説明

検査装置

【課題】検査装置に対する検査対象物の回転ずれの発生を抑制し、両者の間の電気的接続を確実に行うことのできる検査装置を提供すること。
【解決手段】
検査部材Cを保持する固定部材130と、固定部材130に対して移動自在な状態で設けられ、検査対象物Fの挿入後に、検査部材C側に向けて移動させられる可動部材150とを備え、可動部材150は、検査対象物Fの本体部F1を幅方向Yに位置決めする第1位置決め部152を有し、固定部材130は、検査部材Cと検査対象物Fとを接触させる際に、検査対象物Fの本体部F1を幅方向Yに位置決めする第2位置決め部133を有している検査装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の電気的特性を検査する検査装置に関し、特に、本体部から突出した耳部を有するFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の平板状の検査対象物の電気的特性を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体部から突出した耳部を有する検査対象物を装置内に挿入させる検査装置として、図19に示すように、本体部F1から幅方向Yに突出した凸部F2を先端部の最先端よりも下がった位置に有する配線用フレキシブル基板Fの先端部を挟持することにより、配線用フレキシブル基板F上の配線パターンF3と電気的な導通を得る2つのクリップ片(2つのクリップ片のうち一方のクリップ片510のみを図示する)を備え、2つのクリップ片のうちの一方のクリップ片510が、2つのクリップ片の間に挿入方向Xから挿入されてきた配線用フレキシブル基板Fの先端部の進行を許容する第1の形状を有する挿入案内部511と、凸部F2が嵌合する凹部512aを有し配線用フレキシブル基板Fの先端部の形状に合致した第2の形状を有する位置決め部512とが2段重ねに形成されたクリップコネクタ500が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
凸部F2は、クリップコネクタ500からの配線用フレキシブル基板Fの抜け出しを防止する目的で形成され、挿入方向Xにおける寸法が本体部F1よりも短く設定されている。
【0004】
また、この従来のクリップコネクタ500では、図19に示すように、配線用フレキシブル基板Fの挿入時において、挿入案内部511の厚み方向上方Z1に形成された両側壁513により、配線用フレキシブル基板Fの凸部F2を幅方向Yに位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来のクリップコネクタ500では、配線用フレキシブル基板Fに形成された凸部F2とクリップ片510に形成された側壁513との間の物理的な接触により、配線用フレキシブル基板Fを幅方向Yに位置決めして挿入方向Xに案内しているが、挿入方向Xにおける凸部F2の寸法が短いため、挿入方向Xおよび幅方向Yにより規定される平面内において、配線用フレキシブル基板Fが回転ずれ(すなわち、前記平面内において配線フレキシブル基板Fの長手方向が挿入方向Xに対して傾くこと)が発生し易いという凸部F2を有する配線用フレキシブル基板Fに特有の問題があった。
【0007】
また、前述したような回転ずれが発生した場合、回転ずれが生じた状態で配線用フレキシブル基板Fが挿入されてクリップコネクタ500内で配線用フレキシブル基板Fが変形を生じたり、検査部材であるプローブピン(図示しない)と配線用フレキシブル基板Fの配線パターンF3との間で位置ずれが生じ、両者の間の電気的接続が確実に行われない等の不都合が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、検査装置に対する検査対象物の回転ずれの発生を抑制し、両者の間の電気的接続を確実に行うことのできる検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の検査装置は、本体部から幅方向に突出した耳部を有する検査対象物を挿入し、内部に保持した検査部材に前記検査対象物を接触させて前記検査対象物の電気的特性を検査する検査装置であって、前記検査部材を保持する固定部材と、前記固定部材に対して移動自在な状態で設けられ、前記検査対象物の挿入後に、前記検査部材側に向けて移動させられる可動部材とを備え、前記可動部材は、前記検査対象物の本体部を幅方向に位置決めする第1位置決め部を有し、前記固定部材は、前記可動部材を前記検査部材側に向けて移動させて前記検査部材と前記検査対象物とを接触させる際に、前記検査対象物の本体部を幅方向に位置決めする第2位置決め部を有していることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検査装置は、検査装置に対する検査対象物の挿入時に、可動部材に設けられた第1位置決め部により、挿入方向に長めの寸法を確保し易い検査対象物の本体部を幅方向に位置決めして検査対象物を案内するため、検査対象物の回転ずれ(挿入方向および幅方向により規定される平面内で検査対象物の長手方向が挿入方向に対して傾くこと)の発生を抑制し、回転ずれを生じた状態で検査対象物の挿入動作を進めた場合に生じがちな検査装置内における検査対象物の変形や破損の発生等を防止でき、また、可動部材を厚み方向に移動させて検査部材と検査対象物とを接触させる際に、可動部材に設けられた第1位置決め部と固定部材に設けられた第2位置決め部の両方により、検査対象物の本体部を幅方向に位置決めするため、検査対象物の回転ずれをより一層確実に抑制し、検査部材と検査対象物との間の正確な位置合わせを実現して検査部材と検査対象物との間の電気的接続を確実に行うことができる。
【0011】
また、本発明の検査装置では、検査対象物の挿入動作後に可動部材を厚み方向に移動させて検査部材と検査対象物とを接触させる構成を採用していることにより、検査部材と検査対象物とを接触させる際における検査部材と検査対象物との褶動接触を回避することが可能であるため、検査部材および検査対象物の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例である検査装置を図2のA1−A1線位置で矢印方向に見て示す断面図である。
【図2】図1のA2−A2線位置で矢印方向に見て示す断面図である。
【図3】図1の状態から検査対象物の挿入を進行させた状態を、図4のA3−A3線位置で矢印方向に見て示す断面図である。
【図4】図3のA4−A4線位置で矢印方向に見て示す図3に対応する断面図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】図3乃至図5の状態を斜視的に示す概略図である。
【図7】図3の状態から検査対象物の挿入を進行させた状態を、図8のA7−A7線位置で矢印方向に見て示す断面図である。
【図8】図7のA8−A8線位置で矢印方向に見て示す図7に対応する断面図である。
【図9】図7の要部拡大図である。
【図10】図7乃至図9の状態を斜視的に示す概略図である。
【図11】検査対象物を検査部材に接触させた状態を、図12のA11−A11線位置で矢印方向に見て示す断面図である。
【図12】図11のA12−A12線位置で矢印方向に見て示す図11に対応する断面図である。
【図13】図11の要部拡大図である。
【図14】図11乃至図13の状態を検査対象物受け部材を中心として斜視的に示す概略図である。
【図15】図11乃至図13の状態をコネクタ保持部材を中心として斜視的に示す概略図である。
【図16】第4位置決め部の変形例を示す断面図である。
【図17】第2位置決め部の変形例を示す断面図である。
【図18】第1位置決め部の変形例を示す断面図である。
【図19】従来のクリップコネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例である検査装置100を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
まず、本発明の一実施例である検査装置100は、外部から挿入された検査対象物Fを内部に保持した検査部材(コネクタCおよび基板P)に接触させ、検査対象物Fの電気的特性を検査するものである。
【0015】
以下の説明においては、検査装置100に対して検査対象物Fを挿入する方向を挿入方向X、挿入方向Xに直交する方向を幅方向Y、および、挿入方向Xおよび幅方向Yに直交する方向を厚み方向Zと規定する。
なお、本実施例では、挿入方向X、幅方向Y、および、厚み方向Zが相互に直交するものとして説明するが、相互に交差するものであれば、相互間の相対角度は如何なるものであっても何ら構わない。
【0016】
検査装置100は、図1等に示すように、検査装置100のベースとして機能する基台(固定部材)110と、基台110の厚み方向上方Z1側に配置され、基台110と共働して検査部材としての基板Pを挟持状態で保持するベースフレーム(固定部材)120と、ベースフレーム120の挿入方向前方X1側に配置され、検査部材としてのコネクタCを保持するコネクタ保持部材(固定部材)130と、ベースフレーム120に対して回動自在な状態で取り付けられ、検査対象物Fの挿入時に使用者により操作される操作レバー(操作部材)160と、厚み方向Zに移動自在な状態で操作レバー160に取り付けられ、コネクタ保持部材130等を覆うカバー部材(可動部材)140と、カバー部材140の挿入方向前方X1側に固定され、カバー部材140の厚み方向Zの移動に追従して厚み方向Zに移動する検査対象物受け部材(可動部材)150と、ベースフレーム120と操作レバー160との間に設置され、操作レバー160の挿入方向後方X2側を厚み方向上方Z1に向けて常時付勢するコイルバネ170と、カバー部材140の内部に回動自在な状態で取り付けられ、検査対象物FおよびコネクタCの接触時に検査対象物FをコネクタC側(厚み方向下方Z2側)に向けて押圧するプッシャ(押圧部材)180とを備えている。
