説明

機能傾斜コンポーネントを含む電気化学セル

機能傾斜と特徴とし且つ所望の周期構造を有する電気化学セル又はバッテリーと、その製造方法。セル/バッテリーコンポーネントを製造するための1又は複数の方法は、単独で又は組み合わせて、ある熱的、機械的、動力学的、及び空間的特性を達成するように設計され、これによって、バッテリー性能が向上する。熱的特性は、充放電プロセスの間の熱分布に関する。動力学的特性は、セル又はバッテリーのレート性能に関し、例えば、イオン拡散プロセス及び電子伝導である。機械的特性は、セル又はバッテリーの寿命及び効率に関し、例えば、コンポーネント材料の強度及び弾性率である。最後に、空間的特性は、エネルギー及び電力密度、応力及び温度緩和メカニズム、及び拡散及び伝導の向上に関する。本発明の電気化学セル又はバッテリーは、ハイレート性能、高エネルギー/電力密度、良い耐久性、高い安全性、及び長寿命を要求する全ての用途に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願61/086,161(出願日2008年8月5日)に対して優先権を主張しその開示が全ての目的についてここに参照取り込みされる。
【0002】
本発明は、一般的に、電気化学セルに関し、さらに詳しくは、本発明は、機能傾斜され且つ設計された電極用コンポーネントを有する方法及びデバイスを提供する。例をあげると、本発明は、特に、自動車、電気通信、一般エネルギー貯蔵、携帯用電子機器、パワーツール、パワーサプライを含む種々の用途に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
上記の通り、電気化学セルは、種々の用途のためのエネルギーの貯蔵に使用される。これらの用途は、携帯用電子機器(例:携帯電話、PDA、ミュージックプレーヤー、ビデオカメラなど)を含む。この用途は、パワーツール、軍事用途(例:通信、照明、イメージングなど)のパワーサプライ、航空宇宙用途(例:衛星用電力)用のパワーサプライ、及び自動車用途(例:ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び完全な電気自動車)用のパワーサプライなども含む。
【0004】
従来の電気化学セルは、製紙技術を使用して製造される。従来の電気化学セルは、内部機械的応力、インターカレーション及び熱誘起応力を考慮することなく製造されてきた。従って、これらの従来のセルには欠点がある。この欠点は、制限された寿命、早期故障、制限された貯蔵能力、及び他の不完全性を含む。寿命を犠牲にすることなく電気化学セルのエネルギー及び電力密度を増大させるために、他の 製造アプローチが提案されてきた。同時に、薄膜の、微細構造、機能傾斜材料を用いる電極構造が開発されてきた(例:Li2MnO3-で安定化されたLiMO2(M=Mn、Ni、Co)。「M.M. Thackeray, S. -H. Kang, CS. Johnson, Li2MnO3 -stabilized LiMO2 (M=Mn, Ni, Co) Electrodes for Lithium-Ion Batteries, Journal of Material Chemistry 17, 3112-3125, 2007」で説明されている。)。このタイプのセルは、典型的に、類似のジオメトリーを有するカソード層とアノード層の間に挟まれた非水電解質を有する。例えば、典型的な薄膜リチウムイオンセルでは、カソードは、多くの場合、LiCoO2、LiMn2O4であり、電解質は、多くの場合、リン酸リチウムオキシナイトライド(LIPON)であり、アノードは、リチウム箔である。薄膜Li-イオンセルは、1,000Wh/Kgのエネルギー密度と10,000W/Kgの電力密度を有し、放電−充電サイクルの回数が潜在的には無制限であることが示されてきた。
【0005】
微細構造及び機能傾斜電極、セル又はバッテリーを高い費用効率で生成するための中心的な課題は、その材料の必要とされる具体的な役割に合わせて材料特性を正確にチューニングすることである。電気化学セル全体において正確な材料特性を達成するために、製造は、制御された環境内で行わなければならない。従来の薄膜電気化学セルは、航空宇宙及び埋め込み型バッテリについては、クリーンルーム内で製造されていた。しかし、このようなプロセスは、コストがかかりすぎ、ハイテク電気化学セルの大量生産には使用することができない。
【0006】
結果として、費用効率が高いハイスループット製造技術及び微細構造及び機能傾斜電極が望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、電気化学セル用の技術が提供される。さらに詳しくは、本発明は、機能傾斜され且つ設計された電極用コンポーネントを有する方法及びデバイスを提供する。例をあげると、本発明は、特に、自動車、電気通信、一般エネルギー貯蔵、携帯用電子機器、パワーツール、パワーサプライを含む種々の用途に適用可能である。
【0008】
本発明の実施形態は、示量性状態量の少なくとも1つ(又はそれ以上)の関数として示強性状態量の少なくとも1つ(又はそれ以上)が変化する連続堆積層を有する微細構造薄膜電気化学セルと、このようなタイプの電気化学セルを製造するための関連する方法を含む。示強性状態量は、密度、組成、濃度、熱/電子/イオン伝導度、熱/イオン拡散度、最大歪み、極限強さ、弾性率、延性、及び塑性、組み合わせなどであるが、これらに限定されない。また、示量性状態量は、体積、面積、及び厚さ、組み合わせなどであるが、これらに限定されない。
【0009】
例を挙げると、本発明は、リチウムベースのセルの使用と共に提供されるが、他の材料(例:亜鉛、銀、銅及びニッケル)も同一又は同様に設計可能であると認識されるであろう。層の堆積及び層の微細構造の形成は、別々に又は組み合わせて使用されるいくつかのプロセスの一つによって達成される。電極及びバッテリーの連続製造は、種々の技術によって達成される。本発明の製造方法は、完全なバッテリーを生成するのに十分な材料を備えた堆積室内でアノード、カソード、電解質、セパレーター及び電流コレクター層の堆積によって完了する。ここで使用される用語「連続プロセス」は、中断を実質的に有さないか又は各プロセスが所定の環境(例:真空)で行われることを意味する。このアプローチを使用して製造されるバッテリーは、少なくとも一つのアノード、一つのカソード、電解質を有し、使用する電気化学によってはセパレーターを有してもよい。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0010】
