説明

樹脂組成物および光硬化注型成形方法

【課題】エネルギー線照射により硬化可能で、振動疲労耐久性、且つ成形性に優れた光硬化性樹脂組成物とそれを用いる光硬化注型成形方法を提供する。
【解決手段】(A)光硬化性樹脂組成物、(B)光重合開始剤、(C)酸化防止剤と(D)光安定剤との少なくとも1種以上と、更に(E)離型剤を含有する樹脂組成物であって、(A)光硬化性樹脂組成物が、(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上と、(A−2)単官能(メタ)アクリレート1種以上とからなり、(E)離型剤がシリコーン化合物であることを特徴とする樹脂組成物とそれを用いる光硬化注型成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線、可視光線等のエネルギー線照射により硬化可能で、振動疲労耐久性、且つ成形性に優れた光硬化性樹脂組成物、およびその硬化体に関し、更に、該樹脂組成物をエネルギー線の透過可能な材料で作成された型中に注入し、該型の外側より紫外線、可視光線等のエネルギー線照射することにより硬化させ、成形体を形成することを特徴とする光硬化注型成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に柔軟性、伸縮性、弾性といった、所謂ゴム特性を与える組成物はエラストマーと呼ばれ、その振動に対する疲労耐久性が、他の高分子素材と比較し抜きんでて優れているため、タイヤ等の自動車部材、土木、建築等の構造物用シール部材、Oリング等のパッキング部材、スピーカー等の音響用部材、携帯電話用キーシート等のシート部材、防振材料、各種機構部材等として適用されている。
【0003】
従来のエラストマー(以下、記号Rで示す)としては、天然ゴム、変性天然ゴム、グラフト天然ゴム、環化天然ゴム、塩素化天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、ニトリルゴム/塩化ビニル樹脂ブレンド、ニトリルゴム/EPDMゴムのブレンド、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、メチルシリコーンゴム、ビニル−メチルシリコーンゴム、フェニル−メチルシリコーンゴム、フッ化シリコーンゴム等のゴム材料、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー材料が知られている。
【0004】
一般にエラストマー(R)の成形体を得る方法としては、硬化剤および他の添加剤を配合したエラストマー原料を充分に混練する混練り工程、そして、練り生地を真空成形法、圧空成形法、上型下型を一組とする成形型(以下、上下型という)による加熱加圧成形法、射出成形法等により成型し、加熱、加圧により加硫または硬化させる硬化工程(加硫工程)を経て、目的の成形体が得られている。
【0005】
しかしながら、前記の真空成形法、圧空成形法、上下型による加熱加圧成形法などでは、材料の融点付近まで金型温度を上げる必要があり、加熱のために膨大なエネルギーを必要とする。また、金型を冷却して取り出す必要があるので、成形サイクルに長時間費やすことになる。
【0006】
射出成形法では、溶融した樹脂が温度差のある金型に接触した直後に冷却され流動性が極端に低下するので、薄肉の成型体を得ることが困難であり、加熱、射出、保圧等の工程上、設備も高額となる。また、熱可塑性材料を融点近くまで加熱するので、加熱エネルギーが膨大である。
【0007】
成形材料は、前記の真空成形法、圧空成形法、上下型による加熱加圧成形法などでは、目的の部品寸法より略大きな平面材料を成形した後、部品部分を切り出して使用することとなるため、廃棄物が多く発生し、環境的、経済的に好ましくない。
【0008】
真空成形法、圧空成形法、上下型による加熱成形の上記構成材料は、一般的には均一な厚さの材料であるため、成形後は各部分で同じ厚さとなり、同一材料からは各部分の厚さを変えることが困難である。
【0009】
加えて、工業的に製造されている厚さは限られており、それ以外の厚さの材料を得ることは、通常困難である。成形時の延伸などの処理により、厚さを変える方法も提案されているが、成形後の内部応力歪みが大きくなる等の問題が発生する。
【0010】
上記の様な成形法の課題を解決する手段として、特許文献1〜3に記載されているようなエネルギー線透過可能な材料で作成した型中にエネルギー線硬化性液状物質を注入または充填し、紫外線、可視光線等のエネルギー線照射することにより硬化させ、成形体を形成する光硬化注型成形法が挙げられる。
【特許文献1】特許第3140478号公報
【特許文献2】特許第3197907号公報
【特許文献3】特開2004−357020号公報
【0011】
特に特許文献3に記載の成型法は、上型と下型を用いることにより、型を破壊することなく成形体を得ることができ、同じ型で繰り返し成形体を製造することができる。
【0012】
より詳しくは、上型、下型よりなる一組の成形型の少なくともいずれか一方を光が透過する材料にて形成し、かつ光照射により硬化可能な樹脂をセットして型を閉じ、光を透過する型の外側から光を照射し、樹脂を硬化させて目的形状の硬化体を得る方法であり、この方法により、少ないエネルギーおよび少ない工数で、任意の厚みの成形体を容易かつ安価に製造することが可能となる。
【0013】
しかしながら、上記の光硬化注型成形法に適する成形性、より詳しくは低粘度、低硬化収縮、硬化性、離型性、を有し、さらに、得られる硬化体が従来のエラストマーに要求される弾性率、伸び、且つ振動疲労耐久性をも満たす樹脂組成物は知られていない。光硬化可能なエラストマーまたはゴム弾性を示す樹脂組成物として、特許文献4〜6が開示されているが、特許文献4および特許文献5に記載のシーリング材用樹脂組成物、また、特許文献6に記載の光学的立体造形用樹脂組成物は、上記の光硬化注型成形に要求される成形性とエラストマーに要求される振動疲労特性とを満足するものではなかった。
【特許文献4】特表2002−501109号公報
【特許文献5】特表2003−505525号公報
