説明

樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造

【課題】 樹脂タンクに溶着により取付けられ燃料の透過を低減し、インサート成形の必要がなく、金属タンク用シャッターバルブを流用可能な、樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造を提供する。
【解決手段】 この樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造は、樹脂タンク40に溶着可能な樹脂材料からなり、樹脂タンク40外から溶着され外部配管が接続される接続管部をなし、外部配管側の端部内周に周状の段部25が形成された筒状取付け部20と、筒状取付け部20より耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料又は金属材料で形成され、段部25に係合するフランジ部32を一端に有し、筒状取付け部20に挿入され、フランジ部32を段部25に係合させた状態で筒状取付け部20をかしめることにより固定された内筒30と、この内筒30の燃料タンク内に配置される端部に取付けられたシャッターバルブ10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の樹脂タンクに取付けられ、燃料の透過を低減するとともに、インサート成形の必要がなく、金属タンク用シャッターバルブを流用可能な、樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の燃料タンクは、Fe等の金属材料や樹脂材料にて形成されている。この燃料タンクには、様々な部品が取付けられているが、燃料タンク内に燃料を給油するための部材として、燃料供給パイプが取付けられている。燃料は、車体の側壁に設けられた給油口から、この給油口に連結した燃料供給管と、この燃料供給管に連結した燃料供給パイプを通って、燃料タンク内に充填されている。金属タンクの場合、前記燃料供給パイプは金属材料で形成され、燃料タンクに溶接等の接合方法によって取付けられている。また、前記燃料供給パイプの流出口には、燃料の逆流による吹き返しを防止するために、燃料の逆流防止用のシャッターバルブ(以下、シャッターバルブという)が取付けられている。
【0003】
このような金属タンク用のシャッターバルブとして、下記特許文献1には、一方の開口部の内面に環状の段部が形成され、前記開口部を外側にして逆流を防止しようとする流路端に取付けられる筒状のケースと、このケースの前記開口部に揺動自在に取付けられて、内側の閉塞位置に揺動したときにその外周が前記段部に嵌り込んで前記ケースを閉塞する弁体と、この弁体を内側に付勢するバネとよりなり、前記ケースにおける前記開口部端縁の内周面は、内側に揺動する前記弁体の外周面に摺接してこれを前記閉塞位置に案内するよう、前記ケースの内側に向かって縮径する円錐状の傾斜面としたことを特徴とする逆流防止弁(シャッターバルブ)が開示されている。
【0004】
一方、樹脂タンクは、一般に外側がポリエチレンからなる多層構造の樹脂からなり、その上壁に取付け孔が形成され、該取付け孔に燃料ポンプユニットや、燃料供給パイプ等の取付け部品を挿入して、溶着することにより取付けている。
【0005】
この取付け部品として、下記特許文献2には、燃料タンクの壁面に熱溶着される溶着端と、燃料タンク内と外部とを接続する接続通路を有するとともにホースを接続するための管体とを有する継手本体と、継手本体の表面に被覆形成されたバリア層と、を備えた燃料タンク用溶着継手であって、継手本体は、燃料タンクの壁面に溶着性を有する第1樹脂材料から形成され、バリア層は、第1樹脂材料と接着反応性を有しかつ第1樹脂材料より耐燃料透過性に優れた第2樹脂材料から形成され、上記管体の先端を越えて延出するように形成された端末部を有すること、を特徴とする燃料タンク用溶着継手が開示されている。
【特許文献1】実開平5−90062号公報
【特許文献2】特開2002−254938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の燃料タンク用溶着継手は、燃料タンクの壁面に溶着性を有する第1樹脂材料からなる継手本体と、第1樹脂材料より耐燃料透過性に優れた第2樹脂材料からなるバリア層とをインサート成形して製造されている。しかしながら、このようなインサート成形は、インサート部品(特許文献2の場合は、バリア層)を供給する際の工程が多く、また専用の成形機が必要な場合もあるため、製造コストが高くなりやすいという問題点があった。
【0007】
