説明

樹脂製車両部品の計測解析方法

【課題】 塗装された樹脂製車両部品であっても隣接部品との隙間や段差を均一に管理可能な樹脂製車両部品の計測解析方法を提供する。
【解決手段】 射出成形した生地の樹脂製車両部品(2)を隣接部品を含めて形成した生地用マスターモデルMに組付けて樹脂製車両部品(2)の形状および隣接部品との隙間および段差を計測する生地用拘束計測工程と、塗装後の樹脂製車両部品(2)を隣接部品を含めて形成した塗装用マスターモデルMに組付けて樹脂製車両部品(2)の形状および隣接部品との隙間および段差を計測する塗装用拘束計測工程と、生地用拘束計測工程の計測値と塗装用拘束計測工程の計測値とから車両へ組付けられる樹脂製車両部品(2)の形状および隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製車両部品の計測解析方法に関し、特に、樹脂製部品とその周辺部品との隙間や段差の管理に好適な樹脂製車両部品の計測解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から樹脂製車両部品とその周辺部品との隙間や段差に不均一を生じて外観を損なう不具合を解決するため、樹脂製車両部品をロケート孔やロケートピンにより位置合せして高精度に取付けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
これは、樹脂製車両部品、特に外装部品であるヘッドランプハウジングとバンパーとを一体成形することでヘッドランプとバンパーとの隙間や段差が不均一となるのを防止し、ヘッドランプハウジングを一体に成形したバンパーと車両フロントフェンダとの隙間や段差が不均一に生じないように、成形金型の寸法精度を管理することで形状精度の高いバンパーとし、バンパーとフロントフェンダとの組付精度を管理することで、フロントフェンダ前端とのパーティング部分の隙間や段差を均一にすることが記載されている。
【特許文献1】特開2002−264745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記バンパー等の樹脂製車両部品、特に外装部品は、近年、その外観品質を向上させるために外表面に塗装が施されるのが一般的であり、このような樹脂製車両部品は成形金型による射出成形後の塗装工程における熱による収縮を受けて形状が変化された状態で車両に組付けられることとなる。
【0005】
このため、上記従来例のように、成形金型の寸法精度を管理するのみでは車両への組付け時に上記収縮により変形したものをロケート孔とロケートピンとにより無理に合わせて取付けることとなり、隣接部品との隙間や段差を均一にできない不具合があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、塗装された樹脂製車両部品であっても隣接部品との隙間や段差を均一に管理可能な樹脂製車両部品の計測解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、射出成形後に塗装して車両に組付ける樹脂製車両部品の計測解析方法であり、射出成形した生地の樹脂製車両部品を隣接部品を含めて形成した生地用マスターモデルに組付けて樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する生地用拘束計測工程と、塗装後の樹脂製車両部品を隣接部品を含めて形成した塗装用マスターモデルに組付けて樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する塗装用拘束計測工程と、生地用拘束計測工程の計測値と塗装用拘束計測工程の計測値とから車両へ組付けられる樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにした。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、射出成形した生地の樹脂製車両部品を隣接部品を含めて形成した生地用マスターモデルに組付けて樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する生地用拘束計測工程と、塗装後の樹脂製車両部品を隣接部品を含めて形成した塗装用マスターモデルに組付けて樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する塗装用拘束計測工程と、生地用拘束計測工程の計測値と塗装用拘束計測工程の計測値とから車両へ組付けられる樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにした。このため、最終組付状態での評価不具合に対する正確な原因を、許容値外への変化が発生している工程を解析することで早期に把握し且つ対策でき、対策費用を増加させることなく、的確な不具合対策を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の樹脂製車両部品の計測解析方法の一実施形態を図1〜図25に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明を適用した樹脂製車両部品の計測解析方法を外装部品である車両用の樹脂製バンパーに適用した工程図である。図1において、樹脂製車両外装部品としての樹脂製バンパーの製造工程は、射出成形機で樹脂製バンパーを製造する成形工程S1と、成形工程S1で成形した樹脂生地のバンパー形状および樹脂生地のバンパーと隣接部品との隙間および段差を測定する生地品計測ステージS2と、樹脂製バンパーの表面に塗装を行う塗装ステージS3と、塗装樹脂製バンパーの形状および塗装樹脂製バンパーと隣接部品との隙間および段差を測定する塗装品計測ステージS4と、塗装樹脂製バンパーを車両組立ラインの車両に組付けるバンパー組付けステージS5と、車両組付け状態のバンパー形状および車両組付け状態のバンパーと隣接部品との隙間および段差を測定する組付計測ステージS6と、バンパーの生産データと各ステージでの計測データとを記憶するバンパー生産コントローラ1とを備える。前記成形工程S1、塗装ステージS3およびバンパー組付けステージS5については、生産ラインで通常実施されていることであり、以下では、図2に示す各計測ステージでの計測手順に基づいて、各計測ステージおよび計測データの処理について、説明する。
