説明

機能性ゲル体、それを用いるゲル装飾キット及びその使用方法

【課題】機能性ゲル体、それを用いるゲル装飾キット及びその使用方法の提供。
【課題の解決手段】使用する際に収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、ゲル体の下方又は側方より光を照射し、ゲル体内を透過し外部に出る屈折光により光輝させて使用するための透明な機能性ゲル体であって、
該ゲル体は、その横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する幾何学的な又は装飾的な外形を有することを特徴とする機能性ゲル体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光機に設置することにより電飾のような装飾効果を示す、使用する際に収納容器から取り出して別の受け容器に移し置いて使用する、芳香、消臭、除菌、防カビ、殺虫、虫よけ、ダニよけなどの機能を有する機能性ゲル体、それを用いるキット及びその使用方法に関する。
本発明の機能性ゲル体は、使用時に収納容器から取り出し、別の受け容器に移し置いて使用することが容易であり、使用開始時から終了時まで外観が良好で、使用終点がわかりやすく、ゲル全体から有効成分が揮散するため、有効成分の揮散効率に優れる。
【背景技術】
【0002】
従来、居間や玄関、トイレなど家庭内で使用される機能性ゲル体は、カラギーナン、寒天、ゼラチン、ジェランガム等をゲル化剤として用い、容器内でゲル化されたものが製品として市販されている。通常このような製品は、使用時に蓋フィルムを剥がし、揮散口の開いたキャップを嵌めて使用するものであり、そのため、機能性ゲル体は、容器に充填された状態のまま使用されるものであった。
【0003】
上記の関連技術として、特開2006−167202号公報には、室温でのゲル化が可能で加熱による香料の劣化がなく、香り立ちが良好で、経時的にも微生物等によるゲルの劣化や黄変が抑制された、ゲル化剤としてイソブチレン−無水マレイン酸共重合物のアンモニウム塩とポリアミン類を用いる透明ゲル状芳香剤が記載されている。
また、特開2006−180959号公報には、狭い空間でも邪魔にならないゲル芳香剤として、薄型の容器本体内部にゲル状組成物が充填された該容器本体の表側構成面に複数個の揮散孔を有するゲル芳香剤が記載されている。
【特許文献1】特開2006−167202号公報
【特許文献2】特開2006−180959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載されたような製品におけるゲル体は、容器に充填された状態のまま使用されるため、ゲル体の形状は容器の形状に依存し、また、ゲル体の上面は平面のものしかできず、そのため、デザイン性に乏しく、装飾性に欠けるものであった。
また、有効成分は、ゲル体上面のみからの揮散されるため、その揮散効率は高いものではなく、また、ゲル体の上方では、有効成分の揮散によりゲル体が収縮して変形するのに対し、下方では殆ど収縮による変形が起こらないため、ゲル体全体の外観が悪くなるという問題もあった。
そのため、本発明は、上記問題を解決し得る、即ち、有効成分の揮散効率が高く、ゲル体の収縮による外見の悪化を抑えることができ、更に、装飾性に優れる機能性ゲル体、それを用いるキット及びその使用方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
機能性ゲル体を、使用時に空気孔を開けることにより、容易に別の受け容器に取り出して使用することができるものとすると、該ゲル体は、底面以外は全て空気と接触できるため、有効成分(例えば、芳香成分、消臭成分、除菌成分、防カビ成分、殺虫成分、虫よけ成分、ダニよけ成分等)の揮発効率に優れ、更に、ゲル体の収縮も均一になるため、揮発初期から後期まで、ゲル体の形状はほとんど変わらず、美観を保ちながら収縮することが判った。
また、上記ゲル体は、種々の形状の容器を用いて容易に製造できるため、容易に装飾性
に優れる形状を採用することができ、更に、ゲル体の下方又は側方から光を照射した場合、該ゲルを特定の形状、即ち、横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有するものとすると、電飾のような更に優れる装飾性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は、次のような構成を採用する。
(1)使用する際に収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、ゲル体の下方又は側方より光を照射し、ゲル体内を透過し外部に出る屈折光により光輝させて使用するための透明な機能性ゲル体であって、
該ゲル体は、その横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する幾何学的な又は装飾的な外形を有することを特徴とする機能性ゲル体。
