説明

標識灯点灯システム

【課題】
離間した位置に配設される点灯ユニットから延在する直流線路に接続する標識灯の接触部が雨などに曝されたときに直流電蝕による磨耗が生じにくくした標識灯点灯システムを提供する。
【解決手段】
標識灯点灯システムは、直流線路に接続する接触部T1、T2、全波整流回路FWR1およびLED光源LSを備えた標識灯MLと、標識灯から分離した位置に配設され、直流点灯電流を直流線路DCLを経由して標識灯に供給し、LED光源を点灯させる直流点灯回路手段DOCおよび直流電流を標識灯に供給する際にその正負極性を切り換えて交番出力させる正負切換手段ALSを備えた点灯ユニットOUとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源を用いた標識灯点灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空港に設置されて航空機の誘導のために用いられる埋込型標識灯のように、設置する場所によっては路盤の構造上の制約から比較的薄型の標識灯が要求される場合がある。標識灯においては、内部空間が狭隘になるなどの理由で光度制御回路などの付属または関連する回路を備えた点灯ユニットを標識灯から分離して、離間した位置に設置した例えばハンドホールなどに収容する構成が採用されることがある。
【0003】
ところで、光源に発光ダイオードを用いた標識灯の場合においては、発光ダイオードは直流点灯されるために、上述の構成の場合、標識灯から離間した位置に配設される点灯ユニットから直流点灯電流を出力するように構成される。したがって、点灯ユニットと標識灯の間を接続する電力線が直流線路になるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、埋込型標識灯は、路面に設置される基台と灯器とで構成されるものが一般的である。この場合、基台が路面に対して固定的に埋設され、灯器が基台に対して着脱可能に搭載される。そして、基台には電源端子が配設され、点灯ユニットから延在する電力線が電源端子に接続する。灯器にはそれが基台に取り付けられたときに電源端子に接触して接続する受電端子が配設される。なお、灯器は、基台から取り外されて灯器メンテナンスが行われる。
【特許文献1】特開2007−308974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば雨天時またはその直後の灯器メンテナンスなどにおいて、標識灯に配設されて点灯ユニットから延在する直流線路に接続する接触部、例えば基台の電源端子および灯器の受電端子が雨水などに曝された場合、それらの正負極性となる端子間に漏電および電蝕現象が生じ、その結果、接触部が腐食磨耗に至る状況を招く可能性がある。特に直流電蝕では正負極性の対をなす端子のうち片方が摩耗減少して導通不良を起こしやすくなる

【0006】
本発明は、離間した位置に配設される点灯ユニットから延在する直流線路に接続する標識灯の接触部が雨などに曝されたときに直流電蝕による磨耗が生じにくくした標識灯点灯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の標識灯点灯システムは、直流線路に接続する接触部、全波整流回路およびLED光源を備えた標識灯と;標識灯から分離した位置に配設され、直流点灯電流を直流線路を経由して標識灯に供給し、LED光源を点灯させる直流点灯回路手段および直流電流を標識灯に供給する際にその正負極性を切り換えて交番出力させる正負切換手段を備えた点灯ユニットと;を具備していることを特徴としている。
【0008】
本発明は、以下の態様を許容する。
【0009】
標識灯は、少なくとも直流線路に接続する接触部、全波整流回路およびLED光源を備えていればよく、埋込形および地上形など多様な形態に適応させることができる。
【0010】
直流線路に接続する接触部は、後述する点灯ユニットから直流線路を経由して出力される直流点灯電流を標識灯が受電するために、標識灯に配設されて直流線路に直接的または間接的に接触して接続する手段である。標識灯が例えば基台とこの基台に搭載される灯器とから構成される場合、接触部は、既述のように基台に配設される電源端子と灯器に配設される受電端子からなる。この場合、電源端子は、直流線路に接続し、受電端子は全波整流回路に接続する。そうして、基台に灯器を装着したときに、電源端子と受電端子が接触して直流線路への接続が形成される。しかし、標識灯は、基台と灯器に分かれて構成されていなくてもよい。
