説明

極端紫外光生成装置

【課題】チャンバ内に配置された光学要素の性能劣化を防止する。
【解決手段】極端紫外光生成装置は、レーザ装置と共に用いられ、外部装置に極端紫外光を供給するよう接続される極端紫外光生成装置であって、レーザ光を内部に入射させるための少なくとも1つの入射口を有するチャンバと、前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部と、前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内で前記ターゲット物質が前記レーザ光に照射される際に放出されて前記少なくとも1つの光学要素に付着した前記ターゲット物質のデブリをエッチングするために導入されるエッチングガスが通過するエッチングガス導入部と、前記チャンバに接続される排気ポンプと、前記チャンバ内に配置される少なくとも1つの光学要素と、前記少なくとも1つの光学要素の温度を制御する少なくとも1つの温度調節機構と、を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、極端紫外(EUV:Extreme Ultraviolet)光を生成する極端紫外光生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、たとえば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光生成装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma:レーザ励起プラズマ)式装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)式装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)式装置との3種類がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−266234号公報
【概要】
【0005】
本開示の一態様による極端紫外光生成装置は、レーザ装置と共に用いられ、外部装置に極端紫外光を供給するよう接続される極端紫外光生成装置であって、レーザ光を内部に入射させるための少なくとも1つの入射口を有するチャンバと、前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部と、前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内で前記ターゲット物質が前記レーザ光に照射される際に放出されて前記少なくとも1つの光学要素に付着した前記ターゲット物質のデブリをエッチングするために導入されるエッチングガスが通過するエッチングガス導入部と、前記チャンバに接続される排気ポンプと、前記チャンバ内に配置される少なくとも1つの光学要素と、前記少なくとも1つの光学要素の温度を制御する少なくとも1つの温度調節機構と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本開示の実施の形態1によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、水素ガスが水素ラジカルに変化して、光学要素上の固体Snと反応してスタナンガスになる反応と、スタナンガスが分解して、固体Snが析出する反応を示す模式図である。
【図3】図3は、Snのエッチング反応速度、Snの析出反応速度、Snエッチング反応速度とSn析出反応速度の差で表されるトータルのエッチングレート、それぞれの速度と温度との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、本開示の実施の形態1におけるチャンバ内に配置された光学要素を温度制御するための構成を示す模式図である。
【図5】図5は、本開示の実施の形態2によるEUV光生成装置におけるチャンバ内に配置された光学要素を温度制御するための構成を示す模式図である。
【図6】図6は、本開示の実施の形態3によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】図7は、本開示の実施の形態3においてEUV集光ミラーの反射面側に近接して配置されるスタナントラップの概略構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、本開示の実施の形態3においてゲートバルブの近傍に配置されるスタナントラップの概略構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、本開示の実施の形態3においてチャンバと排気ポンプとの接続部に配置されるスタナントラップの概略構成を示す模式図である。
【図10】図10は、本開示の実施の形態3においてチャンバ内のいずれかの位置に配置されるスタナントラップの概略構成を示す模式図である。
【図11】図11は、本開示の実施の形態4によるEUV光生成装置におけるスタナントラップおよび回収器の概略構成を示す模式図である。
【図12A】図12Aは、本開示による実施の形態の変形例1によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図13A】図13Aは、本開示による実施の形態の変形例2によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図14A】図14Aは、本開示による実施の形態の変形例3によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図14B】図14Bは、図14Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図15A】図15Aは、本開示による実施の形態の変形例4によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図15B】図15Bは、図15Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図16A】図16Aは、本開示による実施の形態の変形例5によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図16B】図16Bは、図16Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図17A】図17Aは、本開示による実施の形態の変形例6によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図17B】図17Bは、図17Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図18A】図18Aは、本開示による実施の形態の変形例7によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図18B】図18Bは、図18Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図19A】図19Aは、本開示による実施の形態の変形例8によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図19B】図19Bは、図19Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図19C】図19Cは、本開示による実施の形態の変形例8によるガス導入管の先端部分の概略形状を示す斜視図である。
【図20A】図20Aは、本開示による実施の形態の変形例9によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図20B】図20Bは、図20Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図21A】図21Aは、本開示による実施の形態の変形例10によるラジカル発生器およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図21B】図21Bは、図21Aに示すラジカル発生器およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図22A】図22Aは、本開示による実施の形態の変形例11によるフィラメントおよびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。
【図22B】図22Bは、図22Aに示すフィラメントおよびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【図23】図23は、本開示の実施の形態5によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図24A】図24Aは、本開示の実施の形態6によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図24B】図24Bは、図24Aに示すフィラメントおよびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【実施の形態】
【0007】
以下、本開示を実施するための形態を図面を参照に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本開示の内容を理解できる程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本開示は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本開示の好適な例に過ぎず、従って、本開示は例示された数値に限定されるものではない。
【0008】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態1によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式図である。
【0009】
図1に示すように、EUV光生成装置1は、EUV光生成用の空間を画定する気密性の高いチャンバ11と、チャンバ11と不図示の露光装置とを光学的に接続する露光装置接続部13と、チャンバ11内にEUV光の生成材料となる錫(Sn)などのターゲット物質を液滴状のドロップレットDとして供給するドロップレットコントローラ14aおよびドロップレット生成器14bと、ドロップレットDをプラズマ化するためのパルス状のレーザ光(プリパルスレーザ光L1aおよびメインパルスレーザ光L1b)を出力するプリパルスレーザPLおよびメインパルスレーザMLと、プリパルスレーザPLおよびメインパルスレーザMLならびにドロップレットコントローラ14a等を適宜制御するEUV光生成コントローラ10と、を備える。チャンバ11内には、ドロップレット生成器14bに設けられた不図示のノズル先端からドロップレットDが供給される。
