆起した金属被覆を形成することが可能となり、「はんだバンプ」のような形式の接続端子を形成して、検査装置と直接接続することが可能となる。
【0013】
さらに、下面に導電可能に配設された少なくとも1箇所の接合部と、検査用接触子の固定凸部の下端部との間にはんだ付け接合を施すようにすれば、当該検査用接触子と検査用接触子支持体との間において、機械的に耐久性が高く、それによって作動中の信頼性が高いはんだ付けを実現することができる。このような接合部は、例えば専門用語でいわゆる「バンプ下地金属被覆(under bump metallizations:UBM)」として知られている接続用金属被覆により形成することができる。このような金属被覆は、例えば検査用接触子支持体において用いられている絶縁体素材に塗布された接着剤の上に金、または、ニッケル及び金の被覆を施して得ることができる。
【0014】
接合部を検査用接触子支持体の開口部の縁部に位置させれば、固定凸部の下端部の直近に当該接合部が配置されることになり、はんだによる接続を行う際に、はんだの付着を可能な限り少量にすることができる。これにより、後工程として再溶融工程を伴う射出工程において、接合部に射出されるはんだの堆積によりはんだ接合を形成することが可能である。
【0015】
好ましい態様によれば、検査用接触子支持体に配置された支持体開口部は、検査用接触子支持体の一平面方向に延びる2つの平行した開口縁部を有し、固定凸部を有する複数の検査用接触子が、前記平面方向を横切る方向に接触アームが向くようにして、これら2つの開口縁部に列をなして配設される。このように形成された検査用接触子の配列を使用すれば、検査用接触子の配列に対応して配置された試験対象部品の接続端子への同時接続が可能となり、1回の接続工程で部品検査をすることができる。
【0016】
さらに、検査用接触子支持体が、マトリックス状に配列された複数の支持体開口部を有し、当該複数の支持体開口部のそれぞれに検査用接触子の配列を設けるようにすれば、検査用接触子装置は、それぞれが列をなして配列された端子面を有する複数の検査対象部品に対し同時に接続することができる。
【0017】
マトリックス状の配列が、部品ごとに割り当てられた複数の群からなり、当該群が互いに平行に配置された少なくとも2つの支持体開口部から構成され、それぞれの支持体開口部に検査用接触子の配列が設けられており、このとき接触アームの端部に形成されている接触端部が、検査対象部品における端子面の配列に対応して配列されるようにすれば特に効果的である。このような構成により、前記検査用接触子の配列によって、ウエハ面上の半導体部品に対し同時に検査を行うことができる。言い換えれば、例えばウエハアセンブリを分割する前であっても、集積として配置された半導体部品からなるウエハに対し検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】検査用接触子支持体の支持体開口部に挿入され、検査用接触子支持体の下側にはんだ付け接合部が形成された検査用接触子を示す図である。
【図2】はんだ付け接合の工程中における検査用接触子を備えた検査用接触子支持体を示す図である。
【図3】列をなして配置されて検査装置と接続された状態にある検査用接触子装置を示す図である。
【図4】マトリックス状に配置され、それぞれが検査対象部品に割り当てられた複数の検査用接触子の配列からなる検査用接触子装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、好ましい実施形態についてより詳細に説明する。
【0020】
図1には、以下検査用接触子10として記載する検査用片持梁が示されている。当該検査用接触子10は、片持アーム部30の一端に接触端部11を有し、当該片持アーム部30の他端側に形成された固定基部12を介して検査用接触子支持体13に結合されている。当該検査用接触子支持体は、図面の平面に対して直交する方向に延びている支持体開口部14を有している。
【0021】
図3に示す実施形態から明らかなように、支持体開口部14は、複数の検査用接触子を収容して固定する機能を有しており、当該検査用接触子はお互いに平行に配設され、本実施形態では、お互いに等間隔に間を空けて配置されている。当該検査用接触子支持体13と一体となった当該検査用接触子10により、検査用接触子装置15が形成されている。
【0022】
図1に示すように本実施形態では、固定基部12の固定凸部16が支持体開口部14内に係合されており、このとき、固定凸部16の下端部17が検査用接触子支持体13の下面18と実質的に面一となっている。なお、当該検査用接触子支持体13は絶縁体からなる。この過程で、固定基部12の位置決め部19、20が検査用接触子支持体13の上面21に対し当接する。
【0023】
固定凸部16が検査用接触子支持体13の支持体開口部14とぴったりと係合することで、図1に示されるように、検査用接触子支持体13に対して検査用接触子10のある程度の固定を確保することができる。したがって、このような状態ではんだ付け接合部22、23を設けることにより、検査用接触子10と検査用接触子支持体13との強固な機械的結合を実現することができる。
【0024】
はんだ付け接合部22、23を形成するため、また必要に応じて事前に検査用接触子支持体13に検査用接触子10を固定しておくため、検査用接触子10は、図2に示すように、固定基部12を上方に向けて、取付台24の上に配設される。取付台24は、片持アーム部30が取付台24に面接触することができるように、接触端部11を入り込ませる凹部を上面に有している。
【0025】
検査用接触子10がこのような状態にあるときは、図4に示すように、片持アーム部30が、互いに端部を突き合わせるようにして、検査用接触子支持体13の2つの平行した支持体開口部14内に配置されている。このとき、検査用接触子10の各固定凸部16の下端部17は、はんだ付け接合部22、23を形成するはんだの堆積体26を介し、支持体開口部14の縁部に配置された接合金属被覆25に接続されている。なお、検査用接触子支持体13上の接合金属被覆25は金の被覆から構成されているのが好ましい。
【0026】
図2から見てとれるように、はんだの堆積体26の形成は、下端部17及び検査用接触子支持体13の各接合金属被覆25に施され、接合金属被覆25と、特に金属であるのが好ましい導電性の検査用接触子10の下端部17の接合被覆25に隣接する範囲とに対し、はんだ射出装置27を用いてはんだの堆積体26を射出するようにして行われる。このような目的のため、堆積体26は、はんだ射出装置27内において、レーザーエネルギが照射されて少なくとも一部が液化し、その後に圧縮空気によって接合箇所に射出される。