(2)前記ゲル体は、ゲル化剤として、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン又はイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を用いてゲル化されたものである前記(1)記載の機能性ゲル体。
(3)前記(1)又は(2)記載の機能性ゲル体と、該機能性ゲル体が置かれる透明な受け容器と、該受け容器を介して前記機能性ゲル体に光を照射することができる発光機とからなる、ゲル装飾キット。
(4)前記発光機は、前記機能性ゲル体に光を照射するための、明暗及び/又は色調を変化させ得る単数又は複数の色の発光体を備えたものである、前記(3)記載のキット。
(5)前記発光体が発光ダイオード、カラー電球又はネオンライトである前記(4)記載のキット。
(6)前記(1)又は(2)記載の機能性ゲル体の使用方法であって、該機能性ゲル体を収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、前記(3)に記載の発光機上に設置して光を照射することからなる方法。
(7)前記発光機の発光体が発光ダイオード、カラー電球又はネオンライトである前記(6)記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、優れた装飾性を示す、光を照射して使用するための透明な機能性ゲル体が提供される。
本発明の機能性ゲル体は、その横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する幾何学的な又は装飾的な外形を有するものとすることにより、下方又は側方から光を照射した際、優れた装飾性を示すものである。
また、本発明の機能性ゲル体は、使用の際に、簡単な操作で収納容器から取り出して使用されるものであるが、該収納容器は、種々の形状を容易に採用でき、それにより種々の形状の機能性ゲル体を容易に作成できる。
また、本発明の機能性ゲル体は、底面以外は全て空気と接触できるため、有効成分の揮発効率に優れ、更に、ゲル体の収縮も均一になるため、揮発初期から後期まで、ゲル体の形状はほとんど変わらず、美観を保ちながら収縮するという点でも優れている。
【0008】
また、本発明の、機能性ゲル体と、該機能性ゲル体が置かれる透明な受け容器と、該受け容器を介して前記機能性ゲル体に光を照射することができる発光機とからなる、ゲル装飾キットは、使用者の気分や好みに応じて種々の色や形状を有する透明な機能性ゲル体を採用することができるため、多様なニーズに対応可能である。
また、発光機は、明暗及び/又は色調を変化させ得る単数又は複数の色の発光体を採用することにより、ゲル体に電飾のような優れた装飾性を発揮させることができる。
【0009】
また、本発明の機能性ゲル体の使用方法は、収納容器から取り出して別の受け容器に移
し置き、該ゲルを発光機上に設置して光を照射するという簡単な操作により、優れた装飾性を呈しながら、ゲル体の機能、例えば、芳香、消臭、除菌、防カビ、殺虫、虫よけ、ダニよけなどの機能を示すことができるため、優れた方法といえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の機能性ゲルは、使用する際に収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、ゲル体の下方又は側方より光を照射し、ゲル体内を透過し外部に出る屈折光により光輝させて使用するための透明な機能性ゲル体であって、該ゲル体は、その横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する幾何学的な又は装飾的な外形を有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明で使用される用語、機能性ゲル体とは、特定の1つ又は2以上の機能を有するゲル体を意味し、該機能としては、特別な機能に限定されるものではないが、例えば、芳香、消臭、除菌、防カビ、殺虫、虫よけ、ダニよけ等が挙げられる。
また、本発明の機能性ゲル体をゲル化するために使用できるゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、寒天のような天然系ゲル化剤や、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ウレタンポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。透明性の点から、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン又はイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を用いたものが好ましい。
【0012】
本発明の機能性ゲル体は、使用する際に収納容器から取り出して別の受け容器に移し置いて使用するものである。従って、容器内に入れたまま使用されている市販の機能性ゲル体とは、この点で異なるものである。
また、本発明の機能性ゲル体は、優れた装飾性を得るために光を照射して使用することを特徴とするが、このような態様で使用される機能性ゲル体はこれまで報告されていなかった。
