説明

樹脂多重管の押出成形装置

【課題】押出成形装置をコンパクトにして、その占有空間を小さくできるようにする。
【解決手段】多重管の押出成形装置は、樹脂3〜5を熱溶融させて押し出す複数のスクリュー式押出機6〜8と、これら各押出機6〜8から押し出された各樹脂3〜5を前方に向かい通過させて多重管2を成形するダイ15と、各押出機6〜8とダイ15との間に介設されて各押出機6〜8から押し出された各樹脂3〜5をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂3〜5をダイ15に送り込むよう吐出する容積式ポンプ28〜30とを備える。各ポンプ28〜30をダイ15の左、右側面31,32、および上、下面33,34のうち、いずれか一つの面の外方近傍に集中配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスクリュー式押出機から押し出された各樹脂を、それぞれ容積式ポンプを通して多重管成形用のダイに送り込むようにした樹脂多重管の押出成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記樹脂多重管の押出成形装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上記押出成形装置は、樹脂を熱溶融させて押し出す複数のスクリュー式押出機と、これら各押出機から押し出された各樹脂を前方に向かい通過させて多重管を成形するダイと、上記各押出機とダイとの間に介設されて上記各押出機から押し出された各樹脂をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂を上記ダイに送り込むよう吐出する容積式ポンプとを備えている。
【0003】
例えば、医療分野におけるカテーテル(導管)のように断面寸法が極めて小さく、かつ、高精度の多重管を成形する場合における上記押出成形装置の運転時には、まず、上記各押出機の駆動により、これら押出機から溶融樹脂がそれぞれ押し出される。次に、これら各樹脂は上記各ポンプを通過し上記ダイに送り込まれる。そして、このダイを上記樹脂が通過することにより、多重管が前方に向かって連続的に成形される。
【0004】
ここで、上記押出機はスクリュー式であって、樹脂を高圧で押し出す能力を有するものであるが、その構造上、この押出機の回転速度に対する樹脂の単位時間当りの押し出し量には誤差が生じ易い。一方、上記ポンプは容積式であるため、このポンプの回転速度に対する単位時間当りの吐出量にはより高い精度が確保される。
【0005】
このため、上記各ポンプの回転速度を所望値にすれば、これら各ポンプには、その回転速度に相応する高精度の所望の吐出量が得られる。よって、これら各ポンプを樹脂が通過することにより、これら各ポンプからダイに向けて精度の高い樹脂の量が送り込まれることとなり、この結果、前記カテーテルのように断面寸法が高精度の多重管が得られることとされる。
【特許文献1】特開2002−331562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の技術では、次のような問題点がある。
【0007】
即ち、第1に、上記各ポンプは上記ダイの左、右側面および上面の各外方に分散配置されており、また、これに伴い、上記各押出機も上記ポンプと同様に上記ダイの周りに分散配置されている。このため、上記押出成形装置は全体として大型となりがちであって、この押出成形装置の設置には大きい占有空間が必要とされる。
【0008】
また、第2に、上記ダイとポンプとは、これらダイやポンプにそれぞれ突設された各管材、およびこれら各管材の突出端を互いに結合させる一対の外向きフランジとにより結合されている。そして、上記のように各管材およびフランジが存在する分、上記ダイとポンプとの各内部同士を互いに連通させる樹脂流動通路の容積が大きくなる。また、これに伴い、この樹脂流動通路内の樹脂の体積が大きくなる。
【0009】
このため、上記ポンプの回転速度を変更するよう制御した場合において、その吐出量を多くしようとして回転速度を速くするよう変更したり、吐出量を少なくしようとして回転速度を遅くするよう変更したりして樹脂に圧力変化が生じた時には、上記のように樹脂流動通路内にあって体積の大きい樹脂は、その圧縮量や膨張量の体積変化量が大きくなりがちである。
【0010】