本発明の一実施形態では、インターカレーション及び熱膨張応力を緩和するか、電極材料を強化する少なくとも一つのメカニズムを有する微細構造モルフォロジーを有する1又は複数の材料が提供される。
【0011】
本発明の別の実施形態では、材料の1又は複数の示量性状態量の関数として変化する1又は複数の示強性状態量を有する機能傾斜構造を含む1又は複数の材料が提供される。示強性特性は、密度、組成、濃度、熱/電子/イオン伝導度、熱/イオン拡散度、最大歪み、極限強さ、弾性率、延性、及び塑性を含むがこれに限定されない。示量性特性は、体積、面積、及び厚さを含むがこれに限定されない。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態では、IA、IVA、VIA、及びIIB族からの少なくとも一元素を含む組成を有するアノード材料が提供される。また、IA、VIII、IVA、VIA、IB、IVB及びVIIB族からの少なくとも一元素を含む組成を有するカソード材料が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、次の技術の1又は複数を使用して、微細構造が形成される。アノード電流コレクター材料は、物理気相成長技術を使用することによって微細構造基板上に形成されるか、又は基板を必要としない単独型微細構造膜である。カソード電流コレクター材料は、物理気相成長技術を使用することによって微細構造基板上に形成されるか、又は基板を必要としない単独型微細構造膜である。微細構造電気化学セルは、物理気相成長技術によって順次又は逆の順序で堆積されたアノード、電解質及びカソードを含む。ここで使用される用語「微細構造」は、通常の意味によって解釈されるべきであり、ここでの説明は、その意味を限定するものではない。例として、微細構造という用語は、約100nmから約100μmまでの範囲の、500μmより小さい特徴サイズを含むが、これ以外のものであってもよい。
【0014】
本発明の別の実施形態では、ブレッドローフィング(breadloafing)を生成する電極の配置を操作することを含む方法が提供される。アノード電流コレクターと接続されたアノードは、第2サイドが電解質とかみ合う。本発明の電解質は、第1サイドがアノード層とかみ合い、第2サイドがカソード層とかみ合う。請求項1のカソードは、第1サイドが、電解質とかみ合い、第2サイドがカソード電流コレクターと接続される。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ナノコンポジット電極を形成する材料を操作することを含む方法が提供される。カソード材料のナノコンポジット構造は、内部応力を除去し、亀裂成長を停止させ、材料強度を最大化し、及び活物質構造を安定化する。ナノコンポジット材料は、同じ材料の2以上の層を異なる結晶構造で堆積することによって形成される。一実施形態では、ナノコンポジット材料は、同じ材料の2以上の層を異なる結晶構造で堆積し、交互の層(alternate layers)上においてマスクを使用してパターンを形成することによって形成される。別の実施形態では、ナノコンポジット材料は、異なる材料の2以上の層を堆積することによって形成される。さらに別の実施形態では、ナノコンポジット材料は、異なる材料の2以上の層を堆積し、交互の層上においてマスクを使用してパターンを形成することによって形成される。さらに別の実施形態では、ナノコンポジット材料は、活物質の主マトリックス粒内に1又は複数のナノ分散相を形成するのと同時に2以上の材料を堆積することによって形成される。別の実施形態では、ナノコンポジット材料は、活物質のマトリックスの粒界の辺りに第二相を分散させると同時に2以上の材料を堆積することによって形成される。さらに別の実施形態では、ナノコンポジット材料は、活物質のマトリックスの粒の内部と周辺の両方に第二相を分散させると同時に2以上の材料を堆積することによって形成される。別の実施形態では、ナノコンポジット材料は、相分離を誘起すると同時に2以上の材料を堆積することによって形成される。ここで使用される、ナノコンポジットという用語は、約5Å〜約500nmの範囲又はこれより小さいサイズ特徴を含むが、通常の意味に従って、他のサイズであってもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、蒸着、物理気相成長(PVD)、化学気相成長、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ支援化学気相成長(MPECVD)、パルスレーザー堆積(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧堆積、噴霧熱分解、噴霧コーティング又はプラズマ噴霧の群からの少なくとも一つを含む複数の技術を使用して機能傾斜微細構造固体電極を製造することと、物理気相成長、レーザー堆積、遠心分離、スピニング、マイクロ波、熱制御、噴霧、及び化学気相成長の群からの少なくとも一つを含む複数の技術を使用して機能傾斜微細構造非水電解質を製造することを含む方法が提供される
【0017】
本発明の別の実施形態では、アノード、電解質、カソード及び電流コレクターにおいて、内部応力を除去し、亀裂成長を停止させ、材料強度を最大化し、活物質構造安定化するために、マスキング及び堆積を行ってアクティブ領域の正確なモルフォロジーを規定する方法が提供される
【0018】
本発明の別の実施形態では、最適化技術の一つを使用することによって、周期的、不規則であるが任意ではない電極(periodic, irregular but not arbitrary electrode)のモルフォロジーを特定する方法が提供される。最適化技術は、サロゲートベースの解析(surrogate-base analysis)、遺伝的アルゴリズム、アダプティブトポロジー最適化(adaptive topology optimization)、実験の設計(design of experiments)、ANOVA/MANOVA、堆積盆ベースの解析(basin based analysis)、中間質量罰則付き固体等方性微細構造(solid isotropic microstructure with intermediate mass penalization)(SIMP)、パワー罰則剛性(power penalized stiffness)モデル、連続構造のトポロジー最適化(topology optimization of continuum structure)、正規境界交差点(normal boundary intersection)(NBI)最適化方法、多変数最適化方法(multivariable optimization method)、又は多分野統合設計最適化(multidisciplinary design optimization)には限定されない。
