説明

極板積載装置

【課題】極板、セパレータ、またはセパレータで包装された極板などの蓄電用材料に係るワークを積載ステージ上に積層状態に安定良く積載することができる極板積載装置を提供する。
【解決手段】極板積載装置100は、各アライメントステージ111、121が平面方向に移動および/または回転することにより正極の極板Pおよび負極の極板Nを移動および/または回転させて適正な位置に調整したあと、第1移載アーム142および第2移載アーム143が当該各極板P、Nを保持する。これによれば、各移載アーム142、143による各極板P、Nの保持前に各極板P、Nを適正な位置に調整するため各移載アーム142、143による各極板P、Nの移送過程や積載過程において各極板P、Nの位置を調整することなく、各極板P、Nを積載ステージ130上に積層状態に安定良く積載することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極板、セパレータ、またはセパレータで包装された極板などの蓄電用材料に係るワークを積載ステージに順次積載する極板積載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、自動車用電池、太陽電池、電子機器用電池など各種電池において、積層型電池が使用されるようになっている。この積層型電池は、正極の極板、セパレータ、負極の極板、セパレータ・・・の順で交互に積層状態に積載されて構成される。このような積層型電池の製造において、各極板およびセパレータを所定の順で積層状態に積載する技術が従来より知られており、例えば、下記特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
この特許文献1〜3の装置においては、移載アームが、アライメントステージに載置された正極の極板、負極の極板あるいはセパレータを保持し、前記積載ステージに移送したあと、前記積載ステージ上に積層状態に積載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−102871号公報
【特許文献2】WO2008/139561号公報
【特許文献3】特開平4−101366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、積層後の積層型電池の品質を維持するためには、正極の極板、負極の極板あるいはセパレータの平面方向の位置が揃っていなければならない。特許文献1〜3の装置では、主に移載アームがワークを積層ステージに積載するとき、あるいは積層したあとに正極の極板、負極の極板あるいはセパレータの平面方向の位置を調整しており、積載ステージ上に積層状態に安定良く積載することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、極板、セパレータ、またはセパレータで包装された極板などの蓄電用材料に係るワークを積載ステージ上に積層状態に安定良く積載することができる極板積載装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、極板、セパレータ、またはセパレータで包装された極板などの蓄電用材料に係るワークを積載ステージに順次積載する極板積載装置であって、ワークが載置されるアライメントステージと、ワークが積層状態に積載される積載ステージと、前記アライメントステージに載置されたワークを保持し、前記積載ステージに移送したあと、前記積載ステージ上に積層状態に積載する移載アームとを備え、前記アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することによりワークを適正な位置に設定したあと、前記移載アームが当該ワークを保持することを特徴とする。
【0008】
これによればアライメントステージが、移載アームによるワークの保持前にワークを適正な位置に設定するため、移載アームによるワークの移送過程や積載過程においてワークの位置を設定する必要がなくなり、ワークを積載ステージ上に積層状態に安定良く積載することができる。
【0009】
また、前記アライメントステージに載置されたワークの平面方向の位置を認識するワーク認識装置を備え、前記ワーク認識装置により認識したワークの平面方向の位置に基づいて、前記アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することによりワークを適正な位置に設定するのが好ましい。これによればワーク認識装置がワークの平面方向の位置を認識するため、アライメントステージがワークを適正な位置に精度良く設定することができる。
【0010】
また、前記アライメントステージに載置されたワークを撮影する撮影装置を備え、前記ワーク認識装置は、前記撮影装置により撮影されたワークの撮影データに基づいてワークの平面方向の位置を認識するのが好ましい。これによれば撮影装置がワークを撮影するため、ワーク認識装置がワークの平面方向の位置を認識し易くなる。
【0011】
また、前記アライメントステージに載置されたワークに光を照射する照明装置を備え、前記撮影装置は、前記照明装置により光を照射されたワークを撮影するのが好ましい。これによれば照明装置がワークに光を照射することによりワークの縁部が明確になるため、ワーク認識装置がワークの平面方向の位置をより一層認識し易くなる。しかもワークにしわ、折れ、割れあるいは欠けが存在する場合、光の照射によりそれらが明確になるため、ワーク認識装置がそれらを認識し易くなる。
【0012】
また、前記アライメントステージは少なくとも一部が光透過板となされ、前記照明装置がワークの表面側または裏面側のいずれか一方面側に配置されるとともに、前記撮影装置がワークの他方面側に配置されるのが好ましい。これによれば照明装置がワークの一方面に光を照射したとき、撮影装置が他方面側からワークを撮影することができる。しかも、照明装置と撮影装置がワークを介して対向する態様に配置されるため、装置構成の自由度が高くなる。
【0013】
また、前記アライメントステージは、ワークを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向の両側に設けられた光透過板とを備えるのが好ましい。これによればアライメントステージは搬送部を備えるため、ワークをアライメントステージ上においても搬送することができる。また、アライメントステージは光透過板を備えるため、撮影装置が光透過板を通じてワークの両側部を撮影することができる。
【0014】
また、前記アライメントステージに載置されるワークは、透光性のセパレータで包装された極板となされ、前記照明装置が、前記アライメントステージに載置されたワークの一方面に前記アライメントステージを通じて光を照射したときに、前記撮影装置が、ワークの内側の極板の影を撮影するるのが好ましい。これによれば極板があらかじめセパレータで包装された場合であっても、ワーク認識装置がワークの内側の極板の平面方向の位置を認識することができる。
【0015】
