説明

極微細微粒子の製造方法及び装置、該微粒子のコーティング方法及び装置

【課題】 可及的に小さいナノ微粒子の製造方法及び装置、保護ポリマによる該ナノ微粒子のコーティング方法及び装置。
【解決手段】 超微細微粒子のサスペンションを製造するための方法において、
溶解された作用物質を含有する無粒子液体1の液流と、液体2の第2の液流が、高エネルギ領域において又は該高エネルギ領域に到達する早くとも2秒前に一緒に導かれること、
前記2つの液体は互いに混合可能であるが、液体1に溶解された作用物質は、液体2に不溶又は僅かに可溶であり、前記高エネルギ領域において又は前記高エネルギ領域に到達する前最大2秒以内において、前記2つの液体が混合される際に微粒子として析出すること
を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極微細微粒子のサスペンションの製造方法及び装置、並びに、該極微細微粒子のコーティングないし被覆方法及び装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、極微細微粒子が、次いで、更なる処理工程において、保護ポリマによって被覆される極微細微粒子の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ微粉化は、数マイクロメートルの範囲、通常1μm〜10μmの範囲のサイズを有する微粒子を製造するためのプロセスである。マイクロ微粉化は、医薬分野において、例えば向上された経口的生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)によって、薬剤の投与(適合)性を改善するために、よく使用される。粒径の減少により表面積は増大し、ノイズ−ホイットニーの法則によると、表面積の増大により微粒子の溶解速度は加速される。経口的生物学的利用能の問題は、溶解速度ないし溶解度が取込み(摂取)を制限するパラメータである場合、マイクロ微粉化によって低下され得る(いわゆるBCS(生物薬剤学的分類体系:Biopharmazeutisches Klassifizierungssystem)によるクラスII薬剤)。それにも拘わらず、新たに開発される化合物の数は増加しているが、これらは、上述の薬剤よりも、溶解度は一層より小さく、それに応じて溶解速度も一層より小さい。このため、多くの場合、マイクロ微粉化は、十分に大きな溶解速度及びこれにより得られる十分に大きな生物学的利用能を達成するためには最早十分ではない。
【0004】
このため、次の措置は、薬剤粉末のナノ微粒子化、即ち、薬剤マイクロ微粒子からナノメートルレベル(凡そ2ないし3nm〜1000nm)の平均粒径を有する薬剤ナノ微粒子への移行であった。薬剤ナノ微粒子は、いわゆる「ボトムアップ」又は「トップダウン」法(テクノロジ)によって製造することができる。ボトムアップ法(テクノロジ)の場合、分子を出発点とし、分子の会合によって、微粒子形成に至る。伝統的なボトムアップ法(テクノロジ)は、析出法であるが、この場合、薬剤は溶媒に溶解され、この溶媒が非溶媒に供与されることにより、薬剤ナノ結晶が析出する。この原理は、ズッカー及びリスト(Sucker and List, US-A-5,389,382、US-A-6,447,806)のいわゆる「ヒドロゾル法(テクノロジ)」において使用される。生成した微粒子は、とりわけナノメートルの後半の範囲の粒径を有する場合、結晶の性質を有する。析出法と、析出した薬剤ナノ微粒子分散体を安定化するために使用される特殊なポリマとの組合せが報告されている(WO 00 2003/080034 A3)。更に、アモルファス(非晶質)微粒子が析出される析出法も報告されている。商標名“NanomorphTM”を有するこの生産物は、ドイツのクノル(Knoll)社によって最初に開発された(EP 1 219 292 B1)。しかしながら、析出法には多くの問題がある:

1.結晶化プロセスの開始後においては、結晶成長を阻止(抑制)することは困難であり得るため、ナノメートルレベルを超えた大きな結晶が形成されてしまう、即ち、薬剤マイクロ微粒子が形成されてしまうことがある。

2.製造されたサスペンション(懸濁液)の物理的安定性を維持(獲得)するために、凍結乾燥が推奨される(Sucker, H., Hydrosole - eine Alternative fuer die parenterale Anwendung von schwer wasserloeslichen Wirkstoffen, in: Mueller, R. H. Hildebrand, G. E., (Hrsg.), Pharmazeutische Technologie : Moderne Arzneiformen, 2. Auflage, 1998, WVG, Stuttgart)。

3.とりわけ析出した微粒子がアモルファス状態にある場合、品質保持期間(薬剤の場合通常3年間)中このアモルファス状態を保持することは困難である。とりわけ、アモルファスとして製造された微粒子が高ナノメートルレベル(>500nm)のサイズ(粒径)を有する場合、再結晶化する傾向はより大きい。
【0005】
析出後にも結晶成長が進行することは、析出プロセスの重大な問題である。ズッカー(Sucker)等は、この問題を、析出後に更なる(1つの)プロセスステップ(処理工程)を用いることにより、即ち、薬剤ナノ結晶サスペンションの凍結乾燥によって解決した。しかしながら、多くの場合、乾燥した生産物は必要とされず、水分の多いサスペンションが必要とされる。析出によって得られた(達成された)粒径を保持するための1つの方法は、析出と熱処理(エネルギ印加)(Tempern)の組合せである(US-A-6,607,784)。析出後、得られた薬剤サスペンションは、例えば温度上昇、高速攪拌又は均質化プロセス等による第2のエネルギ印加工程にかけられる。このエネルギ印加は、以下の2つの効果、即ち、

1.部分的に又は完全にアモルファスの状態にある微粒子の、完全な結晶状態への転移

2.粒径の保持及び粒子成長の阻止

を有する。
【0006】
析出とエネルギ印加プロセスの組合せは、粒子成長の問題を解決すること、ないし少なくとも最小化することはできた。しかしながら、この組合せは、薬剤結晶が「完遂性ないし完全化性(Perfektion)」であるため、粒径縮小に関する限界を克服することはできない。即ち、報告によれば、得られた粒径の保持はできたが、更なる粒径縮小は実現されていない。
【0007】
この観点から、薬剤ナノ結晶の製造のために技術の改善に対する明白な必要性が存在していた。
【0008】
他方の代替措置は、「トップダウン」法(テクノロジ)、即ち、「粗大な」粉末を出発点とし、次いで、これを種々の方法により粉砕して薬剤ナノ結晶にする措置である。簡単な手法の1つは、薬剤マイクロサスペンションをボールミルで粉砕することである。薬剤粉末は界面活性剤に懸濁され、次いで、得られたサスペンションは、粉砕材料(メディア)として球体(ボール)(複数)を有するミルに充填される。球体(複数)は撹拌機によって運動され、薬剤マイクロ結晶は粉砕球体間で粉砕されて薬剤ナノ結晶にされる。或いは、撹拌機の代わりに、ボールとサスペンションと共に粉砕容器全体を運動させることも可能である(US 5,145,684)。しかしながら、粒子粉砕のためのミルの使用には、以下のような欠点がある:

1.結晶性薬剤が硬い場合、粉砕工程は、薬剤結晶の硬さに応じて、数日間にまで及ぶ場合がある。このため、これは、生産フレンドリな(生産に好都合な)プロセスではない。

2.粉砕工程中に粉砕ボールが磨耗することにより、薬剤ナノ微粒子サスペンションが汚染される。ガラス製粉砕球体を使用した場合の、ガラスのマイクロ微粒子による汚染について報告されており(Buchmann参照)、同様に、酸化ジルコニウムボールを使用した場合、70ppm超の値の汚染が確認されている。この場合、汚染の程度は、寧ろ薬剤の硬軟に依存することは勿論である。