【0010】
チャンバ11には、プリパルスレーザ光L1aおよびメインパルスレーザ光L1bを透過させるためのウィンドウW1およびW2が設けられる。また、チャンバ11内部には、ウィンドウW1およびW2を介して入射したプリパルスレーザ光L1aおよびメインパルスレーザ光L1bをそれぞれチャンバ11内の所定の位置(プラズマ生成サイトP1)に集光するための放物面ミラーM2およびM3と、プラズマ生成サイトP1で生成されたEUV光L2を露光装置接続部13内に設定された中間集光点IFに集光するように反射するEUV集光ミラーM1と、が設けられる。
【0011】
この構成において、EUV光生成コントローラ10は、ドロップレットコントローラ14aを制御することで、ドロップレット生成器14bがドロップレットDを出力するタイミングを制御する。ドロップレット生成器14bから出力されたドロップレットDは、プラズマ生成サイトP1に到着する。ドロップレットDがプラズマ生成サイトP1に到着するタイミングで、ドロップレットDには、プリパルスレーザPLから出力されたプリパルスレーザ光L1aがウィンドウW1および放物面ミラーM2を介してEUV集光ミラーM1の側面側から集光される(1段目のレーザ照射)。これにより、ドロップレットDが拡散して、液滴状のターゲット物質が弱いプラズマ、中性粒子、クラスターやフラグメント等の混在した状態になる。以下の説明では、この混在した状態を拡散したターゲットと定義する。
【0012】
プラズマ生成サイトP1で生成された拡散したターゲットには、メインパルスレーザMLから出力されたメインパルスレーザ光L1bがウィンドウW2および放物面ミラーM3を介してEUV集光ミラーM1の背面(反射面と反対側)側から集光される(2段目のレーザ照射)。これにより、拡散したターゲットがプラズマ化して、プラズマが生成される。EUV光L2は、このプラズマが脱励起する際に放射される。なお、EUV集光ミラーM1には、メインパルスレーザ光L1bが通過するための貫通孔M1aが形成されている。また、プリパルスレーザPLがプリパルスレーザ光L1aを出力するタイミングおよびメインパルスレーザMLがメインパルスレーザ光L1bを出力するタイミングは、EUV光生成コントローラ10によって制御される。これにより、ドロップレットDがプラズマ生成サイトP1に到着するタイミングでこれにプリパルスレーザ光L1aが照射され、この結果としてプラズマ生成サイトP1で生成された拡散したターゲットにメインパルスレーザ光L1bが照射される。
【0013】
プラズマから放射されたEUV光L2は、回転楕円面形状の反射面を備えたEUV集光ミラーM1によって反射されることで、露光装置接続部13へ向けて反射される。この際、反射されたEUV光L2は、上述したように、露光装置接続部13内に設定された中間集光点IFに集光される。その後、EUV光L2は、不図示の導波路(たとえば管)を介して露光装置へ導波される。
【0014】
また、本実施の形態1では、レーザ光の2段階照射によってターゲット物質(ドロップレットD)をプラズマ化するが、これに限らず、1段階または3段階以上のレーザ照射によってターゲット物質をプラズマ化してもよい。さらに、本実施の形態1では、ターゲット物質を液滴状にして供給する場合を例に挙げたが、これに限らず、予めチャンバ11内に配置されたローテーション可能な固体ターゲット物質を用いてもよい。
【0015】
また、プラズマ生成サイトP1で生成されたプラズマからは、EUV光L2の放射後、イオンや原子や帯電した粒子や中性の粒子など、ターゲット物質であるSnの粒子(以下、Snデブリという)が発生する。このSnデブリは、プラズマ生成サイトP1から放出された後、チャンバ11内に配置されたEUV集光ミラーM1や放物面ミラーM2およびM3などの光学要素に付着し、堆積し得る。
【0016】
そこで、本実施の形態1によるEUV光生成装置1は、チャンバ11内に水素ラジカル(以下、HラジカルまたはHと記す)を供給するラジカル発生器15a〜15cと、チャンバ11内のガスを排気する排気ポンプ12と、を備えてもよい。ラジカル発生器15a〜15cから放出されたHラジカルは、チャンバ11内にまで延在するガス導入管16a〜16cを介してチャンバ11内に供給される。すなわち、ラジカル発生器15a〜15cおよびガス導入管16a〜16cは、チャンバ11内に配置された光学要素へ向けて光学要素に付着したSnデブリをエッチングするエッチングガス(Hラジカルおよびラジカル化されなかったHガス)を光学要素の表面に沿って流してもよい。
【0017】
各ガス導入管16a〜16cのガス放出口は、チャンバ11内に配置されたEUV集光ミラーM1や放物面ミラーM2およびM3などの光学要素にそれぞれ向けられている。すなわち、Snデブリが付着した光学要素表面に沿って、Hラジカルが流れる。この際、Hラジカルが光学要素表面のSnデブリと反応し、スタナン(SnH)ガスが生成される。このスタナンガスは、約−52℃以上で気体である。したがって、SnとHラジカルとを反応させ、スタナンガスを生成させることによって、光学要素表面のSnデブリをエッチングすることが可能となる。この結果、光学要素の性能劣化が防止される。
【0018】
なお、Hラジカルを光学要素表面に沿って流すことによって生成されたスタナンガスは、排気ポンプ12によってチャンバ11外へ排気される。また、本実施の形態1では、付着したSnデブリに対して高効率のエッチング反応を得るために、水素をラジカルの状態で供給する。ただし、これに限らず、水素分子(H)の状態で供給してもよい。この場合には、水素分子がプラズマ生成サイトP1で放射される紫外光、真空紫外光およびEUV光等によってHラジカルを生成させれば、光学要素に付着したSnデブリと上記光により生成されたHラジカルとが反応してスタナン(SnH)が生成される。この結果、光学要素に付着したSnデブリがエッチングされて光学要素の性能劣化が防止される。この場合、ラジカル発生器15a〜15cは必須ではない。ラジカル発生器15a〜15cの代わりに水素ガス供給源が必要である。水素ガス供給源は露光装置が設置される工場設備にあってもよいし、EUV光生成装置および縮小投影反射光学系のいずれかに備えられていてもよい。
【0019】
また、チャンバ11内には、たとえば板状のパーティション11a〜11cが配置されている。このパーティション11a〜11cによって、チャンバ11内でのガス、すなわちHラジカル(または水素ガス)およびスタナンガスの流れがコントロールされる。この結果、光学要素に付着したSnデブリを効果的にエッチングしつつ、生成されたスタナンガスを効率よく排出することが可能となる。パーティション11bと11cで形成される開口部A1は、エッチングガスの排出口の機能とメインパルスレーザ光L1aの光路の機能を果たす。パーティション11aと11bで形成される開口部A2は、エッチングガスの排出口の機能とプリパルスレーザ光L1aの光路の機能を果たす。
【0020】
さらに、各光学要素(たとえばEUV集光ミラーM1ならびに放物面ミラーM2およびM3)からデブリの発生サイトであるプラズマ生成サイトP1へ向けてガスが流れるように、パーティション11a〜11cを用いてガスの流れを制御することで、各光学要素へのSnデブリの入射を抑制することが可能となる。これにより、各光学要素へのSnデブリの付着自体を低減することが可能となる。この結果、光学要素の性能劣化をより確実に防止することが可能となる。
【0021】
図2に、水素ガスがフィラメントにより水素ラジカルに変化して、光学要素上の固体Snと反応してスタナンガスになるエッチング反応と、スタナンガスが分解して、固体Snが析出する反応を示す模式図を示す。SnとHラジカルの反応は、以下の化学反応式(1)および(2)で表される。
エッチング反応:Sn(s)+4H(g)→SnH(g) (1)
析出反応:SnH→Sn(s)+2H (2)
【0022】
ここで(s)および(g)はそれぞれ、固体状態とガス状態とを示している。化学反応式(1)および(2)が示す反応は、同時に起こる。トータルのエッチングレートValは、以下の式(3)に示すように、エッチングレートV1と析出速度V2との差で表現される。
Val=V1−V2 (3)
【0023】
そして、エッチングレートV1、析出速度V2およびトータルのエッチングレートValは各Hラジカル、H、およびSnHの濃度が一定の場合は光学要素の温度によって変化する。
【0024】
図2は、光学要素を温度調節する構成(温度調節機構)の概略を示す模式図である。温度調節機構は、EUV集光ミラーM1などの光学要素Mに設けられた温度調節素子20bと、温度調節素子20bに電流を流す電源20aと、光学要素Mに設けられた温度センサ20cと、温度センサ20cで検出された温度に基づいて電源20aが温度調節素子20bに流す電流を制御する温度コントローラ20と、を備える。この温度調節素子20bの例としては、ヒータを使用し、温度センサ20cの検出結果に基づいて、ヒータへ供給される電流を制御することによって、温度を所定の温度に安定化させている。
【0025】
各設定温度(常温から加熱温調できる範囲で)に対する、トータルのエッチングレートValを計測した。図3は、SnのエッチングレートV1、Snの析出速度V2およびSnエッチングレートV1とSn析出速度V2の差で表されるトータルのエッチングレートValそれぞれの速度と、光学要素表面温度との関係を示すグラフである。図3において、破線はエッチングレートV1の温度依存性を示し、一点破線は析出速度V2の温度依存性を示す。実線は、トータルのエッチングレートVal(=V1−V2)を示す。ここで、トータルのエッチングレートが0の場合は、エッチングレートV1と析出速度V2が等しい時であり、光学要素の表面に付着したSnは除去できない。トータルのエッチングレートValが正の場合は、光学要素の表面に付着したSnをエッチングすることができる。逆にエッチングレートValが負の場合は、光学要素の表面にさらにSnが析出することを意味している。したがって、各光学要素Mの温度は、目的の温度範囲(たとえば40℃以上120℃以下、好ましくは60℃以上100℃以下)内となるように、実測された温度に基づいて温度コントローラ20が電源20aが温度調節素子20bへ供給する電流を制御することで、トータルのエッチングレートValを必要なエッチングレートとして光学要素に付着したSnを取り除くことができる。
【0026】