【0011】
全波整流回路は、正負極性が交番し、かつ接触部を経由して入力する直流点灯電流を整流して単極性の直流電流に変換してからLED光源に供給する手段である。また、全波整流回路を備えていることにより、標識灯設置の際の直流線路が無極性化され、配線極性の誤接続によってLED光源が損傷しないように保護することもできる。
【0012】
LED光源は、標識灯としての光源の少なくとも一部として機能する。使用するLED光源の数、配光特性、発光光量などの仕様は、LED光源単独またはプリズム、光学フィルタなどの適宜の光学手段と協働して、標識灯として所定の光学特性を満足するように構成されていればよく、その余の構成について特段限定されない。
【0013】
さらに、標識灯は、以上説明した直流線路に接続する接触部、全波整流回路およびLED光源に加えて他の回路手段を備えていることが許容される。例えば、外来サージ電圧を吸収する過電圧保護回路などを付加することができる。
【0014】
さらにまた、標識灯は、その1個または複数個を後述する点灯ユニットに対して接続することができる。複数個の標識灯を接続する場合、それらを直列接続および並列接続の態様のいずれであってもよい。複数個の標識灯が互いに離間した位置に配設されている場合には、直列接続の態様であれば、点灯ユニットおよび隣接する標識灯との間の配線が単線となり、簡素化される。
【0015】
点灯ユニットは、標識灯から分離した位置に配設されるとともに、少なくとも直流点灯回路手段および正負切換手段を備えている。点灯ユニットが標識灯から分離した位置に配設されることにより、標識灯の内部に点灯ユニットを収容するためのスペースを削減できるので、その分標識灯を薄型化できる。そのため、例えば路盤構造が標識灯に薄型であることを要求するような制約がある場合には、これに効果的に対応することが可能になる。このような理由から、標識灯から分離した位置とは、点灯ユニットの標識灯との間の離間距離の長さが問題でなく、自由に設定可能である。例えば空港用の標識灯では、標識灯が航空機の走路に配設されるが、走路に隣接する芝生内の地面に埋設されたハンドホール内などに点灯ユニットを配設することができる。しかし、本発明において、標識灯は、薄型化されたものに限定されない。
【0016】
直流点灯回路手段は、標識灯に直流点灯電流を供給してそのLED光源を点灯させるとともに、標識灯として所定の動作をさせるために標識灯の光度などが所要の程度になるように直流点灯電流の大きさを制御する回路手段である。
【0017】
点灯ユニットに対する電源供給は、適当な既知の各種電源を用いて行うことができる。例えば、空港用の標識灯の場合、航空灯火点灯用定電流電源(CCR)を用いた直列給電方式が採用されているので、直流点灯回路手段は、カレントトランスを介してCCRから延在する直列給電線路に挿入されて電源の供給を受け、交流を整流して直流に変換する。
【0018】
また、CCRを用いて点灯ユニットに給電する直列給電方式においては、周囲の明るさに応じて所定の光度になるようにCCRの調光タップを切り換えることができる。この場合、点灯ユニット側においてCCRから供給される交流電流を常時監視して、CCRから供給される交流電流値を検出して調光タップがどの値に設定されているかを判別することができるので、調光タップを判別したら、これに対応した調光度で標識灯を作動するようにLED光源に供給する直流点灯電流を変化させればよい。
【0019】
LED光源に供給する直流点灯電流は、同一調光タップであれば、これを点灯中一定値に維持することが望ましい。そのためには、直流点灯電流を負帰還制御するなどの制御を行えば一定化することができる。また、調光レベルに応じたPWM制御など調光制御手段を用いて標識灯の光度を所望の値に制御することができる。PWM制御することで直流点灯電流が単極性のパルス波形すなわち矩形波になる。なお、PWM制御信号の繰り返し周波数は、例えば数百ないし数kHzに設定することができる。
