説明

模様を有する透明な多相歯磨剤

多相歯磨剤組成物は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含み、この視覚的に区別可能な相は、ほぼ透明な容器に包装され、少なくとも1つの相が、別の相と物理的に接触し、少なくとも1つの視覚的に区別可能な相がほぼ透明であり、視覚的に区別可能な相が模様を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な層を含む、多相歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
審美性は、消費者選択、及び歯磨剤の使用において、重要な役割を果たすことが周知である。歯磨剤の独自の外観は、ユーザーにとって快適である審美的効果をもたらし、歯磨剤の使用を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
場合により、新しい歯磨剤製品を目立たせ、売り込むために、縞又は粒子などの視覚的効果が使用されてきた。しかし、歯磨剤の新しく魅力的な視覚的バリエーションに対する持続的な必要性がいまだに存在している。本発明は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含む、多相歯磨剤を提供することにより、この必要性を満たす。本発明の視覚的に区別可能な相は、歯磨剤の魅力的な新しい外観を生じる、多くの異なる模様、形状、及びデザインに見えるように包装され得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含む、多相歯磨剤組成物であり、この視覚的に区別可能な相は、ほぼ透明な容器に包装され、少なくとも1つの相が別の相と物理的に接触し、少なくとも1つの視覚的に区別可能な相がほぼ透明であり、視覚的に区別可能な相が、模様を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本特許又は出願書類は、少なくとも1つのカラー印刷写真を含む。カラー写真を備える、本特許又は特許出願公開の複製は、要請があれば、必要な手数料を支払うことにより、特許庁によって提供されるであろう。
【図1】相が模様を形成する透明な多相歯磨剤の一実施形態を示す、写真。
【図2】相が模様を形成する透明な多相歯磨剤の一実施形態を示す、写真。
【図3】相が模様を形成する透明な多相歯磨剤の一実施形態を示す、写真。
【図4】相が模様を形成する透明な多相歯磨剤の一実施形態を示す、写真。
【図5】相が模様を形成する透明な多相歯磨剤の一実施形態を示す、写真。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項により結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【0007】
定義
用語「含む」は、本明細書で使用するとき、最終的な結果に影響を及ぼさない他の工程、及び他の成分、を追加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載の発明の必須要素及び制限、並びに本明細書に記載のいかなる追加若しくは任意の成分、構成成分、工程、又は制限を含む、からなる、及びから本質的になることができる。
【0008】
用語「有効量」とは、本明細書で使用するとき、当業者の適切な判断内で明白な利益、好ましくは口腔の健康の利益を顕著に誘導するために十分であるが、重篤な副作用を回避するために十分に低い、即ち合理的な利益対危険性比を提供する化合物又は組成物の量を意味する。
【0009】
用語「口腔用組成物」とは、本明細書で使用するとき、通常の使用過程では、特定の治療薬について全身投与の目的で意図的に嚥下されるのではなく、むしろ、口腔の活性を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたり、口腔内に保持される製品を意味する。口腔用組成物は、練り歯磨き、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、フォーム、ムース、又は義歯用製品を含む様々な形態であってもよい。口腔用組成物はまた、口腔表面に直接適用する、又は貼付するストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0010】
本明細書において使用される「歯磨剤」という用語は、特に指定しない限り、口腔の表面を洗浄するために使用するペースト、ゲル、粉末、又は液剤を意味する。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」とは、1種類のモノマーの重合によってつくられるか、又は2種類以上のモノマーによってつくられる(即ち、コポリマー)物質が含まれるものとする。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「水溶性」は、物質が本組成物中で水に可溶であることを意味する。一般に、物質は25℃にて、水溶媒に対して0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、より好ましくは15重量%の濃度で可溶であるべきである。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「相」は不均質な系の、機械的に分離した、均一な部分を意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「多相」は、本明細書における少なくとも2つの相が、これらが貯蔵される容器内で別個だが異なる物理的空間を占めるが、互いに直接接触していることを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「視覚的に区別可能な」は、見ることによって明瞭に知覚される相違を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「容器」は、材料を保持する、又は収納する入れ物を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「不透明な」という用語は、透明、ほぼ透明、又は半透明ではなく、光を通さないことを意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「透明な」とは、オブジェクト又は像が、介在する物質がないかのように見えるように、光を伝達することが可能であることを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「半透明な」とは、光が、通過する際に拡散し、それによってオブジェクト又は画像が見えるが、これが明確ではないことを意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「ほぼ透明な容器」とは、容器の少なくともいくらかが透けて見え、それによって容器の内容物の外観が、視覚化され得ることを意味する。この用語は、透明及び半透明な容器を含み、透明な容器内の内容物は、半透明な容器内のものよりも、より明確に視覚化され得る。本発明の目的において、可視光線範囲内のある波長が、25%よりも高い透過率を有する限り、これはほぼ透明であるとみなされる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「包装された」とは、内側に配置され、保持されることを意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「包装層」とは、歯磨剤組成物の、容器上における、更なる任意の束化、又は包装を意味し、これにはラベル、収縮包装、ストレッチ包装、又は箱が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「ラベル」とは、取り付けられた、又は容器の一部とされた、装飾、又は情報を意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「収縮包装」とは、プラスチックの可撓性フィルムで包装及び密閉することを意味する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「模様」とは、必ずしも反復又は模倣的ではない、装飾的な、又は特徴的なデザインを意味し、これには、大理石模様、格子縞模様、斑状、脈状、クラスター状、幾何学模様、点状、旋回状、渦巻き状、配列型、斑入り状、織り目加工型、らせん状、周期的、凹凸、レース状、モザイク模様、スターバースト型、浅裂、稲妻、ブロック、非平坦、ひだ状、カップ状、凹状、凸状、網状、テーパ形状、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「バンド」とは、直線状(即ち、屈曲、角度、又は曲線を含まない)、又は非直線状(例えば、曲線、角度付き、又は波形)であり得、及び全体を通じて厚さが変動可能である、連続的なストロークを意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「縞」とは、屈曲、角度、又は曲線を含まずに走る、交互のバンドを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「交互の」とは、反復的に入れ替わることを意味する。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「物理的接触」とは、接触しているが、混合していないことを意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「花弁」とは、互いに重ねて層化した、遊離した花(例えば、バラ)の弁の外観を意味する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「らせん状」とは、旋回状の外観又は固定点の周囲を移動すると同時に定常的にこれから後退する又はこれに接近する点によって生成される曲線の外観を意味する。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「大理石模様」とは、異なる色又は形状の、渦、点、又は斑点を含み得る、斑点模様、又は班入り状の外観を意味する。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「旋回状」とは、曲線の外観を意味する。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「幾何学模様」とは、幾何学で使用される、単純な直線状の又は曲線状の線又は図形に似た、又はこれを用いた外観を意味する。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「スターバースト型」とは、光線を放射する形状、又は設計を意味する。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「稲妻」とは、稲妻の模様又は形状、即ち、ギザギザの線の模様を意味する。
【0038】
本明細書で使用するとき、用語「ブロック」とは、端と端を接して配置される一連の区分を意味し、各区分はほぼ正方形又は長方形の形状である。各区分は、次に続く区分から視覚的に区別可能に見えるが、同じ視覚的に区別可能な区分が、一度以上現れてもよい。
【0039】
