樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品
【課題】量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することが可能であって、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することが可能な樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品を提供する。
【解決手段】第１の可撓性フィルム基材１にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部２を形成することにより凹凸模様成形用フィルム３を作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成した転写用フィルム６を作成し、凹凸模様成形用フィルムと転写用フィルムとを重ね合わせて、キャビティ７内に配設し、次いで、キャビティ内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、凹凸模様成形用フィルムおよび第２の可撓性フィルム基材を剥離して樹脂成形品８を製造する。
【解決手段】第１の可撓性フィルム基材１にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部２を形成することにより凹凸模様成形用フィルム３を作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成した転写用フィルム６を作成し、凹凸模様成形用フィルムと転写用フィルムとを重ね合わせて、キャビティ７内に配設し、次いで、キャビティ内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、凹凸模様成形用フィルムおよび第２の可撓性フィルム基材を剥離して樹脂成形品８を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することが可能であって、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することが可能な樹脂成形品の製造方法およびこれを用いて製造される樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【０００２】
コンパクト容器など、装飾性が高くかつ量産される合成樹脂製容器に凹凸模様を付するのに用いて便利なフィルムが知られている（例えば、特許文献１参照）。そしてこの種フィルムを用いて量産される樹脂製成形品も知られている（特許文献２参照）。
【０００３】
特許文献２では、表面に凹凸模様が形成されている凹凸模様付きフィルムを準備し、上下に分かれる金型の下型の内面にフィルムを配置する。凹凸模様付きフィルムは、合成樹脂フィルム上に接着層が形成され、当該接着層上に、凸部形成位置に対応させて順次、紫外線硬化型樹脂層、剥離層、インク層、接着層が形成されて構成されている。つぎに、金型を閉じてＡＢＳ樹脂を充填し、凹凸模様付きフィルムの凹凸模様で横側面に立体模様が転写された成形品を形成する。そののち、成形品にフィルムを密着させた状態で金型を開き、この金型を開きながら、もしくは開いたのちに成形品からフィルムを離脱させることで、凹凸模様の凹部のみにインクからなる表面仕上げ材層を形成した立体模様形成成形品を製造するようにしている。
【特許文献１】特開平６−７２０１３号公報
【特許文献２】特開平６−１０６８４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記背景技術で量産されるような樹脂製成形品個々の外観を、様々な購買者のニーズに応えることができるように各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することができるとともに、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造できる樹脂製成形品の製造方法、そしてそれを用いて製造される樹脂製成形品の案出が望まれていた。
【０００５】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することが可能であって、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することが可能な樹脂成形品の製造方法およびこれを用いて製造される樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明にかかる樹脂成形品の製造方法は、第１の可撓性フィルム基材にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部を形成することにより凹凸模様成形用フィルムを作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材に転写用加飾層を形成した転写用フィルムを作成し、前記凹凸模様成形用フィルムと前記転写用フィルムとを重ね合わせて、キャビティ内に配設し、次いで、上記キャビティ内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、上記凹凸模様成形用フィルムおよび上記第２の可撓性フィルム基材を剥離して樹脂成形品を製造するようにしたことを特徴とする。
