説明

樹脂製中空体の製造方法、および空気流量測定装置

【課題】空気流量測定装置の筐体2として利用する樹脂製中空体1をDSI法により製造するにあたり、中空6を仕切る仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性を高める。
【解決手段】DSI法の1次成形工程では、仕切り壁12を構成する接合縁20ai、20biにそれぞれ線状の溝21を設け、型移動工程では、接合縁20ai、20biを当接させることにより、2つの溝21を併せた線状の空洞23iを形成する。そして、2次成形工程では、空洞23iに溶融樹脂を充填して線状の2次モールド部24iを成形することで接合縁20ai、20biを溶着接合して仕切り壁12とする。これにより、2次モールド部24iを、空気の通路7に沿わせることができるので、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製中空体の製造方法、および、この製造方法により製造された樹脂製中空体を備える空気流量測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発熱体から空気流への伝熱を利用して空気流量を測定する熱式の空気流量測定装置が周知であり、例えば、内燃機関に吸入される吸入空気の流量を測定するために採用されている。また、この空気流量測定装置は、応答性向上および測定精度向上の観点から半導体基板上に発熱体等の素子を設けてセンシング部を構成しており、このセンシング部を保持したサブアッシーを、空気の通路を形成する筐体に挿入することで設けられている。
【0003】
また、空気流量測定装置の筐体は、中空を有する樹脂製中空体であって中空を空気の通路等として利用するものである。このため、筐体は、例えば、中空を形成するための複数の樹脂製部品を射出成形した後、それぞれの樹脂製部品を接着により接合することで設けられる(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、接着剤が中空にはみ出す虞があり、はみ出した接着剤によって中空における空気の流れが乱れる虞がある。
【0004】
ここで、樹脂製中空体を製造する方法として、接着剤による接合法とは別に、DSI(Die Slide Injection Moldingの略である。)法と呼ばれる方法が周知である(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
DSI法は、例えば、中空を形成する複数の樹脂製部品(以下、半中空体と呼ぶ。)を射出成形により成形する1次成形工程と、それぞれの半中空体を1次成形工程で用いた型に保持させたまま、型同士の相対移動により半中空体の接合縁同士を接近させて半中空体に所定の配置を取らせる型移動工程と、半中空体の接合縁同士が接近している領域に溶融樹脂を射出して接合縁同士を接合する2次成形工程とを備える。
【0006】
このような工程を備えることにより、DSI法によれば、1次成形工程にて射出成形された半中空体を、成形後の反り変形等が発生する前に、速やかに2次成形工程にて接合することができる。このため、DSI法を空気流量測定装置の筐体の製造方法に採用することにより、接着剤のはみ出しによる問題を解消することができるとともに、製造工数低減や接合部の品質改善等を達成することができる。
【0007】
ところで、脈動を伴う空気の流量を熱式の空気流量測定装置により測定する場合、測定方法が熱式であることに起因して、測定値が真値よりも低くなるマイナス側の測定誤差が発生する。このため、脈動測定に伴うマイナス側の測定誤差を低減するため、曲がりを有するように筐体内の通路を設けてセンシング部を通路に突出させる必要がある。そこで、筐体としての樹脂製中空体は、中空を外界と区画する外郭壁以外に、中空内に突出して中空を仕切る仕切り壁を備え、仕切り壁によって曲がりを形成する。
【0008】
そして、仕切り壁は、接合縁同士の接合や当接により設けられるものであるから、仕切り壁における接合等が不充分であると仕切り壁における空気の漏れが発生し、筐体内に導入された空気の一部が曲がりを通過せずにショートカットしてしまい、測定に悪影響を及ぼしてしまう。
そこで、DSI法を筐体の製造方法として採用するにあたり、仕切り壁の空気漏れ防止に対する信頼性を高めておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−258019号公報
【特許文献2】特開2006−234766号公報
