欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法
【課題】 汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行い、工数を削減するとともに、欠陥の直近に高精度にマーキングを行うことができ、歩留まりを大幅に向上させることができる欠陥マーキング装置を提供する。
【解決手段】 欠陥マーキング装置は、長尺フィルム状製品1に存在する欠陥をブロック毎に検出する検査機21と、検査機21によって検出された欠陥に対応してマークを印字するレーザマーカ装置22と、このレーザマーカ装置22を制御する制御部23とを備える。レーザマーカ装置22は、制御部23から送信された欠陥の位置を含む位置座標データを保持するバッファが設けられた複数のレーザマーカを有する。
【解決手段】 欠陥マーキング装置は、長尺フィルム状製品1に存在する欠陥をブロック毎に検出する検査機21と、検査機21によって検出された欠陥に対応してマークを印字するレーザマーカ装置22と、このレーザマーカ装置22を制御する制御部23とを備える。レーザマーカ装置22は、制御部23から送信された欠陥の位置を含む位置座標データを保持するバッファが設けられた複数のレーザマーカを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の幅を有する長尺フィルム状製品には、表面処理が適切に施されなかった箇所や脱落してしまった箇所等が欠陥として生じることがある。したがって、かかる長尺フィルム状製品を製造するにあたっては、欠陥を検出して何らかのマーキングを行う欠陥検査工程がインラインで設けられる。
【0003】
かかるマーキングの方法としては、例えば図9に示すように、検出した欠陥101,102に対して、長尺フィルム状製品の搬送方向(矢印a)に直交する幅方向のエッジ部に所定のラベル103,104を貼付する方法や、特に図示しないが、ペン、インクジェット、ヤスリ等の道具を用いて欠陥の位置が判別できるように何らかのマークを付与する方法がある。
【0004】
また、マーキングの方法としては、例えば図10に示すように、検出した欠陥105,106に対して、長尺フィルム状製品の搬送方向(矢印b)に直交する幅方向に一定間隔で並設された複数のレーザマーカのうち、当該欠陥105,106を挟む2つのレーザマーカを用いて一定間隔で線状のマーク107,108を付与する方法がある。
【0005】
なお、かかるマーキングを行う技術としては、例えば特許文献1等に記載されたものがある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−349127号公報
【0007】
具体的には、この特許文献1には、半導体IC用フィルムキャリアテープの製造工程においてフィルムキャリア用ベースフィルムテープの孔を検査するためにフィルムキャリア用ベースフィルムテープ検査装置が開示されている。特に、この特許文献1には、欠陥があるものと判定されたベースフィルムテープの1単位内に、例えば、スタンピング、パンチング、印刷、レーザマーキング等の手段によってマークを施す旨が開示されている。
【0008】
このような各種方法によってマーキングが施された欠陥を有する部分は、通常、最終製品になる前に除去されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のマーキング方法においては、欠陥検査工程の後に他の工程がある場合には、例えば図9に示したようなラベルやマークが消失又は消去してしまうという問題があった。
【0010】
また、欠陥を有する部分は、上述したように、最終製品になる前に正常な部分を残して除去されるが、図9に示したマーキング方法においては、例えば図11中破線部で示すように、欠陥101,102が存在する長尺フィルム状製品の全幅単位で除去され、図10に示したマーキング方法においては、例えば図12中破線部で示すように、欠陥105,106が存在する線状のマーク107,108を包含する領域単位で除去される、といったように、最終製品として切り抜く領域単位よりも広い領域単位で除去されることになる。したがって、かかるマーキング方法においては、歩留まりが大きく低下するという問題があった。
【0011】
さらに、接触式マーキングの場合には、長尺フィルム状製品の厚みが薄い場合にはダメージを与えてしまうことが多く、破損等のトラブルの発生を招来するという問題があった。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行い、工数を削減するとともに、欠陥の直近に高精度にマーキングを行うことができ、歩留まりを大幅に向上させることができる欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成する本発明にかかる欠陥マーキング装置は、所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置であって、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査手段と、上記検査手段によって上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成する制御手段と、上記検査手段から所定距離だけ上記長尺フィルム状製品の搬送方向に離隔された位置に設けられ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを印字データに変換し、上記検査手段によって検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段とを備え、上記レーザマーカ手段は、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有し、上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを保持するバッファを設けていることを特徴としている。
【0014】
このような本発明にかかる欠陥マーキング装置は、長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカのそれぞれに、制御手段から送信された位置座標データを保持するバッファを設けることにより、レーザマーカ手段によって任意のブロックについてのマーキングを行うのに先だって、当該ブロックについての位置座標データを制御手段から送信することができる。したがって、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品の搬送速度や印字データへの変換のための準備時間に起因する時間的制約を一切解消することができ、マーキングできない領域をなくすことができる。
【0015】
より具体的には、上記制御手段は、上記レーザマーカ手段によって任意のブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての上記位置座標データを、当該レーザマーカ手段に対して送信して上記バッファに保持させる。そして、上記レーザマーカ手段は、上記バッファに保持している当該ブロックについての上記位置座標データを上記印字データへと一括変換する。このとき、上記レーザマーカ手段は、上記検査手段から少なくとも3ブロック分以上離隔された位置に設けられる。これにより、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、制御手段との間で行う通信を1ブロック毎に1回行えばよく、通信時間及びデータ変換時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0016】
なお、上記バッファは、上記ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけのデータを保持する容量とされる。
【0017】
さらに、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、時間的制約に関する問題の解消に加え、マーキングの高精度化及び高密度化を図ることができる。
【0018】
すなわち、本発明にかかる欠陥マーキング装置は、上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記検査手段による検査位置下流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第1のエッジ検出手段と、上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記レーザマーカ手段によるマーキング位置上流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第2のエッジ検出手段とを備える。そして、上記制御手段は、上記第1のエッジ検出手段及び上記第2のエッジ検出手段のそれぞれによって検出された上記長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置に基づいて、上記検査手段による検査位置と上記レーザマーカ手段によるマーキング位置とにおける当該長尺フィルム状製品の幅方向の蛇行量を算出し、この情報に基づいて、補正した上記位置座標データを生成する。このように、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、第1のエッジ検出手段及び第2のエッジ検出手段を用いてマーキングを行う座標を補正することにより、長尺フィルム状製品の幅方向の位置精度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明にかかる欠陥マーキング装置は、上記長尺フィルム状製品の搬送速度に応じたパルス信号を出力するパルス出力手段を備える。そして、上記レーザマーカ手段は、上記パルス出力手段によって出力されたパルス信号に基づいて、上記長尺フィルム状製品の搬送速度の変動を補正する。このように、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品の搬送速度の変動を補正することにより、当該長尺フィルム状製品の搬送方向の位置精度も向上させることができる。
【0020】
なお、本発明にかかる欠陥マーキング装置において、上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記長尺フィルム状製品の幅方向に千鳥状に並設され、マーキング可能領域の一部が隣接するレーザマーカのマーキング可能領域と重複するように並設されるのが望ましい。これにより、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、複数のレーザマーカのそれぞれの間にマーキング不可能領域が存在せず、長尺フィルム状製品の幅方向の略全域にわたってマーキングを行うことが可能となる。
【0021】
また、上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、上記長尺フィルム状製品の搬送方向についてのマーキング可能領域中央をマーキング開始位置とする。これにより、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、マーキングを開始するまでの待ち時間を短縮することができ、単位面積あたりのマーキング個数を増加させることができる。
