樹脂成形品及びその製造方法

【課題】表面に焼き色模様を備え、ひび割れや剥れのない樹脂成形品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面層がポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂に木粉を15重量%以上70重量%未満の割合で配合した合成樹脂組成物からなる半製品の表面にレーザー光線を照射する、あるいは、合成樹脂組成物1の炭化温度以上に加熱された加飾型を押し当てることによって焼き色加工2することからなり、意匠性を高めたデッキ材や化粧床材等が提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デッキ材や化粧床材等の建材に使用される樹脂成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂組成物を押出成形して製造されるデッキ材や化粧床材等は、成形時に顔料を添加することによって意匠性を高めるようにされている。
樹脂成形品でありながら、あたかも高級な木質材で形成されているように見せるために、成形後、サンディングによって成形品表面を凹凸形状に加工するようなことも行われている。
しかし、サンディングによっては焼き色模様のような意匠を表面に設けることができなかった。
【0003】
一方、レーザー光線を照射して樹脂成形品の表面を炭化させて、樹脂成形品表面に模様付けや文字を記す方法(特許文献1参照)が提案されているが、この方法の場合、小さなマーク程度は可能だが、樹脂成形品全面に施すとひび割れや剥れが発生するおそれがあるため、大きな焼き色模様の形成には用いることができない。
【0004】
【特許文献1】特開平7−204870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、表面に焼き色模様を備え、ひび割れや剥れのない樹脂成形品及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる樹脂成形品は、表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなり、表面が焼き色加工されていることを特徴としている。
【0007】
本発明の樹脂成形品において、合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂が挙げられる。
木粉としては、樹種は、特に限定されないが、例えば、松などのヤニを含むものを除き、栂(ツガ)・杉のような針葉樹が好ましい。すなわち、針葉樹の方が、広葉樹に比べ強度的に優れた樹脂成形品を得ることができる。
【0008】
合成樹脂組成物の木粉の含有量は、特に限定されないが、15重量%以上70重量%未満が好ましい。すなわち、木粉の含有量が15重量%未満であると、炭化範囲が極狭部であれば(線状の模様。文字等)問題ないが、面状で大きな面積を一度に炭化させようとすると、炭化部位が樹脂の溶融によってひび割れ、剥れが発生する恐れがあり、また木に焼き色付けた様な意匠を表現出来ないおそれがある。一方、70重量%を越えると、目的の意匠は得られるが、樹脂成形品の強度不足をまねく恐れがある。
【0009】
木粉の粒径は、特に限定されないが、平均粒径で50μm〜200μmが好ましい。
すんわち、粒径が大きすぎると、炭化部位が樹脂の溶融によってひび割れ、剥れが発生する恐れがあり、また木に焼き色付けた様な意匠を表現出来ないおそれがある。
【0010】
また、上記合成樹脂組成物中には、合成樹脂及び木粉以外に、顔料、無機充填材等の樹脂成形品に添加剤として従来から用いられるものを必要に応じて適宜加えることができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の樹脂成形品の製造方法(以下、「第1の製造方法」と記す)は、表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなる樹脂成形された半製品の表面にレーザー光線を照射して焼き色加工することを特徴としている。
第1の製造方法において、照射されるレーザー光としては、特に限定されないが、炭酸ガスレーザー、Nd−YAGレーザー、Er−YAGレーザー、FAYbレーザー等が挙げられる。
また、本発明の請求項4に記載の樹脂成形品の製造方法(以下、「第2の製造方法」と記す)は、表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなる樹脂成形された半製品の表面に、合成樹脂組成物の炭化温度以上に加熱した加飾型を押し当てて焼き色加工することを特徴としている。
なお、レーザー光線の照射時間(製品移動スピード)や出力を変更することによって炭化度合いを調整することができる。
レーザー光線の照射出力は20〜200W、製品移動スピードは5〜200mm/分の範囲が好適に用いられる。
第2の製造方法において、加飾型は、バッチ式に半製品表面に押し当てる板状のものや、連続的に搬送される半製品の表面を転動するロール状のものが挙げられる。
加飾型の型面温度は、半製品の表面が炭化できれば特に限定されないが、250〜500℃が好ましい。
なお、第2の製造方法の場合、加飾型の型面温度と加飾型と半製品との接触時間を調整することによって焼き色の強弱を調整することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる樹脂成形品は、以上のように、表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなるので、レーザー照射や加熱された加飾型を押し当てることによって焼き目を設けるようにしても、木粉の存在により樹脂部分が加熱収縮しにくく、焼き色模様を付与時にひび割れ、剥れが発生しない。また、木粉の炭化によってきれいな焼き色模様を付与した意匠性の高いものとすることができる。
