機器操作装置
【課題】カメラによるリモコン位置の検出精度を向上させ、パーソナルコンピュータのマウス操作と同等の操作で、画面に表示されるメニューの選択を行える機器操作装置を提供する。
【解決手段】映像表示機器に取り付けたカメラ110でリモコン120を撮影し、撮影した画像からリモコンの位置を検出して操作コマンドに変換する。超解像処理部201は、カメラで撮影した画像を超解像処理して高解像度化する。位置検出部202は、超解像処理部の処理した画像からリモコンの位置を検出する。メニュー選択部203は、カーソル位置決定ルールに従い、位置検出部の検出したリモコンの位置から映像表示機器のモニタ画面内の対応するメニューを選択する。ここに位置検出部202は、リモコンが移動している期間だけリモコンの位置を検出する。
【解決手段】映像表示機器に取り付けたカメラ110でリモコン120を撮影し、撮影した画像からリモコンの位置を検出して操作コマンドに変換する。超解像処理部201は、カメラで撮影した画像を超解像処理して高解像度化する。位置検出部202は、超解像処理部の処理した画像からリモコンの位置を検出する。メニュー選択部203は、カーソル位置決定ルールに従い、位置検出部の検出したリモコンの位置から映像表示機器のモニタ画面内の対応するメニューを選択する。ここに位置検出部202は、リモコンが移動している期間だけリモコンの位置を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示機器などに取り付けたカメラでリモコンの位置を検出して、検出位置の情報から機器の操作コマンドに変換する機器操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器操作装置の背景技術として、特許文献1には、モニタ画面に取り付けられた光センサが受光したリモコンの光信号の光量からリモコンの動きを検出して、これらと1対1に対応した家電操作コマンドに変換する家電操作装置が開示される。また特許文献2には、モニタ画面に取り付けられたカメラで撮影されたリモコンの動きを検出して、リモコンの動きと1対1に対応した家電操作コマンドに変換するリモート操作装置が開示される。これらの技術は、機器操作を容易に行うために、リモコンの動きに対応したコマンドをモニタ画面に表示されたメニューと対応付けたユーザインタフェースを構成した点が共通している。
【0003】
この構成の機器操作装置を従来のボタン式リモコンを用いた機器操作装置の代わりに用いると、リモコンの上下左右ボタンを用いる場合と同等の機器操作ができるようになり、機器の操作が容易になる。さらにこの構成の機器操作装置を従来のボタン式リモコンを用いた機器操作装置と併用した場合には、メニュー形式のユーザインタフェースを併せ用いることによりリモコンのボタン数を減らすことができるため、リモコンのボタンに対応した機器操作コマンドを覚える負担を減らすことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−104567号公報
【特許文献2】特開2004−356819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレビなどの映像表示機器はインターネットに接続する機能や録画機能が付加されることで、従来放送に加えてインターネット放送やケーブルテレビ放送が供給するコンテンツと、これらの放送を録画したコンテンツを含めて視聴することができる。このような膨大な数のコンテンツを快適に視聴するため、従来のテレビには無い次の機能が必要になる。
(1)膨大なコンテンツから見たいコンテンツを検索・表示する機能。
(2)コンテンツに含まれるシーンを検索したり、シーンに関連するインターネットコンテンツを検索する機能。
(3)テレビに付属したリムーバブルディスクなどの付属機器を操作する機能。
【0006】
このように、テレビの機能はパーソナルコンピュータと同等に複雑になるので、画面に表示するメニューのデザインも、パーソナルコンピュータと同等に複雑で精緻になる。
【0007】
しかしながら特許文献1に開示された技術は、リモコンが発光出力する光信号の光量からリモコンの動きを検出する方式であるため、センサ個体差の影響を受け易く、リモコンの位置検出精度がモニタ画面の解像度よりもはるかに低くなる。よって、テレビ画面に表示するメニューのデザインを精緻にした場合に、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作でメニューの選択を行うことは困難である。
【0008】
また特許文献2に開示された技術は、カメラでリモコンの動きを検出するものであるが、その明細書に「本発明は動き検出性能を向上するためのものではない」(段落[0032])と記載されるように、検出精度向上への配慮がなく、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作性は期待できない。
【0009】
本発明の目的は、カメラによるリモコン位置の検出精度を向上させ、パーソナルコンピュータのマウス操作と同等の操作で、画面に表示されるメニューの選択を行える機器操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、映像表示機器に取り付けたカメラでリモコンを撮影し、撮影した画像からリモコンの位置を検出して操作コマンドに変換する機器操作装置であって、カメラで撮影した画像を超解像処理して高解像度化する超解像処理部と、超解像処理部の処理した画像からリモコンの位置を検出する位置検出部と、カーソル位置決定ルールに従い、位置検出部の検出したリモコンの位置から映像表示機器のモニタ画面内の対応するメニューを選択するメニュー選択部とを備える。
【0011】
ここに位置検出部は、予めリモコンの外装に配色された色相特徴を記憶手段に記憶し、カメラで撮影した画像の色相を記憶手段に記憶している色相特徴と照合することでリモコンの位置を検出する。また位置検出部は、リモコンが移動している期間だけリモコンの位置を検出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画面に表示された精緻で複雑なメニューに対し、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作で高精度にメニューの選択を行える機器操作装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による機器操作装置の実施形態(実施例)を図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
本実施例は、テレビジョン受像機(以下、テレビ)やパーソナルコンピュータ(パソコン)のように、放送番組や映画などの映像コンテンツや情報を表示する映像表示機器に適用した機器操作装置の場合である。本実施例では、映像表示機器に取り付けたカメラで操作用リモコンを撮影し、撮影画像からリモコンの位置を高精度に検出して映像表示機器への操作コマンドに変換するものである。
【0015】
図1は、本実施例の機器操作装置のハードウェア構成を示した図である。(a)は装置本体を、(b)はこれに付属するリモートコントロール装置の一例を示す。本実施例では、映像表示機器としてテレビに適用した場合を示す。ただし図1では、テレビ特有の機能を実行する処理部(例えばチューナなど)については省略し、機器操作処理を行う部分を中心に説明する。
【0016】
本例の装置は、内部バスライン100を介して、装置全体の動作を制御する中央制御ユニット(CPU)101と、ROM102やRAM103、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)104、グラフィックコントローラ105、ユーザインターフェースコントローラ(ユーザI/F)107を接続する。
【0017】
CPU101は機器操作処理を実行する制御手段として機能し、機器操作処理を実行させるプログラムはROM102又はRAM103の記憶手段に実装している。また、ROM102やRAM103は、リモコン像を検出するための情報(後述する色相特徴)を記憶する。RAM103などの記憶手段としては、半導体メモリや着脱自在のメモリカードなどを用いる。なお、テレビ本体において放送番組を録画するハードディスクを備えていれば、これを記憶手段として使用することもできる。
【0018】
ネットワークI/F104は、外部のネットワーク(インターネットなど)と接続する。これには、アナログ電話回線用のアナログモデム、ISDN回線用のモデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又はモデム、LAN(Local Area Network:構内情報通信網)用のアダプタ、無線電話用のアダプタ、Bluetooth(商標)などの無線通信用のアダプタなどが使用できる。