また、前記照明装置が前記アライメントステージに載置されたワークの一方面に前記アライメントステージを通じて光を照射したときに、前記撮影装置がワークの内側の極板の影を撮影するとともに、前記撮影装置がワークの外側のセパレータを撮影するのが好ましい。これによればワーク認識装置は、撮影装置により撮影されたワークの内側の極板の影の撮影データに基づいて、ワークの内側の極板の平面方向の位置を認識することができる。また、ワーク認識装置は、撮影装置により撮影されたワークの外側のセパレータの撮影データに基づいて、ワークの外側のセパレータの平面方向の位置を認識することができる。なお、ワーク認識装置は、上記のワークの内側の極板の平面方向の位置をワーク全体の位置と認識してもよいし、あるいはワークの外側のセパレータの平面方向の位置をワーク全体の位置と認識してもよい。
【0016】
また、前記アライメントステージに載置されたワークの他方面に光を照射する第2照明装置を備え、前記第2照明装置が前記アライメントステージに載置されたワークの他方面に光を照射したときに、前記撮影装置がワークの外側のセパレータを撮影するのが好ましい。これによれば第2照明装置がワークの他方面に光を照射することにより、ワークの外側のセパレータの縁部が明確になるため、ワーク認識装置がワークの外側のセパレータの平面方向の位置をより一層認識し易くなる。しかもワークにしわ、折れ、割れあるいは欠けが存在する場合、光の照射によりそれらが明確になるため、ワーク認識装置がそれらを認識し易くなる。
【0017】
また、前記ワーク認識装置により認識されたワークの内側の極板の平面方向の位置と、ワークの外側のセパレータの平面方向の位置とに基づいて、ワークにおける極板とセパレータが互いに所定範囲以上ずれている場合に不良品と判断するのが好ましい。これによれば不良品判断装置は、ワークの不良品を簡単かつ確実に判断することができる。また、不良品判断装置は、さらにワークのしわ、折れ、割れ、欠け、あるいはサイズ違いが存在している場合にも不良品であると判断してもよい。
【0018】
また、ワークは排出される排出シューターを備え、前記不良品判断装置によりワークが不良品であると判断された場合、当該ワークが前記排出シューターに排出されるのが好ましい。これによればワークの不良品が積層前の早期の段階で排出されるため、より品質の高い極板積層群(電池セル)を効率良く形成することができる。
【0019】
また、前記照明装置によりワークの一方面側から照射される光を遮蔽する遮光板を備えるのが好ましい。これによればワーク認識装置が照明装置を使用してワークの平面方向の位置を認識したあと、遮光板が照明装置の光を遮蔽することにより、照明装置による逆光状態を解消することができる。また、照明装置は白色系で形成され、かつセパレータも白色系であることが多いことからセパレータを撮影しにくい場合があるが、特に黒色の遮光板で該照明装置を遮蔽すればセパレータの縁部が明確になって、セパレータを撮影し易くなる。
【0020】
また、前記アライメントステージは、搬送装置により一枚ずつ搬送されてきたワークが順次載置されるのが好ましい。これによれば搬送装置によるワークの搬送、アライメントステージへの載置、移載アームによる積載ステージへの移載を連続して行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る極板積載用アライメント装置は、請求項1から請求項13に記載の極板積載装置に用いられる極板積載用アライメント装置であって、アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することによりワークを適正な位置に設定することを特徴とする。これによればアライメントステージが、移載アームによるワークの保持前にワークを適正な位置に設定するため、移載アームによるワークの移送過程や積載過程においてワークの位置を設定する必要がなくなり、移載ワークを積載ステージ上に積層状態に安定良く積載することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アライメントステージが、移載アームによるワークの保持前にワークを適正な位置に設定するため、移載アームによるワークの移送過程や積載過程においてワークの位置を設定する必要がなくなり、ワークを積載ステージ上に積層状態に安定良く積載することができる。
また、ワークの平面方向の位置の設定を、移載アームではなく、アライメントステージ上で行うため、移載アームの構造がシンプルかつ軽量になり、移載アームを効率良く駆動させることができる。
また、アライメントステージ上で移送前にワークの平面方向の位置を設定することにより、その後に積層された積層ステージ上でワークの位置決めを行うために、ワークの両側または片側からプレート等でワークを押し付けたり、整列させる必要がない。このため該プレート等により薄いフィルム状のセパレータなどのワークが破損することを防止できる。
また、蓄電用材料のワークにおける極板でサイズが異なっている場合、一方の大きな極板の内側に対して、他方の小さな極板を四隅に均等な間隔を空けて積載することができる。
以上より、各ワークが所定位置に配置された品質の高い極板積層群(電池セル)を形成することができ、ひいては品質の高い電池を効率的に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】極板積載装置を含む極板積載システムの構成概略図である。
【図2】極板積載装置の斜視図である。
【図3】図2の極板積載装置のIII−III線断面矢視図である。
【図4】極板積載装置における(a)第1状態を示す平面図であり、(b)第2状態を示す平面図である。
【図5】正極用アライメント部の平面図である。
【図6】正極用アライメント部の正面図である。
【図7】正極用アライメント部の下側照明装置及び遮光板の平面図である。
【図8】正極用又は負極用ステージ駆動装置の平面図である。
【図9】負極用アライメント部の平面図である。
【図10】負極用アライメント部の正面図である。
【図11】極板積載装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】極板積載装置の正極用アライメント部側の動作を示すフローチャートである。
【図13】極板積載装置の負極用アライメント部側の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る極板積載装置(以下、本装置100という)について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1は、本装置100を含む極板積載システムの構成概略図である。
【0026】
本システムは、本装置100と、本装置100の右側に配置された第1搬送装置200と、本装置100の左側に配置された第2搬送装置300と、本装置100の正面側に配置された第3搬送装置400を備える。すなわち、本装置100の周囲において、第1搬送装置200、第2搬送装置300および第3搬送装置400が、第1、第3、第2の順で90度の角度で配置されている。
【0027】
前記第1搬送装置200は、図1に示すように、セパレータSで包装された正極の極板Pを連続して一枚ずつ搬送するベルトコンベアであり、正極の極板Pを本装置100に順次搬送する。
【0028】
前記第2搬送装置300は、図1に示すように、負極の極板Nを連続して一枚ずつ搬送するベルトコンベアであり、負極の極板Nを本装置100に順次搬送する。
【0029】