本明細書で使用するとき、用語「利益相」は、組成物の特定の相が、白化、持続性の爽快感、風味、清浄感、健康上の利益の向上、有効性の向上、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない望ましい効果をもたらすことを意味する。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「分配する」又は「分配」は、投与又は除去することを意味する。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「ディスペンサー」とは、口腔用組成物を分配するのに好適な、任意のポンプ、チューブ、包装、又は容器を意味する。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「指定の体積比」とは、固定的比率の材料の量を意味する。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「長手方向軸」とは、本体の最も長い軸を意味する。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語「交差しないバンド」とは、互いに横断、又は通過せず、狭まって融合しない、バンドを意味する。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「交差する」とは、互いに横断、若しくは交差する、又は狭まって融合する、バンドを意味する。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語「配向される」とは、位置合わせされるか、又は位置付けられることを意味する。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「方向」とは、コース又は方位を意味する。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「平行」とは、同じ方向に延び、共通の垂線を有することを意味する。
【0049】
本明細書で使用するとき、用語「近接する」とは、隣接する、又は隣り合うことを意味する。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「厚さ」とは、単一の相のバンドの幅を意味する。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「不規則な境界面」とは、2つの相の共通の境界としてみなされる表面が、ギザギザであるか、他の何らかの非直線的な整合であることを意味する。
【0052】
本明細書で使用するとき、用語「波形」とは、反対側の方向に交互に曲線を描くことを意味する。
【0053】
本明細書で使用するとき、用語「キャラクター」とは、文字、数表示、記号、エンブレム、図、象徴、画像、マーク、ロゴ、商標、描写、形状、及びモノグラムが挙げられるがこれらに限定されない像を意味する。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「記号」とは、何かを表すために使用される画像を意味する。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「文字」とは、言語音を表すために使用され、アルファベットの一部である、記号を意味する。
【0056】
本明細書で使用するとき、用語「数表示」とは、数字を表現する記号を意味する。
【0057】
本明細書で使用するとき、用語「エンブレム」とは、何かを特定する、又は表す象徴、デザイン、又は図を意味する。
【0058】
本明細書で使用するとき、用語「図」とは、輪郭線によって決定される、形又は形状を意味する。
【0059】
本明細書で使用するとき、用語「デザイン」とは、装飾的な模様又はスキームを意味する。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「リボン」とは、材料の1つの相の細いストリップ又はバンドが、1つ以上の他の相の細いストリップ又はバンドと層化されてつくられる外観を意味する。
【0061】
本明細書で使用するとき、用語「色付きの」とは、色を有することを意味する。
【0062】
本明細書で使用するとき、用語「薄い色の付いた」とは、色の濃さ、特に薄い又は微妙なバリエーションを意味する。
【0063】
本明細書で使用するとき、用語「濃淡のある」とは、黒色の量によって、又は照明の欠如によって決定される、色の暗さの度合いを意味する。
【0064】
本明細書で使用するとき、用語「つや消しの」とは、表面に加えられた装飾又はコーティングを意味する。
【0065】
本明細書で使用するとき、用語「真珠光沢の」とは、真珠のつやに似た、虹色のつやを有することを意味する。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「感光性」とは、光、又は同様の放射物に反応することを意味する。
【0067】
本明細書で使用するとき、用語「等距離の」とは、全ての点が同じ距離で離れていることを意味する。
【0068】
本明細書で使用するとき、用語「完全に配置される」とは、2つの相が同軸上にあり、一方の相が他方を完全に取り囲んでいることを意味する。
【0069】
本明細書で使用するとき、用語「コイル」とは、らせん又は輪の連続を意味する。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「連続的」とは、容器を充填している間、特定の相の容器への充填手順が中断されないことを意味する。
【0071】
本明細書で使用するとき、用語「不連続の」とは、容器を充填している間、特定の相の容器への充填手順が、無作為な中断及び開始、又は規則的な若しくは周期的な中断及び開始のいずれかにより、少なくとも一度中断されることを意味する。
【0072】
本明細書で使用するとき、用語「非平坦」とは、表面粗さを有することを意味する。
【0073】
本明細書で使用するとき、用語「ひだつき」とは、折り畳まれた外観を意味する。
【0074】
本明細書で使用するとき、用語「カップ状」とは、縁部が湾曲していることを意味する。
【0075】
本明細書で使用するとき、用語「凹部」とは、内側に湾曲した表面、又は境界面を記述する。
【0076】
本明細書で使用するとき、用語「凸部」とは、外側に湾曲した若しくは丸くなった表面、又は境界面を記述する。
【0077】
本明細書で使用するとき、用語「網状」とは、織り交ぜられた外観を意味する。
【0078】
本明細書で使用するとき、用語「テーパ状」とは、一端に向って次第に薄く、又は細くなることを意味する。
【0079】
本明細書で使用するとき、用語「堆積した」とは、互いの上に配置された、又は位置しているものの集合を意味する。
【0080】
本明細書で使用するとき、用語「オーバーラップする」とは、一部を覆う、又は共通の領域を有することを意味する。
【0081】
本明細書で使用するとき、用語「絡み合った」とは、共に紡ぐ又は編むことを意味する。
【0082】
本明細書で使用するとき、用語「円筒形」とは、円筒、即ち、一定の断面積及び2つの同じ寸法の円形端部を有する管の形状を有する。
【0083】
本明細書で使用するとき、用語「非円筒形」とは、一定の断面積及び2つの同じ寸法の円形端部を有する管ではない、任意の、及び全ての形状を意味する。
【0084】
本明細書で使用するとき、用語「通過する」とは、一方の端部、側部、又は表面から入り、他方から出ることを意味する。
【0085】
本明細書で使用するとき、用語「平行移動」とは、回転、又は角変位しない運動を意味する。
【0086】
本明細書で使用するとき、用語「揺動」とは、振り子のように前後に揺れる、又は動くことを意味する。
【0087】
本明細書で使用するとき、用語「往復運動」とは、後方及び前方への交互の運動を意味する。
【0088】
本明細書で使用するとき、用語「振動」とは、前後又は上下に、速く、反復的に動くことを意味する。
【0089】
本明細書で使用するとき、用語「脈動」とは、律動的に膨張及び収縮することを意味する。
【0090】
本明細書で使用するとき、用語「回転」とは、軸又は中心点の周囲で回ることを意味する。
【0091】
本明細書で使用するとき、用語「突き込む」とは、何かに投げ込む又は押し込むことを意味する。
【0092】
百分率、部分及び比率は全て、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づいている。このような全ての重量は、列記した成分に関する限り、活性レベルに基づくため、特に指示がない限り、市販物質に包含される可能性のある溶媒又は副産物を包含しない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示される場合がある。
【0093】
特に指定されない限り、本明細書で使用される分子量は全て、g/molとして表される重量平均分子量である。
【0094】
実施形態
本発明は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含む、多相歯磨剤組成物を対象としており、この視覚的区別可能な相は、ほぼ透明な容器に包装され、少なくとも1つの相が別の相と物理的に接触しており、相は独自の視覚的外観を形成する。
【0095】
本明細書において記載される視覚的外観は、容器内にある際の組成物のものであることが理解される。即ち、説明は、組成物単独、又は容器から分配される組成物だけではなく、組成物、容器、及び任意の更なる包装層の組み合わされた外観を表す。
【0096】
いくつかの実施形態では、視覚的に区別可能な相は、縞を除いた様々な模様のいずれかを形成する。形成され得る模様としては、渦巻き状、らせん状、大理石模様、幾何学模様、花弁、スターバースト、稲妻、ブロック、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。相が不透明であるか又は透明であるかによって、模様は二次元、又は三次元的に見えることがあり、少なくとも1つの相がほぼ透明である限り、模様は三次元的に見える。いくつかの実施形態は、1つ以上の模様を有し得る。
【0097】
他の実施形態では、視覚的に区別可能な相は、少なくとも1つのキャラクターを形成してもよく、キャラクターには文字、数表示、記号、エンブレム、図、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0098】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの視覚的に区別可能な相は、少なくとも1つの他の視覚的に区別可能な相を通してコイルを形成してもよい。いくつかの実施形態、特に三次元的に見える実施形態では、一次模様及び二次模様が存在する。一次模様はコイルであってよく、一方で二次模様は、コイルそのものの形状又は質感であってよい。
【0099】
あらゆるコイルの実施形態において、コイルは連続的であり得る。本明細書で使用するとき、「連続的」とは、相が、容器の一方の端部から他方の端部まで、文字通り結合されていることを示す。しかし、連続的、又は非連続的なコイルは、結合されて見える必要はなく、また中心にある必要はない。このようなコイルは、均一であり得るが、これは規則的に離間していることを意味し、又は、不均一であり得、これは不規則に離間していることを意味する。コイルは、容器内で角度を成してもよく、又は容器の長手方向軸に沿っていてもよい。コイルは容器に接触してもよく、又は別の相(単数又は複数)の内部に完全に取り囲まれてもよい。
【0100】