【0017】
検査対象物Fは、平板状のFPC(Flexible Printed Circuit)であり、図2等に示すように、挿入方向Xに延びる本体部F1と、本体部F1から幅方向Yの両側に向けて突出する一対の耳部F2と、本体部F1に形成された導体パターンF3と、本体部F1に形成された接点部(図示しない)とを有している。
図2等に示すように、耳部F2の挿入方向Xへの寸法は、本体部F1の挿入方向Xへの寸法と比較して、大幅に短く設定されている。
なお、本実施例では、検査対象物FがFPCであるものとして説明するが、FFC(Flexible Flat Cable)等の如何なる平板状のものであっても構わない。
【0018】
コネクタCは、検査部材としてのフィルムコネクタであり、図2等に示すように、検査対象物Fの接点部(図示しない)および基板Pのパッド(図示しない)に接続される接点部C1を有している。
【0019】
基板Pは、検査部材としてのプリント基板であり、コネクタCに接続されるパッド(図示しない)をコネクタC側の表面に有している。
【0020】
基台110とベースフレーム120と基板Pとは、これら部材を貫通して設けられたネジ(図示しない)により、相互に固定されている。
【0021】
ベースフレーム120は、図1等に示すように、操作レバー160の回動軸として機能する操作レバー用回動軸161を支持している。
ベースフレーム120は、図1等に示すように、厚み方向上方Z1側の側面に形成され、コイルバネ170を収容するバネ収容凹部121を有している。
【0022】
コネクタ保持部材130は、ベースフレーム120に嵌合状態で固定されている。
コネクタ保持部材130は、コネクタCの接点部C1と基板Pのパッド(図示しない)とを相互に接触させた状態で、コネクタCを保持している。
コネクタ保持部材130は、図1、図2等に示すように、厚み方向Zに沿って貫通するとともに挿入方向前方X1側に向けて開口し、検査対象物Fの挿入時に検査対象物Fを受容する検査対象物受容部131と、検査対象物受容部131の幅方向Y両側にそれぞれ設けられた一対の幅方向側壁部132と、幅方向側壁部132から検査対象物受容部131の内側に向けて幅方向Yにそれぞれ突出する一対の第2位置決め部133と、検査対象物受容部131側に面する幅方向側壁部132の側面に形成され、検査対象物Fの挿入時に検査対象物Fの耳部F2を幅方向Yに位置決めする第3位置決め部134と、検査対象物受容部131の挿入方向後方X2に設けられた挿入方向側壁部135と、挿入方向側壁部135の挿入方向前方X1側に形成され、検査対象物Fの挿入方向後方X2側の端部を挿入方向Xに位置決めする第4位置決め部136とを有している。
【0023】
第2位置決め部133は、厚み方向ZにおけるコネクタCの設置位置の近傍に形成され、カバー部材140および検査対象物受け部材150の厚み方向下方Z2側へ移動させてコネクタCと検査対象物Fとを接触させた状態(図11乃至図15に示す状態)で、検査対象物Fの耳部F2の挿入方向前方X1側に位置し、検査対象物Fの挿入方向前方X1側への移動を規制する(抜け止めする)とともに、検査対象物Fの本体部F1(耳部F2より挿入方向前方X1側の本体部F1)を幅方向Yに位置決めするようになっている。
第3位置決め部134は、第2位置決め部133の厚み方向上方Z1側に位置し、検査対象物Fの挿入時に、検査対象物Fの耳部F2を幅方向Yに位置決めして案内するようになっている。
第4位置決め部136は、検査対象物Fの挿入時、および、検査対象物FとコネクタCとの接触時の両方で、検査対象物Fの挿入方向後方X2側の端部に当接して検査対象物Fを挿入方向Xに位置決めするようになっている。
【0024】
なお、本実施例においては図1、図2等に示すように、挿入方向側壁部135の挿入方向前方X1側の平坦状の側面の一部を第4位置決め部136として機能させている。
しかしながら、図16に示すように、挿入方向側壁部135の挿入方向前方X1側の側面に凹設された凹部の底面を第4位置決め部136として機能させても何ら構わない。
