説明

模型素材用盛り付け剤

【課題】 従来の盛り付け剤を硬化させてなる模型素材では切削加工後、マスターモデルや検査治具として使用する際に吸湿による寸法増加で、該モデルが歪んだり、検査治具としての用をなさなくなるという問題があったため、吸湿による寸法増加の小さい模型素材を与える、模型素材用盛り付け剤を提供する。
【解決手段】 ポリオール、ポリイソシアネート、中空微小球および脱水剤からなる模型素材用盛り付け剤において、フッ素含有撥水剤を含有させてなることを特徴とする模型素材用盛り付け剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は模型素材用盛り付け剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模型素材用盛り付け剤としては、ポリオール、ポリイソシアネート、中空微小球および脱水剤からなる盛り付け剤が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−160632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の盛り付け剤を硬化させてなる模型素材では切削加工後、マスターモデルや検査治具として使用する際に空気中の湿気を吸着して年間0.05%程度寸法が増加することから、該モデルが歪んだり、検査治具としての用をなさなくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、中空微小球(C)および脱水剤(D)からなる模型素材用盛り付け剤において、フッ素含有撥水剤(E)を含有させてなることを特徴とする模型素材用盛り付け剤;該盛り付け剤をコア材に盛り付け、硬化させてなる模型素材;該模型素材を切削加工してなる模型;並びに、該盛り付け剤を2液吐出機により混合吐出してコア材に盛り付け、硬化させることを特徴とする模型素材の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の模型素材用盛り付け剤は下記の効果を奏する。
(1)長期保存時の寸法安定性に優れる模型素材を与える。
(2)該模型素材を切削加工することによって得られる模型は吸湿による歪みや寸法変化が極めて小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ポリオール(A)には、2価〜8価またはそれ以上の、高分子ポリオール[250以上のOH当量(OH価に基づく、OH当たりの分子量)を有する]、低分子ポリオール(250未満のOH当量を有する)、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
低分子ポリオールには、多価アルコール、並びに低分子OH末端ポリマー[ポリエーテルポリオール(以下PTポリオールと略記)、ポリエステルポリオール(以下PSポリオールと略記)が含まれる。
【0008】
上記多価アルコールには、以下のものが含まれる。
2価アルコール[炭素数(以下Cと略記)2〜20またはそれ以上)、例えばC2〜12の脂肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1 ,2−、2
,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等];C6〜10の脂環含有2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノ
ール等];C8〜20の芳香環含有2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOおよびDPEと略記)、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリト
ール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[例えばショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、およびグリコシド(メチルグルコシド等)];
【0009】
含窒素ポリオール(3級アミノ基含有ポリオールおよび4級アンモニウム基含有ポリオール):含窒素ジオール、例えばC1〜12の脂肪族、脂環式および芳香環含有1級モノアミン[メチルアミン、エチルアミン、1−および2−プロピ ルアミン、ヘキシルアミン
、1,3−ジメチルブチルアミン、1−,2−および3−アミノヘプタン、ドデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン等]のビスヒドロキシアルキル(C2〜4)化物[ビス(2−ヒドロキシエチル)化物、ビス(ヒドロキシプロピル)化物等、例えば米国特許第4,271,217号明細書に記載の3級窒素原子含有ポリオール]、およびそれらの4級化物[上記米国特許明細書に記載の4級化剤またはジアルキルカーボネート(C1〜4のアルキル基を有するもの、例えばジメチル、ジエチルおよびジ−i−プロピルカーボネート)が含まれる。)による4級化物]、例えば上記米国特許明細書に記載の4級窒素原子含有ポリオール;および3価〜8価またはそれ以上の含窒素ポリオール、例えばトリアルカノール(C2〜4)アミン(トリエタノールアミン等)およびC2〜12の脂肪族、脂環式、芳香族および複素環ポリアミン[例えばエチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、トリレンジアミン、アミノエチルピペラジン]のポリヒドロキシアルキル(C2〜4)化物〔ポリ(2−ヒドロキシエチル)化物、ビス(ヒドロキシプロピル)化物等[例えばテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン]〕、およびこれらの上記と同様の4級化物。
【0010】