【0019】
本発明の別の実施形態では、微細構造電極を準備することを含む方法が提供される。微細構造電極は、磁界、電界、温度勾配、及び光ビーム強度を周期的に変化させること、電流コレクター又は基板に周期的に前駆体の種付けを行うこと(periodically seeding the current collector or substrate with precursor)、穿孔、マスキング、成形、押し込み、ナノインプリント、研磨、レーザーアブレーション、放射線及び中性子散乱、を使用して電流コレクター又は基板を周期的に修飾することを含むがこれに限定されない群から選択されるパターニング技術を使用することによって、周期的パターンによって特徴づけられる
【0020】
特定の実施形態では、種々のセル要素は、1又は複数の技術を使用して形成される。これらの技術は、蒸着、物理気相成長(PVD)、化学気相成長、低圧化学気相成長(LPCVD)、原子層堆積(ALD)、直接レーザー描画(DLW)、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ支援化学気相成長(MPECVD)、パルスレーザー堆積(PLD)、ナノインプリント、イオン注入、レーザーアブレーション、噴霧堆積、噴霧熱分解、噴霧コーティング又はプラズマ噴霧を含む。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0021】
さらに、本発明は、微細構造電気化学セル及び/又はバッテリーデバイスを提供する。セル及び/又はバッテリーデバイスは、アノードと、このアノードと反対称に配置されたカソードを含む。特定の実施形態では、デバイスは、カソードとアノードの間に所定の距離を有する。カソードからアノードを分離するために電気絶縁が提供される。特定の実施形態では、この電気絶縁は、カソードからアノードを分離するための所定の距離の一部又は絶縁材料の1又は複数の層内で変化する傾斜材料特性によって特徴づけられる。特定の実施形態では、デバイスは、アノードを特徴付けるナノコンポジットアノード材料を有する。好ましい実施形態では、ナノコンポジットアノード材料は、1又は複数の第2示量性特性の関数である1又は複数の第1示強性特性を有する。ナノコンポジットカソード材料は、カソードを特徴付ける。特定の実施形態では、ナノコンポジットカソード材料は、1又は複数の第2示量性特性の関数である1又は複数の第1示強性特性を有する。特定の実施形態では、電解質材料は、アノードとカソードの間に設けられる。特定の実施形態では、デバイスは、カソードと連通しているカソード電流コレクターと、アノードと連通しているアノード電流コレクターを有する。
【0022】
さらに、本発明は、電気化学セルを提供する。このセルは、実質的に第1ナノコンポジット材料から形成された1又は複数の第1空間特徴を有するアノード部材を有する。第1ナノコンポジット材料は、約5Å〜約500nmの範囲に渡る平均特徴サイズを有する。特定の実施形態では、第1ナノコンポジット材料は、第1抵抗率値が8μΩ・cmよりも大きいが、それ以外であってもよい。特定の実施形態では、 セルは、1又は複数の第2空間特徴を有するカソード部材を有する。このカソード部材は、アノード部材に動作可能に結合され、実質的に第2ナノコンポジット材料から形成される。第2ナノコンポジット材料は、約5Å〜約500nmの範囲に渡る平均特徴サイズを有する。特定の実施形態では、第2ナノコンポジットは、第2抵抗率値が14.3Ω・cmよりも大きいが、それ以外であってもよい。特定の実施形態では、デバイスは、アノードとカソードの間に所定のギャップを有する。特定の実施形態では、所定のギャップは、500nmよりも大きい。デバイスは、アノードとカソードの間に設けられた電解質と、アノードとカソードの間に設けられたセパレーターを有する。デバイスは、少なくとも第1コンタクトを介して前記アノードに結合された第1電流コレクターと、少なくとも第2コンタクトを介して前記カソードに結合された第2電流コレクターとを有する。
【0023】
さらに、本発明は、電気化学セルを製造するための方法を提供する。この方法は、所定の空間パターン(例:パターン化された、周期的)を有する基板部材を提供することを含む。この方法は、1又は複数の種類を使用して、所定の空間パターンの上で同じ形状で重なるように、材料の第1厚さを堆積することを含む。特定の実施形態では、材料の第1厚さは、約500nm以下の平均特徴サイズを有するナノコンポジット構造として特徴づけられる。この方法は、材料の第1厚さの第1空間領域から材料の第1厚さの第2空間領域までの材料の第1厚さの堆積に関連した時間の間に、堆積に関連した1又は複数のパラメーターを調節して、第1空間領域から第2空間領域までにおいて1又は複数の特性の傾斜特徴を有する第1電極要素を形成する。この方法は、第1電極要素上に重なる電解質を形成し、この電解質の上に重なる第2電極要素を形成することを含む。
【0024】
別の特定の実施形態では、本発明は、電気化学セル用の電極を製造する方法を提供する。この方法は、電流コレクターを有する基板部材を提供することを含む。この方法は、1又は複数の種類を使用して、基板部材の表面領域上に重なるように、材料をある厚さで堆積する。特定の実施形態では、この厚さの材料は、ナノコンポジット材料として特徴づけられる。この方法は、材料の前記厚さの第1空間領域から材料の前記厚さの第2空間領域までにおいて材料の前記厚さの堆積に関連した時間の間に、1又は複数のパラメーターを調節することを含む。この方法は、第1空間領域から第2空間領域までにおいて1又は複数の特性の傾斜特徴を有する電極要素を形成することを含む。
【0025】
