説明

機器の可搬機構

【課題】キャスタは、当該自動取引装置を別な場所に移動する場合にのみ使用されるが、自動取引装置を所定の場所に設置した後は、使用されることはない。
【解決手段】機器本体1の底部に設けられ、機器本体を下降することにより機器本体を床面に設置する昇降装置と、機器本体の底部に設けられ、機器本体を移動するキャスタ含む移動装置を有し、前記移動装置は前記機器本体に着脱可能に設けた。更に、前記機器本体1の底部に対して昇降可能に設けた係合ピンを有し、また、前記係合ピンと係合する係合穴を前記機器本体の底部に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置等の機器の可搬機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、コンビニエンスストア等に設置されている自動取引装置には、移動用のキャスタと、静止時の支持用フットとなるアジャスタが設けられている。図7は従来の自動取引装置の設置状況を示す側面図である。自動取引装置21の底部22には複数のキャスタ23が図示しないネジにより固定されている。また、同じく底部22には、雌ネジが形成された固定部材25が固着されており、雄ネジ部24−3が形成されたアジャスタ24と螺合している。アジャスタ24は、前記雄ネジ部24−3と、六角形の形状を有する座24−2と、円盤状台座24−1とが一体に形成されている。アジャスタ24の座24−2をスパナ等の工具で回転させることにより、アジャスタ24を昇降させる。これにより、キャスタ23を床Fに当接させるか、床Fから浮き上がらせる。
【0003】
自動取引装置21を移動する際は、座24−2を一方向に回転させることにより、アジャスタ24を上昇させる。そうすると、自動取引装置21が降下し、キャスタ23が自動取引装置21を支持することになり、自動取引装置21を別の場所に移動することが可能となる。一方、自動取引装置21を設置する際は、自動取引装置21を所定の場所に位置決めした後、座24−2を他方向に回転させることにより、アジャスタ24を降下させる。そうすると、自動取引装置21が上昇し、キャスタ23が床Fから浮き上がり、自動取引装置21を固定することが可能となる。
【0004】
ここで実開平7−40358号公報(特許文献1)には、可搬式棚などのキャスタ付の各種装置において、装置の搬送時に伸長するレベリングボルトに対する回転用部材の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−40358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の自動取引装置21におけるキャスタ23は、当該自動取引装置21を別な場所に移動する場合にのみ使用されるが、自動取引装置21を所定の場所に設置した後は、キャスタ23は使用されることはない。このような自動取引装置21の移動時のみに使用されるキャスタ23を全ての装置に設けることは、コスト高となり、かつ資源の無駄を招くことになる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、キャスタを自動取引装置に対して、着脱自在に設けることにより、当該キャスタを別の自動取引装置の移動にも利用することにより、キャスタを共有し、コストを低減するとともに、資源を有効に活用することができる機器の可搬機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、機器本体の底部に設けられ、機器本体を下降することにより機器本体を床面に設置する昇降装置と、機器本体の底部に設けられ、機器本体を移動する移動装置を有し、前記移動装置は前記機器本体に着脱可能に設けたことを特徴とする機器の可搬機構である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動装置を機器本体に着脱可能に設けたので、当該移動装置を別の自動取引装置の移動に利用することにより、コストを低減するとともに、資源を有効に活用することができる機器の可搬機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に関する機器の可搬機構を備えた自動取引装置の側面図である。
【図2】第1の実施の形態に関する機器の可搬機構を備えた自動取引装置の外観図である。
【図3】可搬台の説明図である。
【図4】同じく可搬台の説明図である。
【図5】可搬台が自動取引装置の底部に嵌合された状態を示す説明図である。
【図6】可搬台6自動取引装置から外す状態を示す斜視図である。
【図7】従来の自動取引装置の設置状況を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態を図面に従って説明する。図2は第1の実施の形態に関する機器の可搬機構を備えた自動取引装置1の外観図である。同図において、16は顧客の取引操作のための顧客操作表示画面であって、顧客が振込取引等の取引操作するための取引誘導メッセージが表示され、振込先確認画面も表示される。12は紙幣投入返却口であり、入金取引等において、顧客が当該紙幣投入返却口12に紙幣をセットすると、これを自動取引装置1が内部に取り込み自動計数する。一方、支払取引等においては、自動取引装置1が紙幣を自動計数し、当該紙幣投入返却口12にセットしこれを顧客が取り出す。13は硬貨投入返却口であり、硬貨の入出金取引において、硬貨の受渡しを行う。14はカード挿入口であり、本人を特定する情報を格納したキャッシュカードや、振込先情報を格納した振込カードの情報を読取るための挿入口である。15は通帳記帳を伴う取引のとき通帳を受入れるための通帳挿入口である。
【0012】
4は自動取引装置1の底部に設けられ、当該自動取引装置1を昇降することにより、自動取引装置1を床面Fの所定位置に設置するための静止時の支持用フットとなるアジャスタである。6は自動取引装置1の底部に設けられ、後述する移動用のキャスタ3を含んだ移動装置としての可搬台であり、9は可搬台6に設けられた操作可能なリンクである。
【0013】
図1は第1の実施の形態に関する機器の可搬機構を備えた自動取引装置1の側面図である。自動取引装置1の底部2には、昇降装置としてのアジャスタ4が複数設けられている。底部2には、雌ネジが形成された固定部材5が固着されており、雄ネジ部4−3が形成されたアジャスタ4と螺合している。アジャスタ4は、前記雄ネジ部4−3と、六角形の形状を有する座4−2と、円盤状台座4−1とが一体に形成されている。アジャスタ4の座4−2をスパナ等の工具で回転させることにより、アジャスタ4を昇降させる。これにより、キャスタ3を床Fに当接させるか、床Fから浮き上がらせる。
【0014】
可搬台6は複数のキャスタ3が図示しないネジにより固定され、前記アジャスタ4により上昇した自動取引装置1の底部2と床Fとの間隔に侵入可能に設けられる。可搬台6の後述する台座11には複数の係合ピン7が設けられ、更に、自動取引装置1の底部2には前記係合ピン7と係合する係合穴2−1が設けられる。両者によって可搬台6は自動取引装置1の底部2に位置決めされる。位置決めの後、前記アジャスタ4を上昇させると、自動取引装置1は下降し、同図に示すように床Fとアジャスタ4との間隙dが生じることにより、自動取引装置1はキャスタ3により移動可能となる。
【0015】
図3及び図4は可搬台6の説明図である。両図は一部を切り欠いて示してある。キャスタ3は可搬台6の台座11に固定されている。台座11にはピン用穴11−1が設けられ、そのピン用穴11−1に係合ピン7が上下(矢印CD方向)動可能に、即ち着脱可能に嵌め込まれている。一方、前記台座11にはL字型レバー8が回転支点8−1を中心に回転可能に固定されている。L字型レバー8の一端8−3は前記係合ピン7と回転可能に係合している。更に、L字型レバー8の他端8−2は、図中矢印AB方向に移動可能に設けられたリンク9と回転可能に係合している。リンク9の前端9−1は自動取引装置1の前方から操作可能のように可搬台6から突出している。リンク9の後端9−2は、スプリング10によって、矢印B方向の付勢されている。
【0016】
リンク9には複数のL字型レバー8が回転可能に設けられ、スプリング10によって、リンク9を矢印B方向に付勢すると、複数のL字型レバー8は回転支点8−1を中心に反時計方向に回転する。これによって、複数の係合ピン7が矢印D方向に上昇する。一方、リンク9の前端9−1をスプリング10の付勢力に抗して矢印A方向に引くと、L字型レバー8は時計方向に回転する。これによって、複数の係合ピン7が矢印C方向に下降することになる。リンク9の一回の操作によって、複数の係合ピン7を下降させることができるので、簡単な操作で着脱を行なうことができる。以上のような構成によって、可搬台6は自動取引装置1の底部2に着脱自在に取付けられる。
【0017】
図5は可搬台6が自動取引装置1の底部2に嵌合された状態を示す説明図である。同図は一部を切り欠いて示してある。可搬台6に設けられた係合ピン7が、自動取引装置1の底面に設けられた係合穴2−1と係合している。この状態で、前記アジャスタ4を上昇させると、自動取引装置1は降下する。図1に示すように床Fとアジャスタ4との間隙dが生じることにより、自動取引装置1はキャスタ3により移動可能となる。
【0018】
一方、前記アジャスタ4を下降させると、自動取引装置1は上昇する。自動取引装置1の重量が可搬台6に掛からないようになったところで、リンク9の前端9−1を矢印A方向に引く。これにより、係合ピン7が矢印C方向に下降し、底部2の係合穴2−1から係合が外れる。その状態で、可搬台6を矢印A方向に引けば自動取引装置1から可搬台6を外すことができる。よって、可搬台6は自動取引装置1から着脱自在となる。
【0019】
図6は可搬台6を自動取引装置1から外す状態を示す斜視図である。可搬台6は、前記係合ピン7が底部2の係合穴2−1から外れると、自動取引装置1の底部2の前面から矢印A方向へ簡単に外すことができる。このように自動取引装置1から外した可搬台6は、他の自動取引装置1の移動に利用することができる。
【0020】
以上本実施の形態によれば、可搬台6を自動取引装置1に着脱可能に設けたので、当該可搬台6を別の自動取引装置1の移動に利用することにより、コストを低減するとともに、資源を有効に活用することができる。また、一本のリンク9に複数のL字型レバー8が回転可能に設けられ、各L字型レバー8にはそれぞれ係合ピン7が設けられているので、リンク9の一回の操作によって、複数の係合ピン7を昇降させることができ、簡単な操作で可搬台6を着脱することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 自動取引装置
2 底部
3 キャスタ
4 アジャスタ
6 可搬台
7 係合ピン
8 L字型レバー
9 リンク
10 スプリング
11 台座


