説明

横形製袋充填機及びおにぎり包装体

【課題】おにぎり等の物品を包装した包装体を立てて陳列する際に包装体の見栄えを低下させないように、包装体の袋の底部に角底を形成するための折り癖を付けて包装することができる横形製袋充填機を提供する。また、その横形製袋充填機で得られたおにぎり包装体を提供する。
【解決手段】フィルム供給源1から製袋手段2までのフィルム搬送経路中に設けられたたぐり量調節手段8より下流側で帯状フィルム3を連続的に搬送させながら、たぐり量調節手段8より上流側で帯状フィルム3の搬送を一時的に停止させた状態で、帯状フィルム3に折り癖を付けるように癖付け手段6を作動させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立てて陳列することができる包装体、例えば、おにぎり等の物品を包装した包装体を提供する横形製袋充填機、並びに、その横形製袋充填機で得られたおにぎり包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム供給源から引き出された帯状フィルムを製袋手段で成形した筒状フィルム中に物品を供給し、その筒状フィルム中の物品の前後位置において筒状フィルムに一対のシール体でエンドシールを施すと共にその筒状フィルムをナイフで切断し、エンドシールが施された部分である耳部を圧縮エアーの吹き付けにより折り曲げた包装体を提供する横形製袋充填機が開示されている。この横形製袋充填機によれば、包装体において耳部が袋の底部の梁として機能するため、底部の保形性が高まって自立安定性が向上する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4164749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、袋の側部にガセットを形成する際に袋の底部と側部との境界部分が丸くなっていると、適切にガセットを形成することができないため、袋の底部の周辺の形状が安定せず、包装体の見栄えを悪くしてしまう。このように見栄えが悪くなった包装体は、特に同じ種類の包装体を立たせて陳列した際に目立ち、消費者の購買意欲を低下させてしまう。
【0005】
本発明は、おにぎり等の物品を包装した包装体を立てて陳列する際に包装体の見栄えを低下させないように、包装体の袋の底部に角底を形成するための折り癖を付けて包装することができる横形製袋充填機、並びに、その横形製袋充填機で得られたおにぎり包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る横形製袋充填機においては、フィルム供給源1から引き出された帯状フィルム3を製袋手段2で筒状に成形し、得られた筒状フィルム11中に所定間隔毎に供給された各物品13間でエンドシールを施すと共にエンドシールが施された部分にガセット36,37を形成して包装体17を得ることができ、たぐり量調節手段8と癖付け手段6と折曲手段31とを備えている。たぐり量調節手段8は、フィルム供給源1から製袋手段2に至るフィルム搬送経路に設けられている。癖付け手段6は、該たぐり量調節手段8の上流側に配設され、帯状フィルム3の幅方向に延びた山形歯と谷形歯とからなる癖付け部材25,26によって帯状フィルム3を挟み、前記包装体17の袋38の底部39が角底となるように折り癖39aを付ける。折曲手段31は、前記エンドシールが施された部分を前記袋38の底部39に沿う方向に折り曲げる。前記たぐり量調節手段8より下流側で帯状フィルム3を連続的に搬送させながら、たぐり量調節手段8より上流側で帯状フィルム3の搬送を一時的に停止させた状態で、帯状フィルム3を挟んで折り癖39aを付けるように前記癖付け手段6を作動させるようにした。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明においては、前記たぐり量調節手段8より上流側にて帯状フィルム3のレジマークを検出する第1検出手段5と、前記たぐり量調節手段8より下流側にて帯状フィルム3のレジマークを検出する第2検出手段9とを備え、前記第1検出手段5による検出出力に基づき前記上流側における帯状フィルム3の搬送を一時的に停止した状態で前記癖付け手段6を作動させ、前記第2検出手段9による検出出力に基づき前記下流側においてフィルムの搬送位置合わせを行う。
【0008】