【0011】
前記樹脂製バンパー2は、その上面部および側部が、例えば、図3に示すように、中央部においてラジコアサポートに取付けられるラジコアサポート係合部A0、ラジエータグリルに係合するグリル係合部A1、ヘッドランプに隣接しヘッドランプブラケットに係合するヘッドランプ係合部A2、および、フェンダー先端に係合保持されるフェンダー係合部A3を備える。
【0012】
以下の説明では、図3に示すバンパー形状に基づいて説明するが、これら各係合部A0〜A3の形状や位置は、車両の造形やデザインに応じて、また、バンパーの取付構造や取付位置に応じて、種々に変化されるものであり、本発明は図3のバンパー形状に限定されるものでない。
【0013】
前記樹脂生地のバンパー形状および樹脂生地のバンパーと隣接部品との隙間および段差を測定する生地品計測ステージS2では、生地バンパーを半拘束により車両への取付姿勢状態で半拘束治具に保持し(図2のステップS21、以下同様)、その形状を三次元測定(ステップS22)する半拘束計測と、生地バンパー2を各係合部で拘束治具(マスターモデル)に固定した取付状態(ステップS23)で、その形状、および、隣接部品との隙間並びに段差を測定(ステップS24)する拘束計測とを実施する。
【0014】
前記半拘束計測は、射出成形機で成形した状態であり、塗装により収縮していない状態における生地バンパー2の取付による締付トルクが作用していない無応力状態での取付前の生地バンパー2の形状を測定するものである。
【0015】
また、前記拘束計測は、射出成形機で成形した状態であり、塗装により収縮していない状態における生地バンパー2の大きさを基準として、バンパー取付部分の車両形状および隣接部品形状に形成したマスターモデルに生地バンパー2を保持させ且つ現物形状を模したクリップやブラケットにより生地バンパー2を固定保持して、取付状態での形状、および、隣接部品との隙間並びに段差を測定するものである。従って、半拘束計測と拘束計測との形状を比較することにより、生地バンパー2が取付により、形状がどのように変形されたかを確認することができる。
【0016】
前記半拘束計測は、図4に示すように、平面図示のバンパー2の輪郭に沿って、左右方向中央部をラジエータコアサポートに固定するラジエータコアサポート係合部A0を位置決めする総基準点B0と、前記グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2、フェンダー係合部A3を夫々位置決めする各位置決め点B1〜B3等で無応力状態で支持して実施する。各位置決め点B0〜B3は、図6に示すように、多数の固定孔を規則的に配列したベースB上に、図5に示す配列で、ポールCを位置決めして固定し、ポールCの上端の取付板C1に、例えば、図7に示すように、必要とする位置決め点に支持ピンD1を配列した駒Dを固定することで構成する。前記支持ピンD1は、図7(B)に示すように、テーパ状となった先端部を備え、先細となった先端球面をワークに接触させて支持するようにしており、先端球面の位置は平面方向(XY方向)には駒Dの上面への固定位置を調整・設定することで位置決めし、上下方向(Z方向)には、支持ピンD1と駒Dとの間に規定したシムを介在させて調整・設定することで位置決めする。
【0017】
前記総基準点B0は、バンパー2に設けた総基準孔B0を、図8(A)に示すように、総基準点を示す駒Dに設けた基準孔10に位置合わせし、両孔を貫通させて基準ピン11を挿入したり、図8(B)に示すように、総基準点を示す駒Dに設けた基準ピン12に係合させて位置合せして、バンパー2を固定する。前記前記グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2、フェンダー係合部A3等は、車両状態で面受されている部位でピン受けすることを基本としている。例えば、前記グリル係合部A1の位置決め点B1は、縦壁状態であり且つ近くに剛性のある部位も存在しないため、図9に示すように、平面部をその保持スパーンに応じて1〜4本のピンD1により保持させる。前記ヘッドランプ係合部A2の位置決め点B2は、図10に示すように、ヘッドランプブラケットE2と係合する部分は平面のフランジであり、図10(A)に示すように、フランジ部F2をピンD1で支持するとバンパー2が自重で変形する懸念があるため、図10(B)に示すように、フランジ部F2に最も近くの剛性がある部分をピン受けするように構成する。また、ヘッドランプ係合部A2のコンビネーションランプに近接する係合部は、図11(A)に示すように、斜めのフランジ部F4を備えるものであるが、このフランジ部F4は斜めとなっているため、ピン受けしてもバンパー2が斜めにずれてしまうため、図11(B)に示すように、最も近くの剛性のあるポイントをピン受けするよう構成する。フェンダー係合部A3の位置決め点B3は、図12に示すように、斜めの固定用フランジF3を備えており、複数のピンD1でフランジ部F3をピン受けするが、フランジ部F3が斜めに配列されているため、フランジ部F3の頂点(図中△印)に近いピンD1を図示のように頂点に係合させてピン受けするよう構成する。
【0018】
以上のように、各係合部A0〜A3をピン受けした状態で、バンパー2の形状を三次元計測する。三次元計測に使用する計測器としては、特に図示しないが、非接触式の光学計測器をベースB上の所定位置に固定した計測ロボット等のハンドに固定して自動計測させるようにする。計測ロボットにより光学計測器の測定座標が自動入力され、光学測定器の測定データが自動取得されて、計測データとしてバンパー生産コントローラ1にバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶される。
