説明

樹脂組成物

【課題】磁性粉の含有量が高い場合でも成形性と難燃性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂組成物全量100重量部に対して(A)軟磁性金属粉体50〜95重量部、(B)非酸化性の無機化合物粉体2〜40重量部、(C)樹脂2〜40重量部を含むことを特徴とする樹脂組成物。(A)の平均粒径d50が1〜100μmである。(A)が純鉄、カルボニル鉄、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni−Cr合金、及びFe−Ni合金からなる群から選ばれる少なくとも1つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びこの樹脂組成物からなるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子回路の配線部やCPU等の電子部材は電磁波を発生するが、この電磁波が他の電子部材に影響し誤作動を及ぼす恐れがある。また情報通信で電磁波を送受信する際に、目的とする電磁波以外の不要な電磁波に妨害され、電磁波の送受信に支障をきたすこともある。
【0003】
このような不要電磁波を吸収して電子機器の誤作動や情報通信の障害を防ぐ手段として、金属微粒子やフェライト等の磁性体を樹脂に配合した複合材料のシートを用いる方法は従来から知られていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−19846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし近年の電子機器の小型化、薄化に伴い電磁波吸収シートに対する薄化の要求も増していることから、シート加工性が良いことが求められている。また、電磁波吸収特性の良好な金属系軟磁性体の粉体は還元性が高い(即ち、共存する化合物を還元しやすい)場合もあり、空気中でも容易に酸化されやすい。そのような場合には樹脂との組成物の難燃化は困難である。
【0005】
本発明は、磁性粉の含有量が高い場合にも成形性と難燃性に優れる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために磁性粉と樹脂の組成物について鋭意検討した結果、還元性を有する軟磁性金属粉体と樹脂からなる組成物に非酸化性の無機化合物を加えると難燃性及び加工性が向上することを見出し本発明に至った。
【0007】
即ち本発明は、
(1)樹脂組成物全量100重量部に対して(A)軟磁性金属粉体50〜95重量部、(B)非酸化性の無機化合物粉体2〜40重量部、(C)樹脂2〜40重量部を含むことを特徴とする樹脂組成物、
(2)(A)の平均粒径d50が1〜100μmであることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物、
(3)(A)が純鉄、カルボニル鉄、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni−Cr合金、及びFe−Ni合金からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)または(2)に記載の樹脂組成物、
(4)(B)がシリカ、シリカ−アルミナ、及び水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)(C)が塩素化ポリエチレン、シリコーン樹脂、及び四フッ化エチレン−プロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物からなるシート、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、磁性粉の含有量が高い場合にも成形性と難燃性に優れる樹脂組成物が提供される。即ち、本発明の樹脂組成物は、還元性の軟磁性金属粉体が元来有する高い電磁波吸収特性を損なうことなく、加工性と難燃性に優れた材料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について、以下、詳細に説明する。
【0010】
本発明の樹脂組成物は、(A)軟磁性金属粉体、(B)非酸化性の無機化合物粉体、及び(C)樹脂を含む組成物である。
【0011】
軟磁性金属粉体とは軟磁性金属の粉体である。軟磁性金属とは外部磁界のシグナルに迅速に対応して、高い磁束密度を低損失で得ることができる金属で、高透磁率材料とも呼ばれる。
【0012】
軟磁性金属の具体例としては、純鉄、カルボニル鉄、Fe−Si合金、鉄−アルミ合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金等が挙げられるが、中でも純鉄、カルボニル鉄、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni合金がより透磁率が高いことから好ましい。カルボニル鉄は純鉄粒子表面がリン酸鉄で覆われたものの一般名称である。Fe−Ni合金は一般にパーマロイと呼ばれ、合金全体100重量部に対するNi成分の組成は一般に20〜90重量%である。
【0013】
軟磁性金属粉体の好ましい平均粒径(d50)は1〜100μmであり、より好ましくは2〜60μmである。なお、平均粒径(d50)とは、粒径分布の積算重量百分率において積算値50%の粒径をいい、例えば、レーザーミクロンサイザーLMS−24(セイシン企業株式会社製)を用いて測定することができる。平均粒径(d50)が1μm以上では粉体の取り扱い性が良く、100μm以下では樹脂組成物のシート成形性が良く、電磁波吸収量も向上する。
【0014】
軟磁性金属粉体は、平均粒径d50の異なるものの2以上の組合せであってもよい。このように、軟磁性金属粉体は粒径が大きいものと小さいものとを混合させて用いると、樹脂と混合させたときの粒子間の空間を減らすことができるため、樹脂に対する充填率を上げることができ、組成物の電磁波吸収量を向上させることができる。