さらに、本発明は、電気化学セル用の周期的幾何学的特徴を製造するための方法を提供する。この方法は、少なくとも磁界、電界、温度勾配、及び光ビーム強度から選択される1又は複数のパラメーターを周期的に変化させることにより、電極部材又は電流コレクター用の基板の一領域をマスキング及び露出させることを含む。これによって、基板の露出領域に1又は複数の前駆体が設けられる。他の実施形態では、この方法は、穿孔、マスキング、成形、押し込み、ナノインプリント、研磨、レーザーアブレーション、放射線及び中性子散乱から選択される少なくとも1又は複数のプロセスを使用して基板の露出領域の1又は複数の空間領域を周期的に修飾することを含む。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0026】
本発明の恩恵は、複数の材料の合理的なデザインと組み合わせを可能にして、新規の構成を有する電気化学セルを生産することである。これは、設計されたセルに対して優れた特性を与え、プロトタイプセルの構築時にコストがかかる試行錯誤をなくすことを可能にする。実施形態に従って、これらの恩恵の1又は複数が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1 本発明の一実施形態による、周期的、不規則であるが任意ではない電極。
【0028】
図2(A)-(B)は、本発明の一実施形態による、機能傾斜電極の製造を示す単純化した断面図である。
【0029】
図3(A)-(C)は、本発明の一実施形態による、正弦波微細構造を示す電極の製造を示す単純化した断面図である。
【0030】
図4(A)-(D)は、本発明の別の実施形態による、電極用のナノコンポジット材料を示す電極の製造を示す単純化した断面図である。
【0031】
図5(A)は、本発明の別の実施形態による、薄膜デザインのカソードを示す。
【0032】
図5(B)は、本発明の別の実施形態による、柱デザインのカソードを示す。
【0033】
図5(C)は、本発明の別の実施形態による、正弦波デザインのカソードを示す。
【0034】
図5(D)は、柱デザイン電極でのフォン・ミーゼス応力のコンター(contours)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明によれば、技術は、三次元櫛形電気化学セルの製造に関する。さらに詳しくは、本発明は、三次元櫛形電気化学セル用の三次元要素の製造のための方法及びシステムを提供する。例を挙げると、本発明は、リチウムベースのセルの使用と共に提供されるが、他の材料(例:亜鉛、銀、銅及びニッケル)も同一又は同様に設計可能であると認識されるであろう。このようなバッテリーは、種々の用途(例:携帯用電子機器(携帯電話、PDA、ミュージックプレーヤー、ビデオカメラなど)、パワーツール、軍事用途(例:通信、照明、イメージングなど)のパワーサプライ、航空宇宙用途(例:衛星用電力)用のパワーサプライ、及び自動車用途(例:ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び完全な電気自動車)用のパワーサプライに利用可能である。このようなバッテリーのデザインは、バッテリーがシステム中の唯一の電源ではない場合にも適用可能である。追加の電力は、燃料電池、他のバッテリー、ICエンジン又は他の燃焼装置、キャパシター、ソーラーセルなどによって提供される。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0036】
上記の一般説明と次の詳細な説明のどちらも例示的で説明のためのものであり、請求項に記載された本発明を限定するものではないと理解すべきである。本明細書と請求項で使用されている単数形「a」「an」「the」は、文脈に明らかに反しない限り、複数の対象も含む。従って、例えば、「材料」への言及は、材料の混合物を含んでもよく、「化合物」への言及は、複数の化合物を含んでもよい。
【0037】
特定の実施形態では、本発明は、形が不規則であるが周期的空間特徴を有する構造を提供する。好ましい実施形態では、この不規則は、形又はサイズが任意であるということではない。不規則性は、所定の空間特徴を有する。図1に示すように、この構造は、第1周期的空間特徴ドメイン及び第2周期的空間特徴ドメインを有する。特定の実施形態では、ドメインのそれぞれは、共通の特徴を含む。この特徴には、ピラミッド形、台形形、ドーム形、又はその他の形が含まれ、組み合わせも含まれる。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、電気化学セルのデバイスは、機能傾斜し且つ周期的な空間特徴を有する電極を備える。この電極は、イオンのインターカレーションによる応力を緩和し、電気化学反応による熱応力を緩和し、充電-放電プロセスの間でのホスト材料格子構造を安定化し、ホスト材料の力学的特性を向上させることによって、寿命及び効率を延ばすという用法において利点を有する。
ここで説明する電極は、単一の電気化学セルのアノード及びカソードについて言及している。ここで言及するアノード及びカソードは、電流方向及びモードに基づいている。従って、アノードは、放電電気化学セル(ガルバニセルとしても知られる。)中では負極であるが、充電電気化学セル(電解セルとしても知られる。)中では正極である。カソードは、この逆である。ここで説明する、機能傾斜電極は、単一の電極又は電気化学セル全体の空間体積に関して、組成及び構造が徐々に変化することによって特徴づけられる。ここで説明するデバイスの電極又は電気化学セルの周期的空間特徴は、イオン拡散、電子伝導を容易にし電極内での応力を緩和するために、局所的に材料性能を強化するように採用される。
【0039】
機能傾斜電極を使用することの一つの利点は、材料の特定の機能が活物質ホストと統合され、これによって、特定の機能の恩恵が電極性能全体を改善するために加えられる。ここで言及するホスト活物質は、電気化学反応の間に起こる、対電極との電子エネルギー交換に関与する、電極内の材料である。ここで説明する、その機能は、ホスト材料格子増大によるインターカレーション応力を緩和すること、デバイス全体内のエネルギー交換による熱応力を緩和すること、特定の領域での電極の力学的特性を向上させることなどを含むがこれに限定されない。例えば、U.S. Patent No. 6,680,143 B2に記載されているように、Li2MnO3を利用することは、Liイオンバッテリーでの充電-放電プロセスの間にLiMO2格子構造(Mは、Mn、Ni及びCoを含む。)を安定化する。しかし、この特許では、ホスト活物質の格子構造を安定化する機能は、その一つに過ぎない。
【0040】