前記第3搬送装置400は、図1に示すように、セパレータSで包装された正極の極板Pおよび負極の極板Nが所定枚数積載されてなる極板積層群Gを別工程に搬送するベルトコンベアであり、本装置100が形成した極板積層群Gを順次別工程に搬送する。
【0030】
本装置100は、前記第1搬送装置200から搬送されてきたセパレータSで包装された正極の極板Pと、前記第2搬送装置300から搬送されてきた負極の極板Nとを交互に順次積載して、正極の極板Pおよび負極の極板NをセパレータSを介して積層状態に積載した極板積層群Gを形成し、当該極板積層群Gを前記第3搬送装置400に順次送り出す。
【0031】
而して、本システムが上記の工程を繰り返して行うことにより、積層型電池に用いられる極板積層群Gを順次形成していく。このように正極の極板Pが既にセパレータSで包装されているため、それと裸の状態の負極の極板Nを交互に積載するだけで、簡単に所定枚数の極板積層群Gを形成することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、前記正極の極板Pとして、例えばアルミニウム箔の両面にコバルト酸リチウム等の溶液を塗布したものが用いられる。この正極の極板Pは光を遮蔽する性質(遮光性)を有している。また、以下の説明においては、正極の極板PをセパレータSで包装したもの全体を「包装型の正極の極板P’」という。
【0033】
また、前記負極の極板Nとして、例えば銅箔の両面に炭素材料等の溶液を塗布したものが用いられる。この負極の極板Nは光を遮蔽する性質(遮光性)を有している。
【0034】
また、セパレータSとしては、例えばPP(ポリプロピレン樹脂)やPE(ポリエチレン樹脂)などの絶縁フィルムが用いられる。このセパレータSは光を透過する性質(透光性)を有している。
【0035】
本装置100は、図2に示すように、第1搬送装置200から搬送された包装型の正極の極板P’が載置される正極用アライメント部110と、第2搬送装置300から搬送された負極の極板Nが載置される負極用アライメント部120と、包装型の正極の極板P’および負極の極板Nが積層状態に積載される積載部130と、正極用アライメント部110および負極用アライメント部120に載置された包装型の正極の極板P’および負極の極板Nを交互に順次保持し、積載部130に移送したあと、積載部130上に積層状態に積載する移載アーム部140とを備える。
【0036】
前記正極用アライメント部110は、図3に示すように、第1搬送装置200から搬送されてきた包装型の正極の極板P’が載置される正極用アライメントステージ111と正極用アライメントステージ111の上方に設けられた正極用カメラ112と、正極用アライメントステージ111の上方に設けられた正極用上側照明装置113と、正極用アライメントステージ111の下方に設けられた正極用下側照明装置114と、正極用アライメントステージ111を平面方向に移動および/または回転させる正極用ステージ駆動装置115と、不良品の包装型の正極の極板P’が排出される排出シューター116とを備えている。
【0037】
前記正極用アライメントステージ111は、図5に示すように、第1搬送装置200から搬送された包装型の正極の極板P’をさらに搬送する搬送部111aと、該搬送部111aの搬送方向の両側に設けられた光透過板111bとを備えている。
【0038】
前記搬送部111aは、第1搬送装置200における搬送方向の終端側に隣接し、第1搬送装置200と略同一の高さに設けられた無端状のベルトコンベアである。これにより搬送部111aは、第1搬送装置200から搬送されてきた包装型の正極の極板P’をスムーズに受け取って、後述する正極用カメラ112の撮影する位置まで搬送する。また、包装型の正極の極板P’が不良品である場合、搬送部111aは当該包装型の正極の極板P’をそのまま搬送して、正極用ガイド部材117に沿って正極用排出シューター116に落下せしめて排出する。なお、搬送部111aは、制御部500の命令に従って図示略の駆動モータにより作動する。
【0039】
前記光透過板111bは、搬送部111aの搬送方向の両側において水平状態に設けられた一対の透光性の板状部材である。この光透過板111bの材質としては、例えばガラス板あるいはアクリル板などが挙げられる。包装型の正極の極板P’は、少なくとも両側縁部がそれぞれ両側の光透過板111bに覆い被さるように配置される。なお、光透過板は多孔板に形成され、その多数の孔から光を透過させてもよい。
【0040】
前記正極用上側照明装置113は、図3および図6に示すように、正極用アライメントステージ111の上方から正極用アライメントステージ111上に載置された包装型の正極の極板P’の表面に光を照射する。この正極用上側照明装置113は2つの光源を有しており、図6に示すように、各々が搬送部111aの両側に位置する光透過板111bの略真上から搬送経路の中心側に向かう態様で包装型の正極の極板P’の表面を照射する。このため、正極用上側照明装置113が、正極用アライメントステージ111に載置された包装型の正極の極板P’の表面に光を照射したとき、包装型の正極の極板P’の外側のセパレータSの縁部を明確にすることができる。
【0041】
また、正極用上側照明装置113における2つの光源が照射する光の方向が包装型の正極の極板P’に対して傾斜しているため、セパレータSにしわ、折れ、割れあるいは欠けが存在する場合、光の照射によりそれらが明確になるため、ワーク認識部510がそれらを認識し易くなる。
【0042】
なお、本実施形態では、正極用上側照明装置113は常に光を照射している状態である。
【0043】
前記正極用下側照明装置114は、図3および図7に示すように、正極用アライメントステージ111の下方から正極用アライメントステージ111上に載置された包装型の正極の極板P’の裏面に光を照射する。この正極用下側照明装置114は、正極用アライメントステージ111上の所定位置に載置された包装型の正極の極板P’の角部に略対応する4箇所に設けられ、正極の極板Pの縁部を広範囲に照射するようになっている。
【0044】
また、上述のように正極の極板Pおよび負極の極板Nは遮光性を有しており、セパレータSは透光性を有している。このため、正極用下側照明装置114が、正極用アライメントステージ111に載置された包装型の正極の極板P’の裏面に光を照射すると、その光は正極用アライメントステージ111の光透過板111bを透過する。そして、図5の斜線部分に示すように、光透過板111bを透過した光は、正極の極板Pが存在している部分では遮蔽され、正極の極板Pが存在していないセパレータSのみの部分では透過し、これにより内側の正極の極板Pの影が視認可能な状態で生じることになる。
【0045】
なお、本実施形態では、正極用下側照明装置114は常に照射している状態である。
【0046】
前記正極用カメラ112は、図3および図6に示すように、正極用アライメントステージ111の上方から包装型の正極の極板P’を撮影する。すなわち、前記正極用上側照明装置113が包装型の正極の極板P’の表面に光を照射したとき、前記正極用カメラ112が、光の反射を利用して外側のセパレータSを撮影する。一方、前記正極用下側照明装置114が包装型の正極の極板P’の裏面に光を照射したとき、前記正極用カメラ112は、光の遮蔽および透過を利用して内側の正極の極板Pの影を撮影する。なお、このとき正極用カメラ112は、外側のセパレータSの状態や内側の正極の極板Pの状態(例えば、しわ、折れ、割れ、欠けなど)も撮影している。この正極用カメラ112により撮影された包装型の正極の極板P’に関する撮影データは、後述の制御部500に送信される。