【0019】
グラフィックコントローラ105は、操作に用いる各種情報や動画の表示制御を行う。そのために映像データを保持するVRAM106を接続し、描画された映像を表示部130に表示する。表示部130としては、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネルなどの表示手段を使用する。また表示部130では、チューナが受信したテレビ放送や外部から入力した映像信号による映像を表示する。さらにグラフィックコントローラ105の制御により、これらの映像信号による映像とインターネットのウェブページから取得した映像とを、1つの画面上に同時に表示させたりキーワードなどの文字情報を重ねて表示させることも可能である。
【0020】
ユーザI/F107は、各種操作キーや操作ボタンなどで構成される操作部108を接続し、またリモートコントロール装置(リモコン)120からの操作を受け付ける。その際受光部109は、リモコン120からの赤外線信号を受光(受信)する。受け付けた操作データはCPU101に供給される。また本例の機器操作装置では、カメラ110を取り付けてリモコン120を撮影する。そして撮影したリモコン画像をユーザI/F107を介して判別し、リモコン120の位置を操作コマンドに変換する構成としている。
【0021】
リモコン120は、パソコンのマウスと同様の感覚で操作可能とする。その構成は、マウスの左ボタンと右ボタンに対応した2つのボタン121,122と、マウスのホイールに対応したホイール123と、表示部130に表示されたカーソルを移動させるときだけ押すカーソル移動ボタン124を備える。さらに、カーソル移動ボタン124が押されているときに所定の赤外光信号を発光する赤外光発光部125を備える。またリモコン120の外装の一部(例えば発光部125の存在する前面側)126は、リモコン120を周囲と区別するために、使用する環境(室内)に存在しない色で配色する。
【0022】
本実施例のリモコンによれば次の効果がある。マウスがマウスパッド上に置かれた状態を前記カーソル移動ボタン124が押された状態と対応付けることと、パソコンのマウスと同じ構成でボタン121,122やホイール123を備えることにより、マウスと同じ操作ができるようになる。さらに、リモコンを使用する環境に存在しない色をリモコンの外装に配色することにより、色情報でリモコンを識別することができる。
【0023】
図2は、本実施例の機器操作装置のソフトウェア構成を示した図である。本実施例の機器操作装置は、カメラ110で撮影した画像からリモコン120の位置を検出して、リモコンの位置と1対1に対応した操作コマンドに変換する機能を有するものであり、そのための構成を説明する。
【0024】
ユーザI/F107はカメラ制御部111を備え、カメラ110の撮影を制御する。カメラ110が撮影した画像は、カメラ制御部111のフレームメモリに記憶される。照度検出部112は、フレームメモリに記憶された画像を分析して室内の照度(明るさ)を求める。照度が閾値よりも低い場合には、前記カメラ110に取り付けた赤外光投光器113から赤外光を発光させ、暗い室内でのカメラの撮影を可能にする。なお赤外光投光器113は、リモコン120に備えた赤外光発光部125とは異なる赤外光を発光させるようにする。
【0025】
CPU101は撮影画像を解析して機器の操作処理を行うが、ROM102又はRAM103には、機器操作処理のプログラムが格納されている。機器操作処理部(プログラム)200は、超解像処理部201と、位置検出部202と、メニュー選択部203と、コマンド起動部204とから構成される。機器操作処理部200の出力映像は、グラフィックコントローラ105の制御でVRAM106に保持されて表示部130(モニタ画面300)に表示される。
【0026】
超解像処理部201は、カメラ110が撮影した画像を超解像処理し解像度を2倍程度に高めた高解像度の画像を出力する。位置検出部202は、超解像処理部201が出力した画像からリモコン像を検出する。この検出処理は、リモコン像が移動している時だけ行い、さらにカーソル移動ボタン124が押されているときだけリモコン位置を出力する。
【0027】
メニュー選択部203は、位置検出部202が出力したリモコン位置とモニタ画面内の1点を対応付けるカーソル位置決定ルールを備える。該カーソル位置決定ルールに基づいて対応付けられたモニタ画面上の1点にカーソルを配置して、このカーソル位置に対応したメニューを選択しハイライトする。コマンド起動部204は、メニュー選択部203が選択したメニューに対応する機器操作コマンドを起動する。
【0028】
図3は、表示部130に表示するモニタ画面300の一例を示す図である。本実施例では、モニタ画面300にはパソコンと同等に精緻なデザインにしたメニューを表示する。また、リモコン120の位置検出精度をモニタ画面300の解像度と同等にして、マウスと同等の操作でメニューの選択を行えるようにしている。表示部130の上部には、カメラ110と赤外光投光器113とを一体化した構成で取り付けている。赤外光投光器付カメラとすることで暗い部屋での撮影を可能とし、リモコン位置を高精度に検出することができる。
【0029】
モニタ画面300には、パソコンと同様のメニューボックス301が表示され、メニューボックス301にはメニュー302,303を含む複数メニューがリスト形式で表示される。メニューボックス301は階層構造になっており、例えばメニュー303を選択するとメニュー303がハイライト(四角枠で表現)された後、それにリンクする下位階層のメニューボックス304が表示される。このメニューボックス304にも、メニュー305を含む複数メニューがリスト形式で表示される。この例では、下位階層のメニューボックス304のメニュー305をカーソル306で選択した場面を示している。
【0030】
以下、機器操作処理部200の行う各処理について詳細に説明する。
図4は、超解像処理部201による超解像処理の原理を説明する図である。まず(a)のように、隣接する複数(ここでは3枚)の原画像401〜403を準備し、小数精度で位置合わせを行う。(b)は、基準位置とする画像401に対して他の画像402,403を位置合わせした状態を示す。位置合わせは、回転や拡大・縮小などの動きも考慮する。こうして標本化位置が整数画素位置からずれた1枚の合成画像を生成する。その後(c)のように、目的とする解像度で再度サンプリングしなおして高解像画像404を生成する。再サンプリングにあたっては、ローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やす方法、あるいは、点広がり関数の逆関数を適用するなどの方法で周辺画素の影響を畳み込みながら、画素値を決定する。その結果、原画像の高周波成分を復元し、原画像に対して解像度が2倍程度の高解像度画像を生成する。この超解像処理は、画像の中の被写体(リモコン)が移動している連続画像に対して有効であるが、被写体が静止している場合には解像度の改善効果は得られない。よって、リモコンが移動している期間の画像出力だけ利用してリモコンの位置を検出する。
【0031】
超解像処理により解像度が2倍程度改善する。その結果、例えば、パソコンに接続して用いる30万画素程度のCCDカメラの解像度であっても、テレビ画面の解像度と同等に改善することができる。よって、高解像度の高価なカメラを導入することなく、リモコンの位置検出精度を向上し、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作で高精度にメニューの選択を行うことができる。
【0032】
次に、超解像処理部201が出力する画像から、位置検出部202がリモコン像の位置を検出する処理を説明する。
本実施例では、リモコン像を検出するため、予め使用するリモコン120の外装の一部126の色相特徴を抽出して、ROM102やRAM103の記憶手段に保存しておく(学習工程)。そして、リモコン操作中にカメラ110で撮影した画像からこの色相特徴を検出し、記憶手段に保存している色相特徴と照合することで、リモコン120の位置を検出する処理を行う(検出工程)。
【0033】
一般に知覚色は色相、明度、彩度の3属性で表され、反射率が低い材質に配色した色の色相成分は周囲の明るさの影響を受けにくい。そこで、色情報から明度成分、彩度成分を取り除いた色相成分だけを抽出してリモコン像の検出処理に用いるようにした。
この方式によれば、装置専用のリモコンを紛失した場合などに、同じ配色(色相)の代用品をリモコンとして用いることが可能になる。
【0034】