また、上記特許文献1の逆流防止弁(シャッターバルブ)は、明示はされていないが、金属タンクに取付けることを前提としており、金属タンクに取付けられた金属製の燃料供給パイプの端部に取付けられている。この燃料供給パイプは金属製であるため、そのままでは樹脂タンクに取付けることはできず、結果として特許文献1のシャッターバルブを樹脂タンク取付けることはできなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、自動車等の樹脂タンクに溶着により取付けられ、燃料の透過を低減するとともに、インサート成形の必要がなく、かつ、金属タンク用シャッターバルブを、樹脂タンク用シャッターバルブとして流用することができる、樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、樹脂タンクに溶着可能な樹脂材料からなり、前記樹脂タンクの取付け孔周縁に外側から溶着されて、外部配管が接続される接続管部をなし、その外部配管側の端部内周に周状の段部が形成された筒状取付け部と、この筒状取付け部の樹脂材料よりも耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料から形成されるか、若しくは金属材料で形成され、前記段部に係合するフランジ部を一端に有し、前記筒状取付け部に挿入され、前記フランジ部を前記段部に係合させた状態で前記筒状取付け部をかしめることにより固定された内筒と、この内筒の燃料タンク内に配置される端部に取付けられたシャッターバルブとを備えていることを特徴とする樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造を提供するものである。
【0010】
上記第1の発明によれば、筒状取付け部の内周に内筒を挿入すると、内筒の端部のフランジ部が、筒状取付け部の端部内周における周状の段部に係合し、その状態で筒状取付け部の端部をかしめると、内筒が筒状取付け部に取付けられる。このように、筒状取付け部の内周に内筒を挿入して、筒状取付け部の端部をかしめるだけで、内筒を筒状取付け部から外れることなく、しっかりと、かつ簡単に取付けることができる。
【0011】
そして、前記筒状取付け部は、樹脂タンクに溶着可能な材料で形成されているので、樹脂タンクの取付け孔周縁に溶着により取付けることができる。このように、内筒及び筒状取付け部を別々に形成し、後の工程で内筒を筒状取付け部に取付けるようにしたので、内筒をインサート成形する必要がなく、製造工程の簡略化を図ることができ、専用の成形機等も必要がなく、製造コストを低減できる。
【0012】
更に、前記内筒は耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料、若しくは、燃料蒸気を透過させることがない金属材料で形成されているので、燃料蒸気の透過を効果的に低減することができる。また、内筒は前述の材料で形成されており、剛性が高くなっている。そのため、樹脂タンク外に配置された筒状取付け部の端部外周に、燃料供給管等の端部を被せて、その外周をホースバンド等で締め付けた場合でも、剛性の高い内筒により補強されているので、ホースバンド等の締め付け力により、筒状取付け部や内筒が破損することがなく、燃料供給管等を筒状取付け部に強固に取付けることができる。
【0013】
そして、燃料タンク内に配置された内筒の端部には、前記特許文献1に示されるような金属タンク用シャッターバルブを差し込むだけで取付けることができるので、金属タンク用シャッターバルブを樹脂タンク用シャッターバルブとして流用可能となり、部品の共通化を図れ、製造コストを低減できる。
【0014】
本発明の第2は、上記第1の発明において、前記筒状取付け部の内周、又は前記内筒の外周の少なくとも一方に、環状のリブが形成されており、該環状のリブは、前記筒状取付け部に接続される外部配管を締め付ける締付固定手段の内側に配置されている樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造を提供するものである。
【0015】
上記第2の発明によれば、筒状取付け部の内周、又は前記内筒の外周の少なくとも一方に形成された環状のリブは、筒状取付け部に接続される外部配管による押圧力と、外部配管を締め付ける締付固定手段による締付け力との両方の外圧によって、筒状取付け部内周又は内筒外周に圧接するようになるので、筒状取付け部と内筒とのシール性を向上させ、燃料蒸気の透過性を更に小さくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造によれば、筒状取付け部の内周に内筒を挿入して、筒状取付け部の端部をかしめるだけで、内筒を筒状取付け部から外れることなく、しっかりと、かつ簡単に取付けることができ、内筒をインサート成形する必要がないので、製造コストを低減できる。また、内筒は耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料若しくは金属材料で形成されているので、燃料蒸気の透過を効果的に低減し、かつ、剛性も高いので、外部配管を取付ける際に、筒状取付け部の外周を締め付けても、筒状取付け部や内筒を破損することなく、外部配管を取付けることが可能となる。更に、燃料タンク内に配置された内筒の端部に、従来の金属タンク用シャッターバルブを差し込むだけで取付けることができるので、部品の共通化を図れ製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜5を参照して、本発明の樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造の一実施形態を説明する。