低分子OH末端ポリマーには、後述のような、PTポリオール、PSポリオールおよびポリウレタン(以下PUと略記)ポリオールで250未満のOH当量を有するものが含まれる。例えば、低重合度のアルキレンオキシド(以下AOと略記)開環重合物および活性水素原子含有多官能化合物の低モルAO付加物[例えば後述のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトレメチレングリコール(以下それぞれPEG、PPG、PTMGと略記)等、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびビスフェノールAのエチレンオキシド(以下EOと略記)2〜4モル付加物]、低縮合度の縮合PSポリオールおよびポリオールの低モルラクトン付加物[ポリカルボン酸と過剰(カルボキシル基1個当り1モル)の多価アルコールとの縮合物(例えばジヒドロキシエチルアジペート)およびEGのカプロラクトン1モル付加物]、並びに低重合度のPUポリオール[後述のポリイソシアネート(以下PIということがある。)と過剰(イソシアネート基1個当り1モル)の多価アルコールとの反応生成物(例えば後述のTDI 1モルとEG2モルと
の反応生成物)]が挙げられる。
【0011】
AOには、C2〜12またはそれ以上(好ましくはC2〜4)のAO、例えばエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフランおよび3−メチル−テトラヒドロフラン(以下それぞれEO、PO、BO、THFおよびMTHFと略記 )、1,3−プロピレンオキシド、イソB
O、C5〜12のα−オレフィンオキシド、置換AO、例えばスチレンオキシドおよびエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)、並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加および/またはブロック付加)が含まれる。
【0012】
高分子ポリオールは、通常250〜3,000またはそれ以上のOH当量を有する。該ポリオールは、通常500〜5,000またはそれ以上、好ましくは700〜4,500の数平均分子量(以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]を有し; 好ましくは500〜6,000、とくに700〜4,00
0の重量平均分子量 (以下Mwと略記。測定はGPC法による。)を有する。その例に
は、OH末端のポリマー[PT、PS、ポリアミド(以下PDと略記)、PU、ビニル系ポリマー(以下VPと略記) およびポリマーポリオール(以下P/Pと略記)]、およ
びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
OH末端のPTには、AOの開環重合物、少くとも2個(2個〜8個またはそれ以上)の活性水素原子を有する開始剤に1種または2種以上のAOを付加させた構造を有するPTポリオール(AO付加物)、およびそれら(同一または異なる)の2分子またはそれ以上をカップリング剤でカップリングさせてなるPTポリオールが含まれる。
【0013】
AO付加の開始剤には、例えば多価アルコール(前記)、ヒドロキシルアミン、アミノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸;多価フェノール;並びにポリカルボン酸(後述)が含まれる。
【0014】
ヒドロキシルアミンには、C2〜10の、(ジ)アルカノールアミン、シクロアルカノールアミンおよびアルキルアルカノールアミン、例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、ジエタノールアミン、ジ−n−およびi−プロパノールアミン、3−アミノメチル −3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、メチ
ルエタノールアミンおよびエチルエタノールアミンが含まれる。好ましいのは、2−アミノエタノールである。
【0015】
アミノカルボン酸には、C2〜12のもの、例えばアミノ酸[グリシン、アラニン、バリン、(イソ)ロイシン、フェニルアラニン等]、ω−アミノアルカン酸(例えばω−アミノカプロン、ω−アミノエナント、ω−アミノカプリル、 ω−アミノペルゴン、ω−
アミノカプリン、11−アミノウンデカンおよび12−アミノドデカン酸)、および芳香族アミノカルボン酸(例えばo−、m−およびp−アミノ安息香酸)が含まれる。
ヒドロキシカルボン酸には、上記アミノカルボン酸に相当する(NHがOに置換った)もの(例えばω− ヒドロキシカプロン酸、サリチル酸、p−およびm−ヒドロキシ安息
香酸)、並びにグリコール酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸およびベンジル酸が含まれる。好ましいのは12−アミノドデカン酸である。
【0016】
多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、F、C、B、ADおよびS、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等];並びに3価〜8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、アセトン)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタールアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール)が含まれる。
【0017】
開始剤へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒、または触媒(アルカ
リ触媒、アミン触媒、酸性触媒等)の存在下(とくにAO付加の後半の段階で)に常圧または加圧下に1段階または多段階で行なわれる。2種以上のAOは、ランダム付加、ブロック付加、両者の組合せ(例えばランダム付加に次いでブロック付加)のいずれでもよい。