【0019】
前記拘束計測は、図13に示すように、前記半拘束計測と同様に、ベースB上に複数のポールCを配列して位置決め固定し、ポールCの上端の取付板C1に、例えば、図14(A)若しくは図14(B)に示すように、車両取付部分の形状を模した駒Gを固定することで構成する。また、前記駒Gに配置する車両の取付部分G1は、図示しないが、バンパー2に隣接している隣接部品の形状(バンパー2に隣接する部分のみでよい)を模して形成したマスターモデルも付随させて構成している。バンパー2を車両に固定する総基準点B0となるラジエータコアサポート係合部A0、前記グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2、フェンダー係合部A3のマスターモデルMへの取付は、例えば、以下に説明するよう構成する。
【0020】
前記ラジエータコアサポート係合部A0は、図15に示すように、ラジコアサポートの取付孔15をモデルMに形成し、バンパー2の総基準点B0を前記取付穴15に位置合せしてラジエータグリルを再現したスペーサ16を挟んで実際にバンパー2を車両に固定する現物と同じクリップ17によりこれらを固定するよう取付ける。前記グリル係合部A2は、図16(A)に示すように、モデルMに固定した複数のグリル側爪18にバンパー2側の各孔B1を係合させて上下方向(Z方向)の位置決めを行い、図16(B)に示すように、モデル位置決め面19とモデルMに固定するプレート20とでバンパー2の立上り部分を挟んで前後方向(Y方向)の位置決めを行うことでバンパー2を固定する。前記ヘッドランプ係合部A2は、図17に示すように、ヘッドランプサポートブラケットを模したモデルMにより、部分的に挟持され(図17(A)参照)、残余の部分ではモデルMに設けた突起21に取付穴B2を係合させて(図17(B)参照)取付ける。図17(A)に示すように、バンパー2のフランジF2を脱着する際にモデルMを挟んでいるサブモデルMSの位置をマスターモデルMから離す必要がある場合には、サブモデルMSを蝶ネジリーマボルト22により固定するようにすると作業性が良くなる。
【0021】
前記フェンダー係合部A3は、図18に示すように、マスターモデルMに取付ブラケットを模したサブモデルであるブラケットモデル23を使用し、ブラケットモデル23にバンパー2のフランジF3を係合させ、ブラケットモデル23と共にバンパー側フランジは3をマスターモデルMに固定するようにして取付ける。ブラケットモデル23は、マスターモデルMのベースMBに対して蝶ネジリーマボルト24により位置決め固定されている。ブラケットモデル23のフランジ係合溝25にバンパー2のフランジ部F3が挿入されると、図19に示すように、ブラケットモデル23とフランジ部F3とは夫々の位置で係合し且つピン26によりマスターモデルMに固定される。
【0022】
即ち、前記ブラケットモデル23のフランジ係合溝25に設ける爪を模した係合孔27は、図19(A)に示すように、バンパーフランジ部F3の係合孔28と位置合わせし、マスターモデルMの背面から挿入される爪を再現するピン26を貫通させることでブラケットモデル23とバンパー2とがフランジ面方向で一体化させる。また、フランジ係合溝25の隙間寸法が小さくなっている部分において、図19(B)に示すように、フランジ係合溝25とバンパーフランジF3とが係合させることでブラケットモデル23とバンパー2とがフランジ面直角方向に一体化させる。そして、ブラケットモデル23のロケートピン29を、図19(C)に示すように、マスターモデルMのロケート孔30に係合させることで、フランジ部F3をフランジ係合溝25に保持することでバンパー2を保持したブラケットモデル23をマスターモデルMに位置決めロケートさせる。このような位置決め状態において、図19(D)に示すように、ブラケットモデル23およびフランジ部F3に取付スクリュ31を貫通させてマスターモデルMの取付グロメット32にねじ込むことで、バンパー2およびブラケットモデル23をマスターモデルMに固定する。
【0023】
前記マスターモデルMの中の、特に、フロントバンパー2と接続するフェンダモデルMおよびリアバンパー4と接続するボディサイドアウターパネル5の各バンパー2、4との接続部は、図20および図21に示すように、車両外表面部分の縁(見切り線6)からバンパー3のフランジ部F3が係合・取付されるパネル絞り部7(図中のハッチング部分)の形状は、厳密に実際の車両形状を再現するよう形成している。これは、見切り線6を挟んで車両外表面とバンパー2の外表面との隙間および段差を評価するためであり、バンパー2のフランジ部F3が取付けられる絞り部7はバンパー2のフランジ部F3が取付けられた際に、フランジ部F3形状若しくはフランジ部F3の取付相手側部材であるフェンダー3の前端形状に変形等が伴っている場合には、バンパー2外表面形状に異常を生ずることで、その異常状態を検証することを可能としている。
【0024】
前記拘束計測は、以上のように、各係合部A0〜A3をマスターモデルMに係合固定した状態で、バンパー2の形状を半拘束計測と同様に三次元計測する。また、マスターモデルMで形成したバンパー隣接部品との隙間および段差を計測する。これらの計測データはバンパー生産コントローラ1にバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる(ステップS25)。
【0025】
前記塗装樹脂製バンパー2の形状および塗装樹脂製バンパー2と隣接部品との隙間および段差を測定する塗装品計測ステージS4は、前記生地品計測ステージS2と同様に、塗装バンパー2を半拘束により取付姿勢状態で半拘束治具に保持し(ステップS41)、その形状を三次元測定(ステップS42)する半拘束計測と、塗装バンパーを各取付部で拘束治具に固定した取付状態(ステップS43)で、その形状、および、隣接部品との隙間並びに段差を測定(ステップS44)する拘束計測とを実施する。
