説明

構造物部材の劣化度評価システムおよび評価方法

【課題】構造物部材からのサンプル採取を適切に実施することができ、あるいはin situによる材料特性の診断を適切に実施することができて、構造物部材の劣化度を精度よく評価することのできる構造物部材の劣化度評価システムおよび評価方法を提供する。
【解決手段】構造物部材からサンプルを採取して材料特性を測定し前記構造物部材の劣化度を評価するシステムにおいて、あらかじめ表示された材料と劣化事象の組合せからいずれかを選択した場合に測定すべき材料特性を表示する材料特性診断項目選択画面3を生成表示する手段と、診断を行う材料特性を選択した場合に材料特性診断に必要なサンプル最小寸法あるいは採取可能な部位あるいは採取方法を表示するサンプル最小寸法・採取位置・採取方法表示画面4,5,6を生成表示する手段とを備えている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントなどの構造物部材の健全性を評価し、将来の欠陥進展性を予測する上で基礎データとなる材料劣化度を正確に把握するための構造物部材の劣化度評価システムおよび評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
供用期間が数十年にも及ぶプラントにおいては、プラントの健全性を保証するため、プラントを構成する構造物部材の劣化状態の監視が不可欠である。特に原子力発電プラントにおいては、懸念される材料劣化事象として、鋭敏化/応力腐食割れ(SCC)、照射誘起鋭敏化/応力腐食割れ(IASCC)、照射脆化、疲労、熱時効(脆化)などがある。これら個々の劣化事象については、劣化状態の監視技術に対する要求が高かったこともあり、従来から劣化状態を定量的に評価する技術が既に開発されてきている。例えば、応力腐食割れ(SCC)については、下記特許文献1に記載されているように、原子炉炉内構造物から採取した微小試験片を用いて、腐食加速条件下において応力腐食割れ感受性を評価する技術がある。
【0003】
鋭敏化(照射鋭敏化/IASCC)については、特許文献2および特許文献3に記載されているように、エッチング処理後、金属組織、結晶粒界の幅および面積を顕微鏡で観察し、その画像を処理して材料特性値を抽出し、局所的な鋭敏化度を測定する方法がある。また特許文献4に記載されているように、疲労等に起因する欠陥を、電磁コイル等によって検出し劣化度を評価する方法がある。また特許文献5に記載されているように、余寿命評価の対象部位を研磨等により前処理し、その部分について硬さ測定やクリープキャビティの観察をすることによって余寿命を評価する。また、実機原子炉内にあらかじめ装荷した評価用サンプルあるいは構造物部材から採取した評価用微小サンプルを用いて材料劣化を評価する方法としては、特許文献6などがある。また上記の原子炉圧力容器の経年劣化評価に関する要素技術開発状況については、非特許文献1にまとめて示されている。
【0004】
しかし、これらの文献に記載されている劣化評価技術は、いずれも個々の材料劣化事象の評価を行う要素技術であり、例えばある劣化事象の進行状態を複数の材料特性の測定によって総合的に評価しようとする際に、材料特性の測定項目に応じて、必要なサンプル採取寸法を提示する機能や構造物部材の設計強度を勘案し、適切な採取寸法や採取位置を導出し提示する機能などの的確な材料特性評価を可能とするシステムについて検討した例は見られない。
【特許文献1】特開平11−173970号公報
【特許文献2】特開平4−290959号公報
【特許文献3】特開平6−034624号公報
【特許文献4】特開平6−242076号公報
【特許文献5】特開昭62−245960号公報
【特許文献6】特開平11−287888号公報
【非特許文献1】庄子哲雄編「火力・原子力および化学プラント機器・構造部材の経年劣化と寿命予測」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、原子力発電プラント等で発生が懸念されるSCC、IASCC、鋭敏化(含む照射誘起)、疲労および脆化などの材料劣化事象の各々については、個々の劣化事象を評価する材料特性の診断手法が検討されている。ただし、ある劣化事象の進行状態を複数の材料特性を測定診断することによって総合的に評価する場合において、材料特性の診断項目に応じて、対象とする材料劣化事象および鋼種の組合せから診断が必要な材料特性を自動的に抽出・表示する機能や、構造物からサンプルを採取して材料特性の診断を行う場合について診断に必要な最小寸法あるいは採取可能部位あるいは採取方法を自動的に提示する機能、in situ(構造物のまま)で非破壊的に材料特性の診断を行う場合について、測定可能な部位を自動的に提示する機能、材料特性診断用に採取するサンプルの採取可能寸法を構造物部材の設計強度から自動的に計算する機能、自動的に提示するシステムと材料特性の測定診断結果に基づいて将来の欠陥進展挙動を予測する機能、サンプルの採取痕の適切な補修方法を自動的に提示する機能などは検討されておらず、評価測定実施後のプラント運転に影響を及ぼさない範囲で適切に構造物部材の劣化度評価を実施する上で問題がある。