【０００７】
また、前記凹凸模様成形用フィルムの凹部位置に対応させて、前記第２の可撓性フィルム基材に前記転写用加飾層が形成されることを特徴とする。
【０００８】
本発明にかかる樹脂成形品は、請求項１記載の樹脂成形品の製造方法を用いて、前記樹脂で形成された前記樹脂成形体に凹凸模様に重ね合わせて加飾層が形成されたことを特徴とする。
【０００９】
また、前記凹凸模様の凸部に前記加飾層が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明にかかる樹脂成形品の製造方法にあっては、量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することができ、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することができる。
【００１１】
また、本発明にかかる樹脂成形品にあっては、その個々の外観を、凹凸模様の凹部にのみ対応した表面仕上げ材層に止まることなく、各種様々なデザインの転写用加飾層を適用して形成することができ、その見栄えは凹凸模様の表面に加飾層が自在に表出されて、新奇で斬新な装飾性を備えたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に、本発明にかかる樹脂成形品の製造方法およびこれを用いて製造される樹脂成形品の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる樹脂成形品の製造方法は基本的には、図１〜図６に示すように、第１の可撓性フィルム基材１にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部２を形成することにより凹凸模様成形用フィルム３を作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成した転写用フィルム６を作成し、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とを重ね合わせて、キャビティ７内に配設し、次いで、キャビティ７内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、凹凸模様成形用フィルム３および第２の可撓性フィルム基材４を剥離して樹脂成形品８を製造するようになっている。この際、凹凸模様成形用フィルム３の凹部２ａ位置に対応させて、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成するようにしてもよい。
【００１３】
まず、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とを作成する。凹凸模様成形用フィルム３の第１の可撓性フィルム基材１は、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を素材として形成され、フィルム面に直接印刷が行われる。印刷方法としては、厚みをもった印刷面を得ることができるシルク印刷やインクジェットプリンタを用いた印刷が採用される。特に、インクジェットプリンタの場合には、紫外線硬化型樹脂による印刷が行われる。これら印刷により、第１の可撓性フィルム基材１のフィルム面には、凹凸模様を形成する凹凸部２が形成される。特に、シルク印刷やインクジェットプリンタによる印刷によれば、第１の可撓性フィルム基材１の長さ方向に順次、様々に異なる多種類の凹凸模様を形成する凹凸部２を連続的に少量ずつ印刷することができる。このような印刷操作を行うことにより、凹凸模様成形用フィルム３が形成される。本実施形態にあっては、凹凸模様成形用フィルム３は、量産化のためにロール形態で巻き取られて準備される。
【００１４】
他方、転写用フィルム６は、既によく知られているように、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を素材として形成された第２の可撓性フィルム基材４上に剥離層９が形成され、その上に各種様々なデザインがインクで描かれた転写用加飾層５が形成され、さらにその上に接着層１０が形成されて構成される。この転写用フィルム６にあっても、各種印刷方法により、第２の可撓性フィルム基材４の長さ方向に順次、各種様々なデザインの転写用加飾層５を連続的に少量ずつ印刷することができる。本実施形態にあっては、転写用フィルム４も、量産化のためにロール形態で巻き取られて準備される。
【００１５】
次いで、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とをキャビティ７に配設する。キャビティ７を形成する金型設備１１としては、固定金型１２と可動金型１３とから構成され、可動金型１３を固定金型１２に接離可能に当接させて型締めすることで、これら金型１２，１３間にキャビティ７が形成される。従って、固定金型１２がキャビティ７の一方の面７ａを形成し、可動金型１３がキャビティ７の反対側の面７ｂを形成する。凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とは、凹凸模様成形用フィルム３がキャビティ７の一方の面７ａに面し、転写用フィルム６がキャビティ７内空間に面するように重ね合わせて配設される。キャビティ７内には、固定金型１２に形成されたポート１２ａから樹脂が射出される。