機能性ゲル体が取り出される別の受け容器としては、機能性ゲル体が設置可能な容器であれば、特に限定されないが、例えば、皿状、シャーレ状、天面の開いた箱状の容器等が挙げられる。
また、機能性ゲル体の下方から光が照射される場合、別の受け容器は透明である必要があるが、機能性ゲル体の側方から光が照射される場合は必ずしも透明である必要は無い。
尚、別の受け容器は、光照射の妨げとならない範囲で文字や種々の図柄により装飾が施されていてもよい。
【0013】
光が照射された際、電飾のような優れた装飾性を発揮するように、ゲル体は、透明であり、また、特定の形状を有する。
ゲル体は、透明である限りにおいて、装飾性を示し得る種々の色、例えば、無色、赤、ピンク、青、緑、黄緑、黄、紫、橙等の色であり得る。
また、ゲル体は、透明である限りにおいて、ゲル体全体を発光させるために微細な小量の分散可能な不溶物、例えば、シリカゾルやアルミナゾル等を加えることもできる。
また、ゲル体は、優れた装飾性を発揮するように特定の形状であり、その横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する幾何学的な又は装飾的な外形を有するものである。
上記は、ゲル体の上部外面に少なくとも1つの鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を有することを意味するものであり、この際、鋭角を形成するとは、対向する2辺が鋭角を形成する場合に加え、対向する2辺の延長部が鋭角を形成する場合を含む、即ち、対向する2辺により形成される角が不完全で、先端部が丸まっていたり、先端部が欠けて新たな面を形成する場合であっても、該2辺を延長して形成される角度が鋭角となる場合であれば鋭
角を形成するものに含まれることを意味するものである。
【0014】
本発明の機能性ゲル体は、上記の特定の形状を有する、即ち、横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する限りにおいて、どのような形状でも採用することができ、そのような幾何学的な形状の例は、例えば、宝石の多面体カットの上部分又は下分部様の形状、例えば、ラウンド・ブリリアント・カット(58面体)、ラウンド・ブリリアント・カット(82面体)、ラウンド・ブリリアント・カット(144面体)、オールド・ヨーロピアン・カット、シングル・カット、ジルコン・カット、オーバル・ブリリアント・カット、ペアー・シェープ・ブリリアント・カット、マーキーズ・ブリリアント・カット、スプリット・ファセット・マーキーズ・カット、ハート・シェープ・ブリリアント・カット、オールド・マイン・カット、フランダース・ブリリアント・カット、スクエア・エメラルド・カット、バリオン・カット、クォードリリオン・カット、サンフラワー・カット、エメラルド・カット、ラジアント・カット(82面体)、マリーゴールド・カット、ファイアー・ローズ・カット、ジニア・カット、ペンタゴン・カット、トリリアント・カット、セミナピッツ・カット、ハーフムーン・カット、ダリア・カット、ロング・オクタゴン・カット、スクウェアー・カット、バケット・カット、テーパー・バケット・カットの上部分又は下分部様の形状を採用することができる。
【0015】
また、他の幾何学的な形状としては、例えば、ゼリー、プリン、ババロア等の食品で使用されている多様な幾何学的形状等を採用することもできる。
装飾的な形状としては、例えば、バラの花、菊の花、ハスの花等の花を模した形状、ブドウ、桃、リンゴ、サクランボ、イチゴ、バナナ等の果物等の植物を模した形状等が挙げられる。
別の装飾的な形状としては、例えば、犬、猫、パンダ、コアラ等の動物を模した形状等が挙げられる。
また、別の装飾的な形状としては、マンガ、アニメ等のキャラクターを模した形状等が挙げられる。
本発明の機能性ゲル体は、上記のような形状を有することにより、光照射されたとき、ゲル体内部を透過する屈折光により、とりわけ鋭角を形成する稜線部又は凸縁部において光輝き、電飾のような装飾効果を示すものである。
【0016】
本発明はまた、前記の機能性ゲル体と、該機能性ゲル体が置かれる透明な受け容器と、該受け容器を介して前記機能性ゲル体に光を照射することができる発光機とからなる、ゲル装飾キットに関する。
【0017】
上記キットで使用される発光機は、機能性ゲル体に光を照射するための発光体、該発光体を発光させるための機構(電気回路、電源、電源スイッチ、配線等)、機能性ゲル体が置かれた受け容器を設置する面等を有する。
発光機で使用される発光体は、特に限定されるものではないが、好ましくは、発光ダイオード、カラー電球又はネオンライト等が挙げられる。
発光体の色は特に限定されず、白、赤、青、緑、黄緑、黄、紫、橙等、照明の分野で使用される如何なる色をも使用できる。
また、発光体は、上記色の発光体を1個使用するか又は2個以上を種々の色の組合せで使用することができる。
上記発光体は、明暗及び/又は色調を変化させ得るものが好ましい。
また、上記発光体は、経時的に明暗及び/又は色調を変化させ得るものも好ましい。
上記発光体として、発光ダイオードは、コンパクトなサイズに収めやすく、かつ、カラフルな色の色調を容易に自動的に変化させられることから、電飾効果が高く、特に好適に使用することができる。