請求項3の発明に係る横形製袋充填機においては、フィルム供給源1から引き出された帯状フィルム3を製袋手段2で筒状に成形し、得られた筒状フィルム11中に所定間隔毎に供給された各物品13間でエンドシールを施して包装体17を得ることができ、フィルム供給源1から製袋手段2に至るフィルム搬送経路に設けられたたぐり量調節手段8と、該たぐり量調節手段8より上流側で搬送が一時的に停止された帯状フィルム3に折り癖39aを付ける癖付け手段6と、前記たぐり量調節手段8より上流側にて帯状フィルム3のレジマークを検出する第1検出手段5と、前記たぐり量調節手段8より下流側にて帯状フィルム3のレジマークを検出する第2検出手段9とを備えている。該第2検出手段9による検出出力に基づき、前記たぐり量調節手段8より下流側で連続的に搬送されるフィルムの搬送位置合わせを行うと共に、前記第1検出手段5による検出出力に基づき前記癖付け手段6を作動させる。
【0009】
請求項1〜3の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項4の発明においては、前記たぐり量調節手段8の作動状態を検出する作動状態検出手段23を備えており、前記癖付け手段6によって折り癖が付けられた後に、前記たぐり量調節手段8より上流側で帯状フィルム3の搬送を再開させている間に、作動状態検出手段23によって、前記フィルム搬送経路の帯状フィルム3のたぐり量が少ないことが検出されると、前記たぐり量調節手段8より下流側の帯状フィルム3の搬送速度より遅く搬送されている前記上流側の帯状フィルム3の搬送速度を増速させて、前記たぐり量を増加させる。
【0010】
請求項1〜4の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項5の発明において、前記フィルム搬送経路には帯状フィルム3を繰り出す第1繰出しローラ7と第2繰出しローラ10とが配置され、該第1繰出しローラ7によって前記たぐり量調節手段8より上流側の帯状フィルム3が搬送され、第2繰出しローラ10によって前記たぐり量調節手段8より下流側の帯状フィルム3が連続的に搬送される。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の横形製袋充填機でおにぎりを包装して得られるおにぎり包装体17である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、フィルム供給源から製袋手段までのフィルム搬送経路中にたぐり量調節手段を設けて、たぐり量調節手段より下流側で帯状フィルムを連続的に搬送させて連続運転をしながら、たぐり量調節手段より上流側で帯状フィルムの搬送を一時的に停止させて癖付け手段で帯状フィルムに折り癖を確実に付けることができる。従って、その折り癖を付けた位置で筒状フィルムを確実に折り曲げることができ、包装体の袋の底部に位置ずれが生じ難い角底が形成されて、物品を包装した包装体を立てて陳列する際に包装体の見栄え低下を抑制することができる。
【0013】
また、折曲手段は、エンドシールが施された部分を袋の底部に沿う方向に折り曲げ易くするため、物品を包装した包装体を立てて陳列させ易くする。
請求項2の発明では、たぐり量調節手段より上流側と下流側との夫々に別個にレジマークを検出する手段を設けたので、折り癖の付与を位置ずれすることなく精度良く実施でき、また、フィルムの搬送位置合わせも折り癖を付ける動作によって悪影響を受けることがない。
【0014】
請求項3の発明では、フィルム供給源から製袋手段までのフィルム搬送経路中にたぐり量調節手段を設けて、たぐり量調節手段より下流側で帯状フィルムを連続的に搬送させて連続運転をしながら、たぐり量調節手段より上流側で帯状フィルムの搬送を一時的に停止させて癖付け手段で帯状フィルムに折り癖を確実に付けることができる。従って、その折り癖を付けた位置で筒状フィルムを確実に折り曲げることができ、包装体の袋の底部に位置ずれが生じ難い角底が形成されて、物品を包装した包装体を立てて陳列する際に包装体の見栄え低下を抑制することができる。
【0015】
また、たぐり量調節手段より上流側にて帯状フィルムのレジマークを第1検出手段により検出してこの上流側における帯状フィルムの搬送を一時的に停止するので、レジマークで区分された1包装分の帯状フィルム毎に折り癖を付けることができる。また、たぐり量調節手段より下流側にて帯状フィルムのレジマークを第2検出手段により検出してこの下流側においてフィルムの搬送位置合わせを行うので、レジマークで区分された1包装分の帯状フィルム毎にエンドシール等の処理を施すことができる。
【0016】
請求項4の発明では、適度なフィルム張力が維持できるため、たぐり量調節手段より上流側の帯状フィルムの搬送を一時的に停止させた状態で折り癖を確実に付けることができ、また、下流側で帯状フィルムを連続的に搬送させることができる。