図3に示すように、光学要素に付着しているSnのトータルのエッチングレートValは、温度が0℃から60℃程度までは、温度上昇につれて上昇する。一方、温度が100℃程度を超えると、トータルのエッチングレートValが低下し始める。そこで本実施の形態1では、チャンバ11内に配置した各光学要素の温度をたとえば40℃以上120℃以下、好ましくは60℃以上100℃以下の温度範囲内に制御する。これにより、スタナンガスが分解して光学要素表面にSnが析出するのを防止する。この結果、光学要素表面へのSnの再析出が防止される。図4は、本実施の形態1におけるチャンバ内に配置された光学要素を温度制御するための構成を示す模式図である。なお、図4では、温度制御対象の光学要素として、ウィンドウW1およびW2、EUV集光ミラーM1、ならびに放物面ミラーM2およびM3(以下、単に光学要素W1〜W2およびM1〜M3という)を例に挙げる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0027】
図4に示すように、本実施の形態1によるEUV光生成装置1は、チャンバ11外に配置されたチラー17を備える。チラー17は、光学要素W1〜W2およびM1〜M3を温度制御するための熱媒体(たとえば温度調節された水や油などの動作温度で安定な液)を主送配管Cinへ送出する。主送配管Cinから光学要素W1〜W2およびM1〜M3へは、それぞれ副送配管C1in〜C5inが分岐されている。したがって、光学要素W1〜W2およびM1〜M3へは、主送配管Cinへ送り出された温度調節された熱媒体が副送配管C1in〜C5inを介して供給される。
【0028】
光学要素W1〜W2およびM1〜M3は、送り込まれた熱媒体を内部で循環させる熱媒体流路C1〜C5を備える。したがって、各副送配管C1in〜C5inに分岐された熱媒体は、光学要素W1〜W2およびM1〜M3の熱媒体流路C1〜C5に流れ込み、その後、各光学要素W1〜W2およびM1〜M3内を循環する。これにより、光学要素W1〜W2およびM1〜M3の温度が目的とする温度範囲内に調節される。
【0029】
光学要素W1〜W2およびM1〜M3の熱媒体流路C1〜C5を循環した熱媒体は、その後、熱媒体流路C1〜C5に連結された副排配管C1out〜C5outに流れ込む。この副排配管C1out〜C5outは、チラー17に繋がる主排配管Coutに連結されている。したがって、副排配管C1out〜C5outに流れ込んだ熱媒体は、その後、主排配管Coutを介してチラー17に戻る。なお、チラー17に戻された熱媒体は、温度調節された後、再度、主送配管Cinへ送り出されてもよい。
【0030】
なお、副送配管C1in〜C5inおよび副排配管C1out〜C5outには、それぞれの配管に流れる熱媒体の温度を検出するための温度センサT1in〜T5inおよびT1out〜T5outが設けられる。この温度センサT1in〜T5inおよびT1out〜T5outは、たとえばEUV光生成コントローラ10または図示しない循環ポンプが内蔵されたチラー17によってトータルの流量と温度が制御される。これにより、光学要素W1〜W2およびM1〜M3へ滞りなく熱媒体が供給される。
【0031】
また、たとえば、光学要素W1〜W2およびM1〜M3の副排配管C1out〜C5outには、流量調節バルブV1〜V5が設けられる。たとえば、EUV光生成コントローラ10またはチラー17は、各光学要素に流れる流量を制御するために、これらの流量調節バルブV1〜V5を制御する。これにより、各副排配管C1out〜C5outに流れる熱媒体の流量が制御される。この結果、光学要素W1〜W2およびM1〜M3に流れる熱媒体の流量が制御され、光学要素W1〜W2およびM1〜M3の温度が目的とする温度範囲内に調節される。
【0032】
以上のように、本実施の形態1によれば、エッチングガスによってエッチングされたターゲット物質が、再度、光学要素表面に析出しないように、光学要素の温度を制御することが可能となるため、チャンバ内に配置された光学要素の性能劣化を防止することが可能なEUV光生成装置を実現することが可能となる。
【0033】
(実施の形態2)
つぎに、本開示の実施の形態2によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図5は、本実施の形態2によるEUV光生成装置におけるチャンバ内に配置された光学要素を温度制御するための構成を示す模式図である。なお、本実施の形態2では、上述の実施の形態1によるEUV光生成装置1に冷却水とヒータとを組み合わせた温度調節機構を適用する。この構成によれば、大容量の温度調節が可能なチラー17を用いた温度調節機構に、加熱および冷却が可能なヒータ20bを用いた温度調節を併用することが可能となる。これにより、より高精度の温度調節が可能となるため、各光学要素へのSnの付着をさらに低減することが可能となる。この結果、光学要素の性能劣化をさらに防止することが可能となる。
【0035】
図5に示すように、本実施の形態2によるEUV光生成装置は、図4に示す構成と同様の構成に加え、光学要素W1〜W2およびM1〜M3に、ヒータ21b〜25bと温度センサ21c〜25cとが設けられている。ヒータ21b〜25bは、電源21a〜25aに接続されている。また、温度センサ21c〜25cで検出された温度は、温度コントローラ21〜25にそれぞれ入力される。温度コントローラ21〜25は、温度センサ21c〜25cから入力された温度が目的の温度範囲内に入るように、電源21a〜25aがヒータ21b〜25bに流す電流を制御する。各ヒータ21b〜25bは、電源21a〜25aから供給された電流に応じて、光学要素W1〜W2およびM1〜M3を加熱する。これにより、光学要素W1〜W2およびM1〜M3の温度が目的の温度範囲内に入るように、光学要素W1〜W2およびM1〜M3が温度調節される。さらに、温度が設定温度に対して上昇しすぎる場合は、チラー17の冷却水によって冷却し、ヒータによって加熱することによって光学要素の温度を高精度に制御することが可能となる。
【0036】
以上のように、本実施の形態2によれば、エッチングガスによってエッチングされたターゲット物質が、再度、光学要素表面に析出しないように、光学要素の温度を制御することが可能となるため、チャンバ内に配置された光学要素の性能劣化を防止することが可能なEUV光生成装置を実現することが可能となる。
【0037】
他の構成および効果は、上述した実施の形態と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0038】
(実施の形態3)
つぎに、本開示の実施の形態3によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。図6は、本実施の形態3によるEUV光生成装置3の概略構成を示す模式図である。なお、本実施の形態3においても、図3または図5に示す温度調節機構がEUV光生成装置3に設けられる。
【0039】
図6に示すように、EUV光生成装置3は、図1に示すEUV光生成装置1と同様の構成に加え、SnとHラジカル(またはH)とが反応することで発生したスタナンガスを分解して析出したSnをトラップするためのスタナントラップ31〜36が、チャンバ11内に設けられた構成を備える。スタナントラップ31は、たとえばEUV集光ミラーM1の反射面側に近接して配置され、EUV集光ミラーM1の表面に付着したSnから発生したスタナンをトラップする。スタナントラップ32は、チャンバ11内であって、ゲートバルブW3近傍に配置され、ゲートバルブW3を介して露光装置接続部13側へ流れ込もうとするSnをトラップする。スタナントラップ33は、チャンバ11と排気ポンプ12との接続部に配置され、チャンバ11内から排気ポンプ12へ流れ込むSnをトラップする。スタナントラップ34〜36は、チャンバ11内の適切な位置、たとえばSnデブリが付着しやすい位置に配置され、チャンバ11内に存在するSnをトラップする。
【0040】
このスタナントラップ31〜36は、たとえばスタナンが分解してSnが析出する温度(たとえば120℃)以上に温度調節される。これにより、本実施の形態3では、チャンバ11内のスタナンガスの濃度を低減することが可能となる。結果、光学要素の表面に付着したSn層表面付近のスタナンガスの濃度も低減されるため、付着したSnのトータルのエッチングレートを向上させることが可能となる。また、スタナントラップ31〜36の温度をSnの融点(232℃)未満とすることで、スタナンガスから析出したSnを固体の状態でスタナントラップの表面に定着させることが可能となる。なお、スタナントラップ31〜36の材料には、Snとの反応性が低い物質、たとえばモリブデン(Mo)、チタン(Ti)、またはアルミナ等を用いるのが好ましい。
【0041】
つづいて、本実施の形態3によるスタナントラップの例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
・スタナントラップ31
図7は、本実施の形態3においてEUV集光ミラーの反射面側に近接して配置されるスタナントラップの概略構成を示す斜視図である。図7に示すように、スタナントラップ31は、両端面が開口された円柱状の形状をしている。具体的には、スタナントラップ31は、両端が開口された筒状の外周リング31Aと、外周リング31A内の中央に配置され、両端が開口された筒状のレーザ光通過リング31Bと、の2重リングの構造を備える。外周リング31Aの中心軸とレーザ光通過リング31Bの中心軸とは、略一致するよう構成される。レーザ光通過リング31Bに開口された空間は、EUV光集光ミラーM1の貫通孔M1aを介したレーザ光(たとえばメインパルスレーザ光L1b)を通過させるレーザ光通過穴31aとして機能する。また、外周リング31Aとレーザ光通過リング31Bとの間の空間は、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2を通過させるEUV光通過穴31bとして機能する。ただし、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2は、EUV光通過穴31b以外の外周リング31Aの外側やレーザ光通過リング31Bの内側を通過してもよい。
【0043】
また、レーザ光通過リング31Bの外側面から外周リング31Aの内側面にかけては、板状のトラッピングブレード31Cが放射状に延在する。このトラッピングブレード31Cは、外周リング31Aに対してレーザ光通過リング31Bを固定する機能を有するほか、外周リング31Aとレーザ光通過リング31Bとの間のEUV光通過穴31bを通過するスタナンガスをトラップするブレードとしても機能する。なお、トラッピングブレード31Cは、外周リング31Aとレーザ光通過リング31Bとの間のEUV光通過穴31bを複数の領域に仕切る。