【0022】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる欠陥マーキング方法は、所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング方法であって、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査工程と、上記検査工程にて上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成し、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有して当該検査工程にて検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段に対して、上記位置座標データを送信する送信工程と、送信された上記位置座標データを、上記レーザマーカ手段を構成する上記複数のレーザマーカのそれぞれによって受信してバッファに保持する工程と、上記バッファに保持している上記位置座標データを印字データに変換し、上記レーザマーカ手段によってマーキングを行う工程とを備えることを特徴としている。
【0023】
このような本発明にかかる欠陥マーキング方法は、長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカのそれぞれに、送信された位置座標データを保持するバッファを設けることにより、レーザマーカ手段によって任意のブロックについてのマーキングを行うのに先だって、当該ブロックについての位置座標データを送信することができる。したがって、本発明にかかる欠陥マーキング方法においては、長尺フィルム状製品の搬送速度や印字データへの変換のための準備時間に起因する時間的制約を一切解消することができ、マーキングできない領域をなくすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行うことによってインラインで長尺フィルム状製品にダメージを与えずに消失しないマーキングを行うことが可能とされる。また、本発明は、時間的制約を一切解消することができることから、欠陥の直近に任意の形状で高精度にマーキングを行うことができ、工数を削減して歩留まりを大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
この実施の形態は、所定の幅を有して所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置である。特に、この欠陥マーキング装置は、汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行うことによってインラインで長尺フィルム状製品にダメージを与えずに消失しないマーキングを行うことが可能であり、欠陥の直近に任意の形状で高精度にマーキングを行うことができ、工数を削減することができるものである。
【0027】
まず、本発明を明確化すべく、従来の汎用レーザマーカを用いた場合における問題点を検証する。
【0028】
まず、図1に示すように、同図中矢印aの方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品1に対して、検査機11によって検出された欠陥について汎用のレーザマーカ12を用いて連続的にマーキングを行う欠陥マーキング装置について考える。この場合、長尺フィルム状製品1を、その搬送方向に一定長のブロックに区分けし、1ブロック毎に、検査機11によって検出した欠陥の位置に応じてマーキングすべき座標を示す位置座標等のデータをレーザマーカ12に対して送信し、これに応じて、レーザマーカ12によってマーキングを行う必要がある。
【0029】
ここで、汎用のレーザマーカは、通常、一定周期毎に間欠的に且つ定位置にマーキングを行う用途を目的としていることから、以下のような理由により、連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に対して、連続的且つ任意位置にマーキングを行うことは困難とされる。
【0030】
まず、第1の理由としては、マーキングすべき座標を示す位置座標等の設定データを送信するいわゆるシーケンサやパーソナルコンピュータ等の図示しない上位コントローラとレーザマーカとの間で、所定のシリアル伝送により、1つの欠陥について1回の通信を行うことが要求されることから、欠陥の個数が多くなるほど通信時間が長くなり、マーキングできない領域が必ず発生することである。具体的には、長尺フィルム状製品における100mm角の領域で10個の欠陥を検出した場合に、その設定データを上位コントローラからレーザマーカに対して伝送する場合には、秒単位の時間を要する。これに対して、100mm角の領域は、通常の長尺フィルム状製品の搬送速度から換算すると、1秒未満の時間で通過してしまうことになる。このように、汎用のレーザマーカを用いた場合には、マーキングできない領域が必ず発生することになる。
【0031】
また、第2の理由としては、レーザマーカによって上位コントローラからの設定データを受信してから実際にマーキングを行うまでに、必ずマーキング用の印字データへの変換のための準備時間を要することから、ブロック毎にマーキング不可能な領域が発生することである。
【0032】
さらに、第3の理由としては、マーキングを行っている最中に次のブロックのデータの受信を行うことができないことである。これは、汎用のレーザマーカにおいては、かかる用途を必要としなかったことによる。
【0033】
このように、汎用のレーザマーカは、連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に対してマーキングを行う場合には、厳しい時間的制約を解決しなければそのまま利用することはできない。
【0034】
そこで、本願出願人は、かかる汎用のレーザマーカに対して全く新たな機能を追加することによって改良を施し、厳しい時間的制約の解決を試みた。
【0035】
まず、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、設定データを1ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけ予めレーザマーカ側に登録し、その設定の印字座標のみを、当該1ブロック内に存在する欠陥個数分について一括送信するように構成した。これにより、この欠陥マーキング装置においては、上位コントローラとの間で行う必要がある通信を、実際に印字すべきもののみの情報について1ブロック毎に1回行えばよく、通信時間及びデータ変換時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0036】
また、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、レーザマーカにバッファを設け、1ブロック分の設定データを保持することができるように構成するとともに、マーキングの最中にも上位コントローラからのデータを受信可能に構成した。これにより、この欠陥マーキング装置においては、上位コントローラからのデータの受信待ち時間を解消することが可能となる。
【0037】
さて、以下では、このような新たな機能が追加された欠陥マーキング装置について具体的に詳述するものとする。なお、ここでは、長尺フィルム状製品の製造過程における巻き直し工程の際に、欠陥を検出してマーキングを行うものとして説明する。
【0038】
欠陥マーキング装置は、図2に示すように、長尺フィルム状製品1に存在する欠陥を検出する検査手段である検査機21と、この検査機21によって検出された欠陥に対応してマークを印字する複数のレーザマーカを有するレーザマーカ手段であるレーザマーカ装置22と、このレーザマーカ装置22を制御する制御手段である2つの制御部23,24と、長尺フィルム状製品1の搬送方向(矢印b)に直交する幅方向のエッジ位置を検出する第1のエッジ検出手段及び第2のエッジ検出手段である2つのエッジ検出センサ25,26と、長尺フィルム状製品1の搬送速度に応じたパルス信号を出力するパルス出力手段であるロータリーエンコーダ27と、このロータリーエンコーダ27から出力されるパルス信号をレーザマーカ装置22に対して分配するパルス分配器28と、検査機21によって検出された欠陥位置に応じたマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号をレーザマーカ装置22に対して分配するトリガ分配器29と、各種入力操作を行うとともに各種情報を表示する操作/表示部30とを備える。
【0039】
検査機21は、設定された所定の閾値に基づいて、搬送中の長尺フィルム状製品1に存在する欠陥を検出する。具体的には、検査機21は、例えば、CCD(Charge-Coupled Devices)ラインセンサと、このCCDラインセンサによって取得された画像データに対して処理を施す画像処理装置とを用いて構成され、CCDラインセンサによって取得された画像データの輝度分布を画像処理装置によって求め、所定の閾値よりも大きい又は小さい輝度を有する部分を欠陥として認識する。ここで、検査機21には、主に欠陥の位置を示す2次元座標情報を含む位置座標データの出力周期に基づいて決定されるブロック長が設定される。そして、検査機21は、ブロック毎に検出した位置座標データを、例えばいわゆるイーサネット(登録商標)等の伝送媒体を介して接続された制御部24に対して送信する。
【0040】
レーザマーカ装置22は、検査機21から所定距離だけ同図中矢印bで示す長尺フィルム状製品1の搬送方向に離隔された位置に設けられ、搬送中の長尺フィルム状製品1に設定された座標位置に基づいて、例えばCO2レーザやYAGレーザ等を照射することによってマーキングを行う。ここで、レーザマーカ装置22は、互いに独立に作動する複数のレーザマーカが並設されて構成される。より具体的には、レーザマーカ装置22においては、長尺フィルム状製品1の幅方向に複数並設されたレーザマーカ群が、当該長尺フィルム状製品1の搬送方向に2列設けられる。これら個々のレーザマーカは、例えば図3中破線部で示すように、例えば100mm角の領域内に、例えば線状や円状等の任意形状のマーキングを行うことが可能に構成される。ここで、第1列目を形成する各レーザマーカ22a,22b,・・・は、それぞれ、第2列目を形成する各レーザマーカ22c,22d,・・・と長尺フィルム状製品1の搬送方向に平行な同一直線上に並設されるのではなく、互い違いに千鳥状に並設される。このとき、第1列目を形成する各レーザマーカ22a,22b,・・・は、それぞれ、同図中破線部で示すマーキング可能領域のエッジ部が、第2列目を形成する隣接するレーザマーカ22c,22d,・・・におけるマーキング可能領域のエッジ部と例えば5mm〜10mm程度の所定長だけ重複するように並設される。これにより、レーザマーカ装置22は、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・の間にマーキング不可能領域が存在せず、長尺フィルム状製品1の幅方向の略全域にわたってマーキングを行うことが可能とされる。なお、第1列目を形成する各レーザマーカ22a,22b,・・・と、第2列目を形成する各レーザマーカ22c,22d,・・・との間隔は、任意に設定することができ、例えば、長尺フィルム状製品1の幅と、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のマーキング可能領域の大きさとに基づいて設定することができる。