よって、上記したポンプの回転速度の制御により、その吐出量を所望値に変更した場合、この変更の開始から、この変更された所望値の吐出量が上記ダイの内部に達するまでには、上記のように樹脂の体積変化量が大きくて、この変化量を吸収する必要がある分、時間を要することとなる。つまり、上記ポンプの回転速度の制御に対し、この制御されたポンプから吐出される所望値の吐出量が上記ダイの内部に達することに関しての応答性が低下しがちであり、このため、上記制御に合致する寸法精度の高い多重管を得る上で、改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、押出成形装置をコンパクトにして、その占有空間を小さくできるようにすることである。
【0012】
また、本発明の他の目的は、押出成形装置により多重管を押し出し成形するとき、より寸法精度の高い多重管が得られるようにすることである。
【0013】
請求項1の発明は、樹脂3〜5を熱溶融させて押し出す複数のスクリュー式押出機6〜8と、これら各押出機6〜8から押し出された各樹脂3〜5を前方に向かい通過させて多重管2を成形するダイ15と、上記各押出機6〜8とダイ15との間に介設されて上記各押出機6〜8から押し出された各樹脂3〜5をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂3〜5を上記ダイ15に送り込むよう吐出する容積式ポンプ28〜30とを備えた樹脂多重管の押出成形装置において、
上記各ポンプ28〜30を上記ダイ15の左、右側面31,32、および上、下面33,34のうち、いずれか一つの面の外方近傍に集中配置したことを特徴とする樹脂多重管の押出成形装置である。
【0014】
請求項2の発明は、上記各ポンプ28〜30のポンプケース37を互いに一体成形して一体型ケース40としたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂多重管の押出成形装置である。
【0015】
請求項3の発明は、上記各ポンプ28〜30のポンプケース37を上記ダイ15の上記一つの面に直接取り付け、上記各ポンプ28〜30の回転速度を制御可能にしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の樹脂多重管の押出成形装置である。
【0016】
請求項4の発明は、上記各押出機6〜8が、スクリュー押出機本体9と、このスクリュー押出機本体9の軸心9aの軸方向の一端部9bに取り付けられ、このスクリュー押出機本体9を駆動させる電動機10とを備え、上記各スクリュー押出機本体9の他端部9cを上記各ポンプ28〜30にそれぞれ締結し、これらポンプ28〜30群を中心として上記各押出機6〜8を放射状に配置したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の樹脂多重管の押出成形装置である。
【0017】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明による効果は、次の如くである。
【0019】
請求項1の発明は、樹脂を熱溶融させて押し出す複数のスクリュー式押出機と、これら各押出機から押し出された各樹脂を前方に向かい通過させて多重管を成形するダイと、上記各押出機とダイとの間に介設されて上記各押出機から押し出された各樹脂をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂を上記ダイに送り込むよう吐出する容積式ポンプとを備えた樹脂多重管の押出成形装置において、
上記各ポンプを上記ダイの左、右側面、および上、下面のうち、いずれか一つの面の外方近傍に集中配置している。
【0020】
このため、各ポンプや押出機がダイの周りに分散配置されている従来の技術に比べ、上記各ポンプ群が全体的にコンパクトに配置されると共に、これら各ポンプに関連する各押出機群も全体的にコンパクトに配置される。よって、押出成形装置が全体的にコンパクトとなり、その占有空間を小さくできる。
【0021】
請求項2の発明は、上記各ポンプのポンプケースを互いに一体成形して一体型ケースとしている。
【0022】
このため、上記各ポンプ群が更にコンパクトとなって、押出成形装置がよりコンパクトになると共に、上記各ポンプ群における部品点数の減少により、押出成形装置の構成をより簡単にできる。
【0023】
請求項3の発明は、上記各ポンプのポンプケースを上記ダイの上記一つの面に直接取り付け、上記各ポンプの回転速度を制御可能にしている。
【0024】
このため、上記ダイとポンプとの各内部同士を互いに連通させる樹脂流動通路は限りなく小さくでき、その容積を極めて小さくできる。
【0025】
よって、上記ポンプの回転速度を変更するよう制御した場合において、その吐出量を多くしようとして回転速度を速くするよう変更したり、吐出量を少なくしようとして回転速度を遅くするよう変更したりして樹脂に圧力変化が生じた時には、上記のように容積の小さい樹脂流動通路内にあって体積の小さい樹脂は、その圧縮量や膨張量の体積変化量は小さく抑制される。
【0026】
