説明

樹脂組成物、同樹脂組成物を用いた化粧合板およびその製造方法

【課題】 家具、建材等の表面のすり傷等となる局部的応力への耐性と一旦変形した凹凸部分等の復元性を備えたトップコートを達成できる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
硬化性軟質ポリマーとコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子とを含む樹脂組成物、特に、(A)数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂と、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの重合体およびコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子を含む樹脂組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物とりわけトップコートに適した樹脂組成物、同樹脂組成物を用いた化粧合板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材による机等の家具、床材、壁材などの表面は傷がつき難いことが望ましく、表面硬質化のためのトップコートが施される場合が多い。
軟質な樹種を集成材等の加工材とした場合には、一層、表面の硬質化が求められている。
このようなトップコート用としても使用できる樹脂組成物として、本出願人は、既に(A)ビニルエステル樹脂と、(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(D)ラジカル重合開始剤とを含む、ゴム弾性による自己修復性を示す重合体を与える化粧合板用樹脂組成物を提供している(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この樹脂組成物の重合体は、常温から高温に至る幅広い温度域でゴム弾性による自己修復性を示すアクリロイルないしメタアクリロイル基の重合によるものであるが、硬質のものを押し付けたり、摺ったりして生じる凹み傷などの凹凸状態が、温水、ドライヤー、ポリッシャなどで加温、好ましくは約40℃程度で加温すると、傷などの凹凸状態が元の状態に修復され、ほとんど傷が目立たなくなる自己修復性を有しており、床材、家具等のトップコートとしては、極めて有用な特性であるが、表面の傷に対する耐性、自己修復性は未だ必ずしも十分ではなかった。
【0004】
特に、最近のライフスタイルの変遷等によりパソコンや介護用の椅子等が汎用品となる事情も加わって、集成材や軟質樹種等からなる木材表面及び該木材表面に形成されている塗膜に受ける傷などの凹凸に対する早急かつ簡便な対処を求められていた。
また、木材表面の保護に限らず、鋼板や、アルミ、合成樹脂板等の表面もすり傷、圧痕等が残らないよう保護されていることが望ましい。
【0005】
【特許文献1】特開2004−351712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、家具、建材等の表面のすり傷及び凹み傷等となる局部的応力への耐性と一旦変形した凹凸部分等の復元性を備えたトップコートを達成できる樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究の結果、硬化性軟質ポリマーと共に、コアとシェルとが異なる物理特性をもつコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子を含有させた樹脂組成物とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)硬化性軟質ポリマーとコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子とを含む樹脂組成物、
(2)前記硬化性軟質ポリマーが、(A)数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂と、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの重合体である上記(1)に記載の樹脂組成物、
(3)前記硬化性軟質ポリマーと前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子との配合質量比(硬化性軟質ポリマー:有機ポリマー粒子)が50:50〜99:1である上記(1)又は(2)記載の樹脂組成物、
(4)前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子がガラス転移温度が20℃以下のゴム状ポリマーからなるコアとガラス転移温度が50℃以上のガラス状ポリマーからなるシェルとを有する多相構造粒子である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子のコアとシェルとの質量比(コア:シェル)が95:5〜30:70の範囲で、平均粒子径が0.5〜100ミクロンであるである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(6)また、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂組成物からなるトップコートが形成された化粧合板、
