説明

機能性フィルムおよびその製造方法

【課題】気泡がなく均質で、柔軟性を有し、光質変換能に優れ、太陽電池用封止材、光学フィルム、自動車等の合せガラスの中間膜等に有用なフィルムを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂(Y)に、波長変換物質(D)を配合したポリオレフィン樹脂組成物(Z)を成形してなる機能性フィルム。ポリオレフィン系樹脂(Y)が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなる、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)を主成分とし、波長変換物質(D)の含有量が、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、0.01〜5重量部であって、ポリオレフィン樹脂組成物(Z)が、ポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下の成形温度で成形されることを特徴とする機能性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換物質を含むポリオレフィン系樹脂からなる機能性フィルムおよびその製造方法に関し、より詳しくは、特定の性状範囲のポリエチレン系樹脂を選択し、低温で成形することにより、気泡がなく均質で、柔軟性を有し、機械的強度に優れた光質変換能力を有する機能性フィルム、その製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光の波長分布や強度を変換する技術(光質変換技術という)を利用したフィルムは、農業フィルム、太陽電池モジュール用の封止シート等に使用され、特に農業フィルムでは、作物の増収を図ったり、品種の改良や害虫防除、菌の成長抑制などの病害防除などに効果を挙げている。
【0003】
これら太陽光を光源とした光質変換技術としては、蛍光剤を用いて短波長光を長波長に変換する技術(特許文献1:特公昭46−24376号公報、特許文献2:特開昭50−88147号公報)が古くから知られている。また、可視光を長波長光に変換し、光合成の増強を可能とする方法(特許文献3:特開平6−41524号公報)や、紫外線領域の波長を有する光を長波長光に変換する方法も知られている(特許文献4:特開平6−46684号公報、特許文献5:特開平6−46685号公報、特許文献6:特開平6−36685号公報)。
【0004】
また、昨今では、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレンにこれら光質変換物質を配合したポリオレフィン樹脂組成物、それを用いた農業用フィルムも提案されている(特許文献7:特開平9−249775号公報)。
この特許文献7には、特定のエチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又は他のオレフィン系(共)重合体100重量部に一般式〔I〕の化合物又はその重合体0.05〜18重量部、及びヒンダードアミン0.05〜2重量部を含む波長変換能を有するポリオレフィン系樹脂組成物、前記組成物用マスターバッチ、及び前記組成物を含む農業用フィルムが記載され、波長変換能を有する物質として、3,6ージアミノー2,5ピラジンジカルボニトリルなどを出発原料として製造したシアノピラジン誘導体が使用されている。
【0005】
しかしながら、これら光質変換物質(蛍光剤)は、熱に弱いものも多く、高温に晒されると退色し、変換効率が低下するか、長期にわたる光質変換能の保持が難しく、光質変換寿命が劣るという問題点を内包している。また、これら光質変換物質(蛍光剤)が配合されたポリオレフィン組成物をフィルム等に成形する際に高温に曝されると気泡が発生するという問題点を内包している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭46―24376号公報
【特許文献2】特開昭50―88147号公報
【特許文献3】特開平06―41524号公報
【特許文献4】特開平06―46684号公報
【特許文献5】特開平06−46685号公報
【特許文献6】特開平06−36685号公報
【特許文献7】特開平09―249775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、特定の性状範囲のポリエチレン系樹脂を選択し、低温で成形することにより、気泡がなく均質で、柔軟性を有し、機械的強度に優れた光質変換能力を有する機能性フィルム、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点を解消するために鋭意検討の結果、波長変換物質を含むポリオレフィン系樹脂からなる機能性フィルムにおいて、特定の性状のエチレン系樹脂を選択し、従来よりも低温で成形することにより、気泡の発生が抑制され、均質で、柔軟性に富み、突き刺し強度等を保持し、優れた光質変換能力を有する機能性フィルムが得られるようになり、上記の課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
本願第1の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、波長変換物質(D)を0.01〜5重量部含有したポリオレフィン樹脂組成物(Z)を成形してなる機能性フィルムにおいて、ポリオレフィン系樹脂(Y)が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなる、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)を主成分とし、波長変換物質(D)の含有量が、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、0.01〜5重量部であって、ポリオレフィン樹脂組成物(Z)が、ポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下の成形温度で成形されることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0010】
また、本願第2の発明によれば、第1発明において、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)が、シングルサイト系触媒で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0011】
また、本願第3の発明によれば、前記第1または第2発明において、前記波長変換物質(D)が、無機系蛍光体、有機金属錯体、又は有機発光顔料から選ばれる一種以上の物質であることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0012】
また、本願第4の発明によれば、前記第3の発明において、有機発光顔料が、バルビツール酸と、p−(ジメチル)アミノベンズアルデヒドとの縮合生成物であることを特徴とする請求項3に記載の機能性フィルムが提供される。
【0013】
また、本願第5の発明によれば、前記第1〜4のいずれかの発明において、ポリエチレン系樹脂(X)が、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)90〜10重量%及び高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)10〜90重量%の混合物であることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0014】