【0047】
前記正極用アライメントステージ111と前記正極用下側照明装置114の間には、図3、6、7に示すように、遮光板118が設けられている。この遮光板118は、搬送方向の両側において水平状態に設けられた一対の板状部材であり、互いに近接離間方向(図3および図7に示す矢印方向)にスライドして、正極用下側照明装置114が正極の極板Pの裏面に照射する光を遮蔽する。従って、遮光板118が互いに離間方向にスライドして「開状態」(図7の点線)となった場合、正極用下側照明装置114が正極用アライメントステージ111に載置された包装型の正極の極板P’の裏面を照射することができる。一方、遮光板118が互いに近接方向にスライドして「閉状態」となった場合(図7の実線)、正極用下側照明装置114が正極の極板Pの裏面に照射する光を遮蔽し、正極用下側照明装置114による逆光状態が解消されるため、正極用カメラ112が包装型の正極の極板P’のセパレータSを撮影し易くなる。また、正極用下側照明装置114は白色系で形成され、かつセパレータSも白色系であることが多いことからセパレータSを撮影しにくい場合があるが(特に正極用上側照明装置113の照射により正極用下側照明装置114が反射して撮影しにくくなる)、特に黒色の遮光板118で正極用下側照明装置114を遮蔽すればセパレータSの縁部が明確になって、セパレータSを撮影し易くなる。なお、遮光板118は、後述の制御部500により開閉状態が制御される。
【0048】
前記正極用ステージ駆動装置115は、正極用アライメントステージ111の下方に設けられ、正極用アライメントステージ111を平面方向に移動および/または回転させるものである。この正極用ステージ駆動装置115は、図8に示すように、4つの角部のうちの3つの角部に設けられた3つのサーボモータ115a〜115cと、該3つのサーボモータ115a〜115cに接続され、該3つのサーボモータ115a〜115cの駆動力により平面方向に移動および/または回転するトップテーブル115dとを備えている。
【0049】
3つのサーボモータ115a〜115cは、2つに囲まれている第1サーボモータ115a、第1サーボモータ115aの反時計方向側に位置する第2サーボモータ115b、第1サーボモータ115aの時計方向側に位置する第3サーボモータ115cとからなる。第1サーボモータ115aおよび第2サーボモータ115bは同一方向に駆動力を生じさせ、第3サーボモータ115cは第1サーボモータ115aおよび第2サーボモータ115bに対して直交する方向に駆動力を生じさせる。これら3つの駆動力を組み合わせることにより、トップテーブル115dを平面方向にX方向およびY方向に移動させたり、トップテーブル115dに直交する軸回りのθ方向に回転させる。
【0050】
トップテーブル115dは、上記サーボモータ115a〜115cの駆動力による移動および回転を正極用アライメントステージ111に伝達可能な状態で接続されている。これにより正極用ステージ駆動装置115が平面方向に移動および/または回転すると、正極用アライメントステージ111が平面方向に移動および/または回転するため、正極用アライメントステージ111上に載置された包装型の正極の極板P’の平面方向の位置を設定することができる。
【0051】
前記正極用排出シューター116は、正極用アライメントステージ111の搬送方向の終端側に設けられている。後述するように包装型の正極の極板P’が不良品であると判断された場合、正極用アライメントステージ111の搬送部111aが当該正極の極板Pをそのまま搬送して、正極用ガイド部材117に沿って正極用排出シューター116に落下せしめて排出する。
【0052】
前記負極用アライメント部120は、図3に示すように、第2搬送装置300から搬送されてきた裸の負極の極板Nが載置される負極用アライメントステージ121と、負極用アライメントステージ121の上方に設けられた負極用カメラ122と、負極用アライメントステージ121の上方に設けられた負極用上側照明装置123と、負極用アライメントステージ121を平面方向に移動および/または回転させる負極用ステージ駆動装置125と、不良品の負極の極板Nが排出される負極用排出シューター126とを備えている。
【0053】
前記負極用アライメントステージ121は、図9に示すように、第2搬送装置300から搬送された負極の極板Nをさらに搬送する搬送部121aを備える。この搬送部121aは、第2搬送装300における搬送方向の終端側に隣接し、第2搬送装置300と略同一の高さに設けられた無端状のベルトコンベアである。これにより搬送部121aは、第2搬送装置300から搬送されてきた負極の極板Nをスムーズに受け取って、後述する負極用カメラ122の撮影する位置まで搬送する。また、負極の極板Nが不良品である場合、搬送部121aは当該負極の極板Nをそのまま搬送して、負極用ガイド部材127に沿って負極用排出シューター126に落下せしめて排出する。なお、搬送部121aは、制御部500の命令に従って図示略の駆動モータにより作動する。
【0054】
前記負極用上側照明装置123は、図3および図10に示すように、負極用アライメントステージ121の上方から負極の極板Nの表面を撮影する。この負極用上側照明装置123は2つの光源を有しており、図10に示すように、各々が搬送部121aの両側部の略真上から搬送経路の中心側に向かう態様で負極の極板Nの表面を照射する。このため、負極用上側照明装置123が、負極用アライメントステージ121に載置された負極の極板Nの表面に光を照射したとき、負極の極板Nの縁部を明確にすることができる。
【0055】
また、負極用上側照明装置123における2つの光源が照射する光の方向が負極の極板Nに対して傾斜しているため、負極の極板Nにしわ、折れ、割れあるいは欠けが存在する場合、光の照射によりそれらが明確になるため、ワーク認識部510がそれらを認識し易くなる。
【0056】
なお、本実施形態では、負極用上側照明装置123は常に光を照射している状態である。
【0057】
前記負極用カメラ122は、図3および図10に示すように、負極用アライメントステージ121の上方から負極の極板Nを撮影する。すなわち、前記負極用上側照明装置123が負極の極板Nの表面に光を照射したとき、前記負極用カメラ122は、光の反射を利用して負極の極板Nを撮影する。なお、このとき負極用カメラ122は、負極の極板Nの状態(例えば、負極の極板Nの縁部または表面のしわ、折れ、割れ、欠けなど)も撮影している。この負極用カメラ122により撮影された負極の極板Nに関する撮影データは、後述の制御部500に送信される。
【0058】
前記負極用ステージ駆動装置125は、負極用アライメントステージ121の下方に設けられ、負極用アライメントステージ121を平面方向に移動および/または回転させるものである。負極用ステージ駆動装置125により負極用アライメントステージ121が平面方向に移動および/または回転することにより、負極用アライメントステージ121に載置された負極の極板Nも平面方向に移動および/または回転するため、負極の極板Nの平面方向の位置を設定することができる。なお、この負極用ステージ駆動装置125は、正極用ステージ駆動装置115と同一構成を有しているため、その構造の説明を省略する。
