説明

橋梁の表面保護方法

【課題】工数を減らして、工期を短縮し、コストを低減し、作業のための道路交通規制を短縮できる橋梁の表面保護方法を提供する。
【解決手段】橋梁1の梁10のひび割れ部分11に、スタティック式スプレー装置を用いて、ウレタン系樹脂材料を吹き付けて、ひび割れ部分11に、ウレタン系樹脂からなる保護膜20を一層形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の表面保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、橋梁は、劣化により損傷するため、その補修が必要になってくる。例えば、コンクリートの中性化とひび割れによる水分の浸透によって遊離石灰が流失し、鉄筋が腐食、膨張してコンクリートを浮き上がらせて落下させるという問題があった。
【0003】
そこで、従来、橋梁の表面に複数層の保護膜を形成して、橋梁の表面を保護していた(例えば、特開昭61−191706号公報;特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−191706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の橋梁の表面保護方法では、複数層の保護膜を形成する必要があったので、工数が多くなって、工期が長くなり、コストが上昇し、作業のための道路の交通規制が長期化する問題があった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、工数を減らして、工期を短縮し、コストを低減し、作業のための道路交通規制を短縮できる橋梁の表面保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の橋梁の表面保護方法は、ウレタン系樹脂材料を、スタティック式スプレー装置を用いて混合すると共に橋梁の表面に吹き付けて、この橋梁の表面に、ウレタン系樹脂からなる保護膜を一層形成することを特徴としている。
【0007】
ここで、スタティック式スプレー装置とは、上記ウレタン系樹脂を構成する複数の材料を、静的に撹拌しつつ混合して、吹き付ける装置をいう。
【0008】
本発明の橋梁の表面保護方法によれば、ウレタン系樹脂材料を、スタティック式スプレー装置を用いて混合すると共に橋梁の表面に吹き付けて、この橋梁の表面に、上記ウレタン系樹脂からなる保護膜を一層形成するので、複数層の保護膜を形成する必要がなくて、工数を減らして、工期を短縮し、コストを低減し、作業のための道路交通規制を短縮できる。
【0009】
また、上記スタティック式スプレー装置を用いるので、上記ウレタン系樹脂を形成するための複数の材料に粘度の高いものを使用しても、この複数の材料を十分に混合して吹き付けることができる。このため、上記ウレタン系樹脂を粘度の高いものとできて、ウレタン系樹脂を橋梁に吹き付ける際に、ウレタン系樹脂の飛散量を少なくできて、飛散防止用の養生を不要にできる。
【0010】
また、粘度の高いウレタン系樹脂材料を用いることにより、上記ウレタン系樹脂のじん性を高めることができるので、保護膜の引張強度及び伸び率が大きくなって、保護膜が橋梁のひび割れの開口幅の変化に追従して、橋梁のひび割れの進行を抑制することができる。
【0011】
一実施形態の橋梁の表面保護方法では、上記ウレタン系樹脂は、変性イソシアネートと変性ポリオールとを混合してなるものであり、
上記変性イソシアネートは、イソシアネートプレポリマー、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びビス(2−エチルヘキシアル)フタレートのうちの少なくとも1つであり、
上記変性ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ジエチルトルエンジアミン及び1,4ブタンジオールのうちの少なくとも1つである。
【0012】
この実施形態の橋梁の表面保護方法によれば、スタティック式スプレー装置を用いて、変性イソシアネートと変性ポリオールとを静的に混合して橋梁の表面に吹き付けることにより、ウレタン系樹脂の保護膜を、飛散が生じることなく、しかも、塗布後に速やかに乾燥させて形成することができる。
【0013】