【0041】
このようなレーザマーカ装置22は、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれに1ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけのデータを保持するバッファを設け、例えばいわゆるRS−232C等のシリアル伝送媒体を介して接続された制御部23から送信される欠陥の位置を含む位置座標データを受信するとこれをバッファに保持した後、トリガ分配器29を介して制御部24から出力されるマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号に基づいて、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・を作動させ、マーキングを行う。このとき、レーザマーカ装置22は、パルス分配器28から供給されるパルス信号に基づいて、長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正する。これにより、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送方向の位置精度を向上させることができる。なお、レーザマーカ装置22は、マーキングの最中にも制御部23から送信される位置座標データを受信し、バッファに保持することが可能とされる。
【0042】
制御部23は、例えばPLC(Programmable Controller、シーケンサ)等から構成され、所定のコントローラリンクを介して接続された制御部24から送信されるデータに基づいて、いわゆるRS−232C等のシリアル伝送媒体を介して接続されたレーザマーカ装置22に対して、欠陥の位置を含む位置座標データを生成して送信する。より具体的には、制御部23は、検査機21によってブロック毎に検出された長尺フィルム状製品1の全幅方向についての位置座標データを制御部24を介して受信し、これをレーザマーカ装置22を構成する各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・用のデータに振り分けて、位置座標データを生成する。このとき、制御部23は、2つのエッジ検出センサ25,26によって検出された長尺フィルム状製品1の幅方向のエッジ位置に基づいて、検査機21による検査位置とレーザマーカ装置22によるマーキング位置とにおける長尺フィルム状製品1の幅方向の蛇行量を算出し、この情報に基づいて、補正した位置座標データを生成する。これにより、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の幅方向の位置精度を向上させることができる。なお、欠陥マーキング装置においては、検査機21の分解能が例えば数十μm〜数百μm程度とされ、この分解能で座標を画定することができるが、現実的にはミリ単位の分解能があれば足りる。そのため、制御部23は、位置座標データを生成する際に、制御部24を介して検査機21から受信した位置座標データを1mm程度の分解能となるように四捨五入してもよい。
【0043】
制御部24は、例えばPLC等から構成され、操作/表示部30を介して入力設定された1ブロックにマーキングすべき欠陥の個数を示す総マーキング個数データを、いわゆるイーサネット(登録商標)等の伝送媒体を介して接続された検査機21に対して送信する。また、制御部24は、検査機21によってブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを当該検査機21から受信し、この情報を制御部23に対して送信する。そして、制御部24は、必要に応じて、これらマーキングを行う位置座標等の各種情報を操作/表示部30に表示させる。さらに、制御部24は、ロータリーエンコーダ27から出力されてパルス分配器28を介して供給されたパルス信号に基づいて、レーザマーカ装置22によるマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号を生成する。具体的には、制御部24は、検査機21によって検査を開始したタイミングでパルス分配器28を介して供給されるパルス信号のカウントを開始し、検査機21と当該制御部24との測長値の同期をとる。そして、制御部24は、パルスカウント値(測長値)が検査機21とレーザマーカ装置22との間隔に対応する値となったタイミングで、最初のブロックについてのマーキングを開始させるためのマーキングタイミングトリガ信号を、トリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対して入力する。さらに、制御部24は、パルスカウント値が検査機21とレーザマーカ装置22との間隔に対してブロック長を加えた長さに対応する値となったタイミングで、次のブロックについてのマーキングを開始させるためのマーキングタイミングトリガ信号を、トリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対して入力する。制御部24は、このような処理をブロック長毎に行うことにより、マーキングタイミングトリガ信号をレーザマーカ装置22に対して入力する。さらに、制御部24は、長尺フィルム製品1の巻き直しを行う巻直機本体やその制御を行う巻直機制御部40との間で、製造ライン稼働中にライン測長パルス信号等の授受を行い、当該長尺フィルム状製品1の巻き直しとマーキング動作との連携を図る。
【0044】
なお、制御部23,24を分けて構成したのは、検査機21及びレーザマーカ装置22との間のケーブル長を短くしてノイズ等の影響を最小限とし、シリアル伝送の信頼性を向上させるためであり、実際の製造ラインにおいては、これら制御部23,24を接続するケーブルの長さは例えば数m〜数十m程度になる場合がある。しかしながら、欠陥マーキング装置においては、これら制御部23,24を1つの制御部として構成してもよいことはいうまでもない。
【0045】
エッジ検出センサ25,26は、CCD等を用いて構成される。これらエッジ検出センサ25,26のうち、エッジ検出センサ25は、長尺フィルム状製品1の搬送方向について検査機21による検査位置の下流に設けられる。一方、エッジ検出センサ26は、長尺フィルム状製品1の搬送方向についてレーザマーカ装置22によるマーキング位置の上流に設けられる。これらエッジ検出センサ25,26は、長尺フィルム状製品1の幅方向のエッジ位置を検出する。これらエッジ検出センサ25,26によって検出されたエッジ位置情報は、検査機21による検査位置とレーザマーカ装置22によるマーキング位置とにおける長尺フィルム状製品1の幅方向の蛇行量を算出するために、制御部23に供給される。
【0046】
ロータリーエンコーダ27は、例えば分解能が数十μm/P以上の仕様とされる。ロータリーエンコーダ27は、例えば長尺フィルム状製品1の搬送方向について検査機21による検査位置の上流側における製造ラインのニップ付きローラに設けられ、長尺フィルム状製品1の搬送速度に応じたパルス信号を出力する。このロータリーエンコーダ27によって出力されたパルス信号は、長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正するために、パルス分配器28を介してレーザマーカ装置22に供給されるとともに、上述したように、マーキングタイミングトリガ信号を生成するために、パルス分配器28を介して制御部24に供給される。
【0047】
パルス分配器28は、ロータリーエンコーダ27から出力されるパルス信号を入力し、このパルス信号をレーザマーカ装置22及び制御部24に対して分配する。
【0048】
トリガ分配器29は、制御部24によって生成されたマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号を入力し、このマーキングタイミングトリガ信号をレーザマーカ装置22に対して分配する。
【0049】
操作/表示部30は、例えばタッチパネル形式の液晶表示装置等から構成され、各種設定値の入力操作やデバッグ等を行うことが可能とされるとともに、制御部24の制御のもとに、検査機21によるスキャンタイム等の動作を表示する。また、操作/表示部30は、当該欠陥マーキング装置の動作に不具合が生じた場合等に所定の警報を出力することもできる。
【0050】
このような欠陥マーキング装置においては、概略的には、レーザマーカ装置22によって図4に示すような一連の工程を経ることにより、ブロック毎にマーキングを行う。なお、欠陥マーキング装置においては、後述するように、実際には、あるブロックについての欠陥の位置座標データが、当該ブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に送信され、レーザマーカ装置22を構成する各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれに設けられたバッファに保持されるが、ここでは、基本的な動作を説明するために、次のブロックに跨る処理については言及しないものとする。
【0051】
まず、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック番号n=1について、検査機21によって当該ブロックに存在する欠陥の位置を検出し、当該ブロックにおける局所座標系において欠陥の位置を示す2次元座標情報を含む位置座標データを制御部23に対して送信すると、レーザマーカ装置22は、同図に示すように、ステップS1において、制御部23によって長尺フィルム状製品1の幅方向の蛇行量に応じて補正された欠陥の位置を示す2次元座標情報を含む位置座標データを当該制御部23から受信し、図示しないバッファに保持する。なお、2次元座標情報を含む位置座標データを受信するのは、欠陥の直近にマーキングを行うためであり、長尺フィルム状媒体の幅方向のエッジ部等にマーキングを行う従来においては、1次元の座標情報しか用いないことから、かかる2次元座標情報を含む位置座標データを用いるものは存在しない。
【0052】
続いて、レーザマーカ装置22は、ステップS2において、このブロックについての位置座標データを印字データに変換設定する。
【0053】
そして、レーザマーカ装置22は、長尺フィルム状製品1におけるブロックの先頭位置がマーキング開始位置に到達したとき、すなわち、トリガ分配器29を介して制御部24から出力されたマーキングタイミングトリガ信号を入力すると、ステップS3において、複数のレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のうち欠陥の直近に位置するレーザマーカを作動させてマーキングを開始し、ステップS4において、当該ブロックのマーキングを終了する。このとき、レーザマーカ装置22は、上述したように、パルス分配器28から供給されるパルス信号に基づいて、長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正する。