【0059】
前記負極用排出シューター126は、負極用アライメントステージ121の搬送方向の終端側に設けられている。後述するように負極の極板Nが不良品であると判断された場合、負極用アライメントステージ121の搬送部121aが当該負極の極板Nをそのまま搬送して、ガイド部材127に沿って負極用排出シューター126に落下せしめて排出する。
【0060】
前記積載部130は、図2に示すように、包装型の正極の極板P’と負極の極板Nが交互に積層状態に積載される積載ステージ131と、積載ステージ131の上方に設けられた検知センサ132とを備えてなる。
【0061】
前記積載ステージ131は、所定枚数積載された極板積層群Gを搬送する搬送部131aを備える。この搬送部131aは、第3搬送装置400における搬送方向の始端側に隣接し、第3搬送装置400と略同一の高さに設けられている。積載ステージ131では、移載アーム部140により移送されてきた正極の極板Pと負極の極板Nが交互に積層状態に積載されることにより、正極の極板Pと負極の極板NがセパレータSを介して積層状態となった極板積層群Gが形成される。所定枚数の正極の極板Pと負極の極板Nとなった極板積層群Gは第3搬送装置400により順次搬送されていく。この第3搬送装置400は、制御部500の命令に従って図示略の駆動モータにより作動する。
【0062】
前記検知センサ132は、積載ステージ131上に積層状態に積載された最上層の包装型の正極の極板P’または負極の極板Nの高さ位置を検知する。具体的には、検知センサ132は、積載ステージ131上に積載された最上層の包装型の正極の極板P’または負極の極板Nにレーザ光を照射し、該レーザ光の照射光の反射光を受信して距離を検知することにより行う。ここにおいて、検知センサ132が検知した最上層の包装型の正極の極板P’または負極の極板Nの高さ位置は、データとして後述の制御部500に送信される。なお、ここにおける「最上層の正極の極板Pまたは負極の極板Nの高さ」とは、積載ステージ131の載置面から積載ステージ131上に積載された最上層の包装型の正極の極板P’または負極の極板Nの表面までの高さのことである。
【0063】
前記積載アーム部140は、図2に示すように、装置中心に垂直に立設された回転軸141と、該回転軸141の周面に設けられた第1移載アーム142および第2移載アーム143とを備えてなる。
【0064】
前記回転軸141は、図示略の回転軸用駆動モータにより90度の角度で揺動回転し、それに伴って回転軸141の揺動回転に追随する態様で第1移載アーム142および第2移載アーム143を揺動回転させ、包装型の正極の極板P’または負極の極板Nを正極用アライメント部110または負極用アライメント部120から積載部130まで移送させる。
【0065】
この回転軸141が、図4(a)に示すように、反時計方向に向かって一杯に回転した状態(第1状態)であるとき、第1移載アーム142が第1アライメント部110の正極用アライメントステージ111の上方に位置し、かつ第2移載アーム143が積載部130の積載ステージ131の上方に位置する。一方、回転軸141が、図4(b)に示すように、回転軸141を時計方向に向かって一杯に回転した状態(第2状態)であるとき、第1移載アーム142が積載ステージ131の上方に位置し、かつ第2移載アーム143が負極用アライメント部120の負極用アライメントステージ121の上方に位置する。
【0066】
また、回転軸141の周面には、90度の角度で接続口141aが設けられている。第1移載アーム142および第2移載アーム143は、該接続口141aを介して回転軸141内部に設けられる図示略の第1移載アーム142用駆動モータおよび第2移載アーム143用駆動モータに伝達機構を介して接続されることにより個別に動作する。
【0067】
前記第1移載アーム142および第2移載アーム143は、互いに90度の角度で、かつ回転軸141から直交して延びる態様で回転軸141に接続されている。このため、第1移載アーム142および第2移載アーム143は、回転軸141の揺動回転に追随して水平方向に揺動回動し得る。すなわち、回転軸141が第1状態から第2状態に90度回転したとき、第1移載アーム142が正極用アライメントステージ111の上方位置から積載ステージ131の上方位置まで移動すると同時に、第2移載アーム143が積載ステージ131の上方位置から負極用アライメントステージ121の上方位置に移動する。また、回転軸141が第2状態から第2状態に回転したとき、第2移載アーム143が負極用アライメントステージ121の上方位置から積載ステージ131の上方位置まで移動すると同時に、第1移載アーム142が積載ステージ131の上方位置から正極用アライメントステージ111の上方位置に移動する。
【0068】
第1移載アーム142は、回転軸141の径方向先端部において正極用アライメントステージ111の上面と対向するように設けられた第1吸着ヘッド142aを備えている。この第1吸着ヘッド142aにより、正極用アライメントステージ111に載置された包装型の正極の極板P’を吸着させて保持する。また、第1吸着ヘッド142aは、図示略の空気吸引装置の吸引が停止することにより吸引力を失って、包装型の正極の極板P’の保持を解除して積載部130の積載ステージ131に積載する。なお、第2移載アーム143は、第1移載アーム142と同一の構造を有しているため、その説明を省略する。
【0069】
而して、前記第1移載アーム142または第2移載アーム143は、正極用アライメントステージ111または負極用アライメントステージ121に載置された包装型の正極の極板P’または負極の極板Nを吸着保持し、積載部130のステージ131まで移送したあと、積載部130の積載ステージ131上に積層状態に積載することを交互に繰り返すことにより、積載ステージ131上に正極の極板Pと負極の極板NをセパレータSを介して積層状態にした極板積層群Gを形成する。
【0070】
図11は、本装置100の電気的構成を示すブロック図である。
【0071】
本装置100において、制御部500は、正極用カメラ112、負極用カメラ122と、検知センサ132、正極用ステージ駆動装置115、負極用ステージ駆動装置125、遮光板118、移載アーム部140(回転軸141、第1移載アーム142、第2移載アーム143)と電気的に接続されるともに、その他、第1搬送装置200、第2搬送装置300、第3搬送装置400、移載アーム部140などとも電気的に接続されている。
【0072】
よって、制御部500は、正極用カメラ112、負極用カメラ122または検知センサ132に基づいて、正極用ステージ駆動装置115、負極用ステージ駆動装置125、遮光板118、移載アーム部140、その他の各種装置を制御するようになっている。
【0073】
また、制御部500は、包装型の正極の極板P’および負極の極板Nの平面方向の位置を認識するワーク認識部510を備えている。
【0074】
このワーク認識部510は、正極用カメラ112により撮影された包装型の正極の極板P’に関する撮影データに基づいて、内側の正極の極板Pや外側のセパレータSの平面方向の位置を認識する。