【0026】
前記半拘束計測は、取付による締付トルクが作用していない無応力状態での取付前の塗装により収縮した塗装バンパー2の形状を測定するものである。
【0027】
また、前記拘束計測は、塗装により収縮した製品サイズの大きさのバンパー2を基準として、バンパー取付部分の車両形状および隣接部品形状に形成したマスターモデルに塗装バンパー2を保持させ且つ現物形状を模したクリップやブラケットにより塗装バンパー2を固定保持して、取付状態での形状、および、塗装バンパー2と隣接部品との隙間並びに段差を測定するものである。従って、半拘束計測と拘束計測との形状を比較することにより、塗装バンパー2が取付により、形状がどのように変形されたかを確認することができる。
【0028】
図22は、破線で生地バンパー2を表現し、実線で塗装バンパー2を表現しており、矢印は、生地バンパー2が塗装による熱により塗装バンパー2に収縮変形する方向を表現している。即ち、図22では、生地バンパー2の各部分が総基準に対して近づく方向に一様に収縮して、塗装バンパー2の寸法形状に変形することを示している。このため、生地バンパー2で使用する半拘束治具および拘束マスターモデルMと、塗装バンパー2で使用する半拘束治具および拘束マスターモデルMとは、これらのことを織り込んで取付位置やマスターモデルMの大きさを変化させる必要がある。
【0029】
前記塗装バンパー2の半拘束計測および拘束計測の具体的な治具形状や治具への塗装バンパー2の取付要領、および、計測要領は、生地バンパー2における半拘束計測および拘束計測と同様であり、ここでは、説明を省略する。これら半拘束計測および拘束計測での計測データは、バンパー生産コントローラ1にバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる(ステップS45)。
【0030】
前記組付計測ステージS6は、図23に示すように、車両に組付けられたバンパー形状および隣接部品との隙間および段差を測定するステージである。図23において、バンパー2は車両へラジエータコアサポート係合部A0、前記グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2、フェンダー係合部A3を固定することで組付けられる。組付け状態のバンパー形状は、前記生地バンパー2や塗装バンパー2の拘束計測と同様に三次元計測する(ステップS64)。また、バンパー隣接部品であるフェンダー3の前端部、ヘッドランプ8、フード9等との隙間および段差を計測する。これらの計測データはバンパー生産コントローラ1にバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる(ステップS65)。
【0031】
なお、隣接部品との隙間および段差は、図24および図25に示すように、テーパゲージの挿入深さや段差ゲージによりアナログ的に計測してそのアナログデータを生産コントローラ1に入力するものであってもよい。
【0032】
各ステージでの計測データを記憶するバンパー生産コントローラ1では、各計測ステージでの計測データから生地バンパー2、塗装バンパー2および組立状態のバンパー2を夫々解析し、評価する。以下では、各計測ステージでの解析・評価項目について説明する。
【0033】
前記生地バンパー2の半拘束計測による形状データは、生地バンパー2の基準形状データと比較し、生地バンパー2の面歪みの位置と量を演算する。また、ラジコアサポート係合部A0、グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2およびフェンダー係合部A3の各取付フランジF0〜F3の形状を測定して、反りや変形量を演算する。さらに、生地バンパー2に局部的な変形が存在する場合には、その位置と量を演算する。そして、これらのデータをバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる。前記生地バンパー2の面歪みは、射出成形機での成形要因(例えば、成形型より脱型時の成形品の変形、樹脂収縮差による成形品変形、成形型への張付き変形等の要因)により様々な態様で発生する。従って、前記生地バンパー2の半拘束での面歪み位置と面歪み量のデータは、それが予め設定した面歪みを超える場合に、その要因となる樹脂成形条件を特定する際のデータとして利用できる。また、生地バンパー2の局部的な変形は、例えば、バンパー2の成形型よりの脱型方法、脱型した生地バンパー2の搬送コンベアでの搬送方法や搬送パレットが適切であったかどうか検討する際のデータとして利用できる。
【0034】
前記生地バンパー2の拘束計測による形状データおよび隣接部品との隙間および段差データは、夫々基準データと比較してその差分データをバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる。前記差分データは、生地バンパー2のラジエータコアサポート係合部A0、グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2、および、フェンダー係合部A3の各取付フランジF0〜F3の形状精度、例えば、フランジFの「反り」を判定する際のデータとして利用できる。即ち、「反り」の無いフランジFであれば、隣接部品との隙間および段差を基準内に止めて、バンパー2に歪みを生じさせることなく正規の位置に固定されるのであるが、いずれかのフランジFに反りが存在すれば、その反りにより該当部分の取付位置がずれて、隣接部品との隙間および段差が基準からずれることとなる一方、バンパー2の形状自体も歪みを生じる。
【0035】