(7)さらに、(A)数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂と、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(C)コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子と、(D)ラジカル重合開始剤とを含むトップコート用樹脂組成物を木材単板上または該木材単板上に既に形成されている樹脂塗膜上に塗布し、次いで前記木材単板の樹脂組成物塗布面に紫外線を照射して、前記塗布面を硬化しトップコートを形成する化粧合板の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂組成物は、家具、建材等の表面のすり傷等となる局部的応力への耐性と一旦変形した凹凸部分等の復元性を備えた、特にトップコートに適したものである。
また、本発明の樹脂組成物においては、コア/シェル構造の有機ポリマー粒子に取り込む化合物の物理化学的性質は任意に選択、設定が可能であり、取り込む化合物と、当該コア/シェル構造の有機ポリマー粒子と、それを添加する硬化性軟質ポリマーの性質を任意に設定、調整、組み合せることで、いわゆる海、島構造を取らせることができ、目的に応じた種々の性状、例えば、塗膜の防眩性、透明性、光沢度、防汚性、自己浄化性等を任意に得ることができる。
【0009】
また、コア/シェル構造の有機ポリマー粒子の粒径、コア部,シェル部の組成を任意に変化させることで、塗膜の樹脂表層部に規則的に配列した人工的な凹凸を作ることができ、塗膜表面の光沢を任意に調整することができる。
【0010】
さらに、コア部内包部成分を選択し、外部の硬化性軟質ポリマーに比べ大きなゴム弾性を付与すると、外力が加わった場合コア部が変形し、外力が取り除かれるとゴム弾性効果により、もとの例えば表面凹凸を有する形状に復帰する効果が得られ、化粧合板等の表面を有効に保護できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、硬化性軟質ポリマーによる海部とコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子の島部とからなるものである。
まず、本発明の樹脂組成物を構成する硬化性軟質ポリマーとしては、熱または紫外線硬化性樹脂と常温から高温に至る幅広い温度域でゴム弾性を示すアクリロイルないしメタアクリロイル基を有するモノマーとの重合によりもたらされるものを例示することができる。
【0012】
前記硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びポリエステルアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂などの(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、並びにビニル基を有する樹脂等が挙げられるが、特にビニルエステル樹脂が好ましい。
【0013】
以下に、本発明の硬化性軟質ポリマーの構成成分として好適に使用される硬化性樹脂成分としての(A)ビニルエステル樹脂について説明する。
(A)ビニルエステル樹脂
硬化性軟質ポリマーの構成成分として好適に使用される(A)成分は、数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂である。数平均分子量が800未満の場合には、本発明の樹脂組成物がタフさ、破断伸びの発現が不十分となるので好ましくない。また、好ましくは数平均分子量が800〜50,000の範囲であり、50,000を超える場合には、増粘が著しくなり、塗料化が困難となる。
【0014】
一般的にビニルエステル樹脂は、エポキシアクリレート樹脂と呼ばれることもあり、各種のエポキシ化合物を原料としてアクリル酸またはメタクリル酸を用いてエステル化し、重合性モノマーを加えて付加重合型としたものである。原料のエポキシ化合物には、通常のノボラック型エポキシ化合物とビスフェノールA型エポキシ化合物とが利用されているが、本発明の目的にはビスフェノールA型エポキシ化合物から製造されるビニルエステル樹脂が好適に用いられる。その理由は、ビスフェノールA型の分子構造がタフさを有している点により、本発明の目的に合致しているためである。
また、市販のものが使用でき、例えばリポキシVR−60、リポキシVR−90(商品名、昭和高分子社製)等が好ましい。
【0015】
(A)成分の含有量は、硬化性軟質ポリマー100質量部中1〜99質量部、好ましくは5〜80質量部である。この範囲外であると、本発明に必要な破断伸びの発現が不充分となる。
【0016】
常温から高温に至る幅広い温度域でゴム弾性を示す軟質ポリマー成分としては、単官能重合性ビニルモノマー、すなわち、炭素―炭素不飽和二重結合を1個有するモノマーがあり、その具体例としては、ビニル芳香族炭化水素、アクリル酸、アクリル酸のエステルおよびビニルシランが挙げられ、これらのうちアクリル酸、アクリル酸のエステルである、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好適であり、これらは、重合によってアクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂を形成する。
【0017】
とりわけ、アクリロイル基ないしメタアクリロイル基を含む紫外線硬化(UV硬化)ないし熱硬化性樹脂組成物においては、コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子を設計する際に、コア部とシェル部の組成を変化させることで、調整されたシェル部を透過して特定のアクリロイルないしメタアクリロイル化合物を取り込むことができる。