【0075】
具体的には、前記正極用下側照明装置114が包装型の正極の極板P’の裏面に光を照射したとき、前記正極用カメラ112は、光の遮蔽および透過を利用して内側の正極の極板Pの影を撮影するため、正極の極板Pの影の撮影データに基づいてワーク認識部510が正極の極板Pの平面方向の位置を認識する。そして、本実施形態では、この内側の正極の極板Pの平面方向の位置が包装型の正極の極板P’全体の位置となされており、制御部500は当該内側の正極の極板Pの平面方向の位置に基づいて正極用ステージ駆動装置115を制御する。これにより正極用ステージ駆動装置115が平面方向に移動および/または回転すると、正極用アライメントステージ111が平面方向に移動および/または回転するため、正極用アライメントステージ111上に載置された包装型の正極の極板P’の平面方向の位置を設定することができる。
【0076】
また、前記正極用上側照明装置113が包装型の正極の極板P’の表面に光を照射したとき、前記正極用カメラ112は、光の反射を利用して外側のセパレータSを撮影するため、セパレータSの撮影データに基づいてワーク認識部510が外側のセパレータSの平面方向の位置を認識する。
【0077】
また、このとき正極用カメラ112は、セパレータSの状態や正極の極板Pの状態(例えば、しわ、折れ、割れ、欠けなど)も撮影しているため、ワーク認識部510がセパレータSや正極の極板Pの撮影データに基づいてセパレータSの状態や正極の極板Pの状態も認識する。
【0078】
なお、上述の外側のセパレータSの平面方向の位置、内側の正極の極板Pの平面方向の位置、および外側のセパレータSの状態は、後述の不良品判断部520で使用される。
【0079】
一方、ワーク認識部510は、負極用カメラ122により撮影された負極の極板Nに関する撮影データに基づいて、負極の極板Nの平面方向の位置を認識する。
【0080】
具体的には、前記負極用上側照明装置123が負極の極板Nの表面に光を照射したとき、前記負極用カメラ122は、光の反射を利用して負極の極板Nを撮影するため、負極の極板Nの撮影データに基づいてワーク認識部510が負極の極板Nの平面方向の位置を認識する。そして、制御部500は、当該負極の極板Nの平面方向の位置に基づいて負極用ステージ駆動装置125を制御する。これにより負極用ステージ駆動装置125が平面方向に移動および/または回転すると、負極用アライメントステージ121が平面方向に移動および/または回転するため、負極用アライメントステージ121上に載置された負極の極板Nの平面方向の位置を設定することができる。
【0081】
また、このとき負極用カメラ122は、負極の極板Nの状態(例えば、しわ、折れ、割れ、欠けなど)も撮影しているため、負極の極板Nの撮影データに基づいてワーク認識部510が負極の極板Nの状態も認識する。
【0082】
なお、負極の極板Nの状態は、後述の不良品判断部520で使用される。
【0083】
また、制御部500は、包装型の正極の極板P’と負極の極板Nが不良品であるか否かを判断する不良品判断部520を備える。
【0084】
この不良品判断部520は、前記ワーク認識部510により認識された内側の正極の極板Pの平面方向の位置と、外側のセパレータSの平面方向の位置とに基づいて、内側の正極の極板Pと外側のセパレータSが所定範囲以上ずれている場合に不良品であると判断する。
【0085】
また、不良品判断部520は、前記ワーク認識部510により認識されたセパレータSの状態や正極の極板Pの状態に基づいて、セパレータSや正極の極板Pにしわ、折れ、割れ、欠けあるいはサイズ違いが生じている場合にも不良品であると判断する。
【0086】
このように不良品判断部520が包装型の正極の極板P’が不良品であると判断した場合、制御部500が正極用アライメントステージ111の搬送部111aを制御する。これにより正極用アライメントステージ111の搬送部111aが当該包装型の正極の極板P’をそのまま搬送して、正極用ガイド部材117に沿って正極用排出シューター116に落下せしめて排出する。
【0087】
一方、この不良品判断部520は、前記ワーク認識部510により認識された負極の極板Nの状態に基づいて、負極の極板Nにしわ、折れ、割れ、欠けあるいはサイズ違いが生じている場合に不良品であると判断する。
【0088】
このように不良品判断部520が負極の極板Nが不良品であると判断した場合、制御部500が負極用アライメントステージ121の搬送部121aを制御する。これにより負極用アライメントステージ121の搬送部121aが当該負極の極板Nをそのまま搬送して、負極用ガイド部材127に沿って負極用排出シューター126に落下せしめて排出する。
【0089】
次に、本装置100の動作について説明する。なお、以下の説明において、「ステップ」を「S」と略記する。
【0090】
まず、正極用アライメント部110側の動作について図12を参照しつつ説明する。
【0091】
(S1)正極用アライメントステージ111の搬送部111aは、第1搬送装置200から搬送されてきた包装型の正極の極板P’をスムーズに受け取って、正極用カメラ112の撮影する位置まで搬送する。
【0092】
(S2)次に、正極用下側照明装置114が、包装型の正極の極板P’の裏面に光を照射し、前記正極用カメラ112が光の遮蔽および透過を利用して内側の正極の極板Pの影を撮影する。この正極用カメラ112により撮影された内側の正極の極板Pの影に関する撮影データは、制御部500に送信される。なお、正極用下側照明装置114を利用した撮影が完了したあとは遮光板118が閉状態となり逆光状態が解消される。
【0093】
(S3)次に、制御部500のワーク認識部510は、内側の正極の極板Pの影の撮影データに基づいて内側の正極の極板Pの平面方向の位置を認識する。
【0094】
(S4)次に、制御部500は当該内側の正極の極板Pの平面方向の位置に基づいて正極用ステージ駆動装置115を制御する。これにより正極用ステージ駆動装置115が平面方向に移動および/または回転すると、正極用アライメントステージ111が平面方向に移動および/または回転するため、正極用アライメントステージ111上に載置された包装型の正極の極板P’の平面方向の位置を設定することができる。
【0095】
(S5)一方、前記正極用上側照明装置113が包装型の正極の極板P’の表面に光を照射したとき、前記正極用カメラ112が、光の反射を利用して外側のセパレータSを撮影する。この正極用カメラ112により撮影された外側のセパレータSに関する撮影データは、制御部500に送信される。なお、本工程は、上記(S2)の工程の完了後に行われる。
【0096】
(S6)次に、制御部500のワーク認識部510は、外側のセパレータSの撮影データに基づいて外側のセパレータSの平面方向の位置を認識する。なお、本工程は、上記(S4)の工程とほぼ同時に行われる。
【0097】
(S7)次に、制御部500の不良品判断部520は、前記ワーク認識部510により認識された内側の正極の極板Pの平面方向の位置と、外側のセパレータSの平面方向の位置とに基づいて、内側の正極の極板Pと外側のセパレータSが所定範囲以上ずれている不良品であるか否かを判断する。また、不良品判断部520は、前記ワーク認識部510により認識されたセパレータSの状態や正極の極板Pの状態に基づいて、セパレータSや正極の極板Pにしわ、折れ、割れ、欠けあるいはサイズ違いが生じている不良品であるか否かも判断する。
