説明

模型用走行装置、並びにその走行装置を備えた模型及び遠隔操作玩具

一対のモータ(7)と、一対のモータ(7)により個別に駆動される左右一対の車輪(8)と、速度及び方向に関して与えられる指示に基づいて一対のモータ7のそれぞれの動作を制御する制御装置(20)とを備える模型用走行装置(6)において、制御装置(20)は、指示された速度(Vm)が低速域(L、M)にある間は一対のモータ(7)が指示された方向へ交互に回転し、指示された速度が低速域よりも高い高速域(H)にある間は一対のモータ(7)が指示された方向へ同時に回転するように一対のモータ(7)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、遠隔操作玩具等に好適に用いることができる模型用走行装置に関する。
【背景技術】
遠隔操作玩具の模型に組み込まれる模型用走行装置として、左右一対の車輪をそれぞれ別のモータにて駆動し、各モータの速度差に応じて模型の進行方向を変化させる走行装置が知られている(特開2002−238083号公報及び特開2003−053055号公報参照)。
【発明の開示】
従来の走行装置は、模型の進行方向が変化する際にモータの回転速度に差を生じさせているだけであり、直進が指示されている場合には左右のモータが互いに等しい速度で駆動される。そのため、模型が自動車等を模している場合には都合がよいが、人間や動物が二足歩行している様子を十分に表現できない。
そこで、本発明は左右の車輪を独立して駆動する構成を利用して、二足歩行の特徴を含んだ走行動作を実現することができる走行装置、並びにこれを利用した模型及び遠隔操作玩具を提供することを目的とする。
本発明は次のような手段により上述した課題を解決する。
本発明の第1の模型用走行装置は、一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、速度及び方向に関して与えられる指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、指示された速度が低速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転し、前記指示された速度が前記低速域よりも高い高速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ同時に回転するように前記一対のモータを制御するものである。
この第1の模型用走行装置によれば、低速域の速度が指示されているときには、左右の車輪が交替的に回転して模型が左右に蛇行しつつ指示された方向へ進むようになる。これにより模型があたかも二本の足を交互に繰り出して体を左右に振りながら進行する様子を表現することができる。一方、高速域の速度が指示されているときには、そのような左右への振りをなくし、模型が指示された方向に真っ直ぐに進行する様子を表現することができる。このように模型の進み方を変化させることにより、速度を単純に増減させる場合と比較して二足歩行の特徴が含まれた特徴的な走行を実現することができる。
本発明の第1の模型用走行装置において、前記駆動制御手段は、前記指示された速度が前記低速域内にて低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くしてもよい。モータの回転を切り替える周期が短いほど模型の左右への振り動作がより速いピッチで行われるようになり、模型が急いでいる様子をより適切に表現できるようになる。
本発明の第2の模型用走行装置は、一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、速度及び方向に関して与えられる指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転するように前記一対のモータを制御するとともに、前記指示された速度が低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くするものである。
この第2の模型用走行装置においても、左右の車輪を交替的に回転させることにより、模型があたかも二本の足を交互に繰り出して体を左右に振りながら進行する様子を表現することができる。しかも、指示された速度が低速側から高速側に変化すると低速側よりも各モータの回転を切り替える周期が短くなって模型の左右への振り動作がより速いピッチで行われるようになる。これにより、低速側では模型が体を左右に振りながらゆっくりと歩行し、高速側では速いピッチで歩行している様子を表現することができる。
本発明の各模型用走行装置において、前記駆動制御手段は、前記指示された速度が高いほど、駆動中における前記モータの回転速度を上昇させてもよい。速度の増減と組合わせることにより、模型が移動する様子に関して緩急をより明確に付けられるようになって好ましい。
さらに、本発明の各模型用走行装置は、二足歩行型の生物又は機械を模している模型に対して好適に用いることができる。このような模型に適用すれば、模型の外観と走行の特徴とが相まって、ユーザに対して模型が二足歩行しているように強く印象付けることができる。