【0017】
請求項5の発明では、たぐり量調節手段より上流側で帯状フィルムの搬送停止を第1繰出しローラの駆動制御により帯状フィルムの搬送速度を高めて折り癖の位置を一定にできると共に、たぐり量調節手段より下流側で第2繰出しローラの駆動制御により帯状フィルムを連続搬送することができる。
【0018】
請求項6の発明では、横形製袋充填機によって、立てて陳列する際にその見栄え低下を抑制することができるおにぎり包装体を連続的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は横形製袋充填機の全体の概略構成を示す図であり、(b)はその一部であるエンドシール機構を示す図である。
【図2】(a)(b)は夫々包装体の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1(a)に概略的に示すように、横形製袋充填機において、フィルム供給源1から製袋手段2に至るフィルム搬送経路では、フィルム供給源1から引き出された帯状フィルム3が、案内ローラ4により第1検出手段5(帯状フィルム3に一定間隔で印刷されたレジマークを検出し得る第1レジマークセンサ)と癖付け手段6とを経て、案内ローラ4が圧接された第1繰出しローラ7に繰り出された後にたぐり量調節手段8に至り、更に、たぐり量調節手段8から案内ローラ4と第2検出手段9(帯状フィルム3に一定間隔で印刷されたレジマークを検出し得る第2レジマークセンサ)とを経て、案内ローラ4が圧接された第2繰出しローラ10に繰り出された後に案内ローラ4を経て製袋手段2に引き出し案内される。その後、製袋手段2で筒状に成形されて得られた筒状フィルム11には縦シール機構12により縦シールが施されると共に、筒状フィルム11中に物品13が供給コンベヤ14により所定間隔毎に供給され、各物品13が供給された筒状フィルム11が搬送コンベヤ15によりエンドシ−ル機構16に至り、エンドシ−ル機構16において各物品13間で筒状フィルム11に横シール(エンドシール)が施されると共に筒状フィルム11が切断されることで、包装体17(例えば、おにぎり包装体)が得られて排出コンベヤ18から搬出される。なお、第1繰出しローラ7及び第2繰出しローラ10の回転速度は夫々駆動手段(不図示)によって制御される。
【0021】
前記たぐり量調節手段8においては、上下方向へ回動可能に支持された揺動アーム19の回転中心19a上に揺動中心ローラ20が配設されていると共に、揺動アーム19の先端部に可動ローラ21が配設され、その揺動中心ローラ20と可動ローラ21との間の上方で固定ローラ22が配設されている。第1繰出しローラ7から引き出された帯状フィルム3は可動ローラ21と固定ローラ22と揺動中心ローラ20とに順次巻き掛けられて揺動中心ローラ20から第2検出手段9側へ引き出される。揺動アーム19は帯状フィルム3の張りを維持するために上下方向に回動して揺動する。揺動アーム19の先端部にある可動ローラ21が揺動する上下方向の両位置のうち、下側位置には下方へ揺動した際に揺動アーム19の先端部を検出し得る下側近接センサ23(作動状態検出手段)が配設されていると共に、上側位置には上方へ揺動した際に揺動アーム19の先端部を検出し得る上側近接センサ24が配設され、揺動アーム19が下側近接センサ23及び上側近接センサ24を越えて揺動することを規制するストッパ(不図示)が配設されている。
【0022】
前記たぐり量調節手段8の可動ローラ21より上流側でフィルム供給源1と第1繰出しローラ7とのフィルム搬送経路に配設された癖付け手段6においては、帯状フィルム3を介して上下に内設された上下一対の癖付け部材25,26のうち、上側癖付け部材25の下縁には山形歯(不図示)が帯状フィルム3の幅方向(フィルム搬送方向に対し直交する方向)へ延びるように形成されていると共に、下側癖付け部材26の上縁には谷形歯(不図示)が帯状フィルム3の幅方向へ延びるように形成され、エアーシリンダ27によって上側癖付け部材25が上下方向に移動してその山形歯と谷形歯とが帯状フィルム3を挟んで噛み合う。この噛合いによって帯状フィルム3には幅方向における全域に亘って直線状の折り癖(図2で折り癖39aになる部分)が付けられる。
【0023】