【特許文献6】特開2000−290328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、公知技術の前記の事情に鑑みてなされたもので、紫外線、可視光線等のエネルギー線照射により硬化可能で、振動疲労耐久性、且つ成形性に優れた光硬化性樹脂組成物、およびその硬化体に関し、更に、該樹脂組成物をエネルギー線の透過可能な材料で作成された型中に注入し、該型の外側より紫外線、可視光線等のエネルギー線照射することにより硬化させ、成形体を形成することを特徴とする光硬化注型成形方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は次の通りである。
【0016】
(1)(A)光硬化性樹脂組成物、(B)光重合開始剤、(C)酸化防止剤と(D)光安定剤との少なくとも1種以上と、更に(E)離型剤を含有する樹脂組成物であって、(A)光硬化性樹脂組成物が、(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上と、(A−2)単官能(メタ)アクリレート1種以上とからなり、(E)離型剤がシリコーン化合物であることを特徴とする樹脂組成物である。
【0017】
(2)(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上と、(A−2)単官能(メタ)アクリレート1種以上とを配合比が質量比で5:95〜95:5の範囲からなる(A)光硬化性樹脂組成物100質量部に対して、(B)光重合開始剤0.01〜15質量%、(C)酸化防止剤と(D)光安定剤の合量が0.01〜5質量%、(E)離型剤としてのシリコーン化合物を0.001〜10質量%含有し、硬化体の引張弾性率が1〜30MPaであり、しかも引張破壊伸びが200%以上であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物である。
【0018】
(3)シリコーン化合物が、25℃における動粘度が1,000〜1,000,000mm/sの範囲にあるシリコーン化合物であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の樹脂組成物である。
【0019】
(4)シリコーン化合物が、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を持たない非ラジカル反応性シリコーン化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物である。
【0020】
(5)シリコーン化合物が、ジメチルシリコーンオイルまたはメチルフェニルシリコーンオイルであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物である。
【0021】
(6)シリコーン化合物が、変性シリコーンオイルであることを特徴とする(4)に記載の樹脂組成物である。
【0022】
(7)シリコーン化合物が、アクリル−シリコーン共重合体であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物である。
【0023】
(8)25℃における粘度が100〜100,000mPa・sの範囲にあることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物である。
【0024】
(9)硬化収縮率が0〜5%の範囲にあることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の樹脂組成物である。
【0025】
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる硬化体である。
【0026】
(11)(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物を、エネルギー線の透過可能な材料で作成された型中に注入し、該型の外側より紫外線、可視光線等のエネルギー線照射することにより硬化させ、成形体を形成することを特徴とする光硬化注型成形方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の樹脂組成物は、紫外線または可視光線等の光照射により短時間に硬化し、成形性に優れ、しかもその硬化体は振動疲労耐久性に優れるという特性を有しているので、タイヤ等の自動車部材、土木、建築等の構造物用シール部材、Oリング等のパッキング部材、スピーカー等の音響用、携帯電話用キーシート等のシート部材、プラスチックレンズ等の樹脂成型品、防振材料、プラスチックフィルム材料、各種機構部材等に好適に使用できる。また、本発明の光硬化注型成形方法は、前記特定の樹脂組成物を用いているので、振動疲労耐久性に優れるいろいろな形状の硬化体を生産性良く提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本明細書において用いられる「分子量」なる用語は、特に説明がない場合、重量平均分子量を意味する。
【0029】
本明細書において用いられる「Tg」なる用語は、特に説明がない場合、ガラス転移温度を意味する。
【0030】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、特に説明がない場合、直鎖、分岐および環状飽和炭化水素基を意味する。
【0031】
本明細書において用いられる「粘度」なる用語は、特に説明がない場合、「絶対粘度」を意味し、流速勾配とそれに対して発生する剪断応力との比例係数として定義される。一方、「動粘度」なる用語は、絶対粘度を密度で除した値で定義される。前者はB型粘度計、E型粘度計、レオメーター等の粘度計により測定でき、後者は動粘度計により測定できる。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、光照射を受けて硬化体を形成する光硬化性樹脂組成物である。ここでいう光とは、紫外線、可視光線等に代表される活性エネルギー線をいう。本発明の目的を達成するにあたっては、光硬化性樹脂組成物としては、特定のウレタン(メタ)アクリレートと特定の(メタ)アクリレートモノマーとからなる樹脂組成物が選択され、(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上と、(A−2)単官能(メタ)アクリレート1種以上とからなる樹脂組成物(A)が選択される。