【0006】
そこで本発明は、構造物部材からのサンプル採取を適切に実施することができ、あるいはin situによる材料特性の診断を適切に実施することができて、構造物部材の劣化度を精度よく評価することのできる構造物部材の劣化度評価システムおよび評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、構造物部材からサンプルを採取して材料特性を測定し前記構造物部材の劣化度を評価するシステムにおいて、あらかじめ表示された材料と劣化事象の組合せからいずれかを選択した場合に測定すべき材料特性を表示する材料特性診断項目選択画面生成表示手段と、診断を行う材料特性を選択した場合に材料特性診断に必要なサンプル最小寸法あるいは採取可能な部位あるいは採取方法を表示するサンプル最小寸法・採取位置・採取方法表示画面生成表示手段とを備えている構成とする。
【0008】
請求項3の発明は、構造物部材についてあらかじめ表示された材料と劣化事象の組合せからいずれかを選択した場合に診断すべき材料特性を表示する材料特性診断項目選択画面生成表示手段と、診断を行う材料特性を選択した場合に構造物部材上の測定可能部位を表示する構造物測定位置表示画面生成表示手段とを備えている構成とする。
【0009】
請求項10の発明は、構造物部材について材料特性を測定し、その結果に基づいて前記構造物部材の劣化度を評価するシステムにおいて、対象とする材料劣化事象および材料の組合せから診断が必要な材料特性を抽出・表示する材料特性診断項目選択サブシステムと、診断する材料特性に対応して、構造物部材からサンプルを採取して材料特性の測定診断を行う場合には診断に必要な最小寸法あるいは採取可能部位あるいは採取方法を表示するサンプル寸法・採取位置・採取方法表示サブシステムと、構造物の状態で非破壊的に材料特性の診断を行う場合には測定可能な部位を表示する構造物測定位置表示サブシステムと、材料特性診断用に採取するサンプルの採取可能寸法を構造物部材の設計強度から計算し表示するサンプル採取可能寸法表示サブシステムと、材料特性の診断結果に基づいて爾後の欠陥進展挙動を予測する欠陥進展挙動予測サブシステムと、サンプルの採取痕について肉盛り溶接あるいは当て板補修溶接あるいは摩擦圧接接合による肉盛あるいは補修部品を着脱可能な治具によって固定する方法のいずれかを選択して表示する補修方法表示サブシステムのいずれか1つ以上の組合せによってなる構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構造物部材からのサンプル採取を適切に実施することができ、あるいはin situによる材料特性の診断を適切に実施することができて、構造物部材の劣化度を精度よく評価することのできる構造物部材の劣化度評価システムおよび評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る第1ないし第9の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図1に示すように、サンプル採取/in situ非破壊測定選択画面1を生成表示するサンプル採取/in situ非破壊測定選択画面生成表示手段と、あらかじめ提示された材料と劣化事象の組合せから少なくとも1つ以上を選択する材質・劣化事象選択画面2を生成表示する材質・劣化事象選択画面生成表示手段と、診断すべき材料特性の項目を少なくとも1つ以上自動的に表示し、そこから材料特性の項目を少なくとも1つ以上選択する材料特性診断項目選択画面3を生成表示する材料特性診断項目選択画面生成表示手段と、サンプリングによる材料特性診断に必要な最小サンプル寸法、採取可能な部位、採取方法をそれぞれ自動的に表示するサンプル最小寸法表示画面4を生成表示するサンプル最小寸法表示画面生成表示手段、サンプル採取位置表示画面5を生成表示するサンプル採取位置表示画面生成表示手段およびサンプル採取方法表示画面6を生成表示するサンプル採取方法表示画面生成表示手段より構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。