コイルは圧密若しくは圧縮されてもよく、又は伸張されてもよい。圧縮の度合い、即ち、コイルの傾斜又はピッチが変化すると、コイルの外観は影響を受ける。例えば、圧密されると、コイルはそれ自体に重なり、まるで連続的に降下して緩やかに堆積しているかのように、波立って見えるか又は盛り上がって見えることがある。重なったコイルは、巻かれたロープ、堆積物(piles)、海藻のように見えることがある。重なったコイルは、圧密されたばねのように見えるか、又は織り合わされて見えることがある。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つの連続的な相が実際にコイルでなくてもよいが、依然としてそれ自体に重なり、海藻、又は巻かれたロープのように波立って見えるか、又は盛り上がって見えてもよい。
【0101】
あるいは、圧密されたコイルは、層化した、積み重ねた、又は堆積した花弁又は葉のように見えることもある。圧密されたコイルはまた、互いに覆われるか、ネスト化されるか、又は織り合わされた、交互のフラップのように見えることがある。コイルがより弱く圧密、又は伸張されると、これはより旋回状に、及びより均一に見えることがある。
【0102】
二次模様は、コイルそのものの形状又は質感を反映し得る。コイルは、カップ状、凹状、又は凸状であり、えぐれた外観を有してもよい。コイルは、網状、格子模様、若しくは織り合わされたように見えることがあり、又はテーパ状に見えることがある。あるいは、コイルは、非平坦に又はひだ状に見えることがある。二次模様の変数は、一次模様の変数から独立している。即ち、コイルの形状及び質感は、別の相(単数又は複数)の内部のコイルの圧縮又は均一性の程度に、必ずしも影響されない。
【0103】
相が別の相を通じてコイルを形成する、記載される全ての実施形態では、1つ以上の他の相を通じて見える1つ以上のコイルが存在し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の相を通じて見える、単一の視覚的に区別可能な相によって形成される1つ以上のコイルが存在し得る。いくつかのコイルの実施形態では、容器は、非円筒形であってよい。いくつかのコイルの実施形態では、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積の約10%より大きくてもよい。他のコイルの実施形態では、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積の約12%より大きくてもよい。他のコイルの実施形態では、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積の約15%より大きくてもよい。他のコイルの実施形態では、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積の約20%より大きくてもよい。更に他のコイルの実施形態では、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積の約30%より大きくてもよい。
【0104】
いくつかのコイルの実施形態では全ての相がコイルであってもよく、即ち、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積である。全ての相がコイルである、いくつかの実施形態では、全てのコイルが容器全体を通じて絡み合っていてもよい。いくつかの実施形態では、絡み合ったコイルの各々が一定の厚さを有し、全ての絡み合ったコイルが、ほぼ同じ厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、コイルの厚さが互いに異なってもよく、又はいずれかの特定のコイルの厚さが、全体を通じて異なってもよい。他の実施形態では、1つの絡み合うコイルの厚さが、別の絡み合うコイルの厚さの少なくとも2倍であってもよい。いくつかの実施形態では、絡み合うコイルは、不規則な境界面を有してもよい。
【0105】
模様の実施形態と同様に、相が不透明であるか又は透明であるかによって、コイルの実施形態は二次元、又は三次元的に見えることがあり、少なくとも1つの相がほぼ透明である限り、組成物の外観は三次元的に見える。全ての相が不透明である場合、製品の外観は依然として、別の相(単数又は複数)を通じたコイルとして、又は絡み合ったコイルとして、説明され得る。コイルそれ自体の形状又は質感を反映する二次模様が存在してもよく、少なくとも1つのコイルがそれ自体に重ってもよく、又は容器が非円筒形であってもよい。いくつかの、全てが不透明の実施形態では、全てのコイル相の全体積は、組み合わせた全ての相の体積の約10%より大きくてもよい。
【0106】
しかし、別の不透明な相(単数又は複数)を通じてコイルを形成する1つの相はまた、二次元で説明され得る。例えば、いくつかの実施形態は、キャンディ・ケイン、又は理髪店の看板柱の外観に似ていることがある。
【0107】
あるいは、全ての相が不透明である実施形態では、視覚的に区別可能な相が、模様又はコイルとしてだけではなく、またバンドとしても見えることがあり、説明されることがある。この文脈において、バンドとは、直線状又は非直線状であり得、全体を通じて幅が変化し得る、1つの相の連続的なストロークとして理解される。
【0108】
例えば、全ての相が不透明であるいくつかの実施形態において、視覚的に区別可能な相は交互のバンドを形成し、少なくとも1つのバンドが、容器の長手方向軸と平行でない方向に配向される。全ての相が不透明である他の実施形態において、視覚的に区別可能な相は交互のバンドを形成し、少なくとも1つのバンドが、組成物が容器から分配される方向と平行でない方向に配向される。
【0109】
少なくとも1つの相がほぼ透明である実施形態はまた、交互のバンドとして説明され、少なくとも1つのバンドが容器の長手方向軸と平行でない方向、又は組成物が容器から分配される方向と平行でない方向に配向される。
【0110】
交互のバンドを有するものとして説明される任意の実施形態では、交互のバンドは交差していなくてもよく、又は隣り合うバンドと交差する少なくとも1つのバンドが存在してもよい。いくつかの交互のバンドの実施形態では、任意の2つの隣接するバンドがほぼ平行であってもよい。他の実施形態では、各バンドが一定の厚さを有し得ると同時に、全てのバンドがほぼ同じ厚さを有する。他の実施形態では、1つの視覚的に区別可能な相のバンドの厚さが、別の視覚的に区別可能な相のバンドの厚さの少なくとも2倍であり得る。
【0111】
交互のバンドの、更に他の実施形態では、交互のバンドは、不規則な境界面を有し得る。例えば、境界面は、ギザギザであるか、他の何らかの非直線的な整合であり得る。他の実施形態では、1つの相のバンドは、例えば、非平坦、ひだ付き、カップ状、凹状、凸状、網状、又はテーパ状など、模様付きに見えることがある。そして交互のバンドの任意の実施形態に関し、容器は非円筒形であり得る。
【0112】
本発明の更に他の実施形態では、歯磨剤組成物及び容器の組み合わせが、模様の外観をつくり得る。他の実施形態では、歯磨剤組成物、容器、及び少なくとも1つの包装層の組み合わせが模様を形成し得る。包装層は、歯磨剤組成物の、容器上における、更なる任意の束化、又は包装であり、これにはラベル、収縮包装、ストレッチ包装、又は箱が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の実施形態では、歯磨剤組成物及び少なくとも1つの包装層の組み合わせが、模様の外観をつくり得る。
【0113】
容器及び/又は包装層が、独自の外観を形成するのを助ける任意の実施形態では、歯磨剤組成物が多相であり各層が視覚的に区別可能であり得るか、又は歯磨剤組成物が単層であり得る。
【0114】
容器及び/又は包装層が模様を形成するのを助ける実施形態では、形成され得る模様としては、縞、大理石模様、らせん状、幾何学模様、スターバースト、稲妻、ブロック、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。容器及び/又は包装層が模様を形成するのを助ける実施形態では、容器又は包装層の外観は、縞状、色付き、薄い色付き、濃淡付き、つや消し、又は模様付きであり得る。
【0115】
歯磨剤の任意の実施形態において、少なくとも1つの視覚的に区別可能な相が利益層を含み得る。いくつかの実施形態では、視覚的に区別可能な相は、無作為に配向されているように見える。
【0116】
上記のいずれかの特定の実施形態では、追加の要因が異なる外観をつくり得る。特定の実施形態、即ち、記載された模様、コイル、又はバンドの形成は、相の外観、容器又は包装層の効果、充填手順、充填ノズル(単数又は複数)の運動(単数又は複数)、充填中の容器の運動、充填後に達成される効果、又は容器内の製品の配向が挙げられるがこれらに限定されない追加の要因により、多くの外観を包含し得る。
【0117】
例えば、相の外観は、その色、コイル又はバンドとしてのその幅又は厚さ、透明性対不透明性、真珠光沢、質感、感光性、又は相中の懸濁粒子によって変化し得る。相の外観は、ひだ付き、カップ状、凹状、凸状、網状、又は非平坦などの、模様付きであり得る。任意の実施形態において、各視覚的に区別可能な相は、組み合わされた全ての相の体積の、少なくとも約10%を含み得る。
【0118】
特定の実施形態の異なる外観もつくり得る容器又は包装層としては、色、色相、薄い色、つや消し、模様、縞、透明性、半透明性、形状、ホログラフィ、ラベル、収縮包装、ストレッチ包装、光学的錯覚、ロゴ、キャラクター、及び粒子が挙げられるが、これらに限定されない。別の容器効果は、容器の中心を通るストリップであり、これは、歯磨剤組成物に接触してもしなくてもよい。このようなストリップは、その上に印刷又はデザインを有し得る。更に別の容器効果は、水溶性インクでの容器の内側上への印刷であり得、これは歯磨剤組成物と接触する。これらの容器及び/又は包装層効果のいずれかは、本明細書において記載される外観のいずれかをつくり得る。
【0119】
視覚的に区別可能な相は、ほぼ透明な容器に包装されてもよい。一態様では、容器の表面積の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は更に100%がほぼ透明である。このほぼ透明な部分が作製され得る材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PETE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、汎用ポリスチレン(GPPS)、及びポリスチレン(PS)が挙げられるがこれらに限定されない。この容器のほぼ透明な部分は、スペクトル可視部(およそ、410〜800nm)において、25%、30%、40%、50%、60%、又は更に70%を超える透過率を有してもよい。本発明の目的において、可視光線範囲内のある波長が、25%よりも高い透過率を有する限り、これはほぼ透明であるとみなされる。
【0120】
容器の一部、又は容器の全体は、薄い色付きであり、濃淡があり、色付きであり、つや消しであり、模様付きであり、又は縞状であり得る。このような容器の外観は、例えば、容器の製造中に、樹脂に着色剤を含ませることによって達成され得る。この外観はまた、完成した容器に装飾を加えることによって、又は既に製造された容器に印刷する、これをエンボス加工する、若しくは、これに刻印することによって得られてもよい。容器又は容器の部分を収縮包装、又はストレッチ包装することもまた、記載された容器の外観をつくり得る。加えて、記載された方法の任意の組み合わせが、様々な容器の外観をつくるために使用され得る。独自の外観が、視覚的に区別可能な相単独によって、容器によって、又は視覚的に区別可能な相及び容器の組み合わせによって、つくられ得る。
