説明

横形製袋充填機

【課題】美観や高級感を損ねることなく、デザイン面で制約されない角筒状の包装品を得ることができる横形製袋充填機を提供する。
【解決手段】原反ロール16から引き出された帯状フィルムFは、製袋手段23で四角筒状に成形する際の3つの角部と対応する位置に、折り癖形成手段18で折り癖が夫々形成される。製袋手段23では、帯状フィルムFの長手方向の両端縁部を上方の一方の角部に対応する位置で合掌状に重合するように3本の折り癖を基準に帯状フィルムFが角筒状に成形されて、フィルム重合端縁部fは斜め上方に延出する。フィルム重合端縁部fを溶断ローラ33,33で溶断シールすると共に、筒状フィルムFaに収容された物品Wを挟む前後に横シール手段40で横シールを施すことで、1つの角部に対応する位置に溶断シール部が形成されて所定幅の縦シール部を有しない袋詰包装品が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角筒状の袋内に物品を充填して包装し得る横形製袋充填機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、横形製袋充填機で得られる包装袋の四隅に角部を形成することで、自立し易くしたり、付加価値を高めて高級感を与えることが行なわれている。このような角筒状の包装品を得る横形製袋充填機は、製袋手段に向けてフィルムが移送されるまでの途上に、該フィルムが角筒状に成形される際の各角部に対応する位置に連続的に筋目を形成するための折り癖形成装置が設けられる。そして、折り癖形成装置で形成された筋目に沿ってフィルムを製袋手段によって角筒状に成形した後、下流側において筒状フィルムの長手方向端縁部に縦シールを施すと共に、筒状フィルムに収容された物品を挟む前後位置において、縦シールと交差する方向に横シールを施すことで、四隅に角部を有するピロー包装品が得られる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−301707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示の装置により得られる包装品では、袋の前後位置に形成された各横シール部と交差して所定幅の縦シール部が形成されており、この縦シール部が、包装の美観や高級感を損ねる原因となることから、縦シール部が設けられる側を包装品の裏面として取り扱う等、袋に施す印刷のデザイン面での制約を受ける難点が指摘される。なお、予め3方シールされた1枚ずつの袋を用いて物品を袋詰めすることで、所定幅の縦シール部を有しない包装品を得ることはできるが、この場合は高速処理ができず生産性を高めることができないといった難点等が指摘される。
【0004】
本発明は、従来の技術に内在する前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、美観や高級感を損ねることなく、デザイン面で制約されない角筒状の包装品を得ることができる横形製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の横形製袋充填機は、
供給源から引き出される帯状フィルムに、該フィルムを物品の高さおよび幅寸法に応じて角筒状に成形する際の3つの角部と対応する位置に折り癖を夫々フィルム移送方向に沿って平行に形成する折り癖形成手段と、
前記折り癖形成手段の下流側に配設され、前記帯状フィルムにおける長手方向の両端縁部を上方の一方の角部に対応する位置で合掌状に重合するように前記3本の折り癖を基準に該帯状フィルムを角筒状に成形すると共に、フィルム重合端縁部を外側方に向けて斜め上方に延出して下流側に案内する製袋手段と、
前記製袋手段の下流側に配設され、回転軸心が鉛直線に対して前記フィルム重合端縁部の延出側に傾斜し、該フィルム重合端縁部を挟持して下流側へ移送する送りローラおよびフィルム重合端縁部を溶断シールする溶断ローラと有する溶断シール手段と、
前記得られた筒状フィルムに物品を供給する供給手段と、
前記筒状フィルムに収容された物品を挟むフィルム移送方向の前後に、ガセット折込みを施すガセット形成手段と、
前記筒状フィルムに収容された物品を挟むフィルム移送方向の前後に、フィルム移送方向と交差する方向にシールを施す横シール手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明では、前記送りローラおよび溶断ローラの回転軸心の鉛直線に対する傾斜角度は、5度〜20度の範囲内に設定されることを要旨とする。
【0007】
請求項3に係る発明では、前記製袋手段で成形された筒状フィルムを底面側から吸引して前記溶断シール手段に移送する移送コンベヤを設けることを要旨とする。