3.水分の多いサスペンションの粉砕が数日間に亘ることにより、細菌成長及び細菌増殖が招来されることがあり、このため、医薬製品に微生物学的問題が生じ得る。

4.スケールアッププロセス(Massstabsvergroesserung)には、ボールミルの重量に起因して幾つかの限界がある。同じ大きさの球形の粉砕ボールに対し六角形のパッキング(ハウジング)を使用する場合、粉砕ボールはミル容積の76%を占有するため、粉砕されるべきサスペンションには、ミル容積の24%しか残されていない。このため、最大許容容積が1000Lのミルの場合、凡そ240Lのサスペンションしか製造することができない。粉砕メディアの密度(例えば酸化ジルコニウム=3.69kg/L)に応じて、そのようなミルは、凡そ2.8トン前後の重量にもなり、当該ミルの最大許容容積の更なるスケールアップは、その全重量の観点から可能ではない。
【0009】
それゆえ、この場合、規模拡大(スケールアップ)に関して決定的な限界がある。従って、このようなボールミルの充填容積を上回るより大きな処理量(Ansaetze)のためには、循環方法で作動するボールミルが必要である。サスペンションは、ボールミルを介して連続的にポンプされる。しかしながら、このため、状況は本質的な改善は見られない。なぜなら、処理量の増大により、同時に、必要な粉砕時間が当然のごとく延長されるからである。
【0010】
1つの代替策として、高圧均質化技術の使用がある。この場合、粉末は、界面活性剤溶液に分散され、次いで、得られたサスペンションが、例えばピストン/ギャップ型ホモジナイザ(US-A-5,858,410)の使用による又はジェットストリーム原理(マイクロフルイダイザにより達成される:US-A-5,091,187)の適用による、高圧均質化プロセスにかけられる。マイクロフルイダイザの粉砕原理は、高速で互いにぶつかる2つの流れの正面衝突に基づく。しかしながら、この方法には、薬剤ナノ微粒子を得るためには比較的多数のサイクルが必要であるという大きな欠点がる。1つの例(US-A-5,091,187)において必要される50〜100回の上述の均質化サイクルは、とりわけ製造フレンドリではない。更に、マイクロフルイダイザ原理は、ピストン/ギャップ方法と比べると効率がより低いことが記載されており、とりわけ結晶が極めて硬い場合、ナノサスペンションに占めるマイクロ微粒子(Mikropartikeln)の割合は不所望に大きくなる。水中の薬剤からなるサスペンションのピストン/ギャップ式均質化により、凡そ200nm〜1000nmの範囲の平均粒径の薬剤ナノ結晶が得られる。これに関連して粉砕原理として記載されていたのは、キャビテーションであった(US-A-5,858,410)。その間に、非水性媒体中、又は水と水に混合可能な液体との混合物中における効率的な粒子粉砕についても記載された。非水性媒体の例としては、液体ポリエチレングリコール(PEG)(例えばPEG400又はPEG600)又はオイル(例えば中鎖トリグリセリド(MCT))がある。これらのナノサスペンションには、ハード又はソフトゼラチンカプセルに直接充填することができるという利点がある。例えば水−エタノール混合物等の水性混合物における均質化により、容易にスプレー乾燥可能なサスペンションが得られる。水−グリセロール混合物における均質化により、非経口的投与のための等張性産物が直接得られる。高圧均質化により得られる(達成される)粒径は、均質化圧と加工されるべき物質の柔らかなないし硬さに依存する。比較的柔らかい薬剤に対しては200nm〜300nmの直径が報告されている(例えばパクリタキセル(Paclitaxel)(B.Boehm, Dissertation, FU Berlin, 1999))。比較的硬い材料の場合、直径は700nm〜1000nmであった(例えば、M.Grau, Dissertation, FU Berlin, 2000)。従って、とりわけ後者のグループの薬剤のために、より効率的な粉砕方法が所望されている。上述の粒径は、圧力1500barでの均質化によって得られた。均質化圧の上昇、例えば500barから1500barに上昇することにより、より小さい粒径を得ることができることは文献から知られている。それに従って、4000barまでの圧力で硬い結晶性材料の均質化を行った。しかしながら、均質化圧を2倍超にしたにも拘わらず、得られた粒径は、実用上変化しないままに留まった(Fichera, M.A., Wissing, S.A., Mueller, R.H., Effect of 4000 bar homogenization pressure on particle diminution on drug suspensions, Int. Meeting on Pharm., Biopharm. and Pharm. Technology, Nuremberg, 679-680, 2004)。これに関する1つの説明は、均質化プロセス中における微粒子の結晶化度の増大である。当初は、微粒子は、弱い点、即ち、とりわけ欠陥部位又はアモルファス領域において壊れる。しかしながら、これらの欠陥部位又はアモルファス領域の数は、粉砕の進行と共に減少し、生成されるより小さい微粒子は、一層より完全になる。均質化過程の所定のある一時点において残っているのは、ほぼ完全な結晶のみである。例えば均質化圧の倍増による更なる粉砕は、それに必要な力は結晶の完全性の増大と共に非線形的な態様で増大するため、最早不可能である。これは指数関数的増大である。この指数関数の曲線の急上昇している部分では、均質化圧を倍増しても粒径に対する影響は僅かしかない。このことから明らかなことは、高圧均質化の場合、1500barの領域の圧力で最大の分散度(分散能)に到達され得るということである。所定の薬剤に対し更なる粒径の縮小を達成するためには、一層改善された粉砕技術を使用する必要がある。
【0011】
以上をまとめると:析出による医薬ナノ結晶の製造に関連する諸問題、例えば粒径を保持する際の困難性及びそれに関連して必要とされる特別な方法(例えば凍結乾燥)は、これまでこれらの製品が市場で殆ど又は僅かしか使用(取引)されることができないという事実を招来している。あり得る問題の1つ、即ち析出後に生じ後続する粒子成長は、後続する熱処理の原理の使用、例えば析出により得られた(達成された)粒径を保持するエネルギの印加によって、解決又は最小化することはできた(例えばUS-A-6,607,784)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ボールミル技術及び高圧均質化技術は、あらゆる溶媒に難溶である薬剤に適用可能な技術である。しかしながら、ボールミルには、長い粉砕時間及び生産物汚染の可能性という問題がある。これらの限界は、ピストン/ギャップ型ホモジナイザを使用することによって克服することは可能であった。しかしながら、圧力と、結晶度の関数としての達成可能な結晶サイズとの間の非線形的関係により、粒径の達成可能な最小値は制限されるので、均質化技術の改善に対する更なる要求がある。
【0013】
即ち、新たな製造方法に対し以下のようなはっきりとした要求がある:

1.所与の結晶の完全性に基づく粒径縮小に対する制限を回避すること

2.通常300nm未満、好ましくは200nm未満、理想的には100nm未満の極めて小さい微粒子を得ること。
【0014】
それゆえ、本発明の課題は、薬剤を作用部位に目標を定めて送達し、同時に薬剤を胃酸、酵素又はその他の不利な要素等の影響による予定より早い分解から保護する、急速に溶解する被覆された微粒子、とりわけナノ微粒子を製造する方法を提供することである。本発明の方法は、可及的に最小のサイズの微粒子の製造、次いで、保護ポリマによる該微粒子の被覆(コーティング)を含む。
【課題を解決するための手段】
【0015】
被覆されるべき微粒子の製造に関する本発明の課題は、極微細微粒子のサスペンションを製造するための方法によって解決される。この方法は、溶解された作用物質を含有する無粒子液体1の(第1の)液流と、液体2の第2の液流が、高エネルギ領域において又は該高エネルギ領域に到達する早くとも2秒前に一緒に導かれる(合流される)こと、
前記2つの液体は互いに混合可能であるが、液体1に溶解された作用物質は、液体2に不溶又は比較的僅か可溶(難溶、geringer loeslich)であり、前記高エネルギ領域において又は前記高エネルギ領域に到達する前最大2秒以内において、前記2つの液体が混合される際に微粒子として析出すること
を特徴とする。
【0016】
例えばそのようにして製造された微粒子は、次いで、溶解された形態のコーティングないし被覆材料を含有する水性の外部の相(外相)に導入された後、乾燥工程にかけられる。この結果、これらの(コーティングないし被覆)材料は、閉じたコーティング(被覆層)として微粒子に析出する。このようにして包囲された微粒子は、悪影響に対して保護されると共に、包囲されていない微粒子とは対照的に、修正された放出動力学(動態)ないし放出動特性(Freisetzungskinetik)を有する。
【0017】
サイズ(径)縮小プロセスは、溶媒における作用物質の溶解、該溶媒と非溶媒との混合、高エネルギの領域における析出の実行を含む。次いで、得られたサスペンションは、ポリマないし巨大分子(高分子)による膜被覆プロセス(コーティングプロセス)を施される。膜被覆プロセスは、とりわけナノ微粒子に対して、勿論マイクロ微粒子に対しても、有機溶媒の使用を要することなく、適用可能である。このプロセスは、非有機溶媒、とりわけ水又は水性媒体において実行することができる。
【0018】
本発明は、1000nm未満、好ましくは300nm未満、とりわけ好ましくは200nm未満、特に100nm未満〜凡そ(5ないし10nm)までの平均粒径を有する極微細ないし超微細薬剤微粒子又はポリマ微粒子を得る可能性を開くものである。現在までのところ、析出を介してサスペンションを製造するための種々の方法が報告されているが、達成可能なサイズ(径)は、専ら析出条件(例えば混合速度 Mischrate、安定剤の種類)に依存している(US-A-5,389,382及びUS-A-2005 0 139 144参照)。析出の完了後、析出された生産物を後続する第2の工程において処理することも報告されている。析出された生産物は、得られた(達成された)粒径を保持しかつサスペンションが数日間に亘って保存される場合に生じるようなサスペンションの更なる成長を阻止するために、高エネルギで処理される(US-A-2002 0 127 278参照)。これと同じプロセスは、材料の結晶としての性質を変化するために、即ち、アモルファス又は部分結晶領域(状態)を完全な結晶性材料に変換するために使用することも可能である。析出によって得られた(達成された)粒径の単なる保持とは異なり、本発明は、析出プロセス中における結晶の成長をエネルギの印加によって阻止(阻害)する。この方法は、上記US-A-2002 0 127 278に記載されているように析出プロセスの完了後に適用されるのではなく、既にして析出中に行われる。結晶成長の阻止(阻害)よって、更なるエネルギ印加により比較的容易に更なる粉砕が可能な結晶がもたらされる(得られる)ことが付加的に見出されたことは、驚くべきことであった(実施例1)。
【0019】
高エネルギを有する領域における析出の実行は、装置の特別のデザイン(構造)を必要とする。このデザイン(構造)は、高エネルギ領域において処理される液相を供給するために、種々の修正された部分(部品ないし部材)が付加されるように、既存の装置を変更することによって達成することもできる。
【0020】
膜被覆プロセスは、種々の方法で実行することができる。例えば、所望のポリマを微粒子製造の前に既に外部の相(外相)に溶解すること、或いは、まず、所望のサイズの微粒子を製造し、次いで、この微粒子をポリマ溶液に分散した後、溶媒の除去ないし溶媒の性質の改変によって膜形成を達成する。溶媒の除去ないし膜形成は、噴霧乾燥(スプレードライ)、蒸発法、溶媒拡散法、凍結乾燥法によって、又は、例えば流動床造粒法若しくはサスペンションスプレー塗布(suspension layering)のような更なる方法(プロセス)の使用の経過中に実行することができる。
【0021】
この発明の目的は、当該薬剤を腸管に輸送(送達)すると同時に、該薬剤を胃の酸性のpH値に対して保護するために、急速に溶解する被覆(コーティング)された微粒子、とりわけナノ微粒子を製造するプロセスを開発することであった。このプロセスは、例えば、可及的に最小のサイズ(径)を有するナノ微粒子の製造及び次いで保護ポリマによる該微粒子の被覆(コーティング)を含む。
【0022】
サイズ(径)縮小プロセスは、溶媒中での作用物質(活性物質)の溶解、該溶媒と非溶媒との混合、及び高エネルギの領域における析出の実行を含む。次いで、得られたサスペンションは、ポリマ又は巨大分子(高分子)による膜被覆プロセス(コーティングプロセス)を施される。膜被覆プロセスは、とりわけナノ微粒子に対し、勿論マイクロ微粒子に対しても、有機溶媒の使用を要することなく、適用可能である。このプロセスは、非有機溶媒において、とりわけ水又は水性溶媒において、実行することができる。
【0023】
本発明は、1000nm未満、好ましくは300nm未満、とりわけ好ましくは200nm未満、特に100nm未満〜凡そ(5ないし10nm)までの平均粒径を有する極微細ないし超微細薬剤微粒子又はポリマ微粒子を得る可能性を開くものである。
【0024】
これまでに、析出を介してサスペンションを製造するための種々の方法が報告されているが、達成可能なサイズ(径)は、専ら析出条件(例えば混合速度 mixing rate、安定剤の種類)に依存している(US-A-5,389,382及びUS-A-2005 0 139 144参照)。析出の完了後、析出された生産物を後続する第2の工程において処理することも報告されている。析出された生産物は、得られた粒径を保持しかつサスペンションが数日間に亘って保存される場合に生じるようなサスペンションの更なる成長を阻止するために、高エネルギで処理される(US-A-2002 0 127 278参照)。これと同じプロセスは、材料の結晶としての性質を変化するために、即ち、アモルファス又は部分結晶領域(状態)を完全な結晶性材料に変換(転移)するために使用することも可能である。析出によって得られた粒径の単なる保持とは異なり、本発明は、析出プロセス中における結晶の成長をエネルギの印加によって阻止(阻害)する。この方法は、上記US-A-2002 0 127 278に記載されているように析出プロセスの完了後に行われるのではなく、既にして析出中に行われる。結晶成長の阻止(阻害)よって、更なるエネルギ印加により比較的容易に更なる粉砕が可能な結晶がもたらされる(得られる)ことが付加的に見出されたことは、驚くべきことであった(実施例1)。
【0025】
高エネルギを有する領域における析出の実行は、装置の特別のデザイン(構造)を必要とする。このデザイン(構造)は、高エネルギ領域において処理される液相を供給するために、種々の修正された部分(部材)が付加されるように、既存の装置を変更することによって達成することもできる。
【0026】
膜被覆プロセスは、種々の態様で実行することができる。例えば、所望のポリマを微粒子製造の前に既に外部の相(外相)に溶解すること、或いは、まず、所望のサイズの微粒子を製造し、次いで、この微粒子をポリマ溶液に分散した後、溶媒の除去ないし溶媒の性質の改変によって膜形成を達成する。溶媒の除去ないし膜形成は、噴霧乾燥、蒸発法、溶媒拡散法、凍結乾燥によって、又は、例えば流動床造粒法若しくはサスペンションスプレー塗布(suspension layering)のような更なる方法の使用の経過中に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
従来法により実施される析出工程では、1〜10秒以内に、凡そ500nmから数マイクロメートルの径範囲の平均粒径を有する生成物が得られるが、典型的には、結晶成長により、急速に、マイクロメートル領域の析出物に至る。高圧均質化によるこれらの材料の処理は、析出した微粒子のサイズを保持し、更なる結晶成長を阻止することができるが、実質的に粒径を縮小しない(US-A-2002 0 127 278)。従って、粉砕プロセスが結晶化プロセス後直ちに又は数ミリ秒以内に開始されることが、本発明においては、とりわけ重要である。この段階では、微粒子は、依然としてナノメートル領域の前半にある(例えば500nm未満)。更に、結晶化が丁度開始された所のため、結晶を形成する分子の規則的配列プロセス(Orientierungsprozess)がまだ完全には完了していない状態から出発することができる。