【００１６】
固定金型１２の両端には、一対の繰り出し機構１２ｂ，１２ｄと単一の巻き取り機構１２ｃとがそれぞれ設けられ、巻き取り機構１２ｃと一方の繰り出し機構１２ｂとの間に凹凸模様成形用フィルム３が、巻き取り機構１２ｃと他方の繰り出し機構１２ｄとの間に転写用フィルム６が掛け回されて、これらロール形態のフィルム３，６が固定金型１２に担持され、同期して作動されるこれら繰り出し機構１２ｂ，１２ｄと巻き取り機構１２ｃにより、凹凸模様成形用フィルム３および転写用フィルム６が互いに重ね合わされた状態でキャビティ７に向かって順次連続的に送り出される。
【００１７】
次いで、離型された状態の可動金型１３を固定金型１２に対して型締めし、固定金型１２のポート１２ａからキャビティ７内へ樹脂を充填し、これによりインモールド成形を行って樹脂成形体１４を成形する。樹脂としては、目的とする樹脂成形品８の質感などに応じて、透明であっても、着色不透明であっても良い。樹脂をキャビティ７内に充填すると、固定金型１２側では転写用フィルム６に沿って樹脂が行き渡り、一回の樹脂の充填操作で、金型設備１１で成形される板状の樹脂成形体１４の一方の面に凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とで一挙に、凹凸模様１５と加飾層１６とが形成される。
【００１８】
その後、成形操作が完了したら、可動金型１３を固定金型１２から離型する。この際、転写用フィルム６の第２の可撓性フィルム基材４が剥離層９を介して樹脂成形体１４から剥離され、これと同時に、凹凸模様成形用フィルム３も凹凸部２とともに樹脂成形体１４から剥離される。この剥離操作により、図７に示すように、樹脂で形成された樹脂成形体１４の一面に、凹凸模様成形用フィルム３によって形成された凹凸模様１５と、これに重ね合わさるようにして転写用フィルム６によって形成された加飾層１６とが現れて、目的とする樹脂成形品８が形成される。このような樹脂成形品８は、両フィルム３，６を順次キャビティ７へ送り出しつつ、金型設備１１で射出成形することにより量産される。
【００１９】
以上説明したように本実施形態にかかる樹脂成形品の製造方法にあっては、第１の可撓性フィルム基材１にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部２を形成することにより凹凸模様成形用フィルム３を作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成した転写用フィルム６を作成し、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とを重ね合わせて、キャビティ７内に配設し、次いで、キャビティ７内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、凹凸模様成形用フィルム３および第２の可撓性フィルム基材４を剥離して樹脂成形品８を製造するようにしたので、様々な購買者のニーズに応えることができるように、量産される樹脂成形品８個々の外観を、各種多様な凹凸模様１５を付しつつ様々に異なるデザインの加飾層１６で加飾することができるとともに、かつこのような樹脂成形品８を、無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備１１で合理的に製造することができる。
【００２０】
特に、背景技術にあっては、インクからなる表面仕上げ材層を剥離層を介してフィルム面に形成する際、剥離層を凸部に挟まれた凹部に形成することが難しい関係上、当該剥離層を凸部に形成するしかなく、このため凹凸模様の凹部にしか表面仕上げ材層を形成できないのに対し、本実施形態にあっては、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６の２つのフィルムを作成するようにしたので、凹凸模様成形用フィルム３の凹凸部２とは別に、転写用フィルム６に自在に転写用加飾層５を形成でき、これらフィルム３，６を重ね合わせることで凹凸模様１５に対する加飾層１６を形成できて、凹凸模様成形用フィルム３の凹部２ａ位置に対応させて、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成すれば、凹凸模様１５の凸部１５ａにも加飾層１６を形成でき、多様なデザインの樹脂成形品８を製造することができる。
【００２１】
従ってまた、本実施形態にかかる樹脂成形品８にあっては、その個々の外観を、背景技術のように凹凸模様の凹部のみに対応した表面仕上げ材層に止まることなく、各種様々なデザインの転写用加飾層５を適用して形成することができ、特に凹凸模様１５の凸部１５ａにも加飾層１６を形成し得、その見栄えは凹凸模様１５の表面に加飾層１６が自在に表出されて、新奇で斬新な装飾性を備えたものとなる。
【００２２】