【0020】
CCRを用いた直列給電方式の場合、調光タップに応じてCCDから供給される電流の値は、白熱電球を光源として用いる場合の光度−電流特性に対応している。これに対して、LED光源の場合には、光度−電流特性が上記と異なり、所要電流値が小さくなる傾向にあるので、調光タップによっては程度が異なるが、点灯ユニットから見るとCCRから供給される電流に余剰電流が含まれていることになる。このため、この余剰電流を点灯ユニット側においてバイパスさせるように負荷調整回路を点灯ユニットに付加することができる。
【0021】
一方、点灯ユニットは、一般的にLED光源に直流点灯電流を供給する主回路と主回路などに定電圧を供する補助電源回路とを備えているので、CCRを用いた直列給電方式の場合、主回路に対しては主カレントトランスを、また補助電源回路に対しては副カレントトランスを、それぞれ直列給電路に直列に挿入する。
【0022】
上述の余剰電流は、主回路においてカレントトランスの2次側においてバイパスされるが、補助電源回路の場合、最大調光度のタップ3であっても点灯ユニットを正常に起動する必要があるために、必然的に余剰電流が大きくなる。そのため、副カレントトランスの2次側において余剰電流をバイパスさせると、銅損が多くなる。この問題を回避するためには、副カレントトランスの1次側に余剰電流バイパス回路を配設することができる。そうすれば、余剰電流による副カレントトランスの銅損をなくすことができる。
【0023】
正負切換手段は、直流点灯電流を標識灯に供給する際に、適当な時間ごとに直流点灯電流の極性を正負交互に切り換えて点灯ユニットから交番出力させる。このため、点灯ユニットから出力される直流点灯電流は、適当な時間ごとにその正負の極性が反転すなわち交番する。
【0024】
直流点灯電流の極性が反転すなわち交番する周期は、標識灯の直流で線路に接続する接触部、例えば基台の電源端子と灯器の受電端子とが雨水などに曝された場合において、直流電食による磨耗が実質的に発生しないか、またはたとえ発生したとしても電気的接続に実用的な意味で影響するまで進展しない程度の時間間隔であればよく、この場合幅広く時間間隔を選定することができる。このため、本発明において時間間隔の数値は特段限定されない。例えば、商用交流電源程度の周期である10〜20m秒程度から2日程度までの範囲の時間間隔であることを許容する。
【0025】
PWM制御信号の繰り返し周波数を分周して直流点灯電流の正負極性の交番切り換えのための周波数を得ることができる。そうすれば、交番切り換えの周期が10〜20m秒程度以上である場合に対応させることが容易になる。このように直流点灯電流のPWM制御と直流点灯電流の正負極性の交番切り換えを連動して制御する場合、直流点灯電流の休止期間中に極性切り換えを行うことができる。
【0026】
また、直流点灯電流の正負極性の交番切り換えを行う回路手段として、例えば4辺にスイッチング素子を接続したブリッジ形スイッチング回路やラッチングリレーなどを用いることができる。ブリッジ形スイッチング回路を用いる場合、交番切り換えの周期が10〜20m秒程度にする場合に好適である。
【0027】
さらに、直流点灯電流の正負極性の交番切り換えを行う回路手段としてラッチングリレーを用いる場合、標識灯点灯システムの電源投入ごとにラッチングリレーを動作させて直流点灯電流の正負極性の交番切り換えを行うことができる。したがって、例えば空港用の標識灯は、一般に夕方薄暮から夜間にかけて点灯されるので、特段の操作を行うことなしに1日に1回電源の投入に連動して直流点灯電流の正負極性の交番切り換えを2日の周期で行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、標識灯から分離した位置に配設された点灯ユニットが正負切換手段を備えていて標識灯に供給する直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させるので、直流線路に接続する標識灯の接触部が雨水などに曝されたときに直流電蝕による磨耗を生じにくくした標識灯点灯システムを提供することができる。
【0029】