【0028】
丁度脂質の場合のように、分子の配置は、結晶構造の内部において適切に配置(配列、Anordung)されるために時間を要する。例えばAdeps Solidus(硬質脂肪:Hartfett)のような脂質の場合、アルファモディフィケーション(状態)からより高次の規則的ベータモディフィケーションに至るための所要時間は凡そ6秒である。高度に精製された脂質は別として、脂質は化学的に不均質である、即ち、脂質は極めて多種多様な分子から構成されている。これらの空間的(幾何学的)に異なって構築された分子(複数)は、化学的に均一な化合物(複数)と比べると、規則的に配置(配列、orientieren)するためにより多くの時間を要する。このことは、極めて多種多様な壁石からなる壁に比べて相対的に迅速に構築することができる均一な壁石からなる壁の構造にたとえることができる。この理論的考察から導出される推論からすると、化学的に均一な薬剤の結晶形成プロセスは極めて迅速に進行するはずである。(例えば10W/m超のパワー(出力)密度の)高エネルギの領域における析出又は高エネルギが直後に印加される析出により、(光子相関分光法(PCS)で求めた)平均粒径133.6nmのプレドニゾロンのナノ結晶が得られたことが見出されたことは驚くべきことであった(実施例2)。そのようなサイズの達成について、高圧均質化技術を使用した場合には未だ報告されていない。
【0029】
その際得られたサスペンションは、更なるエネルギを印加することにより更に処理された。ホモジナイザにおいて全体で5分間サスペンションを循環することにより、26.6nmのPCS−直径が得られた。驚くべきことに、高エネルギの印加により析出された微粒子の構造が粉砕可能な形態に変換されたようである。この場合、微粒子の直径は、US-A-5,091,187又はUS-A-5,858,410に応じた高圧均質化プロセスに対して未だ全く報告されていないサイズにまで縮小されていた(実施例3)。
【0030】
ケルビン(Kelvin)の方程式によれば、気相中における液滴(複数)の蒸気圧は、液滴(複数)の曲がりないし曲率(Kruemmung)の増大と共に、即ち液滴(複数)の寸法の縮小と共に増大する。同様に、液体中での固体微粒子(複数)の溶出圧(Loesungsdruck, solution pressure)は、粒径の減少と共に増大する、即ち、飽和溶解度が増大する(K. Peters, Dissertation, FU Berlin, 1999)。球形の液滴/微粒子のサイズ(径)の関数とした蒸気圧/溶出圧の上昇に関するモデル計算が実行された(S. Anger, Dissertation, FU Berlin, 2004)。その結果、指数関数的関係が得られた。計算結果から、1μm付近のサイズ(径)に対しては、上昇はまったくないかごく僅かしかないことが示された。しかしながら、1μm(1000nm)から100nmにサイズ(径)を縮小すると顕著な上昇が示された。サイズ(径)と溶出圧との間の関係に指数関数的性質があるため、溶出圧は、100nm未満の粒径では有意に上昇し、とりわけ50nm未満では顕著になり、25nm未満の粒径では極めて大きく上昇することが確認された。この結果からすると、飽和溶解度は、サイズ(径)が50nm未満になると、とりわけ顕著に上昇することになる。実施例4では、プレドニゾロンの微粒子が、連続処理方法で10分間均質化された。PCS直径は、6分後には22.1nmになり、7分後には21.4nmになった。8分後に、ナノ結晶を溶解したところ、清澄な溶液が得られた。この高過飽和溶液は凡そ1時間は安定であったが、その後、大きな結晶を形成して析出した。
【0031】
同様の効果(結果)は、ブデソニドの析出の場合にも観察され、LD50%の直径が7.339μmの結晶が形成された(レーザ回折法、LD、で求めた、体積分布)(実施例5)。(図2の構成に対応する)ジェットストリーム原理を用いる本発明の析出により、LD50%で1.858μmが得られた(実施例6)。ジェットストリーム構成(図2)を用いる場合、析出の開始と結晶に対するエネルギ印加との間の時間は極めて短い。結晶化の開始とエネルギ印加との間の時間遅延の効果を調べるために、ピストン・ギャップ型ホモジナイザにおいて試験を行った。ピストン・ギャップ型ホモジナイザを用いたことにより、2.651μmのLD50%粒径が得られた。この場合、析出の開始とエネルギ印加との間の遅延は2秒であった。この結果から以下のことが結論付けられる:極めて小さい微粒子を得るためには、結晶形成の開始とエネルギの印加のとの間の時間は、2秒より遥かに短くされるべきである。
【0032】
結晶を形成する過程にある(結晶生成しつつある)微粒子に対し直ちに粉砕力を印加できるようにするためには、析出は、例えば超音波発振子(図1)、ホモジナイザ(図2〜図4)又はロータ/ステータ型コロイドミル等のエネルギ供給(印加)装置の(エネルギ)散逸領域(力学的、電気的エネルギが熱に転化する領域 Dissipationszone 即ち、流れのエネルギ変換ゾーンないし乱流ゾーン)において直接行われる必要がある。その代わりに、微粒子が、1〜100ミリ秒、100〜500ミリ秒又は1〜2秒以内に、遅くとも1分以内に、(エネルギ)散逸領域(例えばピストン/ギャップ型ホモジナイザのギャップ)にもたらされる(供給される)ようにしてもよい。「成熟した」(gereift)析出物を均質化プロセスにかける場合、本発明の方法を使用する場合とは異なり、本発明程には微細な生成物は得られない(実施例7)。このため、析出の開始とエネルギ印加との間の時間遅延はあまりに長いものとされるべきではない。
【0033】
微粒子を均質化領域において直接析出することと、或いは微粒子を、少なくともコアの形成(核生成)が完了しているよう、短い遅延を以って均質化領域に供給することの何れがより有利であるかは、析出過程中のインサイチュ微粒子生成速度に応じて決めることができる。この何れかでないと、微粒子が均質化領域を既に離れた場合、更なる析出と結晶成長が招来され得る。結晶化の開始と均質化との間の遅延時間を制御可能にするために、ポンプ速度及び「混合の部位」(Ort des Mischens)と「エネルギ印加の領域」(Zone des Leistungseintrags)との間の可変距離によって必要な遅延を調整し、所望の目的サイズの結晶を得ることが可能な装置が開発された。何れにせよ、可及的に小さい結晶を生成することが常に望まれる訳ではない。
【0034】
これを達成するために、このプロセスのための特別な均質化チャンバが設計され(図1及び図3、図2は原理を示す)、或いはまた、市場で入手可能な均質化ユニットの構成を変更(改造)した(図4〜図6)。
【0035】
図1:溶媒(S、solvent)及び非溶媒(NS、non-solvent)のパイプ(複数)が、溶媒の液流と非溶媒の液流が互いに対し平行に流れ、第1の流れ(噴流)と第2の流れ(噴流)との混合が最小化されるように、平行に配置されている。この2つの流れ(噴流)は、超音波装置の発振子(プローブ)の下方の(エネルギ)散逸領域(Dissipationszone)(エネルギ変換ゾーン)に到達する。振動(超音波)発振子の下方でこの2つの液体が混合することにより、析出は、エネルギ印加の領域において直接行われる(図1A)。第2のバリエーションの装置では、2つの液体は、(エネルギ)散逸領域まで所定の距離xのところで接触するため、全く或いは殆ど混合しない2つの液流間の境界面(界面)において第1の結晶核(結晶種)が生成される(図1B)。これらの流れは、両方共に同じ方向に流れることを特徴としている。任意的に、(複数の)スタティスティックミキサ(種々のタイプ)を組み込むことができるが、このミキサの内部においては、2つの流れの流動方向は、同様に、1つの方向のみが(実現)可能である。
【0036】
図2は、ベルヌーイ原理に基づくピストン/ギャップ(Kolben-Spalt)型ホモジナイザを使用した場合の本発明の処理装置の作用原理を示す。溶媒の液流は、小さい流速の領域の内部において、非溶媒の液流に対し平行に配向されている。この平行に整列された2つの液流は、次いで、より小さい直径を有する領域に到達する。生成するキャビテーションにより2つの液体は混合され、その結果、析出が行われる。生成しつつある微粒子は、依然として生成状態ないし過程(Entstehungszustand)においてキャビテーション力によって粉砕される。これらの結晶の第2のないし繰り返し行われる過程の通過(パス)は、結晶の更なる微細化のために利用することができる。溶媒(S、solvent)のパイプを変更することにより、微粒子形成の開始とエネルギ印加との間の時間を変化することができる(図1Bと同様)。即ち、図2は、ベルヌーイ原理に基づき、広い口径から狭い口径のゾーン(本発明における散逸領域)へ流れの状態が切替わりジェット流が生成される作用原理を示す。
【0037】
図3は、ピストン/ギャップ型ホモジナイザのダブルピストン構成の構造の原理を示す。1つのシリンダ内に2つのピストンが配され、均質化過程中互いに向かって運動する。第1工程においては、2つのピストンは、互いに離れるよう運動し、その際、溶媒及び非溶媒を吸い込む。この装置では、2つの液流のためのパイプ(複数)は、該2つの液流の互いに対する平行な運動が1つの方向において行われることが保証され、混合が最小化されるように、互いに対し配置される(図3A)。シリンダの充填後、2つのピストンは、互いに対し最も離隔された位置(終端位置、上死点)にある(図3B)。均質化工程中、この2つのピストンは、互いに向かって運動し、その際、溶媒流(S)及び非溶媒流(NS)を平行な流動方向の環状均質化ギャップ内へと押圧する(図3C)。