また、本願第6の発明によれば、第1〜第5のいずれかの発明において、ポリオレフィン系樹脂(Y)が、さらに他のポリオレフィン系樹脂(C)を含み、その含有量が、ポリエチレン系樹脂(X)100〜50重量%に対して0〜50重量%であることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0015】
また、本願第7の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明において、前記機能性フィルム中に含まれる平均径0.5mm以上の気泡の数が、1m当たり、2個以下であることを特徴とする機能性フィルムが提供される。
【0016】
一方、本願第8の発明によれば、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなるメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)を主成分とするポリオレフィン系樹脂(Y)に、波長変換物質(D)をポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、0.01〜5重量部を添加したポリオレフィン樹脂組成物(Z)を、ポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下の成形温度で押出成形することを特徴とする機能性フィルムの製造方法が提供される。
【0017】
さらに、本願第9の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明の機能性フィルムを、少なくとも1層を含むことを特徴とする積層フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低温で成形し得る特定の性状のエチレン系樹脂を選択しているので、熱に弱い、または吸湿性のある波長変換物質(以下、波長変換剤ともいう)を含んでいても、特定の温度条件で成形することで、均質で、柔軟性に富み、突き刺し強度等を保持し、優れた波長変換能力を有する機能性フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の機能性フィルム、その製造方法、積層体について詳細に説明する。
1.[機能性フィルム]
本発明の機能性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、波長変換物質(D)を0.01〜5重量部含有したポリオレフィン樹脂組成物(Z)を成形してなる機能性フィルムにおいて、ポリオレフィン系樹脂(Y)が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなる、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)を主成分とし、波長変換物質(D)の含有量が、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、0.01〜5重量部であって、ポリオレフィン樹脂組成物(Z)が、ポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下の成形温度で成形されることを特徴とする。
【0020】
[ポリオレフィン樹脂組成物(Z)]
本発明において、ポリオレフィン樹脂組成物(Z)とは、ポリエチレン系樹脂(X)を主成分とするポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、波長変換物質(D)を0.1〜5重量部含有させて構成されるポリオレフィン樹脂組成物である。
【0021】
[ポリエチレン系樹脂(X)]
本発明においてポリエチレン系樹脂(X)とは、イオン重合法すなわち、イオン系触媒で製造される、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)及び/又は高圧ラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレン、エチレン共重合体(B)であり、下記のものが包含される。
【0022】
[イオン重合法によるエチレン系重合体(A)]
イオン重合法によるエチレン系重合体とは、イオン重合法によって製造されるエチレン系重合体であって、密度0.86〜0.97g/cmのエチレン単独重合体もしくはエチレンを主成分とするαーオレフィンとの共重合体を包含する。密度は0.86〜0.91g/cmが好ましく、エチレン−αーオレフィン共重合体(以下、超低密度ポリエチレン(A1)、またはVLDPEとも称す)、0.91〜0.94g/cmのエチレン−αーオレフィン共重合体(以下、直鎖状低密度ポリエチレン(A2)、またはLLDPEとも称す)を挙げることができる。
【0023】
[超低密度ポリエチレン(A1)]
本発明の超低密度ポリエチレン(A1)とは、密度0.860〜0.910g/cm未満、好ましくは密度0.870〜0.905g/cm、より好ましくは密度0.880〜0.900g/cmの範囲で選択される。
この範囲であれば、フィルムの柔軟性(しなやかさ)を維持しながら、低温ヒートシール性、機械的強度等を保持することが可能となる。
【0024】
[直鎖状低密度ポリエチレン(A2)]
本発明において直鎖状低密度ポリエチレン(A2)とは、密度0.910〜0.940g/cm未満、好ましくは密度0.915〜0.935g/cm、より好ましくは密度0.920〜0.930g/cmの範囲で選択される。この範囲であれば、直鎖状低密度ポリエチレンの利点である、柔軟性を損なわずに機械的強度、ヒートシール強度等を得ることが可能となる。
【0025】
本発明において、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)を単独で機能性フィルムの原材料であるポリエチレン系樹脂(X)として使用する場合、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)は1〜10g/10分の範囲で選択されることが肝要であり、密度は、0.860〜0.940g/cmの範囲で選択されることが望ましい。
また、上記VLDPE及びLLDPEを、高圧ラジカル重合法で製造されるポリエチレン系樹脂(B)との混合物として使用する場合には、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、MFR0.5g/0分〜20g/10分、好ましくはMFR1.0〜10g/10分、さらに好ましくはMFR1.5〜8g/10分の範囲で選択されることが望ましい。この範囲であれば、上記の諸性能を低下させずに機能性フィルムを成形することが可能となる。
【0026】
また、上記超低密度ポリエチレン(VLDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.3〜4.0の範囲で選択される。この範囲であると、均質で、柔軟性、透明性、機械的強度等のバランスのとれた組成物の提供が可能である。
上記の範囲であればインフレーション成形、Tダイ成形等の押出成形がし易い。なお、ここでいうMw/MnはGPC分析による重量平均分子量/数平均分子量である。
【0027】
エチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲で、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができる。これらα−オレフィンの含有量は3〜40モル%の範囲で選択されることが好ましい。
【0028】
イオン重合法によるエチレン系重合体は、チーグラー系触媒、バナジウム系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒を包含する)等を用いて製造され、特にシングルサイト系触媒(メタロセン触媒を包含する)を使用して製造されることが望ましい。