点灯ユニットは、その直流点灯回路手段がPWM制御回路を含み、正負切換手段がPWM制御の繰り返し周波数を分周した周波数で直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させるように構成すれば、比較的短い時間間隔で直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させやすくなるため、標識灯の接触部が雨水などに曝されたときに直流電蝕による磨耗がより一層生じにくくなる。
【0030】
正負切換手段は、PWM制御された直流点灯電流の休止期間中にその正負極性を切り換えるように構成すれば、正負極性を切り換える際のスイッチングが容易になり、スイッチング損失も低減する。
【0031】
正負切換手段は、点灯ユニットに対する電源投入ごとに直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させるように構成すれば、特段の操作を行うことなしに電源の投入に連動して直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0033】
図1ないし図4は、本発明の標識灯点灯システムを実施するための第1の形態を示し、図1は標識灯点灯システムの全体を示すブロック回路図、図2は正負切換手段の回路図、図2は各部の電圧波形図、図4は標識灯の略図的断面図である。
【0034】
本形態の標識灯点灯システムは、標識灯MLおよび点灯ユニットOUを具備し、定電流電源CCRから直列給電方式により電源の供給を受ける例えば空港などに用いることができる。
【0035】
標識灯MLは、図1に示すように、接触部T1、T2、全波整流回路FWR1、LED光源LSおよび過電圧保護回路VPを備えている。接触部T1、T2は、標識灯MLが直流線路DCLに接触して接続するための手段であり、それぞれ図4に示すように電源端子t1および受電端子t2からなる。全波整流回路FWR1は、ブリッジ形整流回路からなり、その交流入力端が直流線路DCLに直列接続する。LED光源LSは、任意個数の発光ダイオードからなり、全波整流回路FWR1の直流出力端間に接続する。過電圧保護回路VPは、全波整流回路FWR1の直流出力端間においてLED光源LSに並列接続して、主として外来サージがLED光源LSに流入しないように吸収する。
【0036】
また、標識灯MLは、その複数が直流線路DCLに直列接続されるが、図4に示すような構造を有している。すなわち、標識灯MLは、基台1および灯器2から構成され、基台1の開口部に灯器2が搭載されるように取り付けられる。
【0037】
基台1は、周段部1aを有する薄皿状をなしていて、予め路面に埋設される。そして、その周側面の一部に配設した防水ブッシング1bから図1に示す直流線路DCLを構成するケーブルを液密に導入して、底面部に配設した電源端子t1に接続する。なお、電源端子t1は、受形接触子からなる。
【0038】
灯器2は、蓋体2aおよび底板2bを覆合してそれらの間の内部に内部空間が形成されていて、基台1の周段部1aに周縁を支持されてボルト2cにより取り付けられる。そして、上記内部空間にLED光源LSおよび図示を省略するが、図1における全波整流回路FWR1および過電圧保護回路VPが収容されている。また、底板2bの外面に受電端子t2が電源端子t1に対向する位置に配設されている。なお、受電端子t2は、図4に点線で示すように、差込み形接触子を備えている。このため、基台1に対して灯器2を所定の位置関係にして支持させると、受電端子t2が電源端子t1内に挿入されることにより、それらが相互に接触して、標識灯MLが直流線路DCLに対して直列に挿入された状態で接続する。灯器2の蓋体2aは、投光窓2a1を有していて、投光窓にプリズム2dが液密に配設されている。
【0039】
再び図1に戻って説明すると、点灯ユニットOUは、直流点灯回路手段DOCおよび正負切換手段ALSを備えている。なお、点灯ユニットOUは、その複数が互いに後述する直列給電線路SSLに直列接続される。また、各直流点灯回路手段DOCから出力される交番化された直流点灯電流が直流線路DCLを経由して直列接続された複数の標識灯KLに対して供給される。
【0040】