【0038】
図4:既存のピストン/ギャップ型ホモジナイザは、僅かに構成変更することにより、本発明の方法に使用可能にされることができる(例えば、Micron LAB 40, APV Homogenizer systems, Unna, ドイツ, の連続式変形)。シングルピストンホモジナイザの流入部(Einlass)は、ピストンが下方に運動する場合、溶媒(S)及び非溶媒(NS)のための互いに平行な2つのパイプを介して、2つの流れが、充填プロセス中、互いに対し平行にシリンダに流入するように変更されている(図4A)。2つの流入パイプは、2つの液体を均質化ギャップ(キャビティ)に通流するために、ピストンが均質化過程中上方に運動すると、ボール弁(チェック弁・逆止弁)によって閉鎖される。この構成の代わりに、S及びNSの供給は、図4Bに示したような形態で行うこともできる(図2参照)。
【0039】
図5は、ジェットストリームホモジナイザを使用する場合の構造の原理を示す。均質化チャンバ(例えば、Microfluidizer, Microfluidics Inc. USA のy型又はz型チャンバ)には、溶媒流(S)と非溶媒流(NS)の平行な流入(供給)を可能にするユニットが前置される。これら2つの液流は、互いに遭遇(合流)した後、可変の距離xを有するパイプの中を平行な方向に流れる。この距離xは、2つの液流が(エネルギ)散逸領域(Dissipationszone)に流入する時間を制御(時間的制御)するように、変更することができる。必要に応じて、種々のタイプのスタティックミキサを使用することができる。均質化チャンバ内においてパイプ(複数)を狭小化(ないし小径化)することにより、結晶(複数)が衝突領域において互いに衝突する前に、極めて大きな流速を達成することができる。
【0040】
図6:溶媒(S)と非溶媒(NS)の液流が、ウェットグラインディングコロイドミルのロータ/ステータ機構に供給される。この装置の場合、パイプ(複数)の配置は、2つの液流が互いに対し平行に流入することを可能にする。所望であれば、図1の場合のように、距離xを備えるよう構成変更し、更には、スタティックミキサを組み込むことも可能である。2つの液流の混合は、ロータ及びステータの2つのプレートの間で行われる。
【0041】
ごく初期の段階(相)において析出によって生ずる途中の(ないし生じたばかりの)微粒子にエネルギが「衝突する」ことを回避するために、超音波装置、ホモジナイザ、コロイドミル又はこれらと同等の粉砕装置の(エネルギ)散逸領域に到達する前に、1ミリ秒から最大で2分の遅延を以って溶媒と非溶媒の混合が行われるように、遅延を導入することができる。均質化領域に到達する遅延の時間は、液流の流速の変更及び均質化領域に到達する前の距離x(例えば図1B、図5、図6)の変更によって調整することができるが、この場合、計算は、ハーゲン・ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)の法則及びベルヌーイの式に基づく。
【0042】
実験室規模のマイクロフルイダイザ HC-2000(Microfluidics Inc. USA)がこの方法に適合化され、溶媒液流を制御して供給するために、0.45gのカニューレを有するチューブ(ホース)が流入物貯留(滞留)装置(Zufluss-Reservoir)に配置された。この装置では、ポンプ流量(速度)は、10mL/minであった。非溶媒も、この流入物貯留(滞留)容器に供給された(図5左側参照)。
【0043】
ホモジナイザを通流する液体のポンプ速度は、凡そ200mL/minであった。ポンプの吸入口側では、生成物の流速は、低粘性液体の場合、0.1m/sまで(以下)である(Mueller, R. H., Boehm, B. (Hrsg), Dispersion Techniques for Laboratory and Industrial Scale Processing, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft Stuttgart, 113 S., 2001, S.77)。低粘性の水及びエタノール、並びに短い貯留(滞留)容器−ポンプ間距離を想定した場合、液体は、凡そ200ms未満後にはポンプに到達する。装置の製造業者のデータによれば、流れ抵抗を可及的に小さくすることができるように、流入パイプの直径は比較的大きくとる(Mueller, R. H., Boehm, B. (Hrsg), Dispersion Techniques for Laboratory and Industrial Scale Processing, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft Stuttgart, 113 S., 2001, S.77)。図5に応じてこの装置を変更することにより、直径を小さくすることができ、更に、流入パイプの長さも短くすることができ(貯留(滞留)容器はポンプのより近くに配置されることになる)、その結果、流入時間は、20ms以下に低減される。この構成の代わりに、貯蔵容器(貯留(滞留)容器)をポンプの吸入口に直接配置することにより、所要時間を数ミリ秒程度にすることもできる。液体がポンプから去ると、ステンレス鋼製のパイプ(での流速)は、10m/sにまで加速される。液体は、数ミリ秒以内に(エネルギ)散逸領域に到達する。
【0044】
この構造は、衝突領域において微粒子を直接析出するために使用することもできる(図5)。この場合、溶解された化合物を含む溶媒液流又は化合物と非溶媒液流とは、マイクロフルイダイザのZチャンバに平行に導かれるが、距離xはゼロである(図5右側、距離x=ゼロ)。この代わりに、2つの液流が変更(変形)されたYチャンバにおいて互いに衝突するように、該2つの液流を導くことも可能である。1つの液流が衝突領域に到達する前に分割されるのではなく、2つの液流が、別々に、衝突領域に導かれる。衝突領域において、溶媒流は、非溶媒流と衝突し、この非溶媒流と混合するが、この場合、この2つの液流は、正面衝突するか、或いは、互いに対し所定の角度をなして、例えば90°以下の角度、例えば45°の角度をなして衝突するよう配向されることができる(図5C)。
【0045】
薬剤ナノ結晶は、とりわけ保護されずに胃を通過する場合に破壊される可能性がある酸不安定性の薬剤の場合、経口投与のために、しばしばポリマ被覆(コーティング)を必要とする。ポリマ被覆(コーティング)のための更なる理由としては、標的を定めた薬剤投与(ドラッグターゲティング)又は所望通りに制御された放出(徐放ないし放出制御)がある。この場合、個々の薬剤ナノ結晶の上述した有利な特性(特徴)が放棄(喪失)されないようにするために、本発明において変換(実施)されるように、ナノ結晶が個別にコーティングされることができることがとりわけ好ましい。
【0046】
この場合、毒物学的理由からであれ、生態学的理由からであれ、又は経済学的理由からであれ、各プロセスにおける有機溶媒の使用は好ましくない。このため、製造された(ナノ)結晶が、好ましくは有機溶媒を使用することなく、ポリマで被覆される方法が開発された。
【0047】
胃液耐性(腸溶性)の製剤形態(剤形)を製造するために、胃の酸性のpH値によりプロトン化されて存在しかつ不溶性である酸性のポリマがしばしば使用される。そして、腸に達してpH値が上昇すると、このポリマの塩が生成される。
【0048】
脱プロトン化されたポリマは、溶解度がより大きくなり、封入していた薬剤を放出する。
【0049】
このポリマを(上記)製剤形態(剤形)に適用するために、ポリマは、通常、有機溶媒に溶解されるか又は水性分散体(O/Wエマルジョン)の形態で使用される。一般的には、有機溶媒の使用は有利ではなく、特別の場合には、使用不能でさえある。なぜなら、多くの水に不溶性の作用物質(活性物質)は、場合によっては、有機溶媒に極めて良好に溶解しさえするからである。水性の分散体も、同様に、ナノ結晶の被覆に使用することはできない。なぜなら、該分散体は、一方では、薬剤ナノ結晶と比べて余りにも大きい粒径/液滴径を有し、他方では、混合の際に極めて不安定な態様で反応することが多いからである。
【0050】
このため、本発明においては、被覆剤(コーティング剤)として、水性のポリマ溶液が使用されたが、その際、ポリマのpH値依存性の溶解度が利用された。
【0051】