【0044】
以上のような構成を備えるスタナントラップ31は、レーザ光通過リング31Bの中心軸がEUV集光ミラーM1の貫通孔M1aを介してプラズマ生成サイトP1に集光されるレーザ光(たとえばメインパルスレーザ光L1b)のビーム軸と略一致し、外周リング31Aの中心軸がEUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2の中心軸と略一致するように、EUV集光ミラーM1の反射面側にEUV集光ミラーM1に近接して配置される。これにより、スタナントラップ31は、EUV集光ミラーM1の貫通孔M1aを介するレーザ光(たとえばメインパルスレーザ光L1b)を遮蔽することなく通過させるとともに、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2をそのエネルギーのロスをできるだけ小さくして通過させる。
【0045】
また、EUV集光ミラーM1をHラジカル(またはHガス)でブローすることで生成されたスタナンガスは、主に、レーザ光通過穴31a内またはEUV光通過穴31b内を流れる。そこで、スタナントラップ31を、上述したように、たとえばスタナンガスが分解されてSnが析出する温度(たとえば120℃)以上に加熱しておく。このスタナントラップ31には、電流によって加熱されるヒータ40bが設けられている。このヒータ40bには、電流を供給する電源40aが接続される。また、スタナントラップ31には、温度センサ40cが設けられている。温度センサ40cで検出された温度は、温度コントローラ40に入力される。温度コントローラ40は、温度センサ40cで検出された温度に基づいて電源40aがヒータ40bに流す電流を制御する。これにより、スタナントラップ31が、Snが析出する温度程度以上に加熱される。これにより、EUV集光ミラーM1表面に付着したSnから発生したスタナンガスが、レーザ光通過穴31a内またはEUV光通過穴31b内を通過する際に加熱されて分解され、Snが析出する。この析出したSnは、外周リング31A、レーザ光通過リング31Bおよびトラッピングブレード31Cの少なくともいずれかの表面に析出する。すなわち、EUV集光ミラーM1表面に付着したSnからスタナンガスの状態で発生したSnの一部は、外周リング31A、レーザ光通過リング31Bおよびトラッピングブレード31Cの少なくともいずれかによって回収される。これにより、チャンバ11内のスタナンガスの濃度を低減させることが可能となる。この結果、光学要素の表面に析出したSn層表面付近のスタナンガスの濃度が低減されるため、EUV集光ミラーM1に付着したSnのトータルのエッチングレートを向上させることが可能となる。また、スタナントラップ31の温度をSnの融点(232℃)程度未満とすることで、Snをスタナントラップ31に固体の状態で定着させることが可能となる。
【0046】
・スタナントラップ32
図8は、本実施の形態3においてゲートバルブの近傍に配置されるスタナントラップの概略構成を示す斜視図である。図8に示すように、スタナントラップ32は、両端面が開口された円錐台の形状をしている。具体的には、スタナントラップ32は、両端が開口された円錐台状の外周リング32Aと、外周リング32A内の中心に配置された棒状の芯32Bと、芯32Bから外周リング32Aの内側面に放射状に延びる複数のトラッピングブレード32Cと、を備える。芯32Bは、複数のトラッピングブレード32Cを束ねる機能を果たす。この芯32Bは、省略することもできる。外周リング32Aに開口された空間は、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2が通過するEUV光通過穴32bとして機能する。ただし、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2は、EUV光通過穴32b以外の外周リング32Aの外側を通過してもよい。
【0047】
また、芯32Bから外周リング32Aの内側面にかけては、板状のトラッピングブレード32Cが放射状に延在する。このトラッピングブレード32Cは、外周リング32AのEUV光通過穴32bを通過するスタナンガスをトラップするブレードとして機能する。なお、トラッピングブレード32Cは、外周リング32A内のEUV光通過穴32bを複数の領域に仕切る。
【0048】
以上のような構成を備えるスタナントラップ32は、外周リング32Aの中心軸がEUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2の中心軸と略一致するように、ゲートバルブW3に近接して配置される。これにより、スタナントラップ32は、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2をそのエネルギーのロスをできる限り小さくして通過させる。
【0049】
また、ゲートバルブW3を介して露光装置接続部13内へ流れ込もうとするスタナンは、主に、EUV光通過穴31b内を流れる。そこで、スタナントラップ32を、上述したように、たとえばスタナンが分解されてSnが析出する温度(たとえば120℃)以上に加熱しておく。このスタナントラップ32には、電流によって加熱されるヒータ40bが設けられている。このヒータ40bには、電流を供給する電源40aが接続される。また、スタナントラップ32には、温度センサ40cが設けられている。温度センサ40cで検出された温度は、温度コントローラ40に入力される。温度コントローラ40は、温度センサ40cで検出された温度に基づいて電源40aがヒータ40bに流す電流を制御する。これにより、スタナントラップ32が、Snが析出する温度程度以上に加熱される。これにより、EUV集光ミラーM1表面に付着したSnから発生したスタナンガスが、レーザ光通過穴31a内またはEUV光通過穴31b内を通過する際に加熱されて分解され、Snが析出する。この析出したSnは、外周リング32A、芯32Bおよびトラッピングブレード32Cの少なくともいずれかの表面に付着する。すなわち、ゲートバルブW3を介して露光装置側へスタナンガスの状態で流れ込もうとするSnは、外周リング32A、芯32Bおよびトラッピングブレード32Cの少なくともいずれかによって回収される。これにより、露光装置へのスタナンガスの流入を防止または低減することが可能となる。また、スタナントラップ32の温度をSnの融点(232℃)程度未満とすることで、Snをスタナントラップ32に固体の状態で定着させることが可能となる。
【0050】
・スタナントラップ33
図9は、本実施の形態3においてチャンバと排気ポンプとの接続部に配置されるスタナントラップの概略構成を示す模式図である。図9に示すように、スタナントラップ33は、たとえばチャンバ11から排気ポンプ12へのガスの流れに対して平行に配置された板状のブレード33Bを格子状に組み合わせた構成を備える。したがって、チャンバ11内から排気ポンプ12へ流れ込もうとするスタナンガスは、ブレード33Bによって格子状に仕切られた空間内を流れる。そこで、スタナントラップ33を、上述したように、たとえばスタナンガスが分解されてSnが析出する温度(たとえば120℃)以上に加熱しておく。このスタナントラップ33には、電流によって加熱されるヒータ40bが設けられている。このヒータ40bには、電流を供給する電源40aが接続される。また、スタナントラップ33には、温度センサ40cが設けられている。温度センサ40cで検出された温度は、温度コントローラ40に入力される。温度コントローラ40は、温度センサ40cで検出された温度に基づいて電源40aがヒータ40bに流す電流を制御する。これにより、スタナントラップ33が、Snが析出する温度程度以上に加熱される。これにより、排気ポンプ12に流れ込もうとするスタナンガスが、格子状の空間を通過する際に加熱されて分解され、Snが析出する。この析出したSnは、ブレード33Bの表面に付着する。すなわち、排気ポンプ12にスタナンガスの状態で流れ込もうとするSnは、ブレード33Bによって回収される。これにより、排気ポンプ12へのスタナンガスの流入を防止または低減することが可能となる。また、スタナントラップ33の温度をSnの融点(232℃)程度未満とすることで、Snをスタナントラップ33に固体の状態で定着させることが可能となる。
【0051】
・スタナントラップ34〜36
図10は、本実施の形態3においてチャンバ内のいずれかの位置に配置されるスタナントラップの概略構成を示す模式図である。図10に示すように、スタナントラップ34〜36は、ワイヤやリボンが3次元の網目(または格子)状に組み合わされた構成を備える。したがって、チャンバ11内を飛び交うスタナンガスは、スタナントラップ34〜36の表面付近を通過する。そこで、スタナントラップ34〜36を、上述したように、たとえばスタナンガスが分解されてSnが析出する温度(たとえば120℃)以上に加熱しておく。これらのスタナントラップ34〜36には、電流によって加熱されるヒータ40bがそれぞれ設けられている。このヒータ40bには、電流を供給する電源40aが接続される。また、スタナントラップ34〜36には、温度センサ40cがそれぞれ設けられている。温度センサ40cで検出された温度は、温度コントローラ40に入力される。温度コントローラ40は、温度センサ40cで検出された温度に基づいて電源40aがヒータ40bに流す電流を制御する。これにより、スタナントラップ34〜36が、Snが析出する温度程度以上に加熱される。これにより、チャンバ11内を飛び交うスタナンガスが、スタナントラップ34〜36の表面付近を通過する際に加熱されて分解され、ワイヤやリボンの表面にSnが析出する。この析出したSnは、スタナントラップ34〜36の表面に付着する。これにより、チャンバ11内にスタナンの状態で存在するSnを、スタナントラップ34〜36によって回収することができる。また、スタナントラップ34〜36の温度をSnの融点(232℃)程度未満とすることで、Snをスタナントラップ34〜36の内部に固体の状態で定着させることが可能となる。なお、スタナントラップ34〜36には、スポンジのような多孔質なものを用いてもよい。
【0052】
以上のように構成することで、本実施の形態3によれば、エッチングガスによってエッチングされたターゲット物質が、再度、光学要素に析出しないように、光学要素の温度を制御することが可能となるため、チャンバ内に配置された光学要素の性能劣化を防止することが可能なEUV光生成装置を実現することが可能となる。
【0053】
他の構成および効果は、上述した実施の形態のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0054】