【0033】
(A−1)成分である、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール化合物(以後、Xで表す)と有機ポリイソシアネート化合物(以後、Yで表す)とヒドロキシ(メタ)アクリレート(以後、Zで表す)とを反応させてなる、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーをいう。
【0034】
ポリオール化合物(X)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ブチルエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールや、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール、該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール、カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等のポリジエン系ポリオール、ポリジメチルシロキサンポリオール等のシリコーンポリオール等が挙げられ、特に好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールである。
【0035】
分子量については、200〜10,000であることが好ましく、より好ましくは500〜8,000、更に好ましくは1,000〜6,000である。分子量が200以上ならば好適な振動疲労耐久性を得ることができるし、10,000以内であれば硬化性が低下することもなく、好ましい。
【0036】
有機ポリイソシアネート化合物(Y)としては、特に限定されることなく、例えば芳香族系、脂肪族系、環式脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、中でもトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等のポリイソシアネート或いはこれらポリイソシアネートの三量体化合物、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が好適に用いられ、中でも水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。ポリイソシアネート化合物(Y)の分子量は500以下が好ましい。500以下であればジオールとの反応性が低下することもない。
【0037】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート(Z)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、4−ブチルヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
【0038】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーにおいて、分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、分子の末端又は側鎖に1個以上6個以下、より好ましくは2個以上4個以下の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。(メタ)アクリロイル基がない場合、前記(A−2)成分である単官能(メタ)アクリレートと共重合できず、6個より多い場合は、得られる成型体が硬くなりすぎて、優れた振動疲労耐久性が得られないことがある。
【0039】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量については5,000以上100,000以下が好ましく、より好ましくは10,000以上50,000以下である。分子量が5,000以上ならば、得られる成型体が硬くなりすぎることもなく、100,000以下であれば、硬化性が悪くなることもなく、振動疲労耐久性に優れる硬化体を得ることができる。
【0040】
前記(A−2)成分である単官能(メタ)アクリレートは、分子内に1つの(メタ)アクリロイル基を含有するものであれば特に限定されないが、下記式〔1〕または〔2〕で表される単官能(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物は振動疲労耐久性の優れた硬化体を得ることができるため特に好ましい。
【化1】


(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜22である直鎖もしくは分岐アルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基により置換されたシクロヘキシル基、フェニル基、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基により置換されたフェニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基、アリル基である。)
【化2】


(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜4である直鎖もしくは分岐アルキル基、Rは、炭素数1〜4である直鎖もしくは分岐アルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基により置換されたシクロヘキシル基、フェニル基、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基により置換されたフェニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基、アリル基であり、nは1〜12の整数である。)
【0041】