この結果、上記したポンプの回転速度の制御により、その吐出量を所望値に変更した場合、この変更の開始から、この変更された所望値の吐出量が上記ダイの内部に達するまでには、上記のように樹脂の体積変化量が小さいため、この変化量の吸収には時間を要しないこととなる。つまり、上記ポンプの回転速度の制御に対し、この制御されたポンプから吐出される所望値の吐出量が上記ダイの内部に達することに関しての応答性が向上し、このため、上記制御に合致する寸法精度の高い多重管を得ることができる。
【0027】
請求項4の発明は、上記各押出機が、スクリュー押出機本体と、このスクリュー押出機本体の軸心の軸方向の一端部に取り付けられ、このスクリュー押出機本体を駆動させる電動機とを備え、上記各スクリュー押出機本体の他端部を上記各ポンプにそれぞれ締結し、これらポンプ群を中心として上記各押出機を放射状に配置している。
【0028】
このため、上記各押出機は、前記のようにコンパクトに配置されたものではあるが、隣り合う各押出機の電動機同士の間隔は大きくでき、これらに対する配線や保守、点検作業が容易にできて便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の樹脂多重管の押出成形装置に関し、押出成形装置をコンパクトにして、その占有空間を小さくできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0030】
即ち、樹脂多重管の押出成形装置は、樹脂を熱溶融させて押し出す複数のスクリュー式押出機と、これら各押出機から押し出された各樹脂を前方に向かい通過させて多重管を成形するダイと、上記各押出機とダイとの間に介設されて上記各押出機から押し出された各樹脂をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂を上記ダイに送り込むよう吐出する容積式ポンプとを備えている。上記各ポンプは上記ダイの左、右側面、および上、下面のうち、いずれか一つの面の外方近傍に集中配置されている。
【実施例】
【0031】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0032】
図において、符号1は、樹脂製多重管2の連続成形用の押出成形装置である。また、矢印Frは、上記多重管2の押出成形方向である前方を示している。上記多重管2は、代表的にはカテーテルであるが、これに限定されるものではない。
【0033】
上記押出成形装置1は、硬度において互いに異種の熱可塑性樹脂3〜5をヒータにより熱溶融させてそれぞれ押し出し可能とする複数(三台)のスクリュー式第1〜第3押出機6〜8を備えている。これら各押出機6〜8は、それぞれ軸心9aが水平方向に延びるスクリュー押出機本体9と、これら各スクリュー押出機本体9の軸方向の一端部9bに取り付けられ、このスクリュー押出機本体9を駆動させる可変速電動機10とを備えている。上記各押出機6〜8の各スクリュー押出機本体9はそれぞれ個別に支柱11により基台12上に支持されている。
【0034】
上記押出成形装置1は上記基台12に支持されるダイ15を備えている。このダイ15は、上記各押出機6〜8のスクリュー押出機本体9の他端部9cから押し出された樹脂3〜5を前方に向かい通過させて上記多重管2を成形する。上記ダイ15は直方体形状をなし、このダイ15には、上記第1押出機6から押し出された樹脂3を通過させて上記多重管2の内側管を成形する内側管成形通路16と、第2押出機7から押し出された樹脂4を通過させて上記多重管2の外側管を成形する外側管成形通路17と、第3押出機8から押し出された樹脂5を通過させて上記多重管2の内、外側管の間の中間管を成形する中間管成形通路18とが成形されている。上記各管成形通路16〜18は前後方向に延びる共通の軸心19上に配置され、それぞれ前方に向かってテーパ形状となる円錐筒形状をなしている。
【0035】
上記各管成形通路16〜18の各上流端を上記ダイ15の外方に連通させる第1〜第3樹脂通路20〜22が上記ダイ15に成形されている。これら各樹脂通路20〜22は互いに近接して左右に平行に延び、その各上流端は、上記ダイ15の外面に開口している。
【0036】
上記各樹脂通路20〜22の中途部を開閉可能とする開閉弁23が設けられている。この開閉弁23は、上記ダイ15に成形された円形孔24と、この円形孔24に軸心回り回動可能に嵌入される軸形状の弁体25とを備えている。図3中実線は開閉弁23の開弁状態を示し、一点鎖線は開閉弁23の閉弁状態を示している。
【0037】