【0018】
コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子に取り込む化合物の物理化学的性質は任意に選択、設定が可能であり、取り込む化合物と、当該コア/シェル構造の有機ポリマー粒子と、それを添加する硬化性軟質ポリマーの性質を任意に設定、調整、組み合せることで、いわゆる海、島構造を取らせることができ、目的に応じた種々の性状を任意に得ることができる。
【0019】
目的に応じ調整可能な特性の一例として次のようなものが挙げられる。
(1) コア部とシェル部および外部の硬化性軟質ポリマーの屈折率、反射率の差を利用して、塗膜の表面および内部における光の屈折と反射を調整することで、塗膜の防眩性、透明性、光沢度等を任意に設計、調整することができる。
(2) コア部とシェル部および有機ポリマー粒子のコア部の内包部分、外部の硬化性軟質ポリマーの親水性、疎水性、撥油性を調整することで、塗膜の防汚性、自己浄化性などの性状を任意に調整することができる。
(3) 有機ポリマー粒子のコア部内包部分と外部の硬化性軟質ポリマーのガラス転移温度
(Tg)、硬化収縮率、硬化速度を任意に調整できる。
【0020】
本発明において、例えば、(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマーを使用すれば、ホモポリマーのガラス転移温度が−20℃以下のものと120℃以上のものとのを混合したトップコート用樹脂組成物を提供できる。ガラス転移温度が−20℃以下の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、上記したモノマーの大部分が該当する。
ガラス転移温度が120℃以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、イソボルニルメタクリレート、モルホリンアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、アクリルアミド、およびN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0021】
また、(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、上記の他に、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス−オキシエチレン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、および各種のウレタンアクリレート等が挙げられる。
(B)成分の含有量は、硬化性軟質ポリマー100質量部中1〜99質量部、好ましくは20〜95質量部である。(B)成分含有量がこの範囲未満の場合は、硬化性軟質ポリマーの粘度が高くなり塗料化が困難となり、(B)成分含有量がこの範囲を超える場合は硬化性軟質ポリマーの靭性が不足となって本発明の特徴を発揮できなくなり、好ましくない。
【0022】
前記硬化性軟質ポリマーを構成する成分としては、上記(A)成分および(B)成分の他に、反応性希釈剤として一般的に用いられているビニルモノマー、オリゴマーを併用することができる。例えば、ビニルモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等を用いることができる。
【0023】
本発明において、前記硬化性軟質ポリマーと前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子との配合質量比(硬化性軟質ポリマー:有機ポリマー粒子)は50:50〜99:1が好適である。
前記硬化性軟質ポリマーの配合質量比がこの範囲を下回ると塗料化出来ないおそれがある。
【0024】
コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子の粒径、コア部,シェル部の組成を任意に変化させることで、塗膜の樹脂表層部に規則的に配列した人工的な凹凸を作ることができ、塗膜表面の光沢を任意に調整することができる。
また、コア部内包部成分を選択し、外部の硬化性軟質ポリマーに比べ大きなゴム弾性を付与すると、外力が加わった場合コア部が変形し、外力が取り除かれるとゴム弾性効果により、もとの例えば表面凹凸を有する形状に復帰する効果が得られる。
【0025】
また、外部の硬化性軟質ポリマーによる海部とコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子の島部夫々の樹脂強度とゴム弾性を任意に調整すれば、従来技術では得ることのできなかった高強度の海島構造ゴム弾性塗膜を容易かつ任意に得ることができる。
【0026】
本発明のコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子は、異なった特性を持つコアとシェルを有する有機ポリマー粒子であり、ガラス転移温度が20℃以下、好ましくは−60〜20℃のゴム状ポリマーからなるコアとガラス転移温度が50℃以上、好ましくは50〜140℃のガラス状ポリマーからなるシェルとを有する多相構造粒子を好ましいものとして挙げることができる。
このガラス転移温度が20℃以下のゴム状ポリマーからなるコアとガラス転移温度が50℃以上のガラス状ポリマーからなるシェルとを有する多相構造粒子は、特開2000−53841号公報に提案されている、ゴム状ポリマーを形成する重合性モノマーのラジカル重合によりガラス転移温度が20℃以下のゴム状ポリマーを形成する一段目反応と、それに引き続きガラス転移温度が50℃以上のガラス状ポリマーを形成する重合性モノマーを添加してラジカル重合を行う二段目反応により製造することができる。