前記たぐり量調節手段8の可動ローラ21より上流側でフィルム供給源1と癖付け手段6とのフィルム搬送経路に配設された第1検出手段5(第1レジマークセンサ)が帯状フィルム3のレジマークを検出すると、その検出出力に基づき制御処理手段(不図示)は、第1繰出しローラ7の駆動手段(不図示)を駆動制御すると共に、エアーシリンダ27を駆動制御する。前記たぐり量調節手段8の揺動中心ローラ20より下流側でたぐり量調節手段8と第2繰出しローラ10とのフィルム搬送経路に配設された第2検出手段9(第2レジマークセンサ)が帯状フィルム3のレジマークを検出すると、その検出出力に基づき制御処理手段(不図示)は第2繰出しローラ10の駆動手段(不図示)を駆動制御する。前記たぐり量調節手段8において下側近接センサ23(作動状態検出手段)が揺動アーム19の先端部を検出すると、その検出出力に基づき制御処理手段(不図示)は第1繰出しローラ7及び第2繰出しローラ10の駆動手段(不図示)を駆動制御する。
【0024】
フィルム供給源1から製袋手段2に至るフィルム搬送経路において、第1繰出しローラ7及び第2繰出しローラ10の回転は以下のように制御される。
揺動アーム19が下方へ揺動してその先端部が下側近接センサ23で検出されると、通常は定速回転する第2繰出しローラ10に対し第1繰出しローラ7を所定の第1速度比で比較的に遅く回転させる。第1繰出しローラ7を所定の第1の速度比で比較的に遅く回転させ続けると、第2繰出しローラ10がフィルム搬送経路の帯状フィルム3を張るように引き始める。しかし、揺動アーム19が帯状フィルム3の張りを維持するように上方へ揺動を開始することによって、その先端部が下側近接センサ23で検出されなくなる。揺動アーム19の先端部が下側近接センサ23で検出されなくなると、フィルム搬送経路の帯状フィルム3のたぐり量が減少し始めたと見做し、第1繰出しローラ7を第2繰出しローラ10に対し所定の第2速度比で速く回転させ、たぐり量調節手段8より上流側の帯状フィルム3の搬送速度を増速する。そのため、序々にフィルム搬送経路の帯状フィルム3のたぐり量が増え、このことに伴い、帯状フィルム3の張りを維持するように揺動アーム19が下方へ序々に揺動してその先端部が再度下側近接センサ23で検出される。このように、下側近接センサ23による検出の有無によって、通常は定速回転する第2繰出しローラ10に対する第1繰出しローラ7の速度比が変化するため、揺動アーム19が上下方向の揺動を繰り返す。揺動アーム19が揺動を繰り返している状態で、第1検出手段5(第1レジマークセンサ)が帯状フィルム3のレジマークを検出すると、第1繰出しローラ7の回転が停止される。
【0025】
第1繰出しローラ7の回転が停止してから所定時間T1後に癖付け手段6のエアーシリンダ27を作動させると、上側癖付け部材25を下方へ移動させて上下の癖付け部材25,26を噛合わせ、帯状フィルム3に直線状の折り癖(図2で折り癖39aになる部分)を付ける。第1繰出しローラ7の回転が停止してから所定時間T2(T2>T1)後に第1繰出しローラ7を再起動させて回転させて、帯状フィルム3の搬送を再開させる。なお、第1繰出しローラ7を再起動させる際に、第2繰出しローラ10に対する第1繰出しローラ7の速度比については、前述の下側近接センサ23による検出出力の有無によって、第1速度比又は第2速度比が決定されるが、第1繰出しローラ7の回転を停止する直前の前述の第1速度比又は第2速度比を採用してもよい。
【0026】
揺動アーム19が下側近接センサ23で検出されると、フィルム供給源1から製袋手段2に至るフィルム搬送経路における帯状フィルム3のたぐり量が異常に減少している状態であり、何らかの異常が生じているという理由で、帯状フィルム3及び物品13の搬送、並びに、縦シール機構12及びエンドシール機構16の全ての作動が停止する。これらの作動停止は、停止解除スイッチ(不図示)を操作することにより解除可能である。以上のように、直線状の折り癖が付けられた帯状フィルム3が搬送される際に、第2検出手段9(第2レジマークセンサ)による検出出力に基づき、筒状フィルム11の適正な位置にエンドシールが施されるように、帯状フィルム3の搬送位置が合わせられる。
【0027】
前記エンドシール機構16においては、内臓ヒータ(不図示)により加熱される一対のエンドシーラ28,29が筒状フィルム11の搬送経路を挟んで上下に配設され、上下のエンドシーラ28,29は、筒状フィルム11の搬送方向に沿って同期的に前進すると共に相互に離間して後退した後に再び相互に当接して前進するボックスモーション運動を繰り返し、物品13の前後位置で筒状フィルム11を挟圧して幅方向に横シール(エンドシール)を施すと共に、エンドシーラ28,29に内設されたナイフ(不図示)が筒状フィルム11を幅方向に沿って切断し、エンドシールが施された部分には耳部30が形成される。