AO付加物のカップリング剤には、ポリハライド、例えばC1〜6のアルカンポリハライド(例えばC1〜4のアルキレンジハライド:メチレンジクロラ イド、1,2−ジブ
ロモエタン等);エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等);およびポリエポキシドが含まれる。
【0018】
OH末端のPTの例には、PTジオール、例えばポリアルキレングリコール(以下PAGと略記)[例えばPEG、PPGおよびPTMG、ポリ−3−メチルテトラメチレンエーテルグリコール]、共重合ポリオキシアルキレンジオール〔EO/PO共重合ジオー
ル、THF/EO共重合ジオール、THF/MTHF共重合ジオール等(重量比、例えば1/9〜9/1)〕、芳香環含有ポリオキシアルキレンジオール[ポリオキシアルキレンビスフェノールA(ビスフェノールAのEOおよび/ またはPO付加物等)];および
3官能以上のPTポリオール、例えばポリオキシプロピレントリオール(GRのPO付加物等);並びにこれらの1種以上をメチレンジクロライドでカップリングしたものが含まれる。
【0019】
OH末端のPSには、縮合PSポリオール、ポリラクトン(以下PLと略記 )ポリオ
ール、ヒマシ油系ポリオール[ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)およびそのポリオール変性物]、およびポリカーボネートポリオールが含まれる。
縮合PSポリオールは、ポリオールとポリカルボン酸類(酸もしくはそのエステル形成性誘導体を指す。以下同様。)(および必要によりヒドロキシカルボン酸)との重縮合またはポリオールとポリカルボン酸無水物およびAOとの反応により、PLポリオールはポリオールを開始剤とするラクトンの開環付加(またはポリオールとヒドロキシカルボン酸との重縮合)により、ヒマシ油のポリオール変性物はヒマシ油とポリオールとのエステル交換反応により、そしてポリカーボネートポリオールはポリオールを開始剤とするアルキレンカーボネートの開環付加/重縮合、ポリオールとジフェニルもしくはジアルキルカーボネートの重縮合(エステル交換)、またはポリオールもしくは2価フェノール(前記のもの:ビスフェノールA等)のホスゲン化により、製造することができる。
【0020】
PSの製造に用いるポリオールは、通常1,000以下、好ましくは30〜500のOH当量(OH当たりのMn)を有する。その例には、上記の多価アルコ ール[ジオール
(例えばEG、1,4−BD、NPG、HDおよびDEG)および3価以上のポリオール(GR、TMP、PE等)]、上記PTポリオール(PEG、PPG、PTMG等)、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。縮合PSポリオールの製造に好ましいのは、ジオール、およびそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価以上のポリオールとの併用である。
【0021】
ポリカルボン酸には、ジカルボン酸および3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸が含まれる。それらの例には、C2〜30またはそれ以上(好ましくはC2〜12)の飽和および不飽和の脂肪族ポリカルボン酸、例えばC2〜15ジカルボン酸(例えばシュウ、コハク、マロン、アジピン、スベリン、アゼライン、セバチン、ドデカンジカルボン、マレイン、フマルおよびイタコン酸)、C6〜20トリカルボン酸(例えばトリカルバリルおよびヘキサントリカルボン酸)];C8〜15の芳香族ポリカルボン酸、例えばジカルボン酸(例えばテレフタル、イソフタルおよびフタル酸)、トリ−およびテトラ−カルボン酸(例えばトリメリットおよびピロメリット酸);C6〜40の脂環式ポリカルボン酸(ダイマー酸等);およびスルホ基含有ポリカルボン酸[上記ポリカルボン酸にスルホ基を導入してなるもの、例えばスルホコハク、スルホマロン、スルホグルタル、スルホア
ジピンおよびスルホイソフタル酸、およびそれらの塩(アルカリ金属、アルカリ土類金属およびIIB族金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、並びに4級アンモニウム塩等)];並びにカルボキシ末端のポリマーが含まれる。
【0022】
カルボキシ末端のポリマーには、PTポリカルボン酸、例えばポリオール[上記の多価アルコール、PTポリオール等]のカルボキシメチルエーテル(アルカリの存在下にモノクロル酢酸を反応させて得られる);およびPD、PSおよび/またはPUポリカルボン酸、例えば上記ポリカルボン酸を開始剤としてラクタムもしくはラクトン(前記)を開環重合させてなるポリラクタムポリカルボン酸およびPLポリカルボン酸、上記ポリカルボン酸類の2分子またはそれ以上をポリオール(前記)またはポリアミン(前記)もしくはポリイソシアネート(PI、後述)でカップリング(エステル化またはアミド化)させてなる縮合PSポリカルボン酸および縮合PDポリカルボン酸、および上記のポリカルボン酸類およびポリオールとPIを反応(ウレタン化およびエステル化もしくはアミド化)させてなるPUポリカルボン酸が含まれる。
【0023】
ラクタムには、C4〜15(好ましくはC6〜12)のもの、例えばカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタムおよびウンデカノラクタム;ラクトンには、上記ラクタムに相当する(NHがOに置換った)もの(例えばε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン)が含まれる。
【0024】
エステル形成性誘導体には、酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステルおよび酸ハライド、例えばコハク、マレイン、イタコンおよびフタル酸無水物 、テレフタル酸ジメ