本発明の第1の遠隔操作玩具は、ユーザの操作に対応した制御信号を生成し、送信するコントローラと、前記制御信号に基づいて遠隔制御される走行装置を有する模型とを具備する遠隔操作玩具であって、前記走行装置は、一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、前記制御信号に従って特定される前記速度及び方向の指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、指示された速度が低速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転し、前記指示された速度が前記低速域よりも高い高速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ同時に回転するように前記一対のモータを制御するものである。
第1の遠隔操作玩具によれば、上述した第1の模型用走行装置を備えることにより、模型の進み方を低速指示時と高速指示時とで変化させ、それにより速度を単純に増減させる場合と比較して二足歩行の特徴が含まれた特徴的な走行を実現することができる。
本発明の第1の遠隔操作玩具において、前記駆動制御手段は、前記指示された速度が前記低速域内にて低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くしてもよい。
本発明の第2の遠隔操作玩具は、ユーザの操作に対応した制御信号を生成し、送信するコントローラと、前記制御信号に基づいて遠隔制御される走行装置を有する模型とを具備する遠隔操作玩具であって、前記走行装置は、一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、前記制御信号に従って特定される前記速度及び方向の指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転するように前記一対のモータを制御するとともに、前記指示された速度が低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くするものである。
第2の遠隔操作玩具によれば、上述した第2の模型用走行装置を備えることにより、模型の振り動作の周期を低速側よりも高速側において短くして、低速側では模型が体を左右に振りながらゆっくりと歩行し、高速側では速いピッチで歩行している様子を表現することができる。
本発明の各遠隔操作玩具において、前記駆動制御手段は、前記指示された速度が高いほど、駆動中における前記モータの回転速度を上昇させてもよい。さらに、前記模型が二足歩行型の生物又は機械を模していてもよい。これらによる利点は上述した模型用走行装置で既に説明した通りである。
以上に説明したように、本発明によれば、左右の車輪を交互に回転させる状態と、各車輪を同時に回転させる状態とを使い分け、あるいは左右の車輪間で回転を交替する周期を変化させることにより、模型があたかも二本の足を交互に繰り出して体を左右に振りながら進行する様子を表現でき、かつ、その進み方を指示速度に応じて変化させることができる。従って、左右の車輪を独立して駆動する構成を利用して、二足歩行に似せた走行動作を模型に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明が適用される遠隔操作玩具の概要を示す図;
第2図は、コントローラから送信される制御信号の一例を示す図;
第3図は、第1図の模型を走行させるための制御系のブロック図;
第4図は、第3図の制御系で参照される速度テーブルの内容をグラフ形式で示した図;
第5図は、第3図の制御系で参照される周期テーブルの内容をグラフ形式で示した図;
第6図は、速度テーブル及び周期テーブルを参照して取得された指示速度及び周期と、各モータの回転速度との対応関係の一例を示す図;
第7A図は、速度範囲Lの時の制御装置がモータの回転制御を実施した場合に模型が前進する様子を示した図;
第7B図は、速度範囲Mの時の制御装置がモータの回転制御を実施した場合に模型が前進する様子を示した図;
第7C図は、速度範囲Hの時の制御装置がモータの回転制御を実施した場合に模型が前進する様子を示した図;そして、
第8図は、モータの駆動制御を実現するために制御装置が実行する速度制御ルーチンを示したフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
第1図は本発明の模型用走行装置を遠隔操作玩具1に適用した一形態を示している。遠隔操作玩具1はコントローラ2と模型3とを備えている。コントローラ2には、模型3を走行させるためにユーザが操作する操作部材として、模型3の走行方向及び速度を指示するために所定の中立位置から第1図の上下方向に操作される左スティック2aと、模型3の進行方向を左右に変化させるために所定の中立位置から第1図の左右方向に操作される右スティック2bとが設けられている。コントローラ2はマイクロコンピュータからなる制御装置(不図示)を内蔵し、その制御装置は各スティック2a、2bの操作状態を判別するための制御信号を所定の搬送波に乗せて送信する。制御信号は一例として第2図のように構成される。この例では、コントローラ2と模型3との対応関係を判別するためのIDコードに続いて、左右のスティック2a、2bの操作情報が制御信号に含まれている。操作情報は、各スティック2a、2bの中立位置からの操作方向を判別する情報と、中立位置からの操作ステップ数を判別する情報の両者を含んでいる。操作ステップ数は、一例として、各スティック2a、2bの中立位置を0、最大限に操作された状態を8として、中立位置の両側へそれぞれ8ステップに分けて規定される。なお、制御信号が重畳される搬送波は赤外線でもよいし電波でもよい。