したがって、今まで得られなかった風合いとより自然木に近い家具調建材を得ることが出来る。
【0013】
また、第1の製造方法は、半製品の表面にレーザー光線を照射して焼き色加工するようにしたので、プログラムの変更によって微細な模様を自由に表出することができる。
【0014】
一方、第2の製造方法は、半製品の表面に合成樹脂組成物の炭化温度以上に加熱した加飾型を押し当てて焼き色加工するので、加飾型を交換することによって簡単に意匠を変更することが出来る。また、短時間で一度の広い面積に焼き色模様を付与できる。
焼き色は木紛が炭化することによって目的とされる木に焼き色を付けた様な意匠が付与される為、製品の木紛含有率は15%以上が望ましい。木紛含有率が15%未満の場合、炭化範囲が極狭部であれば(線状の模様。文字等)問題ないが、面状で炭化による焼き色を付与すると、炭化部位が樹脂の溶融によってひび割れ、剥れが発生する恐れがあり、また木に焼き色付けた様な意匠を表現出来ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる樹脂成形品の1つの実施の形態であるデッキ材をあらわしている。
【0016】
図1に示すように、このデッキ材1は、木目調の焼き色模様2が表面に形成されている。
すなわち、このデッキ材1は、図示していないが、ポリプロピレンに15重量%以上 未満割合で木粉が添加された合成樹脂組成物を押出成形して半製品を得た後に、この半製品の表面にプログラムされたパターンでNd−YAGレーザー、FAYbレーザー等のレーザー光を照射することによって焼き色模様2が形成される、あるいは、木目調の凹凸模様が形成された加飾型としての加飾ロールを、連続して送られる板状の半製品の表面にロール表面温度が250〜500℃に保持された状態で転動させることによって焼き色模様2が形成される。
【0017】
以下に、具体的な実施例を詳しく説明する。
【0018】
(実施例1)
平均粒径100μmの木粉(杉)をポリプロピレン樹脂に15重量%混合した樹脂樹脂組成物を押出成形した板材を28mm/分の速度で搬送しながらFAYbレーザーマーカー(SUNX社製FAYbレーザーLPVシリーズ)を用いて以下の条件で図1に示すような焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
(テスト条件)
(1)レーザーパワー:80W
(2)スキャンスピード:1000mm/s(レーザー光の移動速度)
(3)印字パルス周期:50μs(レーザーの発光周期)
(4)製品―レーザー光間距離:350mm
【0019】
(実施例2)
木粉を30重量%混合した以外は、実施例1と同様にして焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
【0020】
(実施例3)
木粉を60重量%混合した以外は、実施例1と同様にして焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
【0021】
(実施例4)
板材の搬送速度を42mm/分とした以外は、実施例1と同様にして焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
【0022】
(実施例5)
FAYbレーザーマーカーに代えて、250℃に加熱した加飾ローラを用いた以外は、実施例1と同様にして焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
【0023】
(実施例6)
木粉を10重量%以外は、実施例1と同様にして焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
【0024】
(比較例1)
木粉が配合されていない以外は、実施例1と同様にして焼き色模様が形成されたデッキ材を製造した。
【0025】
上記実施例1〜6及び比較例1で得られたデッキ材について、その加飾面の状態を目視で調べたところ、実施例1〜5で得られたデッキ材については、きれいな焼き色(実施例4については、焼き色が薄い)の木目模様が付与されるとともに、ひび割れや剥れ(剥離)は全くみられなかった。また、実施例6のデッキ材については、概ねきれいな焼き色の木目模様が付与されていたが、炭化面積の広い部分において若干ひび割れ、剥れが発生した部分があった。比較例1のデッキ材については、焼き色付与はあるが、全体的に溶融によるひび割れ、墨化による剥れ(剥離)が発生していた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる樹脂成形品の1つの実施の形態をあらわす斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 樹脂成形品
2 焼き色模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなり、表面に焼き色模様が施されていることを特徴とする樹脂成形品。
【請求項2】
木粉を含む合成樹脂組成物の木粉含有量が15重量%以上70重量%未満である請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなる樹脂成形された半製品の表面にレーザー光線を照射して焼き色加工する請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
表面層が木粉を含む合成樹脂組成物からなる樹脂成形された半製品の表面に合成樹脂組成物の炭化温度以上に加熱した加飾型を押し当てて焼き色加工する請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−131889(P2010−131889A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310714(P2008−310714)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】