【0054】
さらに、レーザマーカ装置22は、ステップS5において、全てのブロックについて検査機21による検査が終了し、さらにステップS6において、検査した最終ブロックのマーキングを完了した場合には、そのまま一連の処理を終了する。一方、レーザマーカ装置22は、ステップS5において、全てのブロックについて検査機21による検査が終了していない場合、又は、ステップS6において、検査した最終ブロックのマーキングを完了していない場合には、次のブロックの処理へと移行すべく、ステップS7において、nをインクリメントし、ステップS1からの処理を繰り返すことになる。
【0055】
このように、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22により、1ブロック毎に、位置座標データの受信、位置座標データの変換、及びマーキングの3つの処理を連続的に行い、欠陥の直近にマーキングを行うことができる。
【0056】
さて、以下では、このような欠陥マーキング装置の動作をより明確化すべく、具体的な条件に基づいて構成された欠陥マーキング装置を用いて説明する。
【0057】
まず、条件は、次表1に示すものとする。すなわち、長尺フィルム状製品1の搬送速度は、10m/分(=167mm/秒)とし、マーキングを行う最大密度個数を1000個/m2(=10個/100mm2)とする。また、マーキングを行う位置及び形状は、任意とする。
【0058】
【表1】
【0059】
このような条件のもと、図5に示すように、長尺フィルム状製品1を、その搬送方向について200mm毎に区分けし、これを1ブロックとして処理を行う。なお、同図は、レーザマーカ装置22を構成する複数のレーザマーカのうち、同図中破線部で示す領域をマーキング可能領域とする1つのレーザマーカが担う長尺フィルム状製品1の部分のみを示している。そして、4ブロック以上(ブロック番号0〜3〜)に対して繰り返しデータを送信し、ブロック番号を切り替えてマーキングを行う。また、各ブロックは、位置座標データを割り当てるために、長尺フィルム状製品1の搬送方向の最下流位置であって当該長尺フィルム状製品1の幅方向の中央位置を、幅方向X=0、搬送方向Y=0の2次元座標における基準座標(同図中"●")とする。また、ブロック長が200mmであってマーキングを行う最大密度個数が10個/100mm2であることから、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送方向に1ブロックあたり最大で20個のマーキングを行う。なお、同図においては、各ブロックにおける座標を、ブロック番号nと領域番号との組み合わせで表記しており、例えば基準座標は、"n0"と表記している。欠陥マーキング装置においては、このような各ブロック毎の欠陥の位置座標データを、20個の領域について、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信する。
【0060】
このような欠陥マーキング装置においては、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、あるブロックについての欠陥の位置座標データが、当該ブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に送信され、レーザマーカ装置22を構成するレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれに設けられたバッファに保持される。
【0061】
具体的には、欠陥マーキング装置においては、図6に示すような手順にしたがって、制御部23からレーザマーカ装置22に対するデータの送信及びマーキングを行うブロック番号を切り替えるためのブロック番号切り替え信号の入力と、制御部24からレーザマーカ装置22に対するマーキングタイミングトリガ信号の入力とが行われる。
【0062】
まず、欠陥マーキング装置においては、ブロック0についてマーキングを行う2ブロック分前の時間に、図6中ステップS11において、当該ブロック0についての欠陥の位置座標データが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信され、当該レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、ステップS12において、当該ブロック0についての位置座標データを印字データに変換するための変換コマンドが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。これに応じて、レーザマーカ装置22は、受信したブロック0についての位置座標データを当該レーザマーカ装置22におけるマーキング実行用のバッファに保持して印字データに変換する。そして、欠陥マーキング装置においては、ステップS13において、次のブロック1についての欠陥の位置座標データが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。
【0063】
続いて、欠陥マーキング装置においては、ブロック1についての欠陥の位置座標データの送信が完了し、レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、ステップS14において、処理対象をブロック0に切り替えるために、ブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される。そして、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック0の基準座標がレーザマーカ装置22によるマーキング開始位置に到達したときに、ステップS15において、ブロック0についてのマーキングを開始させるために、制御部24からトリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対してマーキングタイミングトリガ信号が入力される。
【0064】
欠陥マーキング装置においては、このようにしてブロック0についてのマーキングが開始されるとともに、ステップS16において、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、ブロック1についての位置座標データを印字データに変換するための変換コマンドが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。これに応じて、レーザマーカ装置22は、受信したブロック1についての位置座標データを当該レーザマーカ装置22におけるマーキング実行用のバッファに保持して印字データに変換する。そして、欠陥マーキング装置においては、ステップS17において、次のブロック2についての欠陥の位置座標データが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。
【0065】
このように、欠陥マーキング装置においては、ブロック0についてのマーキングの最中に、2ブロック後に続くブロック2についてのデータが、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。続いて、欠陥マーキング装置においては、ブロック0についてのマーキングが終了するとともにブロック2についての欠陥の位置座標データの送信が完了し、レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、ステップS18において、処理対象をブロック1に切り替えるために、ブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される。そして、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック1の基準座標がレーザマーカ装置22によるマーキング開始位置に到達したときに、ステップS19において、ブロック1についてのマーキングを開始させるために、制御部24からトリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対してマーキングタイミングトリガ信号が入力される。
【0066】
欠陥マーキング装置においては、このようにしてブロック1についてのマーキングが開始されるとともに、ステップS20において、ブロック2についての位置座標データを印字データに変換するための変換コマンドが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信され、以後、同様の処理が繰り返されることになる。
【0067】
なお、欠陥マーキング装置においては、例えば図7及び図8に示すようなタイミングで、レーザマーカ装置22に対する各信号の入力が行われる。
【0068】
すなわち、欠陥マーキング装置においては、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、ブロック1についての欠陥の位置座標データが送信され、当該レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、処理対象をブロック0に切り替えるためのブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される(1)。また、欠陥マーキング装置においては、ブロック0に処理対象が切り替えられると、所定の時間経過後に、レーザマーカ装置22の準備を完了した旨を示すマーカレディ信号が入力される。
【0069】
そして、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック0の基準座標がレーザマーカ装置22によるマーキング開始位置に到達したときに、ブロック0についてのマーキングを開始させるために、制御部24からトリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対してマーキングタイミングトリガ信号が入力される(2)。これに応じて、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22におけるマーキング実行用のバッファに保持されているブロック0についての位置座標データが印字データに変換され、マーキングが行われる。
【0070】
欠陥マーキング装置においては、マーキングの最中にはマーキング中信号が入力される(3〜4)。そして、欠陥マーキング装置においては、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、ブロック2についての欠陥の位置座標データが送信され、当該レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、所定のタイミングでマーカレディ信号が出力され、さらに1ミリ秒以内に、処理対象をブロック1に切り替えるためのブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される(5)。また、欠陥マーキング装置においては、このブロック番号切り替え信号の入力の立ち上がりタイミングと同時に、前のブロック0についてのマーキング(印字)が完了した旨を示すマーキング完了信号が入力され、以後、同様のタイミングで各信号の入力が繰り返される。
