説明

横形製袋充填機

【課題】簡単な構成で前後の耳部が折り曲げられた状態を維持した包装体を得ることができる横形製袋充填機を提供する。
【解決手段】一対のシール体12,14の対向するシール面の上流側および下流側に、癖付け手段26が夫々設けられる。第2シール体14の下流側に、後耳折り体30が上下動するよう配設される。搬出コンベヤ20に、前耳折り体34が上下動するよう配設される。一対のシール体12,14で筒状フィルムFが横シール・切断されて、物品収容部16bから外方に延在する耳部16dが形成される。また、筒状フィルムFの癖付け手段26による挟持位置に折り癖が夫々付与される。前後の耳折り体30,34が待機位置から作動位置に移動することで、前後の耳部16d,16dが耳折り体30,34によって折り癖の部分を基点として上側に折り曲げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装した包装体における前後の耳部を折り曲げることができる横形製袋充填機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された物品の前後位置におけるフィルムに横シール・切断を施して包装体を製造する横形製袋充填機において、包装体を箱詰めし易くする対策として、横シール・切断されて後続の未包装体から切離された包装体における物品収容部から外方に延在する横シール部(耳部)を折り曲げることが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の横形製袋充填機では、物品が供給された筒状フィルムを回転シーラに相当する回転体で横シール・切断する際に、耳部に折り癖を付け、回転体から下流側に搬送された位置で包装体における後側の耳部を折り曲げ、更に下流側に搬送された位置で包装体における前側の耳部を折り曲げることで、前後両側の耳部が折り曲げられた包装体を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−173402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の横形製袋充填機では、後側の耳部と前側の耳部とを離間した位置において別々に折り曲げているので、各耳部を折り曲げる際に包装体が搬送方向の前後に移動するのを規制する部材を別途設ける必要があり、構成が複雑になる難点がある。また、各耳部の折り曲げ位置が横シール位置から離間しているため、包装体が耳部の折り曲げ位置に到来するまでの間に、回転体によって加熱形成された折り癖の部分の温度が低下してしまう。すなわち、加熱により軟化した折り癖の部分が、温度低下によってフィルム自体が有する初期の復元力(弾性)を取り戻してしまい、耳部を折り癖の部分から折り曲げても復元力によって元の形状に戻ってしまうおそれがある。特に、厚手で腰のあるフィルム、あるいはアルミ箔層が積層された腰の強いフィルムでは、折り曲げた際の復元力も大きいため、耳部の折り曲げが不十分となる可能性が高くなる。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る横形製袋充填機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、簡単な構成で前後の耳部が折り曲げられた状態を維持した包装体を得ることができる横形製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る横形製袋充填機は、
上下に対向移動して筒状フィルム中の物品の搬送方向における前後で筒状フィルムに横シールと切断を施して包装体を得る一対のシール体と、
前記シール体で横シールを施して包装体の前後に耳部を形成する際に、該耳部に折り癖を付与する癖付け手段と、
前記一対のシール体より下流側の前後2箇所で、筒状フィルムの搬送路内の作動位置に出現するよう上下動する一対の耳折り体とを備え、
該一対の耳折り体は、一対のシール体がフィルムを解放してから最も離間するまでの所定タイミングで、前記作動位置に出現してシール直後の包装体の前後の耳部に当接して折り癖から折り曲げるよう構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記一対のシール体は、筒状フィルムを挟持した状態で下流側に移動してから相互に離間した後、上流側に移動するよう構成され、