イオン重合法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられ、特に、メタロセン触媒を使用し、高圧イオン重合法で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
【0029】
シングルサイト系触媒としては、特に限定されるわけではないが、好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。
上記シングルサイト触媒で製造されるエチレン−αーオレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズ等が挙げられる。
【0030】
[高圧ラジカル重合法ポリエチレン樹脂(B)]
高圧ラジカル重合法ポリエチレン樹脂(B)は、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B1)、エチレン−ビニルエステル共重合体(B2)、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B3)から選択された少なくとも1種の樹脂を包含する。
【0031】
[高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B1)](以下LDPEと称す)
上記高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(B1)は、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N 荷重下で測定)が0.5〜20g/10分、好ましくは1〜10g/10分、さらに好ましくは2〜7g/10分である。この範囲内であれば組成物の諸性能がバランスよく保持可能である。密度は0.905〜0.940g/cm、好ましくは0.910〜0.935g/cm、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cmの範囲である。
溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gの範囲であるとフィルム成形性が良好である。
【0032】
[エチレン−ビニルエステル共重合体(B2)]
エチレン−ビニルエステル共重合体(B2)とは、高圧ラジカル重合法で製造されエチレンを主成分とするビニルエステル単量体との共重合体である。ビニルエステル単量体としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニル等のビニルエステル単量体が挙げられ、他の共重合可能な不飽和単量体を使用することができる。
これらビニルエステル単量体の中で、特に好ましいものとして酢酸ビニルを挙げることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。該ビニルエステル含有量は3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲である。これら共重合体のMFRは、0.5〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分、より好ましくは1.5〜10g/10分の範囲である。
【0033】
[エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B3)]
上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(B3)とは、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、またはその誘導体、および所望により他の不飽和単量体との共重合体、およびそれらの金属塩(アイオノマー)、アミド、イミド等が挙げられる。
共重合成分であるα,β−不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類を挙げることができる。
またその誘導体の具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。これらの共重合体の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸―酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体等の二元または多元共重合体が挙げられる。
【0034】
上記における他の不飽和単量体とは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10のオレフィン類、C2〜C3アルカンカルボン酸のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物類などの群から選ばれた少なくとも1種である。
上記の具体的な製品としては、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体(住友化学製、アクリフト(登録商標)CM502)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ユニカー製、NUC(登録商標)−6570)が市販されている。
【0035】
上記エチレン共重合体は、エチレン65〜99.5重量%、不飽和カルボン酸またはそのエステル0.5〜35重量%および他の不飽和単量体0〜25重量%からなる共重合体が好ましい。
これら共重合体のMFRは、0.5〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分、より好ましくは1.5〜10g/10分の範囲で選択される。
【0036】
また、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)を単独で機能性フィルムの原材料であるポリエチレン系樹脂(X)として使用する場合においては、MFR1〜10g/10分の範囲で選択されることが肝要である。
【0037】
[他のポリオレフィン系樹脂(C)]
他のポリオレフィン系樹脂(C)は、上記(A)または(B)以外のポリオレフィン系樹脂であって、本発明におけるポリオレフィン系樹脂(Y)の任意成分である。
具体的には、中・高密度ポリエチレン(C1)、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(C2)、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフイン共重合体等のポリプロピレン系樹脂(C3)、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)から選択された少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を包含するものである。
【0038】
[中・高密度ポリエチレン(C1)]
本発明において中・高密度ポリエチレン(C1)とは、密度0.94〜0.97g/cm、好ましくは密度0.945〜0.965g/cmの範囲で選択されるポリエチレンである。 また、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)は、0.5〜20g/10分であり、好ましくはMFRが1〜15g/10分、さらに好ましくはMFR1.5〜10g/10分の範囲で選択される。
【0039】
[エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(C2)]
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(C2)としては、エチレンと炭素数3〜10のαーオレフィンとの共重合体ゴムが挙げられ、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。
これらのゴム成分は、シーラントフィルムの衝撃強度、耐ピンホール性等の性能を向上させる効果を果たすものである。