(実施の形態4)
つぎに、本開示の実施の形態4によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。上述の実施の形態3では、スタナントラップ31〜36をスタナンが分解してSnを析出させる温度(120℃程度)以上であってSnが固体の状態を保つ温度融点(232℃)未満に温度調節することで、スタナントラップ31〜36にトラップされたSnを、これに固体の状態で定着させた。これに対し、本実施の形態4では、スタナントラップ31〜36をSnが溶融する温度以上に加熱することで、スタナントラップ31〜36にトラップされたSnを液化してスタナントラップ31〜36から流出させる。流出した溶融Snは、たとえばバケットなどの回収器で回収する。
【0055】
図11は、本実施の形態4によるEUV光生成装置におけるスタナントラップおよび回収器の概略構成を示す模式図である。なお、図11では、チャンバ11と排気ポンプ12との接続部に配置されたスタナントラップを例に挙げて説明する。
【0056】
図11に示すように、本実施の形態4によるEUV光生成装置では、チャンバ11から排気ポンプ12までの接続部が、L字型に屈曲している。チャンバ11との接続部は、重力方向に延伸する。排気ポンプ12との接続部は、チャンバ11との接続部から分岐する形で水平方向に延伸する。チャンバ11から排気ポンプ12に流れ込むスタナンガスをトラップするスタナントラップ33は、チャンバ11から重力方向に延伸する接続部の途中に配置される。このスタナントラップ33の各ブレード33Bには、電流によって加熱されるヒータ40bが設けられている。このヒータ40bには、電流を供給する電源40aが接続される。また、少なくとも1つのブレード33Bには、温度センサ40cが設けられている。温度センサ40cで検出された温度は、温度コントローラ40に入力される。温度コントローラ40は、温度センサ40cで検出された温度に基づいて電源40aがヒータ40bに流す電流を制御する。これにより、スタナントラップ33が、Snが溶融する温度(232℃)程度以上に加熱される。この結果、スタナントラップ33から溶融SnDDが流れ出す。
【0057】
チャンバ11から重力方向に延伸する接続部の下部には、スタナントラップ33から流れ出した溶融SnDDを回収する回収部40Aが設けられる。これにより、スタナントラップ33から流れ出した溶融SnDDが光学要素等を汚染することを防止できる。なお、チャンバ11から延伸する接続部と回収部40Aとの連結部分を円錐台形状にしておくことで、スタナントラップ33から流れ出した溶融SnDDを確実に回収部40Aで回収することが可能となる。
【0058】
なお、本実施の形態4では、チャンバ11と排気ポンプ12との接続部に配置されたスタナントラップ33を例に挙げて説明した。しかし、これに限定されず、たとえば実施の形態3で例示したスタナントラップ31〜36のいずれに対しても同様の構成を適用することが可能である。すなわち、スタナントラップを加熱するヒータおよび電源と、スタナントラップの温度を検出する温度センサと、温度センサで検出された温度に基づいて電源を駆動することでスタナントラップの温度を調節する温度コントローラと、スタナントラップに対して重力方向下方に配置されることでスタナントラップから流れ出した溶融Snを回収する回収部とを、各スタナントラップに配置することで、各スタナントラップでトラップされたSnを液化して回収することが可能となる。
【0059】
他の構成および効果は、上述した実施の形態のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0060】
・変形例1
つぎに、上述した各実施の形態におけるガス導入管の変形例について、以下に図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の説明では、EUV集光ミラーM1の表面に沿ってHラジカルまたはHガスを流すためのガス導入管の変形例を例に挙げて説明する。
【0061】
まず、上記した実施の形態の変形例1によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図12Aは、本変形例1によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図12Bは、図12Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図12Aは図12Bに示すAA断面図である。
【0062】
図12Aおよび図12Bに示すように、本変形例1では、ラジカル発生器15から延出したガス導入管16−1は、EUV集光ミラーM1の反射面を外側から囲むように延在する。ガス導入管16−1の途中には、EUV集光ミラーM1の反射面に向けて開口した穴が略等間隔に設けられている。したがって、ラジカル発生器15からガス導入管16−1内に送られたHラジカルは、ガス導入管16−1途中の穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の反射面の外周から満遍なく、EUV集光ミラーの反射表面に沿って流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0063】
なお、ガス導入管16−1は、たとえばドロップレット生成器14bのノズル14c先端から出力されたドロップレットDがプラズマ生成サイトP1に向けて進行することを妨げないように、その一部に隙間が設けられる。
【0064】
・変形例2
つぎに、上記した実施の形態の変形例2によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図13Aは、本変形例2によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図13Bは、図13Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図13Aは図13Bに示すAA断面図である。
【0065】
図13Aおよび図13Bに示すように、本変形例2では、EUV集光ミラーM1に対して複数(たとえば2つ)のラジカル発生器15Aおよび15Bが設けられている。このラジカル発生器15Aおよび15Bは、EUV集光ミラーM1の反射面側から見て、軸対称に配置されている。ラジカル発生器15Aからは、EUV集光ミラーM1の反射面を外側から囲むように、半弧状のガス導入管16−2aが延在する。同様に、ラジカル発生器15Bからは、EUV集光ミラーM1の反射面を外側から囲むように、半弧状のガス導入管16−2bが延在する。この2つの半弧状のガス導入管16−2aおよび16−2bによって、EUV集光ミラーM1の反射面が外側から囲まれる。なお、ガス導入管16−2aおよび16−2bの途中には、それぞれEUV集光ミラーM1の反射面に向けて開口した穴が略等間隔に設けられている。したがって、ラジカル発生器15Aおよび15Bからガス導入管16−2aおよび16−2b内に送られたHラジカルは、ガス導入管16−2aおよび16−2bの途中の穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の反射面の外周から満遍なく、EUV集光ミラーの反射表面に沿って流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0066】
なお、ガス導入管16−2aおよび16−2bは、たとえばドロップレット生成器14bのノズル14c先端から出力されたドロップレットDがプラズマ生成サイトP1に向けて進行すること、および、プラズマ生成サイトP1を通過したドロップレットDまたはドロップレットDの残骸がドロップレット回収部14dに向けて進行することを妨げないように、その一部に隙間がそれぞれ設けられる。
【0067】
・変形例3
つぎに、上記した実施の形態の変形例3によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図14Aは、本変形例3によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図14Bは、図14Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図14Aは図14Bに示すAA断面図である。
【0068】
図14Aおよび図14Bに示すように、本変形例3では、EUV集光ミラーM1に対して複数(たとえば4つ)のラジカル発生器15A〜15Dが設けられている。このラジカル発生器15A〜15Dは、EUV集光ミラーM1の反射面側から見て、軸対称に略等間隔に配置されている。ラジカル発生器15Aからは、EUV集光ミラーM1の反射面を外側から囲むように、1/4円弧状のガス導入管16−3aが延在する。同様に、ラジカル発生器15B〜15Dからは、それぞれ、EUV集光ミラーM1の反射面を外側から囲むように、1/4円弧状のガス導入管16−3b〜16−3dが延在する。この4つの1/4円弧状のガス導入管16−3a〜16−3dによって、EUV集光ミラーM1の反射面が外側から囲まれる。なお、ガス導入管16−3a〜16−3dの途中には、それぞれEUV集光ミラーM1の反射面に向けて開口した穴が略等間隔に設けられている。したがって、ラジカル発生器15A〜15Dからガス導入管16−3a〜16−3d内に送られたHラジカルは、ガス導入管16−3a〜16−3d途中の穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の反射面の外周から満遍なく、EUV集光ミラーの反射表面に沿って流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0069】
なお、ガス導入管16−3a〜16−3dは、たとえばドロップレット生成器14bのノズル14c先端から出力されたドロップレットDがプラズマ生成サイトP1に向けて進行すること、および、プラズマ生成サイトP1を通過したドロップレットDまたはドロップレットDの残骸がドロップレット回収部14dに向けて進行することを妨げないように、その一部に隙間がそれぞれ設けられる。
【0070】
また、プラズマ生成サイトP1を通る磁場Bを生成して、プラズマ生成サイトP1付近に発生したイオンなどのSnのデブリをミチゲーションしてイオン回収部18aおよび18bで回収する場合、この磁場によってトラップされたデブリが通過する部分には、この通過を妨げないように、その一部に隙間がそれぞれ設けられる。
【0071】
・変形例4
