説明

橋梁の架設装置

【課題】橋梁の架設装置を提供すること。
【解決手段】柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱7が立設されると共にピロン柱7に第1ガイド体12が設けられ、主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体13を進退移動可能に設けた可動張り出し架設梁20が設けられ、橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体14および駆動ドラムを備えたウインチ42aが地盤側に設けられ、ピロン柱7の第1ガイド体12と、可動張り出し架設梁20の第2ガイド体13と、第3ガイド体14および駆動ドラムとに渡って主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55が掛け回され、可動張り出し架設梁20先端の第2ガイド体13から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55に、昇降用シーブを有する昇降用枠体30が吊り下げ支持されて昇降可能に設けられ、その昇降用枠体30に、主桁ブロックを係止するための連結係止具38が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製主桁ブロックなどのブロックを吊り上げて橋梁を構築するための橋梁の架設装置、特に山岳等において有利な橋梁の架設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁の架設工法としては、ベントを設置できない山間部等に用いられる方法として、次の(1)(2)のような工法が知られている。
【0003】
(1)特許文献1に示すような既設ブロック上に運搬台車用のレールと架設用デリック用のレールを敷設して、それぞれ、運搬台車および架設用デリックを用いて、主桁を順次架設していく工法が知られている(以下、「ハンギング運搬架設工法」と呼ぶ。)。
【0004】
(2)特許文献2に示すような架設された主桁ブロック上に移動式吊り上げ装置を配置し、その移動式吊り上げ装置により主桁ブロックを吊り上げて、既設の主桁ブロックに接合し、以下、移動式吊り上げ装置を継ぎ足された主桁ブロック上に移動し、次の主桁ブロックを吊り上げて既設主桁ブロックに継ぎ足す工程を繰り返す工法も知られている(以下、「バランシング架設工法」と呼ぶ。)。
【特許文献1】特開平09−221718号公報
【特許文献2】特開平11−158817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンギング運搬架設工法の場合は、主桁ブロックを運搬ワイヤーで吊って、架設地点真下まで移動した後、架設デリックから吊り下げられた移設ワイヤーに盛り替えてからワイヤーを巻き取り、主桁ブロックを引き上げるようになるため、主桁ブロックの盛り替えが必要になるという問題がある。また、架設デリック移動用のレールが必要になると共に、運搬台車移動用のレールも必要になり、装置が複雑になるという問題がある。
すなわち、前記(1)の工法の場合には、盛り替え施工の煩雑性および盛り替え設備等、装置の複雑化、並びに施工工期の長期化等により、施工コストが高くなるという問題がある。
【0006】
バランシング架設工法の場合には、架設された主桁ブロック上の移動式吊り上げ装置により架設すべき主桁ブロックを吊り下げ運搬した状態で橋軸方向に所定の位置まで移動し、その位置で、主桁ブロックを吊り上げて、既設主桁ブロックに接合するようになるため、主桁ブロックの架設時における既設側の主桁ブロックには、移動式吊り上げ装置およびこれに吊り下げている主桁ブロックの荷重を負担するようになるので、既設の主桁ブロックには、大きな断面力が作用するようになるため、予めこれらの断面力を想定して、主桁ブロックの断面を設計するため、主桁ブロックの断面も大きくなるという問題がある。
本発明は前記の課題を有利に解消することができる橋梁の架設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の橋梁の架設装置においては、柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱が立設されると共に前記ピロン柱に第1ガイド体が設けられ、
主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体を伸縮可能に設けた可動張り出し架設梁が設けられ、
橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体、および駆動ドラムを備えたウインチが地盤側に設けられ、
主桁ブロック吊り上げ用ケーブルは、ピロン柱の第1ガイド体と、可動張り出し架設梁の第2ガイド体と、第3ガイド体および駆動ドラムとに渡って掛け回され、
前記可動張り出し架設梁先端の第2ガイド体から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用枠体が昇降可能に設けられ、
その昇降用枠体に、主桁ブロックを係止するための連結係止具が設けられていること
を特徴とする。
また、第2発明の橋梁の架設装置においては、柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱が立設されると共に前記ピロン柱に第1ガイド体が設けられ、
主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体を伸縮可能に設けた可動張り出し架設梁が設けられ、
橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体および駆動ドラムを備えたウインチが地盤側に設けられ、
主桁ブロック吊り上げ用ケーブルは、前記ケーブル定着部材もしくは駆動ドラムから端を発し、第3ガイド体と、ピロン柱の第1ガイド体と、可動張り出し架設梁の第2ガイド体と、昇降用シーブを介して折り返し、再び第2ガイド体、第1ガイド体を経由して第3ガイド体に掛け回され、