【0018】
図1において、10はシャッターバルブである。図2を併せて参照すると、このシャッターバルブ10は、筒状の弁本体11と、この弁本体11の流出口11aに嵌合する弁体12と、弁体12を常時閉塞する方向に付勢するスプリング13とによって構成されている。
【0019】
弁本体11の流出口11aの周縁には、断面C字形の円筒部材からなるヒンジ部11bが形成されている。このヒンジ部11bの両側には、スプリング係止部11c,11cが突設している。更に、流出口11aの反対側の差込口は、その周縁がテーパー形状となっており、後述の内筒30を挿入しやすくなっている。
【0020】
また、弁本体11の周壁のほぼ中央で、ヒンジ部11bの反対側には、略C字状の切欠き11dが形成されている。この切欠き11dの内側で、かつ、弁本体11の内周には係合突起11eが突設している。この係合突起11eは、差込口に向かって次第に小さくなる斜面を有しており、内筒30を差し込むときには、内筒30に引っ掛からなくなっている。
【0021】
この係合突起11eは、シャッターバルブ10に内筒を差し込むと、内筒30の外周に押圧されて、径方向外側に自然に撓み、内筒30の係合穴34に位置すると、元の形状に弾性復帰して、係合穴34に係合し、シャッターバルブ10を内筒30に固定する。また、係合突起11eは、シャッターバルブ10を、内筒30に取付ける際の位置決めともなっている。
【0022】
弁体12は略円板状をなしており、その周縁には支軸12aが形成されている。そして、この支軸12aをヒンジ部11bの凹部に嵌合させることによって、弁体12がヒンジ部11bに対して回動可能に装着される。
【0023】
このような弁本体11、弁体12は、ポリアセタール、ポリアミド等の樹脂で形成されている。
【0024】
スプリング13は、二つのコイル部13a,13aが、連結されて形成されており、更にコイル部13a、31aの端部から延出したL字部13b,13bを有している。
【0025】
そして、二つのコイル部13a,13aを支軸12aの両側にそれぞれ嵌め込み、L字部13b,13bを、スプリング係止部11b,11bに係止させることにより、弁体12を閉塞方向に弾性付勢するようになっている。
【0026】
以上、説明したシャッターバルブ10は、金属タンクに接合した燃料供給パイプに、取付けられて金属タンク用シャッターバルブとして、一般的に使用されているものと同様な構造をなしている。
【0027】
図3には、筒状取付け部20が示されており、この筒状取付け部20は、樹脂タンクの取付け孔の周縁に溶着されるフランジ部21と、燃料供給管等の外部配管が接続される接続管部22とを有している。接続管部22の先端部外周には、環状凸部23が形成されており、外部配管を取付けた際の抜け止めとなっている。なお、後述するが、接続管部22に接続された外部配管の外周には、ホースバンド等の締付固定手段が装着されるようになっており、この締付固定手段により外部配管が締め付けられることとなる。
【0028】
また、接続管部22の先端部内周に、やや拡径した拡径部24が形成され、その奥方には段部25が形成されている。この段部25には、内筒30のフランジ部32が係合するようになっている。
【0029】
この筒状取付け部20の材質としては、樹脂タンクに溶着可能な材料、例えば、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂で形成されている。
【0030】
図4には、筒状取付け部20の内周に挿入される内筒30が示されている。この内筒30の材質としては、燃料蒸気が透過しにくい耐燃料透過性の樹脂材料、例えばポリアセタールや、ポリアミド等の樹脂が用いられ、かつ、補強材として、ガラス繊維、珪酸カルシウム等が含有されている。若しくは、Fe系合金等の金属材料で形成してもよい。
【0031】
このように、内筒30は耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料、若しくは、燃料蒸気を透過させることがない金属材料で形成されているので、樹脂タンクの取付け孔に取付けた際に、取付け部からの燃料蒸気の透過を効果的に防止することができる。また、内筒30は前述の材料で形成されているので、剛性が高くなっている。そのため、樹脂タンク外に配置された筒状取付け部20の端部外周に、燃料供給管等の端部を被せて、その外周をホースバンド等で締め付けた場合でも、剛性の高い内筒30により補強されているので、ホースバンド等の締め付け力により、筒状取付け部20や内筒30が破損することがなく、燃料供給管等を筒状取付け部20に強固に取付けることができる。
【0032】