前記塗装バンパー2の半拘束計測による形状データは、塗装バンパー2の基準形状データと比較し、塗装バンパー2の面歪みの位置と量を演算する。また、また、ラジコアサポート係合部A0、グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2およびフェンダー係合部A3の各取付フランジF0〜F3の形状を測定して、反りや変形量を演算する。さらに、塗装バンパー2に局部的な変形が存在する場合には、その位置と量を演算する。そして、これらのデータをバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる。前記塗装バンパー2の面歪みは、塗装ラインS3での塗装要因(例えば、塗装治具表面の凹凸などによる塗装治具精度に起因する塗装バンパーとの強干渉、若しくは、塗装バンパーの支持なし(受けなし)等)により様々な態様で発生する。従って、前記塗装バンパー2の半拘束での面歪み位置と面歪み量のデータは、それが予め設定した面歪みを超える場合に、その要因となる塗装条件を特定する際のデータとして利用できる。また、塗装バンパー2の局部的な変形は、例えば、塗装ワークを保持する塗装治具やシンクロ台車による搬送方法が適切であったかどうか検討する際のデータとして利用できる。また、生地バンパー2の形状データと比較することにより、バンパー形状の工程間変化を把握することができる。
【0036】
前記塗装バンパー2の拘束計測による形状データおよび隣接部品との隙間および段差データは、夫々基準データと比較してその差分データをバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる。前記差分データは、塗装バンパー2のラジエータコアサポート係合部A0、グリル係合部A1、ヘッドランプ係合部A2、および、フェンダー係合部A3の各取付フランジF0〜F3の形状精度、例えば、フランジFの「反り」を判定する際のデータとして利用できる。即ち、「反り」の無いフランジFであれば、隣接部品との隙間および段差を基準内に止めて、バンパー2に歪みを生じさせることなく正規の位置に固定されるのであるが、いずれかのフランジFに反りが存在すれば、その反りにより該当部分の取付位置がずれて、隣接部品との隙間および段差が基準からずれることとなる一方、バンパー形状自体も歪みを生じる。また、生地バンパー2の拘束計測による形状データおよび隣接部品との隙間および段差データと比較することにより、測定データが基準からずれる不具合が、バンパー取付フランジF0〜F3の工程間変化を把握することで、塗装工程で発生したものか、樹脂成形工程で発生したものか判定して、その要因を早期に特定することができる。
【0037】
前記車両組付バンパー2の形状データおよび隣接部品との隙間および段差データは、夫々基準データと比較してその差分データをバンパー2の生産番号・生産データと共に記憶させる。組付バンパー2の形状データおよび隣接部品との隙間および段差データの夫々基準データとの乖離が予め設定した規定量を超える場合には、塗装バンパー2の拘束計測による形状データおよび隣接部品との隙間および段差データと比較することにより、更に遡って、生地バンパー2の拘束計測による形状データおよび隣接部品との隙間および段差データと比較することにより、その不具合が車両組付工程S5で発生したものか、塗装工程S3で発生したものか、射出成形段階S1で発生したものか、バンパー2の工程間変化を把握することで、早期発見することができる。例えば、塗装バンパー2の拘束計測時に既に許容値を超えていた場合には、拘束計測時に遡ってその要因を検討する必要がある。しかしながら、塗装バンパー2の拘束計測時には許容値の範囲内であった場合には、車両組付時に許容値から外れたのであるから、組付時の締付により取付フランジFに反りや干渉が生じていないか否か、現物の取付ブラケット23が適切であるかどうかによりその要因を検討することができる。
【0038】
図26〜図28は、上記実施形態の改良例1の樹脂製車両外装部品の計測解析方法を示したものであり、生地バンパーおよび塗装バンパーにおける拘束計測時の車両への取付フランジの干渉を確認可能なマスターモデルとしたものである。図示例はリアバンパー4のボディサイドアウターパネル5への取付面7を構成するマスターモデルMであり、図26は車両横方向からの正面図、図27(A)および(B)は、図26のA−A線およびB−B線に沿う各断面図、図28は車両パネル面とバンパー表面との面のつながりも評価可能とした図26のA−A線に沿う断面図である。
【0039】
前記バンパー4の車両パネル5への取付フランジ40は、通常車両表面およびバンパー表面からは目視確認できない部分に配置されている。このため、前記取付フランジ40が車両パネル5の絞り面7に干渉しているかどうかは目視で確認できない。
【0040】
図26では、前記車両パネル5のマスターモデルMの車両絞り面7を横断して複数の小窓41を開けるようにしている。従って、小窓41がない部分ではA−A断面のように、バンパーフランジ40とバンパー取付リテーナ42等との干渉状態を確認できないものであるが、小窓41のある部分ではB−B断面にように、バンパーフランジ40とバンパー取付リテーナ42等との干渉状態を確認することができる。
【0041】
この場合に、車両パネル面とバンパー表面との面のつながりは、小窓41のない部分で部分的に評価することができるが、全体として面同士がつながっているかどうかを判断することはできない。図28では、ボディサイドアウターパネル5を構成するマスターモデルMの見切り線6を含む表面部分を取り外し可能な別モデル43に構成したものである。即ち、バンパーフランジ40とバンパー取付リテーナ42等との干渉状態を確認する場合には、別モデル43をマスターモデルMから取り外して確認することができ、車両パネル面とバンパー表面との面のつながりを確認する場合には、別モデル43をマスターモデルMに取付けて全体的に確認することができる。
【0042】
図29および図30は、上記実施形態における改良例2に係る樹脂製車両外装部品の計測解析方法を示したものであり、塗装バンパー2のマスターモデルMへの取付を実車で使用する現物の取付ブラケット45により行うようにしたものである。