【0027】
ゴム状ポリマーを形成する重合性モノマーとして好ましいものは、アルキル(メタ)アクリレート(a)50〜99. 9重量%、分子内に2個以上のビニル基を有する多官能性モノマー(b)0. 1〜20重量%およびその他の共重合性モノマー(c)0〜49. 9重量%からなるモノマー混合物である。
アルキル(メタ)アクリレート(a)としては、例えばエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等アルキル基の炭素数が2〜20のアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0028】
分子内に二個以上のビニル基を有する多官能モノマー(b)としては、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニルモノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレートまたはアルカンポリオールポリメタクリレート等、また異なる反応性のビニル基を有するモノマーとしては、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート等、またウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等も挙げることができる。
【0029】
(a)および(b)と共重合可能な共重合性モノマー(c)としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート等を挙げることができる。またエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基を持ったモノマーを共重合させることもできる。
【0030】
この一段目反応は、このようなゴム状ポリマーを形成する重合性モノマー、分散安定剤、油溶性のラジカル重合開始剤およびイオン交換水を重合容器に仕込んで、攪拌下ラジカル重合、好ましくは懸濁重合を行う。
【0031】
ガラス状ポリマーを形成する重合性モノマーとして好ましいものは、アルキル(メタ)アクリレート(d)および芳香族ビニルモノマー(e)から選ばれた少なくとも1種類のモノマー、必要によりさらに分子内に2個以上のビニル基を有する多官能性モノマー(f)およびその他の共重合可能な共重合性モノマー(g)からなるものである。アルキル(メタ)アクリレート(d)としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートなど、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族ビニルモノマー(e)としては、たとえばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどを挙げることができる。分子内に2個以上ビニル基を有する多官能モノマー(f)としては、前述の(b)と同じものが使用できる。
【0032】
(d)、(e)および(f)のモノマーと共重合可能なその他の共重合性モノマー(g)としては、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、メチルメタクリレート以外のアルキルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等や、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基を持ったモノマーを挙げることができる
【0033】
二段目反応は、一段目反応により得られたゴム状ポリマーの懸濁液に二段目反応に用いられる重合性モノマーを添加してラジカル反応させ、多相構造粒子懸濁液を得る反応である。
二段目反応に用いられる重合性モノマーの添加時期は、一段目反応の重合転化率が90%以上となった時期が望ましい。この時期があまり早すぎると、ポリマー粒子の脱水時や乾燥時にポリマー粒子間で凝集、融着が起こることがある。
二段目反応における重合性モノマーの添加方法としては、界面活性剤もしくは分散安定剤と共に予め乳化液、あるいは懸濁液を調製し、一括もしくは所定の時間をかけて供給する方法が好ましく用いられる。
【0034】
コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子、特に、ガラス転移温度が20℃以下のゴム状ポリマーからなるコアとガラス転移温度が50℃以上のガラス状ポリマーからなるシェルとを有する多相構造粒子において、コアとシェルとの質量比(コア:シェル)は、95:5〜30:70が好ましく、特に90:10〜50:50が好ましい。質量比(コア:シェル)95:5よりコアの比が大きくなると、シェルの粒子に対する厚みが小さくなり、ポリマー粒子の製造時の粒同士の融着が生じ易くなる、シェルの効果が少なくなり硬化性軟質ポリマーとの混合時に粒子が破損し易くなるなどの弊害が生じ易くなる。また、逆に質量比(コア:シェル)30:70よりコアの比が小さくなると、シェルの粒子に対する厚みが厚くなり過ぎて粒子の柔軟性が損なわれる結果となり、本発明の特徴であるコア部内包部成分を選択し外部の硬化性軟質ポリマーに比べ大きなゴム弾性を付与することで、外力が加わった場合コア部が変形し、外力が取り除かれるとゴム弾性効果により、もとの例えば表面凹凸を有する形状に復帰する特徴が損なわれる。このコアとシェルとの質量比は、一段目反応と二段目反応の反応時間の割合と二段目反応のモノマー滴下量により変化させることが可能である。