【0071】
このように、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22を構成するレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれにバッファを設け、任意のブロックについてマーキングを行う時間から2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信して当該バッファに保持させ、これをレーザマーカ装置22によって印字データへと一括変換する処理を、3ブロック周期で長尺フィルム状製品1の搬送に応じて連続的に行う。
【0072】
これにより、欠陥マーキング装置においては、制御部23とレーザマーカ装置22との間でデータのシリアル伝送を行う際に生じる時間的制約を一切解消することができ、欠陥の直近に任意の形状で高精度にマーキングを行うことができる。また、このような欠陥マーキング装置を用いてマーキングが施された長尺フィルム状製品1から最終製品を切り抜く際には、従来であれば、マーキングが施された広い領域単位を除去せざるを得なかったところ、欠陥の直近にマーキングが施されることにより、無条件に最終製品の大きさに切り抜いた後、マークが印字されているもののみ除去すればよく、工数が削減されて作業者の負担が大幅に軽減されるとともに、歩留まりが大幅に向上される。
【0073】
また、欠陥マーキング装置においては、時間的制約に関する問題の解消に加え、マーキングの高精度化及び高密度化を実現することができる。
【0074】
すなわち、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送方向について検査機21による検査位置下流及びレーザマーカ装置22によるマーキング位置上流に、それぞれ、エッジ検出センサ25,26を設け、マーキングを行う座標を補正することにより、当該長尺フィルム状製品1の幅方向の位置精度を向上させることができる。
【0075】
また、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送速度に応じたパルス信号を出力するロータリーエンコーダ27を設け、当該長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正することにより、当該長尺フィルム状製品1の搬送方向の位置精度も向上させることができる。
【0076】
さらに、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22を構成するレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれにおけるマーキング開始位置について、長尺フィルム状製品1の搬送方向についてのマーキング可能領域の上流端ではなく、マーキング可能領域中央とすることにより、マーキングを開始するまでの待ち時間を短縮することができ、単位面積あたりのマーキング個数を増加させることができる。
【0077】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、レーザマーカ装置22を構成する各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・を2列に形成し、互い違いに千鳥状に並設するものとして説明したが、本発明は、これら各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・を長尺フィルム状製品1の幅方向に1列に並設するようにしてもよい。ただし、欠陥マーキング装置においては、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・の間にマーキング不可能領域を設けないようにするために、千鳥状に且つマーキング可能領域の一部が隣接するレーザマーカのマーキング可能領域と重複するように並設するのが望ましい。
【0078】
また、上述した実施の形態では、図5に示したように、レーザマーカ装置22と検査機21との間隔が3ブロック分であるものとして説明したが、本発明は、この間隔を任意に設定することができる。欠陥マーキング装置においては、この間隔に応じて、制御部23に設けられるバッファの容量が決定される。すなわち、欠陥マーキング装置においては、制御部23に設けられるバッファとして、レーザマーカ装置22と検査機21との間に存在するブロック数分のデータを保持できる容量のものが必要とされる。なお、欠陥マーキング装置においては、図5乃至図8を用いて説明したように、3ブロック単位の周期で処理を行うことに変わりはない。すなわち、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22と検査機21との間隔を少なくとも3ブロック分以上とすればよい。
【0079】
さらに、上述した実施の形態では、レーザマーカ装置22によって任意のブロックについてマーキングを行う時間から2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信するものとして説明したが、本発明は、レーザマーカ装置22におけるバッファの容量を大きくするのであれば、マーキングを行うブロックの2ブロック分以上前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信するようにしてもよい。すなわち、欠陥マーキング装置においては、任意のブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信するようにすればよい。
【0080】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】連続的に搬送されている長尺フィルム状製品をブロックに区分けし、検査機によって検出された欠陥について汎用のレーザマーカを用いて連続的にマーキングを行う様子を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態として示す欠陥マーキング装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】同欠陥マーキング装置におけるレーザマーカ装置を構成する個々のレーザマーカの構成を説明する底面図である。
【図4】同欠陥マーキング装置においてブロック毎にマーキングを行う際の一連の処理を概略的に説明するフローチャートである。
【図5】同欠陥マーキング装置の動作をより明確化すべく、具体的な条件に基づいて構成された欠陥マーキング装置を用いて連続的にマーキングを行う様子を説明するための図である。
【図6】同欠陥マーキング装置において、制御部からレーザマーカ装置に対するデータの送信及びマーキングを行うブロック番号を切り替えるためのブロック番号切り替え信号の入力と、他の制御部からレーザマーカ装置に対するマーキングタイミングトリガ信号の入力の手順を説明するフローチャートである。
【図7】同欠陥マーキング装置におけるレーザマーカ装置に対する各信号の入力タイミングを説明する図であって、当該レーザマーカ装置に対して送信された位置座標データとの時間的関係を説明する図である。
【図8】同欠陥マーキング装置におけるレーザマーカ装置に対する各信号の入力タイミングを説明する図である。
【図9】従来のマーキング方法の例を説明する図である。
【図10】従来のマーキング方法の他の例を説明する図である。
【図11】図9に示す従来のマーキング方法によってマーキングされた長尺フィルム状製品から欠陥を有する部分として除去される領域を説明する図である。
【図12】図10に示す従来のマーキング方法によってマーキングされた長尺フィルム状製品から欠陥を有する部分として除去される領域を説明する図である。
【符号の説明】
【0082】
1 長尺フィルム状製品
21 検査機
22 レーザマーカ装置
22a,22b,22c,22d,・・・ レーザマーカ
23,24 制御部
25,26 エッジ検出センサ
27 ロータリーエンコーダ
28 パルス分配器
29 トリガ分配器
30 操作/表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の幅を有する長尺フィルム状製品には、表面処理が適切に施されなかった箇所や脱落してしまった箇所等が欠陥として生じることがある。したがって、かかる長尺フィルム状製品を製造するにあたっては、欠陥を検出して何らかのマーキングを行う欠陥検査工程がインラインで設けられる。
【0003】
かかるマーキングの方法としては、例えば図9に示すように、検出した欠陥101,102に対して、長尺フィルム状製品の搬送方向(矢印a)に直交する幅方向のエッジ部に所定のラベル103,104を貼付する方法や、特に図示しないが、ペン、インクジェット、ヤスリ等の道具を用いて欠陥の位置が判別できるように何らかのマークを付与する方法がある。
【0004】
また、マーキングの方法としては、例えば図10に示すように、検出した欠陥105,106に対して、長尺フィルム状製品の搬送方向(矢印b)に直交する幅方向に一定間隔で並設された複数のレーザマーカのうち、当該欠陥105,106を挟む2つのレーザマーカを用いて一定間隔で線状のマーク107,108を付与する方法がある。
【0005】
なお、かかるマーキングを行う技術としては、例えば特許文献1等に記載されたものがある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−349127号公報
【0007】
具体的には、この特許文献1には、半導体IC用フィルムキャリアテープの製造工程においてフィルムキャリア用ベースフィルムテープの孔を検査するためにフィルムキャリア用ベースフィルムテープ検査装置が開示されている。特に、この特許文献1には、欠陥があるものと判定されたベースフィルムテープの1単位内に、例えば、スタンピング、パンチング、印刷、レーザマーキング等の手段によってマークを施す旨が開示されている。
【0008】
このような各種方法によってマーキングが施された欠陥を有する部分は、通常、最終製品になる前に除去されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のマーキング方法においては、欠陥検査工程の後に他の工程がある場合には、例えば図9に示したようなラベルやマークが消失又は消去してしまうという問題があった。
【0010】
また、欠陥を有する部分は、上述したように、最終製品になる前に正常な部分を残して除去されるが、図9に示したマーキング方法においては、例えば図11中破線部で示すように、欠陥101,102が存在する長尺フィルム状製品の全幅単位で除去され、図10に示したマーキング方法においては、例えば図12中破線部で示すように、欠陥105,106が存在する線状のマーク107,108を包含する領域単位で除去される、といったように、最終製品として切り抜く領域単位よりも広い領域単位で除去されることになる。したがって、かかるマーキング方法においては、歩留まりが大きく低下するという問題があった。
【0011】