上記押出成形装置1は、上記各押出機6〜8とダイ15との間に介設されて上記各押出機6〜8から押し出された樹脂3〜5をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂3〜5を上記ダイ15に送り込むよう吐出する容積式のギヤポンプである第1〜第3ポンプ28〜30を備えている。これら各ポンプ28〜30は上記ダイ15の左、右側面31,32、および上、下面33,34のうち、いずれか一つの面である右側面32の外方近傍に集中配置されている。
【0038】
上記各ポンプ28〜30は、それぞれポンプケース37と、このポンプケース37内に収容され互いに噛合する一対のギヤ組であるロータ38と、このロータ38を駆動する可変式の電動機39とを備えている。上記各ポンプケース37は互いに一体成形されて一体型ケース40とされ、この一体型ケース40は、ボルトである締結具41により上記ダイ15の右側面32に直接面接触して配管材を用いることなく直接締結されている。また、上記各スクリュー押出機本体9の他端部9cは上記ダイ15にそれぞれ直接締結されている。なお、上記一体型ケース40は、上記ダイ15に一体成形して、このダイ15の一つの面に一体的に取り付けてもよい。
【0039】
前記各樹脂通路20〜22の各上流端は上記ダイ15の右側面32に開口している。上記各ポンプケース37には、それぞれ上記各スクリュー押出機本体9の他端部9cの内部を上記各ロータ38の樹脂導入側に連通させる導入通路44と、上記各ロータ38の樹脂吐出側を上記各樹脂通路20〜22の各上流端に連通させる吐出通路45とが成形されている。
【0040】
上記各導入通路44と吐出通路45とは、上記各スクリュー押出機本体9の軸心9a上に配置されている。また、上記各押出機6〜8は、上記ダイ15の右側方にそれぞれ配置され、かつ、押出成形装置1の平面視で、上記ポンプ28〜30群を中心として放射状に配置されている。
【0041】
上記押出成形装置1は、上記ダイ15の前方に配置されて上記ダイ15を通過してこのダイ15から前方に向かって押し出される上記多重管2を冷却させる冷却装置47と、この冷却装置47により冷却されて硬化された上記多重管2を前方に向けて引き取る引取機48と、この引取機48から前方に向けて送り出される多重管2を所望長さに切断する切断機49と、上記各押出機6〜8の電動機10、各開閉弁23のアクチュエータ、各ポンプ28〜30の電動機39、引取機48、および切断機49を電子的に制御する不図示の制御装置とを備えている。
【0042】
上記押出成形装置1の運転時には、まず、上記各押出機6〜8の駆動により、これら押出機6〜8から溶融樹脂3〜5がそれぞれ押し出される。すると、これら各樹脂3〜5は上記各ポンプ28〜30を通過し上記ダイ15に送り込まれる。そして、このダイ15を上記樹脂3〜5が通過することにより、多重管2が前方に向かって連続的に成形される。
【0043】
ここで、上記各ポンプ28〜30の制御によりその各回転速度を所望値にすれば、これら各ポンプ28〜30は容積式であるため、これら各ポンプ28〜30には、その回転速度に相応する所望の吐出量が得られる。よって、これら各ポンプ28〜30を樹脂3〜5が通過することにより、これら各ポンプ28〜30からダイ15に向けて精度の高い樹脂3〜5の量が送り込まれることとなり、この結果、断面寸法が高精度の多重管2が得られる。
【0044】
上記構成によれば、各ポンプ28〜30を上記ダイ15の左、右側面31,32、および上、下面33,34のうち、いずれか一つの面の外方近傍に集中配置している。
【0045】
このため、各ポンプや押出機がダイの周りに分散配置されている従来の技術に比べ、上記各ポンプ28〜30群が全体的にコンパクトに配置されると共に、これら各ポンプ28〜30に関連する各押出機6〜8群も全体的にコンパクトに配置される。よって、押出成形装置1が全体的にコンパクトとなり、その占有空間を小さくできる。
【0046】
また、前記したように、各ポンプ28〜30のポンプケース37を互いに一体成形して一体型ケース40としている。
【0047】
このため、上記各ポンプ28〜30群が更にコンパクトとなって、押出成形装置1がよりコンパクトになると共に、上記各ポンプ28〜30群における部品点数の減少により、押出成形装置1の構成をより簡単にできる。
【0048】
また、前記したように、各ポンプ28〜30のポンプケース37を上記ダイ15の上記一つの面に直接取り付け、上記各ポンプ28〜30の回転速度を制御可能にしている。
【0049】
このため、上記ダイ15とポンプ28〜30との各内部同士を互いに連通させる樹脂流動通路は限りなく小さくでき、その容積を極めて小さくできる。
【0050】
よって、上記ポンプ28〜30の回転速度を変更するよう制御した場合において、その吐出量を多くしようとして回転速度を速くするよう変更したり、吐出量を少なくしようとして回転速度を遅くするよう変更したりして樹脂3〜5に圧力変化が生じた時には、上記のように容積の小さい樹脂流動通路内にあって体積の小さい樹脂3〜5は、その圧縮量や膨張量の体積変化量は小さく抑制される。