前記可動張り出し架設梁先端の第2ガイド体から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用シーブを有する昇降用枠体が吊り下げ支持されて昇降可能に設けられ、その昇降用枠体に、主桁ブロックを係止するための連結係止具が設けられていることを特徴とする。
また、第3発明では、第2発明の橋梁の架設装置において、ピロン柱に第1ガイド体と第4ガイド体が設けられ、前記可動張り出し架設梁の先端部に第2ガイド体および第5ガイド体が設けられ、橋脚基礎または地盤に反力をとった第6ガイド体、第7ガイド体と前部の駆動ドラムと後部の駆動ドラムとが地盤側に設けられ、前記第6ガイド体と、第5ガイド体と、第4ガイド体と、第7ガイド体と前記前部の駆動ドラムと後部の駆動ドラムとに渡ってガイド用ケーブルが前記主桁ブロック吊り上げ用ケーブルと並行に掛け回され、前記ガイドケーブルは前記昇降用枠体に係合されていることを特徴とする。
また、第4発明では、第2発明または第3発明における橋梁の架設装置において、橋脚基礎、または橋脚基礎の周囲またはこれに連結するように地盤に反力をとったコンクリート基礎のいずれか一方または両方に、第3ガイド体、ケーブル定着部材および駆動ドラムを備えたウインチが設置されていることを特徴とする。
また、第5発明では、第2発明の橋梁の架設装置において、ガイドケーブルは、ウインチの前部の駆動ドラム、第7ガイド体、第4ガイド体、第5ガイド体、第6ガイド体、およびウインチの後部の駆動ドラムを経由し、ループ状に掛け回されていることを特徴とする。
第6発明では、第2発明〜第5発明のいずれかの橋梁用架設装置において、新設の主桁ブロックを所定の高さまで引き上げた際、既設ブロックの接合部付近まで引き付けるため引込装置を有することを特徴とする。
第7発明では、第2発明の橋梁の架設装置において、昇降用シーブを備えた昇降用枠体とガイドケーブルは係合されるかまたは繋がれ、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルはガイドケーブルに沿って巻き上げられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によると、柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱が立設されると共に前記ピロン柱に第1ガイド体が設けられ、主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体を伸縮可能に設けた可動張り出し架設梁が設けられ、橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体、および駆動ドラムを備えたウインチが地盤側に設けられ、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルは、第3ガイド体と、ピロン柱の第1ガイド体と、可動張り出し架設梁の第2ガイド体と、駆動ドラムとに渡って掛け回され、前記可動張り出し架設梁先端の第2ガイド体から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用枠体が昇降可能に設けられ、その昇降用枠体に、主桁ブロックを係止するための連結係止具が設けられているので、主桁上に可動張出し架設梁を移動可能に設けて、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルをピロン柱および地上側に配置するだけで、主桁ブロックを斜め上方向に吊り上げて架設することができ、そのため、山岳地帯等桁下空間での作業が困難な場所に橋梁を架設することができる。また、前述の方法により主桁ブロックを吊り上げ既設の主桁と連結した後、斜材を用いてピロン柱と連結後の主桁を繋ぐため、架設時の断面力を考慮せず主桁ブロック形状を決定できるので、従来よりも主桁ブロック断面を縮小できる。また、斜材を介して架設された主桁ブロックを支持させるように架設する際、斜材には張力調整装置を取り付けるため、架設される主桁ブロックのキャンバ調整も容易であり、橋梁の出来形管理も容易にすることができる。
なお、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルを昇降用枠体に連結するようにした場合には、橋梁の架設装置の構成を少ない部品数とすることができ、一層安価な架設装置とすることができ、施工性もよくなる。
また、第2発明によると、柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱が立設されると共に前記ピロン柱に第1ガイド体が設けられ、主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体を伸縮可能に設けた可動張り出し架設梁が設けられ、橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体および駆動ドラムを備えたウインチが地盤側に設けられ、ピロン柱の第1ガイド体と、可動張り出し架設梁の第2ガイド体と、第3ガイド体および駆動ドラムとに渡って主桁ブロック吊り上げ用ケーブルが掛け回され、前記可動張り出し架設梁先端の第2ガイド体から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用シーブを有する昇降用枠体が吊り下げ支持されて昇降可能に設けられ、その昇降用枠体に、主桁ブロックを係止するための連結係止具が設けられているので、主桁上に可動張出し架設梁を移動可能に設けて、吊り上げ用ケーブルをピロン柱および地上側に配置するだけで、主桁ブロックを斜め上方向に吊り上げて架設することができ、そのため、山岳地帯等桁下空間での作業が困難な場所に橋梁を架設することができる。また、前述の方法により主桁ブロックを吊り上げ既設の主桁と連結した後、斜材を用いてピロン柱と連結後の主桁を繋ぐため、架設時の断面力を考慮せず主桁ブロック形状を決定できるので、従来よりも主桁ブロック断面を縮小できる。また、斜材を介して架設された主桁ブロックを支持させるように架設する際、斜材には張力調整装置を取り付けるため、架設される主桁ブロックのキャンバ調整も容易であり、橋梁の出来形管理も容易にすることができる。