【0121】
視覚的に区別可能な相、容器、又は視覚的に区別可能な相及び容器の組み合わせによってつくられる模様は、レーザー活性化されてもよく、これは、視覚的に区別可能な相又は容器の少なくとも一方に感光性物質が含まれ、そしてレーザーの標的にされて別個の模様を生成することを意味する。
【0122】
本発明の容器は、歯磨剤を貯蔵及び包装するのに好適な、任意の形態、形状、又は寸法であり得る。形態の例としては、チューブ、ボトル、トトル、熱成形容器、パウチが挙げられる。容器の形状は、例えば、円筒形であってよく、これは一定の断面積及び2つの同じ寸法の円を双方の端部に有する管の形状として画定される。2つの同じ寸法の円を端部に有さない容器の形状はいずれも、非円筒形である。例えば、容器は端部において楕円形であってもよく、2つの楕円は、同じ寸法であるか、又は異なる寸法であってよく、容器の本体は、全ての点においてほぼ楕円形の断面を有する。容器の形状は、色に影響することによって、又は層の可視外観をつくることによって、相の外観に影響することがある。容器の寸法は、使用量1回分から860グラム(30oz)まで、好ましくは570グラム(20oz)まで、及びより好ましくは400グラム(14oz)までの範囲に及び得る。相が容器から分配され得る方法には、例えば、ポンプ機構によって、又は重力によって容器を圧搾することが含まれる。
【0123】
視覚的に区別可能な相が包装される容器は、これに接着されるラベルを含んでもよい。ラベルは、透明、ほぼ透明、又は不透明であってもよい。ラベルは、色付きであるか、濃淡があるか、薄い色付きであるか、模様付きであるか、又は縞状であってもよい。ラベルは、バンド、正方形、矩形、角の丸い矩形、円形、若しくは楕円形などの単純な形状、又は例えば文字などのより複雑な形状を含む任意の形状であってよい。ラベルは、容器の100%までを被覆し得る。ラベルは、複数頁を含み得る。ラベルは、透明の製品を通して読めるように、反転して印刷されてもよい。ラベルの全体又は部分が、容器上に収縮包装されるか、又はストレッチ包装されてもよい。容器のラベル表示は、容器の成形型に彫り付けられるか、又は容器にエンボス加工されてよく、いくつかの実施形態では、次いでその上に印刷される。独自の外観は、視覚的に区別可能な相単独によって、ラベルの外観によって、又は視覚的に区別可能な相及びラベルの組み合わせによって、つくられてもよい。
【0124】
歯磨剤組成物のための、収縮包装、ストレッチ包装、又は箱などの包装層は、模様付きであるか、色付きであるか、濃淡があるか、薄い色付きであるか、又は縞状であってよい。
【0125】
相を容器に充填する手順は、一定速度で連続的に行われるか、変動する速度で連続的に行われるか、あるいは無作為に中断及び開始しながら、又は規則的に若しくは周期的に中断及び開始しながら不連続的に行われてよい。充填中の、ノズル(単数又は複数)又は容器の運動としては、揺動運動、往復運動、平行移動、振動運動、脈動運動、回転運動、及び突き込み運動が挙げられるが、これらに限定されない。充填後に達成される効果には、遠心分離、振盪、温度の変化、圧力の変化、空気の追加又は除去、電磁放射線の使用、音響エネルギーの使用などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
複数の充填ノズルが、記載される外観を達成するために使用されてもよい。ノズルの直径の範囲は、1.5875mm(1/16インチ)から容器の開口部の寸法まで及んでよいが、好ましくは6.35mm〜25.4mm(1/4インチ〜1インチ)の範囲である。充填ノズルの構成は、同心又は横並びであり得る。同心ノズルは、平坦であるか、又は突出していてよい。
【0127】
本明細書で記載される可視外観の達成は、標準的な、高粘度充填機器、例えば、IWK若しくはノルデン(Norden)からのチューブ充填器を改善したものによって、又は標準的な液体充填器を改善したものなどの他の充填装置によって、例えばニューマチックスケール(Pneumatic Scale)、クロネス(Krones)又はロンチ(Ronchi)によって販売される充填器によってなされる。
【0128】
望ましい外観のための投入プロセスは、例えば、ステッピング・モーター、サーボモーター、質量流量計、電磁流量計、又は定量ポンプを用い、歯磨剤の各相を充填ノズルを通じて調節しながら投入することによって達成される。各相の投入は、流れの機械的又は電気的同期化によって調整され得る。異なる相が、IWK又はノルデン(Norden)からの標準的な多色縞状歯磨剤機器(multi-color striping dentifrice machines)でノズルをセグメント化することによって、又は二次的な流れを充填ノズル内の異なる位置に注入することで、充填ノズルに注入され得る。
【0129】
充填される容器は、円筒形、例えば標準的な歯磨剤チューブであってもよく、又は直立するか、基部若しくは密閉部の上に載るように設計され得るボトルなどの異なる形状であってもよい。
【0130】
容器の充填は、容器及び充填ノズルの間の相対運動を伴い、これは、容器を動かす一方でノズルを固定して保持することにより、ノズルを動かす一方で容器を固定して保持することにより、又は充填ノズル及び容器を同時に動かすことにより好適に達成し得る。
【0131】
充填ノズル及び容器の相対運動は、回転運動、垂直運動、水平運動、又は軌道揺動若しくは非揺動運動の、いずれかの制限された組み合わせを伴い得る。この運動は、機械的ラインシャフト及びカム、又は、電気的ステッピング、若しくはサーボモーターなどの装置を通じた、投入及び相対運動の、機械的又は電気的同期化によって好適に達成される。
【0132】
視覚的に区別可能な相を容器に充填するために好適な、充填ノズルは、国際公開第2006/125663号に記載され、これは本明細書において参照として組み込まれる。このような充填ノズルは、第1層の流れのための内部管状第1導管を有する管状本体を含み、第1導管は周壁によって境界付けされ、導管の上流位置で第1相を取り込むように適合され、充填される容器へと挿入されるように適合される下流端部を有し、相がこれを通じて導管から容器へと流れ込み得る排出開口部を有し、導管の内部に、第2相の流れのための少なくとも1つの第2導管を有し、これは第2導管上流部分において第2相を導入するために適合され、第2導管は、第2導管の下流端部に隣接する少なくとも1つの排出ノズルを有し、第2相の流れを、第1構成要素の第1相の流れに導入するように構成される。
【0133】
視覚的に区別可能な相の容器への充填を達成するために、国際公開第2006/125663号に更に記載される装置が使用されてもよく、これは、上記の充填ノズル、容器の支持体、充填ノズルの下流端部が容器に挿入され得るように支持体及び充填ノズルを互いに向って相対的に動かす手段、視覚的に区別可能な相が容器に流れ込む際に相が相対的に分離して充填ノズルの出口開口部から流れ出るように、第1相及び第2相をそれぞれ第1導管及び第2導管に導入する手段、及び充填ノズル及び容器が相対的に別個に動いて上流−下流軸に関する充填ノズル及び容器の相対的な回転を生じる手段を含む。
【0134】
容器を視覚的に区別可能な相で充填するプロセスは、上述の装置を提供する工程と、容器を提供する工程と、充填ノズルの下流端部が容器に挿入されるように、容器及び充填ノズルを互いに向って相対的に動かす工程と、相が充填ノズルの排出開口部から流れ出て容器内へと入るように、一次相及び二次相をそれぞれ一次導管及び二次導管に導入する工程と、相が容器に流れ込む際に容器及び充填ノズルを相対的に別個に動かす工程と、充填ノズル及び容器が相対的に別個に動くと同時に充填ノズル及び容器を上流−下流軸に関して相対的に回転し、これによって多くの独自の外観を形成する工程とを含む。
【0135】
あるいは、様々な充填ノズルアセンブリ、及び充填装置が、米国特許第6,516,838号、同第6,245,344号、同第6,367,519号、及び同第6,213,166号に記載され、これらは本明細書において参照として組み込まれる。視覚的に区別可能な相は、近い配置で共に結合された少なくとも2つのノズルを有するノズルアセンブリ、吸い込みホースによって各ポンプにそれぞれ相互接続される別個の保存容器に貯蔵される各相を吸い上げるための少なくとも2つのポンプ、ノズル及びポンプに相互接続される少なくとも2つのホース、直立位置で充填されるように容器を支持するための、装置に結合された支持体及び位置合わせ漏斗、容器の充填中にノズルアセンブリを回転させ、ノズルアセンブリを垂直方向に動かすように適合される、ノズルアセンブリに結合される駆動モーター、及び支持体及び位置合わせ漏斗に隣接して位置する基部を含む、充填装置によって、容器に充填されてもよい。
【0136】
容器を視覚的に区別可能な相で充填するための一プロセスは、取り付けられたポンプ及びホースを有する別個の保存容器に用意された、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を提供する工程と、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相によって形成され、得られる生成物を受容するための容器を、支持体及び位置合わせ漏斗に関連した位置に移動する工程と、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を、容器を充填するための少なくとも2つのノズルを有するノズルアセンブリにそれぞれのホースを通じて注ぎ込む工程と、ノズルアセンブリを回転する工程と、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相それぞれの規定量を組み合わせ、単一の容器に収容される、得られる生成物をつくる工程と、を含み、得られる生成物は、独自の外観を形成する少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を有する。
【0137】
容器を視覚的に区別可能な相で充填するための別のプロセスは、上述の充填装置を提供する工程と、基部上に容器を搭載する工程と、充填装置から開始工程の信号を発する工程と、ノズルアセンブリを、容器並びに支持体及び位置合わせ漏斗の真上に配置する工程と、ノズルアセンブリを容器内に落とし、これによってノズルの先端が容器の底部に近接する工程と、既定の一分間当たりの回転数における、ノズル及び容器の間の相対的な回転運動を提供する工程と、少なくとも2つのポンプを始動する工程と、相対的な垂直運動を提供してノズルアセンブリ及び容器の底部の間の乖離を増加させる工程と、ポンプによって各相の流量を調節する工程と、それぞれのホースを通じて相が容器を充填するのを促進する工程と、を含む。
【0138】
歯磨剤組成物
本発明の歯磨剤組成物は、典型的な歯磨製剤であり得る。多相のそれぞれは、別個の組成物であってもよく、又はこれを視覚的に区別可能にするものを除いてほぼ同じであってもよい。相の外観を変化させる物質は、製造の最後に加えてもよく、それにより、2つ以上の組成物が、1つのバッチで形成されて充填を行う前のプロセスの最後に、又は充填を行う際に、差異化され得る。相を差別化するために加えられる物質は、着色剤、染料、二酸化チタン、乳白剤、光沢剤、真珠光沢剤、感光性材料、又は粒子の一種であってよい。加えられる実際の物質は、それ自体が可視であってもよく、又はそれが最終組成物中で可視となる効果を生じてもよい。物質それ自体が別個の相であってもよい。例えば、充填の間に、可視である輝きの相が加えられてもよい。これが、視覚的に区別可能な相をつくる。視覚的に区別可能な相はそれぞれ、同じ粘度、又は異なる粘度を有してもよい。