【0043】
図29は塗装バンパー2のフェンダー係合部A3を取付けるフェンダー3のマスターモデルMを示す。図30(A)および図30(B)に示すように、モデルベースMBにはブラケットモデル23を使用することなく、バンパー2のフェンダ係合部A3のフランジF3を現物の取付ブラケット45のフランジ係合溝46に係合させることにより、取付ブラケット45とバンパー2の取付フランジF3とを爪47により抜け止しつつ一体化させる。そして、図30(C)に示すように、マスターモデルMのロケート孔30に取付ブラケット45のロケートピン48を係合させて、フランジ部F3をフランジ係合溝46に保持することでバンパー2を保持した取付ブラケット45をマスターモデルMに位置決めロケートさせる。そして、図30(D)に示すように、取付ブラケット45およびフランジ部F3に取付スクリュ31を貫通させてマスターモデルMの取付グロメット32にねじ込むことで、バンパー2および取付ブラケット45をマスターモデルMに固定する。
【0044】
以上のように、現物の取付ブラケット45により塗装バンパー2を拘束状態でマスターモデルMに固定することにより塗装バンパー2はより実際に近い状態で固定することができ、その取付形状も実際の車両への取付状態を再現できる。従って、このような拘束状態でその形状、および、隣接部品との隙間並びに段差を測定(ステップS65)する拘束計測を実施すると、実際の車両への取付状態を測定することとなる。従って、その測定データは、車両へのバンパー2の取付状態に近似しており、塗装バンパー2の実際の車両での取付け結果を予測することができる。このため、実際の車両組立ラインS5へ塗装バンパー2を搬送する前に車両への取付状態を確認することができ、不具合が発生しない塗装バンパー2のみを車両組立ラインS5に供給することができる。また、この拘束計測を、前記実施形態の生地バンパー2の半拘束計測および拘束計測と、塗装バンパー2の半拘束計測と、更には、塗装バンパー2のマスターモデルMによる拘束計測と組合わせることにより、ここで発生する不具合の発生要因を前記した実施形態と同様に、塗装工程S3で発生したものか、射出成形段階S1で発生したものか、バンパー2の工程間変化を把握することで、早期発見することができる。
【0045】
図31〜図33は、上記実施形態における改良例3に係る樹脂製車両外装部品の計測解析方法を示したものであり、生地バンパー2および塗装バンパー2の半拘束治具同士および/または拘束治具同士を、生地バンパー用と塗装バンパー用とで兼用可能としたものである。即ち、生地バンパー2の半拘束治具および拘束治具と塗装バンパー2の半拘束治具および拘束治具とは、図22において説明したように、総基準に対して各部分が、塗装工程S3により収縮する前(生地バンパー2)と後(塗装バンパー2)とで一定の位置関係で存在する。従って、図31に示すように、一つの駒Gであっても、生地バンパー2での使用時と塗装バンパー2での使用時とで、一定の位置関係においてその取付位置を変更することで兼用させることができる。
【0046】
即ち、駒GをポールC上面に固定する複数の蝶ネジリーマボルト50に夫々係合する各長孔51により、駒Gがその生地バンパー用位置と塗装バンパー用位置との間で移動可能に設ける。そして、生地バンパー2を拘束する場合には、図32に示すように、蝶ネジリーマボルト50を緩めて駒Gを生地バンパー用位置にスライドさせ、生地バンパー用位置で合致する駒Gとポール上面C1とのノック孔52同士にノックピン53を挿入して位置決めして蝶ネジリーマボルト50により駒Gを固定して使用する。また、塗装バンパー2を拘束する場合には、図33に示すように、蝶ネジリーマボルト50を緩めて駒Gを塗装バンパー用位置にスライドさせ、塗装バンパー用位置で合致する駒Gとポール上面C1とのノック孔54同士にノックピン53を挿入して位置決めして蝶ネジリーマボルト50により駒を固定して使用する。
【0047】
この場合に、いずれの移動位置が生地バンパー用であり且つ塗装バンパー用であるかを明確とするために、生地用合いマーク55と塗装用合いマーク56とを色を異ならせて駒Gとポール上面C1とに刻印して配置しておけば、いずれが生地用であり塗装用であるか混同することがなくなる。
【0048】
このように、半拘束治具および/または拘束治具を、生地バンパー用と塗装バンパー用とで兼用させることにより、治具費用を低減することができると共にその用途も迅速に変更できる。
【0049】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0050】
(ア)射出成形した生地の樹脂製車両部品(2)を隣接部品を含めて形成した生地用マスターモデルMに組付けて樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差を計測する生地用拘束計測工程と、塗装後の樹脂製車両部品(2)を隣接部品を含めて形成した塗装用マスターモデルMに組付けて樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差を計測する塗装用拘束計測工程と、生地用拘束計測工程の計測値と塗装用拘束計測工程の計測値とから車両へ組付けられる樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにした。このため、車両への最終組付状態での評価不具合に対する正確な原因を、許容値外への変化が発生している工程を解析することで早期に把握し且つ対策でき、対策費用を増加させることなく、的確な不具合対策を実施することができる。
【0051】
(イ)生地用拘束計測工程および塗装用拘束計測工程は、測定しようとする樹脂製車両部品(2)の取付フランジ形状および外表面形状を無応力状態で測定する半拘束計測工程を夫々備え、これら半拘束計測工程での計測値も含めて車両へ組付けられる樹脂製車両部品(2)の形状および隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにしたため、マスターモデルMへの拘束前の樹脂製車両部品(2)の形状、例えば、取付フランジFの反り、ねじれ等の変形や外表面の面歪み、局部変形等を確認することができ、前記効果(ア)、即ち、車両への最終組付状態での評価不具合に対する正確な原因を早期に把握し且つ対策できる効果を一層向上できる。