つぎに、上記した実施の形態の変形例4によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図15Aは、本変形例4によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図15Bは、図15Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図15Aは図15Bに示すAA断面図である。
【0072】
図15Aおよび図15Bに示すように、本変形例4によるガス導入管16−4は、EUV集光ミラーM1の反射面側から見た形状が略直線であって(図15B参照)、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って弓状に歪曲する形状を備える(図15A参照)。また、ガス導入管16−4の略中央のEUV集光ミラーM1の貫通孔M1aに対応する位置には、この貫通孔M1aを避けるように半弧状に歪曲した歪曲部16−4aが設けられる(図15B参照)。
【0073】
このような形状を有するガス導入管16−4は、EUV光L2のオブスキュレーション領域E内に配置される。オブスキュレーション領域とは、EUV集光ミラーによって集光されるEUV光のうちが露光装置において利用されないEUV光の角度範囲に対応する領域のことをいう。すなわち、オブスキュレーション領域は、露光装置において利用されないEUV光の角度範囲に含まれる3次元的な領域である。
【0074】
ガス導入管16−4の途中には、EUV集光ミラーM1の反射面の表面に沿ってエッチングガスが流れるように開口した穴が両側に略等間隔に設けられている。したがって、ラジカル発生器15からガス導入管16−4内に送られたHラジカルは、ガス導入管16−4途中の穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の中央の貫通孔M1aを通る中心線付近から満遍なく、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0075】
なお、ガス導入管16−4は、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って歪曲している。この構成により、ドロップレット生成器14bのノズル14c先端からオブスキュレーション領域E内に出力されたドロップレットDのプラズマ生成サイトP1への進行を妨げることがない。
【0076】
・変形例5
つぎに、上記した実施の形態の変形例5によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図16Aは、本変形例5によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図16Bは、図16Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図16Aは図16Bに示すAA断面図である。
【0077】
図16Aおよび図16Bに示すように、本変形例5によるガス導入管16−5は、EUV集光ミラーM1の反射面側から見た形状が略直線であって(図16B参照)、EUV集光ミラーM1の反射面の端から中央の貫通孔M1aにかけて反射面に沿って弓状に歪曲する形状を備える(図16A参照)。また、ガス導入管16−5の先端部であってEUV集光ミラーM1の貫通孔M1aに対応する位置には、この貫通孔M1aを囲む円部16−5aが設けられる(図16B参照)。なお、本変形例5によるガス導入管16−5も、EUV光L2のオブスキュレーション領域E内に配置される。
【0078】
ガス導入管16−5先端の円部16−5aには、EUV集光ミラーM1の表面に沿ってエッチングガスが流れるように開口した穴が外側に向けて略等間隔に設けられている。したがって、ラジカル発生器15からガス導入管16−5内に送られたHラジカルは、円部16−5aに設けられた穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の中央の貫通孔M1a付近から満遍なく、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0079】
なお、ガス導入管16−5は、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って歪曲している。この構成により、ドロップレット生成器14bのノズル14c先端からオブスキュレーション領域E内に出力されたドロップレットDのプラズマ生成サイトP1への進行を妨げることがない。
【0080】
・変形例6
つぎに、上記した実施の形態の変形例6によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図17Aは、本変形例6によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図17Bは、図17Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図17Aは図17Bに示すAA断面図である。
【0081】
図17Aおよび図17Bに示すように、本変形例6によるガス導入管16−6a〜16−6dは、それぞれ、EUV集光ミラーM1の背面側から貫通孔M1aを介して反射面側に突出する形状を有する。ガス導入管16−6a〜16−6dは、EUV集光ミラーM1の反射面側から見て軸対称に配置される。
【0082】
ガス導入管16−6a〜16−6dにおける貫通孔M1aから突出した先端部分には、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って開口する複数の穴が設けられる。したがって、ラジカル発生器15からガス導入管16−6a〜16−6d内に送られたHラジカルは、先端部分の穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の中央の貫通孔M1a付近から満遍なく、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って同心円状に流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0083】
・変形例7
つぎに、上記した実施の形態の変形例7によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図18Aは、本変形例7によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図18Bは、図18Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図18Aは図18Bに示すAA断面図である。
【0084】
図18Aおよび図18Bに示すように、本変形例7によるガス導入管16−7a〜16−7dは、それぞれ、EUV集光ミラーM1の背面側から貫通孔M1aを介して反射面側に突出する形状を有する。また、ガス導入管16−7a〜16−7dの貫通孔M1aから突出した部分は、EUV集光ミラーM1の反射面の端に向かって延伸するとともに、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って歪曲している。なお、ガス導入管16−7a〜16−7dは、EUV集光ミラーM1の反射面側から見て軸対称に配置される。
【0085】
ガス導入管16−7a〜16−7dにおける貫通孔M1aから突出した部分には、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って開口する複数の穴が設けられる。したがって、ラジカル発生器15からガス導入管16−7a〜16−7d内に送られたHラジカルは、先端部分の穴から吹き出す。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の中央の貫通孔M1a付近から満遍なく、EUV集光ミラーM1の反射面に沿って同心円状に広がって流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0086】
・変形例8
つぎに、上記した実施の形態の変形例8によるガス導入管について、図面を参照して詳細に説明する。図19Aは、本変形例8によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図19Bは、図19Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。図19Cは、本変形例8によるガス導入管の先端部分の概略形状を示す斜視図である。
【0087】
図19A〜図19Cに示すように、本変形例8によるガス導入管16−8は、開口する先端がドーム状に拡がった円錐状の外板16−8aと、同様に開口する先端がドーム状に拡がり且つこの先端が外板16−8aの開口部から隙間を持ちつつ突出する円錐状の内板16−8bと、を備える。すなわち、ガス導入管16−8は、外板16−8aと内板16−8bとの間に隙間が設けられた二重構造の構成をしている。ガス導入管16−8の先端部は、EUV集光ミラーM1の背面側より貫通孔M1aを介して反射面側に突出している。したがって、ガス導入管16−8の先端側に形成されたドーム状に拡がる部分の隙間16−81は、EUV集光ミラーM1の反射面を向く。Hラジカルは、ガス導入管16−8におけるEUV集光ミラーM1の背面側の隙間からガス導入管16−8内に流入し、その後、EUV集光ミラーM1の反射面側に突出した先端部分の隙間から吹き出される。これにより、Hラジカルガスが、EUV集光ミラーM1の中央の貫通孔M1a付近から満遍なく、EUV集光ミラーの反射面に沿って同心円状に広がって流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0088】
・変形例9
つぎに、上記した実施の形態の変形例9について、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施の形態および変形例では、Hをラジカル化し、Hラジカルの状態で各種光学要素の表面に沿って流していた。これに対し、本変形例9では、チャンバ11内の光学要素、特にEUV光L2を強く浴びるEUV集光ミラーM1に対して、Hラジカルではなく、Hガスを吹きつける。図20Aは、本変形例9によるガス導入管およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図20Bは、図20Aに示すガス導入管およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図20Aは図20Bに示すAA断面図である。
【0089】