前記包装体の後側の耳部に当接する後方の耳折り体は、両シール体がフィルムを解放した直後に作動位置に出現して下流側に移動するよう構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記筒状フィルムは、上面側に縦シール部が形成され、前記前後の耳折り体は、搬送路に下側から出没して前後の耳部を上側に折り曲げるよう構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記一対の耳折り体の間隔を調節可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記一対の耳折り体が搬送路内に出現するタイミングを可変可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、前後の耳部を、一対の耳折り体の当接状態で折り曲げるよう構成したので、耳部の折り曲げに際して包装体が前後に移動するのを規制する部材を別途設ける必要はなく、構成を簡略化し得る。また、シール体により加熱されて軟化した耳部が初期の復元力を取り戻す前に、該耳部を折り癖の部分を基点として折り曲げることができ、前後の耳部が折り曲げられた状態を維持した包装体が得られる。すなわち、フィルムとして腰の強い素材を用いる場合であっても、耳部が確実に折り曲げられた状態を維持した包装体を製造し得る。
請求項2に係る発明によれば、シール体によるフィルムへの加熱終了直後に後方の耳折り体で折り曲げた耳部を、温度が低下するまで折り曲げ状態に保持することができ、耳部の折り曲げ状態は確実に維持される。
請求項3に係る発明によれば、包装体における縦シール部が形成された面側に耳部を折り曲げるので、反対面側の見栄えを良好にすることができる。
請求項4に係る発明によれば、包装体のサイズ変更に簡単に対応し得る。
請求項5に係る発明によれば、前後の耳部の長さの違い等に応じて、各耳部を最適なタイミングで折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は実施例に係る横形製袋充填機の要部概略側面図であり、(b)は(a)におけるA部分の拡大図である。
【図2】実施例に係る横形製袋充填機の要部概略側面図であって、(a)は一対のシール体が噛合して筒状フィルムに横シールを施す状態を示し、(b)は前後の耳折り体で耳部を折り曲げた状態を示し、(c)は耳折り体で耳部が折り曲げられる部位を拡大して示している。
【図3】実施例に係る横形製袋充填機で得られた包装体を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る横形製袋充填機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、実施例において、上流・下流とは、搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20で搬送される物品Wおよび筒状フィルムFの搬送方向との関係で指称する。
【実施例】
【0014】
横形製袋充填機は、製袋手段で筒状に成形された筒状フィルムFの長手方向の重合端縁部に縦シール機構で連続的に縦シールを施しつつ、給送手段により筒状フィルムFを下流側に向けて搬送する。また、製袋手段で成形された筒状フィルムF内へ供給手段によって物品Wが所定間隔毎に供給され、筒状フィルムFにおける物品Wの前方(下流側)および後方(上流側)に、横シール機構10における横シール手段としての上下一対のシール体12,14で横シール・切断することで包装体16が得られる。なお、製袋手段、縦シール機構、給送手段および供給手段は図示していない。実施例では、物品Wの給送ラインより下方から帯状フィルムが製袋手段に供給され、帯状フィルムの幅方向両端部が給送ラインの上方(物品Wの上側面)で合掌状に重合され、包装体16において上側面(一方の面)に縦シール部16aが現われるようになっている(図3参照)。
【0015】
図1(a)に示す如く、前記横シール機構10を挟んで上流側に搬送コンベヤ18が配設されると共に、下流側には搬送コンベヤ18と搬送レベルを一致させた搬出コンベヤ20が直列に配設される。横シール機構10は、搬送コンベヤ18と搬出コンベヤ20との間において、筒状フィルムFの搬送路を挟んで第1シール体12と第2シール体14とが上下に対向して配設され、両シール体12,14は、第1駆動手段で作動する公知の第1作動機構(何れも図示せず)によって相対的に接近・離間移動するよう構成される。そして、両シール体12,14が相互に接近して筒状フィルムFを所要時間挟持(噛合)することで、該フィルムFの搬送方向と交差する幅方向に横シールを施すよう構成される。
【0016】
前記一対のシール体12,14は、第2駆動手段で作動する公知の第2作動機構(何れも図示せず)によってフィルムの搬送方向に沿って進退移動するよう構成される。そして、第1作動機構および第2作動機構を同期して作動させることで一対のシール体12,14は、上流側で筒状フィルムFから最も離間した位置から相互に接近して筒状フィルムFを挟持しながら下流側に向けて所要距離だけ水平移動した後に、相互に離間して再び上流側に向けて移動して元の位置に復帰する動作を1サイクルとした、所謂ボックスモーション動作を繰り返す。なお、1サイクルにおける上下のシール体12,14の移動軌跡は略楕円状となり、両シール体12,14は、相互に離間しつつ所定距離だけ下流側に移動し、夫々のシール体12,14が最も離間する距離の2分の1程度離間する頃から上流側に戻るようになっている。また、シール体12,14で筒状フィルムFを挟持してから離間するまでの所要のタイミングで、一方のシール体12の前後方向における中央位置に配設されたカッタ(図示せず)が作動して筒状フィルムFを横断する方向(幅方向)に切断する。これにより得られた包装体16は、物品Wを収容する物品収容部16bの前後両側に耳部16dが夫々形成される。夫々の耳部16dには、後述する癖付け手段26,26による折り癖16eが形成されると共に、該折り癖16eより外方に横シール部16cが形成されている。