【0098】
(S8)上記(S7)の工程において、制御部500の不良品判断部520が包装型の正極の極板P’が不良品であると判断した場合(S7でYES)、制御部500が正極用アライメントステージ111の搬送部111aを制御する。これにより正極用アライメントステージ111の搬送部111aが当該包装型の正極の極板P’をそのまま搬送して、正極用ガイド部材117に沿って正極用排出シューター116に落下せしめて排出する。
【0099】
(S9)上記(S7)の工程において、制御部500の不良品判断部520が包装型の正極の極板P’が不良品でないと判断した場合(S7でNO)、移載アーム部140の第1移載アーム142が当該包装型の正極の極板P’を吸着保持して、積載部130の積載ステージ131まで移送したあと、積載部130の積載ステージ131上に積層状態に積載する。
【0100】
なお、本実施形態では上記工程(S1)〜(S9)の順で進めるものとしたが、上記工程(S1)〜(S9)の順に限定されるものではない。
【0101】
次に、負極用アライメント部120側の動作について図13を参照しつつ説明する。
【0102】
(S1)負極用アライメントステージ121の搬送部121aは、第2搬送装置から搬送されてきた負極の極板Nをスムーズに受け取って、負極用カメラ122の撮影する位置まで搬送する。
【0103】
(S2)負極用上側照明装置123が負極の極板Nの表面に光を照射したとき、負極用カメラ122が、光の反射を利用して負極の極板Nを撮影する。この負極用カメラ1221により撮影された負極の極板Nに関する撮影データは、制御部500に送信される。
【0104】
(S3)次に、制御部500のワーク認識部510は、負極の極板Nの撮影データに基づいて負極の極板Nの平面方向の位置を認識する。
【0105】
(S4)次に、制御部500は、当該負極の極板Nの平面方向の位置に基づいて負極用ステージ駆動装置125を制御する。これにより負極用ステージ駆動装置125が平面方向に移動および/回転すると、負極用アライメントステージ121が平面方向に移動および/または回転するため、負極用アライメントステージ121上に載置された負極の極板Nの平面方向の位置を設定することができる。
【0106】
(S5)一方、不良品判断部520は、前記ワーク認識部510により認識された負極の極板Nの状態に基づいて、負極の極板Nにしわ、折れ、割れ、欠けあるいはサイズ違いが生じている不良品であるか否かを判断する。
【0107】
(S6)上記(S5)の工程において、制御部500の不良品判断部520が負極の極板Nを不良品であると判断した場合(S5でYES)、制御部500が負極用アライメントステージ121の搬送部121aを制御する。これにより負極用アライメントステージ121の搬送部121aが当該負極の極板Nをそのまま搬送して、負極用ガイド部材127に沿って負極用排出シューター126に落下せしめて排出する。
【0108】
(S7)上記(S5)の工程において、制御部500の不良品判断部520が負極の極板Nを不良品でないと判断した場合(S5でNO)、移載アーム部140の第2移載アーム143が当該負極の極板Nを吸着保持して、積載部130の積載ステージ131まで移送したあと、積載部130の積載ステージ131上に積層状態に積載する。
【0109】
なお、本実施形態では上記工程(S1)〜(S7)の順で進めるものとしたが、上記(S1)〜(S7)の順に限定されるものではない。
【0110】
而して、正極用アライメント部110側と負極用アライメント部120側において交互に各工程を繰り返すことにより、正極の極板Pと負極の極板NがセパレータSを介して積層状態となった極板積層群Gを形成する。所定枚数の正極の極板Pと負極の極板Nとなった極板積層群Gは第3搬送装置400により順次搬送されていく。
【0111】
このように、各アライメントステージ111、112が平面方向に移動および/または回転することにより、各アライメントステージ111、112上に載置された包装型の正極の極板P’および負極の極板Nを適正な位置に設定したあと、第1移載アーム142および第2移載アーム143が包装型の正極の極板P’および負極の極板Nを保持して積載ステージ131に交互に順次積載することができる。
【0112】
従って、第1移載アーム142および第2移載アーム143の移送過程や積載過程において、包装型の正極の極板P’や負極の極板Nの位置を設定する必要がなくなり、包装型の正極の極板P’および負極の極板Nを積載部130の積載ステージ131上に積層状態に安定良く積載することができる。このため、包装型の正極の極板P’および負極の極板Nの縁部が揃った品質の高い極板積層群G(電池セル)を形成することができ、ひいては品質の高い電池を効率的に製造することが可能となる。
【0113】
なお、上記の実施形態においては、正極の極板PがセパレータSに包装される場合について説明したが、負極の極板NがセパレータSに包装されていてもよい。あるいはいずれの極板も裸の状態であり、セパレータSを介して積載するようにしてもよい。
【0114】
また、撮影装置がカメラ(正極用カメラ112および負極用カメラ122)である場合について説明したが、その他の撮影装置であってもよいし、あるいは撮影装置の代わりにワークを検知するセンサであってもよい。
【0115】
また、正極用アライメント部110の正極用上側照明装置113と負極極アライメント部120の正極上側照明装置123は、2つである場合について説明したが、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、正極用アライメント部110の正極用下側照明装置114は4つである場合について説明したが、1〜3つでもよいし、5つ以上でもよい。
【0116】
また、正極用アライメント部110の正極用上側照明装置113および正極用下側照明装置114、負極極アライメント部120の負極用上側照明装置123のいずれも設けなくてもよいし、あるいはそれらの1つまたは2つのみを設けるなど、それぞれの設置箇所は設計変更可能である。
【0117】
また、正極用アライメント部110の正極用上側照明装置113、正極用下側照明装置114および負極用アライメント部120の負極用上側照明装置123は常に照射している場合について説明したが、適宜、点灯および消灯するようにしてもよい。
【0118】
また、光透過板111bを設けるものとしたが、設けないものとしてもよい。ただ、正極用下側照明装置114によりワークの裏面に光を照射する場合は光透過板111bを設けるのがよい。
【0119】
また、正極用アライメントステージ111および負極用アライメントステージ121は、搬送部111a、121aを設けるものとしたが、設けないものとしてもよい。
【0120】
また、正極用アライメントステージ111および負極用アライメントステージ121は、載置される包装型の正極の極板P’または負極の極板Nの縁部を抑えるための抑え部材を設けてもよい。
【0121】
また、不良品判断装置として制御部500の不良品判断部520が不良品か否かを判断する場合について説明したが、不良品判断部520を設けなくてもよい。
【0122】