【0008】
請求項4に係る発明では、前記溶断シール手段の下流側に、物品が収容された筒状フィルムを上面側から押圧して移送する押圧コンベヤを設けることを要旨とする。
【0009】
請求項5に係る発明では、前記製袋手段の下流において前記溶断シール手段によるフィルム溶断位置までの間で、製袋手段で成形された筒状フィルムにおける上面およびフィルム重合端縁部が延出する側と反対の側面を支持する第1ガイドと、筒状フィルムの他側面を支持する第2ガイドとを設けることを要旨とする。
【0010】
請求項6に係る発明では、前記物品は、軟質物を積層した集合品であり、
前記供給手段は、物品を上下のベルトで圧縮して前記筒状フィルムに送り込む挟持コンベヤを備え、
前記ガセット形成手段は、横シール手段のシール体を挟むフィルム移送方向の前後位置に、筒状フィルムを両側方から押し込む押し込み片および該押し込み片と同調作動し筒状フィルムに収容された物品の側面をフィルムを介して押さえる保持片を夫々備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、筒状フィルムにおける1つの角部に位置する部位を溶断シール部とすることで、所定幅の縦シール部を備えない包装品が得られる。従って、包装品は、表裏に制約されることなく印刷デザインを自由に選択できると共に、美観や高級感を損ねることなく付加価値の高い包装品を得ることができる。また、従来では製袋された1枚ずつの袋を用いて袋詰めしていた物品も、本装置によって製袋充填包装することが可能となり、従来より包装能力の高速化が可能となって生産性が向上する効果を奏する。
更に、傾斜配置した溶断ローラでフィルム重合端縁部を溶断シールすることで、筒状フィルムにおける溶断シール後の角部が上方に立上がって見栄えを損ねるのを防止し得る。
請求項2の発明によれば、筒状フィルムにおける溶断シール後の角部が上方に立上がるのを確実に防止し得る。また、物品が生理用ナプキン等の軟質物であっても、溶断ローラの過度な傾斜によってフィルムが溶断シール側に引っ張られるのを抑制して、四角筒状のフィルムが変形してしまうのを防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、予め折り癖が形成された帯状フィルムが角筒状に成形される際に、各折り癖部分が目的の角部に整合するように安定した成形を行ない得る。
請求項4に係る発明によれば、筒状フィルムがひし形や平行四辺形になるのを防止して、角筒状の四角形態を良好に保持できる。また、横シール時に筒状フィルム内の空気が上流側に押された際に、該空気によってフィルム内に所定間隔毎に収容されている物品が位置ズレするのを防止できる。
請求項5に係る発明によれば、帯状フィルムを角筒状に成形する際に、筒状フィルム内の物品が位置ズレするのを防止して、フィルムを角筒状に安定して成形できる。
請求項6に係る発明によれば、生理用ナプキン等の軟質物を積層した集合品を上下方向に圧縮してフィルムに送り込むことで、該集合品がフィルム内に密着した状態で収容された包装品を得ることができる。また、ガセット折込みを施す際にフィルム内の物品の位置ズレを修正して、整った四角形態の包装品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係る横形製袋充填機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、物品として、生理用ナプキンや使い捨てオムツ等の軟質物を所定個数単位で段積み積層した集合品を例示してある。
【実施例】
【0013】
図1は、実施例に係る横形製袋充填機の全体構成を示す概略図であって、最上流側に位置する供給コンベヤ(供給手段)10は、図示しない駆動モータにより循環走行する無端索体に所定間隔で配設された押送部材11によって物品Wを所定間隔毎に下流側に移送する第1コンベヤ12と、該第1コンベヤ12の下流側に接続されて、第1コンベヤ12から受渡された物品Wを、後述する製袋手段23によって筒状成形された筒状フィルムFaに送り込む第2コンベヤ(挟持コンベヤ)13とを備える。第2コンベヤ13は、物品移送路を挟んで上下に離間する一対のベルトコンベヤ14,15から構成され、両ベルトコンベヤ14,15における物品移送路を挟んで対向するベルト面間の離間間隔は、物品Wを所定量だけ圧縮し得る寸法に設定される。そして、図示しない駆動モータにより両ベルトコンベヤ14,15を循環走行することで、第1コンベヤ12から送り込まれた物品Wを、両ベルトコンベヤ14,15で上下から圧縮した状態で所定間隔毎に筒状フィルムFaに向けて送り込むようになっている。両ベルトコンベヤ14,15は、幅方向に離間する複数の無端ベルトを有し、各無端ベルトの下流端位置は、製袋手段23の上面のフィルムガイド板24bの傾斜縁で形成される空所に対応して筒状フィルムFaの合掌状に重合されるフィルム重合端縁部f(後述する)が臨む一側から他側に向かうにつれて上流側に偏倚するよう構成されて、製袋手段23に干渉しないよう構成される(図4参照)。なお、上部ベルトコンベヤ14は上下方向に高さ調節自在に構成され、物品Wの高さ寸法に応じて下部ベルトコンベヤ15との間隔を調節し得るようになっている。