【0015】
軟磁性金属粉体の比表面積は、0.3〜2m/gであることが好ましい。0.3m/g以上では樹脂と混合、シート化させたときの柔軟性に優れ、2m/g以下では樹脂に対して高濃度で配合できるため電磁波吸収量を向上させることができる。
【0016】
軟磁性金属粉体の形態は球状、板状等が挙げられるが、板状が好ましい。板状の場合、樹脂と混合し、シート化させる段階で軟磁性金属粉体がシート平面に対して水平に配向しやすくなり、水平に配向させることで、樹脂組成物シートの電磁波吸収量の向上とシート厚みを薄くすることができるという利点がある。特に板状に加工されたFe−Si−Al、Fe−Ni−Cr、Fe−Niの粉体は透磁率が高く、好ましい。
【0017】
軟磁性金属粉体の粉体粒子が板状の場合、板の厚みは0.05μm〜5μmであると好ましく、0.1μm〜1μmであるとより好ましい。0.05μm以上では樹脂との混練時に形状を維持できるという利点があり、5μm以下では樹脂組成物のシートを薄くできるので良い。
【0018】
軟磁性金属粉体の組成は樹脂組成物全量100重量部に対して50〜95重量部であることが必要であり、60〜90重量部であると好ましい。50重量部以上では組成物の電磁波吸収量が優れ、95重量部未満では組成物の成形性とシート柔軟性に優れる。
【0019】
軟磁性金属粉体は樹脂との密着性を改良することを目的として、軟磁性金属粉体表面をカップリング処理することもできる。すなわち、軟磁性金属粉体をカップリング剤で処理して、表面改質を行ってもよい。
【0020】
カップリング剤の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等のチタン系カップリング剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシ−シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシララン、ビニルトノアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロメピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ポリアルキレンオキサイドシラン類、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン類等のシリコンを含有するカップリング剤(シランカップリング剤)や、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートのようなアルミニウム系、ジルコニウム系、クロム系、鉄系、スズ系などのカップリング剤の一種または二種以上が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる無機化合物粉体としては、非酸化性の無機化合物粉体を用いる。ここで「非酸化性の無機化合物」とは、それ自身又はその空気酸化物が軟磁性金属粉体に対して実質的に酸化剤として機能しない無機化合物をいう。このような無機化合物粉体としては、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の空気中ではこれ以上酸化されることが困難な無機化合物の粉体が用いられる。なお、本発明に用いる軟磁性金属粉体が空気や共存する化合物により酸化されると、生じる酸化物は火炎との接触により燃焼する恐れがあるが、本発明では共存する無機化合物粉体が上記性質を有しているため、軟磁性金属粉体の酸化反応に基づく燃焼の恐れが低減される。
【0022】
無機化合物の具体例としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化銅、亜酸化銅、酸化カルシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫化鉄、カーボン、シリカ、シリカ−アルミナ、フェライト等が挙げられ、中でもシリカ、シリカ−アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛が好ましく、水酸化マグネシウム、シリカ、シリカ−アルミナがさらに好ましい。上記、無機化合物粉体は単独でも、2種以上を混合して用いる場合もある。
【0023】
無機化合物粉体の好ましい平均粒径は0.01〜100μmであり、より好ましくは0.1〜30μmである。0.01μm以上では粉体の取り扱い性が良く、100μm以下では組成物のシート成形性が優れる。
【0024】
無機化合物粉体の組成は樹脂組成物全量100重量部に対して2〜40重量部であることが必要であり、5〜20重量部であると好ましい。2重量部以上では組成物のシート成形性や難燃性に優れ、40重量部以下では組成物のシート柔軟性が優れる。
【0025】
樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂は二重結合または三重結合等の不飽和基を有するモノマーの重合体、および共重合体を用いることができる。
【0026】
モノマーとしてはエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化エチレン、フッ素化エチレン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、酢酸ビニルを挙げることができ、上記モノマーの重合体、共重合体以外では、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート等を例として挙げることができる。
【0027】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ビスマレイミド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を例として挙げることができる。