また、第2発明によると、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルの一端がケーブル定着部材もしくは駆動ドラムから端を発して昇降用シーブで折り返すようにされているので、主桁ブロックを大きなウインチを用いることなく吊り上げることができる。また、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルの掛け回し機構も簡単である。
第3発明によると、ピロン柱に第1ガイド体と第4ガイド体が設けられ、前記可動張り出し架設梁の先端部に第2ガイド体および第5ガイド体が設けられ、
橋脚基礎または地盤に反力をとった第6ガイド体と第7ガイド体および前部の駆動ドラムと後部の駆動ドラムとが地盤側に設けられ、前記前部の駆動ドラムと、第6ガイド体と、第5ガイド体と、前記第4ガイド体と、第7ガイド体と前記後部の駆動ドラムとに渡ってガイド用ケーブルが前記主桁ブロック吊り上げ用ケーブルと並行に掛け回され、前記ガイド用ケーブルは前記昇降用枠体に係合されているので、ガイドケーブルにより昇降用枠体を安定した姿勢で昇降させることができ、また昇降用枠体に連結係止具を介して係止されている主桁ブロックを安定した姿勢で吊り上げることができる。
第4発明によると、橋脚基礎、または橋脚基礎の周囲またはこれに連結するように地盤に反力をとったコンクリート基礎のいずれか一方の基礎または両方の基礎に、第3ガイド体、ケーブル定着部材および駆動ドラムを備えたウインチが設置されているので、施工現場に応じて、橋脚基礎またはコンクリート基礎の一方または両方に、設計により適宜、第3ガイド体あるいはウインチ等を設置する上での基礎を容易に選択することができ、施工が容易になる。
第5発明によると、ガイドケーブルは、ウインチの前部の駆動ドラム、第7ガイド体、第4ガイド体、第5ガイド体、第6ガイド体、およびウインチの後部の駆動ドラムを経由し、ループ状に掛け回されているので、ガイドケーブルをウィンチの駆動ドラムから、繰り出しまたは巻き戻すことにより、第7ガイド体、第4ガイド体、第5ガイド体、第6ガイド体、を経由して、新設の主桁ブロック吊り上げ方向あるいは次に吊り上げ架設するための戻り方向に容易に、往復駆動あるいは循環駆動することができる。
第6発明によると、新設の主桁ブロックを所定の高さまで引き上げた際、既設ブロックの接合部付近まで引き付けるため引込装置を有するので、新設の主桁ブロックを既設ブロック側に確実に引き付けることができる。
第7発明によると、昇降用シーブを備えた昇降用枠体とガイドケーブルは係合されるかまたは繋がれ、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルはガイドケーブルに沿って巻き上げられるので、ガイドケーブルにより昇降用枠体を安定した姿勢で昇降させることができ、また、ガイドケーブルに沿って、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルを巻き上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1〜図9は、本発明の一実施形態の橋梁の架設装置1を示すものであって、図1は概略側面図、図2,3は図1の一部を省略した概略側面図、図4は図1の一部を拡大して示す側面図、図5および図6は、それぞれ図1のA−AおよびB−B線拡大正面図、図7は図1のC−C線断面図であり、自走式台車付近を拡大して示す平面図、図8は自走式台車付近を拡大して示す側面図、図9は図1のD−D線断面図である。なお、以下の説明において、前後方向とは、図1において橋軸直角方向の手前側が前部であり、奥側が後部である。
【0011】
コンクリート製橋脚基礎2に、あるいはコンクリート製橋脚基礎2とは独立して別途、ケーブルアンカー設置用コンクリート基礎3が設けられ、クレーン等により、橋脚4上に設置固定された鋼製柱頭部主桁ブロック5には、橋軸方向にそれぞれ延長するように、鋼製第1主桁ブロック6,6´が、図示省略のクレーンにより吊り上げられて、それぞれ鋼製柱頭部主桁ブロック5に、添板56およびボルト57を用いて接合されて架設固定されている。
【0012】
前記の柱頭部主桁ブロック5上には、門型フレーム等からなる鋼製ピロン柱7が立設されると共に、その下端部は、ピンまたは支軸により回動可能に柱頭部主桁ブロック5に連結され、前記ピロン柱7の中間部と、橋軸方向の左右両側の柱頭部主桁ブロック5とは、適宜、中間部等に伸縮式ジャッキあるいはターンバックル等の長さ調整機構(図示を省略した)を備えた控えケーブル8により連結されて、前記ピロン柱7は、柱頭部上に鉛直に立設されている。
【0013】
前記ピロン柱7は、図5に示すように、柱頭部主桁ブロック5における各鋼製主桁9にピンにより回動可能に連結された鋼製柱10と、各鋼製柱10の上端部に渡って橋軸直角方向に延長するように架設された横梁11を備えた門型フレ−ム状とされ、前記横梁11には、橋軸直角方向(前後方向)の中央部よりに、間隔をおいて平行に設けられたガイドシーブからなる前後一対の第1ガイド体12,12´が設けられ、また、橋軸直角方向の端部には、それぞれ前後一対のガイドシーブからなる第4ガイド体15,15´が設けられている。
【0014】
各鋼製主桁9上には、橋軸方向に延長するように、走行用レール19が敷設され、各走行用レール19に渡って、先端部中央よりに前後一対のガイドシーブからなる第2ガイド体13,13´および端部よりに前後一対のガイドシーブからなる第5ガイド体16、16´を設けた伸縮可能な可動張出し架設梁20が走行用レール19の長手方向に位置固定自在に設けられている。
【0015】
前記の可動張出し架設梁20は、図8に示すように、駆動車輪21aを備えた自走式台車21と、その自走式台車21の上部に設けられた伸縮式の引込装置22と、その伸縮式の引込装置22に支持されてこれを付属させている伸縮可能な張出し架設アーム23とを備えている。
前記の伸縮式の引込装置22は、自走式台車21における橋軸直角方向の両側に間隔をおいて平行に橋軸方向に延長するように設けられた各側部フレーム24の先端部に一体に設けられた筒状ガイド部25と、その筒状ガイド部25に摺動可能に嵌設された各被ガイド筒状体26と、これらの内側に配置されると共に両端部がそれぞれ筒状ガイド部25または被ガイド筒状体26に連結された液圧式伸縮ジャッキ27とを備えている。