図20Aおよび図20Bに示すように、本変形例9によるガス導入管16−9は、EUV集光ミラーM1の反射面に沿ってH2ガスを流す。なお、ガス導入管16−9の形状は、EUV集光ミラーM1で反射されたEUV光L2を略遮蔽しないものであれば、如何様にも変形できる。
【0090】
EUV集光ミラーM1の反射面に沿って流されたHガスは、プラズマ生成サイトP1で発生した紫外光、真空紫外光およびEUV光L2等の短波長の光に照射されることで、ラジカル化する。この結果、EUV集光ミラーM1の表面を、水素がHラジカルの状態で流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0091】
・変形例10
つぎに、上記した実施の形態の変形例10について、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施の形態および変形例では、ガス導入管を介してHラジカルまたはHガスをチャンバ11内の光学要素の表面に沿って流した。ただし、これに限定されず、チャンバ11内の光学要素の表面に直接HラジカルまたはHガスを流すラジカル発生器を配置してもよい。図21Aは、本変形例10によるラジカル発生器およびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図21Bは、図21Aに示すラジカル発生器およびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図21Aは図21Bに示すAA断面図である。
【0092】
図21Aおよび図21Bに示すように、本変形例10では、EUV集光ミラーM1に対して複数(たとえば2つ)のラジカル発生器15−10aおよび15−10bが設けられている。このラジカル発生器15−10aおよび15−10bは、EUV集光ミラーM1の反射面側から見て、EUV集光ミラーM1の反射面上外に軸対称に配置されている。ラジカル発生器15−10aおよび15−10bのラジカル噴出口は、EUV集光ミラーM1の表面に沿ってラジカルが流れるように向いている。これにより、ラジカル発生器15−10aおよび15−10bから噴出されたHラジカルがEUV集光ミラーM1の反射面に沿って流れる。この結果、EUV集光ミラーM1の反射面の外周から満遍なくHラジカルが流され、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0093】
・変形例11
つぎに、上記した実施の形態の変形例11について、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施の形態および変形例では、ガス導入管を介してHラジカルまたはHガスをチャンバ11内の光学要素に流した。しかし、これに限定されず、チャンバ11内の光学要素に近接してHガスをラジカル化するフィラメントを配置するとともに、チャンバ11内にHガスを充填しておいてもよい。図22Aは、本変形例11によるフィラメントおよびEUV集光ミラーの概略構成を示す断面図である。図22Bは、図22Aに示すフィラメントおよびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。なお、図22Aは図22Bに示すAA断面図である。
【0094】
図22Aおよび図22Bに示すように、本変形例11では、EUV集光ミラーM1に対して複数(たとえば2つ)のフィラメント16−11が設けられている。このフィラメント16−11は、EUV集光ミラーM1の反射面側から見て、EUV集光ミラーM1の反射面上外に軸対称に配置されている。Hガスは、フィラメント16−11近傍を通過する際にエネルギーを受けてラジカル化し、その後、EUV集光ミラーM1の反射面に入射する。この結果、EUV集光ミラーM1の特に反射面に付着したSnがエッチングされる。
【0095】
(実施の形態5)
つぎに、本開示の実施の形態5によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。上述の実施の形態および変形例では、EUV光生成装置の稼働中に光学要素にHラジカルまたはHガスを反射面に沿って流れるように吹きつけて光学要素に付着したSnをエッチングしていた。これに対し、本実施の形態5では、EUV光生成装置の停止中に光学要素の反射面全体にHラジカルまたはHガスを吹きつけて光学要素に付着したSnをエッチングする。図23は、本実施の形態5によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式断面図である。
【0096】
図23に示すように、本実施の形態5によるチャンバ11Aは、チャンバ11A内におけるEUV集光ミラーM1の前面に、外部からラジカル発生器16−12を導入するためのゲートW4aが設けられている。このゲートW4aは、シャッタW4によって密閉することが可能である。EUV光生成装置の停止時には、まず、シャッタW4を移動してゲートW4aを開け、ラジカル発生器16−12をチャンバ11A内に導入する。その後、ラジカル発生器16−12から各光学要素、たとえばEUV集光ミラーM1の反射面全体に向けてHラジカルまたはHガスを吹き付ける。この結果、EUV集光ミラーM1等の光学要素に付着したSnがエッチングされる。
【0097】
他の構成および効果は、上述した実施の形態のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0098】
(実施の形態6)
つぎに、本開示の実施の形態6によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。上述の実施の形態5によるラジカル発生器16−12は、Hガスを吹き出すガス導入管およびガス導入管より吹き出したHガスをラジカル化するフィラメントに、置き換えてもよい。図24Aは、本実施の形態6によるEUV光生成装置の概略構成を示す模式断面図である。図24Bは、図24Aに示すフィラメントおよびEUV集光ミラーをEUV集光ミラーの反射面側から見た際の概略構成を示す模式図である。
【0099】
図24Aおよび図24Bに示すように、本実施の形態6では、チャンバ11A内に、ラジカル発生器16−12に代え、不図示のH2ガスボンベに接続されたガス導入管16−13aが導入される。ガス導入管16−13aのガス放出口には、Hガスをラジカル化するフィラメント16−13が設けられている。EUV光生成装置の停止時には、まず、シャッタW4を移動してゲートW5を開け、ガス導入管16−13aをチャンバ11A内に導入する。その後、フィラメント16−13に電流を流すとともに、ガス導入管16−13aへHガスを流入する。これにより、ガス導入管16−13aから吹き出すHガスがラジカル化し、Hラジカルとなって各光学要素、たとえばEUV集光ミラーM1の反射面全体に向けて吹きつけられる。この結果、EUV集光ミラーM1等の光学要素に付着したSnがエッチングされる。
【0100】
他の構成および効果は、上述した実施の形態のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0101】
また、上記実施の形態およびその変形例は本開示を実施するための例にすぎず、本開示はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本開示の範囲内であり、更に本開示の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。例えば各実施の形態に対して適宜例示した変形例は、他の実施の形態に対して適用することも可能であることは言うまでもない。
【0102】
さらに、上述の実施の形態では、好ましい例として光学要素の表面に沿ってエッチングガスを流す実施の形態を示したが、この実施の形態に限定されることなく、光学要素の反射面に対してエッチングガスを吹き付けてもある程度のSnをエッチングすることができる。図23および図24の実施の形態のように光学要素表面全体に対してエッチングガスを吹きつけるのが好ましい。
【0103】
なお、光学要素を温度調節する装置として、温度制御された熱媒体を光学要素基板に流す例やヒータとチラーとを組み合わせた例を示したが、これらの例に限定されることなく、加熱と冷却ができるシステムであれば如何なるものも適用することができる。たとえば、温度調節素子としてペルチェ素子を使用して電流を制御することによって高精度に光学要素を温度制御してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1、3 EUV光生成装置
10 EUV光生成コントローラ
11、11A チャンバ
11a、11b、11c パーティション
12 排気ポンプ
13 露光装置接続部
14a ドロップレットコントローラ
14b ドロップレット生成器
14c ノズル
14d ドロップレット回収部
15、15a、15A〜15D、15−10a、15−10b、16−12 ラジカル発生器
16a〜16c、16−1、16−2a、16−2b、16−3a〜16−3d、16−4、16−5、16−6a〜16−6d、16−7a〜16−7d、16−8、16−9、16−13a ガス導入管
16−4a 歪曲部
16−5a 円部
16−8a 外板
16−8b 内板
16−11、16−13 フィラメント
16−81 隙間
17 チラー
18a、18b イオン回収部
M 光学要素
M1 EUV集光ミラー
M2、M3 放物面ミラー
20 温度コントローラ
20a 電源
20b ヒータ
20c 温度センサ
21〜25、40 温度コントローラ
21a〜25a、40a 電源
21b〜25b、40b ヒータ
21c〜25c、40c 温度センサ
31、32、33、34、35、36、 スタナントラップ
31A、32A 外周リング
31B レーザ光通過リング
31C、32C トラッピングブレード
31a レーザ光通過穴
31b、32b EUV光通過穴
32B 芯
33B ブレード
40A 回収部
C1〜C5 熱媒体流路
Cin 主送配管
C1in〜C5in 副送配管
Cout 主排配管
C1out〜C5out 副排配管
D ドロップレット
E オブスキュレーション領域
IF 中間集光点
L1a プリパルスレーザ光
L1b メインパルスレーザ光
L2 EUV光
M1a 貫通孔
ML メインパルスレーザ
PL プリパルスレーザ
P1 プラズマ生成サイト
T1in〜T5in、T1out〜T5out 温度センサ
V1〜V5 流量調節バルブ
W1、W2 ウィンドウ
W3 ゲートバルブ
W4 シャッタ
W4a ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置と共に用いられ、外部装置に極端紫外光を供給するよう接続される極端紫外光生成装置であって、