また、正極用または負極用排出シューター116、126を設けるものとしたが、設けないものと2てもよい。
【0123】
また、正極用または負極用アライメントステージ111、121は、第1搬送装置200または第2搬送装置300により、一枚ずつ包装型の正極の極板P’および負極の極板Nが載置される場合について説明したが、複数枚が載置されるようにしてもよい。
【0124】
また、各アライメントステージ111、112は上記した正極用ステージ駆動装置115や負極用ステージ駆動装置125によってのみ平面方向に移動および/または回転することに限られない。要は、各アライメントステージ111、112が平面方向に移動および/または回転することにより、各アライメントステージ111、112上に載置された包装型の正極の極板P’および負極の極板Nを適正な位置に設定できればよい。
【0125】
また、ワークは、正極の極板、負極の極板、セパレータあるいはセパレータで包装された正極または負極の極板に限定されるものではなく、蓄電用材料であればその他のものであってもよい。
【0126】
また、アライメントステージ自体が平面方向に移動および/または回転するものとしたが、アライメントステージ上において何らかの装置によりワークを平面方向に移動および/または回転させてもよい。すなわち、当該装置がアライメントステージの一部として機能し、アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することに含まれる。
【符号の説明】
【0127】
100…極板積載装置
110…正極用アライメント部
111…正極用アライメントステージ
112…正極用カメラ
113…正極用上側照明装置
114…正極用下側照明装置
115…正極用ステージ駆動装置
116…正極用負極用排出シューター
117…正極用ガイド部材
118…遮光板
120…負極用アライメント部
121…負極用アライメントステージ
122…負極用カメラ
123…負極用上側照明装置
125…負極用ステージ駆動装置
126…負極用排出シューター
127…負極用ガイド部材
130…積載部
131…積載ステージ
132…検知センサ
140…移載アーム部
141…回転軸
142…第1移載アーム
143…第2移載アーム
200…第1搬送装置
300…第2搬送装置
400…第3搬送装置
500…制御部
510…ワーク認識部
520…不良品判断部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
極板、セパレータ、またはセパレータで包装された極板などの蓄電用材料に係るワークを積載ステージに順次積載する極板積載装置であって、
ワークが載置されるアライメントステージと、
ワークが積層状態に積載される積載ステージと、
前記アライメントステージに載置されたワークを保持し、前記積載ステージに移送したあと、前記積載ステージ上に積層状態に積載する移載アームとを備え、
前記アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することによりワークを適正な位置に設定したあと、前記移載アームが当該ワークを保持することを特徴とする極板積載装置。
【請求項2】
前記アライメントステージに載置されたワークの平面方向の位置を認識するワーク認識装置を備え、
前記ワーク認識装置により認識したワークの平面方向の位置に基づいて、前記アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することによりワークを適正な位置に設定する請求項1に記載の極板積載装置。
【請求項3】
前記アライメントステージに載置されたワークを撮影する撮影装置を備え、
前記ワーク認識装置は、前記撮影装置により撮影されたワークの撮影データに基づいてワークの平面方向の位置を認識する請求項2に記載の極板積載装置。
【請求項4】
前記アライメントステージに載置されたワークに光を照射する照明装置を備え、
前記撮影装置は、前記照明装置により光を照射されたワークを撮影する請求項3に記載の極板積載装置。
【請求項5】
前記アライメントステージは少なくとも一部が光透過板となされ、
前記照明装置がワークの表面側または裏面側のいずれか一方面側に配置されるとともに、前記撮影装置がワークの他方面側に配置される請求項4に記載の極板積載装置。
【請求項6】
前記アライメントステージは、ワークを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向の両側に設けられた光透過板とを備える請求項5に記載の極板積載装置。
【請求項7】
前記アライメントステージに載置されるワークは、透光性のセパレータで包装された極板となされ、
前記照明装置が、前記アライメントステージに載置されたワークの一方面に前記アライメントステージを通じて光を照射したときに、前記撮影装置が、ワークの内側の極板の影を撮影する請求項5または請求項6に記載の極板積載装置。
【請求項8】
前記照明装置が前記アライメントステージに載置されたワークの一方面に前記アライメントステージを通じて光を照射したときに、前記撮影装置がワークの内側の極板の影を撮影するとともに、
前記撮影装置がワークの外側のセパレータを撮影する請求項7に記載の極板積載装置。
【請求項9】
前記アライメントステージに載置されたワークの他方面に光を照射する第2照明装置を備え、前記第2照明装置が前記アライメントステージに載置されたワークの他方面に光を照射したときに、前記撮影装置がワークの外側のセパレータを撮影する請求項8に記載の極板積載装置。
【請求項10】
前記ワーク認識装置により認識されたワークの内側の極板の平面方向の位置と、ワークの外側のセパレータの平面方向の位置とに基づいて、ワークにおける極板とセパレータが互いに所定範囲以上ずれている場合に不良品と判断する不良品判断装置を備える請求項8または請求項9に記載の極板積載装置。
【請求項11】
ワークが排出される排出シューターを備え、
前記不良品判断装置によりワークが不良品であると判断された場合、当該ワークが前記排出シューターに排出される請求項10に記載の極板積載装置。
【請求項12】
前記照明装置によりワークの一方面側から照射される光を遮蔽する遮光板を備える請求項5ないし請求項11のいずれかに記載の極板積載装置。
【請求項13】
前記アライメントステージは、搬送装置により一枚ずつ搬送されてきたワークが順次載置される請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の極板積載装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13に記載の極板積載装置に用いられる極板積載用アライメント装置であって、
アライメントステージが平面方向に移動および/または回転することによりワークを適正な位置に設定することを特徴とする極板積載用アライメント装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−174388(P2012−174388A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32833(P2011−32833)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】