また、平均粒子径は、0.5〜100ミクロンが好ましく、特に2〜80ミクロンが好ましい。
【0035】
熱または紫外線硬化性樹脂と常温から高温に至る幅広い温度域でゴム弾性を示すアクリロイルないしメタアクリロイル基を有するモノマーとの重合により硬化性軟質ポリマーを形成するには、ラジカル重合開始剤を要するが、使用できるラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じる熱重合開始剤、紫外線等の光照射によりラジカルを生じる光重合開始剤が有用であり、これらは本発明の樹脂組成物の硬化の仕様に応じて選択され、または組み合わせて利用することができる。
【0036】
熱重合開始剤としては、ジアゾ化合物を使用することもできるが、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど有機過酸化物を用いるのが実用的である。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジブチルパーオキシヘキサン等が挙げられる。
【0037】
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
また、市販のものが使用でき、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名ダロキュア1173、チバ社製)等が好ましい。
【0038】
本発明の化粧合板は、硬化性軟質ポリマーとコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子とを含む本発明の樹脂組成物からなるトップコートが形成された化粧合板である。
また、本発明の化粧合板の製造方法は、(A)数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂と、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(C)コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子と、(D)ラジカル重合開始剤とを含むトップコート用樹脂組成物を木材単板上または該木材単板上に既に形成されている樹脂塗膜上に塗布する。
【0039】
本発明において使用される木材単板は、一般的な突き板、集成材単板等でよく、厚さ0.1〜5mm程度のものが好ましい。材質としては、特に限定するものではなく、好ましくは広葉樹のような比較的密度が高いものである。また、木材単板を貼り付けるための台板は、木材単板と同じ材質または異質のもの、あるいは合板、ファイバーボード、パーティクルボード等が例示しうる。
上記のように、トップコートは木材単板上に形成する場合と該該木材単板上に既に形成されている樹脂塗膜上に形成する場合がある。そのような樹脂塗膜は、例えばウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びポリエステルアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂などの(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、並びにビニル基を有する樹脂などにより表面光沢・質感向上等の目的で形成されるものである。
【0040】
木材単板の表面は、塗布に先立ち、サンドペーパー等による研磨処理を施すことが好ましく、木材単板に木目調等の印刷が施されていてもよい。
また、本発明の樹脂組成物が応用できるトップコートは、木材単板に限らず、表面保護が要求される、鋼板やアルミニウム板、銅板などの金属板、合成樹脂板等であってもよく、これらの場合も、サンドペーパーによる研磨や下地処理、印刷等を適宜施されたものに塗布して硬化すればよい。
【0041】
塗布に先立ち、上記(A)ビニルエステル樹脂と、(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(C)コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子と、(D)ラジカル重合開始剤および所望により添加される各種成分を撹拌混合して、化粧合板トップコート用樹脂組成物を得る。樹脂組成物の粘度は、1〜100ポイズ、好ましくは1〜40ポイズである。
【0042】
塗布する方法は、特に限定されなく、例えば、ロールコーター、カーテンコーター、スポンジロールコーター、リバースロールコーター、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装、刷毛塗装等の公知の塗装手段を利用することができる。また、当該トップコート用樹脂組成物を木材単板上または該木材単板上に既に形成されている樹脂塗膜上に塗布する場合の厚さは、乾燥・硬化後の厚さとして、10〜1000ミクロンであることが好ましい。
【0043】
次いで、前記木材単板の樹脂組成物塗布面に紫外線を照射して、(A)ビニルエステル樹脂と、(B)(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの重合を促進し、前記塗布面を硬化しトップコート層を形成する。紫外線照射装置は、通常使用されているものでよく、照射条件は、(D)ラジカル重合開始剤の種類と加工時間とを考慮して決定することができる。一般的には、高圧水銀灯としてオゾン型・出力/80w/cm2を用い,UV積算強度200〜1000mj/cm2、UVピーク強度100〜300mw/cm2と設定するのが工業的である。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例でさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