チル、並びにマロニルジクロライドが含まれる。
縮合PSポリオールの製造に好ましいのは、ジカルボン酸類、およびそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸類との併用である。
ラクトンおよびヒドロキシカルボン酸には前掲のものが含まれる。
アルキレンカーボネートには、C2〜6のアルキレン基を有するもの、例えばエチレンおよびプロピレンカーボネートが含まれる。ジアルキルカーボネートには、C1〜4のアルキル基を有するもの、例えばジメチル、ジエチルおよびジ−i−プロピルカーボネートが含まれる。
【0025】
OH末端のPSの具体例には、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリブチレン/ヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポ リテトラメチレンエーテル)アジペート、
ポリエチレンアゼレート、ポリエチ レンセバケート、ポリブチレンアゼレート、ポリブ
チレンセバケート、ポリカプロラクトンジオールおよびポリヘキサメチレンカーボネートジオールが含まれる。
【0026】
OH末端のPDには、ポリカルボン酸類(上記)を、ヒドロキシルアミン(前記)またはポリオール(上記)およびポリアミン(PA)(前記)と重縮合させてなる、ポリ (
エステル)アミドポリオールが含まれる。
【0027】
OH末端のPUには、ポリオールをPIで変性してなるOH末端ウレタンプレポリマーが含まれる。ポリオールには、前記の、多価アルコール、高分子ポリオール(上記OH末端のPTおよびPS、並びに後述のOH末端のVPおよびP/P)、並びにこれらの2種以上の併用が含まれる。ポリオールのうち、好ましいのは高分子ポリオール(とくにOH末端のPSおよびとくにPT)およびこれと低分子ポリオール(とくに多価アルコール)との併用である。併用する低分子ポリオールの量は、要求される性能に応じて適宜変えることができるが、一般に、高分子ポリオール1当量に対して、0.0 1〜0.5当量、
さらに0.02〜0.4当量とくに0.1〜0.2当量が好ましい。
OH末端ウレタンプレポリマー製造に当り、ポリオールとPIとの当量比(OH/NCO比)は、通常1.1/1〜10/1、好ましくは1.4/1〜4/1とくに 1.4/
1〜2/1である。ポリオールとPIとは、1段で反応させても、多段で反応(例えばポリオールもしくはPIの一部を反応させたのち残部を反応)させてもよい。
【0028】
OH末端のVPには、ポリブタジエン系ポリオール、例えばOH末端のブタジエンホモポリマーおよびコポリマー(スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー等)[1,2−ビニル構造を有するもの、1,4−トランス構造を有するもの、1,4−シス構造を有するもの、およびこれらの2種以上を有するもの(1,2−ビニル/1,4−トランス/1,4−シスのモル比100〜0/100〜0/100〜0、好ましくは10〜30/50〜70/10〜30]、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%);アクリルポリオール、例えばアクリル共重合体[
アルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート、またはこれらと他のモノマー(スチレン、アクリル酸等)との共重合体]にヒドロキシル基を導入したもの[ヒドロキシル基の導入は主としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートによる];および部分鹸化エチレン/酢酸ビニル共重合体が含まれる。
【0029】
P/Pは、ポリオール(前述のOH末端のPTおよび/またはPS、またはこれと前記の多価アルコールとの混合物)中でエチレン性不飽和モノマーをその場で重合させることにより得られる。エチレン性不飽和モノマーには、アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリロニトリルおよびアルキル(C1〜20またはそれ以上)(メタ)アクリレート(メチルメタクリレート等);炭化水素(以下HCと略記)系モノマー、例えば芳香族不飽和HC(スチレン等)および脂肪族不飽和HC(C2〜20またはそれ以上のアルケン、アルカジエン等、例えばα−オレフィンおよびブタジエン);並びにこれらの2種以上の併用[例えばアクリロニトリル/スチレンの併用(重量比100/0〜80/20)]が含まれる。P/Pは、例えば5〜80%またはそれ以上、好ましくは30〜70%の重合体含量を有する。
上記の高分子ポリオールのうちで好ましいのはPTポリオールおよびPSポリオール、さらに好ましいのは多価アルコールのAO付加物、とくに好ましいのは2価〜8価またはそれ以上の多価アルコールのAO付加物と含窒素ポリオールのAO付加物の併用である。
【0030】
本発明におけるポリイソシアネート(B)には、2〜6個またはそれ以上(好ましくは2〜3個とくに2個)のイソシアネート基を有する、下記のポリイソシアネート(PI)、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(1)C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族PI:
ジイソシアネート(以下DIと略記)、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4 −トリメチルヘキ
サメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチ ルカプロエート、2,6−
ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレートおよびビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;