【0139】
歯磨剤は周知である。特定の組成物の選択は、望ましい外観、及び味、費用、安定性、望ましい効果などの二次的考察に依存する。以下に歯磨剤中の好適な物質の例を挙げる。
【0140】
歯磨剤組成物は、好適な美容及び/又は治療用活性物質を含み得る。こうした活性物質としては、口腔に使用するのに一般に安全であるとみなされ、口腔の全体的な外観及び/又は健康に変化を与える任意の物質が含まれ、それらとしては、抗結石剤、フッ化物イオン源、スズイオン源、ホワイトニング剤、抗菌剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、栄養素、酸化防止剤、抗ウイルス薬、鎮痛剤及び麻酔剤、H−2拮抗物質、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、口腔用組成物における美容用及び/又は治療用活性物質の濃度は、1つの実施形態では口腔用組成物の約0.001重量%〜約90重量%、他の実施形態では約0.01重量%〜約50重量%、及び他の実施形態では約0.1重量%〜約30重量%である。
【0141】
以下は、本発明で使用されてもよい活性物質の非限定的な列挙である。
【0142】
a)フッ化物イオン
本発明は、安全かつ有効な量のフッ化物化合物(例えば水溶性のもの)を含み得る。フッ化物イオンは、25℃で組成物内にフッ化物イオン濃度を付与するのに十分な量で存在してもよく、及び/又は、抗カリエス性の効果性を提供するために、1つの実施形態においては約0.0025重量%〜約5.0重量%の濃度で使用され得、他の実施形態においては、約0.005重量%〜約2.0重量%の濃度で使用され得る。広範なフッ化物イオン生成物質を、本組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用することができる。好適なフッ化物イオン生成物質の例は、米国特許第3,535,421号及び同第3,678,154号に開示されている。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、及び他の多くのものが挙げられる。1つの実施形態において、歯磨剤組成物は、フッ化第一スズ又はフッ化ナトリウム、並びにこれらの混合物を含む。
【0143】
b)抗結石剤
本発明の歯磨剤組成物はまた、抗結石剤を含んでもよく、これは、1つの実施形態では、歯磨剤組成物の約0.05重量%〜約50重量%で存在してもよく、別の実施形態では約0.05重量%〜約25重量%であり、別の実施形態では、約0.1重量%〜約15重量%である。抗結石剤は、ポリホスフェート(ピロホスフェートを含む)及びそれらの塩、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩、ポリオレフィンスルホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスフェート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスフェート及びそれらの塩、ジホスホネート及びそれらの塩、ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩、ポリホスホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスホネート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスホネート及びそれらの塩、ポリペプチド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてよい。1つの実施形態において、塩はアルカリ金属塩である。ポリホスフェートは、一般に、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和された水溶性アルカリ金属塩として使用される。無機ポリホスフェート塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常、非昌質のガラス状物質として生じる。1つの実施形態において、ポリホスフェートは、ソダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21、ヘキサメタリン酸ナトリウム)として商業的に既知の、FMC社(FMC Corporation)製のもの、並びにこれらの混合物である。本発明に有用なピロホスフェート塩には、アルカリ金属ピロホスフェート、ジ−、トリ−及びモノ−カリウム又はナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ピロリン酸四カリウム(K)、及びこれらの混合物からなる群より選択される。ポリオレフィンスルホネートには、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するもの及びそれらの塩が挙げられる。ポリオレフィンホスホネートには、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリビニルホスホネートには、ポリビニルホスホン酸が挙げられる。ジホスホネート及びそれらの塩には、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸及びこれらの塩、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸のイオン及びこれらの塩、アザシクロヘキサン−2,2−ジホスホン酸、アザシクロペンタン−2,2−ジホスホン酸、N−メチル−アザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、EHDP(エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸)、AHP(アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホネート、ジクロロメタン−ジホスホネートなどが挙げられる。ホスホノアルカンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩には、それぞれ酸又はアルカリ金属塩として、PPTA(ホスホノプロパントリカルボン酸)、PBTA(ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸)が挙げられる。ポリオレフィンホスフェートには、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリペプチドには、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸が挙げられる。
【0144】
c)スズイオン
本発明の歯磨剤組成物は、スズイオン源を含むことができる。スズイオンは、フッ化第一スズ及び/又は他のスズ塩から提供されてもよい。フッ化第一スズは、歯肉炎、歯垢、敏感度の低減、及び改善された息の利益に役立つことが見出されている。歯磨剤組成物において提供されるスズイオンは、歯磨剤組成物を使用した対象物に効能を提供する。効能は、歯肉炎の低減以外の利益を含むことができるが、効能は、その場の歯垢代謝における顕著な低減量として定義される。このような効能を提供する製剤は一般に、全歯磨剤組成物の約3,000ppm〜約15,000ppmスズイオン範囲のフッ化第一スズ及び/又は他のスズ塩によって提供されるスズ濃度を含む。スズイオンは、約4,000ppm〜約12,000ppm、1つの実施形態では、約5,000ppm〜約10,000ppmの量で存在する。他のスズ塩には、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、マロン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、第一スズエチレングリコキシド、ギ酸第一スズ、硫酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズなどのような有機カルボン酸第一スズが挙げられる。他のスズイオン供給源には、塩化第一スズ類、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、及び塩化第一スズ二水素化物(dihydride)のようなスズハロゲン化物が挙げられる。1つの実施形態において、スズイオン供給源はフッ化第一スズであり、別の実施形態では、塩化第一スズ二水和物(stannous chloride dihydrate)である。合わせたスズ塩は、歯磨剤組成物の約0.001重量%〜約11重量%の量で存在してよい。スズ塩は、1つの実施形態では、歯磨剤組成物の約0.01重量%〜約7重量%の量、他の実施形態では、約0.1重量%〜約5重量%、他の実施形態では、約1.5重量%〜約3重量%で存在してよい。
【0145】
d)ホワイトニング剤
ホワイトニング剤は、本歯磨剤組成物の活性物質として含まれ得る。ホワイトニングに適した活性物質は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属過酸化物、亜塩素酸金属、単水和物及び四水和物を含む過ホウ酸塩、過リン酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸及び過硫酸塩、例えばアンモニウム、カリウム、ナトリウム及びリチウム過硫酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な過酸化物化合物には、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、過酸化ストロンチウム、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、過酸化物化合物は過酸化カルバミドである。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。追加的な白化活性物質は、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素であってもよい。1つの実施形態において、亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。別の実施形態において、過炭酸塩は過炭酸ナトリウムである。1つの実施形態では、過硫酸塩はオキソンである。これらの物質の濃度は、分子が、染みを漂白するために提供できる、利用可能な酸素又は塩素それぞれによって左右される。1つの実施形態において、ホワイトニング剤は、歯磨剤組成物の約0.01重量%〜約40重量%の濃度で、他の実施形態では約0.1重量%〜約20重量%、他の実施形態では約0.5重量%〜約10重量%、更に他の実施形態では約4重量%〜約7重量%で存在してもよい。
【0146】
e)抗菌剤