本発明の別の実施形態では、電極の周期的空間特徴が図1に示すように特定される方法が提供される。図示のように、特定の実施形態によれば、この図は、第1周期及び第2周期を含む。周期のそれぞれは、種々の形(例:ピラミッド、台形、ドーム)を含む。電極の空間特徴は、例えばLi+インターカレーション及び温度増大による応力を緩和する等により、セル性能にインパクトを与える。好ましい空間特徴は、最適化技術を利用することによって特定される。最適化方法は、サロゲートベースの解析、遺伝的アルゴリズム、アダプティブトポロジー最適化、実験の設計、ANOVA/MANOVA、堆積盆ベースの解析、中間質量罰則付き固体等方性微細構造(SIMP)法、パワー罰則剛性(power penalized stiffness)モデル、連続構造のトポロジー最適化、正規境界交差点(NBI)最適化方法、多変量最適化方法、又は多分野統合設計最適化の群からの1つの技術を含むが、これに限定されない。本発明の好ましい実施形態は、正弦波電極プロファイルを有する。正弦波の振幅及び周波数は、強固な性能、長寿命、及び高い安全性を有するように、上記の最適化技術によって決定される。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0041】
本発明のある実施形態では、電極材料堆積に関連する雰囲気は、変更可能である。一実施形態では、適切な雰囲気は、金属酸化物材料を生成するために、酸素雰囲気からなる。他の実施形態では、雰囲気は、電解質層又は窒化物材料を生成するために窒素雰囲気であってもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、電極材料形成に関連する温度は、特定の材料の微細構造を達成するために、連続的に又は段階的に変更可能である。一実施形態では、アモルファス金属酸化物材料層の再結晶化を誘起するために、800℃までのアニーリングステップが導入可能である。
【0043】
他の実施形態では、周囲温度は、一定の速度で基板を冷却し、熱を除去することによって、一定に維持することができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、バッテリーの設計されたコンポーネント(100nm~100μm又は500μm以下の幾何学的特徴を有する。)は、次のリストからの適切な技術を単独で又は互いに組み合わせて用いて製造可能である。蒸着、物理気相成長(PVD)、化学気相成長、低圧化学気相成長(LPCVD)、原子層堆積(ALD)、直接レーザー描画(DLW)、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ支援化学気相成長(MPECVD)、パルスレーザー堆積(PLD)、ナノインプリント、イオン注入、レーザーアブレーション、噴霧堆積、噴霧熱分解、噴霧コーティング又はプラズマ噴霧。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0045】
本発明の別の実施形態では、各部材用の好ましい材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、又は他の適切な導電性合金からなり且つ薄箔及びベアリングの形態である基板材料と、リチウム金属(Li)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、グラファイト(C)、又はメゾカーボン構造(例:マイクロビーズ)又は他の微細構造を含むアノード材料と、リン酸リチウムオキシナイトライド(LIPON)、ポリエチレンオキサイド(PEO)と混合されたリチウム塩(例:LiClO4/LiPF6)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、又はPEOとPVDFの組み合わせを含み且つ第1電極材料の上に重なる電解質材料と、層状金属酸化物材料(例:LiCoO2)、スピネル材料(例:LiMn2O4)、オリビン材料(例:LiFePO4、Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2、LiNixCoyAl(1-x-y)O2 (NCA)、LiNixMnyCo(1-x-y)O2(NCM))を含み且つ電解質材料の上に重なるカソード材料を含むがこれに限定されない。本方法及びデバイスのさらなる詳細は、本明細書を通じて、さらに詳しくは以下で行う。次の説明は、単に例であり、請求項の範囲を不当に限定するものではない。当業者は、他の変形、修正、及び代替を認識するであろう。

実施例1 機能傾斜電極及びその製造技術
【0046】
図2A及び2Bでは、機能傾斜グラファイトアノードは、レーザービームの焦点をポリマー電解質に合わせ、電流コレクターからポリマー電解質の表面へ向かうある所望の距離までにおいて、電流コレクターから焦点を徐々に遠ざけるについて、レーザービームをON/OFFする周波数を低下させることによって作成される。電極1は、図2Aに詳細に示すように、銅電流コレクター3上に被覆されたポリマー電解質(LiPF6+ポリエチレンオキサイド、PEO)2からなる。Nd:YAGレーザービーム4の高エネルギーにより、レーザービームが狙った部位にある、ポリマー電解質中のポリマーは、図2Bの9のように黒鉛化される。図2B中の6から8に示すように、レーザービームをON/OFFする周波数が小さくなると、ある層において黒鉛化されるポリマーの面積が減少する。従って、図2Bの9で示すように、電流コレクターから遠ざかるにつれて、グラファイト様の電極の濃度が徐々に低下する。黒色9の強さは、グラファイトの濃度を示す。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。

実施例2 微細構造電極の製造
【0047】
図 3A、B、及びCでは、周期的であるが任意ではないジオメトリーを有する、微細構造LiMn2O4カソードがシリコン(Si)基板11をテンプレートとして使用して作成される。Nd:YAGレーザー13を使用して基板を機械加工し、材料14を除去することによって、コンピューター支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して12のように得られた所定のジオメトリーに従う一組のチャネル及びリッジを形成する。この設計は、コンピューターシミュレーションに従った、LiMn2O4材料中でのインターカレーション応力の最小化を反映している。基板機械加工が完了すると、物理気相成長(PVD)を使用して基板上に共形の材料層が堆積される。第1チタン(Ti)18付着層は、5Å以下の厚さを有し、第2アルミニウム(Al)層19は、500nm以上の厚さを有し、これらは、カソード電流コレクターとして働く。電流コレクターの堆積後、活物質(LiMn2O4)20が基板にインプリントされた同じジオメトリーに従って形成される。活物質の厚さは1-10μmである。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。