胃液耐性(腸溶性)の被膜(フィルム)形成剤の水性の溶液は、久しい以前から既に知られている(Bianchini, R., Resciniti, M., Vecchio, C. Technology evaluation of aqueous enteric coating systems with and without insoluble additives, Drug Dev Ind Pharm 17, 1779-1794, 1991; Firmeninformation Roehm, Pharmapolymere, Magensaftresistente Ueberzuege, 2003)。しかしながら、これらのポリマ溶液は、従来、例えば錠剤及びペレットのような既存の製剤形態(剤形)を胃液耐性(腸溶性)被膜(フィルム)形成剤によって被覆するためにしか使用されていなかった。しかしながら、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのような従来の塩基を使用する場合、胃液耐性(腸溶性)は、多量に適用(使用)しなければ達成することができない。これは、ナノ微粒子/ナノ結晶に対しては技術的観点から実用的ではない(例えば、再び濃縮するのが困難なナノサスペンションの過度の希釈;後続の結晶凝集を伴う(後に結晶凝集を引き起こす)電解質の供給によるゼータ電位の低下)。溶液アプローチ、即ち、炭酸水素アンモニウム等の揮発性塩基の使用については、Hasan Rafatiの特許(出願)GB2353215に記載されている。しかしながら、この特許(出願)は、(とりわけコンティングパン(コータ)法(Dragierkesselverfahren)における)溶液層(膜)形成技術(Solution-Layering-Technik)のみに関連しており、そのため、胃液耐性(腸溶性)的に被覆されたアセチルサリチル酸錠剤の幾つかの実施例しか与えていない。
【0052】
これに対し、本発明は、ナノ結晶製造中における分散媒としての、かつ、ナノ微粒子、とりわけ薬剤ナノ結晶の被覆のための、水性のポリマ溶液の使用を開示する。
【0053】
薬剤ナノ結晶の被覆(コーティング)に関しては、原理的には、2つの実施(変形)態様に分けることができる。第1の実施態様においては、被覆される微粒子が、ポリマ溶液(中)において、直接、製造される。この場合、上述の方法を使用することができるが、薬剤ナノ結晶は他の方法によって製造することも可能である。可能な方法としては、例えば、R.H. Mueller et al.の特許(出願)(WO0103670)に記載されている。尤も、この特許(出願)においては、個々のナノ結晶(粒子)のフィルム(被膜)形成(被覆)プロセス(コーティング)は取り扱われていない。
【0054】
本発明の第2の実施態様においては、薬剤ナノ結晶が、ポリマ溶液に供給される前に既に製造されており、その後、小さい出力(パワー)密度の混合装置(例えば歯付ディスク式ミキサ、ブレード式スターラ(撹拌機)によって、ポリマ溶液に、ナノサスペンション又は粉末(パウダ)の形態で分散される。
【0055】
被覆されたナノ微粒子は、使用した方法及び出発直径に応じて、その後、僅か1ないし数(wenige)100nm〜100μm、好ましくは50μm未満、理想的には5μm未満の範囲の粒径を有するが、薬剤結晶(自体)はナノメートルオーダーの粒径を有する。
【0056】
酸性のポリマ(例えばポリメタクリレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、HPMCAS)の場合、水性のポリマ溶液は、例えば、十分な量の揮発性塩基(例えば炭酸水素アンモニウム等)の添加によって得られる。この塩基の添加によって、pH値は、ポリマ溶解性の領域にシフトされる(図7a)。その際、塩基成分として炭酸水素アンモニウムを使用する場合、酸性ポリマのアンモニウム塩と炭酸が生じるが、後者は直ちに二酸化炭素と水に分解する(図7b)。本発明の方法の更なる利点は、水性の塩基性溶液に酸性のポリマを溶解することにより、酸感受性の薬剤(例えばオメプラゾル Omeprazol等)が化学的分解から保護されることである。完成した(出来上がった)製剤形態(剤形)の被膜(フィルム)特性を改善するために、このポリマ溶液に、更に、(例えばクエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、セバシン酸ジブチル、プロピレングリコール等の)可塑剤(軟化剤)を添加してもよい。更に、外部の相(外相)が、界面活性剤、安定剤及びその他の助剤を含んでもよい。
【0057】
溶媒に添加可能な典型的な界面活性剤又は安定化物質としては、例えば、以下の一連の化合物が挙げられる:ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマ(ポロキサマ Poloxamere)、エチレンジアミン・ポリエチレンオキド・ポリプロピレンオキド・ブロックポリマポロキサミン(ポロキサミン Poloxamine)、エトキシ化モノ及びジグリセリド、エトキシ化リピド及びリポイド、エトキシ化脂肪族アルコール及びアルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸エステル、ポリグリセリンエーテル及びエステル、レシチン、糖又は糖アルコールと脂肪酸又は脂肪族アルコールのエステル及びエーテル、例えばエトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、とりわけポリソルベート(Polysorbate)(例えばポリソルバート80若しくはツイーン(Tween)80)等、ポリグリセロールメチルグルコースジステアレート(テゴケア(Tego Care)450)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えばスパン(Span)85)、リン脂質及びスフィンゴリピド、ステロール、これらのエステル又はエーテル、並びにこれらの化合物の混合物。更に、卵レシチン、大豆レシチン又は水素添加レシチン、これらの混合物、又は1又は2のレシチンと1又は2以上のリン脂質成分、コレステロール、パルミチン酸コレステロール、スチグマステロール又はその他のステロールの混合物もまた、溶液(溶媒)に添加することができる。
【0058】
場合によっては、溶液(溶媒)自体の性質又は溶液(溶媒)から作られる乾燥粉末の性質を変化するために、更なる物質を溶液(溶媒)に添加することが必要になり得る。そのような物質としては、とりわけ、ジアセチルホスフェート、ホスファチジルグリセロール、飽和又は不飽和脂肪酸、コール酸ナトリウム、解膠剤(Peptisatoren)又はアミノ酸、並びに、セルロースエーテル及びエステル、ポリビニル誘導体、アルギネート、キサンタン、ペクチン、ポリアクリレート、ポロキサマ及びポロキサミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はグルコース、マンノース、トレハロース、マンニトール及びソルビトール、フルクトース、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリンが挙げられる。溶媒には、必要に応じて、着色剤(色素)を、顔料として溶解形態又は不溶形態で、添加してもよい。
【0059】
被覆されるべき微粒子がポリマ溶液において完全に製造又は分散された後、この系の温度を上昇することによって又は種々の乾燥方法によって、この微粒子を包み込む被膜形成を開始することができる。この場合、被膜形成プロセスを実現可能な仕方は種々存在する。
【0060】
可能な方法の1つは、噴霧乾燥であるが、この方法においては、プロセス温度は、薬剤の温度感受性とポリマの性質に応じて選択することができる。熱不安定性薬剤オメプラゾルの場合、生成物(処理対象)温度は50〜60℃を超えるべきではない。
【0061】
噴霧乾燥プロセス中、ポリマの溶解の際に生成された胃液耐性(腸溶性)ポリマ/巨大分子(高分子)のアンモニウム塩は、遊離酸とアンモニアと水に分解し、そして、生成したアンモニアは直ちに蒸発する(図7c)。ポリマは、相分離プロセス中に析出し、ナノ微粒子をポリマ層(被膜)によって包み込むが、これは、更なる熱処理なしで、胃液耐性(腸溶性)の性質を有する。適切な可塑剤を添加することにより、被膜特性を改善することができる。
【0062】
使用可能な噴霧乾燥装置の例としては、Niro社、Nubilosa社、Caldyn社、Buechi社、APV社、Trema社等の装置がある。
【0063】
作用物質が温度感受性でない場合、生成したベースの分散体(Basisdispersion)は撹拌しながら加熱することができるが、この場合、通常、温度は60℃超が好ましい。その際、アンモニア、二酸化炭素及び水が生成するが、アンモニアとCOは消失(蒸発)し、ポリマは、相分離を介してpH値の低下により、ナノ結晶の表面に析出する。相応にプロセスを実行することにより、個別にカプセル化されたナノ結晶が生成する。電解質を添加し、ゼータ電位を低下させることによって、カプセル化された複数のナノ結晶が集まって大きな凝集体ないし集合体(Aggregate)が生成されるように、プロセスを制御することも可能である。この凝集体は更なる処理の際に有利であり得る(例えばこの微粒子凝集体は比較的容易に分離することができる)。
【0064】
被膜形成のための更なるアプローチの1つとしては、ナノサスペンションへの酸の添加があるが、これは、カプセル化されるべき作用物質がプロセス時間中十分に耐酸性であり、ポリマが例えば改善された「ドラッグターゲティング」に対してのみ薬剤ナノ結晶を被覆(コーティング)するために使用される場合に適用される。
【0065】
被膜形成のための更なるアプローチの1つとしては、エマルジョン法を介した乾燥方法の使用がある。この場合、ベースの分散体は、内部の相(内相)として、非水性の相に従来の分散方法(例えば翼式撹拌機、ロータ・ステータシステム、歯付ディスク、高圧ホモジナイザ、超音波式ホモジナイザ)によって分散される。W/O系が生成されるが、水滴には、ナノ微粒子と溶解したポリマが含まれている。次の工程において、水は除去されるが、これは種々の方法で行うことができる。例えば:

1.水に対し比較的良好な溶解度を有する非水性の分散媒の直接的使用(例えばひまし油、4%水溶性)

2.真空蒸発又は加熱蒸発又はこれらの組合せ

3.溶媒置換、即ち、エマルジョンの製造後、外部の相(外相)に対する液体の添加混合。なお、添加混合される液体は水に対する良好な溶解度を有する(例えばアセトン)。
【0066】
水を除去する際、ポリマは、ナノ微粒子の表面に析出し、粘性は大きくなるが、温度の上昇により、同様に(再び)、アンモニアと二酸化炭素が蒸発し、胃液耐性(腸溶性)の被膜(コーティング)が形成される。得られたポリマ微粒子は、好ましい一実施態様では、通常1つより多くのナノ微粒子を包囲していることを特徴とする。
【0067】
製造されたベース分散体は、更なる処理が顆粒化(Glanulation)プロセスにおいて直接実行されることも可能である。基本的には、蒸発法の場合と同じプロセスが行われるが、通常の顆粒化プロセスに対し更に追加の不活性な助剤が含まれる(例えばラクトース結晶)という相違点がある。ナノ微粒子とラクトース結晶に対する析出は並行して行われるため、カプセル化されたナノ微粒子とカプセル化された助剤の混合物が得られる。
【0068】
得られた顆粒(Granulat)はカプセルに封入する(詰める)ことも可能であり、加圧して錠剤とすることも可能である。更なる手段として、例えば投与のための飲料に再分散するために、袋ないし瓶(Sachet)に封入する(詰める)ことも可能である。更に、顆粒を押出し加工してマトリックスペレットにすることも可能である。
【0069】
更なる一実施形態では、均質化後に得られるサスペンションは、可塑剤の添加後もなお溶解しているポリマ/巨大分子(高分子)と共に、例えば糖ペレット(ノンパレイユ:non pareilles)に直接噴霧(スプレー)される。この乾燥プロセスの際に、堅く(しっかり)封入された(包囲された)ナノ微粒子を含有する堅いポリマシェルが生成される。この乾燥プロセスは、60℃超の温度で実行されるため、同様に(再び)、アンモニアと二酸化炭素が消失(蒸発)する。
【0070】
薬剤微粒子の表面にポリマの被膜が形成されることにより、被覆された薬剤ナノ結晶の性質は明らかに変化される。使用するポリマに応じて、例えば放出の遅延、粘膜付着性(Mucoadhaesivitaet)の向上又は胃液の影響(作用)に対する感受性薬剤の保護を達成することができる。尤も、胃液耐性(腸溶性)のためには、pH値の調節に使用される塩基は、プロセス条件下において揮発性であること、即ち、最終産物においてほぼ乾燥した形態では存在しないことが必要である。
【0071】
不揮発性塩基、例えば水酸化ナトリウムを使用する場合、酸の接触によって始めて、酸性のポリマが析出するが、その結果、最初に酸が浸入し、感受性薬剤を損傷することがあり得る。揮発性塩基、例えば炭酸水素アンモニウムを使用する場合、酸性のポリマのアンモニウム塩がアンモニアを放出(遊離)し、次いで、同様に(再び)プロトン化された即ち酸不溶性の形態で存在するため、乾燥プロセス中に、塩基成分は完全に消失する。従って、生じたポリマ被膜(フィルム)は、酸が作用する前に既に安定かつ耐酸性である(図7b)。
【実施例1】
【0072】
プレドニゾロン(Prednisolon)を伝統的な方法で即ち非溶媒への溶媒の添加によって析出した。プレドニゾロン275mgを90%(v/v)のエタノール10mLに溶解し、この溶液をマグネットスターラで撹拌しながら90mLの蒸留水に注いだ。析出後直ちに粒径を測定したところ、直径はLD50%で2.185μm、LD95%で5.108μm、LD99%で6.414μmであり、LD100%の直径は8.944μmであった(体積分布、レーザ回折法、Coulter LS 230、ベックマン・クールタ(コールター)社、アメリカ合衆国)。
【実施例2】
【0073】
プレドニゾロンを実施例1と同様に90%(v/v)のエタノール10mLに溶解した。次いで、このプレドニゾロン溶液の10mLをインフューザ(Infusor)(ブラウン・メルスンゲン(Braun Melsungen)社、ドイツ)を用いて図2に示した装置にポンプ供給した。ポンプ速度(流量)は1.5mL/minであった。伝統的な析出と本発明の方法とを対比するために、水性の相の体積は丁度実施例(1)の場合と同様に90mLとした。1分間のインフュージョン時間経過後、析出した生成物のサンプルを採取し、光子相関分光法(Zetasizer 4、マルバーン(Malvern)社、英国)によって測定を行った。平均粒径(z平均)は113nm、多分散指数(PI)は0.678であった。
【実施例3】
【0074】
実施例2と同様に析出を行い、5分経過後、析出した生成物のサンプルを採取し、光子相関分光法によって試験した。平均粒径(z平均)は27nm、多分散指数(PI)は0.460であった。
【実施例4】
【0075】
実施例2と同様に析出を行ったが、均質化時間は10分間であった。6分経過後、析出物のサンプルを採取し、光子相関分光法によって試験を行った。平均粒径(z平均)は22nm、多分散指数(PI)は0.854であった。7分経過後に採取したサンプルでは、PCS直径は22nm、PIは0.441であった。8分経過後、プレドニゾロン結晶は、この小さいサイズにおいて溶出圧の上昇により溶解した。乳濁したサスペンションは、清澄な溶液に変化した。1時間経過後、高過飽和溶液は、巨視的に(肉眼で)視認可能な長い針の形態で晶析し始めた。
【実施例5】
【0076】
ブデソニド(Budesonid)を伝統的な方法で即ち非溶媒への溶媒の添加によって析出した。このために275mgのブデソニドを90%(v/v)のエタノール10mLに溶解し、この溶液をマグネットスターラで撹拌しながら90mLの蒸留水に注いだ。析出後直ちに粒径測定を行ったところ、直径はLD50%で7.339μm、LD90%で10.920μmであった(体積分布、レーザ回折法、Coulter LS 230、ベックマン・クールタ社、アメリカ合衆国)。
【実施例6】
【0077】
ブデソニドを実施例1と同様に90%(v/v)のエタノール10mLに溶解した。次いで、このブデソニド溶液の10mLをインフューザ(Infusor)(ブラウン・メルスンゲン(Braun Melsungen)社、ドイツ)を用いて図2に示した装置にポンプ供給した。伝統的な析出と本発明の方法とを対比するために、水性の相の体積は丁度実施例(1)の場合と同様に90mLとした。10分間の循環時間経過後、析出した生成物のサンプルを採取し、レーザ回折法によって試験した。粒径測定を行ったところ、直径はLD50%で1.858μm、LD90%で3.486μmであった(体積分布、レーザ回折法、Coulter LS 230、ベックマン・クールタ社、アメリカ合衆国)。
【実施例7】
【0078】
実施例6に応じてブデソニドのエタノール溶液を調製し、この溶液の一部を、Micron LAB 40(APVホモジナイザシステムズ(Homogenizer Systems)社、ウンナ(Unna)、ドイツ)の貯液槽に直接配されていた蒸留水に添加した。ブデソニドが析出したが、エネルギ印加の遅延の効果を試験するために、この沈殿物(析出物)に対し、析出の2秒後に、均質化工程という形でエネルギを印加した。均質化サイクルは1500barで行った。レーザ回折法で求めた直径は、LD50%で2.651μm、LD90%で5.693μmであった(体積分布、レーザ回折法、Coulter LS 230、ベックマン・クールタ社、アメリカ合衆国)。
【実施例8】
【0079】
実施例5で調製した析出物をジェットストリームプロセスにかけ、実施例6に記載したように均質化を行った。測定された粒径は、LD50%で2.157μmであった。本発明の方法を使用すれば、実施例6に記載したように、(LD50%の直径)1.858μmが得られる。
【実施例9】
【0080】
医薬作用物質(活性物質)酢酸ヒドロコルチゾンを、本発明に従って、水性のポリマ溶液中で、高圧均質化によって微粒子化した。このため、水92.0gに対し、まず、1.0gの炭酸水素アンモニウムを添加し、この溶液に、5.0gのヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート55(HPMCP55)を溶解した。その際、二酸化炭素が放出された。次いで、炭酸水素アンモニウムを更に添加して、生成したポリマ溶液のpH値を7.5に調節した。この溶液に、1gのポロキサマ(Poloxamer)188を溶解し、1.0gのマイクロ微細化酢酸ヒドロコルチゾンをウルトラトゥラックス(ウルトラタラックス)(Ultra-Turrax)(ヤンケ・ウント・クンケル(Janke & Kunkel)社、ドイツ)によって9,500rpmで分散した。次いで、高圧ホモジナイザMicron LAB 40(APVホモジナイザズ(Homogenisers)社、ウンナ(Unna)、ドイツ)によって均質化した。最初に、150barで2サイクル実行し、次いで、500barで2サイクル実行し、その後、1500barで更に均質化した。室温(RT)及び圧力1500barで20回均質化サイクルを行った後、光子相関分光法(PCS)により、平均粒径951nm及び多分散指数(PI)0.216が得られた。
【実施例10】
【0081】
医薬作用物質(活性物質)酢酸ヒドロコルチゾンを、本発明に従って、水性のポリマ溶液中で、高圧均質化によって微粒子化した。このため、水91.5gに対し、まず、2.5gの炭酸水素アンモニウムを添加し、この溶液に、4.0gのユードラジット(Eudragit)S100(粉末状)を溶解した。その際、二酸化炭素が放出された。次いで、炭酸水素アンモニウムを更に添加して、生成したポリマ溶液のpH値を7.5に調節した。この溶液に、1.0gのポロキサマ188を溶解し、1.0gのマイクロ微細化酢酸ヒドロコルチゾンをウルトラトゥラックス(Ultra-Turrax)(ヤンケ・ウント・クンケル(Janke & Kunkel)社、ドイツ)によって9,500rpmで分散した。次いで、高圧ホモジナイザMicron LAB 40(APVホモジナイザズ(Homogenisers)社、ウンナ(Unna)、ドイツ)によって均質化した。最初に、150barで2サイクル実行し、次いで、500barで2サイクル実行し、その後、1500barで更に均質化した。室温(RT)及び圧力1500barで20回均質化サイクルを行った後、光子相関分光法(PCS)により、平均粒径787nm及び多分散指数(PI)0.273が得られた。
【実施例11】
【0082】
医薬作用物質(活性物質)オメプラゾル(Omeprazol)を、同様に本発明に従って、水性のポリマ溶液中で、高圧均質化によって微粒子化した。このため、水92.0gに対し、まず、1.0gの炭酸水素アンモニウムを添加し、この溶液に、5.0gのヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート55(HPMCP55)を溶解した。その際、二酸化炭素が放出された。次いで、炭酸水素アンモニウムを更に添加して、生成したポリマ溶液のpH値を7.5に調節した。この溶液に、1.0gのポロキサマ188を溶解し、1.0gのマイクロ微細化オメプラゾルをウルトラトゥラックス(Ultra-Turrax)(ヤンケ・ウント・クンケル(Janke & Kunkel)社、ドイツ)によって9,500rpmで分散した。次いで、高圧ホモジナイザMicron LAB 40(APVホモジナイザズ(Homogenisers)社、ウンナ(Unna)、ドイツ)によって均質化した。最初に、150barで2サイクル実行し、次いで、500barで2サイクル実行し、その後、1500barで更に均質化した。5℃及び圧力1500barで20回均質化サイクルを行った後、光子相関分光法(PCS)により、平均粒径945nm及び多分散指数(PI)0.289が得られた。
【実施例12】
【0083】
医薬作用物質(活性物質)オメプラゾルを、同様に本発明に従って、水性のポリマ溶液中で、高圧均質化によって粉砕した。このため、水91.5gに対し、まず、2.5gの炭酸水素アンモニウムを添加し、この溶液に、4.0gのユードラジット(Eudragit)S100(粉末状)を溶解した。その際、二酸化炭素が放出された。次いで、炭酸水素アンモニウムを更に添加して、生成したポリマ溶液のpH値を7.5に調節した。この溶液に、1.0gのポロキサマ188を溶解し、1.0gのマイクロ微細化オメプラゾルをウルトラトゥラックス(Ultra-Turrax)(ヤンケ・ウント・クンケル(Janke & Kunkel)社、ドイツ)によって9,500rpmで分散した。次いで、高圧ホモジナイザMicron LAB 40(APVホモジナイザズ(Homogenisers)社、ウンナ(Unna)、ドイツ)によって均質化した。最初に、150barで2サイクル実行し、次いで、500barで2サイクル実行し、その後、1500barで更に均質化した。5℃及び圧力1500barで20回均質化サイクルを行った後、光子相関分光法(PCS)により、平均粒径921nm及び多分散指数(PI)0.370が得られた。
【実施例13】
【0084】