【0014】
前記供給コンベヤ10の下方に、ポリエチレン等の材質を基材とする熱溶着性の帯状フィルムFをロール状に巻回した原反ロール(供給源)16が回転自在に配設される。この原反ロール16から引き出された帯状フィルムFが製袋手段23に移送されるまでの移送途上に、該帯状フィルムFに折り癖17を付与する折り癖形成手段18が配置される。この折り癖形成手段18は、図2に示す如く、機枠に回転自在に配設されてフィルム移送方向と交差する方向に延在する回転軸19に対し、軸方向に離間して一体回転可能に配設された3つの第1回転体20と、回転軸19と平行に機枠に配設された支持軸21に対し、各第1回転体20と対応する位置に夫々回転自在に配設された第2回転体22とを備え、両回転体20,22の間を帯状フィルムFが通過するよう構成される。
【0015】
前記回転軸19は図示しない駆動モータにより回転駆動されて、第1回転体20を、帯状フィルムFの移送速度と同一の周速で回転するよう構成される。また、第1回転体20および第2回転体22の周面には、一方に凹部が形成されると共に他方に凸部が形成されており、凹部に凸部が帯状フィルムFを挟んで当接した状態で、該フィルムFの移送に伴って両回転体20,22が回転することで帯状フィルムFに移送方向に沿う折り癖17を連続的に形成するよう構成される(図2参照)。
【0016】
前記対をなす第1回転体20および第2回転体22からなる回転体組の夫々は、物品Wの高さおよび幅寸法に応じて製袋手段23により四角形の角筒状に成形される筒状フィルムFaにおける3つの角部に対して折り癖17を夫々形成し得る位置関係をもって回転軸19および支持軸21に配設される。実施例では、図3に示す筒状フィルムFaにおける下方の2箇所の角部および上方の左側(他方)の角部に対応する位置の夫々に折り癖17を形成するよう構成されている。また第1回転体20および第2回転体22は、異なる角筒状フィルムのサイズに対応すべく角部の位置が変化するのに応じて、回転軸19および支持軸21の軸方向に移動調節し得るようになっている。
【0017】
前記供給コンベヤ10の下流側に製袋手段23が配設され、下方に位置する前記原反ロール16から上方に引き出される帯状フィルムFを該製袋手段23の筒状本体24に通過させることにより、物品Wの高さおよび幅寸法に応じた四角形の角筒状に成形されて、得られた筒状フィルムFa内に、前記供給コンベヤ10を介して物品Wが一定間隔毎に供給されるようになっている。製袋手段23は、図3に示す如く、角筒状に形成された筒状本体24における上方の右側(一方)の角部に切欠部24aが形成されている。そして、筒状本体24の内部に引き込まれる帯状フィルムFは、その移送方向に沿う長手方向の両端縁部が、切欠部24aから外方に延出して合掌状に重合されるように、前記3つの折り癖17を基準に角筒状に成形される。
【0018】
前記筒状本体24には、図3に示す如く、切欠部24aに対応する位置に外側方に向けて斜め上方に延出する一対の案内板25,25が、フィルム移送方向に平行に延在するように設けられ、フィルム重合端縁部fは、両案内板25,25間を下流側に案内されるようになっている。なお、一対の案内板25,25の傾斜角度は、後述する溶断ローラ33の傾斜角度θと同じ値に設定されていることが好ましい。前記筒状本体24の上面を構成はフィルムガイド板24bの上流縁は、フィルム移送方向の下流側に向かうにつれて切欠部24a側に傾斜するように形成されて、筒状本体24の上面における上流部には、図4に示す如く、フィルム重合端縁部f側の角部からフィルムを外方に延出するために開口した空所が設けられており、この空所を画成するフィルムガイド板24bの傾斜縁に合わせて前記上部ベルトコンベヤ14の各無端ベルトの下流端部が配置されている。また製袋手段23は、前記案内板25,25の下流側に、前記フィルム重合縁端部fを案内する補助ガイド30を備え、該補助ガイド30は筒状フィルムFaの移送方向に沿って所定長さで延在している。なお、補助ガイド30は、溶断ローラ33の傾斜角度θと同じ角度で傾斜することが好ましい。
【0019】