【0028】
エンドシール機構16において筒状フィルム11の搬送方向の両側のうち上流側で各エンドシーラ28,29に折曲手段31が配設されている。折曲手段31においては、筒状フィルム11を介して上下に配設された上下一対の折曲部材32,33のうち、上側エンドシーラ28に取着された上側折曲部材32の下縁には山形歯(不図示)が筒状フィルム11の幅方向へ延びるように形成されていると共に、下側エンドシーラ29に取着された下側折曲部材33の上縁には谷形歯(不図示)が筒状フィルム11の幅方向へ延びるように形成され、上下のエンドシーラ28,29のボックスモーション運動に伴い、その山形歯と谷形歯とが筒状フィルム11を挟んで噛み合う。この噛合いによって、筒状フィルム11のエンドシールが施された部分には幅方向における全域に亘って直線状の折り癖(図2で折り癖30aになる部分)が付けられる。
【0029】
エンドシール機構16において筒状フィルム11の搬送方向の両側には夫々、筒状フィルム11の搬送経路を挟む幅方向で対向する一対のガセット成形部材34,35(幅方向両側のガセット成形部材34,35のうち一方のみ図示)が夫々配設されている。各エンドシーラ28,29が筒状フィルム11に横シール(エンドシール)を施す前のタイミングにおいて、一対のガセット成形部材34,35が退避位置から相互に近接して筒状フィルム11の幅方向両側を内側に折り込むことで、エンドシールが施される対応位置の筒状フィルム11の幅方向両側には図2(a)に示すように互いに形の異なるガセット36,37が形成される。一対のガセット成形部材34,35が退避位置に復帰し、また、上下のエンドシーラ28,29が離間して筒状フィルム11を解放すると、図1(b)に示すようにエンドシールが施されて切断された包装体17は、高速で運転されている排出コンベヤ18により、エンドシール機構16から速やかに下流側に移送される。
【0030】
図2(a)に示すように、包装体17においては、袋38の下流側に形成された底部39の幅方向両側で前記ガセット36が形成されていると共にその底部39から耳部30が幅方向全体に延びて突出し、袋38の上流側に形成された頭部40の幅方向両側で前記ガセット37が形成されていると共にその頭部40から耳部30が幅方向全体に延びて突出している。底部39側の耳部30は、前記折曲手段31において上下の折曲部材32,33により幅方向の全域に亘って付けられた直線状の折り癖30aで上方へ折り曲げられて底部39に沿う。袋38の底部39は、折り癖39aに沿ってガセット36が綺麗に折り曲げられて角張り、また、底部39とその袋38の正面41、または、正面41に対し反対側になる背面との間の境界部分も、折り癖39aに沿って折り曲げられて角張る。即ち、底部39との境界部分が折り癖39aで角張った四角形状の角底が形成されることで、底部39の保形性が高まる。更に、底部39に沿って折り曲げられた耳部30が底部39内の梁として機能することで底部39の保形性が高まる。従って、図2(b)に示すように、包装体17は立てて陳列される際に角底の底部39で安定的に載置されると共に、前記正面41及び背面が底部39から上方へ起立して形態を維持する。
【0031】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 癖付け手段6の癖付け部材25,26で帯状フィルム3に付けた折り癖39aにより、その折り癖39aを付けた位置で筒状フィルム11を確実に折り曲げることができ、包装体17の袋38の底部39に位置ずれが生じ難い角底が形成されることとなり、おにぎり包装体等の包装体17を立てて陳列する際に包装体17の見栄えを良くすることができる。
【0032】
* フィルム供給源1から製袋手段2までのフィルム搬送経路中にたぐり量調節手段8を設けたので、帯状フィルム3の張りの調節を行って、たぐり量調節手段8より下流側で帯状フィルム3を連続的に搬送させて筒状フィルム11を成形し、その筒状フィルム11中に物品13を供給したり筒状フィルム11にエンドシ−ルを施したりする等の連続運転を可能にしながら、たぐり量調節手段8より上流側で帯状フィルム3の搬送を一時的に停止させて癖付け手段6で帯状フィルム3に折り癖39aを確実に付けることができる。
【0033】
* 折曲手段31の折曲部材32,33で筒状フィルム11に付けた折り癖30aにより、エンドシールが施された耳部30を袋38の底部39に沿う方向に折り曲げ易くなるため、おにぎり包装体等の包装体17を立てて陳列する際に包装体17の見栄えをより一層良くすることができる。
【0034】