第1図に戻って、模型3はシャーシ4とそのシャーシ4に被せられるカバー5とを備えている。カバー5は例えば二足歩行型の生物又は機械を模した外観を有しており、その正面は図中の矢印F方向に向けられている。シャーシ4には走行装置6が搭載されている。走行装置6は、一対のモータ7と、シャーシ4の前端側の左右に配置された一対の車輪8と、各モータ7の動力を各車輪8に個別に伝達する一対の動力伝達機構9とを備えている。シャーシ4の後端には模型3の後端部を支持する支持部10が設けられている。
第3図は模型3を走行させるための制御系の構成を示している。模型3にはマイクロコンピュータにて構成された制御装置20と、その制御装置20の主記憶装置として機能するROM21及びRAM22と、コントローラ2から送信される制御信号を受信して制御装置20が読み取り可能な信号へ変換する受信装置23と、制御装置20から与えられる速度信号に応じた速度及び方向にモータ7を回転させる一対のモータドライバ24とが設けられている。制御装置20は走行装置6の駆動制御手段として機能する。なお、ハードウエア相互間のインターフェース類は図示を省略している。
コントローラ2から送られる制御信号に基づいてモータ7の回転速度及び回転方向を決定するため、ROM21には速度テーブルTB1及び周期テーブルTB2が保存されている。速度テーブルTB1は、左スティック2aの操作量Xとモータ7に対する指示速度Vmとを例えば第4図のように対応付けて記述したデータである。なお、第4図における操作量Xの正負は左スティック2aの操作方向を示し、正側が模型3を前進させるときの操作方向(第1図の上方向)、負側が模型3を後退させるときの操作方向(第1図の下方向)にそれぞれ対応する。また、第4図における指示速度Vmの正負はモータ7の回転方向を示し、正側が模型3を前進させるときの回転方向(以下、正転方向)、負側が模型3を後退させるときの回転方向(以下、逆転方向)にそれぞれ対応する。以下において、操作量X、及び指示速度Vmは特に断りのない限り第4図のそれぞれの絶対値を意味するものとする。
第4図の例では、操作量Xが正方向(第1図の上方向に対応)に一定値に達するまでは指示速度Vmが0に保持され、一定値を超えると操作量Xの増加に応じて指示速度Vmが比例的に正方向に上昇し、操作量Xが正方向に最大値Xmaxをとると指示速度Vmが正転方向の最大値V1に達する。一方、操作量Xが負方向(第1図の下方向に対応)に一定値に達するまでは指示速度Vmが0に保持され、一定値を超えると操作量Xの増加に応じて指示速度Vmが比例的に負方向に増加する。但し、操作量Xが負方向に最大値Xmaxに達するよりも早期に指示速度Vmが逆転方向の最大値V2(但し、V2<V1)に固定される。指示速度Vmは停止状態を示す0から最大値V1まで1ステップずつ調整可能である。
一方、周期テーブルTB2は指示速度Vmと、モータ7の回転と停止とを繰り返す周期Tとを例えば第5図のように対応付けて記述したデータである。この例では、指示速度Vmが0よりも大きくVa以下の速度域Lのときに周期Tが最大値T1をとり、指示速度VmがVaを超えてVb以下の速度域Mのときに周期Tが幾らか減少した中間値T2をとり、指示速度VmがVbを超えて最大値V1以下の速度域Hのときに周期Tが0となる。なお、上述した第4図との関係において、速度域Lの上限値Vaは操作量Xが一定値を超えて指示速度Vmが立ち上がる際の初速Viよりも大きい。
第6図は、テーブルTB1、TB2を利用して決定される各モータ7の指示速度Vm及び周期Tと、制御装置20(第3図)による各モータ7の回転速度の制御との対応関係の一例を示している。第6図において、コントローラ2の左スティック2aが中立位置から一定量操作され、右スティック2bは中立位置に保持されているものと仮定する。この場合、速度テーブルTB1が参照されることにより、コントローラ2から送られる制御信号に含まれている左スティック2aの操作情報に応じて指示速度Vmが決定され、その指示速度Vmに対して周期テーブルTB2が参照されて周期Tが決定される。そうすると、制御装置20は左右のモータ7が周期Tで指示速度Vmによる回転と停止とを繰り返し、かつ、左右のモータ7が交互に回転するように各モータ7を制御する。一周期Tにおける回転と停止との時間配分は互いに等しくT/2ずつに設定されているが、それ以外の割合に設定してもよい。指示速度Vmが速度域Hのときは周期Tが0となり、この場合、制御装置20は左右のモータ7を指示速度Vmで同時的に連続して回転させる。
以上のようなモータ7の回転制御を実施した場合に模型3が前進する様子を第7A図、第7B図及び第7C図に示す。第7A図は指示速度Vmが速度域Lのとき、第7B図は指示速度Vmが速度域Mのとき、第7C図は指示速度Vmが速度域Hのときをそれぞれ示している。第7A図及び第7B図は右側の車輪を先に回転させた場合を示すが、必ずしも右側の車輪から駆動を開始しなくてもよい。第7A図及び第7B図に示すように、モータ7を交互に回転させた場合には、停止している側の車輪を中心として模型3が交互に旋回するようにして前進する。従って、車輪8を利用した走行装置6でありながら、あたかも模型3が二本の足を交互に突き出して体を左右に振りながら歩行する様子を表現することができる。