前記製袋手段23の下流側には、図1に示す如く、筒状フィルムFaが移送される際に、製袋手段23の出口から後述する横シール手段40におけるシール体38,39の配設位置の直前までに亘り、筒状フィルムFaに収容された物品Wの底面をフィルムを介して支持して移送する移送コンベヤ26が配設されている。なお、移送コンベヤ26は無端ベルトからなり、吸引手段27による筒状フィルムFaの吸引を可能とする複数の吸引口が走行方向に向けて連続的に穿設されている。また、吸引手段としての吸引チャンバ27が、製袋手段23の出口から溶断シール手段31までの間の所定範囲に配設され、該吸引チャンバ27による吸引区間について筒状フィルムFaが吸引保持されるよう構成されている。
【0020】
前記製袋手段23の下流側には、図5に示す如く、筒状フィルムFaの上面を支持する上面部28aおよび筒状フィルムFaにおけるフィルム重合端縁部fが延出する側と反対の側面を支持する側面部28bとからなる第1ガイド28が、後述する溶断シール手段31によるフィルム溶断位置までの間に延在するように設けられる。また、筒状フィルムFaの移送路を挟んで第1ガイド28の側面部28bと対向して、筒状フィルムFaの他側面を支持する第2ガイド29が、横シール手段40の近傍まで延在するように配設される。
【0021】
前記製袋手段23より下流側における前記移送コンベヤ26の上方に、筒状フィルムFaのフィルム重合端縁部fに溶断シールを施す溶断シール手段31が配設される。この溶断シール手段31は、図4および図5に示す如く、筒状フィルムFaのフィルム重合端縁部fを挟んで対向して該端縁部fを溶断シールすることで、四角筒状の1つの角部となる溶断シール部32(図8参照)を形成する一対の溶断ローラ33,33を有する。また、溶断ローラ33,33の上流側には、筒状フィルムFaのフィルム重合端縁部fを挟持して相互に反対方向に連続回転する一対の送りローラ34,34が配設してある。更に、溶断ローラ33,33の下流側には、該溶断ローラ33,33により溶断された切り屑を屑回収手段の吸引パイプ35に案内する一対の補助ローラ36,36が配設されている。
【0022】
前記溶断ローラ33および送りローラ34は、図5に示す如く、鉛直線Lに対して回転軸心Cが、前記フィルム重合端縁部fの延出側に向けて所要角度で傾斜するように配置される。そして、フィルム重合端縁部fを、溶断ローラ33,33によって筒状フィルムFaの袋胴部における上方の一方の角部となる部位から外側に向けて斜めに挟持しつつ角部に溶断シールを施すことで、溶断シール後の角部が上部に立ち上がるのを抑制するよう構成される。溶断ローラ33および送りローラ34における回転軸心Cの鉛直線Lに対する傾斜角度θは、5度〜20度の範囲内に設定されることが好ましく、5度〜10度の範囲内とするのが最も好ましい。前記傾斜角度θを5度より小さくすると、溶断シール後の角部が上部に立ち上がるのを抑制する効果が低く、また傾斜角度θを20度より大きくすると、本実施例の如く生理用ナプキン等の軟質で軽量な物品Wを包装する際には、成形されたフィルムが溶断ローラ側に引張られてしまう傾向が強まり、平行四辺形、あるいはひし形となるおそれがある。
【0023】
前記溶断シール手段31の下流側に、筒状フィルムFa内に収容された物品Wを上面側から押圧して移送する押圧コンベヤ37が配設される。押圧コンベヤ37は、空気の吸引負圧により吸引口を介して筒状フィルムFaの上面を吸着して移送する吸着ベルト37aを有している。また押圧コンベヤ37は、物品Wの押圧高さを調節可能に構成されている。
【0024】
前記押圧コンベヤ37の下流側に、筒状フィルムFaの移送路を挟んで上下に対向する一対のシール体38,39を相互に近接・離間移動自在に備えた横シール手段40が配設されている(図6参照)。横シール手段40は、筒状フィルムFaにおける前後の各物品W,W間の略中央位置を物品高さの略中間位置で挟持した状態で、筒状フィルムFaの移送に伴って下流側に所要距離だけ水平に移動した後に相互に離間することで、筒状フィルムFaに横シールを施すようになっている。また、横シール手段40の上部シール体38はナイフ41を備え、上下のシール体38,39により筒状フィルムFaに横シールを施す際に、該ナイフ41により筒状フィルムFaを幅方向に切断するよう構成される。
【0025】