この場合、検査対象物Fの耳部F2と第2位置決め部133との間の位置調整を図ることができる。
【0025】
また、図17に示すように、検査対象物受容部131側に面する第2位置決め部133の厚み方向上方Z1側の角部を面取しても何ら構わない。
この場合、検査対象物Fを厚み方向下方Z2に向けて移動させる際(検査対象物受け部材150等の可動部材を厚み方向下方Z2に向けて移動させる際)に、検査対象物Fが上記の第2位置決め部133の角部に干渉することを回避して、円滑な動作を実現できる。
【0026】
カバー部材140は、カバー部材140の厚み方向上方Z1側への移動時、および、カバー部材140の厚み方向下方Z2側への移動時の両方において、コネクタ保持部材130等、特に、コネクタCの接点部C1や基板Pのパッド(図示しない)を覆い、外部塵埃等がコネクタCの接点部C1や基板Pのパッド(図示しない)に付着することを防止している。
カバー部材140は、図1等に示すように、挿入方向前方X1側に開口する挿入開口部141を有している。
カバー部材140は、操作レバー160の挿入方向前方X1側に形成された作用部(図示しない)に取り付けられ、操作レバー160の動きに連動して厚み方向Zに移動するようになっている。
カバー部材140は、図1等に示すように、プッシャ180の回動軸として機能するプッシャ用回動軸181を支持している。
【0027】
検査対象物受け部材150は、カバー部材140の挿入開口部141に嵌合状態で固定され、カバー部材140と同様に、操作レバー160の動きに連動して厚み方向Zに移動するようになっている。
検査対象物受け部材150は、図2等に示すように、検査対象物Fの挿入を受け入れる受入口151と、受入口151の幅方向Y両側に立設された一対の第1位置決め部152とを有している。
第1位置決め部152は、検査対象物Fの挿入時に、検査対象物Fの本体部F1(耳部F2より挿入方向前方X1の本体部F1)を幅方向Yに位置決めして、検査対象物Fを挿入方向Xに案内するようになっている。
また、第1位置決め部152は、検査対象物Fの耳部F2が第1位置決め部152より挿入方向後方X2側に位置した状態(図3または図4等に示す状態)で、検査対象物Fの挿入方向前方X1側への移動を規制する(抜け止めする)ようになっている。
そして、第1位置決め部152は、カバー部材140および検査対象物受け部材150の厚み方向下方Z2側へ移動させてコネクタCと検査対象物Fとを接触させる際(図11乃至図15に示す状態)においても、検査対象物Fの本体部F1を幅方向Yに位置決めするようになっている。
【0028】
なお、図18に示すように、受入口151側に面する第1位置決め部152の厚み方向上方Z1側の角部を面取しても何ら構わない。
この場合、検査対象物Fの挿入時に、検査対象物Fが上記の第1位置決め部152の角部に干渉することを回避して、円滑な挿入動作を実現できる。
【0029】
操作レバー160は、図1等に示すように、ベースフレーム120により支持された操作レバー用回動軸161を介して、ベースフレーム120に対して回動自在な状態で取り付けられている。
操作レバー160は、図1等に示すように、操作レバー用回動軸161より挿入方向後方X2側に形成され、使用者により押圧される被押圧部162と、操作レバー用回動軸161より挿入方向前方(挿入方向手前)X1側に形成されてカバー部材140に取り付けられ、使用者による被押圧部162の押圧時に厚み方向上方Z1側に向けて移動する作用部(図示しない)と、厚み方向下方Z2側の側面に形成され、コイルバネ170を収容するバネ収容凹部163とを有している。
バネ収容凹部163は、図1等に示すように、操作レバー用回動軸161より挿入方向後方X2側に形成されている。
【0030】
コイルバネ170は、ベースフレーム120の厚み方向上方Z1側の側面に形成されたバネ収容凹部121と、操作レバー160の厚み方向下方Z2側の側面に形成されたバネ収容凹部163との間に設置され、操作レバー160の挿入方向後方X2側を厚み方向上方Z1に向けて常時付勢している。
また、コイルバネ170は、操作レバー用回動軸161より挿入方向後方X2側に配置されている。
【0031】
プッシャ180は、図1等に示すように、カバー部材140により支持されたプッシャ用回動軸181を介して、カバー部材140に回動自在な状態で取り付けられている。
プッシャ180は、コネクタCと検査対象物Fとを接触させる際(図11乃至図15に示す状態)に、カバー部材140と共に厚み方向下方Z2側へ移動し、検査対象物FをコネクタC側(厚み方向下方Z2側)に向けて押圧し、検査対象物Fの接点部(図示しない)とコネクタCの接点部C1とを接触させるようになっている。
【0032】