本発明の歯磨剤組成物は、抗菌剤を含んでもよい。そのような試薬には、慣用的にトリクロサンと呼ばれる、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;8−ヒドロキシキノリン及びその塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、フッ化銅(II)及び水酸化銅(II)が挙げられるが、これらに限定されない銅II化合物;フタル酸一カリウムマグネシウムを含む米国特許第4,994,262号で開示されているものが挙げられるが、これらに限定されないフタル酸及びその塩;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC);オクテニジン;ヨウ素;スルホンアミド;ビスビグアニド;フェノール;デルモピノール、オクタピノール、及びその他のピペリジノ誘導体;ナイアシン調剤;亜鉛又はスズイオン剤;ナイスタチン;グレープフルーツ抽出物;リンゴ抽出物;タイム油;チモール;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、塩化セチルピリジニウム、及びクリンダマイシンなどの抗生物質;上記の類似体及び塩;サリチル酸メチル;過酸化水素;亜塩素酸塩の金属塩;並びに上記の全ての混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。抗菌剤構成成分は、歯磨剤組成物の約0.001重量%〜約20重量%存在してよい。他の実施形態において、本発明の歯磨剤組成物は一般に約0.1重量%〜約5重量%の抗菌剤を含む。
【0147】
f)抗歯垢剤
本発明の歯磨剤組成物は、抗歯垢剤、例えばスズ塩、銅塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩又はジメチコンコポリオールを含むことができる。ジメチコンコポリオールは、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール及びこれらの混合物から選択される。1つの実施形態において、ジメチコンコポリオールは、商標名アビル(Abil)EM90で市販されているセチルジメチコンコポリオールである。ジメチコンコポリオールは、1つの実施形態において、歯磨剤組成物の約0.001重量%〜約25重量%、別の実施形態では、約0.01重量%〜約5重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1.5重量%の濃度で存在することができる。
【0148】
g)抗炎症剤
抗炎症剤が本発明の歯磨剤組成物に存在してもよい。このような試薬は、非限定的に非ステロイド性抗炎症(NSAID)剤、オキシカム、サリチラート、プロピオン酸、酢酸及びフェナム酸を含んでもよい。このようなNSAIDには、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ピロキシカム、ナブメトン、アスピリン、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、及びアセトアミノフェンが挙げられるが、これらに限定されない。ケトロラクのようなNSAIDの使用は、米国特許第5,626,838号で特許請求されている。そこで開示されているものは、NSAIDの有効量の口腔又は中咽頭への局所投与によって、口腔又は中咽頭の原発性及び再発性の扁平上皮細胞癌を予防及び/又は治療する方法である。好適なステロイド性抗炎症剤には、フルオシノロン(fluccinolone)及びヒドロコルチゾンのような副腎皮質ホルモンが挙げられる。
【0149】
h)栄養素
栄養素は、口腔の状態を改善することができ、本発明の歯磨剤組成物に含まれることができる。栄養素としては、ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤、及びこれらの混合物が挙げられる。有用なミネラルには、カルシウム、リン、亜鉛、マンガン、カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ビタミンは、ミネラルと共に含まれることができるか、又は別個に使用されることもできる。好適なビタミンには、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、バイオフラボノイド、並びにこれらの混合物が挙げられる。経口栄養補給剤には、アミノ酸、脂肪親和物質、魚油、及びこれらの混合物が挙げられる。アミノ酸には、L−トリプトファン、L−リジン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチン又はL−カルニチン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪親和物質には、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。魚油は、大量のオメガ3(N−3)多不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含有する。経腸栄養補給剤には、タンパク質製品、グルコースポリマー、コーン油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。ミネラル類、ビタミン類、経口栄養補給剤及び経腸栄養補給剤が、「薬剤の事実と比較(Drug Facts and Comparisons)」(ルーズリーフ式薬剤インフォメーションサービス(loose leaf drug information service))ミズリー州セントルイス(St. Louis)、ウォルターズ・クルワー社(Wolters Kluer Company)(著作権)1997年、3〜17頁及び54〜57頁により詳細に記載されている。
【0150】
i)酸化防止剤
酸化防止剤は一般に歯磨剤組成物において有用と認識されている。酸化防止剤類は、カデナス&パッカー(Cadenas and Packer)等のテキスト、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc)による「酸化防止剤便覧(The Handbook of Antioxidants)」(著作権)1996年に開示されている。本発明に有用な酸化防止剤には、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロチノイド、ビタミンA、フラボノイド及びポリフェノール、薬草酸化防止剤、メラトニン、アミノインドール、リポ酸及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
j)鎮痛剤及び麻酔剤
耐痛み剤又は減感剤も本発明の歯磨剤組成物に存在することができる。鎮痛剤は、意識を撹乱させることなく、又はその他の感覚様相を変えることなく、痛みの閾値を上げるように中枢的に作用することによって痛みを緩和する試薬である。そのような試薬には、塩化ストロンチウム;硝酸カリウム;フッ化ナトリウム;硝酸ナトリウム;アセトアニリド;フェナセチン;アセルトファン(acertophan);チオルファン;スピラドリン(spiradoline);アスピリン;コデイン;テバイン;レボルフェノール(levorphenol);ヒドロモルフォン;オキシモルフォン;フェナゾシン;フェンタニール;ブプレノルフィン;ブタファノール(butaphanol);ナルブフィン;ペンタゾシン;没食子のような自然の薬草;アサルム;クベビン;ガランガ;スクテラリア;両面針;及び白止を挙げることができるが、これらに限定されない。アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸トロラミン、リドカイン及びベンゾカインのような麻酔剤又は局所鎮痛剤もまた存在してもよい。これらの鎮痛活性剤は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)、「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」、第4版、2巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1992年)、729〜737頁に、詳細に記載されている。
【0152】
k)H−1及びH−2拮抗物質
本発明は、また、米国特許第5,294,433号に開示されている化合物を含む、選択的なH−1及びH−2拮抗物質を任意に含んでもよい。
【0153】
l)抗ウイルス活性物質
本組成物において有用な抗ウイルス性活性物質は、ウイルス感染を治療するために通常使用される任意の既知の活性物質を含む。このような抗ウイルス性の活性物質は、ウォルターズ・クルワー社(Wolters Kluer Company)(著作権)の「薬物の事実と比較」(1997年、402(a)頁〜407(z)頁)に開示される。具体例には、米国特許第5,747,070号(1998年5月5日発行)に開示される抗ウイルス性の活性物質が挙げられる。前記特許は、ウイルスの制御にスズ塩を使用することを開示する。スズ塩及び他の抗ウイルス性活性物質は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)の「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」(1982年、ワイリー・インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-lnterscience Publishers)、第3版、第23巻、42〜71頁)に詳述される。本発明で使用され得るスズ塩は、有機スズカルボン酸塩及び無機スズハライドを含む。フッ化第一スズが使用され得るが、それは典型的に、別のスズハライド、又は1つ以上のスズカルボン酸塩、あるいは他の治療薬との組み合わせでのみ使用される。
【0154】
m)キレート剤
キレート剤は、細菌の細胞壁に見られるカルシウムを錯化でき、このバイオマスを完全なまま保持するのを助けるカルシウム架橋からカルシウムを除去することによって歯垢を崩壊するのを助けることができる。好適なキレート剤としては、酒石酸及びその塩、クエン酸及びアルカリ金属シトレート、可溶性ピロリン酸塩、アニオン性高分子ポリカルボキシレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0155】
n)追加の活性物質
本発明における使用に適した付加的な活性物質は、非限定的にインスリン、ステロイド、ハーブ及び他の植物由来の治療薬を含む。加えて、当該技術分野において既知の抗歯肉炎剤又は歯肉ケア剤も含まれてよい。歯に清涼感を付与する構成成分が任意に含まれていてもよい。これらの構成成分には、例えば、重曹又はガラスH(Glass-H)を挙げることができる。また、治療の特定の形態において、これら上記名称の試剤の組み合わせが、最適の効果を得るために有用である可能性があることが認められる。したがって、例えば、抗菌剤及び抗炎症剤は、組み合わされた有効性を提供するために単一の歯磨剤組成物に組み合わせてもよい。
【0156】
使用される任意の試剤には、例えば米国特許第4,627,977号に記載されているような、ポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))を含む合成アニオン性ポリマーとして既知の物質などが挙げられ、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、並びにこれらの混合物が挙げられる。更に、歯磨剤組成物は、例えば米国特許第6,682,722号及び同第6,589,512号及び米国特許出願第10/424,640号及び同第10/430,617号に記載のポリマーキャリアを含むことができる。
【0157】
o)緩衝剤