また、ジエンモノマーを共重合させた共重合体としては、エチレン・プロピレン・ジシクペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5 − エチリデン− 2 − ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・1 ,6 − ヘキサジエン共重合体等を例示することができる。
【0040】
[ポリオレフィン系樹脂(Y)]
本発明においてポリオレフィン樹脂(Y)は、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなるメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)100〜50重量%と他のポリオレフィン樹脂(C)0〜50重量%で構成される。
以下、本発明の構成材料を詳述する。
【0041】
[ポリプロピレン系樹脂(C3)]
本発明においてポリプロピレン系樹脂とは、シンジオタクチックポリプロピレン樹脂、アイソタクチックポリプロピレン樹脂等のポリプロピレン単独重合体、プロピレンと他のαーオレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、非晶質ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR:230℃、21.60g荷重下で測定)が、0.5〜20g/10分であり、好ましくは1〜15g/10分、より好ましく1.5〜10g/10分のものを使用するのが望ましい。
【0042】
[官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)]
さらに、本発明に係る官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)とは、下記の官能基含有化合物(a)(d)(e)(f)のいずれかとオレフィンとの共重合体、またはポリオレフィン系樹脂にラジカル発生剤の存在下で官能基含有化合物(a)〜(f)のいずれかを変性グラフトして得られる官能基変性ポリオレフィン系樹脂を包含するものである。
官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)は、一種でも、二種以上の併用であってもよい。
【0043】
(1)官能基含有化合物
本発明に係る官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)の官能基含有化合物は、エポキシ基含有化合物(a)、不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体(b)、エステル基含有化合物(c)、ヒドロキシル基含有化合物(d)、アミノ基含有化合物(e)、及びシラン基含有化合物(f)の群から選択される少なくとも1種の化合物であり、エポキシ基含有化合物(a)、又は不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体(b)が好ましい。
【0044】
(a)エポキシ基含有化合物
エポキシ基含有化合物としては、例えばフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、エポキシ化植物油などが挙げられる。
【0045】
このエポキシ基含有化合物の中でも、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基(オキシラン基)を含む、分子量3000以下の多価エポキシ化合物が好ましい。このエポキシ化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基を含んでいることにより、分子内のエポキシ基が1個の場合と比べ、接着強度が飛躍的に向上する。また、エポキシ化合物の分子量は、3000以下であることが好ましく、特に1500以下が好ましい。分子量が3000を超えると、組成物化した際に、十分な接着強度を得ることができない虞が生じる。
【0046】
このエポキシ基含有化合物としては、扱い易さと安全性の観点からエポキシ化植物油を選択することができる。エポキシ化植物油とは、天然植物油の不飽和二重結合を過酸などでエポキシ化したものであり、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化コーン油などを挙げることができる。
これらのエポキシ化植物油は、例えば、旭電化工業(株)製、O−130P(エポキシ化大豆油)、O−180A(エポキシ化亜麻仁油)等として市販されている。
なお、植物油をエポキシ化する際に若干副生するエポキシ化されていない、またはエポキシ化が不十分な油分は、それが存在しても本発明における作用効果を何ら妨げるものではない。
【0047】
本発明において、エポキシ基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)中に、0.01〜5重量%であり、0.01〜3重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。エポキシ基含有化合物の含有量がこの範囲にあれば、基材との接着強度が不十分という等の問題が生じない。
【0048】
(b)不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体
本発明において使用する不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基または酸無水基含有化合物から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
例えば、一塩基性不飽和カルボン酸、二塩基性不飽和カルボン酸、ならびに、これらの金属塩、アミド、イミド、エステルおよび無水物が挙げられる。一塩基性不飽和カルボン酸の炭素数は20個以下、好ましくは15個以下、また二塩基性不飽和カルボン酸の炭素数は30個以下、好ましくは25個以下であり、誘導体の炭素数は30個以下、好ましくは25個以下である。これら不飽和カルボン酸基含有化合物およびその誘導体の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびその無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸およびその無水物、ならびにメタクリル酸グリシジルが好ましく、特に無水マレイン酸、5−ノルボルネン酸無水物が、樹脂組成物の接着性能が優れることから好適である。
【0049】
また、好ましい官能基変性ポリオレフィン系重合体としては、(メタ)アクリル酸グリシジルグラフトエチレン共重合体、(メタ)アクリル酸グラフトエチレン共重合体、無水マレイン酸グラフトエチレン共重合体、無水マレイン酸・グラフトエチレン・酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸・グラフトエチレン・アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸・グラフトエチレン・アクリル酸エチル共重合体等の二元又は三元共重合体が挙げられる。
【0050】
不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)中に、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%である。この含有量の範囲であれば、未反応モノマーが増加することなく、十分な接着性能を付与することができる。
【0051】
(c)エステル基含有化合物
ポリエチレン鎖にグラフトするエステル基含有化合物としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどが例示でき、特に好ましいものとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルを挙げることができる。