さらに、接触式マーキングの場合には、長尺フィルム状製品の厚みが薄い場合にはダメージを与えてしまうことが多く、破損等のトラブルの発生を招来するという問題があった。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行い、工数を削減するとともに、欠陥の直近に高精度にマーキングを行うことができ、歩留まりを大幅に向上させることができる欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成する本発明にかかる欠陥マーキング装置は、所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置であって、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査手段と、上記検査手段によって上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成する制御手段と、上記検査手段から所定距離だけ上記長尺フィルム状製品の搬送方向に離隔された位置に設けられ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを印字データに変換し、上記検査手段によって検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段とを備え、上記レーザマーカ手段は、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有し、上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを保持するバッファを設けていることを特徴としている。
【0014】
このような本発明にかかる欠陥マーキング装置は、長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカのそれぞれに、制御手段から送信された位置座標データを保持するバッファを設けることにより、レーザマーカ手段によって任意のブロックについてのマーキングを行うのに先だって、当該ブロックについての位置座標データを制御手段から送信することができる。したがって、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品の搬送速度や印字データへの変換のための準備時間に起因する時間的制約を一切解消することができ、マーキングできない領域をなくすことができる。
【0015】
より具体的には、上記制御手段は、上記レーザマーカ手段によって任意のブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての上記位置座標データを、当該レーザマーカ手段に対して送信して上記バッファに保持させる。そして、上記レーザマーカ手段は、上記バッファに保持している当該ブロックについての上記位置座標データを上記印字データへと一括変換する。このとき、上記レーザマーカ手段は、上記検査手段から少なくとも3ブロック分以上離隔された位置に設けられる。これにより、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、制御手段との間で行う通信を1ブロック毎に1回行えばよく、通信時間及びデータ変換時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0016】
なお、上記バッファは、上記ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけのデータを保持する容量とされる。
【0017】
さらに、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、時間的制約に関する問題の解消に加え、マーキングの高精度化及び高密度化を図ることができる。
【0018】
すなわち、本発明にかかる欠陥マーキング装置は、上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記検査手段による検査位置下流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第1のエッジ検出手段と、上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記レーザマーカ手段によるマーキング位置上流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第2のエッジ検出手段とを備える。そして、上記制御手段は、上記第1のエッジ検出手段及び上記第2のエッジ検出手段のそれぞれによって検出された上記長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置に基づいて、上記検査手段による検査位置と上記レーザマーカ手段によるマーキング位置とにおける当該長尺フィルム状製品の幅方向の蛇行量を算出し、この情報に基づいて、補正した上記位置座標データを生成する。このように、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、第1のエッジ検出手段及び第2のエッジ検出手段を用いてマーキングを行う座標を補正することにより、長尺フィルム状製品の幅方向の位置精度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明にかかる欠陥マーキング装置は、上記長尺フィルム状製品の搬送速度に応じたパルス信号を出力するパルス出力手段を備える。そして、上記レーザマーカ手段は、上記パルス出力手段によって出力されたパルス信号に基づいて、上記長尺フィルム状製品の搬送速度の変動を補正する。このように、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品の搬送速度の変動を補正することにより、当該長尺フィルム状製品の搬送方向の位置精度も向上させることができる。
【0020】
なお、本発明にかかる欠陥マーキング装置において、上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記長尺フィルム状製品の幅方向に千鳥状に並設され、マーキング可能領域の一部が隣接するレーザマーカのマーキング可能領域と重複するように並設されるのが望ましい。これにより、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、複数のレーザマーカのそれぞれの間にマーキング不可能領域が存在せず、長尺フィルム状製品の幅方向の略全域にわたってマーキングを行うことが可能となる。
【0021】
また、上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、上記長尺フィルム状製品の搬送方向についてのマーキング可能領域中央をマーキング開始位置とする。これにより、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、マーキングを開始するまでの待ち時間を短縮することができ、単位面積あたりのマーキング個数を増加させることができる。
【0022】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる欠陥マーキング方法は、所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング方法であって、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査工程と、上記検査工程にて上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成し、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有して当該検査工程にて検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段に対して、上記位置座標データを送信する送信工程と、送信された上記位置座標データを、上記レーザマーカ手段を構成する上記複数のレーザマーカのそれぞれによって受信してバッファに保持する工程と、上記バッファに保持している上記位置座標データを印字データに変換し、上記レーザマーカ手段によってマーキングを行う工程とを備えることを特徴としている。
【0023】
このような本発明にかかる欠陥マーキング方法は、長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカのそれぞれに、送信された位置座標データを保持するバッファを設けることにより、レーザマーカ手段によって任意のブロックについてのマーキングを行うのに先だって、当該ブロックについての位置座標データを送信することができる。したがって、本発明にかかる欠陥マーキング方法においては、長尺フィルム状製品の搬送速度や印字データへの変換のための準備時間に起因する時間的制約を一切解消することができ、マーキングできない領域をなくすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行うことによってインラインで長尺フィルム状製品にダメージを与えずに消失しないマーキングを行うことが可能とされる。また、本発明は、時間的制約を一切解消することができることから、欠陥の直近に任意の形状で高精度にマーキングを行うことができ、工数を削減して歩留まりを大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
この実施の形態は、所定の幅を有して所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置である。特に、この欠陥マーキング装置は、汎用のレーザマーカを改良した非接触式マーキングを行うことによってインラインで長尺フィルム状製品にダメージを与えずに消失しないマーキングを行うことが可能であり、欠陥の直近に任意の形状で高精度にマーキングを行うことができ、工数を削減することができるものである。
【0027】
まず、本発明を明確化すべく、従来の汎用レーザマーカを用いた場合における問題点を検証する。
【0028】
まず、図1に示すように、同図中矢印aの方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品1に対して、検査機11によって検出された欠陥について汎用のレーザマーカ12を用いて連続的にマーキングを行う欠陥マーキング装置について考える。この場合、長尺フィルム状製品1を、その搬送方向に一定長のブロックに区分けし、1ブロック毎に、検査機11によって検出した欠陥の位置に応じてマーキングすべき座標を示す位置座標等のデータをレーザマーカ12に対して送信し、これに応じて、レーザマーカ12によってマーキングを行う必要がある。
【0029】
ここで、汎用のレーザマーカは、通常、一定周期毎に間欠的に且つ定位置にマーキングを行う用途を目的としていることから、以下のような理由により、連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に対して、連続的且つ任意位置にマーキングを行うことは困難とされる。
【0030】