前記の液圧式伸縮ジャッキ27を伸縮することにより、伸縮可能な張出し架設アーム23は橋軸方向に進退移動可能にされ、前記の伸縮可能な張出し架設アーム23を後退移動すると、第2ガイド体13により、主桁ブロック吊り上げ用ガイドケーブル34をガイドすると共に、主桁液圧式伸縮ジャッキ27により吊り上げられてくる新設の鋼製主桁ブロック39を既設側の主桁ブロック側に引き寄せる(引き込む)ことが可能にされている。
前記の各被ガイド筒状体26に、伸縮可能な張出し架設アーム23における橋軸直角方向の両端側の後部が一体に設けられている。
また、前記の伸縮可能な張出し架設アーム23の前端部には、橋軸直角方向に延長する前部梁28が設けられていると共に、その前部梁28には、橋軸直角方向の中央部よりに、間隔をおいて設けられたガイドシーブからなる前後一対の第2ガイド体13が設けられ、また、橋軸直角方向の端部には、それぞれガイドシーブからなる前後一対の第5ガイド体16,16’が設けられている。
【0016】
前記のケーブルアンカー設置用コンクリート基礎3には、吊り上げ用ケーブル定着部材29が立設されていると共にその下部が固定され、また、前記第2ガイド体13よりも橋脚4側に位置するガイドシーブからなる前後一対の第6ガイド体17,17’が設置されている。
【0017】
主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55の一端側は、前記吊り上げ用ケーブル定着部材29に連結され、後部の第3ガイド体14’、ピロン柱7上の後部の第1ガイド体12’、張出し架設アーム23における中央より後部の第2ガイド体13’、新設の鋼製主桁ブロックを吊り下げ支持している昇降用枠体30における昇降用シーブ31に順次巻き掛けられて反転され、反転された主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55は、伸縮可能な張出し架設アーム23中央よりの前部の第2ガイド体13、ピロン柱7上の前部の第1ガイド体12、コンクリート基礎3上に設置されている前部の第3ガイド体14に巻き掛けられていると共に巻き取りおよび繰り出し駆動ドラム32に順次巻き掛けられている。
【0018】
前記の昇降用シーブ31を有する昇降用枠体30は、図6に示すように、下部に吊りフック33を有すると共に、昇降用枠体30の前後方向の両端部には、ガイドケーブル34に係合してこれを案内するための、ガイド部材35を備えている。前記のガイド部材35としては、例えば、ガイドシーブあるいはガイドローラ等のガイド部材35を、前後両側に1組備え、前後のガイド部材35によりガイドケーブル34を把持して、昇降用枠体30の姿勢を安定した状態に保持できるようにされている。
【0019】
前記の吊りフック33には、吊り上げられる鋼製主桁ブロックにおける吊り金具36に連結された係止具37の端部が着脱可能に連結されている。前記の吊りフック33と係止具37とにより、連結係止具38が構成されている。
ウインチ42aにおける駆動ドラム32を油圧モータ等により駆動して、主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55を巻き上げ方向に運転すると、新設の鋼製主桁ブロック39を、既設の主桁ブロック6に隣接して、橋軸方向新設側に離れた状態で吊り上げることができ、可動張出し架設梁20またはその伸縮可能な張出し架設アーム23を、前記の吊り上げられた新設の主桁ブロック39を既設主桁ブロック側に引き込むよう、液圧式伸縮ジャッキ27を短縮すると、吊り上げられた新設の鋼製主桁ブロック39を既設側に移動することができる。
なお、前記の可動張出し架設梁20またはその伸縮可能な張出し架設アーム23が、昇降用ジャッキにより昇降可能に構成されていると、新設の主桁ブロック39の上下方向のレベル調整を行って、新設の主桁ブロック39を正確な上下方向の位置に配置して設置することができる。
なお、前記主桁吊り上げ用ケーブル55は、ガイドケーブル34に沿って駆動ドラム32に巻き取られる。また、前記主桁吊り上げ用ケーブル55を駆動するウインチ42aと、ガイドケーブル34を駆動するウインチ43,43´とは、同期して駆動される。
【0020】
次に、前記の実施形態における昇降用枠体30の姿勢を安定した状態にするための前後一対のガイドケーブル34,34’およびそのガイドケーブル34,34’を循環駆動する前後の循環駆動系について、図1、図5および図9を参照しながら説明する。なお、必ずしも図9に示すようなドラム配置としなくても良く、例えば、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルをシングルドラムからダブルドラムに変更し、ガイドケーブルもシングルからダブルドラムに変更してもよい。
【0021】
前記実施形態では、橋軸直角方向の前部(前記のように、図1における橋軸直角方向の手前側)に位置して繰り出しまたは巻き取られる前部側ガイドケーブル34と、橋軸直角方向の後部に位置して繰り出しまたは巻き取られる後部側ガイドケーブル34´とを備えている。
【0022】
前部側ガイドケーブル34を駆動するために、前記第2ガイド体13よりも橋脚4側に位置するガイドシーブからなる前部の第6ガイド体17よりも橋脚4側に位置して、コンクリート基礎3上に設置されたガイドシーブからなる前部の第7ガイド体18が設けられ、また、コンクリート基礎3上等に、前後に間隔をおいて油圧モータにより駆動される前部の駆動ドラム40,40’が設けられている。前記の各前部の駆動ドラム40,40’は同期して駆動可能にされている。
前部側のガイドケーブル34の一端側は、前部の一方の駆動ドラム40に巻き掛けられ、前記前部側のガイドケーブル34の中間部は、前部の第7ガイド体18、ピロン柱7上の前部側の第4ガイド体15、張出し架設アーム23の前部側の第5ガイド体16に巻き掛けられ、また、昇降用枠体30内のガイド部材35間を挿通されて吊り上げられる新設主桁ブロック39外(ガイドケーブル34は主桁ブロックの外側を通る。)を通り、前部の第6ガイド体17に巻き掛けられ、前部側のガイドケーブル34の他端側は、前部の駆動ドラム40に近接して配置されている前部の他方の駆動ドラム40´に巻き掛けられている。