5Lガラスフラスコ中で下記の各構成成分を混合攪拌して、粘度11ポイズ、無色透明のトップコート用樹脂組成物を得た。
【0045】
(A)ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂 41質量部
(昭和高分子社製:商品名 リポキシVR−60、数平均分子量1950)
(B)ブトキシエチルアクリレート 32質量部
(B)モルホリンアクリレート 15質量部
(B)フェノキシエチルアクリレート 10質量部
(C)コア/シェル構造有機ポリマー粒子 10質量部
(ガンツ化成社製:商品名 ガンツパールGBM55)
(D)光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 4質量部
(チバ社製:商品名 ダロキュア1173)
【0046】
ラワン合板からなる台板(厚さ15mm)の表面に約200ミクロンの厚みに上記トップコート用樹脂組成物の構成成分中のコア/シェル構造の有機ポリマー粒子を含まず、かつ(D)の光重合開始剤に代えてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート 2質量部添加した化粧合板用樹脂組成物を刷毛塗りし、これに厚さ0.5mmの楢材などの広葉樹単板を台板に重ね、次いで、単板表面上に厚さ100ミクロンのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを重ねて、130℃、10kg/cm2となるよう設定された熱プレスを用いて5分間加圧および加熱し、接着および材の強化と材硬度を向上させた。更にこの上に市販の熱硬化によりウレタンアクリレート樹脂系の塗料を厚さ150μ程度の中塗り塗膜を形成した。
【0047】
硬化後の表面を#240サンドペーパーを用いて研磨を行なった上記単板に上記の化粧合板トップコート用樹脂組成物を厚さ100ミクロンになるようコーティングし、高圧水銀灯(8KW)の照射装置を用いて、ランプ高さ10cm、コンベアスピード2m/分で硬化して、トップコート化粧合板のテストピースを作成した。
【0048】
得られたトップコート化粧合板の表面硬度を試験した。その結果、JIS K5600に定める鉛筆硬度試験に基づき化粧合板に硬度7Hの鉛筆を用いて試験したが引っかき傷は生じなかった。一時的な凹みは生じたが、室温下短時間のうちにその凹みも元に戻った。使用した鉛筆硬度試験機は、本不二商会社製鉛筆硬度試験機(型式番号326)で、トップコート化粧合板の表面の耐傷つき性が大幅に改良されていた。更に当該化粧合板の光沢を、JIS K−5600に定める方法にて測定したところ、光沢値(グロス)として25±3以下に設定できることが判明した。光沢計(グロスメータ)は村上色彩技術研究所社製トルーグロス(GM−26PRO/AUTO)を用いた。
【0049】
また、本実施例で表面仕上げに用いたトップコート用樹脂組成物を2枚の透明ガラス板間に挟み、両面から紫外線照射して、厚さ2mmの透明シートを得た。このシートから幅8mm、長さ100mmの物性測定用試験体を切り出し、インストロン型モデル5583万能引張試験機(インストロンジャパン社製)にて、引張り速度1mm/分にて性能試験を行なったところ、表1に示すデータを得た。
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置レオバイブロン(オリエンテック社製、DDV−25FP)により、加振周波数1Hzの条件で測定した。
【0050】
(比較例1)
トップコート用樹脂組成物として、(C)コア/シェル構造有機ポリマー粒子成分を含まない他は実施例1と同一組成のトップコート用樹脂組成物液を使用し、その他は実施例1と全く同様に実施して、トップコート化粧合板のテストピースを作成した。
【0051】
得られたトップコート化粧合板に対して、JIS K5600に定める鉛筆硬度試験に基づき表面硬度試験を行なった。その結果、化粧合板に硬度7Hの鉛筆を用いて試験したが引っかき傷は生じず、凹み傷は生じたが、その凹み傷も、室温下において短時間のうちに元に戻った。更に実施例1と同様の分析と試験を行ない以下の結果を得た。光沢値(グロス)は、95と艶消しとはならなかった。
【0052】
以上のように、比較例1のトップコート用樹脂組成物は、得られた化粧合板は凹み傷の自己修復性の点はともかくとして、耐光沢変化能が低くまた艶消し効果もないことから、幅広い意匠性と高度な品質を要求し、使用条件の過酷な机や床材等としてのトップコートとしては実用上不十分であった。
【0053】
また、実施例1同様、表面仕上げに用いたトップコート用樹脂組成物を2枚の透明ガラス板間に挟み、両面から紫外線照射して、厚さ2mmの透明シートを得た。このシートから物性測定用試験体を切り出して性能試験を行なった結果を表1に示す。
実施例1同様 表1に記載により省略。
【0054】
(比較例2)
トップコート用樹脂組成物として、(C)コア/シェル構造有機ポリマー粒子成分に代えて、同質量部の平均粒径3μmの無機フィラー(冨士シリシア(株)製、サイリシア350)を含む他は実施例1と同一組成
のトップコート用樹脂組成物液を使用し、その他は実施例1と全く同様に実施して、トップコート化粧合板のテストピースを作成した。
【0055】