上述の内筒30は、筒状の内筒本体31を有しており、この内筒本体31の基端部の周縁には、径方向に突出したフランジ部32が形成されている。このフランジ部32は、筒状取付け部20の拡径部24の内径よりもやや小さい径であって、段部25の内径よりも大きい径に形成されている。
【0033】
また、内筒30が前述の樹脂材料で形成されている場合、内筒30の外周には、その軸方向の途中に、環状のリブ33が形成されている(図4、部分拡大図参照)。この実施形態の場合、内筒30の外周には、所定間隔を空けて2つの環状のリブ33、33が形成されている。
【0034】
一方、内筒30が金属材料で形成されている場合には、環状のリブ33を内筒本体31に形成することは製法上困難であるため、前述した筒状取付け部20の内周に環状のリブを形成することが好ましい。なお、内筒30が樹脂材料である場合に、筒状取付け部20の内周に環状のリブを形成してもよい。
【0035】
このように環状のリブ33を、筒状取付け部20の内周、又は内筒30の外周の少なくとも一方に形成することにより、内筒30を筒状取付け部20に挿入した際に、この環状のリブによって、筒状取付け部20の内周、及び内筒30の外周の隙間がシールされ、燃料蒸気の透過性を小さくすることができる。
【0036】
また、環状のリブ33は、内筒30を筒状取付け部20に取付けた際に、筒状取付け部20に接続される外部配管を締め付ける締付固定手段の内側となるように形成されることが好ましい。このように形成することにより、環状のリブ33は、筒状取付け部20外周に接続される外部配管による押圧力と、外部配管を締め付ける締付固定手段による締付け力との両方の外圧によって、筒状取付け部22内周又は内筒30外周に圧接するようになるので、筒状取付け部20と内筒30とのシール性を向上させて、燃料蒸気の透過性を更に小さくすることができる。
【0037】
なお、内筒30が樹脂材料で形成されている場合、内筒30の外周に環状の凹部を設けて、この凹部にOリング等を装着してシール性を確保してもよい。
【0038】
また、内筒本体31の先端部寄りの所定箇所には、シャッターバルブ10に設けられた係合突起11eが係合する大きさで、係合穴34が形成されている。そのため、内筒30の端部をシャッターバルブ10内周に差し込むと、係合突起11eが内筒30の外周に押圧されて径方向外側に自然に撓み、内筒30の係合穴34に位置すると、元の形状に弾性復帰して係合穴34に係合するので、シャッターバルブ10を内筒20にワンタッチで取付けることができる。
【0039】
以上の各部材は、次のようにして組付けられることとなる。
【0040】
まず、内筒30を、筒状取付け部20の内周に上から挿入する。すると、内筒30のフランジ部32が、筒状取付け部20の段部25に係合して、内筒30が位置決めされる。その状態で、筒状取付け部20の端部、すなわち、接続管部22の先端部を、例えば、熱板溶着、高周波溶着、超音波溶着等により溶融させ、更に押圧することによってかしめて、筒状取付け部20に内筒30を取付けることができる。このように、筒状取付け部20の内周に内筒30を挿入して、筒状取付け部20の端部をかしめるだけで、内筒30を筒状取付け部20から外れることなく、しっかりと、かつ簡単に取付けることができる。
【0041】
また、内筒30及び筒状取付け部20を別々に成形し、後の工程で内筒30を筒状取付け部20に取付けるようにしたので、内筒30をインサート成形する必要がなく、製造工程の簡略化を図ることができ、専用の成形機等も必要がなく、製造コストを低減できる。
【0042】
筒状取付け部20に内筒30を取付けたら、シャッターバルブ10の差込口に内筒30の先端部を挿入する。すると、シャッターバルブ10の係合突起11eが係合穴34に係合して、シャッターバルブ10を内筒30に取付けることができる。このように、シャッターバルブ10を、内筒30にワンタッチで簡単に取付けることが可能となり、しかも、係合突起11eと係合穴34とが内筒30に取付ける際の位置決めともなるので、しっかりと正確に取付けられる。また、従来から用いられていたシャッターバルブを流用して、樹脂タンク用シャッターバルブ10として、そのまま取付けることができるので、部品を共通化して、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0043】
シャッターバルブ10を内筒30に取付けたら、図5に示されるように、内筒30をシャッターバルブ10側から、樹脂タンク40の取付け孔41に挿入する。次に、筒状取付け部20のフランジ部21を、取付け孔41の周縁部に溶着することにより、シャッターバルブ10を樹脂タンク40に気密的に取付ける。
【0044】
そして、樹脂タンク40の外側に配置された筒状取付け部20の接続管部22の外周には、例えば燃料供給管42を外側から差し込み、この燃料供給管42の外周にホースバンド43を装着して、接続管部22の外周に締め付けることにより、燃料供給管42を接続することができる。
【0045】