実施例3 電極用ナノコンポジット材料の製造
【0048】
図4A、B、C、及びDでは、物理気相成長(PVD)を使用して共形の材料層を堆積することによってLiMn2O4が部分的に安定化されたカソードが製造される。基板22がすでに存在していてもいなくても、ここで説明したものと同じ手順が使用可能である。後者の場合、電流コレクターが基板材料22としても働く。 LiMn2O4の第一層23が100-500nmの厚さで堆積される。第一層の完了後に100nm以上の幾何学的特徴を有するマスク26がその上に形成され、Li2MnO3の層29が堆積される。最後に、マスクを除去し、LiMn2O4の他の層34が100-500nmの厚さで堆積され、既に形成しているLi2MnO3特徴を埋め込む。
【0049】
マスクを使用するの代わりに、Li2MnO3のスパッタリングを採用して、第一層上に不規則な第2相領域を形成し、その後LiMn2O4の層を100-500nmの厚さで堆積し、第2相を埋め込むことが可能である。第3のオプションでは、LiMn2O4の第一層上にLi2MnO3の均一層を50-100nmの厚さで形成し、Li2MnO3層を挟み込むようにLiMn2O4の新たな層を100-500nmの厚さで形成する。Li2MnO3領域の機能は、放電の間にLi+イオンが枯渇して構造が準安定状態になったときに、LiMn2O4のスピネル結晶構造を安定化することである。通常、カソード材料は、より安定なスピネル型配置に変化して、電位が低下し、電極の容量及び再充電性が制限される。しかし、第2相は、これが起こるのを防ぐ。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。

実施例4 ブレッドローフィング(breadloafing):電解質が入り込んでいる正弦波形の電極及び電解質が入り込んでいる櫛状の電極。
【0050】
この実施例は、最適な形態学的形状の電極を有する新たな電気化学セルを特定するプロセスを示す。設計者が直面する問題の例として、三次元電極の3つの異なる形態学的設計が提供される。図5A中の薄膜、図5B中の円柱形、及び図5C中の正弦波形である。三次元電気化学セル用の材料は、アノード電流コレクター(図5A中の101、図5B中の108、図5C中の113)として銅、アノード(図5A中の102、図5B中の109、図5C中の114)としてリチウム金属、カソード(図5A中の103、図5B中の110、図5C中の115)としてリチウムマンガン酸化物、電解質(図5A中の104、図5B中の111、図5C中の116)としてリチウム塩(LiPF6)を有するポリマー(ポリエチレンオキサイド、PEO)、及びカソード電流コレクター(図5A中の105、図5B中の112、図5C中の117)としてアルミニウムである。ポリマー電解質が使用されるので、セパレーターが不要である。これら3つの電気化学セル(100、106、及び112)は、物理気相成長(PVD)技術によって作成される。従って、ブレッドローフィング(breadloafing)は避けられない。100のセル性能は、LiMn2O4103の力学的特性(例:Li+の拡散性及び電子伝導度)が低いので、ハイレート性能については適切ではない。従って、LiMn2O4電極の表面積を増大させることにより、電解質に対するLiMn2O4電極の露出が増大し、従って、ハイレート性能が向上する。106及び112のモルフォロジーは、2つの可能性を有している。同一人に譲渡され且つ同時係属している米国特許出願No.12/484,959(ここに参照取り込みされる。)で説明されているように、計算技術を利用した数値実験によると、図5Dで示すようにLiMn2O4、110が電流コレクター111に接続するエッジで最大応力が起こっていた。他の変形、修正、及び代替があってもいいのは当然である。
【0051】
上記したものは、特定の実施形態の完全な説明であり、種々の修正、代替構成、及び均等物も使用可能である。従って、上記説明及び例示は、付属のクレームによって定義される本発明の範囲を制限するものと理解すべきではない。
【図1】

【図2A】

【図2B】

【図3】

【図4】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造電気化学セル及び/又はバッテリーデバイスであって、
アノードと、
前記アノードと反対称に配置されたカソードと、
前記カソードと前記アノードの間の所定の距離と、
前記カソードから前記アノードを分離するために提供される電気絶縁とを備え、
前記電気絶縁は、前記カソードから前記アノードを分離するための所定の距離の一部又は絶縁材料の1又は複数の層内で変化する傾斜材料特性によって特徴づけられ、
アノードを特徴付けるナノコンポジットアノード材料を備え、
前記ナノコンポジットアノード材料は、1又は複数の第2示量性特性の関数である1又は複数の第1示強性特性を有し、
カソードを特徴付けるナノコンポジットカソード材料を備え、
前記ナノコンポジットカソード材料は、1又は複数の第2示量性特性の関数である1又は複数の第1示強性特性を有し、
前記アノードと前記カソードの間に設けられた電解質材料と、
前記カソードと連通しているカソード電流コレクターと、
アノードと連通しているアノード電流コレクターとを備える、電気化学セル及び/又はバッテリーデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、
電流コレクター材料の力学的性質がさらなる堆積には不適切である場合に、前記電流コレクターを支持する基板をさらに備える、デバイス。
【請求項3】
実質的に第1ナノコンポジット材料から形成された1又は複数の第1空間特徴を有するアノード部材と、
約5Å〜約500nmの範囲に渡る平均特徴サイズを有する第1ナノコンポジット材料とを有し、
前記第1ナノコンポジット材料は、第1抵抗率値が8μΩ・cmよりも大きく、
1又は複数の第2空間特徴を有するカソード部材を有し、前記カソード部材は、前記アノード部材に動作可能に結合され、実質的に第2ナノコンポジット材料から形成され、