【特許文献3】特許第3263167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、空気流量測定装置の筐体として利用する樹脂製中空体をDSI法により製造するにあたり、中空を仕切る仕切り壁の空気漏れ防止に対する信頼性を高めておくことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、樹脂製中空体は、複数の樹脂製部品(半中空体)の接合により形成される中空を有し、中空を外界と区画する外郭壁および中空内に突出して中空を仕切る仕切り壁を備える。そして、この樹脂製中空体の製造方法は、複数の型により形成される空間に溶融樹脂を射出して複数の半中空体を成形する1次成形工程と、半中空体をそれぞれ少なくとも1つの型に保持させたまま、型同士の相対移動により半中空体の接合縁同士を接近させて半中空体に所定の配置を取らせる型移動工程と、半中空体の接合縁同士が接近している領域に溶融樹脂を射出して接合縁同士を接合する2次成形工程とを備える。
【0012】
また、外郭壁および仕切り壁は、2次成形工程で接合縁同士を接合することにより設けられ、仕切り壁を構成する接合縁の内、少なくとも1つの接合縁には線状の溝が設けられている。そして、型移動工程では、仕切り壁を構成する接合縁同士を当接させることにより、線状の溝を接合縁により囲われた線状の空洞とし、2次成形工程では、線状の空洞に溶融樹脂を充填することで、仕切り壁を構成する接合縁同士を接合する。
【0013】
これにより、2次成形工程で設けられる線状の2次モールド部を、筐体内の通路に沿わせることができる。このため、仕切り壁の空気漏れ防止に対する信頼性を高めることができる。なお、接合縁を2次成形工程における溶融樹脂の射出圧に耐えることができるように厚めに設けておくことで、線状の2次モールド部を仕切り壁の内部に閉じ込め、線状の2次モールド部が壁表面に露出しないようにすることができる。
【0014】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、仕切り壁を構成するそれぞれの接合縁には、線状の空洞が形成されたときに線状の空洞に連通する孔が開口している。
これにより、2次成形工程において溶融樹脂が孔に流入して固化することで、2次モールド部は、半中空体の内部に突出するように枝分かれして形成される。このため、仮に、2次モールド部が溝等から剥離しても、半中空体との引っ掛かりにより半中空体の脱落を防止することができる。
【0015】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、空気流量測定装置は、請求項1または請求項2に記載の製造方法により製造された樹脂製中空体と、中空に配置されて中空に導入された空気の流量を検出するセンサとを備える。
この手段は、請求項1または請求項2に記載の製造方法により製造された樹脂製中空体を空気流量測定装置の筐体として利用するとともに、中空を空気の通路等として利用するものである。これにより、仕切り壁の空気漏れ防止に対する信頼性が高い樹脂製中空体を筐体として採用することで、空気流量測定装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】空気流量測定装置の内部を示す断面図である。
【図2】(a)は空気流量測定装置の背面図であり、(b)は空気流量測定装置の側面図である。
【図3】樹脂製中空体を分解した展開図である(実施例)。
【図4】図3のA−A断面図である(実施例)。
【図5】(a)〜(d)図3のA−A断面図を利用してDSI法を説明する説明図である(実施例)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の製造方法により製造される樹脂製中空体は、複数の樹脂製部品(半中空体)の接合により形成される中空を有し、中空を外界と区画する外郭壁および中空内に突出して中空を仕切る仕切り壁を備える。そして、この樹脂製中空体の製造方法は、複数の型により形成される空間に溶融樹脂を射出して複数の半中空体を成形する1次成形工程と、半中空体をそれぞれ少なくとも1つの型に保持させたまま、型同士の相対移動により半中空体の接合縁同士を接近させて半中空体に所定の配置を取らせる型移動工程と、半中空体の接合縁同士が接近している領域に溶融樹脂を射出して接合縁同士を接合する2次成形工程とを備える。
【0018】
また、外郭壁および仕切り壁は、2次成形工程で接合縁同士を接合することにより設けられ、仕切り壁を構成する接合縁の内、少なくとも1つの接合縁には線状の溝が設けられている。そして、型移動工程では、仕切り壁を構成する接合縁同士を当接させることにより、線状の溝を接合縁により囲われた線状の空洞とし、2次成形工程では、線状の空洞に溶融樹脂を充填することで、仕切り壁を構成する接合縁同士を接合する。
【0019】
さらに、仕切り壁を構成するそれぞれの接合縁には、線状の空洞が形成されたときに線状の空洞に連通する孔が開口している。
また、実施形態の空気流量測定装置は、実施形態の製造方法により製造された樹脂製中空体と、中空に配置されて中空に導入された空気の流量を検出するセンサとを備える。
【実施例】
【0020】
〔実施例の空気流量測定装置の構成〕