【0018】
上記発光体を発光させるための機構としては、電気回路、電源、電源スイッチ、配線等が挙げられる。
電気回路としては、発光体を発光させるための電気回路、また、明暗及び/又は色調を変化させる場合、或いは、経時的に明暗及び/又は色調を変化させる場合は、それを制御するための電気回路等が挙げられる。
電源としては、発光体を光らせ及び上記電気回路を起動させるものであるが、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケルカドミウム電池、水銀電池、リチウム電池等の電池或いはACアダプター等が挙げられる。
電源スイッチは、発光機のON、OFFを行い、場合によって、発光体の明暗及び/又は色調の変化の様式を変化させるために使用されるものであるが、押しボタンスイッチ、スライドスイッチ、スナップスイッチ等の何れの形式のものも使用できる。
【0019】
発光機による光照射は、機能性ゲル体の下方又は側方から行うことができるが、該ゲル体の下方から光照射するのが好ましい。
また、発光機は、機能性ゲル体が置かれた透明な受け容器がその上面に設置される場合、該面は、発光体からの光を機能性ゲル体に照射できるよう穴部を有し、それ以外の面は、機能性ゲル体が効率的に輝くように、鏡面で構成されるのが好ましい。
【0020】
本発明はまた、前記の機能性ゲル体を収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、前記の発光機上に設置して光を照射することからなる方法にも関する。
上記のような簡単な操作により、優れた装飾性を呈しながら、ゲル体の機能、例えば、芳香、消臭、除菌、防カビ、殺虫、虫よけ、ダニよけなどの機能を示すことができる。
上記方法における発光体は、上記の記載と同様のものが使用できる。
【0021】
以下、図面を参考にして本発明の実施の形態を説明する。
本発明の機能性ゲル体は、収納容器から取り出して使用されるが、該収納容器は、例えば、図1ないし図5に示すような、簡単な操作で収納容器1の底部又は側部に空気孔を開けられる構造を採用することにより、簡便に取り出すことができる。この場合の収納容器1は、各種プラスチック材料により形成することができるが、好ましくは、硬質ないし半硬質の熱可塑性プラスチック成形材料を用いるのが好ましい。これらのプラスチック成形材料をシート状に加工し、真空成形法や圧空成形法等により、熱成形するか、又は、該成形材料を、直接射出成形するかして、収納容器を容易に量産することができる。上記プラスチック成形材料の具体例としては、例えば、塩化ビニール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等、各種の熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0022】
図1には、収納容器1の底面に棒状の突起3を設けた容器の例を示す。機能性ゲル体2の取り出しは、収納容器1をさかさまにした後、前記突起を折る(横に倒す)ことにより、収納容器1の底部に空気孔ができ、そこから空気が収納容器内部に入り込むことで機能性ゲル体2が収納容器1から容易に剥離される。この場合に用いられる突起の形状は、折り曲げる(横に倒す)ことによって、収納容器底面に簡単に空気孔を開けることが可能であれば特に限定されず、円柱形や十字型等を用いることができる。
【0023】
図2,図3には、収納容器1の底面に開けた空気孔5をフィルム4でシールした収納容器の例を示し、図4,図5には収納容器1の側面に開けた空気孔5をフィルム4でシールした収納容器の例を示した。機能性ゲル体2の取り出しは、収納容器1をさかさまにした後、フィルム4を剥がすことにより収納容器1の底部又は側部に空気孔5が出現し、そこから空気が収納容器内部に入り込むことで機能性ゲル体2が収納容器1から容易に剥離される。フィルム4としては、ポリビニール系樹脂や、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はアルミラミネートフィルム等を用いることができるが、これらのフィルムを
用いる密封は、例えば、熱融着等により行われる。
【0024】
機能性ゲル体の形状としては、ゲル体が収納容器から簡単に取り出せる形状が好ましく、例えば、収納容器から取り出した形状が、底部から頭頂部にかけてテーパーを有する形状等が好ましい。例えば、図6ないし図15で示される機能性ゲル体のように、ゲル体表面に凹凸を有する形状は、カラフルな光を照射したときに、光が乱反射してゲル体の輝きが増すため、より好ましい。
【0025】
図16ないし図19に、機能性ゲル体単体を受け容器に取り出した後の状態を示す。機能性ゲル体は、底面以外は全て空気と接触できるため、有効成分(例えば、芳香成分、消臭成分、除菌成分、防カビ成分、殺虫成分、虫よけ成分、ダニよけ成分等)の揮発効率がよく、ゲル体の収縮も均一になるため、揮発初期(図16、18)から後期(図17、19)まで、ゲル体の形状はほとんど変わらず、美観を保ちながら収縮することが可能である。
【0026】