【0012】
本実施の形態において、評価者は、サンプル採取/in situ非破壊測定選択画面1によってサンプル採取またはin situ非破壊による測定を選択したのち、材質・劣化事象選択画面2において評価対象の材料と材料劣化表示の劣化事象の各々から組合せを選択する。この実施例においては原子力発電所で通常使用されている炭素鋼(A533B)、ステンレス鋼(304(L),316(L),Ni基合金を評価対象の材料の一例として示している。また、劣化事象としては一般的なSCC(応力腐食割れ),IASCC(照射加速型応力腐食割れ),熱時効脆化,照射脆化,疲労を一例として示している。なお、この項目は作業者によって適宜変更、訂正することができる。評価システムはこの入力に基づいて、評価システムに備えられたデータベースを参照し、両者に関連の深い劣化特性を出力し材料特性診断項目選択画面3に表示する。この材料特性診断においては一般的な診断項目として、組織観察,硬さ測定,再活性化率測定,超音波探傷,渦電流探傷,ミニ引張試験,ミニシャルピー試験,ミニSSRT試験(低ひずみ速度引張試験)を項目として設定している。評価者がこの材料特性診断項目選択画面3において何らかの材料特性の項目を選択すると、データベースを参照して、画面4にあらかじめ定めたサンプルの最小寸法が表示され、画面5に構造物中におけるサンプル採取可能部位が「○」で表示され、画面6に例えば溶接線に沿って回転力Aでグラインダによって削り搾取する等のサンプル採取方法が自動的に表示される。
【0013】
本実施の形態によれば、構造物部材からのサンプル採取を適切に実施することができ、構造物部材の高精度な劣化度評価を行うことができる。
【0014】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図2に示すように、サンプル採取/in situ非破壊測定選択画面1を生成表示するサンプル採取/in situ非破壊測定選択画面生成表示手段と、あらかじめ提示された材料と劣化事象の組合せから少なくとも1つ以上を選択する材質・劣化事象選択画面2を生成表示する材質・劣化事象選択画面生成表示手段と、診断すべき材料特性の項目を少なくとも1つ以上自動的に提示する材料特性診断項目選択画面3を生成表示する材料特性測定項目選択画面生成表示手段と、そこから材料特性のin situ測定可能な部位を少なくとも1つ以上選択するin situ測定位置表示画面7を生成表示するin situ測定位置表示画面生成表示手段から構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。なお、図2において図1と同一部分には同一符号を付し、その部分の構成の説明は省略する。
【0015】
本実施の形態において、評価者は、画面1によってin situ測定を選択したのち、画面2において材料と劣化事象の組合せ2a,2bを選択する、評価システムは、この入力に基づきデータベースを参照して、両者に関連の深い劣化特性を出力し画面3に表示する。評価者が画面3において材料特性の項目3aを選択すると、評価システムはデータベースを参照して、in situ測定位置を画面7に表示する。ここで画面7は右側に診断位置を例えばA〜Fとして図に示し、左側に画面3で選択した材料特性診断測定項目について矢印でその診断位置を例えば「A〜F」と指定表示している。
【0016】
本実施の形態によれば、構造物部材に対するin situにおける材料特性測定を適切に実施することができ、構造物部材の高精度な劣化度評価を行うことができる。
【0017】
(第3の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図3に示すように、第1の実施の形態(図1)における画面4において表示された最小寸法から、構造物部材におけるサンプル採取位置が表示され、そこからサンプル採取位置を選択するサンプル採取位置選択画面5aを生成表示するサンプル採取位置選択画面生成表示手段と、画面5aにおいて選択したサンプル採取位置において、構造物部材の設計強度から採取可能な寸法を計算し自動的に表示するサンプル採取可能寸法表示画面8を生成表示するサンプル採取可能寸法表示画面生成表示手段から構成されている。 各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。画面8においては左側に採取方法を示し、右側に採取位置A〜Fごとの寸法が表示される。ここで当該部分の設計厚さ、現在の厚さ等が表示できるようになっている。