直流点灯回路手段DOCは、主カレントトランスCT1、全波整流器FWR2、負荷調整回路LRC1、平滑回路SMC1、PWM制御回路PWM、負荷電流検出回路LCDおよび補助電源回路AVSを備えている。
【0041】
主カレントトランスCT1は、その1次巻線が定電流電源CCRの出力端から延在する直列給電線路SSLに直列接続する。なお、1つの点灯ユニットOUにおいて後述する副カレントトランスCT2およびCT3とが直列給電線路SSLに直列接続する。
【0042】
供給全波整流器FWR2は、主カレントトランスCT1の2次巻線から得られる交流電圧を整流する。
【0043】
負荷調整回路LRC1は、直列給電線路SSLから主カレントトランスCT1および全波整流回路FWR2を介して得られる電流から、後述する負荷電流検出回路LCDによって検出された直流点灯電流を形成する電流を除いた電流すなわち余剰電流を、バイパスして直列給電線路SSLに帰還する。
【0044】
平滑回路SMC1は、直流点灯電流を形成するのに必要な電流を平滑化する。
【0045】
PWM制御回路PWMは、副カレントトランスCT3、入力電流検出回路ICD、入力電流判定回路ICJ、PWM制御信号発生回路PSGおよびPWMスイッチング回路PSCからなる。入力電流検出回路ICDは、副カレントトランスCT3を介して直列給電線路SSLに流れる入力電流を検出する。入力電流判定回路ICJは、入力電流検出回路ICDで検出した入力電流のレベルを判定して定電流電源CCRの調光タップがどの値に設定されているかを判定する。PWM制御信号発生回路PSGは、判定した定電流電源CCRの調光タップに基づいて、それに対応するPWM制御信号を発生する。PWMスイッチング回路PSCは、定電流電源CCRの調光タップに対応したPWM制御信号によりスイッチング動作をしてPWM制御された直流点灯電流を図1に示す端子A、B間に出力する。
【0046】
負荷電流検出回路LCDは、直流点灯電流検出器CDおよびこの直流点灯電流検出器CDの検出出力に基づいて直流点灯電流のレベルを判定するレベル判定回路LJCにより構成されていて、負荷電流である直流点灯電流を検出して負荷調整回路LRC1に制御入力することで、内部の端子A、B間に流れる直流点灯電流の波高値を一定に保持する。
【0047】
補助電源回路AVSは、副カレントトランスCT2、全波整流回路FWR3、負荷調整回路LRC2、平滑化回路SMC2および定電圧化回路CVCからなる。副カレントトランスCT2は、直列給電線路SSLから補助電源電圧を形成するための電流を得る。全波整流回路FWR3は、上記補助電源電圧を形成するための電圧を平滑化する。負荷調整回路LRC2は、定電流電源CCRの調光タップが最低出力状態のときであっても所要の定電圧を確保できる電流を除いた残余の余剰電流をバイパスして直列給電路SSLに帰還する。負荷調整回路LRC2から出力された所要の定電圧を得るのに必要な電流は、平滑化回路SMC2で平滑化され、定電圧化回路CVCで定電圧が形成される。この定電圧は、直流点灯回路手段DOCおよび後述する正負切換手段ALSにおいて必要な回路部分に供給される。
【0048】
正負切換手段ALSは、図1に回路ブロックとして示し、また図2に回路図を示すように、分周回路FDC、フリップフロップ回路FFおよびブリッジ形スイッチング回路BSCからなる。
【0049】
分周回路FDCは、PWM制御信号発生回路PSGから出力される図3の(a)に示すPWM制御信号を分周し、さらに分周された信号をフリップフロップ回路FFでカウントして同じく(b)および(c)に示す低周波で、かつ位相が互いに180度ずれた切換制御信号S1とS2とを形成する。
【0050】
ブリッジ形スイッチング回路BSCは、フルブリッジ形インバータのようにブリッジ回路の4辺にそれぞれスイッチング素子Q1〜Q4を挿入してなり、スイッチング素子Q1およびQ4を、例えば切換制御信号S1を供給してオンさせ、またQ2およびQ3を、切換制御信号S2を供給して180間隔で交互にオンさせるように構成される。
【0051】