図20に、発光機の1態様を示した。該態様において発光機8の本体は、円筒状の形態であり、上面の中央にゲル体に光を照射するための穴部を有し、穴部の下方には、発光体9が備えられ、電源スイッチ10が前面に設置される。
【0027】
図21ないし図24に、機能性ゲル体単体2を発光機8の本体上に設置した後の状態を示す。機能性ゲル体は、底面以外は全て空気と接触できるため、有効成分の揮発効率がよく、ゲル体の収縮も均一になるため、揮発初期(図21、23)から後期(図22、24)まで、ゲル体の形状はほとんど変わらず、美観を保ちながら収縮することが可能である。
図25ないし27に、機能性ゲル体が発光機の光照射により電飾のような装飾効果を示しているところを模式的に示した。
【実施例】
【0028】
次に、具体的実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ゼラチン3.0gを水89.0gに約90℃で加熱溶解した。約50℃に冷却後、別容器で混合した香料2.5g、界面活性剤5.0g、プロピレングリコール3.0g、イソブチレン−無水マレイン酸共重合物のアンモニア変性物0.5gを攪拌しながら添加し、ゾル状物質を調製した。このゾル状物質を底部の空気孔をフィルムで密封した収納容器に充填し、ゲル化後使用する機能性ゲル体を得た。
底部のフィルムを剥がすことにより空気孔を開け、該機能性ゲル体を、天面の開いた立方体の別の受け容器に取り出し、発光機の上に設置し(図21)、香り立ち及びゲル体の収縮性、装飾性を評価した。その結果、揮散初期から後期にいたるまで、香り立ちがよく、ゲル体の形状も、図22で模式的に示されるすように、形がくずれることなく、小さく収縮し、終点が明確であった。さらに、ゲル体の底部から光を照射することで、ゲル体全体が発光したように見え、高い装飾性を示した。
【0029】
実施例2
イソブチレン−無水マレイン酸共重合物のアンモニア変性物5.0gを水84.2gに溶解後、ポリエチレンイミン0.3gを加え、よく攪拌した。その後、別容器で混合した香料2.5g、界面活性剤5.0g、プロピレングリコール3.0gを攪拌しながら添加し、ゾル状物質を調製した。このゾル状物質を底部に突起を有する収納容器に充填し、ゲル化後に使用する機能性ゲル体を得た。
底部の突起を折ることにより空気孔を開け、該機能性ゲル体を皿状の別の受け容器に取り出し、発光機の上に設置し(図23)、香り立ち及びゲル体の収縮性、装飾性を評価し
た。その結果、揮散初期から後期にいたるまで、香り立ちがよく、ゲル体の形状も、図24で模式的に示されるすように、形がくずれることなく、小さく収縮し、終点が明確であった。さらに、ゲル体表面の凹凸により、ゲル体の底部から光を照射することで、乱反射した光でキラキラと輝き非常に高い装飾性を示した。
【0030】
比較例1
イソブチレン−無水マレイン酸共重合物のアンモニア変性物5.0gを水84.2gに溶解後、ポリエチレンイミン0.3gを加え、よく攪拌した。その後、別容器で混合した香料2.5g、界面活性剤5.0g、プロピレングリコール3.0gを攪拌しながら添加し、ゾル状物質を調製した。このゾル状物質を一般的な透明容器に充填し、機能性ゲル体を得た。揮散口の開いたキャップを取り付け、発光機の上に設置し(図28)、香り立ち及びゲル体の収縮性、装飾性を評価した。その結果、揮散後期になると、香り立ちが弱く、ゲル体の形状も、図29で模式的に示されるように、揮散口付近は小さく収縮しているのに対し、底面付近はあまり収縮していないため全体としての形がくずれており、美観に欠けるものであった。また、ゲル体の底部から光を照射したところ、揮散初期は、ゲル体が容器に密着しており、上部も平面であるため、光が透過してしまい、装飾性は殆ど認められなかった。さらに揮散中期以降になると、ゲル体上部のみが収縮し、透明性が悪くなり、光を照射しても輝きが感じられず、装飾性は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の機能性ゲル体は、使用に伴い経時的に水分や香料などの有効成分が揮散してゲル体が収縮するが、ゲル体全体が空気と接触しているため、揮散性がよく、ゲル体の収縮も均一である。従って、揮散初期から後期まで、ゲル体の形状は殆ど変わらず、美観を保ちながら収縮し、このため、ゲル体の収縮状況から使用終点を明確に視認することも可能であり、更に、カラフルな光を照射することによって、ゲル体が輝き、非常に装飾性の高い機能性ゲル体となる。かかる機能性ゲル体の使用方法は、シンプルで使い勝手が良く、極めて実用的なものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】底部に突起3を有する収納容器を示す説明図である。
【図2】底部の空気孔5をフィルム4で密封した収納容器を示す説明図である。
【図3】図2記載の収納容器において底部のフィルムを剥がしたところを示す図である。
【図4】側部の空気孔5をフィルム4で密封した収納容器を示す説明図である。
【図5】図4記載の収納容器において側部のフィルムを剥がしたところを示す図である。
【図6】機能性ゲル体(多角錘)の使用例を示す図である。
【図7】機能性ゲル体(多角柱)の使用例を示す図である。