リモコン像の色相特徴を抽出する処理(学習工程)は、装置の出荷時あるいは購入時に行う。まずカメラでリモコンを撮影し、超解像処理部201が出力した画像を分析して、卓越した色相成分(1次)を抽出する(図5)。その後、抽出した色相成分の内、背景画像に含まれる色相成分を削除して、リモコン特有の色相特徴(2次)を記憶手段に保存する(図6)。
【0035】
図5は、リモコン像から卓越した色相成分を抽出する処理フローを示す図である。
ステップS501で、画像の切り出し窓を画像空間上の初期位置に固定する。この切り出し窓は、リモコン像の大きさに合わせた所定サイズの領域を有する。そしてこの初期位置は、切り出し窓に対象とするリモコン像が含まれる位置である。ステップS502で、切り出し窓に含まれる画像データを切り出す。
【0036】
ステップS503で、切り出した画像データから色相値のヒストグラムを作成する。この色相ヒストグラムは、各色相値に属する画素数を計数して作成する。そして、作成したヒストグラムを、配列の引数を色相値とし配列の要素を色相値に属する画素数とした配列形式で記憶手段に記憶する。
【0037】
ステップS504では、S503で作成した色相ヒストグラムの配列の要素を順に参照する。ステップS505では、参照した配列の要素、もしくはその近傍(隣接する要素)に0データがあるかどうかを判定する。判定の結果、近傍に0データが存在する場合には、その配列要素は照合工程で誤動作を生じる恐れがある。そこで、ステップS506で該当する配列の要素を前記ヒストグラム配列から削除する。判定の結果、近傍に0データが存在しない場合には、ステップS507で該当する配列の要素を色相特徴として残す。すべての配列の要素の参照が完了したら、削除されずに残った配列の要素を卓越した色相特徴(1次)として決定し、記憶手段に記憶する。
【0038】
ここで図8は、色相ヒストグラムの作成例を示す図である。(a)は、画像の切り出し窓を1辺8画素の正方形とした場合で、これに含まれる画素の色相値を0〜9で表示したものである。(b)は、ステップS503で作成される色相ヒストグラムを示す。また(c)は、ステップS507で得られる色相ヒストグラム(色相特徴)である。
【0039】
続いて図6は、前記卓越した色相特徴(1次)の内、背景画像には含まれない色相成分だけを抽出する処理フローを示す図である。
ステップS601で、前記画像切り出し窓を画面内で移動させる。ステップS602では、現在の移動位置が前記ステップS501の初期位置(すなわちリモコン像を抽出した位置)と同じかどうかを判断する。同じ場合には現在位置をスキップして、切り出し窓を次の新しい位置へ移動する。
【0040】
現在の移動位置が初期位置と異なる場合には、ステップS603において、切り出し窓に含まれる画像データを切り出す。ステップS604では、切り出した画像データの中で、前記S507で記憶した色相特徴(1次)を有する画素数を計数する。
【0041】
ステップS605では、S604において計数された画素数を予め定めた閾値と比較する。計数値が閾値を超える場合には、現在の切り出し窓の位置の背景画像にリモコン像と同じ色相特徴が含まれていることになる。その場合には、当該色相特徴は、リモコン像の色相特徴として採用することは妥当でないと判断し、ステップS606に進んで当該色相特徴を削除する。計数値が閾値を超えていない場合には、現在の切り出し窓の位置の背景画像にはリモコン像と同じ色相特徴が含まれていないので、当該色相特徴をリモコン像の色相特徴として採用する。そしてステップS607に進み、当該データをリモコン像の色相特徴(2次)と決定して記憶手段に記憶する。
【0042】
ステップS608において、画像切り出し窓の画面内移動を完了したかどうかを判断する。完了した場合には処理フローを終了し、完了していない場合には、ステップS601に戻り上記フローを繰り返す。これらの処理フローにより、卓越した色相特徴(1次)の中から背景画像には含まれない色相成分を抽出して、リモコン特有の色相特徴(2次)を得ることができる。
【0043】
次に図7は、リモコン像を画面内で検出する処理フローを示す図である。この処理では、カメラで取り込んだ画像の色相を前記記憶手段に記憶された色相特徴(2次)と照合し、色相特徴の一致する領域を探し出すことで、リモコンの位置を検出するものである。
【0044】
ステップS701で、画像切り出し窓を画面内で移動させる。ステップS702で、移動先の各位置において画像データを切り出す。ステップS703では、切り出した画像データから前記ステップS607で記憶手段に記憶した色相特徴(2次)を有する画素数を計数する。各移動位置での計数結果は記憶手段に記憶しておく。ステップS704では、画像切り出し窓の画面内移動を完了したかどうかを判断し、完了していない場合にはステップS701に戻る。
【0045】
画像切り出し窓の画面内移動が完了したら、ステップS705では、計数の結果、色相特徴(2次)を有する画素数が最大となる画像切り出し窓の位置とそのときの画素数を、対となる1つの検出データとして記憶手段に記憶する。上記ステップS701〜S704において、画面中にリモコン像が写っている場合には、記憶手段に記憶された色相特徴(2次)が、1個もしくは複数個検出される。
【0046】
ステップS706では、ステップS705で記憶した検出データ(画像切り出し窓の位置とそのときの画素数の対となる全てのデータ)が、リモコン像の色相特徴として妥当か否かを判断する。この判断の方法を説明する。リモコン像の色相特徴の配置がカメラとの距離によらず一定であると仮定すると、前記ステップS607で記憶手段に記憶した色相特徴(2次)の画素数比率と、ステップS705で記憶手段に記憶した検出データの色相特徴の画素数比率は一致するはずである。もしもそれらの比率が一致しない場合には、リモコンの検出に失敗したと判断して、ステップS707にて検出データを消去する。
【0047】
ステップS706にて比率が一致した場合には、リモコンの検出に成功したと判断する。ステップS708で、ステップS705で検出した1個もしくは複数個の画像切り出し窓の位置を平均し、リモコン像の中心位置と決定する。このようにして、リモコン像の位置を精度良く検出することができる。
【0048】
ここで、ステップS708で計算したリモコン像の位置検出結果を、図1(b)に示すリモコン120の赤外光発光部125を発光させることで、位置検出結果の確度を向上することができる。この場合には、赤外光発光部125の発光は明度が高い輝点として撮影される。また前記超解像処理部201は、画像の明度情報の解像度を高めるために有効である。そして、所定レベルより明度が高い輝点の位置を、ステップS708で計算したリモコン像の位置の近傍で探す。リモコン像の位置の近傍から検出できれば、計算したリモコン像の位置検出結果は正確なものであり、背景画像に含まれる各種ノイズの影響を回避することができる。
なお、カメラ110に赤外光透過フィルタを装着して、赤外光発光部125が発光する輝点のみを検出する場合には、リモコン像の色相特徴を抽出する処理は不要になる。
【0049】
本実施例の位置検出部においては、超解像処理を施したリモコン像から位置検出を行うようにしている。ただし超解像処理は、画面内で動いている画像に対して有効であるため、リモコンが静止している場合の画像データは解析に用いないように制御する。すなわち、リモコン操作における移動開始直前の静止期間、及び移動終了後の静止期間のデータを除外することで、リモコンの位置検出の精度低下を防ぐことができる。静止期間のデータを除外しても、リモコンの操作性が劣化することはない。
【0050】
次に、メニュー選択部203によるカーソル位置決定機能について説明する。メニュー選択部203は、前記位置検出部202で検出したリモコン像の位置に応じて、表示部のモニタ画面のカーソル位置に変換し、画面に表示されているメニューを選択する。
【0051】
図9は、カーソル位置決定ルールを説明する図で、カメラの撮像系とモニタ画面を示す。カメラの撮像系として、カメラ110と、カメラ光軸に垂直な面900(900a−900b−900c−900d)を仮定してモデル化する。垂直な面900は、カメラ110の撮像面(CCDセンサなど)を投影したもので、以下、撮像面900と呼ぶ。カメラ110で撮影したリモコン像(リモコン位置)を、表示部130のモニタ画面900’(900a’−900b’−900c’−900d’)に表示する。ここにカーソル位置決定ルールは、撮像面900内のリモコン像の位置がR1からR2へ移動するとき、モニタ画面900’内のカーソル位置がR1’からR2’へ相対的に移動するように定める。このようにカーソル位置決定ルールにより、リモコンの相対移動量と移動方向をカーソルの移動量と移動方向に対応付けることができる。
【0052】
このとき、撮像面900の解像度はリモコン像の位置決め精度で決まる。本実施例では超解像処理201を採用することで、リモコン像の位置決め精度を、モニタ画面900’の1画素程度まで向上させることができる。その結果、パソコンのマウスと同等の操作性(分解能)を実現することができる。すなわち、ユーザは1回のリモコン操作で、モニタ画面900’の任意の位置を1画素程度の単位で位置決めすることができる。