【0023】
また、後部側のガイドケーブル34´を駆動するために、前記第2ガイド体13よりも橋脚4側の位置するガイドシーブからなる後部の第6ガイド体17´よりも橋脚4側に位置して、コンクリート基礎3上に設置されたガイドシーブからなる後部の第7ガイド体18´が設けられ、また、コンクリート基礎3上等に、前後に間隔をおいて油圧モータにより駆動される後部の駆動ドラム41,41’が設けられている。前記各後部の駆動ドラム41,41’が同期して駆動可能にされている。
後部側のガイドケーブル34´の一端側は、後部の一方の駆動ドラム41に巻き掛けられ、前記後部側のガイドケーブル34´の中間部は、後部の第7ガイド体18´、ピロン柱7上の後部側の第4ガイド体15´、伸縮可能な張出し架設アーム23の後部側の第5ガイド体16´に巻き掛けられ、また、昇降用枠体30内のガイド部材35間を挿通されて吊り上げられる新設主桁ブロック39外を通り、後部の第6ガイド体17´に巻き掛けられ、後部側ガイドケーブル34´の他端側は、後部の駆動ドラム41に近接して配置されている後部の他方の駆動ドラム41´に巻き掛けられている。
【0024】
また、前部側の各駆動ドラム40,40´および後部側の各駆動ドラム41,41´は、同期して駆動可能にされている。
前記の前部側のガイドケーブル34および後部側のガイドケーブル34´は、側面視で、全体としてほぼループ状に掛け回されている。図示の場合には、それぞれ前部側のガイドケーブル34および後部側のガイドケーブル34´の両端部は、それぞれ橋軸直角方向で、同軸状に配置され、それぞれ独立したウインチ43、43´における駆動ドラム40,40’(41,41´)に巻き取られているので、橋梁主桁が新設側に張出し架設する場合に、可動張出し架設梁20を前進移動した場合にも、容易に長さ調整することができる。
【0025】
前記のように引込装置22により、伸縮可能な張出し架設アーム23は、ガイド部により橋軸方向にガイドされているので、鋼製主桁ブロック39を吊り上げ用ケーブルにより吊り上げる場合に、前記第2ガイド体13により吊り上げ用ケーブルをガイドしながら引き上げ、前記の引込装置22により、橋軸方向の既設主桁ブロックに接続するよう、鋼製主桁ブロック39を橋軸方向既設側に引き込んで、既設主桁ブロック6に添板56およびボルト57により連結して設置することができる。なお、ガイドケーブルにより決定される進行方向に沿って、前記吊り上げ用ケーブルは移動するので、前記のガイド体13から外れることはない。
【0026】
前記自走式台車21を走行用レール19に位置固定するための装置としては、自走式台車21にレールクランプ装置を付属させるか、走行用レール19にその長手方向に間隔をおいてピン孔を設け、レールクランプ装置側にピンを設けることにより、レールクランプ装置により走行用レールを把持して、可動張出し架設梁20を位置固定可能にすればよい。
【0027】
前記可動張出し架設梁20には、橋軸直角方向の中央部よりに、間隔をおいて設けられたガイドシーブからなる前後一対の第2ガイド体13,13´が設けられ、また、橋軸直角方向の端部には、それぞれガイドシーブからなる前後一対の第5ガイド体16,16´が設けられている。
【0028】
前記のケーブルアンカー設置用コンクリート基礎3上には、適宜アンカーにより固定された荷吊りケーブル定着部材29が設置されていると共に、駆動装置および荷吊りケーブル巻取り駆動ドラム32を備えた荷上げ用ウインチ42a(図9参照)が設置されている。
【0029】
なお、各主桁ブロックは、図18(a)(b)に示すように、間隔をおいて平行に配置されている鋼板等からなる複数本(例えば、2本)の主桁9と、これらの両端部に渡って連結用横桁46が連結されて、枠形のフレーム状の主桁ブロック6,39が構成されている。各主桁9の両端部のフランジおよびウェブには、ボルト孔が設けられている。
【0030】
次に、鋼製主桁ブロック39を吊り上げ架設する概略手順について説明すると、以下の(1)〜(12)のようになる。
(1)橋脚4付近の作業ヤード付近にガイドシーブからなるガイド体および吊り上げ用あるいはガイド用のケーブル巻取り用ドラムを設置する。
(2)橋脚付近にガイド体等の反力を取るためのコンクリート基礎を適宜アンカーを設けて打設する。
(3)トラッククレーン等により橋脚4上に柱頭部主桁ブロック5を、または必要に応じ橋軸方向に張出す第1主桁ブロック6を架設した後、ピロン柱7を、柱頭部主桁ブロック5上または橋脚4上にピン結合するように設置する。転倒防止用の控えケーブル8を設置する。また、ピロン柱頂部には滑車(シーブ)が、片側2系統、計4系統あるいは片側3系統、計6系統配備される。
(4)架設された主桁ブロック上に走行用レール19を敷設し、可動張出し架設梁20を設置する。なお、張り出し架設梁の先端にはガイドシーブからなるガイド体を取り付ける。
(5)コンクリート基礎上に設置されたケーブル定着部材29またはウインチの駆動ドラムから可動張出し架設梁20先端のガイド体、およびピロン柱7先端のガイドシーブからなるガイド体を経由し、ウインチの駆動ドラムに戻るように、ガイドケーブル34を橋軸直角方向の片側に1系統、好ましくは橋軸直角方向の両側に2系統設置する。
(6)ガイドケーブルと並行する位置に主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55を、橋軸直角方向の片側1系統または2系統設置する。
(7)主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55に昇降用枠体30の昇降用シーブ31(反転用シーブ)を支持させるように取り付ける。主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55を前記昇降用シーブ(反転用シーブ)に巻き掛け、また、ガイドケーブルを、ガイドローラ等にガイド部材35に係合するようにガイド部材35間に挿通配置させる。
(8)新設の主桁ブロック39を橋脚基礎周辺で地組みし、昇降用枠体30に取り付けられた連結係止具により主桁ブロック39を連結して、連結係止具で、橋軸方向新設側に向かって斜めに吊り上げる。