3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,1 1−ウンデカントリイ
ソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンとの反応生成物のホスゲン化物、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等);
【0031】
(2)C4〜15の脂環式PI:
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、 メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イ
ソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンDI;
3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート;
(3)C8〜15の芳香脂肪族PI:
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI);
(4)C6〜20の芳香族PI:
DI、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、4, 4’−および/または2,4’−ジフェニル
メタンDI(MDI)、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび
1,5−ナフチレンDI;
3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネ ート);
【0032】
(5)PIの変性体:
上記PIの変性体、例えばカルボジイミド、ウレタン、ウレア、イソシアヌレート、ウレトイミン、アロファネート、ビウレット、オキサゾリドンおよび/またはウレトジオン基を有する変性体)、例えばMDI、TDI、HDI、IPDI等のウレタン変性物(ポリオールと過剰のPIとを反応させて得られるNCO末端ウレタンプレポリマー)、ビウレット変性物 、イソシアヌレート変性物、トリヒドロカルビルホスフェート変性物、お
よびこれらの混合物。
ウレタン変性に用いるポリオールには、前記の多価アルコール、PTポリオールおよび/またはPSポリオールが含まれる。好ましいのは、500以下とくに30〜200のOH当量を有するポリオール、例えばグリコール(EG、PG、DEG、DPG等)、トリオール(TMP、GR等)、4官能以上の高官能ポリオール(PE、SO等)およびこれらのAO(EOおよび/またはP O)(1〜40モル)付加物、とくにグリコールおよ
びトリオールである。ウレタン変性におけるPIとポリオールとの当量比(NCO/OH比)は、通常1.1/1〜10/1、好ましくは1.4/1〜4/1とくに1.4/1〜2/1である。
上記変性PIの遊離イソシアネート基含量は通常8〜33%、好ましくは1 0〜30
%、とくに好ましくは12〜29%である。
【0033】
ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)からポリウレタン樹脂を形成させるに際して、(A)と(B)の割合をイソシアネート指数[(NCO基/OH基の当量比)×100]で表した場合、該指数は種々変えることができるが、樹脂強度および模型素材の切削加工のしやすさの観点から、好ましくは80〜140、さらに好ましくは85〜120、とくに好ましくは90〜115である。
また(A)と(B)の反応方法としては、ワンショット法であっても、予め(A)の一部と(B)を反応させてNCO末端プレポリマーを形成させた後、残りの(A)と反応させるか、あるいは予め(A)と、(B)の一部を反応させてOH末端プレポリマーを形成させた後、残りの(B)と反応させるプレポリマー法であってもよい。
【0034】
中空微小球(C)は、模型素材の軽量化や切削加工性を向上させることを目的に配合される。
(C)としては、例えば、熱可塑性樹脂[ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
メチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリロニトリルおよびこれらの共重合体からなる群から選ばれる1種または2種以上]、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂等)および無機物(ガラス、アルミナ、シラス、カーボン等)からなる各中空微小球が挙げられる。
これらのうち好ましいのは熱可塑性樹脂からなるもの、さらに好ましいのはポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレートおよびこれらの共重合体からなる群から選ばれる1種または2種以上である。
(C)の体積平均粒径は、組成物の流動性、取り扱い性の観点および硬化後のポリウレタン樹脂のきめの細かさの観点から好ましくは0.5〜200μm、さらに好ましくは1〜150μm、とくに好ましくは5〜100μm;真比重は、取り扱い性と組成物の流動性および軽量化の観点から好ましくは0.005〜0.1、さらに好ましくは0.009〜0.09、特に好ましくは0.015〜0.08、最も好ましくは0.02〜0.07である。
市場から入手できる(C)の具体例としては、エクスパンセル551DE40d−42および−60、エクスパンセル461DE−40d60および−20d70、エクスパンセル092DE40d30[いずれも商品名、エクスパンセル(株)製];マツモトマイクロスフェアーF−80EDおよびMFLシリーズ[いずれも商品名、松本油脂製薬(株)製];フェノリックマイクロバルーンBJO−0930[商品名、ユニオンカーバイド(株)製];スコッチライトK−15および−37[いずれも商品名、スコッチライト(株)製]等が挙げられる。