まず、第1の理由としては、マーキングすべき座標を示す位置座標等の設定データを送信するいわゆるシーケンサやパーソナルコンピュータ等の図示しない上位コントローラとレーザマーカとの間で、所定のシリアル伝送により、1つの欠陥について1回の通信を行うことが要求されることから、欠陥の個数が多くなるほど通信時間が長くなり、マーキングできない領域が必ず発生することである。具体的には、長尺フィルム状製品における100mm角の領域で10個の欠陥を検出した場合に、その設定データを上位コントローラからレーザマーカに対して伝送する場合には、秒単位の時間を要する。これに対して、100mm角の領域は、通常の長尺フィルム状製品の搬送速度から換算すると、1秒未満の時間で通過してしまうことになる。このように、汎用のレーザマーカを用いた場合には、マーキングできない領域が必ず発生することになる。
【0031】
また、第2の理由としては、レーザマーカによって上位コントローラからの設定データを受信してから実際にマーキングを行うまでに、必ずマーキング用の印字データへの変換のための準備時間を要することから、ブロック毎にマーキング不可能な領域が発生することである。
【0032】
さらに、第3の理由としては、マーキングを行っている最中に次のブロックのデータの受信を行うことができないことである。これは、汎用のレーザマーカにおいては、かかる用途を必要としなかったことによる。
【0033】
このように、汎用のレーザマーカは、連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に対してマーキングを行う場合には、厳しい時間的制約を解決しなければそのまま利用することはできない。
【0034】
そこで、本願出願人は、かかる汎用のレーザマーカに対して全く新たな機能を追加することによって改良を施し、厳しい時間的制約の解決を試みた。
【0035】
まず、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、設定データを1ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけ予めレーザマーカ側に登録し、その設定の印字座標のみを、当該1ブロック内に存在する欠陥個数分について一括送信するように構成した。これにより、この欠陥マーキング装置においては、上位コントローラとの間で行う必要がある通信を、実際に印字すべきもののみの情報について1ブロック毎に1回行えばよく、通信時間及びデータ変換時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0036】
また、本発明にかかる欠陥マーキング装置においては、レーザマーカにバッファを設け、1ブロック分の設定データを保持することができるように構成するとともに、マーキングの最中にも上位コントローラからのデータを受信可能に構成した。これにより、この欠陥マーキング装置においては、上位コントローラからのデータの受信待ち時間を解消することが可能となる。
【0037】
さて、以下では、このような新たな機能が追加された欠陥マーキング装置について具体的に詳述するものとする。なお、ここでは、長尺フィルム状製品の製造過程における巻き直し工程の際に、欠陥を検出してマーキングを行うものとして説明する。
【0038】
欠陥マーキング装置は、図2に示すように、長尺フィルム状製品1に存在する欠陥を検出する検査手段である検査機21と、この検査機21によって検出された欠陥に対応してマークを印字する複数のレーザマーカを有するレーザマーカ手段であるレーザマーカ装置22と、このレーザマーカ装置22を制御する制御手段である2つの制御部23,24と、長尺フィルム状製品1の搬送方向(矢印b)に直交する幅方向のエッジ位置を検出する第1のエッジ検出手段及び第2のエッジ検出手段である2つのエッジ検出センサ25,26と、長尺フィルム状製品1の搬送速度に応じたパルス信号を出力するパルス出力手段であるロータリーエンコーダ27と、このロータリーエンコーダ27から出力されるパルス信号をレーザマーカ装置22に対して分配するパルス分配器28と、検査機21によって検出された欠陥位置に応じたマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号をレーザマーカ装置22に対して分配するトリガ分配器29と、各種入力操作を行うとともに各種情報を表示する操作/表示部30とを備える。
【0039】
検査機21は、設定された所定の閾値に基づいて、搬送中の長尺フィルム状製品1に存在する欠陥を検出する。具体的には、検査機21は、例えば、CCD(Charge-Coupled Devices)ラインセンサと、このCCDラインセンサによって取得された画像データに対して処理を施す画像処理装置とを用いて構成され、CCDラインセンサによって取得された画像データの輝度分布を画像処理装置によって求め、所定の閾値よりも大きい又は小さい輝度を有する部分を欠陥として認識する。ここで、検査機21には、主に欠陥の位置を示す2次元座標情報を含む位置座標データの出力周期に基づいて決定されるブロック長が設定される。そして、検査機21は、ブロック毎に検出した位置座標データを、例えばいわゆるイーサネット(登録商標)等の伝送媒体を介して接続された制御部24に対して送信する。
【0040】
レーザマーカ装置22は、検査機21から所定距離だけ同図中矢印bで示す長尺フィルム状製品1の搬送方向に離隔された位置に設けられ、搬送中の長尺フィルム状製品1に設定された座標位置に基づいて、例えばCO2レーザやYAGレーザ等を照射することによってマーキングを行う。ここで、レーザマーカ装置22は、互いに独立に作動する複数のレーザマーカが並設されて構成される。より具体的には、レーザマーカ装置22においては、長尺フィルム状製品1の幅方向に複数並設されたレーザマーカ群が、当該長尺フィルム状製品1の搬送方向に2列設けられる。これら個々のレーザマーカは、例えば図3中破線部で示すように、例えば100mm角の領域内に、例えば線状や円状等の任意形状のマーキングを行うことが可能に構成される。ここで、第1列目を形成する各レーザマーカ22a,22b,・・・は、それぞれ、第2列目を形成する各レーザマーカ22c,22d,・・・と長尺フィルム状製品1の搬送方向に平行な同一直線上に並設されるのではなく、互い違いに千鳥状に並設される。このとき、第1列目を形成する各レーザマーカ22a,22b,・・・は、それぞれ、同図中破線部で示すマーキング可能領域のエッジ部が、第2列目を形成する隣接するレーザマーカ22c,22d,・・・におけるマーキング可能領域のエッジ部と例えば5mm〜10mm程度の所定長だけ重複するように並設される。これにより、レーザマーカ装置22は、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・の間にマーキング不可能領域が存在せず、長尺フィルム状製品1の幅方向の略全域にわたってマーキングを行うことが可能とされる。なお、第1列目を形成する各レーザマーカ22a,22b,・・・と、第2列目を形成する各レーザマーカ22c,22d,・・・との間隔は、任意に設定することができ、例えば、長尺フィルム状製品1の幅と、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のマーキング可能領域の大きさとに基づいて設定することができる。
【0041】
このようなレーザマーカ装置22は、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれに1ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけのデータを保持するバッファを設け、例えばいわゆるRS−232C等のシリアル伝送媒体を介して接続された制御部23から送信される欠陥の位置を含む位置座標データを受信するとこれをバッファに保持した後、トリガ分配器29を介して制御部24から出力されるマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号に基づいて、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・を作動させ、マーキングを行う。このとき、レーザマーカ装置22は、パルス分配器28から供給されるパルス信号に基づいて、長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正する。これにより、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送方向の位置精度を向上させることができる。なお、レーザマーカ装置22は、マーキングの最中にも制御部23から送信される位置座標データを受信し、バッファに保持することが可能とされる。
【0042】
制御部23は、例えばPLC(Programmable Controller、シーケンサ)等から構成され、所定のコントローラリンクを介して接続された制御部24から送信されるデータに基づいて、いわゆるRS−232C等のシリアル伝送媒体を介して接続されたレーザマーカ装置22に対して、欠陥の位置を含む位置座標データを生成して送信する。より具体的には、制御部23は、検査機21によってブロック毎に検出された長尺フィルム状製品1の全幅方向についての位置座標データを制御部24を介して受信し、これをレーザマーカ装置22を構成する各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・用のデータに振り分けて、位置座標データを生成する。このとき、制御部23は、2つのエッジ検出センサ25,26によって検出された長尺フィルム状製品1の幅方向のエッジ位置に基づいて、検査機21による検査位置とレーザマーカ装置22によるマーキング位置とにおける長尺フィルム状製品1の幅方向の蛇行量を算出し、この情報に基づいて、補正した位置座標データを生成する。これにより、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の幅方向の位置精度を向上させることができる。なお、欠陥マーキング装置においては、検査機21の分解能が例えば数十μm〜数百μm程度とされ、この分解能で座標を画定することができるが、現実的にはミリ単位の分解能があれば足りる。そのため、制御部23は、位置座標データを生成する際に、制御部24を介して検査機21から受信した位置座標データを1mm程度の分解能となるように四捨五入してもよい。
【0043】