【0028】
上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は官能基を有する化合物で変成されたものでもよい。官能基としてはビニル基、アリル基、カルボキシル基、酸無水基、エステル基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、エポキシ基、ハロゲンから選ばれる1つ、または2つ以上を含んでもよい。
【0029】
上記の樹脂成分は単独でも、2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
上記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の中でも塩素化ポリエチレン、シリコーン樹脂、フッ素化エチレン−プロピレン共重合体が難燃性とシート成形性が優れることから好ましい。
【0031】
樹脂の組成は組成物全量100重量部に対して2〜40重量部であることが必要であり、好ましくは5〜20重量部である。2重量部以上ではシート成形性に優れ、40重量部以下では、シートの磁気特性や難燃性に優れる。
【0032】
組成物には目的に応じて、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤、架橋剤を添加する事ができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物の製造には加圧ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押し出し機、一軸押し出し機、ロールミキサー等の混練機を用いることができる。
【0034】
本発明の樹脂組成物をシート成形等、成形加工する場合は、射出成形、トランスファー成形、プレス成形、Tダイ押し出し成形、カレンダー成形、ロール圧延等の方法を用いることが出来る。これらの成形加工は必要に応じ、磁場や電場存在下で行うことや超音波や電磁波、紫外線を照射しながら行うこともできる。
【0035】
上記組成物からなるシートの厚みは0.05mm以上3mm以下であることが好ましく、0.05mm以上ではシートの厚み制御が容易で、電磁波吸収量も十分であり、3mm以下では電子機器等への適用が容易である。
【0036】
上記組成物からなるシートは、粘着層を有することが好ましく、シートが粘着層を有すると、所望の個所に貼り付ける際に有用である。シートに粘着層を付与する方法としては両面テープをシート表面に貼り付ける方法、粘着材をシート面に塗布する方法等が挙げられる。粘着層を有する上記組成物からなるシートを対象物に貼ることにより、電磁波吸収機能を簡単に付与することができる。
【0037】
上記組成物からなるシートは携帯電話、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等の電子機器や情報通信機器の内部に搭載される配線板やCPU、LSI、配線などの部材に貼り付けられ、機器の誤作動の原因となる不要な電磁ノイズの吸収に用いられる。
【0038】
上記組成物は機械的特性や耐溶剤性を向上させることを目的として、樹脂成分を架橋させることもできる。
【0039】
上記組成物をトルエン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン等の溶剤と混合して均一に分散させた後に、支持体に塗布、乾燥させることによって塗膜状にすることもできる。
【0040】
上記組成物を溶剤と混合して均一に分散させて得られるワニスを布、紙、ガラスクロス等の繊維状シートに含浸させた後、溶剤を揮発させることにより、これらの繊維状シートと組成物の複合体を得ることができる。
【0041】
上記組成物は塗料として用いることもできる。その場合、組成物と溶剤を混合して溶液、エマルジョン、懸濁、スラリー、ペースト等の状態にしたり、硬化性を有する液状のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等に分散させて用いることが好ましい。
【0042】
上記組成物からなる塗料を対象物に塗装することにより、電磁波吸収機能を付与することができる。具体例としては、樹脂のフィルム、シート成形体、等に塗布する場合や、金属構造物に対して電磁波反射を防止するために塗布する場合等が挙げられる。
【実施例】
【0043】
使用した(A)軟磁性金属粉体を表1に、(B)非酸化性の無機物粉体を表2に、(C)樹脂を表3に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】


本発明の樹脂組成物からなるシートの評価を下記に示す方法で実施した。
【0047】
(1)電波吸収特性
Transmission attenuation power ratio法に従い、測定した。線路幅2.2mm、特性インピーダンス50Ωのマイクロスプリットライン(MSL)上に、MSL基板サイズである幅100mm、縦50mm以上のシートを用いて基板全体を覆い、ネットワークアナライザーを用いて異なる周波数電流に対するS11,S21のSパラメーター値を求め、次式により、シートによる電磁波減衰量(R)を求める。
(R)=10log〔10S21/10/(1−10S11/10)〕 [dB]
(R)値が最大となる周波数fMAXとその時の電磁波減衰量(RMAX)を求めた。
【0048】
(2)柔軟性試験
10cm四方の組成物シートを図1の(a)、(b)のように手で折り曲げ、10秒後に手を離して放置した後のシートの状態を観察する。折り目などもつかず折り曲げる前の元の状態に復元されれば合格(○)、元の状態に復元しなければ不合格(×)である。
【0049】
(3)燃焼試験
組成物シートの一部を切り出し、ガスバーナーの炎に直接、5秒間接触させ、炎から離した後に10秒以上燃焼した場合は×、10秒以上燃えなかった場合は○とした。
【0050】
[実施例1]