【0035】
(C)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常30%以下、成形品の軽量化や切削加工性および盛り付け剤の流動性の観点から好ましくは2〜25%、さらに好ましくは4〜20%である。
【0036】
(C)は通常、ポリオール(A)からなる活性水素成分(I)側とイソシアネート成分(II)側の両方に含有させる。(I)側もしくは(II)側のいずれかのみに配合するだけでは混合時の両者の体積比が1/1から大きくずれて作業性が悪くまた低密度化に限度がある。また、組成物全体として必要な(C)の配合量を(A)と(B)のそれぞれの側に分配することで組成物の粘度を同程度に調整でき、両者の混合操作が容易になる。
分配の比率は(C)の体積分配率で(A)に対して30〜70%、(B)に対して70〜30%が好ましい。この範囲であると(A)と(B)の流動性が近く、混合操作が容易になる。
この場合、保存中に(C)の表面に吸着されている水分とポリイソシアネート(B)との反応を防ぐために、(II)側に後述の脱水剤(D)を同時に配合してもよい。
【0037】
脱水剤(D)は、盛り付け剤同士の合わせ目に起こる発泡現象を防止して接着性を向上させたり、盛り付け剤への水分や湿分が混入してウレタン化反応における発泡剤となることを防止して、模型素材を切削加工した際に表面を緻密にすることを目的に配合される。
(D)としては、通常用いられる脱水効果を有する化合物が使用できるが、中性またはアルカリ性の脱水剤が好ましい。
(D)の具体例としては、例えば酸化カルシウム、硫酸カルシウム(半水石膏)、塩化カルシウム、モレキュラーシーブが挙げられる。
(D)のうち、体積平均粒径が小さく組成物中への微分散、および脱水効果の安定性の観点から好ましいのは硫酸カルシウム(半水石膏)、塩化カルシウムおよびモレキュラーシーブ、さらに好ましいのはモレキュラーシーブである。
【0038】
(D)の体積平均粒径(μm)は、単位重量当たりの表面積が大きく充分な脱水性能を有するとの観点から好ましくは0.05〜50、さらに好ましくは0.07〜40、特に好ましくは0.09〜30、最も好ましくは0.1〜20である。
モレキュラーシーブを用いる場合、モレキュラーシーブの孔径(nm)は、水分子の効率的な吸着の観点から好ましくは1〜100、さらに好ましくは0.05〜70、特に好ましくは0.1〜50、最も好ましくは0.2〜40である。
(D)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常25%以下、脱水効果および組成物の適度な流動性の観点から好ましくは0.3〜20%、さらに好ましくは0.5〜15%である。
【0039】
フッ素含有撥水剤(E)としては、1,000〜1×107のMnおよび0.5〜50
0μmの体積平均粒径を有するもの、例えば四フッ化エチレン樹脂[商品名「ポリフロンPTFE」(商品名略称「PTFE」)]、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体[商品名「ネオフロンPFE」(商品名略称「PFE」)]、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(商品名略称「FEP」)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(商品名略称「ETFE」)、ポリビニリデンフルオライド(商品名略称「PVDF」)、三フッ化塩化エチレン樹脂(商品名略称「PCTFE」)、六フッ化プロピレン樹脂(商品名略称「HFP」)、およびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち撥水性の観点から好ましいのは「PTFE」、「FEP」および「HFP」である。
【0040】
(E)の使用量は、(A)〜(D)の合計重量に基づいて、模型素材の吸湿性、並びに組成物の流動性と模型素材の機械強度の観点から好ましくは0.01〜15%、さらに好ましくは0.05〜13%、とくに好ましくは0.1〜10%である。
(A)、(C)および(D)からなる活性水素成分(I)と、ポリイソシアネート成分(II)から形成されてなる本発明の模型素材は、(I)および/または(II)に(E)を含有させることにより、該模型素材の寸法安定性を改良することができる。(E)は、(I)、(II)または(I)と(II)の混合物のいずれに含有させてもよい。
【0041】
本発明の盛り付け剤は、必要により本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤(F)を併用してもよい。
(F)としては、ウレタン化触媒[アミン触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等)、金属触媒(オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛等)等];可塑剤[キシレン系オリゴマー(メシチレンとホルムアルデヒドの縮合物等)、フタル酸エステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等)、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等];チクソ性付与剤[微粒子状シリカ(体積平均粒径100nm以下)、水添ヒマシ油、有機ベントナイト等];整泡剤(整泡効果を有するジメチルポリシロキサン、例えば主鎖、側鎖および/または末端をポリオキシアルキレン鎖、フェニル、アルキル、アラルキルまたはアリールアルキル基等で変性した非反応性ジメチルポリシロキサン);充填剤[無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、雲母、ミルドファイバー等)、有機充填剤(熱硬化性樹脂の粉砕物等)等]、難燃剤、着色剤(染料、顔料等)、紫外線吸収剤、老化防止剤、抗酸化剤、防黴剤、抗菌剤等を含有させることができる。