【0053】
撮像面900の解像度が不足すると次のようになる。例えば、撮像面900の解像度がモニタ画面900’の解像度の1/2である場合には、前記撮像面900でリモコンを画面一杯の距離だけ動かしても、モニタ画面900’ではカーソルは画面の1/2の距離しか動かすことができない。すなわち、リモコン像の位置がR3からR4へ移動すると、カーソル位置はR3’からR4’まで1/2の距離だけ移動するにすぎない。よって、R3’から所望位置R5’までカーソルを動かすためには、同じリモコン操作を2回行う必要がありユーザにとって使い勝手が悪い。
【0054】
このように本実施例による機器操作装置では、リモコンの位置検出精度をモニタ画面の解像度と同等に向上することができるので、パソコンと同等に精緻にデザインしたメニューが表示されたモニタ画面において、マウスと同等の操作でメニューの選択を行うことができる。
【0055】
本実施例による機器操作装置は、テレビなどの映像表示機器以外の機器にも適用可能であることは言うまでもない。例えば、画面上に精緻にデザインされた複雑なメニューを表示して、これを精度良く選択するようなゲーム機器などにも有効に適用できる。
【実施例2】
【0056】
本実施例は、機器操作装置を録画機能付きテレビに適用し、カメラを利用して録画コンテンツの関連画像を作成表示するものである。
【0057】
図10は、録画コンテンツの関連画像を表示するモニタ画面の一例を示す図である。実施例1における前記カメラ110を、リモコン操作だけでなく一般の被写体を撮影する手段として用いる。この場合、録画コンテンツに関連するものを撮影し、撮影画像を録画コンテンツと対応付けて登録するユーザインタフェースを構成する。関連する画像の例としては、操作者画像、ビデオ記録メディアのケース、コンテンツに関連した思い出の品などが挙げられる。
【0058】
図10のモニタ画面1000では、カメラで撮影した関連画像であるスナップ写真を表示する欄1001と、コンテンツのサムネール画像を表示する欄1002、及び録画タイトルを表示する欄1003で構成されている。ここではスナップ写真の例として、スポーツ番組を録画した人物の写真1004、スポーツ大会で獲得した優勝カップの写真1005、ドラマ番組を録画した人物の写真1006、学芸会のビデオテープを保存するケースの写真1007が表示されている。カーソル1010でスナップ写真、サムネール画像、録画タイトルのいずれかを選択すれば、選択したコンテンツを視聴することができる。
【0059】
本例のユーザインタフェースを録画機能付テレビに適用すると、スナップ写真によりコンテンツを録画したユーザを容易に判断することができるので、他のユーザによるコンテンツ削除、記録メディアへの保存などのコンテンツ管理を行い易くなる。
【0060】
また、カメラの前にユーザが居ない状態で撮影した画像を保存しておき、新しく撮影した画像と比較する方法で視聴者の有無が分かる。この情報を現在放送中のテレビ番組を視聴しているユーザの一時離席検出に利用して、一時離席を検出した時に現在放送中の番組の録画を開始し、前記ユーザが再び席に戻ったことを検出したら後追い再生を開始するという応用も可能である。
【0061】
このようにカメラで撮影された画像には、リモコンの位置検出の他に様々な情報が含まれており、これらの情報をリモコンの操作と結びつけることで、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【実施例3】
【0062】
本実施例は、機器操作装置をユーザの消費カロリーをコントロールするトレーニングシステムに適用した場合である。
【0063】
図11は、本実施例によるトレーニングシステムを説明する図である。このシステムは、表示部130に取り付けたカメラ110を用いて、ユーザのトレーニング動作を認識して消費カロリーを計算して表示すると共に、ユーザの身長と体重から求めた消費カロリーの目標値を提示してトレーニングの過不足を知らせるものである。
【0064】
トレーニング動作の認識は、ユーザ1101の両手と両足に取り付けたカラーバンド1102、1103、1104、1105の動きからリズムを抽出して、このリズムをシステムが提示するリズムと照合することにより行う。カラーバンドの動きは、表示部130に取り付けたカメラ110で撮影した画像に図5〜図7で説明した処理フローを適用して求める。カラーバンドの動きのリズムは、例えば、カラーバンドの単位時間あたりの移動量(すなわち「速さ」)を時系列のグラフにプロットして、このグラフを周波数解析することによっても抽出することができる。
【0065】
消費カロリーは、予めシステムが提示するリズムの消費カロリーを求めておき、システムが提示するリズムを、トレーニング動作を認識して求めたリズムと照合した結果から計算する。リズムは、表示部130に表示されたインストラクター1106によるシェイプアップダンスと、スピーカ131から出力される音楽で提示する。トレーニングの過不足は、ユーザの身長と体重から求めた消費カロリーの目標値と、トレーニングにより消費したカロリーを比較した結果から判断して、判断結果をユーザに提示する。
【0066】
本実施例によれば、個々のユーザに最適なトレーニング動作の目標を提示することができ、ユーザの健康増進に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施例の機器操作装置のハードウェア構成を示した図。
【図2】本実施例の機器操作装置のソフトウェア構成を示した図。
【図3】表示部130に表示するモニタ画面300の一例を示す図。
【図4】超解像処理部201による超解像処理の原理を説明する図。
【図5】リモコン像から卓越した色相成分を抽出する処理フローを示す図。
【図6】色相特徴の内、背景画像には含まれない色相成分だけを抽出する処理フローを示す図。
【図7】リモコン像を画面内で検出する処理フローを示す図。
【図8】色相ヒストグラムの作成例を示す図。
【図9】メニュー選択部203のカーソル位置決定ルールを説明する図。
【図10】録画コンテンツの関連画像を表示するモニタ画面の一例を示す図(実施例2)。
【図11】トレーニングシステムに適用した例を説明する図(実施例3)。
【符号の説明】
【0068】
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…ネットワークインターフェース
105…グラフィックコントローラ
106…VRAM
107…ユーザインターフェースコントローラ
108…操作部
109…受光部
110…カメラ
113…赤外光投光器
120…リモコン
124…カーソル移動ボタン
125…赤外光発光部
130…表示部
200…機器操作処理部
201…超解像処理部
202…位置検出部
203…メニュー選択部
204…コマンド起動部
300…モニタ画面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示機器などに取り付けたカメラでリモコンの位置を検出して、検出位置の情報から機器の操作コマンドに変換する機器操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器操作装置の背景技術として、特許文献1には、モニタ画面に取り付けられた光センサが受光したリモコンの光信号の光量からリモコンの動きを検出して、これらと1対1に対応した家電操作コマンドに変換する家電操作装置が開示される。また特許文献2には、モニタ画面に取り付けられたカメラで撮影されたリモコンの動きを検出して、リモコンの動きと1対1に対応した家電操作コマンドに変換するリモート操作装置が開示される。これらの技術は、機器操作を容易に行うために、リモコンの動きに対応したコマンドをモニタ画面に表示されたメニューと対応付けたユーザインタフェースを構成した点が共通している。
【0003】
この構成の機器操作装置を従来のボタン式リモコンを用いた機器操作装置の代わりに用いると、リモコンの上下左右ボタンを用いる場合と同等の機器操作ができるようになり、機器の操作が容易になる。さらにこの構成の機器操作装置を従来のボタン式リモコンを用いた機器操作装置と併用した場合には、メニュー形式のユーザインタフェースを併せ用いることによりリモコンのボタン数を減らすことができるため、リモコンのボタンに対応した機器操作コマンドを覚える負担を減らすことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−104567号公報