このとき、内筒30は剛性が高い補強樹脂材料、若しくは金属材料で形成されているので、ホースバンド43の締め付け力により、筒状取付け部20や内筒30が破損することがなく、燃料供給管42を筒状取付け部20に強固に取付けることができる。
【0046】
しかも、内筒30は耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料、若しくは、燃料蒸気を透過させることがない金属材料で形成され、それに加えて、筒状取付け部20の内周、又は内筒30の外周の少なくとも一方に、環状のリブ33が形成されているので、筒状取付け部20の内周と内筒30の外周との隙間がシールされるので、燃料蒸気の透過を効果的に防止することができる。
【0047】
また、この実施形態の場合、環状のリブ33は、筒状取付け部20に接続される外部配管である燃料供給管42を、締め付けるホースバンド43等の締付固定手段の内側となるように形成されている(図5参照)。そのため、環状のリブ33は、筒状取付け部20外周に接続される燃料供給管42による押圧力と、燃料供給管42を締め付けるホースバンド43による締付け力との両方の外圧によって、筒状取付け部22内周又は内筒30外周に圧接するようになるので、筒状取付け部20と内筒30とのシール性を向上させて、燃料蒸気の透過性を更に小さくすることができる。
【0048】
そして、図示しない給油口から燃料が供給され、この給油口に接続された燃料供給管42内に燃料が供給されると、燃料は内筒30内を通り、その圧力によりシャッターバルブ10の弁体12を、スプリング13の付勢力に抗して開口させて、樹脂タンク40内に供給される。また、燃料の供給がストップすると、スプリング13の付勢力によって弁体12が閉塞して、樹脂タンク40内の燃料が、逆流することによる吹き返しを防止する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、自動車等の樹脂タンクに溶着により取付けられ、燃料の透過を低減するとともに、インサート成形の必要がなく、かつ、金属タンク用シャッターバルブを、樹脂タンク用のシャッターバルブとして流用することができる樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の樹脂タンク用シャッターバルブの取付け構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同樹脂タンク用シャッターバルブの取付け構造に用いられる、樹脂タンク用シャッターバルブを示しており、(a)はC−C矢視線に沿った断面図、(b)は斜視図である。
【図3】同樹脂タンク用シャッターバルブの取付け構造に用いられる、筒状取付け部の図1におけるA−A矢視線に沿った断面図である。
【図4】同樹脂タンク用シャッターバルブの取付け構造に用いられる、内筒の図1におけるB−B矢視線に沿った断面図である。
【図5】同樹脂タンク用シャッターバルブの取付け構造により、樹脂タンクに樹脂タンク用シャッターバルブを取付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 シャッターバルブ
20 筒状取付け部
22 接続管部
25 段部
30 内筒
32 フランジ部
33 環状のリブ
40 樹脂タンク
41 取付け孔
42 燃料供給管(外部配管)
43 ホースバンド(締付固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂タンクに溶着可能な樹脂材料からなり、前記樹脂タンクの取付け孔周縁に外側から溶着されて、外部配管が接続される接続管部をなし、その外部配管側の端部内周に周状の段部が形成された筒状取付け部と、
この筒状取付け部の樹脂材料よりも耐燃料透過性に優れた補強樹脂材料から形成されるか、若しくは金属材料で形成され、前記段部に係合するフランジ部を一端に有し、前記筒状取付け部に挿入され、前記フランジ部を前記段部に係合させた状態で前記筒状取付け部をかしめることにより固定された内筒と、
この内筒の燃料タンク内に配置される端部に取付けられたシャッターバルブとを備えていることを特徴とする樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造。
【請求項2】
前記筒状取付け部の内周、又は前記内筒の外周の少なくとも一方に、環状のリブが形成されており、該環状のリブは、前記筒状取付け部に接続される外部配管を締め付ける締付固定手段の内側に配置されている請求項1記載の樹脂タンク用シャッターバルブ取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−9850(P2006−9850A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184648(P2004−184648)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】