歯磨剤は、緩衝剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、緩衝剤とは、口腔用組成物のpHをpH約3.0〜pH約10の範囲に調整するために用いることができる試剤を指す。緩衝剤には、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機アンモニウム化合物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤には、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロリン酸塩、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。緩衝剤は、口腔用組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、及びより好ましくは約0.3重量%〜約3重量%の濃度で用いられる。
【0158】
p)砥粒研磨物質
砥粒研磨物質も、口腔用組成物中に含まれてよい。本発明の組成物に用いることが考えられる砥粒研磨物質は、象牙質を過度に磨耗しない任意の物質であることができる。典型的な砥粒研磨物質には、ゲル及び沈澱物を含むシリカ;アルミナ;オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩、及びピロリン酸塩を含むリン酸塩;及びこれらの混合物が挙げられる。具体例には、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、βピロリン酸カルシウム(beta calcium pyrophosphate)、炭酸カルシウム、及び尿素及びホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨物質、及びクーリー(Cooley)らにより米国特許第3,070,510号(1962年12月25日発行)に開示されたような他のものが挙げられる。研磨剤の混合物を使用してもよい。口腔用組成物又は特定の相が、約4以上の平均鎖長を有するポリホスフェートを含む場合には、カルシウム含有研磨剤及びアルミナは、好ましい研磨剤ではない。最も好ましい研磨剤はシリカである。
【0159】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に削らない、優れた歯の洗浄及び研磨性能という独特の効果があるため好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ砥粒研磨物質は、一般に、約0.1マイクロメートル〜約30マイクロメートル、好ましくは約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈降シリカ又はシリカキセロゲルのようなシリカゲルであることができ、米国特許第3,538,230号(ペイダー(Pader)ら、1970年3月2日発行)及び同第3,862,307号(ディギュリオ(DiGiulio)、1975年1月21日発行)に記載されている。好ましいのは、W.R.グレース・アンド・カンパニー(W.R.Grace & Company)のダビソン化学部門(Davison Chemical Division)により商標名「サイロイド(Syloid)」で市販されているシリカキセロゲルである。また、J.M.ヒュ−バー社(J.M.Huber Corporation)によって「ゼオデント(Zeodent)」(登録商標)の商品名で市販されているもののような沈殿シリカ物質、特にゼオデント119(登録商標)の表記を持つシリカが好ましい。本発明の練り歯磨きに有用なシリカの歯科用研磨剤のタイプは、米国特許第4,340,583号(ワソン(Wason)、1982年7月29日発行)により詳細に記載されている。シリカ研磨剤はまた、ライス(Rice)の米国特許第5,589,160号、同第5,603,920号、同第5,651,958号、同第5,658,553号、及び同第5,716,601号に記載される。本明細書に記載されている口腔用組成物中の研磨剤は、一般に、組成物の約6重量%〜約70重量%の濃度で存在する。好ましくは、口腔用組成物は、口腔用組成物の約10重量%〜約50重量%の研磨剤を含有する。
【0160】
q)二酸化チタンが本組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明感を加える白色粉末である。二酸化チタンは一般に、組成物の約0.25重量%〜約5重量%を構成する。
【0161】
r)着色剤が本組成物に加えられてもよい。着色剤は水溶液、好ましくは1%の着色剤水溶液の形態であってよい。顔料、パール剤(pealing agent)、充填剤粉末、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、及び口腔用組成物に視覚的変化を生みだすことができるその他の物質も使用できる。着色溶液及びその他の試薬は、一般に組成物の約0.01重量%〜約5重量%を構成する。
【0162】
s)好適な香味料構成成分としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カッシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4−シス−ヘプテナール、ジアセチル、メチル−パラ−第三ブチルフェニルアセテート、クランベリー、チョコレート、緑茶、及びこれらの混合物が挙げられる。冷却剤も風味剤組成物の一部であってよい。本組成物に好適な冷却剤には、パラメンタンカルボキシアミド剤、例えばN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3、WS−23、WS−5として商業的に既知である)、MGA、TK−10、フィスクール(physcool)、及びこれらの混合物が挙げられる。唾液分泌促進剤、加温剤、局部麻酔剤、及びその他の任意物質は、口腔用組成物が使用されている間に信号を伝達するために使用できる。風味剤組成物は、口腔ケア組成物にて、口腔ケア組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で通常使用される。風味剤組成物は、好ましくは約0.01重量%〜約4重量%の量、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%の量、及びより好ましくは約0.5重量%〜約2重量%で存在する。
【0163】
t)甘味剤が本組成物に加えられ得る。これらには、サッカリン、ブドウ糖、スクロース、ラクトース、キシリトール、マルトース、果糖、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、ネオテーム、及びこれらの混合物が挙げられる。種々の着色剤も本発明に組み込まれてよい。甘味剤は、一般に、組成物の約0.005重量%〜約5重量%の濃度で練り歯磨きに使用される。
【0164】
u)増粘剤
高分子増粘剤などの、追加の増粘剤が利用されてもよい。適切な増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩である。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴムのような天然ゴムを使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを増粘剤の一部として使用することができる。増粘剤は、高分子ポリエーテル化合物、例えば、炭素原子1〜約18個を含有するアルキル又はアシル基で末端保護されたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(M.W.300〜1,000,000)を含むことができる。
【0165】
好適な部類の増粘剤又はゲル化剤には、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー、又はカルボマーの部類が挙げられる。カルボマーは、カーボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとしてB.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)から市販されている。特に、カーボポールとして、カーボポール934、940、941、956、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0166】
約1,000〜約120,000(数平均)の範囲の分子量を有するコポリマーであるラクチドのコポリマー及びグリコリド・モノマーは、歯周ポケット内又は歯周ポケット周辺に「歯肉縁下のゲル・キャリア」としての活性物質を送出するために有用である。これらのポリマーは、米国特許第5,198,220号、同第5,242,910号及び同第4,443,430号に記載されている。
【0167】
全口腔用組成物の約0重量%〜約15重量%又は約0.01重量%〜約6重量%の量、他の実施形態では、約0.1重量%〜約5重量%の増粘剤が使用され得る。
【0168】
v)保湿剤
保湿剤は、空気に曝される際に歯磨剤組成物が硬化するのを防ぎ、口に湿った感触を与えるのを助けることができる。保湿剤又は追加の溶媒が、口腔キャリア相に添加されてよい。本発明に好適な保湿剤としては、水、食用多価アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ソルビトール、グリセリン、水、及びこれらの組み合わせが、好ましい保湿剤である。保湿剤は、約0.1%〜約99%、約0.5%〜約95%、及び約1%〜約90%の量で存在してよい。
【0169】
w)界面活性剤
界面活性剤が、歯磨剤組成物に加えられてもよい。界面活性剤はまた、一般的に起泡剤とも称され、口腔用組成物の洗浄及び泡立ちを補助する。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定し、発泡性であるものである。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、カチオン性、又はこれらの混合物であってよい。
【0170】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤の例としては、アルキルラジカルに8個〜20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩類(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)並びに8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩類が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤の例は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなサルコシネートである。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる。多数の好適なアニオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されている。いくつかの実施形態では、口腔用組成物は、約0.025%〜約9%、いくつかの実施形態では約0.05%〜約5%、別の実施形態では約0.1%〜約1%の濃度でアニオン性界面活性剤を含む。