また、第7A図及び第7B図の対比から明らかなように、指示速度Vmが上昇して速度域Lから速度域Mへと移行すると周期TがT1→T2へと短縮され、模型3の左右への振り動作のピッチが短くなって半周期(T/2)で模型3が旋回する角度が減少する。従って、模型3の左右への振り動作が細かくなり、速度域Lのときよりも模型3が急いでいる様子を表現することができる。
なお、モータ7の回転速度は速度域Lの方が速度域Mよりも低いため、速度域Lでは模型3が左右に大きくかつゆっくりと振れながら進行し、速度域Mでは左右への振り動作が小さくかつせわしなく繰り返されるようになる。上述した旋回角度の相違と速度の相違とが重畳されることにより、二足歩行の特徴はより良く表現される。
さらに、指示速度Vmが速度域Hまで上昇すればモータ7の交互の回転が中止され、左右のモータ7が等しい速度で駆動されて模型3が進行方向へ真っ直ぐ進むようになる。これにより、目的に向かって真っ直ぐ進む様子を表現することができる。なお、速度域Hではモータ7の回転速度がさらに上昇するので、目的地に向かって模型3がダッシュする様子が表現されてさらに好ましいものである。
なお、上記の例では右スティック2bが中立位置に保持されて模型3が直進する場合を示したが、これが操作された場合には、内輪側となる車輪8に対応するモータ7の指示速度Vmを速度テーブルTB1にて与えられる指示速度に対して右スティック2bの中立位置からの操作量に比例した率で減少させればよい。この場合の周期Tは、左右いずれのモータ7に関しても、外輪側となる車輪8に対応するモータ7の指示速度Vmを基準として周期テーブルTB2から定めればよい。
第8図は以上のようなモータ7の駆動制御を制御装置20にて実現するために制御装置20が実行する速度制御ルーチンを示している。この速度制御ルーチンは制御装置20が一定の周期で繰り返し実行する。この速度制御ルーチンにおいて、制御装置20はまずステップS1で受信装置23から制御信号を受け取ってこれに含まれている左右スティック2a、2bの操作情報を読み取る。次のステップS2において、制御装置20は速度テーブルTB1を参照することにより、左スティック2aの操作量及び操作方向に対応した指示速度Vmを取得する。続くステップS3において、制御装置20は周期テーブルTB2を参照することにより、指示速度Vmに対応した周期Tを取得する。
さらに、制御装置20はステップS4へ進み、今回のルーチンで取得した周期Tが前回のルーチンのステップS3で取得した周期Tに対して変更されたか否か判断する。このような判断を行うため、制御装置20は、毎回のルーチンで決定した指示速度Vm、周期T、各モータ7への速度信号を制御履歴として一定期間RAM22に保存する。
ステップS4で周期Tが変更されていなければ制御装置20はステップS5に進み、前回までの制御履歴に従って、今回のルーチンで一対のモータ7のうち回転側、停止側となるモータ7をそれぞれ判別する。モータ7の回転側と停止側とが直前に切り替わってからの経過時間が周期Tの1/2未満のときには前回のルーチンと同様に回転側、停止側を定めればよいし、経過時間が周期Tの1/2に達していれば回転側と停止側とを切り替えればよい。一方、ステップS4で周期Tが変更されている場合、制御装置20はステップS6に進み、新たな周期Tによるモータ7の回転及び停止の切り替えを開始する。この場合には、予め先に駆動すると定められている側のモータ7を回転側、反対側のモータ7を停止側として強制的に決めてもよいし、その時点で回転している側のモータ7を回転側、反対側のモータ7を停止側と定めてもよい。なお、ステップS5及びS6において周期Tが0のときは両側のモータ7がいずれも回転側として判別される。
ステップS5又はS6にてモータ7の回転側及び停止側を判別した後、制御装置20はステップS7へ進み、回転側のモータ7の回転速度及び回転方向を決定する。ここでは、右スティック2bが中立位置のときは指示速度Vmに対応した回転速度を設定し、右スティック2bが中立位置から操作されているときはその操作量に応じた比率の減速率(1未満)を指示速度Vmに乗じて回転速度を求めることになる。回転方向に関しては左スティック2aの操作方向に応じて定めればよい。ステップS7で回転速度及び方向を決定した後、制御装置20はステップS8に進み、回転側のモータ7に対するモータドライバ24には決定した回転速度及び回転方向を指示する速度信号を出力し、停止側のモータ7に対するモータドライバ24には停止を指示する速度信号を出力する。以上により今回のルーチンを終える。
本発明は以上の形態に限定されず、各種の形態にて実施することができる。例えば、走行装置は二対以上の車輪を備えていてもよい。その場合、少なくとも一対の車輪を本発明に従って駆動制御すればよい。速度テーブルに基づく指示速度の決定はコントローラ側で行うようにしてもよい。その場合、コントローラからの制御信号にモータに対する指示速度及び方向を特定する情報を加えておき、模型側の制御装置がその指示速度及び方向から実際の各モータの回転速度及び方向を特定すればよい。上記の形態では速度域をL、M、Hの三段階に区分したが、速度域L又はMのいずれか一方を省略し、又は、速度域Hを省略することにより、模型3の走行態様を二段に変化させてもよい。反対に、速度域をより細かく区分してもよく、特に周期Tに関しては指示速度Vmの大小に応じて無段階かつ連続的に変化させてもよい。