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピオキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が例示できる。尚、アクリレートとメタクリレートとではメタクリレートの方がより好適な振動疲労耐久性に優れた硬化体を与える。
【0042】
(A−2)単官能(メタ)アクリレートは、当該ホモポリマーのTgが20℃以上の単官能(メタ)アクリレートを1種以上含有することが好ましい。さらに好ましくはTgが50℃以上、特に好ましくは80℃以上である。Tgが20℃以上であれば、得られる硬化体が柔軟すぎたり、硬化性が悪くなったりすることもない。尚、本発明の樹脂組成物のTgについては、例えばDSCや動的粘弾性等の公知の方法で測定される。
【0043】
本発明の光硬化性樹脂組成物に於いて、(A−1)成分と(A−2)成分の配合比は、質量比で5:95〜95:5の範囲、特に好ましくは20:80〜80:20の範囲とするとき、光照射により得られる硬化物は、優れた振動疲労耐久性を有するので特に好ましい。
【0044】
(B)成分である光重合開始剤は、紫外線重合開始剤や可視光重合開始剤等があるが、どちらも制限無く用いられる。光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、チオキサントン系、メタロセン系、キノン系、ボロン系等が挙げられる。
【0045】
本発明に於いて、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンジル,ベンゾイン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、カンファーキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2-ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0046】
(C)成分である酸化防止剤としては、例えば、β−ナフトキノン、2−メトキシ−1,4−ノフトキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−p−ベンゾキノン等のキノン系化合物、フェノチアジン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、カテコール、tert−ブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9−ビス〔2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド〕、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕フォスフォネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサ−tert−ブチル−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス〔〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕フォスフォネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス〔(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル〕−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,6−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、ピクリン酸、クエン酸等のフェノール系化合物、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス〔2−〔〔2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕エチル〕アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリートールジフォスファイト、ビス〔2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル〕エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)〔1,1−ビスフェニル〕−4,4‘−ジイルビスホスフォナイト、6−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ〔d、f〕〔1,3,2〕ジオキサフォスフェフィン等のリン系化合物、ジラウリル3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾール等のイオウ系化合物、フェノチアジン等のアミン系化合物、ラクトン系化合物、ビタミンE系化合物等が挙げられ、中でもフェノール系化合物が好適である。
【0047】
(D)成分である光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
【0048】
本発明の樹脂組成物に於いて、(A)100質量部に対して、(B)成分が0.01〜15質量部、(C)成分および(D)成分の合量が0.01〜5質量部含有する組成とするとき、得られる硬化物は、優れた振動疲労耐久性を有するので特に好ましい。
【0049】
さらに本発明の樹脂組成物においては、成型体に離型性を付与する目的で(E)離型剤としてシリコーン化合物を少なくとも1種類以上含む。
【0050】
シリコーン化合物とは、分子内に下記式〔3〕で表される骨格を有する化合物であり、具体例としては、シリコーンオイル、シリコーンレジン、シリコーンゴム、シリコーンワニス、シリコーンゲル、シリコーンパウダー、さらにアクリル−シリコーン共重合体、スチレン−シリコーン共重合体、ポリウレタン−シリコーン共重合体などが挙げられる。
【化3】


(式中Rは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基で置換されたフェニル基を表し、nは1以上の整数を表す。)
【0051】