* エンドシール機構16において上側エンドシーラ28に折曲手段31の上側折曲部材32を取着すると共に下側エンドシーラ29に折曲手段31の下側折曲部材33を取着したので、エンドシール機構16により筒状フィルム11にエンドシールを施す際に折曲手段31による折り癖30aを同時に付けることができ、折曲手段31を別途設ける必要がなくなって折曲手段31の構造が簡単になる。
【0035】
* たぐり量調節手段8より上流側にて帯状フィルム3のレジマークを第1検出手段5により検出してこの上流側における帯状フィルム3の搬送を一時的に停止するので、レジマークで区分された1包装分の帯状フィルム3毎に折り癖39aを付けることができる。
【0036】
* たぐり量調節手段8より下流側にて帯状フィルム3のレジマークを第2検出手段9により検出してこの下流側においてフィルムの搬送位置合わせを行うので、レジマークで区分された1包装分の筒状フィルム11毎にエンドシール等の処理を施すことができる。
【0037】
* たぐり量調節手段8より上流側と下流側との夫々に別個にレジマークを検出する手段(第1検出手段5及び第2検出手段9)を設けたので、折り癖39aの付与を位置ずれすることなく精度良く実施でき、また、フィルムの搬送位置合わせも折り癖39aを付ける動作によって悪影響を受けることがない。
【0038】
* たぐり量調節手段8の作動状態を作動状態検出手段(近接センサ23)により検出して、その検出出力に応じてたぐり量調節手段8より下流側の帯状フィルム3の搬送速度を変更することなく、たぐり量調節手段8より上流側の帯状フィルム3の搬送速度をたぐり量調節手段8より下流側の帯状フィルム3の搬送速度に対して増速或いは減速するので、フィルム供給源1から製袋手段2までのフィルム搬送経路において帯状フィルム3の張りを適度な状態に維持することができる。また、たぐり量調節手段8より下流側で帯状フィルム3を一定の搬送速度で搬送させながら連続運転を可能にすることができる。
【0039】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ フィルムの材質については、ある程度厚みがあって腰の強い紙や樹脂等を採用することができる。
【0040】
・ たぐり量調節手段8においては、揺動アーム19の先端部を揺動させる手段以外にも、例えば、揺動中心ローラ20と可動ローラ21との相対的な距離を可変できるように直線的に移動させてたぐり量を変えるなどの手段を採用してもよい。そして、作動状態検出手段として近接センサ23などの非接触式検出手段を用いたが、エンコーダ或いは接触式スイッチ或いは圧力スイッチ等を用いて揺動アーム19の作動状態を検出してもよい。
【0041】
・ 癖付け手段6においては、帯状フィルム3の幅方向に延びた山形歯と谷形歯からなる癖付け部材25,26により帯状フィルム3を挟んで折り癖を付けたが、フィルムの材質や厚さやその他のフィルム性状など、必要に応じて、癖付け部材25,26にヒータを内設する等、癖付け部材25,26を加熱するか、または、フィルムを溶融温度に至らない所定の温度に加熱して、所定の位置に折り癖を付けるようにしてもよい。
【0042】
・ 折り癖によって包装体17の袋38の底部39に四角形状の角底を形成したが、おにぎりや石鹸や乾麺等、袋38内に供給する物品13の形状に応じて、底部39を五角形状等、様々な多角形状の角底に形成してもよい。
【0043】
・ 癖付け手段6において癖付け部材25,26をエアーシリンダ27によって作動させたが、モータ等の電気的手段等で作動させてもよい。
・ エンドシールされた耳部30に折り癖30aを付ける一対の折曲部材32,33によって折曲手段31を構成したが、折曲手段31以外に、該耳部30に向けて圧縮エアーを吹き付けて折り曲げるエアーノズルを設けてもよく、折曲手段31としてはテープ等を用いて耳部30を袋38の底部39に沿うように折り曲げる手段等を採用してもよい。
【0044】
・ ボックスモーション運動を行うエンドシール機構16を採用したが、対向するエンドシーラの各々が自転する回転式のエンドシール機構を採用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…フィルム供給源、2…製袋手段、3…帯状フィルム、5…第1検出手段、6…癖付け手段、7…第1繰出しローラ、8…たぐり量調節手段、9…第2検出手段、10…第2繰出しローラ、11…筒状フィルム、13…物品、17…包装体、23…下側近接センサ(作動状態検出手段)、25,26…癖付け部材、30…耳部、30a…折り癖、31…折曲手段、36,37…ガセット、38…袋、39…底部、39a…折り癖。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム供給源から引き出された帯状フィルムを製袋手段で筒状に成形し、得られた筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された各物品間でエンドシールを施すと共にエンドシールが施された部分にガセットを形成して包装体を得る横形製袋充填機であって、