また、上記変性イソシアネートとして、イソシアネートプレポリマー、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びビス(2−エチルヘキシアル)フタレートのうちの少なくとも1つを用いると共に、上記変性ポリオールとして、ポリエーテルポリオール、ジエチルトルエンジアミン及び1,4ブタンジオールのうちの少なくとも1つを用いることにより、橋梁の保護膜に適し、しかも、吹き付け時の飛散が少ないウレタン樹脂を形成することができる。
【0014】
一実施形態の橋梁の表面保護方法では、上記ウレタン系樹脂材料を、10℃以上25℃以下の範囲の温度に保持する。
【0015】
この実施形態の橋梁の表面保護方法によれば、10℃以上25℃以下の範囲の温度に保持したウレタン系樹脂材料を、スタティック式スプレー装置で混合して橋梁の表面に吹き付けることにより、吹き付け位置の周辺に樹脂が飛散する不都合を効果的に防止することができる。
【0016】
ここで、ウレタン系樹脂材料の温度が10℃未満であると、樹脂材料の硬化反応が不十分となり、樹脂が正常に形成されずに保護膜に欠陥が生じる不都合がある。一方、ウレタン系樹脂材料の温度が25℃を超えると、樹脂の飛散が生じる不都合が生じる。
【0017】
一実施形態の橋梁の表面保護方法では、上記ウレタン系樹脂材料を、断熱材が設けられた保持容器に保持する。
【0018】
この実施形態の橋梁の表面保護方法によれば、ウレタン系樹脂材料を、断熱材が設けられた保持容器に保持することにより、混合及び吹き付け時のウレタン系樹脂材料の温度を適切に保持できて、飛散の発生を効果的に防止できる。
【0019】
一実施形態の橋梁の表面保護方法では、上記橋梁のコンクリート部材に、上記保護膜を形成する。
【0020】
この実施形態の橋梁の表面保護方法によれば、上記橋梁のコンクリート部材に、上記保護膜を形成するので、コンクリート部材の剥離を防止できる。
【0021】
一実施形態の橋梁の表面保護方法では、上記橋梁の金属部材に、上記保護膜を形成する。
【0022】
この実施形態の橋梁の表面保護方法によれば、上記橋梁の金属部材に、上記保護膜を形成するので、金属部材の防食を防止できる。
【0023】
一実施形態の橋梁の表面保護方法では、上記橋梁の樹脂パイプに、上記保護膜を形成する。
【0024】
この実施形態の橋梁の表面保護方法によれば、上記橋梁の樹脂パイプに、上記保護膜を形成するので、樹脂パイプからの漏水を防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の橋梁の表面保護方法によれば、ウレタン系樹脂材料を、スタティック式スプレー装置を用いて混合すると共に、橋梁の表面に吹き付けて、この橋梁の表面に、ウレタン系樹脂からなる保護膜を一層形成するので、複数層の保護膜を形成する必要がなくて、工数を減らして、工期を短縮し、コストを低減し、作業のための道路交通規制を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の橋梁の表面保護方法の第1実施形態を示す断面図である。図1に示すように、高速道路の橋梁1の下側の道路2に、一台の高所作業車3を設置し、作業者4が、この高所作業車3に乗って、作業を行う。
【0028】
図2Aに示すように、橋梁1のコンクリート部材としての梁10には、ひび割れ部分11が存在し、このひび割れ部分11の補修を行う。ひび割れ部分11の周りに、養生を施してから、ひび割れ部分11を含む所定領域に、図示しないプライマーを塗布する。
【0029】
そして、図2Bに示すように、このひび割れ部分11を含む所定領域(橋梁1の表面)に、ウレタン系樹脂を吹き付けて、この所定領域に、上記ウレタン系樹脂からなる保護膜20を一層形成して、補修作業を完了する。
【0030】
上記ウレタン系樹脂の吹き付けには、スタティック式スプレー装置を用いる。このスプレー装置は、上記ウレタン系樹脂を構成する複数の材料を、静的に撹拌しつつ混合して、吹き付ける装置である。以下、上記ウレタン系樹脂は、変性イソシアネートと変性ポリオールとの2種類の材料で構成されているものとして、説明する。
【0031】
図3Aの側面図と図3Bの平面図に示すように、スタティック式スプレー装置30は、2つのカートリッジ部31A,31Bと、圧縮部32と、混合部33と、ノズル部34と、ハンドル部35とを有する。
【0032】
2つのカートリッジ部31A,31Bのそれぞれには、上記ウレタン系樹脂を構成する2種類の材料のそれぞれが、充填されている。カートリッジ部31A,31Bは、装置30に対して着脱自在であり、充填されている材料がなくなれば、新しいものと交換できる。
【0033】