(9)新設の主桁ブロック39(6)を既設の主桁ブロック6(5)に、添板56およびボルト57により接合した後、ピロン柱7に一端側を連結された斜吊ケーブル45を、前記架設された新設の主桁ブロック39に接続する。
(10)架設された主桁ブロック39上にレール19を敷設して可動張出し架設梁20を新設側に移動し位置固定する。
(11)前記(8)〜(10)の工程を繰り返して、橋脚中央部で架設桁相互を連結して、橋脚間に橋梁主桁を掛け渡して完成する。
(12)ピロン柱およびガイドケーブル、吊り上げ用ケーブルを解体撤去する。
なお、前記(11)において、橋脚4の橋軸方向左右同時または交互に張出すように主桁ブロック39を架設する。
【0031】
前記の施工において、図1に示すように、主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55を駆動して昇降用枠体30を上昇させて新設の主桁ブロック39を上昇させる場合、前記の前部側のガイドケーブル34および後部側のガイドケーブル34´は同期駆動されて、昇降用枠体30の前後の部分が、橋軸方向あるいは橋軸直角方向に振れることなく安定した状態で、昇降用枠体30が上昇することができ、これに支持されている吊り上げ用の主桁ブロック39も、橋軸方向あるいは橋軸直角方向に触れることなく安定した状態で吊り上げることができるようにされている。
【0032】
本発明では、吊り上げた本設の主桁ブロック6(39)を既設の主桁ブロック5(6)と連結固定した後、ピロン柱7と架設された主桁ブロックとを張力調整装置44を備えた斜吊ケーブル45により支持するようにしているので、架設された主桁ブロックに対するキャンバ調整が容易であると共に橋梁の出来形管理を容易に行うことができる。また、架設された主桁ブロックに作用する断面力を低減することができるため、架設時の断面力で主桁断面を大きくする必要がない。
【0033】
なお、前記ガイド部材35に代えて連結部材を昇降用枠体30に設けて、ガイドケーブル34と昇降用枠体30を繋げるようにしてもよい。
【0034】
次に、前記実施形態における主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55およびこれをガイドする各ガイド機構および駆動機構を省略して、ガイドケーブル34を吊り上げ用ケーブルとして用いた形態について、図10〜図14を参照しながら、前記実施形態と相違する部分を主に説明する。
【0035】
この形態は、特に図12を参照して説明すると、前記実施形態における昇降用枠体30に設けられている前記ガイド部材35を省略すると共に、昇降用枠体30の橋軸直角方向の幅をコンパクトにし、かつ昇降用枠体30の橋軸直角方向の両端部に、ボルト等により着脱可能な連結部材58,58´を固定し、昇降用枠体30の外側のガイドケーブル34,34´を主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55,55´として使用するために、昇降用枠体30の橋軸直角方向の端部に連結するための連結部材58,58´を設けて、各ガイドケーブル34,34´と昇降用枠体30を連結するようにして、各ガイドケーブル34,34´を主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55,55´とした形態である。
【0036】
さらに説明すると、前記実施形態における各ガイドケーブル34,34´と昇降用枠体30を直接連結部材58,58´により連結し、吊フック33に係止ケーブルからなる係止具を繋ぎ、主桁ブロック側に設けられた吊金具と連結し、前記実施形態におけるガイドケーブル34を主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55として用い、これを巻き取ることで所定の位置まで主桁ブロックを引き上げるようにした形態である。そして、前記実施形態における主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55は不要となるため、これを省略していると共に、さらに不要となっている第1ガイド体12,12´、第2ガイド体13,13´、第3ガイド体14,14´、ケーブル定着部材29、駆動ドラム32および駆動装置42aを省略し、ケーブル数を1系統少なくした形態である。すなわち、このような形態では、第4ガイド体15,15´を第1ガイド体12,12´として、第5ガイド体16,16´を第2ガイド体13,13´として、第6ガイド体17,17´を第3ガイド体14,14´として利用する形態で、第7ガイド体18,18´はそのまま残す形態である。このようにすると、前記実施形態と同様に主桁ブロックを吊り上げ架設することができるので、同様な作用効果を発揮でき、しかも架設装置の構成が簡単にでき、構造が簡単になる分、装置の組み立てが容易になり、施工性も向上し、工期短縮を図ることができる。
なお、前記連結部材58,58´としては、ケーブルを把持するためのクランプ金具を備えた連結部材でも、ケーブルの両端部を昇降用枠体30に定着させる定着具であって、昇降用枠体30に取り付けるためのボルト孔を備えたものを、昇降用枠体30に固定するようにしたものであってもよい。
また、前記のように主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用枠体が連結金具を介して固定されていると、主桁ブロック吊り上げ用ケーブルを昇降用枠体に連結するようにすると、橋梁の架設装置の構成を少ない部品数とすることができ、一層安価な架設装置とすることができ、施工性もよくなる。
その他の構成については、前記実施形態と同様であるので、同様な部分については、同様な符号を付して説明を省略する。
【0037】
なお、昇降用枠体30を地面に下ろして、橋軸方向新設側の主桁ブロックの吊り上げ架設に移行する際、ガイドケーブルおよび吊り上げ用ケーブルの緊張力を解放し、可動張り出し架設梁20を前進させるようにすればよい。
【0038】
本発明を実施する場合、ピロン柱7の橋脚との固定方法に関して、ラーメン橋梁のように橋脚と上部構造が剛結合状態であればピロン柱7を前記のように鉛直に立設することは容易であるが、橋脚と上部構造の連結部に可動支承を用いる場合においては、図15〜図17に示すように、仮固定装置47を使用して、橋脚4上の主桁ブロック5を仮固定し、その状態で、ピロン柱7を主桁ブロック5に設置するようにすればよい。