レーザ光を内部に入射させるための少なくとも1つの入射口を有するチャンバと、
前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部と、
前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内で前記ターゲット物質が前記レーザ光に照射される際に放出されて前記少なくとも1つの光学要素に付着した前記ターゲット物質のデブリをエッチングするために導入されるエッチングガスが通過するエッチングガス導入部と、
前記チャンバに接続される排気ポンプと、
前記チャンバ内に配置される少なくとも1つの光学要素と、
前記少なくとも1つの光学要素の温度を制御する少なくとも1つの温度調節機構と、
を備える極端紫外光生成装置。
【請求項2】
前記ターゲット物質は錫である、請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項3】
前記エッチングガスはHガスである、請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項4】
前記エッチングガスはHラジカルガスである、請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項5】
前記エッチングガス導入部には、前記少なくとも1つの光学要素の表面に向けられた少なくとも1つの開口が設けられる、
請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの温度調節機構は、前記少なくとも1つの光学要素に接続される第1の温度調節機構を含み、
前記第1の温度調節機構は、前記少なくとも1つの光学要素に設けられる温度調節素子と、該温度調節素子に接続され該温度調節素子に電流を供給する電源と、前記少なくとも1つの光学要素の温度を検出する温度センサと、該温度センサが検出した温度に基づいて前記電源から前記温度調節素子に供給される電流を制御することで前記光学要素の温度を制御する温度コントローラと、を含む、
請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項7】
前記第1の温度調節機構は、熱媒体と、該熱媒体の温度を調節して流出させる温度調節部と、該温度調節部から流出した温度調節後の前記熱媒体を前記光学要素に導く流路と、をさらに含む、請求項6記載の極端紫外光生成装置。
【請求項8】
前記温度調節素子はペルチェ素子である、請求項6記載の極端紫外光生成装置。
【請求項9】
前記第1の温度調節機構は、前記少なくとも1つの光学要素の温度を第1の所定の温度範囲内に維持する、請求項6記載の極端紫外光生成装置。
【請求項10】
前記第1の所定の温度範囲は、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも大きくなる温度範囲である、請求項9記載の極端紫外光生成装置。
【請求項11】
前記チャンバ内に配置され、前記気体反応生成物から前記デブリを析出させてトラップするための少なくとも1つのトラップ部をさらに備える、請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光学要素は、前記チャンバ内の前記所定の領域で前記ターゲット物質が前記レーザ光に照射されて放射される極端紫外光を集光するための集光ミラーを含み、
前記少なくとも1つのトラップ部は、前記チャンバ内の前記所定の領域と前記集光ミラーの反射面との間に配置される第1のトラップ部を含む、
請求項11記載の極端紫外光生成装置。
【請求項13】
前記第1のトラップ部は、該第1のトラップ部の温度を検出する温度センサと、該第1のトラップ部を加熱するヒータと、前記ヒータに電流を供給する電源と、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電源から前記ヒータに供給される電流を制御する温度コントローラと、を含み、
前記第1のトラップ部には、前記極端紫外光を通過させるための貫通孔が設けられる、
請求項12記載の極端紫外光生成装置。
【請求項14】
前記温度コントローラは、前記第1のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点未満の温度範囲内に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御する、請求項13記載の極端紫外光生成装置。
【請求項15】
前記温度コントローラは、前記第1のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点以上沸点未満の温度範囲に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御し、
前記第1のトラップ部は、該第1のトラップ部表面で溶融した前記デブリを回収するための回収部をさらに備える、
請求項13記載の極端紫外光生成装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのトラップ部は、前記チャンバ内の該チャンバと前記外部装置との接続部分近傍に配置される第2のトラップ部を含む、請求項11記載の極端紫外光生成装置。
【請求項17】
前記第2のトラップ部は、該第2のトラップ部の温度を検出する温度センサと、該第2のトラップ部を加熱するヒータと、前記ヒータに電流を供給する電源と、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電源から前記ヒータに供給される電流を制御する温度コントローラと、を含み、
前記第2のトラップ部には、前記極端紫外光を通過させるための貫通孔が設けられる、
請求項16記載の極端紫外光生成装置。
【請求項18】
前記温度コントローラは、前記第2のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点未満の温度範囲内に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御する、請求項17記載の極端紫外光生成装置。
【請求項19】
前記温度コントローラは、前記第2のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点以上沸点未満の温度範囲に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御し、
前記第2のトラップ部は、該第2のトラップ部表面で溶融した前記デブリを回収するための回収部をさらに備える、
請求項17記載の極端紫外光生成装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのトラップ部は、前記チャンバ内の該チャンバと前記排気ポンプとの接続部分近傍に配置される第3のトラップ部を含む、請求項11記載の極端紫外光生成装置。
【請求項21】
前記第3のトラップ部は、該第3のトラップ部の温度を検出する温度センサと、該第3のトラップ部を加熱するヒータと、前記ヒータに電流を供給する電源と、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電源から前記ヒータに供給される電流を制御する温度コントローラと、を含み
前記第3のトラップ部は、通気性を有するよう構成される、
請求項20記載の極端紫外光生成装置。
【請求項22】
前記温度コントローラは、前記第3のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点未満の温度範囲内に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御する、請求項21記載の極端紫外光生成装置。
【請求項23】
前記温度コントローラは、前記第3のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点以上沸点未満の温度範囲に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御し、
前記第3のトラップ部は、該第3のトラップ部表面で溶融した前記デブリを回収するための回収部をさらに備える、
請求項21記載の極端紫外光生成装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのトラップ部は、前記チャンバ内に配置される少なくとも1つの第4のトラップ部を含む、請求項11記載の極端紫外光生成装置。
【請求項25】
前記第4のトラップ部は、該第4のトラップ部の温度を検出する温度センサと、該第4のトラップ部を加熱するヒータと、前記ヒータに電流を供給する電源と、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電源から前記ヒータに供給される電流を制御する温度コントローラと、を含む、請求項24記載の極端紫外光生成装置。
【請求項26】
前記温度コントローラは、前記第4のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点未満の温度範囲内に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御する、請求項25記載の極端紫外光生成装置。
【請求項27】
前記温度コントローラは、前記第4のトラップ部が、前記デブリと前記エッチングガスとが反応して前記気体反応生成物が発生する反応速度が、前記気体反応生成物が分解されて前記デブリが析出する反応速度よりも小さくなる温度範囲であって、前記デブリの融点以上沸点未満の温度範囲に維持されるように前記ヒータに供給される電流を制御し、
前記第4のトラップ部は、該第4のトラップ部表面で溶融した前記デブリを回収するための回収部をさらに備える、請求項25記載の極端紫外光生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【公開番号】特開2012−169580(P2012−169580A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49687(P2011−49687)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト/次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト(石特会計)/EUV光源高信頼化技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】