上記実施形態にあっては、固定金型１２に一対の繰り出し機構１２ｂ，１２ｄと単一の巻き取り機構１２ｃを備えて両フィルム３，６をキャビティ７に送り出すように構成したが、固定金型１２に凹凸模様成形用フィルム３専用の繰り出し機構と巻き取り機構を設ける一方で、可動金型１３に転写用フィルム６専用の繰り出し機構と巻き取り機構を設けるようにして、これらフィルム３，６を個々に送り出し操作するようにしてもよい。このようにすれば、同じ凹凸模様１５を用いて成形する場合、凹凸模様成形用フィルム３を停止させておき、転写用フィルム６だけを順次送り操作することで、複数回の成形をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される凹凸模様成形用フィルムを示す側断面図である。
【図２】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される転写用フィルムを示す側断面図である。
【図３】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される金型設備での樹脂充填状態を示す側断面図である。
【図４】図３の要部拡大側断面図である。
【図５】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される金型設備からの樹脂成形品の取り出し状態を示す側断面図である。
【図６】図５の要部拡大側断面図である。
【図７】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法によって製造される樹脂成形品の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【００２４】
１ 第１の可撓性フィルム基材
２ 凹凸部
２ａ 凹凸模様成形用フィルムの凹部
３ 凹凸模様成形用フィルム
４ 第２の可撓性フィルム基材
５ 転写用加飾層
６ 転写用フィルム
７ キャビティ
８ 樹脂成形品
１４ 樹脂成形体
１５ 凹凸模様
１５ａ 凹凸模様の凸部
１６ 加飾層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することが可能であって、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することが可能な樹脂成形品の製造方法およびこれを用いて製造される樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【０００２】
コンパクト容器など、装飾性が高くかつ量産される合成樹脂製容器に凹凸模様を付するのに用いて便利なフィルムが知られている（例えば、特許文献１参照）。そしてこの種フィルムを用いて量産される樹脂製成形品も知られている（特許文献２参照）。
【０００３】
特許文献２では、表面に凹凸模様が形成されている凹凸模様付きフィルムを準備し、上下に分かれる金型の下型の内面にフィルムを配置する。凹凸模様付きフィルムは、合成樹脂フィルム上に接着層が形成され、当該接着層上に、凸部形成位置に対応させて順次、紫外線硬化型樹脂層、剥離層、インク層、接着層が形成されて構成されている。つぎに、金型を閉じてＡＢＳ樹脂を充填し、凹凸模様付きフィルムの凹凸模様で横側面に立体模様が転写された成形品を形成する。そののち、成形品にフィルムを密着させた状態で金型を開き、この金型を開きながら、もしくは開いたのちに成形品からフィルムを離脱させることで、凹凸模様の凹部のみにインクからなる表面仕上げ材層を形成した立体模様形成成形品を製造するようにしている。
【特許文献１】特開平６−７２０１３号公報
【特許文献２】特開平６−１０６８４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記背景技術で量産されるような樹脂製成形品個々の外観を、様々な購買者のニーズに応えることができるように各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することができるとともに、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造できる樹脂製成形品の製造方法、そしてそれを用いて製造される樹脂製成形品の案出が望まれていた。
【０００５】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することが可能であって、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することが可能な樹脂成形品の製造方法およびこれを用いて製造される樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明にかかる樹脂成形品の製造方法は、第１の可撓性フィルム基材にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部を形成することにより凹凸模様成形用フィルムを作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材に転写用加飾層を形成した転写用フィルムを作成し、前記凹凸模様成形用フィルムと前記転写用フィルムとを重ね合わせて、キャビティ内に配設し、次いで、上記キャビティ内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、上記凹凸模様成形用フィルムおよび上記第２の可撓性フィルム基材を剥離して樹脂成形品を製造するようにしたことを特徴とする。