【特許文献2】特開2004−356819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレビなどの映像表示機器はインターネットに接続する機能や録画機能が付加されることで、従来放送に加えてインターネット放送やケーブルテレビ放送が供給するコンテンツと、これらの放送を録画したコンテンツを含めて視聴することができる。このような膨大な数のコンテンツを快適に視聴するため、従来のテレビには無い次の機能が必要になる。
(1)膨大なコンテンツから見たいコンテンツを検索・表示する機能。
(2)コンテンツに含まれるシーンを検索したり、シーンに関連するインターネットコンテンツを検索する機能。
(3)テレビに付属したリムーバブルディスクなどの付属機器を操作する機能。
【0006】
このように、テレビの機能はパーソナルコンピュータと同等に複雑になるので、画面に表示するメニューのデザインも、パーソナルコンピュータと同等に複雑で精緻になる。
【0007】
しかしながら特許文献1に開示された技術は、リモコンが発光出力する光信号の光量からリモコンの動きを検出する方式であるため、センサ個体差の影響を受け易く、リモコンの位置検出精度がモニタ画面の解像度よりもはるかに低くなる。よって、テレビ画面に表示するメニューのデザインを精緻にした場合に、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作でメニューの選択を行うことは困難である。
【0008】
また特許文献2に開示された技術は、カメラでリモコンの動きを検出するものであるが、その明細書に「本発明は動き検出性能を向上するためのものではない」(段落[0032])と記載されるように、検出精度向上への配慮がなく、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作性は期待できない。
【0009】
本発明の目的は、カメラによるリモコン位置の検出精度を向上させ、パーソナルコンピュータのマウス操作と同等の操作で、画面に表示されるメニューの選択を行える機器操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、映像表示機器に取り付けたカメラでリモコンを撮影し、撮影した画像からリモコンの位置を検出して操作コマンドに変換する機器操作装置であって、カメラで撮影した画像を超解像処理して高解像度化する超解像処理部と、超解像処理部の処理した画像からリモコンの位置を検出する位置検出部と、カーソル位置決定ルールに従い、位置検出部の検出したリモコンの位置から映像表示機器のモニタ画面内の対応するメニューを選択するメニュー選択部とを備える。
【0011】
ここに位置検出部は、予めリモコンの外装に配色された色相特徴を記憶手段に記憶し、カメラで撮影した画像の色相を記憶手段に記憶している色相特徴と照合することでリモコンの位置を検出する。また位置検出部は、リモコンが移動している期間だけリモコンの位置を検出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画面に表示された精緻で複雑なメニューに対し、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作で高精度にメニューの選択を行える機器操作装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による機器操作装置の実施形態(実施例)を図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
本実施例は、テレビジョン受像機(以下、テレビ)やパーソナルコンピュータ(パソコン)のように、放送番組や映画などの映像コンテンツや情報を表示する映像表示機器に適用した機器操作装置の場合である。本実施例では、映像表示機器に取り付けたカメラで操作用リモコンを撮影し、撮影画像からリモコンの位置を高精度に検出して映像表示機器への操作コマンドに変換するものである。
【0015】
図1は、本実施例の機器操作装置のハードウェア構成を示した図である。(a)は装置本体を、(b)はこれに付属するリモートコントロール装置の一例を示す。本実施例では、映像表示機器としてテレビに適用した場合を示す。ただし図1では、テレビ特有の機能を実行する処理部(例えばチューナなど)については省略し、機器操作処理を行う部分を中心に説明する。
【0016】
本例の装置は、内部バスライン100を介して、装置全体の動作を制御する中央制御ユニット(CPU)101と、ROM102やRAM103、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)104、グラフィックコントローラ105、ユーザインターフェースコントローラ(ユーザI/F)107を接続する。
【0017】
CPU101は機器操作処理を実行する制御手段として機能し、機器操作処理を実行させるプログラムはROM102又はRAM103の記憶手段に実装している。また、ROM102やRAM103は、リモコン像を検出するための情報(後述する色相特徴)を記憶する。RAM103などの記憶手段としては、半導体メモリや着脱自在のメモリカードなどを用いる。なお、テレビ本体において放送番組を録画するハードディスクを備えていれば、これを記憶手段として使用することもできる。
【0018】
ネットワークI/F104は、外部のネットワーク(インターネットなど)と接続する。これには、アナログ電話回線用のアナログモデム、ISDN回線用のモデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又はモデム、LAN(Local Area Network:構内情報通信網)用のアダプタ、無線電話用のアダプタ、Bluetooth(商標)などの無線通信用のアダプタなどが使用できる。
【0019】
グラフィックコントローラ105は、操作に用いる各種情報や動画の表示制御を行う。そのために映像データを保持するVRAM106を接続し、描画された映像を表示部130に表示する。表示部130としては、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネルなどの表示手段を使用する。また表示部130では、チューナが受信したテレビ放送や外部から入力した映像信号による映像を表示する。さらにグラフィックコントローラ105の制御により、これらの映像信号による映像とインターネットのウェブページから取得した映像とを、1つの画面上に同時に表示させたりキーワードなどの文字情報を重ねて表示させることも可能である。
【0020】
ユーザI/F107は、各種操作キーや操作ボタンなどで構成される操作部108を接続し、またリモートコントロール装置(リモコン)120からの操作を受け付ける。その際受光部109は、リモコン120からの赤外線信号を受光(受信)する。受け付けた操作データはCPU101に供給される。また本例の機器操作装置では、カメラ110を取り付けてリモコン120を撮影する。そして撮影したリモコン画像をユーザI/F107を介して判別し、リモコン120の位置を操作コマンドに変換する構成としている。
【0021】
リモコン120は、パソコンのマウスと同様の感覚で操作可能とする。その構成は、マウスの左ボタンと右ボタンに対応した2つのボタン121,122と、マウスのホイールに対応したホイール123と、表示部130に表示されたカーソルを移動させるときだけ押すカーソル移動ボタン124を備える。さらに、カーソル移動ボタン124が押されているときに所定の赤外光信号を発光する赤外光発光部125を備える。またリモコン120の外装の一部(例えば発光部125の存在する前面側)126は、リモコン120を周囲と区別するために、使用する環境(室内)に存在しない色で配色する。
【0022】
本実施例のリモコンによれば次の効果がある。マウスがマウスパッド上に置かれた状態を前記カーソル移動ボタン124が押された状態と対応付けることと、パソコンのマウスと同じ構成でボタン121,122やホイール123を備えることにより、マウスと同じ操作ができるようになる。さらに、リモコンを使用する環境に存在しない色をリモコンの外装に配色することにより、色情報でリモコンを識別することができる。
【0023】
図2は、本実施例の機器操作装置のソフトウェア構成を示した図である。本実施例の機器操作装置は、カメラ110で撮影した画像からリモコン120の位置を検出して、リモコンの位置と1対1に対応した操作コマンドに変換する機能を有するものであり、そのための構成を説明する。
【0024】
ユーザI/F107はカメラ制御部111を備え、カメラ110の撮影を制御する。カメラ110が撮影した画像は、カメラ制御部111のフレームメモリに記憶される。照度検出部112は、フレームメモリに記憶された画像を分析して室内の照度(明るさ)を求める。照度が閾値よりも低い場合には、前記カメラ110に取り付けた赤外光投光器113から赤外光を発光させ、暗い室内でのカメラの撮影を可能にする。なお赤外光投光器113は、リモコン120に備えた赤外光発光部125とは異なる赤外光を発光させるようにする。