【0042】
(F)の合計使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常50%以下、好ましくは0.001〜40、さらに好ましくは0.05〜35、とくに好ましくは0.08〜30である。
(F)の各添加剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、ウレタン化触媒は、通常1%以下、好ましくは0.001〜0.5%;可塑剤は、通常25%以下、好ましくは1〜20%;チクソ性付与剤は、通常15%以下、好ましくは0.5〜10%;整泡剤は、通常6%以下、好ましくは0.05〜5%;充填剤は、通常45%以下、好ましくは0.5〜30%;難燃剤は、通常30%以下、好ましくは5〜20%;着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、抗酸化剤、防黴剤および抗菌剤は、それぞれ通常5%以下、好ましくは0.01〜3%である。
【0043】
本発明の盛り付け剤は、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、中空微小球(C)、脱水剤(D)およびフッ素含有撥水剤(E)を含有するものであれば、どのような
形態であってもよいが、(A)と(B)との反応性の観点から好ましいのは、(A)、(C)、(D)および(E)からなる活性水素成分(I)と、(B)からなるイソシアネート成分(II)との2液硬化型の形態、さらに好ましいのは該(I)と、(B)、(C)および(D)からなる(II)との2液硬化型である。
【0044】
本発明の盛り付け剤は、上記構成成分をプロペラ型、櫂型等の撹拌羽根の付いた混合槽、プラネタリーミキサー、またはホーバルトミキサー等を用いて混合する方法で製造される。特に中空微小球(C)の配合量の割合が多い場合、撹拌シェアが高くなるため、プラネタリーミキサーを用いることが好ましい。
本発明の盛り付け剤を製造する実施形態の一例として、プラネタリーミキサーを用いた場合の製造方法について、以下に説明する。
(1) 先ず液状成分[活性水素成分(I)では(A)、および必要により着色剤(分散剤に着色剤を分散させた液状のもの)、可塑剤、難燃剤等、イソシアネート成分(II)では(B)、および必要により着色剤(同上)、可塑剤、難燃剤等]をプラネタリーミキサー[例えばPLGM−400型、(株)井上製作所製]の配合槽に投入し、低速(例えば公転14rpm、自転44rpm)、室温(10〜35℃)で10分間混合する。
(2) 次に粉体成分の中空微小球(C)およびその他添加剤(F)を投入し、最後に脱水剤(D)を投入する。投入後、粉体成分が液になじむまで低速(前記)、室温(前記)で10〜30分間混合する。粉体成分が液になじんだ後、−0.9MPa以下まで減圧脱気しながら、高速(例えば公転21rpm、自転66rpm)、室温で30分間混合する。模型素材の切削加工後における表面のなめらかさをさらに高めるために、混合の際に減圧脱気し、盛り付け剤中に含まれる、気泡を除去することが好ましい。
(3) 混合終了後、配合槽をラムプレス式充填機[例えばPHL−400型、(株)井上製作所製]にセットし、加圧しながら配合槽底部バルブから樹脂製ホースを通して、200Lストレートドラム缶に充填する。
【0045】
本発明の盛り付け剤を用いて所望の形状の模型素材を作製するに際しては、作業効率の観点から好ましいのは、成分(I)と成分(II)を2液吐出機で混合吐出させる方法である。該盛り付け剤を用いた模型素材の製造方法の一例として、2液吐出機による盛り付け工程について以下に説明する。
(1) 上記ドラム缶から直接、吸引、送液できるポンプ部を2台持つ2液吐出機[例えば二液混合吐出システム、轟産業(株)製]のポンプ部に、(I)、(II)各成分を充填したドラム缶をセットする。
ポンプの形式は、ペースト状の材料を定量的に送液できるとの観点から好ましいのはプランジャーポンプまたはスネークポンプ、さらに好ましいのは中空微小球(C)の破壊が比較的少なく、低流動性でも送液が可能なスネークポンプ[例えばドラム缶用ディスチャージャー 2NTL20型、兵神装備(株)製]である。
(2) 前記イソシアネート指数[(NCO基/OH基の当量比)×100]が前記の範囲になる割合でそれぞれのポンプ送液量を設定する。
(3) 吐出口までのライン中にスタティックミキサー[例えばスタティックミキサー 1・1/2−N30−131−F型、ノリタケカンパニーリミテッド(株)製]を設置し、2液を吐出させる。スタティックミキサーで混合された混合液を、あらかじめ概略の目的形状としたコア材[例えば硬質ポリウレタンフォーム ソフランボード80、アクソン(株)製]の上に盛り付ける。
(4) 室温(10〜35℃)で1時間静置して、1次硬化させた後、50〜70℃で8〜12時間で後硬化させて、所望の形状の模型素材を得る。
【0046】
本発明の盛り付け剤は、反応速度を高めれば、室温でも充分な物性を発揮させることができるが、必要により加熱し、後硬化させることにより充分な物性を安定的に発揮させることができる。後硬化の条件は、ウレタン化反応の完了および作業効率、工業上の観点か
ら、硬化温度は好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜70℃、硬化時間は好ましくは5〜14時間、さらに好ましくは8〜12時間である。
【0047】
得られた模型素材をNCマシン等で切削加工することにより本発明の模型(工業用モデル)が得られる。本発明の模型は、切削表面が滑らかに仕上るため、サンドペーパー(例えば240番)で表面を一度研削した後、塗装するだけで模型を仕上げることができ、再研削、再塗装の必要がない。
【0048】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部を表す。また、粘度はJIS K1557に準じ測定した、25℃における粘度である。