【0018】
本実施の形態において評価者は、サンプル採取位置を画面表示された範囲から選択する。評価システムは、この選択に基づき構造物部材の構造強度計算を実施し、サンプル採取可能寸法を表示する。本実施の形態によれば、構造物部材の構造強度を損うことなく構造物部材の劣化度評価を行うことができる。
【0019】
(第4の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図4に示すように、サンプル採取可能位置および欠陥の発生位置を表わす画面9を生成表示するサンプル採取可能位置/欠陥発生位置表示画面生成表示手段と、構造物部材上の欠陥の発生部位から欠陥の一部あるいは全体を含む領域についてサンプルを採取する状況を遠隔カメラにて撮像し表示する画面10を生成表示するサンプル採取状況表示画面生成表示手段から構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。
【0020】
本実施の形態では、構造物部材上の欠陥部からのサンプル採取において、欠陥の全てをサンプリングする方法(画面10a)、あるいは、欠陥の一部をサンプリングする方法(画面10b)のいずれかを選択し、採取されたサンプルの材料特性を測定して、構造物部材の劣化度評価を行う。欠陥全体を切り取る場合には、その後の欠陥進展の危険性を低減することができるとともに、欠陥発生部の材料特性値を欠陥進展評価に取り込むことによって、構造物部材の高精度な劣化度評価を行うことができる。
【0021】
(第5の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図5に示すように、in situにおける材料特性の測定位置を表示するin situ測定可能位置表示画面12を生成表示するin situ測定可能位置表示画面生成表示手段および測定状況を撮像し表示するin situ測定状況表示画面13を生成表示するin situ測定状況表示画面生成表示手段から構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。
【0022】
本実施の形態では、欠陥部の近傍においてin situにて材料特性を測定し、構造物部材の劣化度評価を行う。欠陥発生部の材料特性値を直接測定し、劣化度進展評価に取り込むことによって、高精度な評価を行うことができる。
【0023】
(第6実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図6に示すように、サンプルを採取した位置、採取形状などの履歴を表示するサンプル採取履歴表示画面14を生成表示するサンプル採取履歴表示画面生成表示手段と、採取部位の補修状況を遠隔カメラにて撮像し表示する補修状況表示画面15を生成表示する補修状況表示画面生成表示手段から構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。
【0024】
本実施の形態では、サンプル採取部の採取痕を、肉盛り溶接あるいは当て板補修溶接あるいは摩擦圧接接合による肉盛りのいずれか1つ以上の組合せにより補修する(画面15a)。あるいは補修部品を着脱可能な治具によって補修対象部に固定することにより補修するようにしてもよい(画面15b)。
【0025】
本実施の形態によれば、構造物部材からのサンプル採取後、構造物部材の構造を復元することで、サンプル採取の影響を低く抑えたまま、構造物部材の劣化度の評価を行うことができるとともにサンプル採取部の補修を容易に行うことができる。
【0026】
(第7の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図7に示すように、選択した材料特性測定項目を表示する劣化事象表示画面16を生成表示する劣化事象表示画面生成表示手段と、構造物から採取したサンプルまたは、in situ 測定用余盛のうち、上記の材料特性測定項目について評価可能なサンプルあるいは部位を表示する余盛測定部位表示画面17を生成表示する余盛測定部位表示画面生成表示手段から構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。
【0027】
評価者は、第1あるいは第2の実施の形態におけると同様の手順によって測定すべき材料特性項目を選択し、構造物部材から採取したサンプルまたは、in situ 測定用余盛のうち、測定を実施する部位を選択する。