前記第2ナノコンポジット材料は、約5Å〜約500nmの範囲に渡る平均特徴サイズを有し、
前記第2ナノコンポジットは、第2抵抗率値が14.3Ω・cmよりも大きく、
前記アノードと前記カソードの間に所定のギャップを備え、
前記所定のギャップは、500nmよりも大きく、
前記アノードと前記カソードの間に設けられた電解質と、
前記アノードと前記カソードの間に設けられたセパレーターと、
少なくとも第1コンタクトを介して前記アノードに結合された第1電流コレクターと、
少なくとも第2コンタクトを介して前記カソードに結合された第2電流コレクターとを備える、電気化学セル。
【請求項4】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
総抵抗を備え、
前記総抵抗は、1又は複数のリード、第1コンタクト、第2コンタクト、第1抵抗値、第2抵抗値、及び前記電気化学セルの1又は複数の異なる要素の間の1又は複数の抵抗値からの抵抗値の合計から導かられる、電気化学セル。
【請求項5】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記第1ナノコンポジット材料は、1eV以上の局所帯電を実質的に有さない、電気化学セル。
【請求項6】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記第2ナノコンポジット材料は、1eV以上の局所帯電を実質的に有さない、電気化学セル。
【請求項7】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記第1ナノコンポジット材料は、少なくとも遷移金属、金属酸化物、IA、IVA、VIA、及びIIB族から選択される、電気化学セル。
【請求項8】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記第2ナノコンポジット材料は、少なくとも遷移金属、金属酸化物、IA、VIII、IVA、VIA、IB、IVB及びVIIB族から選択される、電気化学セル。
【請求項9】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記電解質は、液体、固体、又はゲルから選択される、電気化学セル。
【請求項10】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記電解質は、セラミック、半導体、ポリマー材料、又は水溶液中の任意の材料から選択される、電気化学セル。
【請求項11】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記電解質は、均一又は不均一である、電気化学セル。
【請求項12】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記電解質は、ナノコンポジット、マイクロコンポジット、又は他の不均一構造である、電気化学セル。
【請求項13】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記電解質は、1又は複数の第2示量性特性を基準とした1又は複数の第1示強性特性を備える、電気化学セル。
【請求項14】
請求項3に記載の電気化学セルであって、
前記アノード部材及び/又はカソード部材は、ドーパントを含み、アノード部材及び/又はカソード部材の一方又は両方の表面を樹状突起を実質的に有さないように維持する、電気化学セル。
【請求項15】
請求項14に記載の電気化学セルであって、
前記ドーパントは、IA〜VIIA族、及びIIB-VIIB族、及びVIII族の何れか1又は複数の組み合わせから選択される、電気化学セル。
【請求項16】
請求項14に記載の電気化学セルであって、
前記ドーパントは、均一配置又は傾斜配置で提供される、電気化学セル。
【請求項17】
電気化学セル用の電極を製造するための方法であって、
所定の空間パターンを有する基板部材を提供し、
1又は複数の種類を使用して、所定の空間パターンの上で同じ形状で重なるように、材料をある厚さで堆積し、
材料の前記厚さは、約500nm以下の平均特徴サイズを有するナノコンポジット構造として特徴づけられ、
材料の前記厚さの第1空間領域から材料の前記厚さの第2空間領域までにおいて材料の前記厚さの堆積に関連した時間の間に、堆積に関連した1又は複数のパラメーターを調節し、
前記第1空間領域から前記第2空間領域までにおいて1又は複数の特性の傾斜特徴を有する電極要素を生産する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記電極は、蒸着、物理気相成長(PVD)、化学気相成長、低圧化学気相成長(LPCVD)、原子層堆積(ALD)、直接レーザー描画(DLW)、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ支援化学気相成長(MPECVD)、パルスレーザー堆積(PLD)、ナノインプリント、イオン注入、レーザーアブレーション、噴霧堆積、噴霧熱分解、噴霧コーティング又はプラズマ噴霧からの少なくとも一つの技術を使用して形成される、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記電極要素を使用する電気化学セル用の非流動性電解質を加えることを備え、
前記非流動性電解質は、物理気相成長、レーザー堆積、遠心分離、スピニング、マイクロ波、温度勾配、焼結、噴霧堆積、及び化学気相成長から選択されるプロセスを使用して作られる、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
アノード要素、前記電解質、及びカソード部材は、順次又はこの逆の順序で堆積される、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、
前記1又は複数の特性は、質量密度、エネルギー密度、電力密度、組成、濃度、熱/電子/イオン伝導度、熱/イオン拡散度、最大歪み、極限強さ、弾性率、延性、及び塑性を含む示強性特性から選択される、方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、