圧縮部32は、2つのカートリッジ部31A,31Bのそれぞれに対応して、2つ設けられている。圧縮部32は、圧縮空気により、カートリッジ部31A,31B内の材料に、圧力をかける。圧縮部32は、シリンダ内に配置された駆動ピストン36を有する。この駆動ピストン36は、ロッド37を介して、カートリッジ部31A,31B内に配置された加圧ピストン38に連結されている。
【0034】
混合部33は、2つのカートリッジ部31A,31Bのそれぞれから押し出された材料を、撹拌しつつ混合する。混合部33は、パイプ内に螺旋状の流路を有する。カートリッジ部31A,31Bから押し出された材料は、螺旋状の流路内で、時間をかけて、静的に混合されて、ウレタン系樹脂が形成される。
【0035】
ノズル部34は、混合部33にて混合されて形成されたウレタン系樹脂を、外部に吹き出す。
【0036】
ハンドル部35は、作業者に把持されて、吹き付けの開始と停止とを操作される。ハンドル部35は、図示しないコンプレッサに、第1のチューブ41を介して接続されている。ハンドル部35は、圧縮部32に、第2のチューブ42を介して接続されている。ハンドル部35は、ノズル部34に、第3のチューブ43を介して接続されている。
【0037】
このスタティック式スプレー装置30で塗装作業を行う場合、上記変性イソシアネートと変性ポリオールの2つのカートリッジ部31A,31Bは、上記スタティック式スプレー装置30に装着するまでの間、10℃以上25℃以下の温度範囲に保持しておく。例えば夏季に吹き付け作業を行う場合、カートリッジ部31A,31Bを予め20℃程度の温度に調節し、ポリスチレン断熱材等を有する保存容器に収容して吹き付け作業位置まで搬送し、吹き付け作業の直前に保存容器から取り出してスタティック式スプレー装置30に装着する。これにより、外気温度が比較的高い場合においても、25℃以下の温度で変性イソシアネートと変性ポリオールの混合及び吹き付けを行うようにする。一方、冬季に吹き付け作業を行う場合、カートリッジ部31A,31Bを予め15℃程度の温度に調節し、ポリスチレン断熱材等を有する保存容器に収容して吹き付け作業位置まで搬送し、吹き付け作業の直前に保存容器から取り出してスタティック式スプレー装置30に装着する。これにより、外気温度が比較的低い場合においても、10℃以上の温度で変性イソシアネートと変性ポリオールの混合及び吹き付けを行うようにする。
【0038】
上記変性イソシアネートと変性ポリオールを、スタティック式スプレー装置30に装着する前に10℃以上25℃以下の範囲の温度に保持することにより、吹き付け位置の周辺に樹脂が飛散する不都合を効果的に防止できることが確認された。
【0039】
ここで、変性イソシアネートと変性ポリオールの温度が10℃未満であると、これらの樹脂材料の硬化反応が不十分となり、樹脂が正常に形成されず、保護膜に欠陥が生じる恐れがある。一方、ウレタン系樹脂材料の温度が25℃を超えると、樹脂の飛散が生じる不都合が生じる。したがって、変性イソシアネートと変性ポリオールは、10℃以上25℃以下の範囲の温度で保持するのが好ましい。
【0040】
次に、スプレー装置30の動作を説明する。
【0041】
図示しないコンプレッサから圧縮空気を第1のチューブ41を介してハンドル部35に送る。ハンドル部35にて吹き付け開始の操作をすると、圧縮空気が、第2のチューブ42を介して圧縮部32に送られると共に、第3のチューブ43を介してノズル部34に送られる。
【0042】
圧縮部32に送られた空気は、駆動ピストン36を図中左側に押し込んで、ロッド37を介して、加圧ピストン38を図中左側に押し込む。加圧ピストン38は、カートリッジ部31A,31B内の材料に圧力をかける。加圧ピストン38により材料に作用させる圧力は、約0.7N/cmに設定されている。圧力をかけられた2つの材料は、混合部33の螺旋状の流路を通過する際に静的に混合されて、ウレタン系樹脂が形成される。
【0043】
ノズル部34に到達したウレタン系樹脂は、ハンドル部35から第3のチューブ43を介してノズル部34に送られた圧縮空気のエジェクタ作用により、外部に吹き出す。
【0044】
ノズル部34からのウレタン系樹脂の吹き出し量は、材料温度が25℃である場合、約1kgとなるように設定されている。また、スタティック式スプレー装置30内で2つの材料の混合が開始されて吹き出されるまでの反応時間が、約5秒となるように設定されている。これにより、2つのウレタン系樹脂材料を十分に混合して、ノズル部34から吹き出したときに塗装面に付着する程度に噴霧状とし、かつ、飛散が生じない程度に、硬化を進めることができる。