フィルム供給源から製袋手段に至るフィルム搬送経路に設けられたたぐり量調節手段と、
該たぐり量調節手段の上流側に配設され、帯状フィルムの幅方向に延びた山形歯と谷形歯とからなる癖付け部材によって帯状フィルムを挟み、前記包装体の袋の底部が角底となるように折り癖を付ける癖付け手段と、
前記エンドシールが施された部分を前記袋の底部に沿う方向に折り曲げる折曲手段とを備え、
前記たぐり量調節手段より下流側で帯状フィルムを連続的に搬送させながら、たぐり量調節手段より上流側で帯状フィルムの搬送を一時的に停止させた状態で、帯状フィルムを挟んで折り癖を付けるように前記癖付け手段を作動させるようにした
ことを特徴とする横形製袋充填機。
【請求項2】
前記たぐり量調節手段より上流側にて帯状フィルムのレジマークを検出する第1検出手段と、前記たぐり量調節手段より下流側にて帯状フィルムのレジマークを検出する第2検出手段とを備え、前記第1検出手段による検出出力に基づき前記上流側における帯状フィルムの搬送を一時的に停止した状態で前記癖付け手段を作動させ、前記第2検出手段による検出出力に基づき前記下流側においてフィルムの搬送位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の横形製袋充填機。
【請求項3】
フィルム供給源から引き出された帯状フィルムを製袋手段で筒状に成形し、得られた筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された各物品間でエンドシールを施して包装体を得る横形製袋充填機であって、
フィルム供給源から製袋手段に至るフィルム搬送経路に設けられたたぐり量調節手段と、
該たぐり量調節手段より上流側で搬送が一時的に停止された帯状フィルムに折り癖を付ける癖付け手段と、
前記たぐり量調節手段より上流側にて帯状フィルムのレジマークを検出する第1検出手段と、前記たぐり量調節手段より下流側にて帯状フィルムのレジマークを検出する第2検出手段とを備え、
該第2検出手段による検出出力に基づき、前記たぐり量調節手段より下流側で連続的に搬送されるフィルムの搬送位置合わせを行うと共に、前記第1検出手段による検出出力に基づき前記癖付け手段を作動させる
ことを特徴とする横形製袋充填機。
【請求項4】
前記たぐり量調節手段の作動状態を検出する作動状態検出手段を備えており、前記癖付け手段によって折り癖が付けられた後に、前記たぐり量調節手段より上流側で帯状フィルムの搬送を再開させている間に、作動状態検出手段によって、前記フィルム搬送経路の帯状フィルムのたぐり量が少ないことが検出されると、前記たぐり量調節手段より下流側の帯状フィルムの搬送速度より遅く搬送されている前記上流側の帯状フィルムの搬送速度を増速させて、前記たぐり量を増加させることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の横形製袋充填機。
【請求項5】
前記フィルム搬送経路には帯状フィルムを繰り出す第1繰出しローラと第2繰出しローラとが配置され、該第1繰出しローラによって前記たぐり量調節手段より上流側の帯状フィルムが搬送され、第2繰出しローラによって前記たぐり量調節手段より下流側の帯状フィルムが連続的に搬送されることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の横形製袋充填機。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の横形製袋充填機でおにぎりを包装して得られるおにぎり包装体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−247875(P2010−247875A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100976(P2009−100976)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】