【図8】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図9】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図10】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図11】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図12】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図13】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図14】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図15】機能性ゲル体の使用例を示す図である。
【図16】揮散初期における機能性ゲル体の使用例を示す図である(皿状の受け容器)。
【図17】揮散後期における機能性ゲル体の使用例を示す図である(皿状の受け容器)。
【図18】揮散初期における機能性ゲル体の使用例を示す図である(天面の開いた箱状の受け容器)。
【図19】揮散後期における機能性ゲル体の使用例を示す図である(天面の開いた箱状の受け容器)。
【図20】発光機の1態様を示す図である。
【図21】機能性ゲル体を発光機上に設置した際の揮散初期における使用例を示す図である(天面の開いた箱状の受け容器)。
【図22】機能性ゲル体を発光機上に設置した際の揮散後期における使用例を示す図である(天面の開いた箱状の受け容器)。
【図23】機能性ゲル体を発光機上に設置した際の揮散初期における使用例を示す図である(皿状の受け容器)。
【図24】機能性ゲル体を発光機上に設置した際の揮散後期における使用例を示す図である(皿状の受け容器)。
【図25】機能性ゲル体が発光機の光照射により電飾のような装飾効果を示しているところを模式的に示した図である。
【図26】機能性ゲル体が発光機の光照射により電飾のような装飾効果を示しているところを模式的に示した図である。
【図27】機能性ゲル体が発光機の光照射により電飾のような装飾効果を示しているところを模式的に示した図である。
【図28】一般的な機能性ゲル体(市販品)を発光機上に設置した際の揮散初期における使用例を示す図である。
【図29】一般的な機能性ゲル体(市販品)を発光機上に設置した際の揮散後期における使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1:収納容器
2:機能性ゲル体
3:突起
4:フィルム
5:空気孔
6:皿状の受け容器
7:天面の開いた箱状の受け容器
8:発光機
9:発光体
10:電源スイッチ
11:キャップ
12:揮散口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する際に収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、ゲル体の下方又は側方より光を照射し、ゲル体内を透過し外部に出る屈折光により光輝させて使用するための透明な機能性ゲル体であって、
該ゲル体は、その横断面において対向する2辺又はその延長部が鋭角を形成する稜線部又は凸縁部を少なくともその上部外面に有する幾何学的な又は装飾的な外形を有することを特徴とする機能性ゲル体。
【請求項2】
前記ゲル体は、ゲル化剤として、ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン又はイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を用いてゲル化されたものである請求項1記載の機能性ゲル体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の機能性ゲル体と、該機能性ゲル体が置かれる透明な受け容器と、該受け容器を介して前記機能性ゲル体に光を照射することができる発光機とからなる、ゲル装飾キット。
【請求項4】
前記発光機は、前記機能性ゲル体に光を照射するための、明暗及び/又は色調を変化させ得る単数又は複数の色の発光体を備えたものである、請求項3記載のキット。
【請求項5】
前記発光体が発光ダイオード、カラー電球又はネオンライトである請求項4記載のキット。
【請求項6】
請求項1又は2記載の機能性ゲル体の使用方法であって、該機能性ゲル体を収納容器から取り出して別の受け容器に移し置き、請求項3に記載の発光機上に設置して光を照射することからなる方法。
【請求項7】
前記発光機の発光体が発光ダイオード、カラー電球又はネオンライトである請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−110478(P2010−110478A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285955(P2008−285955)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【Fターム(参考)】