【０００７】
また、前記凹凸模様成形用フィルムの凹部位置に対応させて、前記第２の可撓性フィルム基材に前記転写用加飾層が形成されることを特徴とする。
【０００８】
本発明にかかる樹脂成形品は、請求項１記載の樹脂成形品の製造方法を用いて、前記樹脂で形成された前記樹脂成形体に凹凸模様に重ね合わせて加飾層が形成されたことを特徴とする。
【０００９】
また、前記凹凸模様の凸部に前記加飾層が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明にかかる樹脂成形品の製造方法にあっては、量産される樹脂成形品個々の外観を、各種多様な凹凸模様を付しつつ様々に異なるデザインで加飾することができ、かつ無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備で製造することができる。
【００１１】
また、本発明にかかる樹脂成形品にあっては、その個々の外観を、凹凸模様の凹部にのみ対応した表面仕上げ材層に止まることなく、各種様々なデザインの転写用加飾層を適用して形成することができ、その見栄えは凹凸模様の表面に加飾層が自在に表出されて、新奇で斬新な装飾性を備えたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に、本発明にかかる樹脂成形品の製造方法およびこれを用いて製造される樹脂成形品の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる樹脂成形品の製造方法は基本的には、図１〜図６に示すように、第１の可撓性フィルム基材１にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部２を形成することにより凹凸模様成形用フィルム３を作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成した転写用フィルム６を作成し、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とを重ね合わせて、キャビティ７内に配設し、次いで、キャビティ７内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、凹凸模様成形用フィルム３および第２の可撓性フィルム基材４を剥離して樹脂成形品８を製造するようになっている。この際、凹凸模様成形用フィルム３の凹部２ａ位置に対応させて、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成するようにしてもよい。
【００１３】
まず、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とを作成する。凹凸模様成形用フィルム３の第１の可撓性フィルム基材１は、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を素材として形成され、フィルム面に直接印刷が行われる。印刷方法としては、厚みをもった印刷面を得ることができるシルク印刷やインクジェットプリンタを用いた印刷が採用される。特に、インクジェットプリンタの場合には、紫外線硬化型樹脂による印刷が行われる。これら印刷により、第１の可撓性フィルム基材１のフィルム面には、凹凸模様を形成する凹凸部２が形成される。特に、シルク印刷やインクジェットプリンタによる印刷によれば、第１の可撓性フィルム基材１の長さ方向に順次、様々に異なる多種類の凹凸模様を形成する凹凸部２を連続的に少量ずつ印刷することができる。このような印刷操作を行うことにより、凹凸模様成形用フィルム３が形成される。本実施形態にあっては、凹凸模様成形用フィルム３は、量産化のためにロール形態で巻き取られて準備される。
【００１４】
他方、転写用フィルム６は、既によく知られているように、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を素材として形成された第２の可撓性フィルム基材４上に剥離層９が形成され、その上に各種様々なデザインがインクで描かれた転写用加飾層５が形成され、さらにその上に接着層１０が形成されて構成される。この転写用フィルム６にあっても、各種印刷方法により、第２の可撓性フィルム基材４の長さ方向に順次、各種様々なデザインの転写用加飾層５を連続的に少量ずつ印刷することができる。本実施形態にあっては、転写用フィルム４も、量産化のためにロール形態で巻き取られて準備される。
【００１５】
次いで、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とをキャビティ７に配設する。キャビティ７を形成する金型設備１１としては、固定金型１２と可動金型１３とから構成され、可動金型１３を固定金型１２に接離可能に当接させて型締めすることで、これら金型１２，１３間にキャビティ７が形成される。従って、固定金型１２がキャビティ７の一方の面７ａを形成し、可動金型１３がキャビティ７の反対側の面７ｂを形成する。凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とは、凹凸模様成形用フィルム３がキャビティ７の一方の面７ａに面し、転写用フィルム６がキャビティ７内空間に面するように重ね合わせて配設される。キャビティ７内には、固定金型１２に形成されたポート１２ａから樹脂が射出される。