エステル基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)中に、5.0〜40.0重量%が好ましく、より好ましくは10〜30.0重量%、特に好ましくは15.0〜25.0重量%である。この範囲の含有量であれば、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)の柔軟性や接着性が発現する。
【0052】
(d)ヒドロキシル基含有化合物
ヒドロキシル基含有化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)中に、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%である。この範囲の含有量であれば、未反応モノマーが増加することなく、十分な接着性能を付与することができる。
【0053】
(e)アミノ基含有化合物
アミノ基含有化合物としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)中に、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%である。この範囲の含有量であれば、未反応モノマーが増加することなく、十分な接着性能を付与することができる。
【0054】
(f)シラン基含有化合物
シラン基含有化合物としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリスメチルエチルケトオキシムシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン等のビニルシラン類、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等のアクリルシラン類、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等のメタクリルシラン類、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のスチリルシラン類等の不飽和シラン化合物が挙げられる。
なお、これらの不飽和シラン化合物は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができ、シラン化合物とエチレン−α−オレフィンとの共重合体、シラン基変性エチレン−α−オレフィン共重合体とされる。
本発明において、シラン基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C)中に、0.01〜5重量%である。好ましくは、0.01〜3重量%、より好ましくは0.01〜1重量%である。この範囲の含有量であると、ガラス等の保護材との十分な接着が得られ、また、体積固有抵抗値の低下を抑えることができる。
【0055】
(2)官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)の製造
官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)は、官能基含有化合物とオレフィンとを共重合するか、ポリオレフィン系樹脂を、ラジカル開始剤の存在下、グラフト化反応しうる前記官能基含有化合物でグラフト化反応させて製造することができる。
【0056】
共重合し得る前記官能基含有化合物とオレフィンとの共重合体の場合、官能基含有化合物としては、エポキシ基含有化合物(a)、ヒドロキシル基含有化合物(d)、アミノ基含有化合物(e)、及びシラン基含有化合物(f)の群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。共重合量は、官能基含有化合物の種類によっても異なるが、共重合体100重量%中に、官能基含有化合物単位が0.5〜30重量%含まれるようにする。
【0057】
また、ポリオレフィン系樹脂を官能基含有化合物でグラフト化反応した官能基変性ポリオレフィン系樹脂の場合は、官能基含有化合物の具体例としては、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリルシラン等を挙げることができる。
官能基変性ポリオレフィン系重合体は、ポリオレフィン系重合体を、ラジカル開始剤の存在下、溶媒の存在下または押出機等の混練機内で溶融混練し、グラフト化反応しうる前記官能基含有化合物をグラフト変性させて製造される。
【0058】
[機能性フィルムの原料樹脂]
本発明の機能性フィルムの原料樹脂は、(i)イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)、(ii)高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)、(iii)イオン重合法エチレン系樹脂(A)+高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂との混合樹脂(A+B),(iv)イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)+他のポリオレフィン樹脂(C)、(v)高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)+他のポリオレフィン樹脂(C)、(vi)イオン重合法エチレン系樹脂(A)+高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)との混合樹脂+他のポリオレフィン樹脂(C)、(vii)(A)及び/又は(B)+官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C4)などの組み合わせが挙げられる。
【0059】
[原料樹脂の配合割合]
本発明において、ポリエチレン系樹脂(X)は、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)と、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)が、樹脂(A)90〜10重量%に対して、樹脂(B)10〜90重量%、好ましくは樹脂(A)80〜20重量%/樹脂(B)20〜80重量%、より好ましくは樹脂(A)75〜25重量%/樹脂(B)25〜75重量%の範囲の割合で配合される。
また、樹脂(C)を配合して、ポリオレフィン系樹脂(Y)とする場合には、上記樹脂(A)及び/樹脂(B)からなるポリエチレン系樹脂(X)100〜50重量%/樹脂(C)0〜50重量%の範囲の割合で配合される。好ましくは樹脂(X)95〜55重量%/樹脂(C)5〜45重量%とし、より好ましくは樹脂(X)90〜60重量%/樹脂(C)10〜40重量%の範囲で選択されることが望ましい。
【0060】
本発明の機能性フィルムを構成する、ポリエチレン系樹脂(X)のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)は、1.0〜10g/10分であり、好ましくは1.3〜8.0g/10分、より好ましくは1.5〜7.0g/10分である。該MFRが、1.0g/10分未満では、低温成形時の押出負荷が増大すると共に樹脂の発熱も過大となり、発泡現象を生起させる。また、MFRが10g/10分を超える場合には、成膜安定性が悪化し、フィルムの強度の低下が懸念される。
【0061】
[波長変換物質(D)]
本発明において波長変換物質(D)は、特に限定されるものではないが、具体的には、従来から使用されている蛍光剤のほか、希土類元素またはそのイオンもしくはその有機金属錯体および/または(有機)蛍光色素、及びバルビツール酸とp−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物が挙げられる。