実施例の樹脂製中空体1、および樹脂製中空体1を筐体2として備える空気流量測定装置3の構成を、図1ないし図4を用いて説明する。
まず、空気流量測定装置3は、発熱体(図示せず)から空気流への伝熱を利用して空気流量を測定する熱式の測定方法を利用するものであり、例えば、内燃機関(図示せず)への吸気路4に配置され、内燃機関に吸入される吸入空気の流量を測定する。また、樹脂製中空体1は、2つの樹脂製部品(半中空体)5(以下、個別に5a、5bと呼ぶことがある。)の接合により形成される中空6を有して空気流量測定装置3の筐体2をなし、中空6は吸入空気の通路7をなす。
【0021】
さらに、空気流量測定装置3のセンシング部8は、応答性向上および測定精度向上の観点から半導体基板上に発熱体等の素子を設けて構成されており、センシング部8は、1つのサブアッシー9に保持されている。そして、空気流量測定装置3は、センシング部8が空気の通路7に露出するようにサブアッシー9を筐体2に挿入することで設けられている。
以上の構成により、空気流量測定装置3は、吸気路4を流れる吸入空気の一部を通路7に取り込み、センシング部8において吸入空気の流量相当の電気信号を発生して出力する。
【0022】
ところで、吸気路4における吸入空気の流れには、内燃機関のバルブ開閉に応じて不可避的に脈動が発生する。そして、脈動を伴う空気の流量を空気流量測定装置3により測定する場合、測定方法が熱式であることに起因して、測定値が真値よりも低くなるマイナス側の測定誤差が発生する。このため、脈動測定に伴うマイナス側の測定誤差を低減するため、曲がりを有するように筐体2内の通路7を設けてセンシング部8を通路7に突出させる必要がある。そこで、筐体2としての樹脂製中空体1は、中空6を外界と区画する外郭壁11以外に、中空6内に突出して中空6を仕切る仕切り壁12を備え、仕切り壁12によって曲がりを形成する。
【0023】
より具体的に説明すれば、筐体2内に形成される通路7は、吸気路4に対し上流側に向かって開口する吸入空気の入口13と、吸気路4に対し下流側に向かって開口する吸入空気の出口14と、入口13から直線的に伸び、吸気路4において順方向に流れる吸入空気と同じ方向に向かって空気を直進させる直進路15と、直進路15を直進してきた吸気を周回させて出口14に向かわせる周回路16とを有する。そして、仕切り壁12は、直進路15と周回路16の下流部16aとを区画するとともに、周回路16の下流部16aと上流部16bとを区画するように設けられている。
【0024】
なお、直進路15には、ダストを排出するためのダスト排出路17が直線的に接続しており、ダスト排出路17の下流端は、吸気路4に対し下流側に向かって開口するダスト排出口18をなす。
【0025】
また、センシング部8は、サブアッシー9の筐体2への挿入の利便性から、周回路16の最も奥側の位置、つまり、直進路15から最も遠く、周回路16において下流部16aと上流部16bとを接続する中間部16cに突出している。なお、中間部16cにおける空気の流れは、直進路15における流れや吸気路4における吸入空気の流れとは逆向きである。そして、周回路16は、下流部16aにおいて2つに分岐しており、出口14は2つ設けられている。
【0026】
以上により、空気流量測定装置3は、吸気路4に直接的にセンシング部8を配置するのではなく、筐体2内の通路7にセンシング部8を配置することで、吸気路4における流れの乱れの影響を直接的に受けることなく、ばらつきの少ない測定値相当の電気信号を出力することができる。
【0027】
また、筐体2に取り込まれず吸気路4を直進した場合の流路長をL1、通路7の流路長をL2とすると、空気流量測定装置3は、筐体2内の通路7にセンシング部8を配置することでL2/L1に応じて測定値を高め、吸入空気の脈動により生じるマイナス側の測定誤差を解消している。すなわち、空気流量測定装置3は、周回路16を設けてL2/L1を所望の数値に設定することで、熱式の測定方法であることに起因する脈動流測定時のマイナス側の測定誤差を解消している。
【0028】
〔実施例の樹脂製中空体の製造方法〕
実施例の樹脂製中空体1の製造方法を、図1ないし図5を用いて説明する。
樹脂製中空体1の製造方法は、いわゆるDSI法であって以下のような工程を備える。
【0029】
すなわち、樹脂製中空体1の製造方法は、図5に示すように、複数の型により形成される空間に溶融樹脂を射出して2つの半中空体5a、5bを成形する1次成形工程と、半中空体5a、5bをそれぞれ型に保持させたまま、型同士の相対移動により半中空体5aの接合縁20と半中空体5bの接合縁20とを接近させて半中空体5a、5bに所定の配置を取らせる型移動工程と、半中空体5a、5bの接合縁20同士が接近している領域に溶融樹脂を射出して接合縁20同士を接合する2次成形工程とを備える。そして、外郭壁11および仕切り壁12は、2次成形工程で接合縁20同士を接合することにより設けられる。
【0030】