また、スイッチング素子Q1〜Q4は、図3に示すように、例えばFETからなり、補助電源回路AVSの副カレントトランスCT2からダイオードD1およびコンデンサC1を介して平滑化された直流電圧を得て、これを各スイッチング素子Q1〜Q4のドレイン−ソース間に印加して駆動する。そして、フォトカプラPC1〜PC4のフォトトランジスタを対応するFETのドレイン−ゲート間に接続して、上記駆動を制御するように構成している。一方、フリップフロップ回路FFの一対の出力端にトランジスタQ5、Q6を経由してフォトカプラPC1〜PC4の発光ダイオードを切換制御信号S1、S2で交互に発光させるように構成している。
【0052】
したがって、フリップフロップ回路FFの一対の出力端の一方に出力が生じると、それに接続するフォトカプラPC1およびPC4の発光ダイオードと、フォトカプラPC2およびPC3の発光ダイオードとが交互に点灯し、これらの発光ダイオードに光結合して対応しているフォトトランジスタがオンするので、それらに接続する各FETすなわちスイッチング素子Q1、Q4とQ2、Q3とが交互にオンする。
【0053】
そうして、点灯ユニットOUの図1に示す出力端子C、D間に交番化された直流点灯電流が出力され、直流線路DCLを経由して複数の標識灯MLの内部で単極性の直流電流に変換されてからLED光源LSを付勢して点灯させる。
【0054】
図5は、本発明の標識灯点灯システムを実施するための第2の形態を示す標識灯点灯システムの全体を示すブロック回路図である。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0055】
本形態は、正負切換手段ALSがラッチングリレーLRyにより構成されている。すなわち、点灯ユニットOUの内部の端子A、B間に出力されるPWM制御された直流電流をラッチングリレーLRyによって点灯ユニットOUの出力端子C、D間に交番化して出力する。ラッチングリレーLRyは、補助電源回路AVSから定電圧が出力されたときにだけ作動してリレー接点を交互に切り換える。
【0056】
本形態においては、ラッチングリレーLRyは、定電流電源CCRの電源が投入されたときに点灯ユニットOUの直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させる。したがって、本形態は、1日に1回定電流電源CCRの電源を投入する場合に、2日に1回の周期で直流点灯電流が交番出力されるようにする場合に好適である。
【0057】
図6は、本発明の標識灯点灯システムを実施するための第3の形態を示す標識灯点灯システムの全体を示すブ回路図である。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0058】
本形態は、補助電源回路AVSの余剰電流がカレントトランスCT2の1次側でバイパスされるように構成されている。すなわち、カレントトランスCT2の1次側において余剰電流をバイパスするようにした余剰電流バイパス回路SCBを配設している点が本形態における特徴的構成である。
【0059】
余剰電流バイパス回路SCBは、全波整流器FWR4、トランジスタQ7、第1の定電圧回路CV1、第1のスイッチング回路SCおよびフォトカプラPC5を備えて構成されている。
【0060】
全波整流器FWR4は、その交流入力端がカレントトランスCT2の1次巻線と並列に接続している。トランジスタQ7は、全波整流器FWR4の直流出力端間に接続されている。第1の定電圧回路CV1は、補助電源回路AVSの全波整流器FWR3の直流出力端に接続したダイオードD2および平滑コンデンサC2からなる直列回路の平滑コンデンサC2の両端間に接続している。
【0061】
第1のスイッチング回路SCは、第1の定電圧回路CV1に並列接続し、第1の定電圧回路CV1が所定電圧に到達したときにオンする。フォトカプラPC5は、その発光ダイオードが第1のスイッチング回路SCがオンしたときに発光するように接続され、そのフォトトランジスタが前記トランジスタQ7のコレクタ−ベース間に接続している。
【0062】
なお、図中図1と同一部分について同一符号を付した回路部分のうち、定電圧回路CVCと上記第1の定電圧回路CV1とは、前者が後者より優先されて動作するように回路定数が選定されている。
【0063】