【0062】
該無機系蛍光体としては、ハロリン酸カルシウム、カドミウムテルライド、ZnS:Cu等の無機蛍光体が挙げられる。
【0063】
本発明において希土類元素またはそのイオンもしくはその有機金属錯体とは、希土類元素あるいは、その金属イオンを無機の母体結晶中へ発光中心として賦活されたもの、その有機金属錯体などが挙げられる。
【0064】
上記希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等が挙げられる。これらのなかでもユウロピウム、テルビウム、サマリウム等が好ましい。希土類元素あるいは、その金属イオンを無機の母体結晶中へ発光中心として賦活されたものとしては、例えば、Y:Eu、SrAl:Eu,Dy、LaF:Ybなどが挙げられる。
【0065】
有機金属錯体とは、上記希土類元素イオンと有機化合物との錯体である。昨今では太陽光の全波長領域(300nm〜10μm)に亘って吸収可能な有機/無機のハイブリット材も開発されているが、これも一種の有機金属錯体といえる。
上記、希土類金属錯体を形成する有機化合物としては、カルボン酸、β−ジケトン類、含窒素有機化合物などが挙げられる。
上記カルボン酸としては、酪酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、t−ブチルカルボン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸、ナフトエ酸、キノリンカルボン酸などの芳香族カルボン酸などが挙げられる。
【0066】
βージケトン類としては、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルアセトンジイソブチロメタン、ジビパロイルメタン、3−メチルペンタンー2,4ジオン、2,2−ジメチルペンタンー3,5−ジオン、2−メチル−1,3−ブタンジオン、1,3−ブタンジオン、3−フェニル−2.4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフロロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2−アセチルシクロペンタノン、2−アセチルシクロヘキサノン、1−ヘプタフロロプロピルー3−t−ブチル−1、3−プロパンジオン、1,3−ジフェニル−2−メチル−1,3プロパンジオン(ジフェニルアセチルアセトン)、1−エトキシ−1,3−ブタンジオンなどを挙げることができる。中でも、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトンが好ましい。
【0067】
含窒素有機化合物としては、アルキルアミン、アニリン等の芳香アミン、含窒素芳香族複素環式化合物などが挙げることができ、具体的には1,10−フェナントロリンまたは、ビピリジルが挙げられる。また、イミダゾール、トリアゾール、ピリミジン、ピラジン、アミノピリジン、ピリジン及びその誘導体、アデニン、チミン、グアニン、シトシンなどの核酸塩基及びその誘導体なども用いることができる。
【0068】
金属錯体の具体例としては、〔Ru(III)(Phen)〕(ClO(Phen:1,10−フェナンソロリン)、〔Ru(III)(bipy)〕(ClO(bipy:2,2′−ビピリジル)、K〔W(II)Cl14〕、K〔Mo(II)Cl14〕、及びランタノイド金属錯体、[Tb(bpy)]Cl錯体、[Eu(phen)]Cl錯体、[Tb(terpy)]Cl等の金属錯体が挙げられる。
【0069】
有機蛍光色素は、フルオランテン系色素、ペリレン系色素、ペリルイミド系色素、ナフタルイミド系色素、アクリジンオレンジ系色素、ローダミン6G系色素、ローダミンB系色素、ブリルアントサルフォフラビンFF系色素、ベーシックイエローHG系色素、エオシン系色素、ルテニウム系色素、クマリン系色素、ポルフィリン系色素、フルオレセイン系色素(490nm→520nm)、フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系色素、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド系色素、メロシアニン系色素、インジゴ系色素、オリゴチオフェン系色素、ビオラントロン系色素及びフラーレン系色素、スクワリリウム系色素からなる群から選ばれた少なくとも一種である。これらの中でもペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素が好ましい。
【0070】
本発明において、波長変換物質(D)として、縮合生成物系の波長変換物質が好ましく、特に有機発光顔料の一種である、バルビツール酸誘導体である縮合生成物を用いることが望ましい。
特にバルビツール酸と、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物は、メルトフローレート(MFR)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)と併用し、成形温度を160℃以下とすることで、気泡の発生もなく、均質なシートが得られるという顕著な効果を期待できる。
該バルビツール酸誘導体の縮合生成物としては、例えば、下記式であらわされるバルビツール酸(d2)とp−(ジアルキル)メチルアミノベンズアルデヒド(d1)との縮合生成物が挙げられる。
【0071】
【化1】

【0072】
(式中、R1及びR2は、独立して水素原子、又は例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二−ブチル基、イソブチル基、第三−ブチル基、n−アミル基、第三−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基のような炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)の縮合生成物である。好ましくはR1及びR2は、はメチル基である。
【0073】
該縮合生成物は、例えば、下記の式(D1)または(D2)で表されるものである。
【0074】
【化2】

【0075】
この縮合反応及び生成物の(D1)は、No.1753−47−5のCAS番号を有するものであり、(D2)はNo.152734−34−4のCAS番号を有するものである。具体的には、例えば欧州特許第1413599号明細書において記載されるように調製される化合物で、商品名としてはチバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)の商品名:スマートライトRL1000等が挙げられる。
【0076】
上記波長変換物質(D)の配合量は、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜4重量部、より好ましくは0.03〜3重量部の範囲である。該波長変換物質(D)が0.01重量部未満では、光質変換効果が発揮されず、5重量部を超える量を添加しても光質変換効果が発揮されず、過多になるとかえって光質変換効率が低下する現象が生じるので好ましくない。
【0077】
2.[機能性フィルムの製造]
本発明の機能性フィルムの製造方法は、特に限定されるものはなく、ポリオレフィン樹脂組成物(Z)を混練、またはドライブレンド等により、インフレーション成形、Tダイ成形、カレンダー成形等の押出成形等で成形される。
本発明では、上記ポリオレフィン系樹脂(Y)と波長変換物質(D)からなるポリオレフィン樹脂組成物(Z)を押出成形する際に、成形温度を160℃以下、好ましくはポリオレフィ樹脂組成物(Y)の融点以上とし、155℃、より好ましくは融点以上、150℃の範囲で成形されることが肝要である。混練または成形温度は、140℃〜160℃とすることが好ましく、145〜155℃で混練または成形することがより好ましい。