【0017】
図1(b)に示す如く、前記シール体12,14における対向するシール面を挟む上流側(後方)および下流側(前方)の各側に、上下で対向する凹部と凸部とからなる癖付け手段26が夫々設けられており、両癖付け手段26,26の幅寸法は、筒状フィルムFの幅寸法より長く設定される。そして、両癖付け手段26,26は、シール体12,14と共に加熱され、筒状フィルムFにおける収容されている物品W,W間の部位をシール体12,14が挟持したときに、その横シール位置の上流側および下流側で前記物品収容部16bとの間(物品W,W間)を挟持して横シール部16cに沿う横断方向の折り癖16eを幅方向の全長に亘って付与するよう構成される。
【0018】
前記搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20は、物品Wの搬送中においても、搬送コンベヤ18の搬送下流端および搬出コンベヤ20の搬送上流端が、搬送方向の前後に移動して各搬送距離が変わるよう、無端ベルト22を巻掛けた一部のローラをフレーム(図示せず)の一部と一体移動させる周知のスライド機構を有するコンベヤからなり、搬出コンベヤ20の搬送速度は、搬送コンベヤ18の搬送速度よりも高速となるよう設定される。
【0019】
前記搬送コンベヤ18の搬送下流端および搬出コンベヤ20の搬送上流端は、案内カム機構24を介してスライド機構が横シール機構10と連繋することで、該横シール機構10における下側の第2シール体14に同期して搬送方向に往復動するよう構成されると共に、第2シール体14の上下動に対応して離間・接近するよう周知の開閉機構が採用される。本実施例の開閉機構は、第2シール体14が最下点に位置した状態では、搬送コンベヤ18の搬送下流端が搬出コンベヤ20の搬送上流端に近接して、筒状フィルムFに収容されている物品Wの両コンベヤ18,20の対向部間の受渡しを良好に行なわせ、また第2シール体14の上昇移動に連繋して搬送下流端が搬送上流端から離間して、第2シール体14の上昇移動を許容する隙間を両コンベヤ18,20の対向部間に形成するよう構成される。
【0020】
図1(a)に示す如く、前記第2シール体14の下流側に、エアシリンダ等の第1シリンダ28に連結された後耳折り体30が配設される。後耳折り体30は、第2シール体14と搬出コンベヤ20の搬送上流端間の隙間において、第1シリンダ28によって搬出コンベヤ20の搬送面より下方(筒状フィルムFの搬送路外)の待機位置と搬送面より上方に突出して搬送路に出現する作動位置との間を上下動するよう構成されている(図2(a),(b)参照)。後耳折り体30は、第2シール体14における下流側(前方)の側面の直近で上下動し得るように配設されており、第2シール体14と共に搬送方向に移動するよう構成されている。また後耳折り体30は、金属製で筒状フィルムFの幅寸法より長い幅寸法の平板状に形成されて、待機位置から作動位置へ移動する際に、包装体16における後側(搬送方向上流側)の耳部16dに幅方向の全長に亘って当接した状態で該耳部16dを上側に向けて折り曲げるよう構成される。
【0021】
図1(a)に示す如く、前記搬出コンベヤ20には、前記無端ベルト22を巻掛けた複数の間隔調節ローラ32と、前耳折り体34およびエアシリンダ等の第2シリンダ36とを備えた調節ユニット38が配設される。間隔調節ローラ32は、前述したスライド機構によって搬送方向にフレーム(図示せず)の一部と共に移動可能であり、無端ベルト22が巻掛けられた状態で、搬出コンベヤ20の搬送面に物品Wの搬送に支障が生じない空所S1を画成すると共に、該空所S1に連通して下方に凹形状となる収容空間S2を無端ベルト22で画成するように配置される。前記第2シリンダ36が収容空間S2に配置されると共に、該第2シリンダ36に前耳折り体34が連結されている。そして、前耳折り体34は、前記空所S1において、第2シリンダ36によって搬出コンベヤ20の搬送面より下方(筒状フィルムFの搬送路外)の待機位置と搬送面より上方に突出して搬送路に出現する作動位置との間を上下動するよう構成される(図2(a),(b)参照)。また前耳折り体34は、金属製で筒状フィルムFの幅寸法より長い幅寸法の平板状に形成されて、待機位置から作動位置へ移動する際に、包装体16における前側(搬送方向下流側)の耳部16dに幅方向の全長に亘って当接した状態で該耳部16dを上側に向けて折り曲げるよう構成される。