【0045】
上記構成の橋梁の表面保護方法によれば、ウレタン系樹脂材料を、スタティック式スプレー装置30を用いて混合すると共に橋梁1の表面に吹き付けて、この橋梁1の表面に、ウレタン系樹脂からなる保護膜20を一層形成するので、複数層の保護膜20を形成する必要がなくて、工数を減らして、工期を短縮し、コストを低減し、作業のための道路交通規制を短縮できる。
【0046】
また、橋梁1のコンクリート部材としての梁10に、保護膜20を形成するので、コンクリート部材の剥離を防止できる。
【0047】
また、スタティック式スプレー装置30を用いるので、ウレタン系樹脂を構成する複数の材料に粘度の高いものを使用しても、この複数の材料を混合して吹き付けることができる。このため、ウレタン系樹脂を粘度の高いものとできて、ウレタン系樹脂を橋梁1に吹き付ける際に、ウレタン系樹脂の飛散量を少なくできて、飛散防止用の養生を不要にできる。
【0048】
また、じん性の高いウレタン系樹脂を形成できるので、保護膜20の引張強度及び伸び率が大きくなって、保護膜20が橋梁1のひび割れの開口幅の変化に追従して、橋梁1のひび割れの進行を抑制することができる。
【0049】
また、材料をスプレー装置30の混合部33で静的に混合することにより、これらの材料の混合時間を比較的長くすることができるので、混合部33の出口で、ウレタン樹脂を半硬化状態とできて、吹き付け後には、短時間で硬化させることができる。このように、速乾性と伸び率の増大とを、両立できる。
【0050】
なお、2液衝突混合型スプレー装置では、低粘度の液剤を混合するものであるため、混合した液剤を吹き付ける際に、飛散量が多くなって、飛散防止用の養生が必要になる欠点がある。また、2液衝突混合型スプレー装置では、スタティック式スプレー装置に必要であるコンプレッサ以外に、ヒータやヒータ制御部を必要として、使用機器が多くなる問題がある。これに対して、本実施形態によれば、少ない機器により、飛散防止用の養生を行うことなく、少ない手間により安価に橋梁の表面保護方法を実行することができるのである。
【0051】
次に、本発明のウレタン系樹脂と比較例の塗布剤との、性質及び効果を、比較する。
【0052】
表1は、実施形態のウレタン系樹脂と、比較例の塗布剤(サンプルA〜サンプルD)との性質を示したものである。表1において、粘度は25℃の環境温度で測定した値である。
【表1】

【0053】
ここで、ウレタン系樹脂のA剤としては、変性イソシアネートを用いることができる。変性イソシアネートとしては、イソシアネートプレポリマー、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びビス(2−エチルヘキシアル)フタレートのうちの少なくとも1つを用いることができる。本実施形態では、A剤にビス(2−エチルヘキシアル)フタレートを採用する。ビス(2−エチルヘキシアル)フタレートは、例えば大八化学工業株式会社製のDOP(商品名)等として入手可能である。また、ウレタン系樹脂のB剤としては、変性ポリオールを用いることができる。変性ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ジエチルトルエンジアミン及び1,4ブタンジオールのうちの少なくとも1つを用いることができる。本実施形態では、B剤にジエチルトルエンジアミンと1,4ブタンジオールを採用する。ジエチルトルエンジアミンは、例えばアルベマール日本株式会社製のDETDA(商品名)等として入手可能であり、変性ポリオールとして1,4ブタンジオールは、三菱化学株式会社製の1.4−BD(商品名)等として入手可能である。
【0054】
表2は、本実施形態のウレタン系樹脂と、比較例の塗布剤(サンプルA〜サンプルD)との特性を示したものである。
【表2】

【0055】
表2からわかるように、本実施形態のウレタン系樹脂では、引張強さ、伸び率、付着強度及び塗膜厚みの全てについて、基準値を満たしている。一方、比較例の塗布剤(サンプルA〜サンプルD)では、引張強さ、伸び率、付着強度及び塗膜厚みの少なくとも一つについて、基準値を満たしていない。
【0056】
(第2の実施形態)
本発明の橋梁の表面保護方法の第2実施形態では、橋梁の金属部材に、上記第1実施形態と同様の保護膜20を形成する。つまり、上記第1実施形態と同じ方法で、橋梁の金属部材に、上記保護膜20を形成する。金属部材としては、例えば、高欄である。
【0057】