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の底部に設けられ、機器本体を昇降することにより機器本体を床面に設置する昇降装置と、
機器本体の底部に設けられ、機器本体を移動する移動装置を有し、
前記移動装置は前記機器本体に着脱可能に設けたことを特徴とする機器の可搬機構。
【請求項2】
前記移動装置は、
台座と、
前記台座に設けた複数のキャスタと、
前記機器本体の底部に対して昇降可能に設けた係合ピンからなり、
更に、前記係合ピンと係合する係合穴を前記機器本体の底部に有することを特徴とする請求項1記載の機器の可搬機構。
【請求項3】
前記台座に回転可能に設けた複数のL字レバーと、
前記L字レバーの一端には回転可能に前記係合ピンを設け、L字レバーの他端には回転可能にリンク部材を設けたことを特徴とする請求項2記載の機器の可搬機構。
【請求項4】
前記リンク部材の後端は付勢部材によって付勢され、前端は前記移動装置より突出させ、当該リンク部材の前端を前記付勢部材の付勢力に抗して作用することにより、前記L字レバーを介して前記係合ピンを昇降可能にすることを特徴とする請求項3記載の機器の可搬機構。
【請求項5】
前記リンク部材には、複数のL字レバーが回転可能に設けられ、前記リンク部材の作用により複数の係合ピンを同時に昇降可能とすることを特徴とする請求項3記載の機器の可搬機構。
【請求項6】
前記昇降装置は複数のアジャスタであることを特徴とする請求項1記載の機器の可搬機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208404(P2010−208404A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54869(P2009−54869)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】