本発明の樹脂組成物において、好ましく用いられるシリコーン化合物は、25℃の動粘度が1,000〜1,000,000mm/sの範囲であるシリコーン化合物である。25℃の動粘度が1,000〜1,000,000mm/sの範囲であれば、好適な離型性を付与し、且つブリードアウトすることもなく、貯蔵安定性も優れるためである。尚、動粘度の測定には、公知の動粘度計を用いることができる。
【0052】
さらに、本発明の樹脂組成物においては、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有しないシリコーン化合物であることが好ましい。分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有すると、樹脂組成物(A)とともに反応してしまい本来得られるはずの振動疲労耐久性が得られないことがあるためである。
【0053】
25℃の動粘度が1,000〜1,000,000mm/sの範囲であり、且つ分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合有しないシリコーン化合物としては、ストレートシリコーンオイルや変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルが好ましい。
【0054】
ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられるが、動粘度の調整し易さから、特に好ましくはジメチルシリコーンオイルまたはメチルフェニルシリコーンオイルである。
【0055】
変性シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、アラルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メチルスチリル変性、メルカプト変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等の変性シリコーンオイルが挙げられる。尚、変性箇所により、側鎖型、片末端型、両末端型、側鎖両末端型に大別されるが、特に限定されない。変性シリコーンオイルにおいて、エポキシ変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、アラルキル変性の変性シリコーンオイルは、樹脂組成物(A)で発現される振動疲労耐久性を損なうことなく、好適な離型性を付与し、且つブリードアウトすることなく特に貯蔵安定性に優れるため特に好ましい。
【0056】
また、本発明の樹脂組成物において、好ましく用いられるシリコーン化合物としてアクリル−シリコーン共重合体が挙げられる。アクリル−シリコーン共重合体としては、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステルとポリジメチルシロキサンとのブロック共重合体、または分岐グラフト共重合体が、好適な離型性を付与し、且つブリードアウトすることなく特に貯蔵安定性に優れるため好ましい。具体例としては、日本油脂(株)社製のモディパーFS700、綜研化学(株)社製のアクトフローUTMM−LS2、アクトフローIBMGV−LS2、東亞合成(株)社製のサイマックUS−270、サイマックUS−380等が例示できるが特にこれらに限定されない。
【0057】
アクリル−シリコーン共重合体の分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好適な離型性を付与し、且つブリードアウトすることなく貯蔵安定性に優れるため好ましく、特に好ましくは2,000〜50,000である。また、共重合体中に占めるシリコーンの割合は0.1〜99.9質量%が好ましく、特に好ましくは10〜90質量%である。
【0058】
本発明の樹脂組成物中におけるシリコーン化合物の占める割合は、(A)100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部である。0.001質量部より少ないと、充分な離型性が得られず、10質量部より多いと、硬化性が悪くなってしまうことがあるためである。
【0059】
さらに本発明の樹脂組成物において、優れた振動疲労耐久性を得るためにゴム組成物を配合することができる。
【0060】
ゴム組成物としては、前記のエラストマー(R)が例示できるが、その中でも光硬化性樹脂への相溶性の面から特に好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ビニル系化合物、及びオレフィン系炭化水素化合物からなる群から選ばれる単量体からなる共重合体であるゴム組成物が好ましい。
【0061】
ゴム組成物の分子量は、好ましくは500〜50,000の範囲にあり、特に好ましくは750〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000の範囲である。分子量が500以上で、光硬化性樹脂は充分な振動疲労耐久性を得ることができ、50,000以下であれば、光硬化性樹脂との相溶性にも優れるので好ましい。
【0062】
ゴム組成物のTgは、光硬化性樹脂に優れた振動疲労耐久性を与えるために、25℃未満であることが好ましい。より好ましくは0℃未満であり、更により好ましくは−20℃未満である。
【0063】
ゴム組成物の25℃での粘度は、100〜100,000mPa・sの範囲であることが好ましい。100mPa・s以上で、充分な振動疲労耐久性を与えることができ、100,000mPa・s以下で光硬化性樹脂との相溶性が得られ、さらに光硬化性樹脂自体が増粘することがなく、好ましい。尚、粘度の測定方法に特に制限はないが、B型粘度計、E型粘度計、レオメーター等の公知の粘度計を用いて測定できる。
【0064】
本発明の樹脂組成物中におけるゴム組成物の占める割合は(A)100質量部に対して、0.01〜70質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜50質量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜30質量部である。0.01質量部より少ないと充分な振動疲労耐久性が得られず、70質量部より多いと、得られる光硬化性樹脂が柔軟すぎ、さらに、硬化性が低下するためである。