【0022】
前記後耳折り体30と前耳折り体34との間隔は、図2(b),(c)に示す如く、後耳折り体30が後側の耳部16dに当接して上側に折り曲げている状態で、前耳折り体34が前側の耳部16dに当接して上側に折り曲げることができる長さに設定される。実施例では、包装体16の前後の耳部16d,16dに形成される前後の折り癖16e,16eの離間間隔より僅かに大きく設定される。また、前記調節ユニット38は、コンベヤフレームに対して搬送方向に沿って前後に移動調節して位置決め保持し得るよう構成され、前記空所S1と前耳折り体34との位置関係を保持したまま後耳折り体30との間隔を調節し得るようになっている。
【0023】
前記搬出コンベヤ20の上方に、該搬出コンベヤ20の搬送上流端と一体的に搬送方向に移動する押え部材40が配設される。押え部材40は、エアシリンダ等の第3シリンダ42に連結され、該第3シリンダ42によって下面が搬出コンベヤ20の搬送面に近接する作動位置および筒状フィルムFの搬送路より上側に離間した待機位置の間を上下動するよう構成される。押え部材40は、スポンジや軟質合成樹脂等の弾性変形可能な材料でブロック状等、包装体16の形状に対応した形状とされ、作動位置において搬出コンベヤ20の搬送面に載置されている物品Wを筒状フィルムFと共に上側から軽く押え得るよう構成される。
【0024】
次に、前述した実施例に係る横形製袋充填機の作用につき説明する。
【0025】
所定間隔毎に物品Wが収容された筒状フィルムFは、前記搬送コンベヤ18に載置されて横シール機構10に向けて搬送される。前記一対のシール体12,14が相互に離間する位置から接近する過程において、筒状フィルムFに収容された物品Wが搬送コンベヤ18と搬出コンベヤ20との対向部を通過した後に、前記開閉機構によって搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20の対向する端部が離間し、前記第2シール体14の上昇移動を許容する隙間を画成する。
【0026】
前記一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持する前のタイミングにおいて、前記第3シリンダ42によって押え部材40が待機位置から作動位置に移動し、該押え部材40によって物品Wが筒状フィルムFと共に上側から搬出コンベヤ20の搬送面に軽く押し付けられる(図2(a)参照)。その後、一対のシール体12,14は、筒状フィルムFの物品W,W間を挟持する。また、シール体12,14に設けて加熱された前記癖付け手段26,26が、筒状フィルムFにおけるシール体12,14による挟持位置(横シール位置)の上流側および下流側で物品収容部16bとの間を挟持する(図1(b)参照)。一対のシール体12,14で筒状フィルムFが挟持される際には、図2(a)に示す如く、物品Wは前記押え部材40によって搬送面に押え付けられているので、フィルムが両シール体12,14により上流側に引っ張られる力に起因して、物品Wの前方の浮き上がり等により生ずる物品Wの位置ズレ等が防止される。なお、一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持した後のタイミングで、前記第3シリンダ42によって押え部材40が作動位置から待機位置へ移動して物品Wを解放する。
【0027】
前記一対のシール体12,14が、挟持した状態で筒状フィルムFと所要距離だけ略水平に移動している間に、筒状フィルムFに横シール部16cが形成されると共に前記カッタにより切断され、これにより前記物品収容部16bから外方に延在する耳部16dが形成される。また、筒状フィルムFにおける前記癖付け手段26,26による挟持位置には、幅方向に亘って線状の折り癖16eが夫々付与される。
【0028】
そして、前記一対のシール体12,14が相互に離間移動して筒状フィルムFを解放すると共に押え部材40が待機位置へ向けて移動し始めると、横シール・切断の施された包装体16は、高速で運転されている搬出コンベヤ20により後続の未包装品から確実に切離され(図2(b)参照)、また相互に離間移動しながら下流側に移動し続けている両シール体12,14より速く前進する。包装体16が下流側に向けて所定距離前進するのに伴って、予め位置決め設定された前記後耳折り体30の配設位置との関係で決定される適切なタイミングで、押え部材40が再び作動位置に移動し、包装体16を搬出コンベヤ20の搬送面に所定時間だけ押し付けると共に、前記第1シリンダ28および第2シリンダ36が略同時に付勢されて、前記後耳折り体30および前耳折り体34が略同時に待機位置から作動位置に移動する。これによって、包装体16における前後の耳部16d,16dに対して対応する耳折り体30,34の先端が、折り癖16e,16eより先端側(物品収容部16bから離間する側)に当接し、該耳部16d,16dは包装体16の仕上がり後の見栄え等が考慮されて、折り癖16e,16eの部分を基点として縦シール部16aが位置する上側に折り曲げられる(図2(c)参照)。この折り癖16eの部分は、シール体12,14と共に温度上昇している癖付け手段26,26により加熱されて軟化しているから、対応する耳折り体30,34によって容易に折り曲げられる。また、耳部16dが折り曲げられた状態で、該耳部16dに接触している金属製の耳折り体30,34によって前記折り癖16eが冷されることで、その折り曲げ状態は確実に維持される。