【0025】
CPU101は撮影画像を解析して機器の操作処理を行うが、ROM102又はRAM103には、機器操作処理のプログラムが格納されている。機器操作処理部(プログラム)200は、超解像処理部201と、位置検出部202と、メニュー選択部203と、コマンド起動部204とから構成される。機器操作処理部200の出力映像は、グラフィックコントローラ105の制御でVRAM106に保持されて表示部130(モニタ画面300)に表示される。
【0026】
超解像処理部201は、カメラ110が撮影した画像を超解像処理し解像度を2倍程度に高めた高解像度の画像を出力する。位置検出部202は、超解像処理部201が出力した画像からリモコン像を検出する。この検出処理は、リモコン像が移動している時だけ行い、さらにカーソル移動ボタン124が押されているときだけリモコン位置を出力する。
【0027】
メニュー選択部203は、位置検出部202が出力したリモコン位置とモニタ画面内の1点を対応付けるカーソル位置決定ルールを備える。該カーソル位置決定ルールに基づいて対応付けられたモニタ画面上の1点にカーソルを配置して、このカーソル位置に対応したメニューを選択しハイライトする。コマンド起動部204は、メニュー選択部203が選択したメニューに対応する機器操作コマンドを起動する。
【0028】
図3は、表示部130に表示するモニタ画面300の一例を示す図である。本実施例では、モニタ画面300にはパソコンと同等に精緻なデザインにしたメニューを表示する。また、リモコン120の位置検出精度をモニタ画面300の解像度と同等にして、マウスと同等の操作でメニューの選択を行えるようにしている。表示部130の上部には、カメラ110と赤外光投光器113とを一体化した構成で取り付けている。赤外光投光器付カメラとすることで暗い部屋での撮影を可能とし、リモコン位置を高精度に検出することができる。
【0029】
モニタ画面300には、パソコンと同様のメニューボックス301が表示され、メニューボックス301にはメニュー302,303を含む複数メニューがリスト形式で表示される。メニューボックス301は階層構造になっており、例えばメニュー303を選択するとメニュー303がハイライト(四角枠で表現)された後、それにリンクする下位階層のメニューボックス304が表示される。このメニューボックス304にも、メニュー305を含む複数メニューがリスト形式で表示される。この例では、下位階層のメニューボックス304のメニュー305をカーソル306で選択した場面を示している。
【0030】
以下、機器操作処理部200の行う各処理について詳細に説明する。
図4は、超解像処理部201による超解像処理の原理を説明する図である。まず(a)のように、隣接する複数(ここでは3枚)の原画像401〜403を準備し、小数精度で位置合わせを行う。(b)は、基準位置とする画像401に対して他の画像402,403を位置合わせした状態を示す。位置合わせは、回転や拡大・縮小などの動きも考慮する。こうして標本化位置が整数画素位置からずれた1枚の合成画像を生成する。その後(c)のように、目的とする解像度で再度サンプリングしなおして高解像画像404を生成する。再サンプリングにあたっては、ローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やす方法、あるいは、点広がり関数の逆関数を適用するなどの方法で周辺画素の影響を畳み込みながら、画素値を決定する。その結果、原画像の高周波成分を復元し、原画像に対して解像度が2倍程度の高解像度画像を生成する。この超解像処理は、画像の中の被写体(リモコン)が移動している連続画像に対して有効であるが、被写体が静止している場合には解像度の改善効果は得られない。よって、リモコンが移動している期間の画像出力だけ利用してリモコンの位置を検出する。
【0031】
超解像処理により解像度が2倍程度改善する。その結果、例えば、パソコンに接続して用いる30万画素程度のCCDカメラの解像度であっても、テレビ画面の解像度と同等に改善することができる。よって、高解像度の高価なカメラを導入することなく、リモコンの位置検出精度を向上し、パーソナルコンピュータのマウスと同等の操作で高精度にメニューの選択を行うことができる。
【0032】
次に、超解像処理部201が出力する画像から、位置検出部202がリモコン像の位置を検出する処理を説明する。
本実施例では、リモコン像を検出するため、予め使用するリモコン120の外装の一部126の色相特徴を抽出して、ROM102やRAM103の記憶手段に保存しておく(学習工程)。そして、リモコン操作中にカメラ110で撮影した画像からこの色相特徴を検出し、記憶手段に保存している色相特徴と照合することで、リモコン120の位置を検出する処理を行う(検出工程)。
【0033】
一般に知覚色は色相、明度、彩度の3属性で表され、反射率が低い材質に配色した色の色相成分は周囲の明るさの影響を受けにくい。そこで、色情報から明度成分、彩度成分を取り除いた色相成分だけを抽出してリモコン像の検出処理に用いるようにした。
この方式によれば、装置専用のリモコンを紛失した場合などに、同じ配色(色相)の代用品をリモコンとして用いることが可能になる。
【0034】
リモコン像の色相特徴を抽出する処理(学習工程)は、装置の出荷時あるいは購入時に行う。まずカメラでリモコンを撮影し、超解像処理部201が出力した画像を分析して、卓越した色相成分(1次)を抽出する(図5)。その後、抽出した色相成分の内、背景画像に含まれる色相成分を削除して、リモコン特有の色相特徴(2次)を記憶手段に保存する(図6)。
【0035】
図5は、リモコン像から卓越した色相成分を抽出する処理フローを示す図である。
ステップS501で、画像の切り出し窓を画像空間上の初期位置に固定する。この切り出し窓は、リモコン像の大きさに合わせた所定サイズの領域を有する。そしてこの初期位置は、切り出し窓に対象とするリモコン像が含まれる位置である。ステップS502で、切り出し窓に含まれる画像データを切り出す。
【0036】
ステップS503で、切り出した画像データから色相値のヒストグラムを作成する。この色相ヒストグラムは、各色相値に属する画素数を計数して作成する。そして、作成したヒストグラムを、配列の引数を色相値とし配列の要素を色相値に属する画素数とした配列形式で記憶手段に記憶する。
【0037】
ステップS504では、S503で作成した色相ヒストグラムの配列の要素を順に参照する。ステップS505では、参照した配列の要素、もしくはその近傍(隣接する要素)に0データがあるかどうかを判定する。判定の結果、近傍に0データが存在する場合には、その配列要素は照合工程で誤動作を生じる恐れがある。そこで、ステップS506で該当する配列の要素を前記ヒストグラム配列から削除する。判定の結果、近傍に0データが存在しない場合には、ステップS507で該当する配列の要素を色相特徴として残す。すべての配列の要素の参照が完了したら、削除されずに残った配列の要素を卓越した色相特徴(1次)として決定し、記憶手段に記憶する。
【0038】
ここで図8は、色相ヒストグラムの作成例を示す図である。(a)は、画像の切り出し窓を1辺8画素の正方形とした場合で、これに含まれる画素の色相値を0〜9で表示したものである。(b)は、ステップS503で作成される色相ヒストグラムを示す。また(c)は、ステップS507で得られる色相ヒストグラム(色相特徴)である。
【0039】
続いて図6は、前記卓越した色相特徴(1次)の内、背景画像には含まれない色相成分だけを抽出する処理フローを示す図である。
ステップS601で、前記画像切り出し窓を画面内で移動させる。ステップS602では、現在の移動位置が前記ステップS501の初期位置(すなわちリモコン像を抽出した位置)と同じかどうかを判断する。同じ場合には現在位置をスキップして、切り出し窓を次の新しい位置へ移動する。
【0040】
現在の移動位置が初期位置と異なる場合には、ステップS603において、切り出し窓に含まれる画像データを切り出す。ステップS604では、切り出した画像データの中で、前記S507で記憶した色相特徴(1次)を有する画素数を計数する。
【0041】
ステップS605では、S604において計数された画素数を予め定めた閾値と比較する。計数値が閾値を超える場合には、現在の切り出し窓の位置の背景画像にリモコン像と同じ色相特徴が含まれていることになる。その場合には、当該色相特徴は、リモコン像の色相特徴として採用することは妥当でないと判断し、ステップS606に進んで当該色相特徴を削除する。計数値が閾値を超えていない場合には、現在の切り出し窓の位置の背景画像にはリモコン像と同じ色相特徴が含まれていないので、当該色相特徴をリモコン像の色相特徴として採用する。そしてステップS607に進み、当該データをリモコン像の色相特徴(2次)と決定して記憶手段に記憶する。