前記横シール手段40には、前記シール体38,39を挟むフィルム移送方向の前後位置に、筒状フィルムFaの移送路を挟んで対向する一対の押し込み片42,43を夫々備えたガセット形成手段44が配設されている。このガセット形成手段44は、上下のシール体38,39のフィルム移送方向への移動に伴って一体的に移動可能に配設されると共に、一対の押し込み片42,43によって、前記両シール体38,39の上下動に同期し進退移動され、前記筒状フィルムFaに収容されている物品Wを挟む前後位置の幅方向両側を内側に折込んでガセットを形成するよう構成される。また各押し込み片42,43には、図7に示す如く、フィルム移送方向に沿ってシール体38,39から離間するように延在する薄板状の保持片42a,43aが夫々設けられ、押し込み片42,43でガセット折込みを施す際に、該押し込み片42,43と共に移動する保持片42a,43aが筒状フィルムFaに収容されている物品Wの側面を押さえるよう構成される。
【0026】
前記上部シール体38が配設される支持部材45には、横シール時に袋内を脱気すると共に物品Wを保持する脱気保持手段46が配設される。この脱気保持手段46は、図1に示す如く、上部シール体38の下流側に位置する押圧体47と、上流側に位置する保持体48とを備える。押圧体47および保持体48は、エアシリンダ等の駆動手段49,50により夫々独立して上下動可能に構成される。押圧体47は、スポンジ等の弾性体から構成され、駆動手段49によって下降された際に、下流側に位置する筒状フィルムFaを上面側から押圧するようになっている。また保持体48は、駆動手段50によって下降された際に、上流側に位置する筒状フィルムFaに収容されている物品Wにおける上流端の位置規制を行なうよう構成される(図1の二点鎖線参照)。
【0027】
前記上部シール体38の下流側に、両シール体38,39により施される横シール部に向けてエアを噴出する冷却手段51が、シール体38,39の幅方向に延在して設けられている(図7参照)。
【0028】
前記横シール手段40の下流側には、図1に示す如く、前記移送コンベヤ26と移送レベルを一致させたベルト式の搬出コンベヤ52が配設されている。両コンベヤ26,52の対向する端部は、一対のシール体38,39が相互に近接する際には相互に離間移動して下部シール体39の通過を許容すると共に、一対のシール体38,39が相互に離間する際には相互に近接移動して移送コンベヤ26から搬出コンベヤ52へ筒状フィルムFa内の物品Wの受渡しを円滑に行なわせ得るようになっている。また搬出コンベヤ52のベルト走行速度は、移送コンベヤ26のベルト走行速度より高速に設定され、横シール手段40により横シール・切断されて得られた袋詰包装品53を、筒状フィルムFaの終端から確実に切離して下流側に移送し得るよう構成される。
【0029】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る横形製袋充填機の作用につき説明する。
【0030】
前記供給コンベヤ10の下方に配置した原反ロール16から引き出された帯状フィルムFが前記製袋手段23に向けて移送されるまでの間に、図2に示す折り癖形成手段18における3組の回転体組により幅方向に離間して3本の折り癖17が移送方向に沿って形成される。前記折り癖17が形成された帯状フィルムFは、製袋手段23により筒状に成形される際に、図3に示す如く、筒状本体24の下方の2箇所の角部および上方左側の角部に各折り癖17が対応して位置するようにして四角形の角筒状に成形され、また、その長手方向の両端縁部は、筒状本体24の上方右側の角部に形成された前記切欠部24aから外方に延出して合掌状に重合され、そのフィルム重合端縁部fは、前記一対の案内板25,25間を下流側に案内される。
【0031】
前記物品Wは、前記第1コンベヤ12の押送部材11によって押送されて前記第2コンベヤ13に受渡され、この物品Wは、上下のベルトコンベヤ14,15によって圧縮された状態で前記筒状フィルムFaに送り込まれる。すなわち、生理用ナプキン等の軟質物を段積み積層した物品Wを、筒状フィルムFa内に密着した状態で収容させることができる。なお、前記上部ベルトコンベヤ14の各無端ベルトの下流端部は、図4に示す如く、筒状本体24の上面に形成された空所を画成する傾斜縁に合わせて、フィルム重合端縁部fの延出側とは反対側から延出側に向けて下流側に偏倚するよう配置されているから、物品Wを圧縮状態のまま筒状フィルムFaに確実に供給し得る。
【0032】
前記製袋手段23で成形された筒状フィルムFaは、前記移送コンベヤ26により物品Wと共に下流側に移送される。このとき、筒状フィルムFaの底面は、移送コンベヤ26のベルト面に吸引チャンバ27によって吸引された状態で移送されるから、該筒状フィルムFaが幅方向に偏倚するのは抑制される。すなわち、前記帯状フィルムFは、各折り癖17が製袋手段23における筒状本体24の対応する角部に整合するように引き込まれて角筒状に安定して成形される。また、移送コンベヤ26によって移送される筒状フィルムFaは、上面および左右の側面が第1ガイド28および第2ガイド29によって支持されており、筒状フィルムFa内の物品Wが位置ズレするのが防止されると共に、筒状フィルムFaを角筒状により安定して成形できる。