【００１６】
固定金型１２の両端には、一対の繰り出し機構１２ｂ，１２ｄと単一の巻き取り機構１２ｃとがそれぞれ設けられ、巻き取り機構１２ｃと一方の繰り出し機構１２ｂとの間に凹凸模様成形用フィルム３が、巻き取り機構１２ｃと他方の繰り出し機構１２ｄとの間に転写用フィルム６が掛け回されて、これらロール形態のフィルム３，６が固定金型１２に担持され、同期して作動されるこれら繰り出し機構１２ｂ，１２ｄと巻き取り機構１２ｃにより、凹凸模様成形用フィルム３および転写用フィルム６が互いに重ね合わされた状態でキャビティ７に向かって順次連続的に送り出される。
【００１７】
次いで、離型された状態の可動金型１３を固定金型１２に対して型締めし、固定金型１２のポート１２ａからキャビティ７内へ樹脂を充填し、これによりインモールド成形を行って樹脂成形体１４を成形する。樹脂としては、目的とする樹脂成形品８の質感などに応じて、透明であっても、着色不透明であっても良い。樹脂をキャビティ７内に充填すると、固定金型１２側では転写用フィルム６に沿って樹脂が行き渡り、一回の樹脂の充填操作で、金型設備１１で成形される板状の樹脂成形体１４の一方の面に凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とで一挙に、凹凸模様１５と加飾層１６とが形成される。
【００１８】
その後、成形操作が完了したら、可動金型１３を固定金型１２から離型する。この際、転写用フィルム６の第２の可撓性フィルム基材４が剥離層９を介して樹脂成形体１４から剥離され、これと同時に、凹凸模様成形用フィルム３も凹凸部２とともに樹脂成形体１４から剥離される。この剥離操作により、図７に示すように、樹脂で形成された樹脂成形体１４の一面に、凹凸模様成形用フィルム３によって形成された凹凸模様１５と、これに重ね合わさるようにして転写用フィルム６によって形成された加飾層１６とが現れて、目的とする樹脂成形品８が形成される。このような樹脂成形品８は、両フィルム３，６を順次キャビティ７へ送り出しつつ、金型設備１１で射出成形することにより量産される。
【００１９】
以上説明したように本実施形態にかかる樹脂成形品の製造方法にあっては、第１の可撓性フィルム基材１にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部２を形成することにより凹凸模様成形用フィルム３を作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成した転写用フィルム６を作成し、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６とを重ね合わせて、キャビティ７内に配設し、次いで、キャビティ７内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、凹凸模様成形用フィルム３および第２の可撓性フィルム基材４を剥離して樹脂成形品８を製造するようにしたので、様々な購買者のニーズに応えることができるように、量産される樹脂成形品８個々の外観を、各種多様な凹凸模様１５を付しつつ様々に異なるデザインの加飾層１６で加飾することができるとともに、かつこのような樹脂成形品８を、無駄が出ないように少量ずつ、しかも単一の金型設備１１で合理的に製造することができる。
【００２０】
特に、背景技術にあっては、インクからなる表面仕上げ材層を剥離層を介してフィルム面に形成する際、剥離層を凸部に挟まれた凹部に形成することが難しい関係上、当該剥離層を凸部に形成するしかなく、このため凹凸模様の凹部にしか表面仕上げ材層を形成できないのに対し、本実施形態にあっては、凹凸模様成形用フィルム３と転写用フィルム６の２つのフィルムを作成するようにしたので、凹凸模様成形用フィルム３の凹凸部２とは別に、転写用フィルム６に自在に転写用加飾層５を形成でき、これらフィルム３，６を重ね合わせることで凹凸模様１５に対する加飾層１６を形成できて、凹凸模様成形用フィルム３の凹部２ａ位置に対応させて、第２の可撓性フィルム基材４に転写用加飾層５を形成すれば、凹凸模様１５の凸部１５ａにも加飾層１６を形成でき、多様なデザインの樹脂成形品８を製造することができる。
【００２１】
従ってまた、本実施形態にかかる樹脂成形品８にあっては、その個々の外観を、背景技術のように凹凸模様の凹部のみに対応した表面仕上げ材層に止まることなく、各種様々なデザインの転写用加飾層５を適用して形成することができ、特に凹凸模様１５の凸部１５ａにも加飾層１６を形成し得、その見栄えは凹凸模様１５の表面に加飾層１６が自在に表出されて、新奇で斬新な装飾性を備えたものとなる。
【００２２】
上記実施形態にあっては、固定金型１２に一対の繰り出し機構１２ｂ，１２ｄと単一の巻き取り機構１２ｃを備えて両フィルム３，６をキャビティ７に送り出すように構成したが、固定金型１２に凹凸模様成形用フィルム３専用の繰り出し機構と巻き取り機構を設ける一方で、可動金型１３に転写用フィルム６専用の繰り出し機構と巻き取り機構を設けるようにして、これらフィルム３，６を個々に送り出し操作するようにしてもよい。このようにすれば、同じ凹凸模様１５を用いて成形する場合、凹凸模様成形用フィルム３を停止させておき、転写用フィルム６だけを順次送り操作することで、複数回の成形をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される凹凸模様成形用フィルムを示す側断面図である。