まず、1次成形工程では、半中空体5a、5bを、それぞれ、外郭壁11を構成する接合縁20aj、20bj、仕切り壁12を構成する接合縁20ai、20biを有するように設ける。また、接合縁20aj、20bjおよび接合縁20ai、20biには、全て、線状の溝21を設ける。さらに、接合縁20ai、20biには、それぞれ、溝21に開口する孔22a、22bを設ける。また、孔22a、22bは、それぞれ、接合縁20ai、20biを貫通するように設けられる。
【0031】
次に、型移動工程では、接合縁20aj、20bjの当接により、接合縁20aj側の溝21と、接合縁20bj側の溝21とを併せた線状の空洞23jを形成し、同様に、接合縁20ai、20biの当接により、接合縁20ai側の溝21と、接合縁20bi側の溝21とを併せた線状の空洞23iを形成する(図5(c)参照。)。なお、空洞23jは、接合縁20aj、20bjにより囲われて外界に対して閉鎖されており、空洞23iは、接合縁20ai、20biにより囲われて外界に対して閉鎖されている。また、孔22a、22bは、空洞23iに開口しており、空洞23iと外界とを連通している。
【0032】
なお、孔22a、22bは、それぞれ、接合縁20ai、20biにおいて、周回路16の下流部16aと中間部16cとの境界付近を形成する位置に対応するように設けられる(図1参照)。さらに、孔22a、22bは、接合縁20ai、20biに関して鏡映対象をなすように設けられる。
【0033】
そして、2次成形工程では、空洞23jに溶融樹脂を充填することで空洞23jに略一致する線状の2次モールド部24jを成形し、2次モールド部24jにより接合縁20aj、20bjを接合して外郭壁11を構成する。また、空洞23iに溶融樹脂を充填することで空洞23iに略一致する線状の2次モールド部24iを成形し、2次モールド部24iにより接合縁20ai、20biを接合して仕切り壁12を構成する。
【0034】
また、空洞23iに射出された溶融樹脂は、孔22a、22bに流入するとともに、それぞれ孔22a、22bの外側に流出して孔22a、22bよりも径大の外側膨出部25a、25bを形成する。すなわち、2次モールド部24iは、接合縁20ai、20biの外部に膨らんだ外側膨出部25a、25bを有する。このため、接合縁20ai、20biは、2次モールド部24iの線状の部分によって溶着接合されるとともに、外側膨出部25a、25bにより挟み込まれる。
【0035】
〔実施例の効果〕
実施例の空気流量測定装置3によれば、筐体2として採用される樹脂製中空体1の外郭壁11および仕切り壁12は、DSI法の2次成形工程において、接合縁20同士を溶着接合することにより設けられている。また、1次成形工程では、仕切り壁12を構成する接合縁20ai、20biにそれぞれ線状の溝21を設け、型移動工程では、接合縁20ai、20biを当接させることにより、2つの溝21を併せた線状の空洞23iを形成する。ここで、空洞23iは、仕切り壁12の内部において外界に対して閉鎖されており、2次成形工程では、空洞23iに溶融樹脂を充填して線状の2次モールド部24iを成形することで接合縁20ai、20biを溶着接合する。
【0036】
これにより、2次モールド部24iを、直進路15や周回路16に沿わせることができるので、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性を高めることができる。ここで、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性は、以下の観点で極めて重要なものである。
【0037】
つまり、センシング部8は、サブアッシー9の筐体2への挿入の利便性から、周回路16の最も奥側の位置であって直進路15から最も遠い中間部16cに突出している。このため、入口13から取り込んだ空気を奥側の中間部16cまで確実に導くために、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性は極めて重要なものとなる。また、空気流量測定装置3は、周回路16を設けてL2/L1を所望の数値に設定することで、脈動流測定時のマイナス側の測定誤差を解消している。このため、筐体2内で空気の流路長を確実にL2にするために、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性は極めて重要なものとなる。
【0038】
このように、筐体2内に取り込んだ空気をセンシング部8まで確実に導くとともにマイナス側への測定誤差を確実に解消する点で、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性は極めて重要であり、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性を高めることで、空気流量測定装置3の測定値に対する信頼性を高めることができる。