【0033】
なお、筒状フィルムFaの上方の角部に斜めに延出するフィルム重合端縁部fは、前記補助ガイド30で案内されることで、前記溶断シール手段31に向けて安定した姿勢で供給される。
【0034】
前記フィルム重合端縁部fは、前記溶断シール手段31における送りローラ34,34により挟持されつつ下流側へ移送される。また送りローラ34,34の下流側に配設した前記両溶断ローラ33,33によりフィルム重合端縁部fが挟持されつつ下流側へ移送されることで、該重合端縁部fが溶断シールされる。これにより、筒状フィルムFaにおける上方の一方の角部に対応して溶断シール部32が連続的に形成される。また、傾斜配置した溶断ローラ33,33によってフィルム重合端縁部fを斜めに挟持しつつ溶断シールを施すことで、溶断シール部32に対応する角部が溶断シール後に上部に立ち上がるのは抑制され、見栄えが損なわれるのは防止される。更に、筒状フィルムFaが移送される際に、フィルムが溶断ローラ33,33の熱影響で伸びたりあるいは変質するのも防ぐことができる。更にまた、溶断ローラ33,33による溶断シールに際し、筒状フィルムFaが引っ張られて平行四辺形やひし形等に変形することもない。また、筒状フィルムFaおよび物品Wは、前記第1ガイド28および第2ガイド29によって上面および左右両側面が支持されているから、溶断シールに際して物品Wが位置ズレすることはなく、溶断シール部32が斜めに形成されるのは防止される。
【0035】
前記溶断ローラ33,33で溶断された切り屑は、溶断ローラ33,33の下流側に配設した補助ローラ36,36に挟持されて屑回収手段の吸引パイプ35に案内され、筒状フィルムFaから確実に切り離される。
【0036】
前記溶断シール部32が形成された筒状フィルムFaは、前記移送コンベヤ26によって横シール手段40に向けて移送される。また、溶断シール手段31の下流側において筒状フィルムFaは、前記押圧コンベヤ37によって上面側から押圧されると共に吸着ベルト37aで吸着保持された状態で移送されるから、これによっても溶断シールに際して筒状フィルムFaが変形するのは抑制され、また下流側位置において横シールされる際に筒状フィルムFa内の空気が上流側へ逆流するのを防止することができる。
【0037】
前記横シール手段40の上下のシール体38,39は上流側、次いで下流側に移動しつつ相互に近接する。このとき、移送コンベヤ26および搬出コンベヤ52の対向する先端が相互に離間し、その間に生じた隙間を介して下部シール体39が移送路の上方に延出し、上部シール体38との間で筒状フィルムFaを物品高さの略中央位置で挟持する。
【0038】
また、前記両シール体38,39が当接する前のタイミングにおいて、前記ガセット形成手段44の押し込み片42,43が作動してシール体38,39を挟むフィルム移送方向の前後で筒状フィルムFaの両側面を内側に折込むことで、筒状フィルムFaの物品Wを挟む前後側面にガセット折込みが施される。そして一対のシール体38,39は、筒状フィルムFaを挟持した状態で筒状フィルムFaの移送に伴って所要距離だけ略水平に移動して筒状フィルムFaを横シール・切断する。これにより、図8に示すように、四角筒状の1つの角部に溶断シール部32が形成された袋詰包装品53が得られる。この袋詰包装品53は、所定幅の縦シール部を有していないので、表裏に制約されることなく印刷デザインを自由に選択できると共に、美観や高級感を損ねることなく付加価値を高めることができる。
【0039】
また、ガセット折込み時には、前記各押し込み片42,43に設けられている保持片42a,43aによりシール体38,39を挟むフィルム移送方向の前後に位置する物品W,Wが、フィルムを介して両側から押されて保持されるから、物品W,Wが位置ズレすることなく、横シールが安定すると共にガセット折込み形成も良好に行なわれる。これにより、整った四角形態の袋詰包装品53を得ることができる。
【0040】