【0171】
別の好適な界面活性剤は、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤、及びタウレート界面活性剤からなる群から選択されるものである。本明細書で用いるのに好ましいのは、サルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸パルミトイル、サルコシン酸ステアロイル、及びサルコシン酸オレオイルの、ナトリウム塩及びカリウム塩のような、これらの界面活性剤のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩類である。サルコシン酸界面活性剤は、本発明の組成物中に、総組成物の約0.1重量%〜約2.5重量%、又は約0.5重量%〜約2重量%で存在してよい。
【0172】
本発明に有用なカチオン性界面活性剤としては、約8個〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する脂肪族四級アンモニウム化合物の誘導体、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジ−イソブチルフェノキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ココナツアルキルトリメチルアンモニウムナイトライト、セチルピリジニウムフロライドなどが挙げられる。好ましい化合物は四級アンモニウムフッ化物であり、米国特許第3,535,421号(ブライナー(Briner)ら、1970年10月20日)に記載されているが、ここで前述の四級アンモニウムフッ化物は、洗剤の特性を有する。特定のカチオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤として作用する場合もある。クロルヘキシジンのようなカチオン性界面活性剤は、本発明に用いられるのに好適であるが、口腔の硬組織を着色する可能性があるために好ましくない。当業者はこの可能性について承知しており、この制限のみを念頭においてカチオン性界面活性剤を組み込むべきである。
【0173】
本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的に脂肪族又はアルキル芳香族であってよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から得られる生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、及びかかる物質の混合物が挙げられる。
【0174】
本発明で有用な双性イオン性合成界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、硫酸塩、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性水溶性基を含有する。
【0175】
好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号(ポールフカ(Polefka)ら、1993年1月19日発行)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン又は2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ(coc)−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタインなどが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等により例示される。選択されるベタイン類は、好ましくはココアミドプロピルベタイン類、より好ましくはラウラミドプロピルベタインである。
【0176】
図面
図1〜5は、5つの実施形態の写真である。これらの図では、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相がほぼ透明な容器10に包装され、少なくとも1つの視覚的に区別可能な相30が、別の視覚的に区別可能な相40と物理的に接触し、少なくとも1つの相がほぼ透明であり、視覚的に区別可能な相が模様を形成する。
【0177】
図1及び2では、視覚的に区別可能な相30及び40によって形成される模様は花弁である。図3〜5では、少なくとも1つの視覚的に区別可能な相30は、連続的であり、それ自体に重なる。
【0178】
図3に図示される実施形態は、2つの視覚的に区別可能な相を共に供給する、充填ノズルを使用して好適に生成される。1つの視覚的に区別可能な相30は、二次流れとして充填ノズルに加えられる別の視覚的に区別可能な相40と共に、又は第2の外部充填ノズルにより、体積測定的に、又は流量測定的にノズルに投入される。容器10は、充填プロセスの開始において、充填ノズルまで持ち上げられ、次に制御された方法で下げられて、充填ノズルの排出口から充填される相の最高部までの距離を調節する。容器、又は充填ノズルは、充填プロセスの間、往復回転運動、軌道運動、及び水平運動で動かされる。ノズル及び容器の制御された相対運動、並びに2つの相の相対ポンプ排出量は、サーボモーター技術により、好適に達成され、各容器に独自の外観をもたらすために、無作為化され得る。容器密閉部は、容器内に留まるあらゆる空気を極小化するか、又は排除するように、好適に配置される。
【0179】
図4に図示される実施形態は、2つの視覚的に区別可能な相を共に供給する充填ノズルを使用して、好適に生成される。図示される透明なゲルである、1つの視覚的に区別可能な相40は、体積測定的に、又は流量測定的に充填ノズルに投入される。図示される緑色の、別の視覚的に区別可能な相30は、内部ノズル部分を通じて、小さな流れとしてより大きな相40に投入される。容器10は、充填プロセスの開始において、充填ノズルまで持ち上げられ、次に制御された方法で下げられて、充填ノズルの排出口から充填される相の最高部までの距離を調節する。容器、又は充填ノズルは、充填プロセスの間、速く、無作為化された、回転運動、軌道運動、及び/又は水平運動で動かされる。ノズル及び容器の制御された相対運動、及び2つの相の相対ポンプ排出量は、サーボモーター技術により、好適に達成される。容器密閉部は、容器内に留まるあらゆる空気を極小化するか、又は排除するように、好適に配置される。
【0180】
非限定的な実施例
次の実施例に示される歯磨剤組成物は、本発明の歯磨剤組成物の具体的な実施形態を説明するものであるが、これらに限定することを意図するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者は、他の修正を実行することができる。特に、実施例1、2、3、及び4はそれぞれ、2つの視覚的に区別可能な相を有する歯磨剤であり、相Iは不透明であり、相IIはほぼ透明である。
【実施例】
【0181】
実施例1:
【表1】

【0182】
実施例2:
【表2】

【0183】
実施例3:
【表3】

【0184】
実施例4:
【表4】

【0185】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0186】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0187】
本発明の特定の実施形態を例示し説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相歯磨剤組成物であって、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含み、
前記視覚的に区別可能な相が、ほぼ透明の容器に包装され、
少なくとも1つの視覚的に区別可能な相が、別の相と物理的に接触し、
少なくとも1つの視覚的に区別可能な相が、ほぼ透明であり、
前記視覚的に区別可能な相が、大理石模様、幾何学模様、スターバースト、花弁、稲妻、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される模様を形成する、多相歯磨剤組成物。
【請求項2】
多相歯磨剤組成物であって、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含み、
前記視覚的に区別可能な相が、ほぼ透明の容器に包装され、
少なくとも1つの視覚的に区別可能な相が、別の相と物理的に接触し、
少なくとも1つの視覚的に区別可能な相が、ほぼ透明であり、
少なくとも1つの視覚的に区別可能な相が、連続的であり、それ自体に重なる、多相歯磨剤組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの相が真珠光沢を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの相が模様を形成し、前記模様が、非平坦、ひだ状、カップ状、凹状、凸状、網状、及びテーパ形状からなる群から選択される、請求項1〜3に記載の組成物。
【請求項5】
前記容器が模様付きであり、前記模様が、縞状、大理石模様、らせん状、幾何学模様、スターバースト、稲妻、ブロック、色付き、薄い色付き、濃淡付き、つや消し、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記視覚的に区別可能な相が、ラベル、収縮包装、箱、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの包装層で更に包装され、
少なくとも1つの包装層が、模様付きであり、前記模様が縞状、大理石模様、らせん状、幾何学模様、スターバースト、稲妻、ブロック、色付き、薄い色付き、濃淡付き、つや消し、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記歯磨剤及び容器、並びに/又は包装層の組み合わせが、模様を形成する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記容器が、前記容器の内側に可視のストリップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
取り付けられたポンプ及びホースを有する保存容器にそれぞれ貯蔵された、少なくとも2つの視覚的に区別可能な歯磨剤相を準備する工程と、
前記多相歯磨剤を受容するための容器を、支持体及び位置合わせ漏斗に関する位置に移動する工程と、
前記少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を、前記それぞれのホースを通じて、前記容器を充填するための、少なくとも2つのノズルを有するノズルアセンブリに注ぎ込む工程と、
単一の容器内に多相歯磨剤をつくるために、少なくとも2つの視覚的に区別可能な相それぞれの規定量を組み合わせる工程と、
を含む、請求項1〜4に記載の多相歯磨剤を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−526030(P2010−526030A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501653(P2010−501653)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051290
【国際公開番号】WO2008/122949
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】