塩素化ポリエチレン(C−1)18.75gを混練機に投入し、窒素雰囲気下、130℃、3分間練った後、Fe−Cr−Ni合金粉体(A−1)112.5gと水酸化マグネシウム粉体(B−1)18.75gを樹脂と混練させながら、5分間かけて加えた。(A−1)と(B−1)を全量加えた後も10分間、混練を継続し、(A−1)、(B−1)、(C−1)の組成物を得た。組成物全量100重量部に対する各成分の組成は、(A−1)75重量部、(B−1)12.5重量部、(C−1)12.5重量部である。次に、圧縮成形機を用いて、180℃、10MPaの条件で1分間、組成物を圧縮成形し、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0051】
[実施例2]
2液硬化性の液状シリコーン樹脂(C−2)を2液併せて26.25g、シリカ(B−2)11.25g、(A−1)112.5gを室温で混合した。その混合物を圧縮成形機を用いて150℃、10MPaで3分間、圧縮成形し、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0052】
[実施例3]
(C−2)を2液併せて7.35g、(B−2)3.15g、カルボニル鉄(A−2)139.5gを用いた他は実施例2と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0053】
[実施例4]
(C−1)の替りに四フッ化エチレン−プロピレン共重合体(C−3)を用い、混練温度を180℃とした他は実施例1と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0054】
[実施例5]
(A−1)の替りにFe−Si−Al合金(A−3)を用い、(B−1)の替りに酸化アルミ(B−3)を用いた他は実施例1と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0055】
[実施例6]
(A−1)の替りにFe−Ni合金(A−4)80重量部、(B−1)の替りにシリカアルミナ(B−4)10重量部、(C−3)10重量部とした他は実施例1と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0056】
[実施例7]
(A−1)の替りに純鉄(A−5)75重量部、(B−1)の替りにシリカ−アルミナ(B−4)12.5重量部、(C−1)10重量部とした他は実施例1と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0057】
[比較例1]
(C−1)を37.5gとし、(B−1)を無添加とした他は実施例1と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0058】
[比較例2]
(C−2)を37.5gとし、(B−2)を無添加とした他は実施例2と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0059】
[比較例3]
(A−1)60g、(B−1)18.75g、(C−1)71.25gとした他は、実施例1と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0060】
[比較例4]
(C−1)を37.5gとし、(B−3)を無添加とした他は実施例5と同様に行い、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
【0061】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の樹脂組成物は、磁性粉と樹脂から構成され、加工性と難燃性に優れる電磁波吸収材料として適用可能である。この樹脂組成物から得られるシートは、携帯電話、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等の電子機器や情報通信機器の内部に搭載される配線板やCPU、LSI、配線などの部材に貼り付けられ、機器の誤作動の原因となる不要な電磁ノイズの吸収に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明で評価した柔軟性試験の方法を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物全量100重量部に対して、
(A)軟磁性金属粉体50〜95重量部、
(B)非酸化性の無機化合物粉体2〜40重量部、及び
(C)樹脂2〜40重量部
を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)の平均粒径d50が1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)が純鉄、カルボニル鉄、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni−Cr合金、及びFe−Ni合金からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)がシリカ、シリカ−アルミナ、及び水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)が塩素化ポリエチレン、シリコーン樹脂、及び四フッ化エチレン−プロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなるシート。

【図1】
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【公開番号】特開2009−155554(P2009−155554A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337707(P2007−337707)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】