【0042】
ステップS608において、画像切り出し窓の画面内移動を完了したかどうかを判断する。完了した場合には処理フローを終了し、完了していない場合には、ステップS601に戻り上記フローを繰り返す。これらの処理フローにより、卓越した色相特徴(1次)の中から背景画像には含まれない色相成分を抽出して、リモコン特有の色相特徴(2次)を得ることができる。
【0043】
次に図7は、リモコン像を画面内で検出する処理フローを示す図である。この処理では、カメラで取り込んだ画像の色相を前記記憶手段に記憶された色相特徴(2次)と照合し、色相特徴の一致する領域を探し出すことで、リモコンの位置を検出するものである。
【0044】
ステップS701で、画像切り出し窓を画面内で移動させる。ステップS702で、移動先の各位置において画像データを切り出す。ステップS703では、切り出した画像データから前記ステップS607で記憶手段に記憶した色相特徴(2次)を有する画素数を計数する。各移動位置での計数結果は記憶手段に記憶しておく。ステップS704では、画像切り出し窓の画面内移動を完了したかどうかを判断し、完了していない場合にはステップS701に戻る。
【0045】
画像切り出し窓の画面内移動が完了したら、ステップS705では、計数の結果、色相特徴(2次)を有する画素数が最大となる画像切り出し窓の位置とそのときの画素数を、対となる1つの検出データとして記憶手段に記憶する。上記ステップS701〜S704において、画面中にリモコン像が写っている場合には、記憶手段に記憶された色相特徴(2次)が、1個もしくは複数個検出される。
【0046】
ステップS706では、ステップS705で記憶した検出データ(画像切り出し窓の位置とそのときの画素数の対となる全てのデータ)が、リモコン像の色相特徴として妥当か否かを判断する。この判断の方法を説明する。リモコン像の色相特徴の配置がカメラとの距離によらず一定であると仮定すると、前記ステップS607で記憶手段に記憶した色相特徴(2次)の画素数比率と、ステップS705で記憶手段に記憶した検出データの色相特徴の画素数比率は一致するはずである。もしもそれらの比率が一致しない場合には、リモコンの検出に失敗したと判断して、ステップS707にて検出データを消去する。
【0047】
ステップS706にて比率が一致した場合には、リモコンの検出に成功したと判断する。ステップS708で、ステップS705で検出した1個もしくは複数個の画像切り出し窓の位置を平均し、リモコン像の中心位置と決定する。このようにして、リモコン像の位置を精度良く検出することができる。
【0048】
ここで、ステップS708で計算したリモコン像の位置検出結果を、図1(b)に示すリモコン120の赤外光発光部125を発光させることで、位置検出結果の確度を向上することができる。この場合には、赤外光発光部125の発光は明度が高い輝点として撮影される。また前記超解像処理部201は、画像の明度情報の解像度を高めるために有効である。そして、所定レベルより明度が高い輝点の位置を、ステップS708で計算したリモコン像の位置の近傍で探す。リモコン像の位置の近傍から検出できれば、計算したリモコン像の位置検出結果は正確なものであり、背景画像に含まれる各種ノイズの影響を回避することができる。
なお、カメラ110に赤外光透過フィルタを装着して、赤外光発光部125が発光する輝点のみを検出する場合には、リモコン像の色相特徴を抽出する処理は不要になる。
【0049】
本実施例の位置検出部においては、超解像処理を施したリモコン像から位置検出を行うようにしている。ただし超解像処理は、画面内で動いている画像に対して有効であるため、リモコンが静止している場合の画像データは解析に用いないように制御する。すなわち、リモコン操作における移動開始直前の静止期間、及び移動終了後の静止期間のデータを除外することで、リモコンの位置検出の精度低下を防ぐことができる。静止期間のデータを除外しても、リモコンの操作性が劣化することはない。
【0050】
次に、メニュー選択部203によるカーソル位置決定機能について説明する。メニュー選択部203は、前記位置検出部202で検出したリモコン像の位置に応じて、表示部のモニタ画面のカーソル位置に変換し、画面に表示されているメニューを選択する。
【0051】
図9は、カーソル位置決定ルールを説明する図で、カメラの撮像系とモニタ画面を示す。カメラの撮像系として、カメラ110と、カメラ光軸に垂直な面900(900a−900b−900c−900d)を仮定してモデル化する。垂直な面900は、カメラ110の撮像面(CCDセンサなど)を投影したもので、以下、撮像面900と呼ぶ。カメラ110で撮影したリモコン像(リモコン位置)を、表示部130のモニタ画面900’(900a’−900b’−900c’−900d’)に表示する。ここにカーソル位置決定ルールは、撮像面900内のリモコン像の位置がR1からR2へ移動するとき、モニタ画面900’内のカーソル位置がR1’からR2’へ相対的に移動するように定める。このようにカーソル位置決定ルールにより、リモコンの相対移動量と移動方向をカーソルの移動量と移動方向に対応付けることができる。
【0052】
このとき、撮像面900の解像度はリモコン像の位置決め精度で決まる。本実施例では超解像処理201を採用することで、リモコン像の位置決め精度を、モニタ画面900’の1画素程度まで向上させることができる。その結果、パソコンのマウスと同等の操作性(分解能)を実現することができる。すなわち、ユーザは1回のリモコン操作で、モニタ画面900’の任意の位置を1画素程度の単位で位置決めすることができる。
【0053】
撮像面900の解像度が不足すると次のようになる。例えば、撮像面900の解像度がモニタ画面900’の解像度の1/2である場合には、前記撮像面900でリモコンを画面一杯の距離だけ動かしても、モニタ画面900’ではカーソルは画面の1/2の距離しか動かすことができない。すなわち、リモコン像の位置がR3からR4へ移動すると、カーソル位置はR3’からR4’まで1/2の距離だけ移動するにすぎない。よって、R3’から所望位置R5’までカーソルを動かすためには、同じリモコン操作を2回行う必要がありユーザにとって使い勝手が悪い。
【0054】
このように本実施例による機器操作装置では、リモコンの位置検出精度をモニタ画面の解像度と同等に向上することができるので、パソコンと同等に精緻にデザインしたメニューが表示されたモニタ画面において、マウスと同等の操作でメニューの選択を行うことができる。
【0055】
本実施例による機器操作装置は、テレビなどの映像表示機器以外の機器にも適用可能であることは言うまでもない。例えば、画面上に精緻にデザインされた複雑なメニューを表示して、これを精度良く選択するようなゲーム機器などにも有効に適用できる。
【実施例2】
【0056】
本実施例は、機器操作装置を録画機能付きテレビに適用し、カメラを利用して録画コンテンツの関連画像を作成表示するものである。
【0057】
図10は、録画コンテンツの関連画像を表示するモニタ画面の一例を示す図である。実施例1における前記カメラ110を、リモコン操作だけでなく一般の被写体を撮影する手段として用いる。この場合、録画コンテンツに関連するものを撮影し、撮影画像を録画コンテンツと対応付けて登録するユーザインタフェースを構成する。関連する画像の例としては、操作者画像、ビデオ記録メディアのケース、コンテンツに関連した思い出の品などが挙げられる。
【0058】
図10のモニタ画面1000では、カメラで撮影した関連画像であるスナップ写真を表示する欄1001と、コンテンツのサムネール画像を表示する欄1002、及び録画タイトルを表示する欄1003で構成されている。ここではスナップ写真の例として、スポーツ番組を録画した人物の写真1004、スポーツ大会で獲得した優勝カップの写真1005、ドラマ番組を録画した人物の写真1006、学芸会のビデオテープを保存するケースの写真1007が表示されている。カーソル1010でスナップ写真、サムネール画像、録画タイトルのいずれかを選択すれば、選択したコンテンツを視聴することができる。
【0059】
本例のユーザインタフェースを録画機能付テレビに適用すると、スナップ写真によりコンテンツを録画したユーザを容易に判断することができるので、他のユーザによるコンテンツ削除、記録メディアへの保存などのコンテンツ管理を行い易くなる。
【0060】
また、カメラの前にユーザが居ない状態で撮影した画像を保存しておき、新しく撮影した画像と比較する方法で視聴者の有無が分かる。この情報を現在放送中のテレビ番組を視聴しているユーザの一時離席検出に利用して、一時離席を検出した時に現在放送中の番組の録画を開始し、前記ユーザが再び席に戻ったことを検出したら後追い再生を開始するという応用も可能である。