混練または成形温度がこの範囲であると、気泡を発生せずに均質で柔軟性に富み、突き刺し強度等の機械的強度に優れた機能性フィルムの提供が可能となる。
【0078】
上記の条件で製造された機能性フィルムは、機能性フィルム中の平均径0.5mm以上の気泡が、1m当たり、2個以下、好ましくは1個以下であることが望ましい。
このような気泡が少ない機能性フィルムとすれば、より性能が向上するので、太陽電池用封止材等に好ましく適用される。
【0079】
本発明の機能性フィルムの厚さは、用途によって異なるものの、一般には10μm〜200mmの範囲で選択されることが望ましい。厚さが10μm以下では薄すぎて、成形時の作業性が悪化し、かつ機械的強度が低下し、好ましくない。また200mmを超えるものは取扱い性が悪いものとなる。
【0080】
3.[積層フィルム]
本発明の機能性フィルムは、単層もしくは多層化して太陽電池用封止材、光学フィルム、自動車等の合せガラスの中間膜等に適用される。
【0081】
本発明の機能性フィルムは、単層もしくは積層した多層化フィルムとして適用可能であり、積層もしくは多層化フィルムの具体的な例としては、基材フィルム/機能性フィルム、基材フィルム/機能性フィルム/ポリオレフィン系フィルム、基材フィルム/機能性フィルム/補強材/ポリオレフィン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム/機能性フィルム/ポリオレフィン系フィルム、ガラス/機能性フィルム/裏面フィルム等が挙げられる。
【0082】
基材フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物またはその延伸物、無機酸化物蒸着フィルム、金属箔等が挙げられる。
また、本発明の機能性フィルムは、単層もしくは積層した多層化フィルムを、さらに、不織布、紙、金属、ガラス等の基材に積層した構造体としてもよい。
【0083】
また、波長変換物質は、機能性フィルムに含まれるが、上記積層フィルムのどの層に入れても良い。
さらに本発明においては、紫外線吸収剤、立体障害アミン光安定剤、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト又はホスホナイト、帯電防止剤、加工助剤、充填材又は強化材等を配合してもよい。
【0084】
また、波長変換物質として縮合生成物系の波長変換物質、特にバルビツール酸と、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物が含有されていることで、通常のポリオレフィン系フィルムの成形温度、特に成形温度が160℃以上の比較的中・高温では気泡が生じ易いが、本発明では、160℃以下の低温で成形可能な特定の樹脂を選定しているので、成形温度を160℃以下とする製造方法により、かかる問題の発生を防止することができる。
波長変換物質の量は、層を構成する樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部の範囲である。該波長変換物質が少なすぎると、光質変換効果が発揮されず、多すぎてもかえって光質変換効率が低下する現象が生じるので好ましくない。
【0085】
[積層フィルムの製造]
積層フィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば所定の波長変換物質を配合したエチレン・α−オレフィン共重合体組成物、ポリエチレン樹脂、及びエチレン・α−オレフィン共重合体等を多層のTダイを用いて、公知の成形方法により成形加工して製造することができる。
その製造方法としては、積層数に応じた押出機と通常のフィードブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプの接合・合流部を有する積層ダイによる空冷または水冷インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形、カレンダー成形等が挙げられ、これらの何れかの方法により好適な積層フィルムを得ることができる。
成形温度は、ポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下とする必要があり、好ましくは融点以上、155℃以下、より好ましくは融点以上、150℃以下である。この範囲の成形温度範囲であると、発泡現象(気泡)も生起せず、均質な機能性フィルムを連続的に成形することが可能である。
【実施例】
【0086】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例、比較例で用いた物性測定法、原材料は以下の通りである。
【0087】
1.樹脂物性の評価方法
(1)メルトフローレート(MFR):ポリエチレン系樹脂のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:JIS K−7112に従い測定した。
(3)Mw/Mn:下記に示すGPCにより測定した。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.723、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
【0088】
2.原材料
(1)イオン重合法ポリエチレン
・PE−1(A1):直鎖状低密度ポリエチレン:MFR2.1g/10分、密度0.920g/cm
Mw/Mn:3.82、(商品名:ノバテックLL UF240、日本ポリエチレン(株)製)
・PE−2(A2):直鎖状低密度ポリエチレン:MFR0.3g/10分、密度0.924g/cm
Mw/Mn:3.95、(日本ポリエチレン(株)製、ノバテックLL UH411)
・PE−4(A3)直鎖状低密度ポリエチレン:MFR13g/10分、密度0.920g/cm
(商品名:ノバテックLD LJ700日本ポリエチレン(株)製)
(2)高圧ラジカル法ポリエチレン
・PE−3(B1):低密度ポリエチレン:MFR2.8g/10分、密度0.925g/cm
Mw/Mn:4.43、(ノバテックLL LF440B、日本ポリエチレン(株)製、)
(3)波長変換物質
・D1:バルビツール酸と、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドとの縮合生成物
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、SMARTLIGHT RL1000
【0089】
3.フィルムの評価方法
(1)発泡性(気泡)の評価
インフレーションフィルム成形法により成形した厚さ100μmのフィルムから、ランダムに1m2のサンプルを10枚採取した。その後採取したフィルム中にある0.5mm以上の大きさの気泡を目視にて数え、10枚の平均値を気泡の発生した数として評価した。気泡の発生した数が少ないほどフィルムとして好ましく、気泡の数が多くなるほどフィルムトして好ましくない。
(2)蛍光特性(光質変換)の評価
インフレーションフィルム成形法によって成形した厚さ100μmのフィルムを、コニカミノルタ製分光測色計:CM−2600d にて反射率の測定をした。白色の板をフィルムと光源の反対側において測定したときの620nm〜680nmの反射率が、波長変換物質を入れていないときの反射率を100%とした時に120%以上となった場合、良好な光質変換が行われているとして○とした。120%より低い反射率では波長変換フィルムとして適切ではないので×とした。
【0090】
(実施例1)
直鎖状低密度ポリエチレン:PE−1(A1)の100重量部に対して波長変換物質を1重量部添加(ドライブレンド)して、ポリオレフィン樹脂組成物を調製した。
次に、このポリオレフィン樹脂組成物を、三菱化学エンジニアリング社製MK50インフレーションフィルム成形機(押出機口径50mmφ、ダイ口径75mmφ)に供給して、150℃の成形温度にてフィルム折巾235mm、フィルム厚み100μmのフィルムを成形した。得られたフィルムの発泡性と蛍光特性について評価を行い、その結果を表1に示す。