次に、検査装置100に対する検査対象物Fの装着方法について、以下に説明する。
【0033】
まず、使用者は、操作レバー160の被押圧部162を厚み方向下方Z2に向けて押圧する(図1および図2に示す状態)。
この際、操作レバー160の動きに連動して、カバー部材140と検査対象物受け部材150とが、厚み方向上方Z1に向けて移動する(図1および図2に示す状態)。
【0034】
次に、使用者は、検査対象物受け部材150の受入口151およびカバー部材140の挿入開口部141を通して、検査対象物受け部材150の第1位置決め部152と検査対象物Fの耳部F2とが干渉しないように、検査装置100の内部に検査対象物Fを挿入方向後方X2側に向けて挿入する(図3乃至図6に示す状態)。
この際、検査対象物受け部材150の第1位置決め部152は、検査対象物Fの本体部F1(耳部F2より挿入方向前方X1の本体部F1)を幅方向Yに位置決めする。
【0035】
次に、使用者は、図3乃至図6に示す状態から、検査対象物Fを挿入方向後方X2側に向けて更に押し進める。
この際、検査対象物受け部材150の第1位置決め部152は、検査対象物Fの本体部F1(耳部F2より挿入方向前方X1の本体部F1)を幅方向Yに位置決めして案内する。
また、検査対象物受け部材150の第1位置決め部152は、検査対象物Fの挿入方向前方X1側への移動を規制して、検査対象物Fの挿入方向前方X1側への抜け出しを防止する。
【0036】
次に、使用者は、検査対象物Fの挿入方向後方X2側の端部がコネクタ保持部材130の第4位置決め部136に当接した時点で、検査対象物Fの挿入動作を止める(図7乃至図10に示す状態)。
この際、第4位置決め部136は、検査対象物Fを挿入方向Xに位置決めする。
【0037】
次に、使用者は、操作レバー160の被押圧部162の押圧を止める。
すると、コイルバネ170の付勢力により、操作レバー160の被押圧部162が厚み方向上方Z1に向けて移動するとともに、操作レバー160の作用部(図示しない)が厚み方向下方Z2に向けて移動し、作用部(図示しない)の移動に伴って、カバー部材140と検査対象物受け部材150とプッシャ180とが、厚み方向下方Z2に向けて移動し、プッシャ180による押圧により、検査対象物Fの接点部(図示しない)とコネクタCの接点部C1とが接触する(図11乃至図15に示す状態)。
この際、第1位置決め部152と第2位置決め部133は、検査対象物Fの本体部F1を幅方向Yに位置決めする。
また、第2位置決め部133は、検査対象物Fの耳部F2の挿入方向前方X1側に位置し、検査対象物Fの挿入方向前方X1側への移動を規制して、検査対象物Fの挿入方向前方X1側への抜け出しを防止する。
【0038】
このようにして得られた本実施例の検査装置100は、検査装置100に対する検査対象物Fの挿入時に、可動部材である検査対象物受け部材150に形成された第1位置決め部152により、挿入方向Xに長めの寸法を確保し易い検査対象物Fの本体部F1を幅方向Yに位置決めして検査対象物Fを挿入方向Xに案内するため、検査対象物Fの回転ずれ(挿入方向Xおよび幅方向Yにより規定される平面内で検査対象物Fの長手方向が挿入方向Xに対して傾くこと)の発生を抑制し、回転ずれを生じた状態で検査対象物Fの挿入動作を進めた場合に生じがちな検査装置100内における検査対象物Fの変形の発生等を防止できる。
【0039】
また、検査対象物受け部材150等の可動部材を厚み方向Zに移動させてコネクタCと検査対象物Fとを接触させる際に、可動部材である検査対象物受け部材150に設けられた第1位置決め部152と固定部材であるコネクタ保持部材130に設けられた第2位置決め部133の両方により、検査対象物Fの本体部F1を幅方向Yに位置決めするため、検査対象物Fの回転ずれをより一層確実に抑制し、検査部材であるコネクタCと検査対象物Fとの間(特に、コネクタCの接点部C1と検査対象物Fの接点部(図示しない)との間)の正確な位置合わせを実現して、コネクタCと検査対象物Fとの間の電気的接続を確実に行うことができる。
【0040】
また、相互に挿入方向Xにずれた位置に形成された第1位置決め部152および第2位置決め部133の両方により、検査対象物Fの本体部F1を位置決めするため、第1位置決め部152および第2位置決め部133の挿入方向Xにおける寸法を短く設定した場合であっても、検査対象物Fの回転ずれを確実に防止することができる。
【0041】
更に、本実施例では、検査装置100に対する検査対象物Fの挿入時に、前述した第1位置決め部152のみならず、コネクタ保持部材130に形成された第3位置決め部134が検査対象物Fの耳部F2を幅方向Yに位置決めするため、より確実に検査対象物Fの回転ずれを防止できる。