本実施の形態によれば、サンプリング測定またはin situ測定の容易な部位にあらかじめ余盛りを備えておくことにより、構造物部材の材料特性測定を容易に行うことができる。
【0028】
(第8の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図8に示すように、第1あるいは第2の実施の形態と同様の手順によって選択した材料特性測定項目を表示する材料特性測定項目表示画面18を生成表示する材料特性測定項目表示画面生成表示手段と、測定を行う材料特性の項目18aを少なくとも1つ以上選択した場合、各材料特性の最適測定条件が自動的に表示される最適測定条件表示画面19を生成表示する最適測定条件表示画面生成表示手段から構成されている。各生成表示手段はコンピュータの演算装置と表示装置とから成っている。
【0029】
本実施の形態によれば、材料特性測定条件のばらつきをなくすことができるため、データの信頼性を高めることができ、構造物部材の精度よい劣化度評価を行うことができる。
【0030】
(第9の実施の形態)
本実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムは、図9に示すように、対象とする材料劣化事象および鋼種の組合せから測定が必要な材料特性の項目を自動的に抽出・表示する材料特性診断項目選択サブシステム21と、構造物部材からサンプルを採取して材料特性の測定を行う場合については測定に必要な最小寸法あるいは採取可能部位あるいは採取方法を自動的に表示するサンプル寸法・採取位置・採取方法表示サブシステム22と、in situで非破壊的に材料特性の測定を行う場合には測定可能な部位を自動的に表示するin situ測定位置表示サブシステム24と、材料特性測定用に採取するサンプルの採取可能寸法を構造物部材の設計強度から自動的に計算し表示するサンプル採取可能寸法表示サブシステム23と、材料特性の測定結果に基づいて爾後の欠陥進展挙動を予測する欠陥進展挙動予測サブシステムと、サンプルの採取痕について、肉盛り溶接あるいは当て板補修溶接あるいは摩擦圧接接合による肉盛あるいは補修部品を着脱可能な治具によって固定する方法のいずれかを選択して自動的に表示する補修方法表示サブシステムから構成されている。
【0031】
本実施の形態によれば、各サブシステムが行う劣化評価用サンプリングの位置・寸法の選定や、その補修方法または、in situ測定における測定位置の選定などを統合的に判定して、構造物部材の的確な劣化度評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図5】本発明の第5の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図6】本発明の第6の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図7】本発明の第7の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図8】本発明の第8の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【図9】本発明の第9の実施の形態の構造物部材の劣化度評価システムにおいて表示されるコンピュータ表示画面を示す図。
【符号の説明】
【0033】
1…サンプル採取/in situ非破壊測定選択画面、2…材質・劣化事象選択画面、3…材料特性診断項目選択画面、4…サンプル最小寸法表示画面、5…サンプル採取位置表示画面、5a…サンプル採取位置選択画面、6…サンプル採取方法表示画面、7…in situ測定位置表示画面、8…サンプル採取可能寸法表示画面、9…サンプル採取可能位置/欠陥発生位置表示画面、10…サンプル採取状況表示画面、10a…欠陥の一部をサンプリングする画面、10b…欠陥の全部をサンプリングする画面、12…in situ測定可能位置表示画面、13…in situ測定状況表示画面、14…サンプル採取履歴表示画面、15a…溶接による補修を示す画面、15b…治具固定による補修を示す画面、16…劣化事象表示画面、17…余盛測定部位表示画面、18…材料特性測定項目表示画面、19…最適測定条件表示画面、21…材料特性診断項目選択サブシステム、22…サンプル寸法・採取位置・採取方法表示サブシステム、23…サンプル採取可能寸法表示サブシステム、24…in situ測定位置表示サブシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物部材からサンプルを採取して材料特性を測定し前記構造物部材の劣化度を評価するシステムにおいて、あらかじめ表示された材料と劣化事象の組合せからいずれかを選択した場合に測定すべき材料特性を表示する材料特性診断項目選択画面生成表示手段と、診断を行う材料特性を選択した場合に材料特性診断に必要なサンプル最小寸法あるいは採取可能な部位あるいは採取方法を表示するサンプル最小寸法・採取位置・採取方法表示画面生成表示手段とを備えていることを特徴とする構造物部材の劣化度評価システム。