【0029】
なお、シール体12,14が包装体16を切り離して、少なくとも、両シール体12,14が最も離間するまでに耳折り体30,34が包装体16の前後の耳部16d,16dに当接すれば、軟化状態が継続していることから、耳折り体30,34によって折り曲げることが可能である。本実施例では、シール体12,14が包装体16を切り離してから、包装体16が所定距離前進した早期タイミング(シール体12,14がフィルムを解放した直後)で、耳折り体30,34がシール直後の包装体16の耳部16d,16dに当接し、両シール体12,14が最も離間する距離の略2分の1程離間するまで耳折り体30,34が継続して搬送路に出現して耳部16d,16dに当接することで、耳部16d,16dを容易に折り曲げることができる。すなわち、前後の耳部16d,16dは、癖付け手段26,26により加熱形成された折り癖16e,16eの温度が低下して初期の復元力が戻る前に、該折り癖16e,16eの部分を基点として折り曲げられるので、耳折り体30,34から解放された耳部16d,16dが復元力によって元の状態に戻るのは抑制され、前後の耳部16d,16dが折り曲げ状態を維持した図3に示す包装体16を確実に得ることができる。従って、フィルムとして腰の強い素材を用いた場合であっても、包装体16における耳部16d,16dの折り曲げ状態を維持させ得る。また、前後の耳折り体30,34は、作動位置から耳部16d,16dを折り曲げた状態に保持したまま、前記シール体12,14と一体的に搬送方向下流側に移動するので、その移動の間に折り癖16e,16eの温度が低下して、耳部16d,16dは折り曲げ状態を確実に維持し得るようになると共に、包装体16の搬送を停止することなく連続包装を行ない得る。
【0030】
前後の耳折り体30,34によって対応する耳部16d,16dが上側に向けて折り曲げられる際には、図2(b)に示す如く、物品Wと共に筒状フィルムFが押え部材40で搬送面に押し付けられているので、物品収容部16bが持ち上げられることなく耳部16d,16dのみを押し上げて確実に折り曲げることができる。
【0031】
実施例の横形製袋充填機は、前記シール体12,14の下流側に近接した位置において、一対の耳折り体30,34によって包装体16を前後から挟んだ状態で対応する耳部16d,16dを折り曲げるので、耳部16dを折り曲げる際に包装体16が搬送方向の前または後に移動するのを耳折り体30,34で規制することができ、耳部16dを確実に折り曲げ得る。すなわち、包装体16が搬送方向の前後に移動するのを規制する専用の部材を配設する必要はなく、構成を簡略化し得る。
【0032】
前記前耳折り体34は、調節ユニット38によって後耳折り体30との間隔を調節可能に構成されているので、物品Wの前後サイズが変更された際には、調節ユニット38を移動調節することで、包装体16における前後の耳部16d,16dに対し、折り癖16e,16eの部分を基点として折り曲げることができる適正位置に耳折り体30,34を当接させ得る。また、実施例の後耳折り体30および前耳折り体34は、夫々独立したシリンダ28,36によって作動するよう構成してあるので、各耳折り体30,34を異なるタイミングで作動位置に移動させることができる。例えば、前後の耳部16d,16dの長さが異なる場合等に、前後何れか一方の耳部16dを先行して折り曲げる場合にも簡単に対応し得る。
【0033】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1) 一対のシール体12,14の接近・離間移動と、搬送方向に沿った移動とを単一の駆動手段で両作動機構を作動するよう構成し得る。そして、単一の駆動手段で作動する場合は、一対のシール体12,14の作動機構として遊星歯車機構等を用いることで、一対のシール体12,14の移動軌跡を略矩形等、種々な軌跡とすることができる。
(2) 一対のシール体12,14を搬送方向に移動させることなく筒状フィルムFを間欠停止したときに定位置で上下に接近・離間移動するタイプの横シール機構等であってもよい。この場合に、後耳折り体30を別の駆動手段によって、シール体12,14とは独立して搬送方向に進退移動するようにしてもよい。