前記電極要素は、アノード、電解質、カソード及び電流コレクター中で、内部応力を除去し、亀裂成長を停止させ、材料強度を最大化し、及び活物質構造を安定化するように生成された最適化モルフォロジーによって特徴づけられる、方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法であって、
第1空間領域から第2空間領域までにおいて前記傾斜特徴が低減されていれば、
第1空間領域から第2空間領域までにおいて、1又は複数の特性の傾斜特徴を再導入するリフレッシュプロセスをさらに備える、方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法であって、
前記所定の空間パターンは、電極デザインであり、前記電極デザインは、数学的方法によって提供される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記数学的方法は、材料特性の認められたセットの中からの示強性特性の最小化又は最大化を使用する、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記数学的方法は、少なくともサロゲートベースの解析、遺伝的アルゴリズム、アダプティブトポロジー最適化、実験の設計、ANOVA/MANOVA、堆積盆ベースの解析、中間質量罰則付き固体等方性微細構造(SIMP)法、パワー罰則剛性(power penalized stiffness)モデル、連続構造のトポロジー最適化、正規境界交差点(NBI)最適化方法、多変数最適化方法、又は多分野統合設計最適化から選択される、方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法であって、
前記堆積及び調節は、堆積室中で行われる、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
前記堆積室は、完全なバッテリーを生産するように提供される、方法。
【請求項29】
電気化学セルを製造するための方法であって、
所定の空間パターンを有する基板部材を提供し、
1又は複数の種類を使用して、所定の空間パターンの上で同じ形状で重なるように、材料の第1厚さを堆積し、
材料の第1厚さは、約500nm以下の平均特徴サイズを有するナノコンポジット構造として特徴づけられ、
材料の第1厚さの第1空間領域から材料の第1厚さの第2空間領域までの材料の第1厚さの堆積に関連した時間の間に、堆積に関連した1又は複数のパラメーターを調節し、
第1空間領域から第2空間領域までにおいて、1又は複数の特性の傾斜特徴を有する第1電極要素を形成し、
第1電極要素上に重なる電解質を形成し、
前記電解質の上に重なる第2電極要素を形成する、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
第1電極要素、第2電極要素、及び前記電解質は、1又は複数の堆積室内において提供される、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、
第1電極要素は、カソードであり、第2電極要素は、アノードである、方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、
第1電極要素は、アノードであり、第2電極要素は、カソードである、方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、
アノード電流コレクター及びカソード電流コレクターを堆積することをさらに備える、方法。
【請求項34】
請求項29に記載の方法であって、
第1電極要素、前記電解質、及び第2電極要素は、順次堆積される、方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法であって、
第1電極要素、前記電解質、及び第2電極要素は、真空を中断することなく順次及び連続的に堆積される、方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法であって、
第1電極要素と第2電極要素の間にセパレーターを提供することをさらに備える、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記セパレーターは、前記電解質内に提供される、方法。
【請求項38】
電気化学セル用の電極を製造するための方法であって、
電流コレクターを有する基板部材を提供し、
1又は複数の種類を使用して、基板部材の表面領域上に重なるように、材料をある厚さで堆積し、
材料の前記厚さは、ナノコンポジット材料として特徴づけられ、
材料の前記厚さの第1空間領域から材料の前記厚さの第2空間領域までにおいて材料の前記厚さの堆積に関連した時間の間に、1又は複数のパラメーターを調節し、
前記第1空間領域から前記第2空間領域までにおいて1又は複数の特性の傾斜特徴を有する電極要素を形成する、方法。
【請求項39】
電気化学セル用の周期的幾何学的特徴を製造するための方法であって、
電極部材又は電流コレクター用の基板の一領域をマスキング及び露出させ、又は電極部材自体を露出させ、
少なくとも磁界、電界、温度勾配、及び光ビーム強度から選択される1又は複数のパラメーターを周期的に変化させて、前記基板の露出領域に1又は複数の前駆体を設ける、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、
穿孔、マスキング、成形、押し込み、ナノインプリント、研磨、レーザーアブレーション、放射線及び中性子散乱から選択される少なくとも1又は複数のプロセスを使用して、
前記電極部材用の前記基板又は電極部材自体の露出領域の1又は複数の空間領域を周期的に修飾することをさらに備える、方法。

【公表番号】特表2011−530787(P2011−530787A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522189(P2011−522189)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/052745
【国際公開番号】WO2010/017227
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511030312)サクティスリー,インク. (3)
【氏名又は名称原語表記】SAKTI3,INC.
【住所又は居所原語表記】1490 Eisenhower Place, Building 4, Ann Arbor, MI 48108−3283 USA
【Fターム(参考)】