得られた化粧合板に対してJIS K5600に定める鉛筆硬度試験を実施した。その結果、硬度Hの鉛筆を用いて試験したが容易に引っ掻き傷が生じ表面硬度はFと認められた。また、化粧合板に硬度Fの鉛筆を用いて凹み傷をつけた後室温下凹みの回復を観察したが、最終的に凹み傷は回復せず、筋状の痕跡が残った。傷つき性及び凹み傷の回復性の点で不満足であった。
【0056】
また、実施例1同様、表面仕上げに用いたトップコート用樹脂組成物を2枚の透明ガラス板間に挟み、両面から紫外線照射して、厚さ2mmの透明シートを得た。このシートから物性測定用試験体を切り出して性能試験を行なった結果を表1に示す。
【0057】
(実施例2)
5Lガラスフラスコ中で下記の各構成成分を混合攪拌して、粘度9.5ポイズの無色透明な化粧合板トップコート用樹脂組成物を得た。
【0058】
(A)ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂 50質量部
(リポキシVR−90 昭和高分子社製品、数平均分子量1100)
(B)モルホリンアクリレート 10質量部
(B)イソオクチルアクリレート 26重量部
(B)トリメチロールプロパントリアクリレート 5重量部
(C)コア/シェル構造有機ポリマー粒子 5質量部
(ガンツ化成社製:商品名 ガンツパールGBM55)
(D)光重合開始剤 化学名 1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
4質量部
(チバ社 製:商品名 イルガキュア184)
【0059】
トップコート用樹脂組成物として、上記のトップコート用樹脂組成物を使用し、その他は実施例1と全く同様に実施して、トップコート化粧合板のテストピースを作成した。
【0060】
得られたトップコート化粧合板の表面硬度を試験した。その結果、JIS K5600に定める鉛筆硬度試験に基づき化粧合板に硬度7Hの鉛筆を用いて試験したが引っかき傷は生じなかった。一時的な凹みは生じたが、室温下短時間のうちにその凹みも元に戻った。(使用した鉛筆硬度試験機は、本不二商会社製鉛筆硬度試験機で、型式番号326である)、トップコート化粧合板の表面の耐傷つき性が大幅に改良されていた。更に当該化粧合板の光沢を、JIS K−5600に定める方法にて測定したところ、光沢値(グロス)として50±5に設定できることが判明した。
【0061】
各実施例、比較例のトップコート用樹脂組成物によるシートテストの結果を表1にまとめて示す。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明にかかる樹脂組成物は、改良された自己修復性を有し、かつ凹み傷などの凹凸が生じた場合でも早急かつ簡便に修復可能な化粧合板のトップコート用等に好適で極めて実用的であり、化粧合板や各種板状物等のトップコート剤として有効に活用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性軟質ポリマーとコア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記硬化性軟質ポリマーが、(A)数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂と、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、またはビニル基を含有する重合性モノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化性軟質ポリマーと前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子との配合質量比(硬化性軟質ポリマー:有機ポリマー粒子)が50:50〜99:1である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子がガラス転移温度が20℃以下のゴム状ポリマーからなるコアとガラス転移温度が50℃以上のガラス状ポリマーからなるシェルとを有する多相構造粒子である請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子のコアとシェルとの質量比(コア:シェル)が95:5〜30:70の範囲で、平均粒子径が0.5〜100ミクロンである請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなるトップコートが形成されていることを特徴とする化粧合板。
【請求項7】
(A)数平均分子量が800以上であるビスフェノールA型ビニルエステル樹脂と、(B)(アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(C)コア/シェル構造を有する有機ポリマー粒子と、(D)ラジカル重合開始剤とを含むトップコート用樹脂組成物を木材単板上または該木材単板上に既に形成されている樹脂塗膜上に塗布し、次いで該樹脂組成物塗布面に紫外線を照射して、前記塗布面を硬化し、トップコートを形成することを特徴とする化粧合板の製造方法。


【公開番号】特開2006−257289(P2006−257289A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77453(P2005−77453)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(397020984)大谷塗料株式会社 (5)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【Fターム(参考)】