また、前記横シール手段40の一対のシール体38,39が筒状フィルムFaを挟持する前に、シール体38,39の下流側に位置する前記脱気保持手段46の押圧体47が作動して筒状フィルムFaを上方から所定量押圧することにより袋内部の空気が上流側に押し出されるから、筒状フィルムFaに収容された物品Wはフィルムに密着する。また、押圧体47の作動に先立ちシール体38,39の上流側に位置する脱気保持手段46の保持体48が作動して、上流側の筒状フィルムFaに収容されている物品Wの上流端の位置規制が行なわれる。従って、押圧体47による袋内の脱気、およびシール体38,39が筒状フィルムFaを挟持する際に上流側に押し出される空気によって物品Wの位置ズレが生ずるのを防止することができる。また、横シール手段40の上流側に配置されている前記押圧コンベヤ37によっても、筒状フィルムFaに収容されている物品Wはフィルムを介して上面側から押圧されているから、筒状フィルムFaに一定間隔で収容されている上流側の各物品Wの位置ズレは確実に防止される。
【0041】
前記一対のシール体38,39が相互に離間移動して筒状フィルムFaを解放すると、横シール・切断の施された袋詰包装品53は、高速で運転されている搬出コンベヤ52により横シール手段40から速やかに下流側に移送される。また、シール体38,39が筒状フィルムFaを解放した後のタイミングで、前記ガセット形成手段44の押し込み片42,43が後退すると共に、前記移送コンベヤ26および搬出コンベヤ52の対向する先端が相互に近接し、両コンベヤ26,52の対向部における隙間は少なくなり、コンベヤ間の筒状フィルムFa(物品W)の受渡しは支障なく行なわれる。なお、シール体38,39が筒状フィルムFaを解放した後の所定タイミングで、両シール体38,39により施された横シール部に向けてシール体38の下流側に配設された冷却手段51からエアが噴付けられて冷却される。すなわち、ポリエチレンを基材とするフィルムにおいても横シール部が早期に冷却されて確実にシールされ、圧縮状態で収容された物品Wの拡開力を受けてシール部が破袋してしまうことがない。また、横シール部が潜熱によって縮んだりシワが発生するのも防止される。
【0042】
実施例の横形製袋充填機は、四角筒状に成形された筒状フィルムFaにおける1つの角部に対応する位置で合掌状に重合されたフィルム重合端縁部fを溶断シールすることで、所定幅の縦シール部を有しない袋詰包装品53を製造するようにしたから、予め製袋された1枚ずつの袋を用いて袋詰めしていた物品を、当該横形製袋充填機で包装することにより、包装能力の高速化が可能となって生産性を向上することができる。
【0043】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例では、物品Wとして複数の軟質物を段積み積層した集合品の形態で説明したが、対象とする物品Wはこれに限定されるものではなく、1個の物品Wであってもよく、また物品Wの性状も限定されない。
2.実施例では、一対の回転体20,22で帯状フィルムFを挟持することで折り癖17を形成する場合で説明したが、フィルム移送方向に沿った折り癖17を形成し得るものであれば、固定配置した案内板と、該案内板に設けた溝にフィルムを挟んで当接するように回転する回転体とを組合わせた構成、その他の構成を採用し得る。
3.実施例では、移送コンベヤ26のベルト面にフィルムを吸引する吸引チャンバ27を、製袋手段23と溶断シール手段31との間に配置した場合で説明したが、該吸引チャンバ27の配設位置はこれに限定されるものでない。例えば、溶断シール手段31と横シール手段40との間に吸引チャンバ27を配置してもよく、この場合は横シールに際して筒状フィルムFaが変形するのを抑制することができる。また製袋手段23と溶断シール手段31との間、および溶断シール手段31と横シール手段40との間の両方に吸引チャンバ27を夫々配置する構成を採用し得る。
4.実施例では、ガセット形成手段44の押し込み片42,43に保持片42a,43aを一体に形成する構成で説明したが、この構成に限定されるものではなく、保持片42a,43aは、押し込み片42,43とは別体として個々に別々のタイミングで作動する構成を採用し得る。このように保持片42a,43aを別駆動とすることで、脱気保持手段46との動作タイミングを考慮した動作を行ない、物品Wを四方から囲ったもとでガセット形成と横シールを行なうことができ、袋詰包装品53の角筒状形態をより確実に形成できる。なお、保持片42a,43aをスポンジ等の弾性体で構成してもよい。
5.その他各種構成についても、実施例の構成や方式に限らず、種々の公知の技術を採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例に係る横形製袋充填機の全体を示す概略構成図である。
【図2】実施例に係る折り癖形成手段を示す概略平面図である。
【図3】実施例に係る製袋手段を上流側から視た状態を示す概略側面図である。
【図4】実施例に係る製袋手段および溶断シール手段を示す概略平面図である。
【図5】実施例に係る溶断シール手段における溶断ローラを上流側から視た状態を示す概略側面図である。