【0065】
さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化体は、JIS K7113(プラスチックの引張試験方法)に準拠して引張試験測定を実施したとき、引張弾性率が1〜30MPaであり、しかも引張破壊伸びが200%以上であり、優れた振動疲労耐久性を示すことを特徴とする。硬化体の引張弾性率が1MPa以上であれば、得られる硬化体が柔らかすぎて目的の形状を保持できないという問題を生じることもない。また、硬化体の引張弾性率が30MPa以下で、しかも引張破壊伸びが200%以上であれば、優れた振動疲労耐久性を得ることができる。
【0066】
本発明に於いては、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲において、顔料(チタン白、シアニンブルー、ウォッチングレッド、ベンガラ、カーボンブラック、アニリンブラック、マンガンブルー、鉄黒、ウルトラマリンブルー、ハンザレッド、クロームイエロー、クロームグリーン等)、無機充填剤(炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、硫酸バリウム、リトポン、石コウ、ステアリン酸亜鉛、パーライト、石英、石英ガラス、溶融シリカ、球状シリカ等のシリカ粉等や、球状アルミナ、破砕アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の酸化物類、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物類、炭化ケイ素等の炭化物類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物類、銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属類や合金類、ダイヤモンド、カーボン等の炭素系材料等)、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂(高密度、中密度、低密度の各種ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリルゴム、ウレタンゴムなどの各種エラストマー樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体などのグラフト共重合体等)、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維等)、垂れ止め剤(水添ヒマシ油、微粒子無水硅酸等)、艶消し剤(微粉シリカ、パラフィンワックス等)、研削剤(ステアリン酸亜鉛等)を配合することも可能である。
【0067】
又、上記の成分以外にも、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、熱重合開始剤、シランカップリング剤、密着性付与剤等を併用することも可能である。
【0068】
以上の様にして得られる本発明の樹脂組成物に、光照射により、短時間に硬化し、成形性および振動疲労耐久性に優れた硬化体を得ることができる。
【0069】
また、本発明の樹脂組成物の成形体を成形する場合、その手段は種々の方法を採用することができるが、特に次の2つの方法が好ましい。(1)上型、下型よりなる一組の成形型の少なくともいずれか一方を光が透過する材料にて形成し、硬化前の該光硬化性樹脂組成物を所定量配置する。次に上型と下型を圧着して、型閉じし、光を透過する材料からなる型の外側から光を照射し、樹脂を硬化させて目的の硬化体を得る方法、或いは、(2)上型、下型よりなる一組の成形型の少なくともいずれか一方を光が透過する材料にて形成し、次に上型と下型を圧着して、型閉じし、次に型に予め形成しておいた注入口より、硬化前の該光硬化性樹脂組成物を所定量注入する。そして、光を透過する材料からなる型の外側から光を照射し、樹脂を硬化させて目的の硬化体を得る方法。
【0070】
光を透過する型に用いられる材料としては、例えば石英、石英ガラス、硼珪酸ガラス、ソーダガラス等のガラス材料、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、セルロース樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等の樹脂材料が例示できる。中でも透明性、耐久性に優れ、且つ安価に型を製造できることから、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂が特に好ましく、アクリル樹脂を使用することで本発明の樹脂組成物が示す優れた成形性を最大に発揮することができる。
【0071】
光源としてはハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ(インジウム等を含有する)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、キセノンエキシマランプ、キセノンフラッシュランプ等が挙げられる。
【0072】
各々放射波長、エネルギー分布が異なるため、上記光源は光重合開始剤の反応波長などにより選択される。また、自然光(太陽光)も反応開始光源になり得る。
【0073】
上記光源は、直接照射、反射鏡等により集光照射、ファイバー等による集光照射をすることができ、低波長カットフィルター、熱線カットフィルター、コールドミラー等も用いることもできる。
【0074】
また、上記の成形方法により本発明の樹脂組成物の成形体を成形する場合、樹脂組成物の硬化収縮率は0%〜5%であることが好ましい。0%未満(硬化により膨張すること表す)であったり、5%を越えたりすると、型精度と硬化物に差が生じるため目的形状の硬化体が得られ難いためである。
【0075】
また、樹脂組成物の粘度は、25℃で100〜100,000mPa・s、特に好ましくは、3,000〜90,000mPa・sであることが好ましい。100mPa・s未満であると、液漏れ等を起こし目的の形状の成型体が得られないことがあるし、100,000mPa・sを越えると、充填しにくく、また、型を押し上げてしまう等して、目的の形状の硬化体が得られなくなることがあるためである。