そうして、定電流電源CCRに点灯ユニットOUが接続している状態で直列給電線路SSLに交流電流が流れると、優先して第1の定電圧回路CV1が作動して第1のスイッチング回路SCがオンすると、これに伴いフォトカプラPC5が作動してトランジスタQ7がオンし、全波整流器FWR4を介して余剰電流が直列給電路SSLに帰還される。換言すれば、第1の定電圧回路CV1で粗い定電圧化により余剰電流をカレントトランスCT2の1次側において直列給電路SSLに帰還し、補助電源回路AVSが作動して精密な定電圧がなされて各機能回路に印加される。そのため、カレントトランスCT2の2次巻線に流れる余剰電流が非常に小さくなる。その結果、カレントトランスの2次巻線を調光タップの低いレベル、例えば調光タップ3で設計できるから、2次巻線の小形化を図ることができる。
【0064】
ところで、図6において、主カレントトランスST1に接続する直流点灯回路手段DOCと直流線路DCLとの間に正負切換手段ALSが介在していないので、標識灯MLには単極性の直流電流が供給されるが、所望により図1および図5に示すような正負切換手段ALSを介在させることができるのはいうまでもない。
【0065】
本形態において、負荷調整回路LRC2は、スイッチング素子Q8およびこれを制御するスイッチング制御回路SCCにより構成されている。
【0066】
なお、参考まで本形態によらない場合には、定電流電源CCRの調光タップが5のときには、直列給電路SSL、したがってカレントトランスCT2の1次巻線には6.6(A)の電流が流れるが、2次巻線はタップ3のときの電流4.1Aで設計された2次電流に対して、約1.6倍値(=6.6A/4.1Aの比)が流れるため、巻線に伴う銅損ロスが多くなる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の標識灯点灯システムを実施するための第1の形態における標識灯の略図的断面図
【図2】同じく標識灯点灯システムの全体を示すブロック回路図
【図3】同じく正負切換手段の回路図
【図4】同じく各部の電圧波形図
【図5】本発明の標識灯点灯システムを実施するための第2の形態を示す標識灯点灯システムの全体を示すブロック回路図
【図6】本発明の標識灯点灯システムを実施するための第3の形態を示す標識灯点灯システムの全体を示すブ回路図
【符号の説明】
【0068】
ML…標識灯、OU…点灯ユニット、CCR…定電流電源、FWR1…全波整流回路、LS…LED光源、DCL…直流線路、SSL…直列給電線路、A、B…端子、C、D…出力端子、CT1…主カレントトランス、FWR2…全波整流回路、LRC1…負荷調整回路、DOC…直流点灯回路手段、ALS…正負切換手段、SMC1…平滑回路、PWM…PWM制御回路、LCD…負荷電流検出回路、AVS…補助電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全波整流回路およびLED光源を備えた標識灯と;
標識灯から分離した位置に配設され、直流点灯電流を直流線路を経由して標識灯に供給し、LED光源を点灯させる直流点灯回路手段および直流点灯電流を標識灯に供給する際にその正負極性を切り換えて交番出力させる正負切換手段を備えた点灯ユニットと;
を具備していることを特徴とする標識灯点灯システム。
【請求項2】
点灯ユニットは、直流点灯回路手段がPWM制御回路を含み、正負切換手段がPWM制御の繰り返し周波数を分周した周波数で直流電流の正負極性を切り換えて交番出力させることを特徴とする請求項1記載の標識灯点灯システム。
【請求項3】
正負切換手段は、PWM制御された直流電流の休止期間中にその正負極性を切り換えることを特徴とする請求項2記載の標識灯点灯システム。
【請求項4】
正負切換手段は、点灯ユニットに対する電源投入ごとに直流点灯電流の正負極性を切り換えて交番出力させることを特徴とする請求項1記載の標識灯点灯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−192364(P2010−192364A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37569(P2009−37569)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】