なお、接合縁20ai、20biを2次成形工程における溶融樹脂の射出圧に耐えることができるように厚めに設けておくことで、線状の2次モールド部24iを仕切り壁12の内部に閉じ込め、線状の2次モールド部24iが壁表面に露出しないようにすることができる。
【0039】
また、接合縁20ai、20biには、それぞれ溝21に開口する孔22a、22bが設けられ、孔22a、22bは、空洞23iが形成されたときに空洞23iに連通する。
これにより、2次モールド部24iは、半中空体5a、5bの内部に突出するように枝分かれして形成される。このため、仮に、2次モールド部24iが溝21等から剥離しても、半中空体5a、5bとの引っ掛かりにより、半中空体5a、5bの脱落を防止することができる。
【0040】
また、孔22a、22bは、それぞれ接合縁20ai、20biを貫通するように設けられ、空洞23iが形成されたときに空洞23iと外界とを連通する。
これにより、2次モールド部24iは、接合縁20ai、20biの外部に膨らんだ外側膨出部25a、25bを有するように設けられ、接合縁20ai、20biは外側膨出部25a、25bにより挟み込まれる。このため、外側膨出部25a、25bによる挟み込みによって、仕切り壁12の空気漏れ防止に対する信頼性をさらに高めることができる。
【0041】
〔変形例〕
樹脂製中空体1および空気流量測定装置3の態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例の樹脂製中空体1によれば、接合縁20ai、20biの両方に溝21が設けられていたが、接合縁20ai、20biの一方のみに溝21を設けて他方には、溝21を塞ぐ線状の隆起等を設け、溝21と隆起とにより空洞23iを形成してもよい。
【0042】
また、実施例の樹脂製中空体1は、2つの半中空体5a、5bの接合により形成されていたが、3つ以上の半中空体5の接合により樹脂製中空体1を形成してもよい。この場合、空洞23iを3つ以上の接合縁20により形成してもよい。
さらに、実施例の空気流量測定装置3によれば、センシング部8において、発熱体等の素子は半導体基板上に設けられていたが、発熱体等の素子を半導体基板上に設けるのではなく単体として設けて通路7内に配置してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 樹脂製中空体
3 空気流量測定装置
5、5a、5b 半中空体(樹脂製部品)
6 中空
8 センシング部(センサ)
11 外郭壁
12 仕切り壁
20、20ai、20aj、20bi、20bj 接合縁
21 溝(線状の溝)
22a、22b 孔
23i、23j 空洞(線状の空洞)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂製部品の接合により形成される中空を有し、前記中空を外界と区画する外郭壁および前記中空内に突出して前記中空を仕切る仕切り壁を備える樹脂製中空体の製造方法であって、
複数の型により形成される空間に溶融樹脂を射出して複数の前記樹脂製部品を成形する1次成形工程と、
前記樹脂製部品をそれぞれ少なくとも1つの型に保持させたまま、型同士の相対移動により前記樹脂製部品の接合縁同士を接近させて前記樹脂製部品に所定の配置を取らせる型移動工程と、
前記樹脂製部品の接合縁同士が接近している領域に溶融樹脂を射出して接合縁同士を接合する2次成形工程とを備え、
前記外郭壁および前記仕切り壁は、前記2次成形工程で接合縁同士を接合することにより設けられ、
前記仕切り壁を構成する接合縁の内、少なくとも1つの接合縁には線状の溝が設けられ、
前記型移動工程では、前記仕切り壁を構成する接合縁同士を当接させることにより、前記線状の溝を前記接合縁により囲われた線状の空洞とし、
前記2次成形工程では、前記線状の空洞に溶融樹脂を充填することで、前記仕切り壁を構成する接合縁同士を接合することを特徴とする樹脂製中空体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製中空体の製造方法において、
前記仕切り壁を構成するそれぞれの接合縁には、前記線状の空洞が形成されたときに前記線状の空洞に連通する孔が開口していることを特徴とする樹脂製中空体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の製造方法により製造された樹脂製中空体と、
前記中空に配置されて前記中空に導入された空気の流量を検出するセンサとを備える空気流量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−7705(P2013−7705A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141863(P2011−141863)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】