前記の仮固定装置47付近の部分について、図15〜図17を参照して説明すると、単柱式橋脚4上の支承装置48により支持されている橋脚直上の主桁ブロック5に、橋軸方向に間隔を置くと共に橋軸直角方向に延長する横梁材49をそれぞれ載置し、また、単柱橋脚4における橋軸直角方向に張出す橋脚梁50の下面に、それぞれ橋軸方向に延長する下部梁材51を支承金具52を介して配置し、各横梁材49の両端部をそれぞれ下部梁材51に、ゲビンデ鋼棒等の総ネジ異径PC鋼棒53および支承プレートおよびスリーブ状ナットなどの定着金具54により締め付け固定することにより、単柱橋脚4上の主桁5が傾動するのを確実に防止することができる。
前記のように主桁ブロック5を仮固定した安定した状態にすることにより、その主桁ブロック5上にピロン柱7を配置して、ピロン柱7の下端部をピン接合するようにすればよい。
このようにした状態で、前記実施形態と同様に、仮固定装置47より橋軸方向新設側に離れた位置に可動張出し架設梁20を配置するようにして橋梁の架設装置を設けて、新設の主桁ブロックを吊り上げて架設するようにすればよい。
前記の場合には、橋梁主桁の架設完了した時点で、前記の仮固定装置47を解体撤去するようにすればよい。
【0039】
本発明を実施する場合、橋脚上に弾性支承装置等の固定支承(桁の撓みによる微小回転を生じる形態)あるいは可動支承の場合には、桁を一時的に仮固定した状態にして、ピロン柱7を立設するようにすれば、前記実施形態と同様に、実施することができる。前記実施形態の場合には、鋼製桁ブロックの場合を説明したが、本発明の場合は、コンクリート桁ブロックを吊り上げて架設する場合にも利用することができる。
【0040】
本発明の橋梁の架設装置を使用して、橋梁を架設する場合、鋼製主桁ブロック以外にも、コンクリート製主桁ブロックを架設するようにしてもよい。コンクリート製主桁ブロック相互の連結手段としては、PC鋼棒を使用して緊張定着するようにすればよい。
【0041】
前記実施形態においては、橋脚上に設置された主桁ブロック上にピロン柱を立設するようにしたが、本発明を実施する場合、橋脚上に直接ピロン柱を立設するようにしてもよく、この場合には、橋脚上の主桁ブロックを跨ぐようにピロン柱が立設される。
【0042】
本発明を実施する場合、前記実施形態において、ガイドケーブル34を省略するようにしてもよい。また、下記のように、昇降用枠体30をガイドケーブル34により支持可能に係合または繋げると、ガイドケーブル34を吊り上げ用ケーブル55としての機能を備えるようになり、吊り上げ用ケーブル55を省略したり、ガイドケーブルとして利用することも可能になる。
【0043】
本発明を実施する場合、図示を省略して前記実施形態を参照しながら説明すると、昇降用枠体30にガイド部材35に代えて連結部材を設ける場合、昇降用枠体30を各ガイドケーブル34間に納まる寸法とすると共に、ガイドケーブル34に係合部を設けておき、連結部材を昇降用枠体30からガイドケーブル34側に進退移動可能に設けて、連結部材先端部とガイドケーブル34の係合部とを着脱自在に繋ぐようにすると、ガイドケーブル34を主桁ブロック吊り上げ用ケーブル55として利用することができ、前記実施形態の主桁ブロック吊り上げ用ケーブルをガイドケーブルとして利用したり、あるいは省略することも可能である。
【0044】
なお、本発明を実施する場合、図7において、側部フレーム24の長手方向(図7の左右方向)に渡って筒状ガイド部25を設け、これに対応して被ガイド筒状体26を長くしておくと共に液圧式伸縮ジャッキ27のストロークの長いジャッキとして引込装置22としておくと、橋脚4から順次遠く離れた位置の主桁ブロック39(6)を吊り上げ架設する場合、吊り上げ上昇角度が小さくなる場合、引き込み装置22を伸長した状態にしておくと、吊り上げられる主桁ブロック39が、既設の主桁ブロック6との干渉することなく、既設主桁ブロック6のレベル付近にガイドすることができ、引き込み作業を容易にすることができる。
【0045】
前記各実施形態においては、コンクリート製橋脚基礎2に、あるいはコンクリート製橋脚基礎2とは独立して別途、ケーブルアンカー設置用コンクリート基礎3が設けられ形態を説明したが、橋脚基礎2の耐力がある場合には、これに第3ガイド体、ケーブル定着部材および駆動ドラムを備えたウインチを設置してもよく、あるいは橋脚基礎部3の耐力が一部不足する場合には、橋脚基礎3とこれに連結または独立した基礎で地盤5にアンカーをとったコンクリート基礎3の両方に、第3ガイド体、ケーブル定着部材および駆動ドラムを備えたウインチを設置するようにしてもよく、施工箇所に応じて、適宜設計すればよい。
【0046】
本発明を実施する場合、ケーブルとしては、PC鋼より線ケーブルまたはワイヤーロープ、炭素繊維ケーブル等適宜のケーブルを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態の橋梁の架設装置を示す概略側面図である。
【図2】図1におけるガイドケーブルおよびこれをガイドするガイド体を省略し、主桁ブロック吊上げ用ケーブルをおよびこれをガイドするガイド体を主体にして示す概略側面図である。
【図3】図1における主桁ブロック吊上げ用ケーブルをおよびこれをガイドするガイド体を省略し、ガイドケーブルおよびこれをガイドするガイド体を主体にして示す概略側面図である。
【図4】図1の一部を拡大して示す側面図である。
【図5】図1のA−A線矢視拡大正面図である。
【図6】図1のB−B線矢視拡大正面図である。
【図7】走行用レールと自走式台車と主桁ブロック吊り上げ用ケーブル並びにガイドケーブルとの関係を示すために、自走式台車付近を拡大して示す平面図である。
【図8】図1における自走式台車と主桁ブロック吊り上げ用ケーブルと主桁ブロック付近を拡大して示す側面図である。
【図9】図1におけるD−D線拡大平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態の橋梁の架設を示すが概略側面図である。
【図11】図10のE−E線断面図である。