【実施例】
【0076】
以下に実施例および比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0077】
〈実施例1〜13、および比較例1〜8〉
表1〜3に示す種類の各成分を表中に示す組成で混合して光硬化性樹脂組成物を調整した。尚、表1〜3に記載の各成分には以下の化合物を選択した。
【0078】
(A−1)成分の分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、下記(a1)と(a2)を用いた。尚、下記に記載の分子量とは、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)(溶剤:テトラヒドロフラン(THF))で測定した、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(a1)ポリエステルポリオール系ウレタンアクリレート
(日本合成化学工業(株)社製 UV−3000B 分子量:18,000)、
(a2)ポリエーテルポリオール系ウレタンアクリレート
(日本合成化学工業(株)社製 UV−3700B 分子量:37,000)。
また、(A−1)における分子量5,000〜100,000を満たさないウレタン(メタ)アクリレートとして下記(a3)の化合物を用いた。
(a3)ポリエステルポリオール系ウレタンアクリレート
(根上工業(株)社製 SD−7 分子量:3,500)。
【0079】
(A−2)成分の単官能(メタ)アクリレートとしては、下記(a4)と(a5)を用いた。
(a4)ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業(株)社製 ファンクリルFA−513M)、
(a5)n−ブチルメタクリレート(共栄社化学(株)社製 ライトエステルNB)。
また、(A−2)における単官能を満たさない(メタ)アクリレートモノマーとして、下記(a6)と(a7)を用いた。
(a6)1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)社製 ライトエステル1,9ND)、
(a7)ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレンオキサイドの繰り返し数=9)(共栄社化学(株)社製 ライトエステル9EG)。
【0080】
(B)成分の光重合開始剤としては、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)社製 IRGACURE819)
を用いた。
【0081】
(C)成分の酸化防止剤としては、
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)社製 IRGANOX1076)
を用いた。
【0082】
(D)成分の光安定剤としては、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(三共ライフテック(株)社製 サノールLS−770)
を用いた。
【0083】
(E)成分の離型剤であるシリコーン化合物としては、下記(e1)〜(e8)を用いた。
(e1)ジメチルシリコーンオイル(1)
(信越化学(株)社製 KF−96H−10万cs 動粘度:100,000mm/s)、
(e2)ジメチルシリコーンオイル(2)
(信越化学(株)社製 KF−96H−100万cs 動粘度:1,000,000mm/s)、
(e3)メチルフェニルシリコーンオイル
(信越化学(株)社製 KF−50−3,000cs 動粘度:3,000mm/s)、
(e4)ポリエーテル変性シリコーンオイル
(信越化学(株)社製 KF−352 動粘度:1,600mm/s)、
(e5)アルキルアラルキル変性シリコーンオイル
(旭化成ワッカーシリコーン(株)社製 Release agent TN 動粘度:1,000〜1,500mm/s)、
(e6)側鎖エポキシ変性シリコーンオイル
(信越化学(株)社製 KF−102 動粘度:4,000mm/s)、
(e7)アクリル−シリコーンブロックコポリマー
(日本油脂(株)社製 モディパーFS700)、
(e8)アクリル−シリコーン分岐グラフトコポリマー
(綜研化学(株)社製 アクトフローUTMM−LS2)。
また、シリコーン化合物以外で離型剤として一般的な化合物として下記(f1)と(f2)を用いた。
(f1)ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)社製)、
(f2)流動パラフィン(和光純薬工業(株)社製)。
【0084】
各種物性は、次のように測定した。
【0085】
〔粘度測定〕
E型粘度計(コーンプレート型)を用い、25℃で測定した。
【0086】
〔硬化収縮率〕
硬化前の樹脂組成物の比重dLをJIS Z8804(液体比重測定方法−3.比重びんによる比重測定方法)に、硬化後の樹脂組成物の比重dSをJIS Z8807(固体比重測定方法−4.液中でひょう量する測定方法)にそれぞれ準拠して、23℃で測定し、硬化収縮率r(%)をr(%)={1−(dL/dS)}×100に従って算出した。
【0087】
〔貯蔵安定性〕
樹脂組成物100gを遮光したポリエチレン製の容器中に入れ、40℃で静置し、7日後の液の状態を目視にて観察した。液の表面に上澄み層を形成(ブリードアウト)したものを貯蔵安定性×と判定した。
【0088】
〔光照射条件〕
光照射に際しては、無電極放電ランプ(Dバルブ)を搭載したフュージョン社製ベルトコンベアー式紫外線硬化装置を用い、光硬化性樹脂への積算照射量が4000mJ/cm(365nm)となる条件にて硬化させた。
【0089】
〔離型性評価〕
上型として100mm×100mm×5mm厚のアクリル樹脂板と、上型と同じ形状のアクリル樹脂板の片面の中央部に25mm×25mm×深さ0.2mmの凹部を象った下型とからなる一組の成形型を作成し、硬化前の光硬化性樹脂組成物を下型の凹部に必要量滴下した。次に上型を下型に被せて、圧着、型閉じし、上型の外側から前記の照射条件で光を照射して樹脂組成物を硬化させた。硬化後、上型の外側の中央部にデジタルプッシュプルゲージ(AIKOH ENGINEERRING CO.Ltd.社製 RX−20)を接続し、下型を固定しながらプッシュプルゲージを型の面と垂直方向に引っ張ることで上型が剥がれるのに必要な引っ張り強度を測定した。プッシュプルゲージの値が8.0kgfを越えても上型が剥がれなかったものを離型性×、8.0kgf以下で剥がれたものを離型性○と判定した。