<使用原材料>
ポリオール
(A11):グリセリンPO付加物、OH価400mgKOH/g(以下数値のみを
示す)のポリエーテルポリオール、粘度0.38Pa・s。
(A21):エチレンジアミンPO付加物の末端にEOを付加した、OH価450の
ポリエーテルポリオール、EOとPOの重量比(EO/PO)47.5
/52.5。粘度1.15Pa・s。
【0049】
ポリイソシアネート(B1):粗製MDI[商品名「ルプラネートM−20S」、BA
SF イノアックポリウレタン(株)製、粘度0.20Pa・s、NC
O%は31.4%]
中空微小球(C1):熱可塑性樹脂中空微小球[商品名「エクスパンセル551DE4
0d−42」、エクスパンセル(株)製、真比重0.042、体積平均
粒径40μm]
脱水剤(D1):モレキュラーシーブ[商品名「モレキュラーシーブ3A−Bパウダー
」、ユニオン昭和(株)製、体積平均粒径1〜10μm、孔径30nm
以下]
フッ素含有撥水剤(E1):四フッ化エチレン樹脂[商品名「ポリフロンPTFE M
−33」、ダイキン工業(株)製、体積平均粒径300μm]
【0050】
添加剤(F)
(F1)可塑剤:メシチレンベースキシレン系オリゴマー[商品名「NIKANOL
Y−51」、フドー(株)製、粘度0.05Pa・s]
(F2)チクソ性付与剤:微粒子状シリカ[商品名「AEROSIL 200」、日
本アエロジル(株)製、体積平均粒径12nm]。
【0051】
実施例1〜7
表1に記載の配合組成(部)で、各原材料をプラネタリーミキサー[PLGM−400型、(株)井上製作所製]に投入し、公転14rpm、自転44rpmで10分間混合し均一にした後、公転21rpm、自転66rpm、−0.9MPa以下で30分間撹拌脱気して、活性水素成分(I)とイソシアネート成分(II)からなる2液硬化型の盛り付け剤を得た。得られた各成分は2本の200Lドラム缶にそれぞれ100L充填した。
次に、(I)、(II)成分を合計で2L/分の速度で、スネークポンプ[ペール缶用ディスチャージャー2NTL20型、兵神装備(株)製]で送液し、Y字管で送液ラインを1本にまとめた後、スタティックミキサー[1・1/2−N30−131−F型(30エレメント)、(株)ノリタケカンパニーリミテッド製]で混合し、吐出した。
内寸が幅100mm、長さ1,000mm×高さ50mmのアルミ金型内に30mmの厚さで盛り付けた。25℃で1時間静置した後、70℃で10時間、加熱硬化させた。これを8時間放冷し、脱型して盛り付け剤の硬化物を得た。該硬化物の評価結果を表1に示
す。
【0052】
比較例1
表1に記載の配合組成(部)で、実施例1〜7と同様にして硬化物を得た。該硬化物の評価結果を表1に示す。
【0053】
寸法安定性の評価は次のとおり行った。
NCマシン[NCE23−1H型ルータ、(株)菊川鉄工所製]で硬化物の高さが25mmになるよう切削し、幅約100mm、長さ約1,000mm、高さ25mmの硬化物とした。硬化物の重量を3辺の長さの積より算出した体積で除して密度とした。
該硬化物を恒温恒湿(23℃、相対湿度55%、以下同じ。)の室内に保存した後、該恒温恒湿の室内で三次元測定機[BHN710型、(株)ミツトヨ製]を用いて、経時的に該硬化物の長さを測定した。
該硬化物を恒温恒湿の室内に保存して24時間後の長さ(a)を基準として、該恒温恒湿の室内で3、6、12ヵ月経過後の長さ変化率(%)を下記式によって求めた。

長さ変化率(%)=(b−a)×100/a

[式中、aは基準長さ、bは所定期間経過後の長さ]
【0054】
【表1】

【0055】
表1の結果から、実施例の成形品は比較例のものに比べて長期保存時の寸法安定性に極めて優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の模型素材用盛り付け剤を硬化させてなる模型素材を切削加工して得られる模型は吸湿による歪みや寸法変化が極めて小さいことから、該盛り付け剤はデザインモデル、マスターモデル等の模型用の切削加工材料等として幅広く用いられ、得られる模型は、例えば、鉄道車両、自動車および家電製品の実物大モデルや自動車の内装モデル等に利用できることから極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、中空微小球(C)および脱水剤(D)からなる模型素材用盛り付け剤において、フッ素含有撥水剤(E)を含有させてなることを特徴とする模型素材用盛り付け剤。
【請求項2】
(E)の含有量が(A)〜(D)の合計重量に基づいて0.01〜15%である請求項1記載の盛り付け剤。
【請求項3】
盛り付け剤が、ポリオール(A)、中空微小球(C)、脱水剤(D)およびフッ素含有撥水剤(E)からなる活性水素成分(I)と、ポリイソシアネート(B)からなるイソシアネート成分(II)とから構成される2液硬化型盛り付け剤である請求項1または2記載の盛り付け剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の盛り付け剤を、コア材に盛り付け、硬化させてなる模型素材。
【請求項5】
請求項4記載の模型素材を切削加工してなる模型。
【請求項6】
請求項3記載の盛り付け剤を2液吐出機により混合吐出してコア材に盛り付け、硬化させることを特徴とする模型素材の製造方法。
【請求項7】
ポリオール(A)、中空微小球(C)および脱水剤(D)からなる活性水素成分(I)と、ポリイソシアネート成分(II)から形成されてなる模型素材において、(I)および/または(II)にフッ素含有撥水剤(E)を含有させることを特徴とする該模型素材の寸法安定性改良方法。

【公開番号】特開2007−291371(P2007−291371A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85325(P2007−85325)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】