【0052】
(ウ)マスターモデルMの車両と同様の位置に樹脂製車両部品(2)の取付フランジFと係合可能な取付部分を設け、樹脂製車両部品(2)の取付フランジFをマスターモデルMの取付部分に拘束して樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差を計測することにより、ワークである樹脂製車両部品(2)は車両への取付時と同様な締付力を受けて車両への取付時と同じ応力状態で変形し、樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差の再現性を高め、精度の高い測定をすることができる。
【0053】
(エ)塗装用拘束計測工程は、車両と同様の位置に樹脂製車両部品(2)の取付フランジFと係合可能な取付部分を備えるマスターモデルMの取付部分に、車両に実際に使用する取付ブラケット(45)を利用して前記樹脂製車両部品(2)の取付フランジFを固定して拘束し、樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差を計測する第2の塗装用拘束計測工程を後工程として備えるようにすると、車両への取付状態と同じ応力状態で変形し、樹脂製車両部品(2)の形状および樹脂製車両部品(2)と隣接部品との隙間および段差の再現性を一層高めて、精度の高い測定をすることができ、車両組立ラインS5へ出荷する樹脂製車両部品(2)の品質を確実に保証することができる。
【0054】
(オ)塗装用拘束計測工程のマスターモデルMは、各部分を車両と同一の大きさに形成し、前記生地用拘束計測工程のマスターモデルMは、塗装用拘束計測工程のマスターモデルMに対して樹脂製車両部品(2)の塗装後の収縮分だけ大きく形成することにより、生地の樹脂製車両部品であってもその形状および隣接部品との隙間および段差を精度よく測定することができる。
【0055】
(カ)マスターモデルMの取付部分に背面から開口する複数の小窓41を設け、取付部分に拘束している樹脂製車両部品(2)の取付フランジFを小窓41を通して目視で確認できるようにすると、樹脂製車両部品(2)の特に取付フランジFと前記取付部分との干渉チェックを容易にできる。
【0056】
(キ)半拘束計測工程での樹脂製車両部品(2)は、樹脂製車両部品(2)の取付フランジFおよび/または取付フランジFに隣接し且つ剛性のある角部を夫々支持ピンD1により支持して車両への取付姿勢と同様に保持することにより、樹脂製車両部品(2)を変形させることなく無応力状態で保持させることができる。
【0057】
(ク)拘束計測工程のマスターモデルMの各取付部分および前記半拘束計測工程の各支持ピンD1は、ベースBに夫々位置決め固定した各駒D上に固定して配置するため、ベースB上にポールCを固定し、ポールCの上端面C1に前記駒Dを位置決め固定すれば、樹脂製車両部品(2)をベースB上に浮かせて車両状態と同様に保持することができる。
【0058】
(ケ)各駒D、GはベースB上の生地用位置と塗装用位置とに位置を切換えて使用可能であり、生地用半拘束計測工程および生地用拘束計測工程ではベースB上の生地用位置に位置決め固定して生地の樹脂製車両部品(2)を支持または拘束し、塗装用半拘束計測工程および塗装用拘束計測工程ではベースB上の塗装用位置に位置決め固定して塗装された樹脂製車両部品(2)を支持または拘束することにより、生地用半拘束計測工程と塗装用半拘束計測工程との取付治具を、また、生地用拘束計測工程と塗装用拘束計測工程との取付治具を、夫々兼用させることができ、治具費用を低減できる。
【0059】
なお、上記実施形態において、樹脂製車両部品として、バンパーの計測解析方法について説明したが、図示はしないが、他の樹脂製車両部品、例えば、フードやフェンダーを製造するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態を示す樹脂製車両部品の製造工程の工程図。
【図2】同じく各計測ステージでの計測手順を示す工程図。
【図3】樹脂製車体部品としての樹脂製バンパーの斜視図。
【図4】半拘束計測における支持点の配列状態を示す説明図。
【図5】駒の配列状態を示す平面図。
【図6】半拘束治具の概要を示す斜視図。
【図7】半拘束計測に使用する駒の概要を示す斜視図(A)、および支持ピンの取付状態を示す断面図。
【図8】バンパーの総基準点の支持方法を示す断面図。
【図9】グリル係合部等の平面部の支持方法を示す概略図。
【図10】ヘッドランプ係合部の支持方法を示す断面図。
【図11】ヘッドランプ係合部のコンビネーションランプに近接する係合部の支持方法を示す断面図。
【図12】フェンダー係合部の支持方法を示す概略図。
【図13】拘束計測治具の概要を示す斜視図。
【図14】拘束計測に使用する駒の概要を示す斜視図。
【図15】総基準となるラジコアサポートへの取付状態を説明する説明図。
【図16】グリル係合部の取付状態を説明する説明図。
【図17】ヘッドランプ係合部の取付状態を説明する説明図。
【図18】フェンダー係合部のマスターモデルを説明する平面図。
【図19】フェンダー係合部のマスターモデルへの係合状態を(A)〜(D)により夫々示す断面図。
【図20】フロントフェンダの見切り部および絞込み部を説明する外面図(A)および断面図(B)。
【図21】リヤフェンダの見切り部および絞込み部を説明する外面図(A)および断面図(B)。
【図22】生地バンパーと塗装バンパーとの大きさを示す概略平面図。
【図23】車両組立状態で測定すべき隣接部品との隙間を示す斜視図。
【図24】隙間測定方法の一例を示す斜視図(A)および断面図(B)。