【0051】
この結果、上記したポンプ28〜30の回転速度の制御により、その吐出量を所望値に変更した場合、この変更の開始から、この変更された所望値の吐出量が上記ダイ15の内部に達するまでには、上記のように樹脂の体積変化量が小さいため、この変化量の吸収には時間を要しないこととなる。つまり、上記ポンプ28〜30の回転速度の制御に対し、この制御されたポンプ28〜30から吐出される所望値の吐出量が上記ダイ15の内部に達することに関しての応答性が向上し、このため、上記制御に合致する寸法精度の高い多重管2を得ることができる。
【0052】
また、前記したように、各押出機6〜8が、スクリュー押出機本体9と、このスクリュー押出機本体9の軸心9aの軸方向の一端部9bに取り付けられ、このスクリュー押出機本体9を駆動させる電動機10とを備え、上記各スクリュー押出機本体9の他端部9cを上記各ポンプ28〜30にそれぞれ締結し、これらポンプ28〜30群を中心として上記各押出機6〜8を放射状に配置している。
【0053】
このため、上記各押出機6〜8は、前記のようにコンパクトに配置されたものではあるが、隣り合う各押出機6〜8の電動機10,10同士の間隔は大きくでき、これらに対する配線や保守、点検作業が容易にできて便利である。
【0054】
なお、以上は図示の例によるが、上記押出機6〜8とポンプ28〜30とはそれぞれ2台であってもよく、4台以上であってもよい。また、上記各押出機6〜8は押出成形装置1の正面(背面)視や側面視でポンプ28〜30群を中心として放射状に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】押出成形装置の全体平面図である。
【図2】押出成形装置の背面図である。
【図3】図1で示したものの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 押出成形装置
2 多重管
3 樹脂
4 樹脂
5 樹脂
6 押出機
7 押出機
8 押出機
9 スクリュー押出機本体
9a 軸心
9b 一端部
9c 他端部
10 電動機
15 ダイ
16 内側管成形通路
17 外側管成形通路
18 中間管成形通路
20 樹脂通路
21 樹脂通路
22 樹脂通路
28 ポンプ
29 ポンプ
30 ポンプ
31 側面
32 側面
33 上面
34 下面
37 ポンプケース
38 ロータ
39 電動機
40 一体型ケース
41 締結具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を熱溶融させて押し出す複数のスクリュー式押出機と、これら各押出機から押し出された各樹脂を前方に向かい通過させて多重管を成形するダイと、上記各押出機とダイとの間に介設されて上記各押出機から押し出された各樹脂をそれぞれ導入する一方、これら各樹脂を上記ダイに送り込むよう吐出する容積式ポンプとを備えた樹脂多重管の押出成形装置において、
上記各ポンプを上記ダイの左、右側面、および上、下面のうち、いずれか一つの面の外方近傍に集中配置したことを特徴とする樹脂多重管の押出成形装置。
【請求項2】
上記各ポンプのポンプケースを互いに一体成形して一体型ケースとしたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂多重管の押出成形装置。
【請求項3】
上記各ポンプのポンプケースを上記ダイの上記一つの面に直接取り付け、上記各ポンプの回転速度を制御可能にしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の樹脂多重管の押出成形装置。
【請求項4】
上記各押出機が、スクリュー押出機本体と、このスクリュー押出機本体の軸心の軸方向の一端部に取り付けられ、このスクリュー押出機本体を駆動させる電動機とを備え、上記各スクリュー押出機本体の他端部を上記各ポンプにそれぞれ締結し、これらポンプ群を中心として上記各押出機を放射状に配置したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の樹脂多重管の押出成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−78369(P2009−78369A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247388(P2007−247388)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(591265611)株式会社プラ技研 (9)
【Fターム(参考)】