実施例9で調製したサスペンションは、次いで、噴霧乾燥装置ミニスプレードライヤ(Mini Spray Dryer)モデル190(ビュッヒ(Buechi)社、スイス)によって噴霧乾燥した。噴霧乾燥条件は以下の通りであった:体積流量700L/min、ポンプ設定値:5、吸引:8、加熱速度:5、吸込口(インレット)温度:120℃、排出口(アウトレット)温度:55〜60℃。次いで、この方法で得られた粉末(パウダ)を光学顕微鏡によって検査した。倍率1000倍で、一様に丸い外観と、僅かに数個の凝集体と、1〜5μmの範囲の粒径が観察された。巨視的には(肉眼観察では)、良好な流動性を有するふわふわないしさらさらとした(locker)白色の粉末である。
【実施例14】
【0085】
酸性媒体中で放出の減少を検出するために、実施例13で調製した粉末を放出試験(Freisetzungstest)にかけた。このため、まず、該粉末を750mLの0.1N HCl中において37℃、1時間、50rpmで撹拌し、適切な時間間隔で0.2μmフィルタシリンジによってサンプリングした。次いで、薬剤含有量をHPLC装置を用いて求めた。最初の1時間以内では、薬剤の全含有量のうち20%のみが放出された。次いで、更に250mLのリン酸塩バッファを放出媒体に添加して、pH値を6.8に上昇した。このpH値の上昇により、胃液耐性(腸溶性)ポリマは所期通りに溶解した。リン酸バッファの添加後30分以内に、薬剤の残量の全てが放出された。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1A、1Bは、超音波ホモジナイザを使用した場合の本発明の種々の実施例であり、初期の流体平行流とその散逸領域での混合を示す。
【図2】ベルヌーイの原理に基づきピストン/ギャップ型ホモジナイザを用いた場合の本発明の一実施例のプロセス作用原理を示す。
【図3−A】ダブルピストン構成のピストン/ギャップ型ホモジナイザを使用した場合の本発明の実施例におけるシリンダ充填が開始された状態を示す。
【図3−B】ダブルピストン構成のピストン/ギャップ型ホモジナイザを使用した場合の本発明の実施例におけるシリンダ充填が完了した状態を示す。
【図3−C】ダブルピストン構成のピストン/ギャップ型ホモジナイザを使用した場合の本発明の実施例における均質化工程が開始された状態を示す。
【図4】図4A、4Bは、シングルピストン構成のピストン/ギャップ型ホモジナイザを使用した場合の本発明の種々の実施例であり、溶媒(S)の流れと非溶媒(NS)の流れを2本の平行パイプを介して平行にシリンダ中へ導く場合を示す。
【図5】ジェットストリーム型ホモジナイザを使用した場合の本発明の種々の実施例を示す。
【図6】ウェットグラインディングコロイドミルを使用した場合の本発明の一実施例であり、ロータ・ステータ構造へ溶媒(S)及び非溶媒(NS)の液流を供給する場合を示す。
【図7】希酸水素アンモニウムを用いてのポリマが可溶な領域(範囲)へのpHシフトを示す化学反応式を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超微細微粒子のサスペンションを製造するための方法において、
溶解された作用物質を含有する無粒子液体1の液流と、液体2の第2の液流が、高エネルギ領域において又は該高エネルギ領域に到達する早くとも2秒前に一緒に導かれること、
前記2つの液体は互いに混合可能であるが、液体1に溶解された作用物質は、液体2に不溶又は比較的僅か可溶であり、前記高エネルギ領域において又は前記高エネルギ領域に到達する前最大2秒以内において、前記2つの液体が混合される際に微粒子として析出すること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記高エネルギ領域は、ロータ/ステータ型コロイドミルのギャップ、超音波発振子の前方の超音波照射領域、ピストン/ギャップ型高圧ホモジナイザのギャップ又は高圧ホモジナイザの衝突領域であり、とりわけジェットストリーム型ホモジナイザのYチャンバ又はZチャンバであること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つの液流は、互いに対し平行に配向され、前記高エネルギ領域に到達する前は互いに混合されないこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記2つの液流は、当初は、互いに対し平行に配向され、前記高エネルギ領域に到達する前の距離xに亘って互いに接触しかつ互いに対し平行に流動すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの液流は、当初は、互いに対し平行に配向され、前記高エネルギ領域に到達する前の距離xに亘って互いに接触しかつ互いに対し平行に流動し、該高エネルギ領域に到達する前に、とりわけスタティックミキサによって、混合されること
を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの液流による前記高エネルギ領域への到達前の遅れ時間は、前記距離xの変更により、1〜100ms、100ないし500ms以下又は1s以下又は2s以下の範囲で延長可能であること
を特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
10μm未満、好ましくは4μm未満、より好ましくは1μm未満、とりわけ0.2μm(200nm)未満の平均粒径(レーザ回折法、直径50%)が得られること
を特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
3000nm未満、好ましくは500nm未満、とりわけ200nm未満、有利には120nm未満、とりわけ50ないし80nm未満の平均粒径(光子相関分光法(PCS)、z平均)が得られること
を特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の方法による微粒子サスペンションを製造する装置において、
パイプ(複数)を有し、該パイプ(複数)を介して、2つの液体が、平行な流れの形態で、高エネルギ領域に、とりわけコロイドミルのギャップ又は超音波発振子の超音波照射領域に供給されること
を特徴とする装置。
【請求項10】
パイプを有し、該パイプを介して、2つの液体が、平行な流れの形態で、超音波発振子の超音波照射領域に供給されること、
a)前記超音波照射領域に到達するまでの遅れ時間及びb)前記2つの流れの接触時間は、接触距離xの変化を介して変化可能であること
を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の装置において、
該装置は、高圧ホモジナイザであること、
前記2つの液体は、前記高エネルギ領域に到達する早くとも2秒前に又は前記高エネルギ領域において直接、一緒に供給されること
を特徴とする装置。
【請求項12】
2つのパイプを有し、該2つのパイプを介して、前記2つの液体は、1つのシリンダ内に2つの可動ピストンを有するピストン/ギャップ型(高圧)ホモジナイザの上部領域S(液体1)ないし下部領域NS(液体2)に供給されること、
前記2つの液体は、前記ピストンの運動によって、前記シリンダ内に吸入され、前記ピストンは、夫々、該ピストンの死点への到達後、互いに向かって運動し、前記2つの液体は、前記ホモジナイザのギャップを介して、押圧されること
を特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
2つのパイプを有し、該2つのパイプを介して、前記2つの液体は、予め混合されることなく、1つのピストンを有するピストン/ギャップ型高圧ホモジナイザに供給され、又は、前記2つの液体は、平行に流動し、該ホモジナイザのシリンダに到達する前に、互いに接触されること
を特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ピストン/ギャップ型(高圧)ホモジナイザのギャップに代り、ジェットストリーム型(高圧)ホモジナイザの衝突領域が代替され、前記液体1は、前記液体2が導かれるパイプの中央に導かれ、次いで、該2つの液体は、該ホモジナイザのチャンバのパイプシステムを介して、前記衝突領域に供給されること
を特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
微粒子をコーティングする方法において、
コーティングされるべき微粒子、とりわけ請求項1〜8の何れかの方法により製造された微粒子が、コーティング剤を溶解された形態で含有する分散媒中に分散され、該コーティング剤は、易揮発性成分によるpH値シフトによって、又は易揮発性成分との複合体形成、とりわけ塩形成によって溶解されること、このようにして調製された微粒子サスペンションは、次いで、上昇された温度において、乾燥プロセスにかけられること
を特徴とする方法。
【請求項16】
前記コーティング剤は、前記微粒子の放出特性を所望の態様で調節することが可能なポリマを含むか又は当該ポリマからなること
を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記微粒子サスペンションの乾燥は、噴霧乾燥器、流動床乾燥器、流動床造粒器、高剪断ミキサ、ドラムコータ又はロータ造粒器における前記微粒子サスペンションの噴霧によって行われること
を特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記噴霧乾燥は、ミニスプレードライヤB−190(ビュッヒ、スイス)によって、好ましくは吸入空気流温度が20℃〜200℃、好ましくは50℃〜150℃、とりわけ好ましくは80℃〜120℃で実行されること
を特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記乾燥は、乾燥ローラ乾燥器、薄膜真空乾燥器、又は前記微粒子サスペンションの前記分散媒の急速除去が可能な乾燥器若しくは乾燥方法によって実行されること
を特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥は、エマルジョン法によって、とりわけ溶媒蒸発法(Solvent-Evaporation)によって、場合によっては減圧下又は真空下においても、実行されること
を特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項21】
前記易揮発性成分は、重炭酸アンモニウム又はアンモニアであること
を特徴とする請求項15〜20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
凝集した微粒子を有する粉末又は分離した(ばらばらの)微粒子を有する粉末が生成され、該粉末は使用されるコーティング剤に依存する修正ないし制御された放出特性を有すること
を特徴とする請求項15〜21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
胃液耐性(腸溶性)でありかつ投与後pHに依存して溶解するコーティングされた微粒子が得られること
を特徴とする請求項15〜22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜9又は15〜23の何れか一項に記載の方法において、
得られた微粒子サスペンションは、直接的に又は前記分散媒から前記微粒子が分離された後、とりわけ医薬的及び化粧料的適用のための種々異なる形態で、好ましくは使用前の再構成のための錠剤及びカプセル、クリーム、軟膏又は粉末の形態(剤形)で使用されること
を特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1〜9又は15〜23の何れか一項に記載の方法において、
コーティングされた微粒子は、サスペンションの形態で直接的に、又は、凍結乾燥物からの再構成後、非経口的に使用されること
を特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1〜9又は15〜23の何れか一項に記載の方法において、
コーティングされた微粒子は、分離された(ばらばらの)粉末に加工され、ハード又はソフトゼラチンカプセルに充填され、錠剤、発泡錠剤(Brausetabletten)又は可融錠剤(Schmelztabletten)に加圧加工され、又は、ペレットに加工されること
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図3−C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−514821(P2009−514821A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538274(P2008−538274)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009930
【国際公開番号】WO2007/051520
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(504446630)アボット ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー (2)
【Fターム(参考)】