【0027】
図3に示すように、検査用接触子装置15は、はんだ付け接合部22、23により形成されている接続端子を、半導体部品の電気的検査を行う検査用台座28の検査用端子29に接触することにより、検査用台座28と接続されている。
【0028】
図4には、マトリックス状に配置された複数の検査用接触子配列31を備える検査用接触子装置15が示されている。この検査用接触子装置15では、片持アーム部30の端部が互いに対向するようにして配置された2つの平行した検査用接触子配列31が、対象部品と接触する。
【0029】
詳しくは、ウエハアセンブリに配設された電子部品に2つの平行した検査用接触子配列31がそれぞれ割り当てられるように、各検査用接触子配列31が検査用台座28上に配設されている。このような電子部品は、例えばメモリチップとして形成されるものであってもよく、検査用接触子配列31におけるそれぞれの接触端部11がメモリーチップの接続端子に接続される。
【0030】
そして、検査用台座28に形成された通電装置を介し、検査用台座28の端部において接続される検査装置を用い、複数の検査用接触子配列31の上にウエハを置くことで個々のメモリーチップを所望の方法で検査することができる。
【0031】
なお、図3に示す検査用接触子装置15のはんだ付け接合部22、23と、検査用台座28の検査用端子29との間の電気的接続は、リフロー工程で行うようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部品の検査用接触子装置(15)であって、
検査用接触子支持体(13)に配設され、片持梁状に形成された少なくとも1つの検査用接触子(10)を備え、当該検査用接触子は、固定基部(12)、及び当該固定基部に接続され且つ接触端部(11)の形成された接触アーム(30)を有し、
前記固定基部は、当該固定基部の固定凸部(16)の下端部(17)が前記検査用接触子支持体の下面(18)と実質的に面一となるように、前記固定凸部が前記検査用接触子支持体の開口部(14)内に挿入されていることを特徴とする検査用接触子装置。
【請求項2】
前記固定基部(12)は、前記下端部(17)から間隔をもって設けられた少なくとも1つの位置決め部(19、20)を有しており、当該間隔は前記検査用接触子支持体(13)の厚さに相当することを特徴とする請求項1記載の検査用接触子装置。
【請求項3】
前記支持体開口部(14)に挿入されている検査用接触子(10)の固定凸部(16)と、当該支持体開口部(14)との間の結合を、圧入結合とすることを特徴とする請求項1または2記載の検査用接触子装置。
【請求項4】
前記検査用接触子支持体(13)及び前記検査用接触子(10)は、前記検査用接触子支持体の下面(18)にて形成されたはんだ付け接合部(22、23)を介して互いに結合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の検査用接触子装置。
【請求項5】
前記はんだ付け接合部(22、23)は、前記下面(18)に配置され導電性を有して形成されている少なくとも一つの接続面と、前記検査用接触子(10)における前記固定凸部(16)の前記下端部(18)との間に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の検査用接触子装置。
【請求項6】
前記接続面は、絶縁体で形成される検査用接触子支持体(13)の表面に設けられた導電性材料(25)であることを特徴とする請求項5に記載の検査用接触子装置。
【請求項7】
前記接続面は前記支持体開口部(14)の開口縁部に配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載の検査用接触子装置。
【請求項8】
前記検査用接触子支持体(13)に配置された前記支持体開口部(14)は、前記検査用接触子支持体(13)の一平面方向に延びる2つの平行した開口縁部を有し、前記接触アーム部(30)が前記平面方向を横切る方向に配置されるようにして、固定凸部(16)を有する複数の検査用接触子(10)が、前記開口縁部の間に検査用接触子配列(31)を形成して配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の検査用接触子装置。
【請求項9】
前記検査用接触子支持体(13)は、マトリックス状に配置された複数の支持体開口部(14)を有し、当該複数の支持体開口部(14)は、それぞれに検査用接触子配列(31)が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の検査用接触子装置。
【請求項10】
前記マトリックス状の配列は、検査対象である半導体部品にそれぞれ割り当てられた複数の支持体開口部群を有しており、当該支持体開口部群は、互いに平行に配置され、それぞれに検査用接触子列群(31)が設けられた少なくとも2つの支持体開口部(14)から構成され、前記検査用接触子配列(31)は、前記接触子アーム(39)に形成された前記接触端部(11)が、検査対象である半導体部品における端子面の配置に対応した接触子配列で配設されるようにして前記支持体開口部(14)に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の検査用接触子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−515684(P2011−515684A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501101(P2011−501101)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000393
【国際公開番号】WO2009/117992
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(501198796)パック テック−パッケージング テクノロジーズ ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】