【図25】段差測定方法の一例を示す斜視図(A)および断面図(B)。
【図26】改良例1のマスターモデルを示す平面図。
【図27】改良例1のマスターモデルの小窓のない部分(A)および小窓部分(B)の断面図。
【図28】改良例1の別例を示す断面図。
【図29】改良例2の拘束計測におけるマスターモデルを示す平面図。
【図30】改良例2のフェンダー係合部のマスターモデルへの係合状態を(A)〜(D)により夫々示す断面図。
【図31】改良例3の拘束計測における駒を示す斜視図。
【図32】図31の駒を生地用の取付位置に位置決めした状態を示す平面図。
【図33】図31の駒を塗装用の取付位置に位置決めした状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0061】
A0〜A3 係合部
B ベース
B0〜B3 支持点
C ポール
D、G 駒
D1 支持ピン
E ブラケット
F 取付フランジ
1 生産コントローラ
2 樹脂製車両部品としてのバンパー
3 フェンダー
6 見切り線
7 パネル絞り部
8 ヘッドランプ
9 フード
23 ブラケットモデル
45 取付ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形後に塗装して車両に組付ける樹脂製車両部品の計測解析方法であり、
射出成形した生地の樹脂製車両部品を隣接部品を含めて形成した生地用マスターモデルに組付けて樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する生地用拘束計測工程と、
塗装後の樹脂製車両部品を隣接部品を含めて形成した塗装用マスターモデルに組付けて樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する塗装用拘束計測工程と、
生地用拘束計測工程の計測値と塗装用拘束計測工程の計測値とから車両へ組付けられる樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにしたことを特徴とする樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項2】
前記生地用拘束計測工程および塗装用拘束計測工程は、測定しようとする樹脂製車両部品の取付フランジ形状および外表面形状を無応力状態で測定する半拘束計測工程を夫々備え、
これら半拘束計測工程での計測値も含めて車両へ組付けられる樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差の許容値外への変化がいずれの工程に起因して発生しているかを判定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項3】
前記マスターモデルは、車両と同様の位置に樹脂製車両部品の取付フランジと係合可能な取付部分を備え、前記樹脂製車両部品の取付フランジをマスターモデルの取付部分に拘束して樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項4】
前記塗装用拘束計測工程は、車両と同様の位置に樹脂製車両部品の取付フランジと係合可能な取付部分を備えるマスターモデルの取付部分に、車両に実際に使用する取付ブラケットを利用して前記樹脂製車両部品の取付フランジを固定して拘束し、樹脂製車両部品の形状および樹脂製車両部品と隣接部品との隙間および段差を計測する第2の塗装用拘束計測工程を後工程として備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項5】
前記塗装用拘束計測工程のマスターモデルは、各部分を車両と同一の大きさに形成し、
前記生地用拘束計測工程のマスターモデルは、塗装用拘束計測工程のマスターモデルに対して樹脂製車両部品の塗装後の収縮分だけ大きく形成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項6】
前記マスターモデルは、取付部分に背面から開口する複数の小窓を備え、取付部分に拘束している樹脂製車両部品の取付フランジを小窓を通して目視で確認できるようにしていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項7】
前記半拘束計測工程での樹脂製車両部品は、樹脂製車両部品の取付フランジおよび/または取付フランジに隣接し且つ剛性のある角部を夫々支持ピンにより支持して車両への取付姿勢と同様に保持することを特徴とする請求項2に記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項8】
前記拘束計測工程のマスターモデルの各取付部分および前記半拘束計測工程の各支持ピンは、ベースに夫々位置決め固定した各駒上に固定して配置していることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか一つに記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。
【請求項9】
前記各駒は、ベース上の生地用位置と塗装用位置とに位置を切換えて使用可能であり、生地用半拘束計測工程および生地用拘束計測工程ではベース上の生地用位置に位置決め固定して生地の樹脂製車両部品を支持または拘束し、塗装用半拘束計測工程および塗装用拘束計測工程ではベース上の塗装用位置に位置決め固定して塗装された樹脂製車両部品を支持または拘束することを特徴とする請求項8に記載の樹脂製車両部品の計測解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−47179(P2006−47179A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230581(P2004−230581)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】