【0061】
このようにカメラで撮影された画像には、リモコンの位置検出の他に様々な情報が含まれており、これらの情報をリモコンの操作と結びつけることで、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【実施例3】
【0062】
本実施例は、機器操作装置をユーザの消費カロリーをコントロールするトレーニングシステムに適用した場合である。
【0063】
図11は、本実施例によるトレーニングシステムを説明する図である。このシステムは、表示部130に取り付けたカメラ110を用いて、ユーザのトレーニング動作を認識して消費カロリーを計算して表示すると共に、ユーザの身長と体重から求めた消費カロリーの目標値を提示してトレーニングの過不足を知らせるものである。
【0064】
トレーニング動作の認識は、ユーザ1101の両手と両足に取り付けたカラーバンド1102、1103、1104、1105の動きからリズムを抽出して、このリズムをシステムが提示するリズムと照合することにより行う。カラーバンドの動きは、表示部130に取り付けたカメラ110で撮影した画像に図5〜図7で説明した処理フローを適用して求める。カラーバンドの動きのリズムは、例えば、カラーバンドの単位時間あたりの移動量(すなわち「速さ」)を時系列のグラフにプロットして、このグラフを周波数解析することによっても抽出することができる。
【0065】
消費カロリーは、予めシステムが提示するリズムの消費カロリーを求めておき、システムが提示するリズムを、トレーニング動作を認識して求めたリズムと照合した結果から計算する。リズムは、表示部130に表示されたインストラクター1106によるシェイプアップダンスと、スピーカ131から出力される音楽で提示する。トレーニングの過不足は、ユーザの身長と体重から求めた消費カロリーの目標値と、トレーニングにより消費したカロリーを比較した結果から判断して、判断結果をユーザに提示する。
【0066】
本実施例によれば、個々のユーザに最適なトレーニング動作の目標を提示することができ、ユーザの健康増進に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施例の機器操作装置のハードウェア構成を示した図。
【図2】本実施例の機器操作装置のソフトウェア構成を示した図。
【図3】表示部130に表示するモニタ画面300の一例を示す図。
【図4】超解像処理部201による超解像処理の原理を説明する図。
【図5】リモコン像から卓越した色相成分を抽出する処理フローを示す図。
【図6】色相特徴の内、背景画像には含まれない色相成分だけを抽出する処理フローを示す図。
【図7】リモコン像を画面内で検出する処理フローを示す図。
【図8】色相ヒストグラムの作成例を示す図。
【図9】メニュー選択部203のカーソル位置決定ルールを説明する図。
【図10】録画コンテンツの関連画像を表示するモニタ画面の一例を示す図(実施例2)。
【図11】トレーニングシステムに適用した例を説明する図(実施例3)。
【符号の説明】
【0068】
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…ネットワークインターフェース
105…グラフィックコントローラ
106…VRAM
107…ユーザインターフェースコントローラ
108…操作部
109…受光部
110…カメラ
113…赤外光投光器
120…リモコン
124…カーソル移動ボタン
125…赤外光発光部
130…表示部
200…機器操作処理部
201…超解像処理部
202…位置検出部
203…メニュー選択部
204…コマンド起動部
300…モニタ画面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示機器に取り付けたカメラでリモコンを撮影し、撮影した画像から該リモコンの位置を検出して操作コマンドに変換する機器操作装置において、
上記カメラで撮影した画像を超解像処理して高解像度化する超解像処理部と、
該超解像処理部の処理した画像からリモコンの位置を検出する位置検出部と、
カーソル位置決定ルールに従い、上記位置検出部の検出したリモコンの位置から上記映像表示機器のモニタ画面内の対応するメニューを選択するメニュー選択部とを備えたことを特徴とする機器操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の機器操作装置において、
前記位置検出部は、予め前記リモコンの外装に配色された色相特徴を記憶手段に記憶し、前記カメラで撮影した画像の色相を上記記憶手段に記憶している色相特徴と照合することで前記リモコンの位置を検出することを特徴とする機器操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機器操作装置において、
前記位置検出部は、前記リモコンが移動している期間だけ該リモコンの位置を検出することを特徴とする機器操作装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機器操作装置において、
前記リモコンは、マウスの右ボタンと左ボタンに対応した2つのボタンと、マウスのホイールに対応したホイールと、モニタ画面に表示されたカーソルを移動させるときだけ押すカーソル移動ボタンと、該カーソル移動ボタンが押されているときに所定の赤外光信号を発光する赤外光発光部を備え、
前記リモコンの外装の一部は、該リモコンを使用する環境に存在しない色で配色されていることを特徴とする機器操作装置。
【請求項5】
請求項4記載の機器操作装置において、
前記カメラに赤外光投光器を取り付け、室内の照度が閾値よりも低い場合に該赤外光投光器から赤外光を発光させることを特徴とする機器操作装置。
【請求項6】
請求項1記載の機器操作装置において、
前記カメラにより表示する映像コンテンツに関連するものを撮影し、撮影した画像を映像コンテンツと対応付けて登録するユーザインタフェースを備えることを特徴とする機器操作装置。
【請求項1】
映像表示機器に取り付けたカメラでリモコンを撮影し、撮影した画像から該リモコンの位置を検出して操作コマンドに変換する機器操作装置において、
上記カメラで撮影した画像を超解像処理して高解像度化する超解像処理部と、
該超解像処理部の処理した画像からリモコンの位置を検出する位置検出部と、
カーソル位置決定ルールに従い、上記位置検出部の検出したリモコンの位置から上記映像表示機器のモニタ画面内の対応するメニューを選択するメニュー選択部とを備えたことを特徴とする機器操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の機器操作装置において、
前記位置検出部は、予め前記リモコンの外装に配色された色相特徴を記憶手段に記憶し、前記カメラで撮影した画像の色相を上記記憶手段に記憶している色相特徴と照合することで前記リモコンの位置を検出することを特徴とする機器操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機器操作装置において、
前記位置検出部は、前記リモコンが移動している期間だけ該リモコンの位置を検出することを特徴とする機器操作装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機器操作装置において、
前記リモコンは、マウスの右ボタンと左ボタンに対応した2つのボタンと、マウスのホイールに対応したホイールと、モニタ画面に表示されたカーソルを移動させるときだけ押すカーソル移動ボタンと、該カーソル移動ボタンが押されているときに所定の赤外光信号を発光する赤外光発光部を備え、
前記リモコンの外装の一部は、該リモコンを使用する環境に存在しない色で配色されていることを特徴とする機器操作装置。
【請求項5】
請求項4記載の機器操作装置において、
前記カメラに赤外光投光器を取り付け、室内の照度が閾値よりも低い場合に該赤外光投光器から赤外光を発光させることを特徴とする機器操作装置。
【請求項6】
請求項1記載の機器操作装置において、
前記カメラにより表示する映像コンテンツに関連するものを撮影し、撮影した画像を映像コンテンツと対応付けて登録するユーザインタフェースを備えることを特徴とする機器操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−48479(P2009−48479A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215026(P2007−215026)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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