(3) 前後の耳折り体30,34を搬出コンベヤ20の上側から搬送路に対して進退させる構成を採用し得る。また、耳折り体30,34の駆動手段としては、モータとラック・ピニオン機構やリンク機構等を組合わせた手段等を採用し得る。なお、前後の耳折り体30,34を、単一の駆動手段で作動する構成とすることができる。
(4) 後耳折り体30を、シール体12,14に干渉しないように搬出コンベヤ20に配設する構成を採用し得る。この場合に、搬出コンベヤ20における搬送上流端と一体に移動する部分に後耳折り体30を配設する構成の他、該後耳折り体30を別の駆動手段によって搬送方向に進退移動するようにしてもよい。
(5) 前後の耳折り体30,34の厚さ、材質、形状等は任意に変更可能であり、例えばフィルムに当接する先端が先細り形状や円弧状等、折り曲げるフィルムの材質等によって最適なものを採用すればよい。
(6) 調節ユニット38は、手動操作によって位置調節する構成に限らず、モータ等の駆動手段を用いた自動調節形態としてもよい。
(7) 横シール機構10を挟む前後のコンベヤとしてローラコンベヤ、押送コンベヤ等、各種形態のコンベヤを採用し得る。
(8) 縦シール部16aが包装体16の下側面に現われる形態の横形製袋充填機であってもよく、このように縦シール部16aが包装体16の下側面に現われる形態では、耳部16d,16dを、搬出コンベヤ20の上側に設けた耳折り体30,34で下側に向けて折り曲げる構成を採用することで、必要に応じて耳折り体30,34が耳部16d,16dに当接する際に押え部材40で包装体16を押える処理を省略し得ると共に、包装体16の一方の面の見栄えを良好とし得る。なお、耳部16d,16dを、縦シール部16aが現われる面とは反対側に折り曲げる形態も採用し得る。
(9) 押え部材40としては、ベルトコンベヤ等、包装体16の搬送に伴って当接部分が移動するものであってもよい。
(10) 実施例の横形製袋充填機は、フィルムとして腰が強い素材を用いる場合に好適であるが、軟質な素材を用いる場合にも利用し得ることは勿論である。
上記した変更例に限らず、実施形態に記載した構成については、本発明の主旨を逸脱しない範囲でその他の各種構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0034】
12 第1シール体(シール体),14 第2シール体(シール体),16 包装体
16a 縦シール部,16b 物品収容部,16c 横シール部,16d 耳部
16e 折り癖,26 癖付け手段,30 後耳折り体(耳折り体)
34 前耳折り体(耳折り体),F 筒状フィルム,W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向移動して筒状フィルム(F)中の物品(W)の搬送方向における前後で筒状フィルム(F)に横シールと切断を施して包装体(16)を得る一対のシール体(12,14)と、
前記シール体(12,14)で横シールを施して包装体(16)の前後に耳部(16d)を形成する際に、該耳部(16d)に折り癖(16e)を付与する癖付け手段(26)と、
前記一対のシール体(12,14)より下流側の前後2箇所で、筒状フィルム(F)の搬送路内の作動位置に出現するよう上下動する一対の耳折り体(30,34)とを備え、
該一対の耳折り体(30,34)は、一対のシール体(12,14)がフィルム(F)を解放してから最も離間するまでの所定タイミングで、前記作動位置に出現してシール直後の包装体(16)の前後の耳部(16d,16d)に当接して折り癖(16e)から折り曲げるよう構成した
ことを特徴とする横形製袋充填機。
【請求項2】
前記一対のシール体(12,14)は、筒状フィルム(F)を挟持した状態で下流側に移動してから相互に離間した後、上流側に移動するよう構成され、
前記包装体(16)の後側の耳部(16d)に当接する後方の耳折り体(30)は、両シール体(12,14)がフィルムを解放した直後に作動位置に出現して下流側に移動するよう構成した請求項1記載の横形製袋充填機。
【請求項3】
前記筒状フィルム(F)は、上面側に縦シール部(16a)が形成され、前記前後の耳折り体(30,34)は、搬送路に下側から出没して前後の耳部(16d,16d)を上側に折り曲げるよう構成した請求項1または2記載の横形製袋充填機。
【請求項4】
前記一対の耳折り体(30,34)の間隔を調節可能に構成した請求項1〜3の何れか一項に記載の横形製袋充填機。
【請求項5】
前記一対の耳折り体(30,34)が搬送路内に出現するタイミングを可変可能に構成した請求項1〜4の何れか一項に記載の横形製袋充填機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−240737(P2012−240737A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115045(P2011−115045)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】