【0042】
また、相互に挿入方向Xにずれた位置に形成された第1位置決め部152および第3位置決め部134の両方により、検査対象物Fを位置決めするため、第1位置決め部152および第3位置決め部134の挿入方向Xにおける寸法を短く設定した場合であっても、検査対象物Fの回転ずれを確実に防止することができる。
【0043】
また、本発明の検査装置100では、検査対象物Fの挿入動作後に検査対象物受け部材150等の可動部材を厚み方向Zに移動させてコネクタCと検査対象物Fとを接触させる構成を採用していることにより、コネクタCと検査対象物Fとを接触させる際におけるコネクタCと検査対象物Fとの褶動接触を回避するため、コネクタCおよび検査対象物Fの損傷(特に、コネクタCの接点部C1および検査対象物Fの接点部(図示しない)の損傷)を回避できる。
【0044】
また、検査装置100への検査対象物Fの装着工程は、操作レバー160の操作および検査装置100への検査対象物Fの挿入動作の2つの動作しか必要としないため、検査対象物Fの装着を簡便に達成できる。
【0045】
なお、上記では、本発明の検査装置を構成する固定部材が、基台、ベースフレーム、コネクタ保持部材の3部材であるものとして説明をしたが、その個数や具体的態様は如何なるものであってもよく、例えば、上記の3部材を一体に形成しても何ら構わない。
【0046】
また、上記では、本発明の検査装置を構成する可動部材が、カバー部材、検査対象物受け部材の2部材であるものとして説明をしたが、その個数や具体的態様は如何なるものであってもよく、例えば、上記の2部材を一体に形成しても何ら構わない。
【符号の説明】
【0047】
100 ・・・ 検査装置
110 ・・・ 基台(固定部材)
120 ・・・ ベースフレーム(固定部材)
121 ・・・ バネ収容凹部
130 ・・・ コネクタ保持部材(固定部材)
131 ・・・ 検査対象物受容部
132 ・・・ 幅方向側壁部
133 ・・・ 第2位置決め部
134 ・・・ 第3位置決め部
135 ・・・ 挿入方向側壁部
136 ・・・ 第4位置決め部
140 ・・・ カバー部材(可動部材)
141 ・・・ 挿入開口部
150 ・・・ 検査対象物受け部材(可動部材)
151 ・・・ 受入口
152 ・・・ 第1位置決め部
160 ・・・ 操作レバー(操作部材)
161 ・・・ 操作レバー用回動軸
162 ・・・ 被押圧部
163 ・・・ バネ収容凹部
170 ・・・ コイルバネ
180 ・・・ プッシャ(押圧部材)
181 ・・・ プッシャ用回動軸
F ・・・ 検査対象物(配線用フレキシブル基板)
F1 ・・・ 本体部
F2 ・・・ 耳部(凸部)
F3 ・・・ 導体パターン(配線パターン)
C ・・・ コネクタ(検査部材)
C1 ・・・ 接点部
P ・・・ 基板(検査部材)
X ・・・ 挿入方向
X1 ・・・ 挿入方向前方
X2 ・・・ 挿入方向後方
Y ・・・ 幅方向
Y1 ・・・ 幅方向前方
Y2 ・・・ 幅方向後方
Z ・・・ 厚み方向
Z1 ・・・ 厚み方向上方
Z2 ・・・ 厚み方向下方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部から幅方向に突出した耳部を有する検査対象物を挿入し、内部に保持した検査部材に前記検査対象物を接触させて前記検査対象物の電気的特性を検査する検査装置であって、
前記検査部材を保持する固定部材と、前記固定部材に対して移動自在な状態で設けられ、前記検査対象物の挿入後に、前記検査部材側に向けて移動させられる可動部材とを備え、
前記可動部材は、前記検査対象物の本体部を幅方向に位置決めする第1位置決め部を有し、
前記固定部材は、前記可動部材を前記検査部材側に向けて移動させて前記検査部材と前記検査対象物とを接触させる際に、前記検査対象物の本体部を幅方向に位置決めする第2位置決め部を有していることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記第2位置決め部は、前記検査部材と検査対象物とを接触させた状態で、前記検査対象物の耳部の挿入方向手前側に位置し、前記検査対象物の挿入方向手前側への移動を規制するとともに、前記検査対象物の本体部を幅方向に位置決めするものであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−37336(P2012−37336A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176546(P2010−176546)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】