【0090】
〔硬化体試験片の調整〕
上型として200mm×200mm×5mm厚のアクリル樹脂板と、上型と同じ形状のアクリル樹脂板の片面の中央部に目的の形状の凹部を象った下型とからなる一組の成形型を作成し、硬化前の光硬化性樹脂組成物を下型の凹部に必要量滴下した。次に上型を下型に被せて、圧着、型閉じし、上型の外側から前記の照射条件で光を照射し、樹脂を硬化させて目的の硬化体試験片を得た。
【0091】
〔樹脂引張試験〕
JIS K7113(プラスチックの引張試験方法)に準拠し、2(1/2)号ダンベル形状(標点間距離12mm)で1mm厚の試験片を上記の条件で調整し、温度23℃、湿度50%の環境下で、引張速度50mm/minで測定した。引張破壊強さ、引張弾性率、引張破壊伸びの各値については、JIS K7113に準拠して求めた。
【0092】
〔振動疲労耐久試験〕
全長150mm×幅25mm×厚さ1mmの試験片を上記の条件で調整し、JIS K6260(加硫ゴム及び可塑性ゴムのデマチャ屈曲き裂試験方法)を参考にして、予め試験片中央部に約2mmの亀裂を入れた試験片をデマチャ屈曲き裂試験機((株)上島製作所社製)の上下つかみ具につかみ具間隔75mmで固定し、室温雰囲気下、振幅56mm、300回/分の条件で往復運動をさせた。測定は、屈曲回数が0回(初期)、3,000回、54,000回、144,000回の時点で亀裂幅を測定した。この場合、屈曲回数とは、1往復運動を1回とし、屈曲回数は回数計で読みとった。また亀裂幅の測定はつかみ具間隔を65mmにして測定した。また、評価に関しては、144,000回時点で亀裂幅が25mm(=破断)に至らなかったものを、振動疲労耐久性良好とした。
【0093】
得られた樹脂組成物の粘度、硬化収縮率、貯蔵安定性評価、離型性評価、また、硬化体の樹脂引張試験及び振動疲労耐久試験の結果をまとめて表1〜3に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の樹脂組成物は、紫外線または可視光線等の光照射により極めて短時間に硬化し、その硬化体は振動疲労耐久性に優れるという特性を有しているので、タイヤ等の自動車部材、土木、建築等の構造物用シール部材、Oリング等のパッキング部材、スピーカー等の音響用部材、携帯電話用キーシート等のシート部材、プラスチックレンズ等の樹脂成型品、防振材料、プラスチックフィルム材料、各種機構部材等に好適に使用可能であり、産業上非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光硬化性樹脂組成物、(B)光重合開始剤、(C)酸化防止剤と(D)光安定剤との少なくとも1種以上と、更に(E)離型剤を含有する樹脂組成物であって、(A)光硬化性樹脂組成物が、(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上と、(A−2)単官能(メタ)アクリレート1種以上とからなり、(E)離型剤がシリコーン化合物であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が5,000〜100,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上と、(A−2)単官能(メタ)アクリレート1種以上との配合割合が質量比で5:95〜95:5の範囲からなる(A)光硬化性樹脂組成物100質量部に対して、(B)光重合開始剤0.01〜15質量部、(C)酸化防止剤と(D)光安定剤との合量が0.01〜5質量部、(E)離型剤としてのシリコーン化合物を0.001〜10質量部含有し、硬化体の引張弾性率が1〜30MPaであり、しかも引張破壊伸びが200%以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
シリコーン化合物が、25℃における動粘度が1,000〜1,000,000mm/sの範囲にあるシリコーン化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
シリコーン化合物が、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を持たない非ラジカル反応性シリコーン化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
シリコーン化合物が、ジメチルシリコーンオイルまたはメチルフェニルシリコーンオイルであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
シリコーン化合物が、変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
シリコーン化合物が、アクリル−シリコーン共重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
25℃における粘度が100〜100,000mPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
硬化収縮率が0〜5%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる硬化体。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を、エネルギー線の透過可能な材料で作成された型中に注入し、該型の外側より紫外線、可視光線等のエネルギー線照射することにより硬化させ、成形体を形成することを特徴とする光硬化注型成形方法。

【公開番号】特開2007−314715(P2007−314715A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148105(P2006−148105)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】