【請求項2】
前記サンプル最小寸法・採取位置・採取方法表示画面生成表示手段は、サンプルの採取可能な寸法を構造物部材の設計強度から計算することを特徴とする請求項1記載の構造物部材の劣化度評価システム。
【請求項3】
構造物部材についてあらかじめ表示された材料と劣化事象の組合せからいずれかを選択した場合に診断すべき材料特性を表示する材料特性診断項目選択画面生成表示手段と、診断を行う材料特性を選択した場合に構造物部材上の測定可能部位を表示する構造物測定位置表示画面生成表示手段とを備えていることを特徴とする構造物部材の劣化度評価システム。
【請求項4】
前記診断を行うべき材料特性についてそれぞれ最適な測定条件を表示する最適測定条件表示画面生成表示手段を備えていることを特徴とする請求項1または3に記載の構造物部材の劣化度評価システム。
【請求項5】
請求項1に記載の構造物部材の劣化度評価システムを用いて、構造物部材にあらかじめ欠陥が生じている場合、前記欠陥の一部あるいは全体を含む領域についてサンプルを採取して材料特性を測定診断し、その結果を用いて爾後の欠陥進展挙動を予測することを特徴とする構造物部材の劣化度評価方法。
【請求項6】
請求項1に記載の構造物部材の劣化度評価システムを用いて、前記サンプルの採取痕を、肉盛り溶接あるいは当て板補修溶接あるいは摩擦圧接接合による肉盛のいずれか1つ以上の組合せにより補修することを特徴とする構造物部材の劣化度評価方法。
【請求項7】
請求項1に記載の構造物部材の劣化度評価システムを用いて、前記サンプルの採取痕について、補修部品を着脱可能な治具によって診断対象部に固定して補修することを特徴とする構造物部材の劣化度評価方法。
【請求項8】
請求項1に記載の構造物部材の劣化度評価システムを用いて、構造物部材製造時にあらかじめ前記構造物部材と同一の材料あるいは診断対象部位と同等の材質の材料より製作され、診断対象部位と同等の経年損傷を受けることが想定される部位に設置されたサンプルに対し材料特性測定を実施することを特徴とする構造物部材の劣化度評価方法。
【請求項9】
請求項3に記載の構造物部材の劣化度評価システムを用いて、構造物部材にあらかじめ欠陥が生じている場合、前記欠陥の近傍において構造物の状態で非破壊的に材料特性を測定診断し、その結果を用いて爾後の欠陥進展挙動を予測することを特徴とする構造物部材の劣化度評価方法。
【請求項10】
構造物部材について材料特性を測定し、その結果に基づいて前記構造物部材の劣化度を評価するシステムにおいて、対象とする材料劣化事象および材料の組合せから診断が必要な材料特性を抽出・表示する材料特性診断項目選択サブシステムと、診断する材料特性に対応して、構造物部材からサンプルを採取して材料特性の測定診断を行う場合には診断に必要な最小寸法あるいは採取可能部位あるいは採取方法を表示するサンプル寸法・採取位置・採取方法表示サブシステムと、構造物の状態で非破壊的に材料特性の診断を行う場合には測定可能な部位を表示する構造物測定位置表示サブシステムと、材料特性診断用に採取するサンプルの採取可能寸法を構造物部材の設計強度から計算し表示するサンプル採取可能寸法表示サブシステムと、材料特性の診断結果に基づいて爾後の欠陥進展挙動を予測する欠陥進展挙動予測サブシステムと、サンプルの採取痕について肉盛り溶接あるいは当て板補修溶接あるいは摩擦圧接接合による肉盛あるいは補修部品を着脱可能な治具によって固定する方法のいずれかを選択して表示する補修方法表示サブシステムのいずれか1つ以上の組み合わせによってなることを特徴とする構造物部材の劣化度評価システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−138797(P2006−138797A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330381(P2004−330381)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】