本発明の模型用走行装置は遠隔操作玩具に限らず適用可能である。例えば、予め書き込まれたプログラムに従って走行する自走式の玩具の場合、自身のプログラムに従って与えられる速度に基づいて本発明のように左右のモータを交互に回転させてもよい。要するに、速度の指示は模型外から与えられるものでもよいし、模型内から与えられるものでもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、速度及び方向に関して与えられる指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、指示された速度が低速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転し、前記指示された速度が前記低速域よりも高い高速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ同時に回転するように前記一対のモータを制御する模型用走行装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記指示された速度が前記低速域内にて低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くする請求の範囲1に記載の模型用走行装置。
【請求項3】
一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、速度及び方向に関して与えられる指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転するように前記一対のモータを制御するとともに、前記指示された速度が低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くする模型用走行装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、前記指示された速度が高いほど、駆動中における前記モータの回転速度を上昇させる請求の範囲1〜3のいずれか1に記載の模型用走行装置。
【請求項5】
請求の範囲1〜4のいずれか1に記載の模型用走行装置を具備し、かつ二足歩行型の生物又は機械を模している模型。
【請求項6】
ユーザの操作に対応した制御信号を生成し、送信するコントローラと、前記制御信号に基づいて遠隔制御される走行装置を有する模型とを具備する遠隔操作玩具において、
前記走行装置は、一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、前記制御信号に従って特定される前記速度及び方向の指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、指示された速度が低速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転し、前記指示された速度が前記低速域よりも高い高速域にある間は前記一対のモータが指示された方向へ同時に回転するように前記一対のモータを制御する遠隔操作玩具。
【請求項7】
前記駆動制御手段は、前記指示された速度が前記低速域内にて低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くする請求の範囲6に記載の遠隔操作玩具。
【請求項8】
ユーザの操作に対応した制御信号を生成し、送信するコントローラと、前記制御信号に基づいて遠隔制御される走行装置を有する模型とを具備する遠隔操作玩具において、
前記走行装置は、一対のモータと、該一対のモータにより個別に駆動される左右一対の車輪と、前記制御信号に従って特定される前記速度及び方向の指示に基づいて前記一対のモータのそれぞれの動作を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、前記一対のモータが指示された方向へ交互に回転するように前記一対のモータを制御するとともに、前記指示された速度が低速側から高速側に変化すると前記低速側よりも各モータの回転を切り替える周期を短くする遠隔操作玩具。
【請求項9】
前記駆動制御手段は、前記指示された速度が高いほど、駆動中における前記モータの回転速度を上昇させる請求の範囲6〜8のいずれか1に記載の遠隔操作玩具。
【請求項10】
前記模型が二足歩行型の生物又は機械を模している請求の範囲6〜9のいずれか1に記載の遠隔操作玩具。

【国際公開番号】WO2005/009572
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512103(P2005−512103)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010984
【国際出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】