【図6】実施例に係る横シール手段を上流側から視た状態を示す概略側面図である。
【図7】実施例に係る横シール手段のシール体、ガセット形成手段および冷却手段の関係を示す説明図である。
【図8】実施例に係る横形製袋充填機で製造された袋詰包装品を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
10 供給コンベヤ(供給手段),13 第2コンベヤ(挟持コンベヤ)
16 原反ロール(供給源),17 折り癖,18 折り癖形成手段,23 製袋手段
26 移送コンベヤ,28 第1ガイド,29 第2ガイド,31 溶断シール手段
37 押圧コンベヤ,38 上部シール体(シール体),40 横シール手段
42 押し込み片,42a 保持片,43 押し込み片,43a 保持片
44 ガセット形成手段,W 物品,F 帯状フィルム,Fa 筒状フィルム
C 回転軸心,L 鉛直線,θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源(16)から引き出される帯状フィルム(F)に、該フィルム(F)を物品(W)の高さおよび幅寸法に応じて角筒状に成形する際の3つの角部と対応する位置に折り癖(17)を夫々フィルム移送方向に沿って平行に形成する折り癖形成手段(18)と、
前記折り癖形成手段(18)の下流側に配設され、前記帯状フィルム(F)における長手方向の両端縁部を上方の一方の角部に対応する位置で合掌状に重合するように前記3本の折り癖(17)を基準に該帯状フィルム(F)を角筒状に成形すると共に、フィルム重合端縁部(f)を外側方に向けて斜め上方に延出して下流側に案内する製袋手段(23)と、
前記製袋手段(23)の下流側に配設され、回転軸心(C)が鉛直線(L)に対して前記フィルム重合端縁部(f)の延出側に傾斜し、該フィルム重合端縁部(f)を挟持して下流側へ移送する送りローラ(34,34)およびフィルム重合端縁部(f)を溶断シールする溶断ローラ(33,33)と有する溶断シール手段(31)と、
前記得られた筒状フィルム(Fa)に物品(W)を供給する供給手段(10)と、
前記筒状フィルム(Fa)に収容された物品(W)を挟むフィルム移送方向の前後に、ガセット折込みを施すガセット形成手段(44)と、
前記筒状フィルム(Fa)に収容された物品(W)を挟むフィルム移送方向の前後に、フィルム移送方向と交差する方向にシールを施す横シール手段(40)とを備える
ことを特徴とする横形製袋充填機。
【請求項2】
前記送りローラ(34,34)および溶断ローラ(33,33)の回転軸心(C)の鉛直線(L)に対する傾斜角度(θ)は、5度〜20度の範囲内に設定される請求項1記載の横形製袋充填機。
【請求項3】
前記製袋手段(23)で成形された筒状フィルム(Fa)を底面側から吸引して前記溶断シール手段(31)に移送する移送コンベヤ(26)を設ける請求項1または2記載の横形製袋充填機。
【請求項4】
前記溶断シール手段(31)の下流側に、物品(W)が収容された筒状フィルム(Fa)を上面側から押圧して移送する押圧コンベヤ(37)を設ける請求項1〜3の何れか一項に記載の横形製袋充填機。
【請求項5】
前記製袋手段(23)の下流において前記溶断シール手段(31)によるフィルム溶断位置までの間で、製袋手段(23)で成形された筒状フィルム(Fa)における上面およびフィルム重合端縁部(f)が延出する側と反対の側面を支持する第1ガイド(28)と、筒状フィルム(Fa)の他側面を支持する第2ガイド(29)とを設ける請求項1〜4の何れか一項に記載の横形製袋充填機。
【請求項6】
前記物品(W)は、軟質物を積層した集合品であり、
前記供給手段(10)は、物品(W)を上下のベルトで圧縮して前記筒状フィルム(Fa)に送り込む挟持コンベヤ(13)を備え、
前記ガセット形成手段(44)は、横シール手段(40)のシール体(38)を挟むフィルム移送方向の前後位置に、筒状フィルム(Fa)を両側方から押し込む押し込み片(42,43)および該押し込み片(42,43)と同調作動し筒状フィルム(Fa)に収容された物品(W)の側面をフィルムを介して押さえる保持片(42a,43a)を夫々備える請求項1〜5の何れか一項に記載の横形製袋充填機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−241969(P2009−241969A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92847(P2008−92847)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】