本実施形態によれば、橋梁の金属部材としての高欄に、上記保護膜20を、少ない機器により、少ない工数で、養生を行うことなく形成できる。したがって、高欄に沿う車線の短い交通規制により、迅速かつ安価に、高欄の腐食防止を行うことができる。
【0058】
(第3の実施形態)
本発明の橋梁の表面保護方法の第3実施形態では、橋梁の樹脂パイプに、上記第1実施形態と同様の保護膜20を形成する。つまり、上記第1実施形態と同じ方法で、橋梁の樹脂パイプに、上記保護膜20を形成する。樹脂パイプとしては、例えば、塩化ビニール製の路面排水管である。
【0059】
本実施形態によれば、橋梁の路面排水管に、上記保護膜20を、少ない機器により、少ない工数で、養生を行うことなく形成できる。したがって、路面排水管の下方に位置する車線の短い交通規制により、迅速かつ安価に、路面排水管からの漏水を防止できる。
【0060】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。すなわち、梁以外のコンクリート部材や、高欄以外の金属部材や、塩化ビニール管以外の樹脂パイプなど、橋梁の構成部材の表面であればどのような場所にでも、上記第1実施形態と同じ方法で、保護膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の橋梁の表面保護方法の第1実施形態を示す断面図である。
【図2A】梁のひび割れ部分にウレタン系樹脂を吹き付ける前の様子を、梁の下側から見た斜視図である。
【図2B】梁のひび割れ部分にウレタン系樹脂を吹き付けた後の様子を、梁の下側から見た斜視図である。
【図3A】スタティック式スプレー装置を模式的に示す側面図である。
【図3B】スタティック式スプレー装置を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 橋梁
10 梁(コンクリート部材)
20 保護膜
30 スタティック式スプレー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン系樹脂材料を、スタティック式スプレー装置を用いて混合すると共に橋梁の表面に吹き付けて、この橋梁の表面に、ウレタン系樹脂からなる保護膜を一層形成することを特徴とする橋梁の表面保護方法。
【請求項2】
請求項1に記載の橋梁の表面保護方法において、
上記ウレタン系樹脂材料は、変性イソシアネートと変性ポリオールであり、
上記変性イソシアネートは、イソシアネートプレポリマー、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びビス(2−エチルヘキシアル)フタレートのうちの少なくとも1つであり、
上記変性ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ジエチルトルエンジアミン及び1,4ブタンジオールのうちの少なくとも1つであることを特徴とする橋梁の表面保護方法。
【請求項3】
請求項2に記載の橋梁の表面保護方法において、
上記ウレタン系樹脂材料を、10℃以上25℃以下の範囲の温度に保持することを特徴とする橋梁の表面保護方法。
【請求項4】
請求項3に記載の橋梁の表面保護方法において、
上記ウレタン系樹脂材料を、断熱材が設けられた保持容器に保持することを特徴とする橋梁の表面保護方法。
【請求項5】
請求項1に記載の橋梁の表面保護方法において、
上記橋梁のコンクリート部材に、上記保護膜を形成することを特徴とする橋梁の表面保護方法。
【請求項6】
請求項1に記載の橋梁の表面保護方法において、
上記橋梁の金属部材に、上記保護膜を形成することを特徴とする橋梁の表面保護方法。
【請求項7】
請求項1に記載の橋梁の表面保護方法において、
上記橋梁の樹脂パイプに、上記保護膜を形成することを特徴とする橋梁の表面保護方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2010−138650(P2010−138650A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317702(P2008−317702)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(508061549)阪神高速技術株式会社 (20)
【出願人】(508367315)キンキ道路株式会社 (1)
【出願人】(594147534)大同塗料株式会社 (6)
【Fターム(参考)】