【図２】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される転写用フィルムを示す側断面図である。
【図３】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される金型設備での樹脂充填状態を示す側断面図である。
【図４】図３の要部拡大側断面図である。
【図５】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法の好適な一実施形態に適用される金型設備からの樹脂成形品の取り出し状態を示す側断面図である。
【図６】図５の要部拡大側断面図である。
【図７】本発明にかかる樹脂成形品の製造方法によって製造される樹脂成形品の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【００２４】
１ 第１の可撓性フィルム基材
２ 凹凸部
２ａ 凹凸模様成形用フィルムの凹部
３ 凹凸模様成形用フィルム
４ 第２の可撓性フィルム基材
５ 転写用加飾層
６ 転写用フィルム
７ キャビティ
８ 樹脂成形品
１４ 樹脂成形体
１５ 凹凸模様
１５ａ 凹凸模様の凸部
１６ 加飾層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
第１の可撓性フィルム基材にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部を形成することにより凹凸模様成形用フィルムを作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材に転写用加飾層を形成した転写用フィルムを作成し、上記凹凸模様成形用フィルムと上記転写用フィルムとを重ね合わせて、キャビティ内に配設し、次いで、上記キャビティ内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、上記凹凸模様成形用フィルムおよび上記第２の可撓性フィルム基材を剥離して樹脂成形品を製造するようにしたことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項２】
前記凹凸模様成形用フィルムの凹部位置に対応させて、前記第２の可撓性フィルム基材に前記転写用加飾層が形成されることを特徴とする請求項１に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項３】
請求項１記載の樹脂成形品の製造方法を用いて、前記樹脂で形成された前記樹脂成形体に凹凸模様に重ね合わせて加飾層が形成されたことを特徴とする樹脂成形品。
【請求項４】
前記凹凸模様の凸部に前記加飾層が形成されることを特徴とする請求項３に記載の樹脂成形品。
【請求項１】
第１の可撓性フィルム基材にインクジェットプリンタを用いた印刷やシルク印刷で凹凸部を形成することにより凹凸模様成形用フィルムを作成するとともに、第２の可撓性フィルム基材に転写用加飾層を形成した転写用フィルムを作成し、上記凹凸模様成形用フィルムと上記転写用フィルムとを重ね合わせて、キャビティ内に配設し、次いで、上記キャビティ内へ樹脂を充填してインモールド成形を行い、その後、上記凹凸模様成形用フィルムおよび上記第２の可撓性フィルム基材を剥離して樹脂成形品を製造するようにしたことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項２】
前記凹凸模様成形用フィルムの凹部位置に対応させて、前記第２の可撓性フィルム基材に前記転写用加飾層が形成されることを特徴とする請求項１に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項３】
請求項１記載の樹脂成形品の製造方法を用いて、前記樹脂で形成された前記樹脂成形体に凹凸模様に重ね合わせて加飾層が形成されたことを特徴とする樹脂成形品。
【請求項４】
前記凹凸模様の凸部に前記加飾層が形成されることを特徴とする請求項３に記載の樹脂成形品。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００６−１８７９３８（Ｐ２００６−１８７９３８Ａ）
【公開日】平成１８年７月２０日（２００６．７．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１２６９（Ｐ２００５−１２６９）
【出願日】平成１７年１月６日（２００５．１．６）
【出願人】（０００１６０２２３）吉田プラ工業株式会社 (136)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年７月２０日（２００６．７．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１月６日（２００５．１．６）
【出願人】（０００１６０２２３）吉田プラ工業株式会社 (136)
【Ｆターム（参考）】
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