【図12】図10のF−F線断面図である。
【図13】図10のG−G線断面図である。
【図14】図10のH−H線断面図である。
【図15】支承により橋梁を支持する場合に、橋梁の仮固定方法を説明するための説明図である。
【図16】図15のE−E線断面図である。
【図17】図15のF−F線断面図である。
【図18】主桁ブロックを示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 橋梁の架設装置
2 橋脚基礎
3 コンクリート基礎
4 橋脚
5 柱頭部主桁ブロック
6 第1主桁ブロック
7 ピロン柱
8 控えケーブル
9 鋼製主桁
10 鋼製柱
11 横梁
12、12´ 第1ガイド体
13、13´ 第2ガイド体
14、14´ 第3ガイド体
15、15´ 第4ガイド体
16、16´ 第5ガイド体
17、17´ 第6ガイド体
18、18´ 第7ガイド体
19 走行用レール
20 可動張出し架設梁
21 自走式台車
22 引込装置
23 張出し架設アーム
24 側部フレーム
25 筒状ガイド部
26 被ガイド筒状体
27 液圧式伸縮ジャッキ
28 前部梁
29 ケーブル定着部材
30 昇降用枠体
31 昇降用シーブ
32 駆動ドラム(吊り上げ用)
33 フック
34、34´ ガイドケーブル
35 ガイド部材
36 吊り金具
37 係止具
38 連結係止具
39 吊り上げられる新設主桁ブロック
40、40´ 前部駆動ドラム
41、41´ 後部駆動ドラム
42 駆動装置
42a ウインチ
43、43´ ウインチ
44 張力調整装置
45 斜吊ケーブル
46 横桁
47 仮固定装置
48 支承装置
49 横梁材
50 橋脚梁
51 下部梁材
52 支承金具
53 PC鋼棒
54 定着金具
55、55´ 主桁ブロック吊り上げ用ケーブル
56 添板
57 ボルト
58 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱が立設されると共に前記ピロン柱に第1ガイド体が設けられ、
主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体を伸縮可能に設けた可動張り出し架設梁が設けられ、
橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体、および駆動ドラムを備えたウインチが地盤側に設けられ、
主桁ブロック吊り上げ用ケーブルは、ピロン柱の第1ガイド体と、可動張り出し架設梁の第2ガイド体と、第3ガイド体および駆動ドラムとに渡って掛け回され、
前記可動張り出し架設梁先端の第2ガイド体から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用枠体が昇降可能に設けられ、
その昇降用枠体に、主桁ブロックを係止するための連結係止具が設けられていること
を特徴とする橋梁の架設装置。
【請求項2】
柱頭部に設けられた主桁ブロック上、もしくは橋脚上にピロン柱が立設されると共に前記ピロン柱に第1ガイド体が設けられ、
主桁ブロックから張出すように先端部に第2ガイド体を伸縮可能に設けた可動張り出し架設梁が設けられ、
橋脚基礎または地盤に反力をとった第3ガイド体、ケーブル定着部材および駆動ドラムを備えたウインチが地盤側に設けられ、
主桁ブロック吊り上げ用ケーブルは、前記ケーブル定着部材もしくは駆動ドラムから端を発し、第3ガイド体と、ピロン柱の第1ガイド体と、可動張り出し架設梁の第2ガイド体と、昇降用シーブを介して折り返し、再び第2ガイド体、第1ガイド体を経由して第3ガイド体に掛け回され、
前記可動張り出し架設梁先端の第2ガイド体から垂下する主桁ブロック吊り上げ用ケーブルに、昇降用シーブを有する昇降用枠体が吊り下げ支持されて昇降可能に設けられ、
その昇降用枠体に、主桁ブロックを係止するための連結係止具が設けられていること
を特徴とする橋梁の架設装置。
【請求項3】
ピロン柱に第1ガイド体と第4ガイド体が設けられ、前記可動張り出し架設梁の先端部に第2ガイド体および第5ガイド体が設けられ、
橋脚基礎または地盤に反力をとった第6ガイド体と第7ガイド体および前部の駆動ドラムと後部の駆動ドラムとが地盤側に設けられ、
前記前部の駆動ドラムと、第6ガイド体と、第5ガイド体と、前記第4ガイド体と、第7ガイド体と前記後部の駆動ドラムとに渡ってガイド用ケーブルが前記主桁ブロック吊り上げ用ケーブルと並行に掛け回され、
前記ガイド用ケーブルは前記昇降用枠体に係合されていること
を特徴とする請求項2に記載の橋梁の架設装置。
【請求項4】
橋脚基礎、または橋脚基礎の周囲またはこれに連結するように地盤に反力をとったコンクリート基礎のいずれか一方または両方に、
第3ガイド体、ケーブル定着部材および駆動ドラムを備えたウインチが設置されていること
を特徴とする請求項2または3に記載の橋梁の架設装置。
【請求項5】
ガイドケーブルは、ウインチの前部の駆動ドラム、第7ガイド体、第4ガイド体、第5ガイド体、第6ガイド体、およびウインチの後部の駆動ドラムを経由し、ループ状に掛け回されていること
を特徴とする請求項2記載の橋梁の架設装置。
【請求項6】
新設の主桁ブロックを所定の高さまで引き上げた際、既設ブロックの接合部付近まで引き付けるため引込装置を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の橋梁の架設装置。
【請求項7】
昇降用シーブを備えた昇降用枠体とガイドケーブルは係合されるかまたは繋がれ、
主桁ブロック吊り上げ用ケーブルはガイドケーブルに沿って巻き上げられること
を特徴とする請求項3記載の橋梁の架設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−287312(P2009−287312A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142272(P2008−142272)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(307018542)日鉄ブリッジ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】