【0091】
(実施例2)
ポリエチレン樹脂としてPE−1(A1)の代わりにPE−3(B1)を用いて、140℃の温度にて成形した以外は実施例1と同様に成形及び、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0092】
(実施例3)
ポリエチレン樹脂としてPE−1(A1)を80重量%、およびPE−3(B1)を20重量%用いた以外は実施例1と同様にして成形及び、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
(比較例1)
ポリオレフィン樹脂組成物を成形温度170℃にて成形した以外は実施例1と同様にして成形及び、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0094】
(比較例2)
ポリエチレン樹脂に波長変換剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして成形及び、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0095】
(比較例3)
ポリエチレン樹脂に波長変換剤を0.005重量部添加した以外は実施例1と同様にして成形及び、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0096】
(比較例4)
ポリエチレン樹脂に波長変換剤を6重量部添加した以外は実施例1と同様にして成形及び、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0097】
(比較例5)
ポリエチレン樹脂としてPE−1(A1)の代わりにPE−2(A2)を用いて、実施例1と同様にして成形した。しかし、MFRが0.3g/10分と低いため、押出機内の発熱が激しく、温度制御ができず、190℃に上昇し、発泡(気泡)が非常に多いものであった。
【0098】
(比較例6)
ポリエチレン樹脂としてPE−1(A1)の代わりにPE−4(A3)を用いて、実施例1と同様にして成形した。表1には示さないが、MFRが高く成膜安定性が悪く、正常な成膜はできず、偏肉の著しいフィルムとなり、実用に供せるものとは成らなかった。
【0099】
【表1】

【0100】
(評価結果)
表1の結果から、実施例1〜3は、特定のMFR範囲の樹脂に所定量の波長変換物質を配合しており、いずれも成形温度が160℃以下で成形することにより、気泡がなく均質で、蛍光特性(光質変換能)も良好な機能性フィルムが得られた。
一方、比較例1は、ポリオレフィン樹脂組成物が本発明の範囲外の170℃で成形されたことにより、気泡が多いものであった。
また、比較例2〜4は、波長変換物質の配合量がいずれも本発明の範囲外であり、その効果が発揮されなかった。特に比較例4は波長変換物質の配合量が6重量部と過剰の配合量であり、蛍光特性(光質変換能)は返って低下するものであった。
また、比較例5はMFRが0.3g/10分という本発明のMFR範囲の下限から外れ、押出機内の発熱が激しく、温度制御ができず、発泡(気泡)が非常に多いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の機能性フィルムは、特定のイオン触媒で製造されるポリエチレン系樹脂及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂からなるポリエチレン系樹脂(X)に波長変換物質を配合したポリオレフィン樹脂組成物を用いているので、成形時に気泡の発生もなく均質で、柔軟性を有し、光質変換能にも優れるので、太陽電池用封止材、光学フィルム、自動車等の窓ガラスの合せガラスにおける中間膜等に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、波長変換物質(D)を0.01〜5重量部含有したポリオレフィン樹脂組成物(Z)を成形してなる機能性フィルムにおいて、
ポリオレフィン系樹脂(Y)が、イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなる、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)を主成分とし、波長変換物質(D)の含有量が、ポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、0.01〜5重量部であって、
ポリオレフィン樹脂組成物(Z)が、ポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下の成形温度で成形されることを特徴とする機能性フィルム。
【請求項2】
イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)が、シングルサイト系触媒で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の機能性フィルム。
【請求項3】
前記波長変換物質(D)が、無機系蛍光体、有機金属錯体、又は有機発光顔料から選ばれる一種以上の物質であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性フィルム。
【請求項4】
有機発光顔料が、バルビツール酸と、p−(ジメチル)アミノベンズアルデヒドとの縮合生成物であることを特徴とする請求項3に記載の機能性フィルム。
【請求項5】
ポリエチレン系樹脂(X)が、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(A)90〜10重量%及び高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)10〜90重量%の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
【請求項6】
ポリオレフィン系樹脂(Y)が、さらに他のポリオレフィン系樹脂(C)を含み、その含有量が、ポリエチレン系樹脂(X)100〜50重量%に対して0〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
【請求項7】
前記機能性フィルム中に含まれる平均径0.5mm以上の気泡の数が、1m当たり、2個以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
【請求項8】
イオン重合法によるポリエチレン系樹脂(A)及び/又は高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂(B)からなるメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重下で測定)が1.0〜10g/10分のポリエチレン系樹脂(X)を主成分とするポリオレフィン系樹脂(Y)に、波長変換物質(D)をポリオレフィン系樹脂(Y)100重量部に対し、0.01〜5重量部を添加したポリオレフィン樹脂組成物(Z)をポリオレフィン系樹脂(Y)の融点以上、160℃以下の成形温度で押出成形することを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能性フィルムを少なくとも1層を含むことを特徴とする積層フィルム。

【公開番号】特開2012−97198(P2012−97198A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246226(P2010−246226)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(303060664)日本ポリエチレン株式会社 (233)
【Fターム(参考)】