制御部24は、例えばPLC等から構成され、操作/表示部30を介して入力設定された1ブロックにマーキングすべき欠陥の個数を示す総マーキング個数データを、いわゆるイーサネット(登録商標)等の伝送媒体を介して接続された検査機21に対して送信する。また、制御部24は、検査機21によってブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを当該検査機21から受信し、この情報を制御部23に対して送信する。そして、制御部24は、必要に応じて、これらマーキングを行う位置座標等の各種情報を操作/表示部30に表示させる。さらに、制御部24は、ロータリーエンコーダ27から出力されてパルス分配器28を介して供給されたパルス信号に基づいて、レーザマーカ装置22によるマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号を生成する。具体的には、制御部24は、検査機21によって検査を開始したタイミングでパルス分配器28を介して供給されるパルス信号のカウントを開始し、検査機21と当該制御部24との測長値の同期をとる。そして、制御部24は、パルスカウント値(測長値)が検査機21とレーザマーカ装置22との間隔に対応する値となったタイミングで、最初のブロックについてのマーキングを開始させるためのマーキングタイミングトリガ信号を、トリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対して入力する。さらに、制御部24は、パルスカウント値が検査機21とレーザマーカ装置22との間隔に対してブロック長を加えた長さに対応する値となったタイミングで、次のブロックについてのマーキングを開始させるためのマーキングタイミングトリガ信号を、トリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対して入力する。制御部24は、このような処理をブロック長毎に行うことにより、マーキングタイミングトリガ信号をレーザマーカ装置22に対して入力する。さらに、制御部24は、長尺フィルム製品1の巻き直しを行う巻直機本体やその制御を行う巻直機制御部40との間で、製造ライン稼働中にライン測長パルス信号等の授受を行い、当該長尺フィルム状製品1の巻き直しとマーキング動作との連携を図る。
【0044】
なお、制御部23,24を分けて構成したのは、検査機21及びレーザマーカ装置22との間のケーブル長を短くしてノイズ等の影響を最小限とし、シリアル伝送の信頼性を向上させるためであり、実際の製造ラインにおいては、これら制御部23,24を接続するケーブルの長さは例えば数m〜数十m程度になる場合がある。しかしながら、欠陥マーキング装置においては、これら制御部23,24を1つの制御部として構成してもよいことはいうまでもない。
【0045】
エッジ検出センサ25,26は、CCD等を用いて構成される。これらエッジ検出センサ25,26のうち、エッジ検出センサ25は、長尺フィルム状製品1の搬送方向について検査機21による検査位置の下流に設けられる。一方、エッジ検出センサ26は、長尺フィルム状製品1の搬送方向についてレーザマーカ装置22によるマーキング位置の上流に設けられる。これらエッジ検出センサ25,26は、長尺フィルム状製品1の幅方向のエッジ位置を検出する。これらエッジ検出センサ25,26によって検出されたエッジ位置情報は、検査機21による検査位置とレーザマーカ装置22によるマーキング位置とにおける長尺フィルム状製品1の幅方向の蛇行量を算出するために、制御部23に供給される。
【0046】
ロータリーエンコーダ27は、例えば分解能が数十μm/P以上の仕様とされる。ロータリーエンコーダ27は、例えば長尺フィルム状製品1の搬送方向について検査機21による検査位置の上流側における製造ラインのニップ付きローラに設けられ、長尺フィルム状製品1の搬送速度に応じたパルス信号を出力する。このロータリーエンコーダ27によって出力されたパルス信号は、長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正するために、パルス分配器28を介してレーザマーカ装置22に供給されるとともに、上述したように、マーキングタイミングトリガ信号を生成するために、パルス分配器28を介して制御部24に供給される。
【0047】
パルス分配器28は、ロータリーエンコーダ27から出力されるパルス信号を入力し、このパルス信号をレーザマーカ装置22及び制御部24に対して分配する。
【0048】
トリガ分配器29は、制御部24によって生成されたマーキングの開始タイミングを示すマーキングタイミングトリガ信号を入力し、このマーキングタイミングトリガ信号をレーザマーカ装置22に対して分配する。
【0049】
操作/表示部30は、例えばタッチパネル形式の液晶表示装置等から構成され、各種設定値の入力操作やデバッグ等を行うことが可能とされるとともに、制御部24の制御のもとに、検査機21によるスキャンタイム等の動作を表示する。また、操作/表示部30は、当該欠陥マーキング装置の動作に不具合が生じた場合等に所定の警報を出力することもできる。
【0050】
このような欠陥マーキング装置においては、概略的には、レーザマーカ装置22によって図4に示すような一連の工程を経ることにより、ブロック毎にマーキングを行う。なお、欠陥マーキング装置においては、後述するように、実際には、あるブロックについての欠陥の位置座標データが、当該ブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に送信され、レーザマーカ装置22を構成する各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれに設けられたバッファに保持されるが、ここでは、基本的な動作を説明するために、次のブロックに跨る処理については言及しないものとする。
【0051】
まず、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック番号n=1について、検査機21によって当該ブロックに存在する欠陥の位置を検出し、当該ブロックにおける局所座標系において欠陥の位置を示す2次元座標情報を含む位置座標データを制御部23に対して送信すると、レーザマーカ装置22は、同図に示すように、ステップS1において、制御部23によって長尺フィルム状製品1の幅方向の蛇行量に応じて補正された欠陥の位置を示す2次元座標情報を含む位置座標データを当該制御部23から受信し、図示しないバッファに保持する。なお、2次元座標情報を含む位置座標データを受信するのは、欠陥の直近にマーキングを行うためであり、長尺フィルム状媒体の幅方向のエッジ部等にマーキングを行う従来においては、1次元の座標情報しか用いないことから、かかる2次元座標情報を含む位置座標データを用いるものは存在しない。
【0052】
続いて、レーザマーカ装置22は、ステップS2において、このブロックについての位置座標データを印字データに変換設定する。
【0053】
そして、レーザマーカ装置22は、長尺フィルム状製品1におけるブロックの先頭位置がマーキング開始位置に到達したとき、すなわち、トリガ分配器29を介して制御部24から出力されたマーキングタイミングトリガ信号を入力すると、ステップS3において、複数のレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のうち欠陥の直近に位置するレーザマーカを作動させてマーキングを開始し、ステップS4において、当該ブロックのマーキングを終了する。このとき、レーザマーカ装置22は、上述したように、パルス分配器28から供給されるパルス信号に基づいて、長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正する。
【0054】
さらに、レーザマーカ装置22は、ステップS5において、全てのブロックについて検査機21による検査が終了し、さらにステップS6において、検査した最終ブロックのマーキングを完了した場合には、そのまま一連の処理を終了する。一方、レーザマーカ装置22は、ステップS5において、全てのブロックについて検査機21による検査が終了していない場合、又は、ステップS6において、検査した最終ブロックのマーキングを完了していない場合には、次のブロックの処理へと移行すべく、ステップS7において、nをインクリメントし、ステップS1からの処理を繰り返すことになる。
【0055】
このように、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22により、1ブロック毎に、位置座標データの受信、位置座標データの変換、及びマーキングの3つの処理を連続的に行い、欠陥の直近にマーキングを行うことができる。
【0056】
さて、以下では、このような欠陥マーキング装置の動作をより明確化すべく、具体的な条件に基づいて構成された欠陥マーキング装置を用いて説明する。
【0057】
まず、条件は、次表1に示すものとする。すなわち、長尺フィルム状製品1の搬送速度は、10m/分(=167mm/秒)とし、マーキングを行う最大密度個数を1000個/m2(=10個/100mm2)とする。また、マーキングを行う位置及び形状は、任意とする。
【0058】
【表1】
【0059】
このような条件のもと、図5に示すように、長尺フィルム状製品1を、その搬送方向について200mm毎に区分けし、これを1ブロックとして処理を行う。なお、同図は、レーザマーカ装置22を構成する複数のレーザマーカのうち、同図中破線部で示す領域をマーキング可能領域とする1つのレーザマーカが担う長尺フィルム状製品1の部分のみを示している。そして、4ブロック以上(ブロック番号0〜3〜)に対して繰り返しデータを送信し、ブロック番号を切り替えてマーキングを行う。また、各ブロックは、位置座標データを割り当てるために、長尺フィルム状製品1の搬送方向の最下流位置であって当該長尺フィルム状製品1の幅方向の中央位置を、幅方向X=0、搬送方向Y=0の2次元座標における基準座標(同図中"●")とする。また、ブロック長が200mmであってマーキングを行う最大密度個数が10個/100mm2であることから、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送方向に1ブロックあたり最大で20個のマーキングを行う。なお、同図においては、各ブロックにおける座標を、ブロック番号nと領域番号との組み合わせで表記しており、例えば基準座標は、"n0"と表記している。欠陥マーキング装置においては、このような各ブロック毎の欠陥の位置座標データを、20個の領域について、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信する。
【0060】
このような欠陥マーキング装置においては、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、あるブロックについての欠陥の位置座標データが、当該ブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に送信され、レーザマーカ装置22を構成するレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれに設けられたバッファに保持される。
【0061】
具体的には、欠陥マーキング装置においては、図6に示すような手順にしたがって、制御部23からレーザマーカ装置22に対するデータの送信及びマーキングを行うブロック番号を切り替えるためのブロック番号切り替え信号の入力と、制御部24からレーザマーカ装置22に対するマーキングタイミングトリガ信号の入力とが行われる。
【0062】
まず、欠陥マーキング装置においては、ブロック0についてマーキングを行う2ブロック分前の時間に、図6中ステップS11において、当該ブロック0についての欠陥の位置座標データが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信され、当該レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、ステップS12において、当該ブロック0についての位置座標データを印字データに変換するための変換コマンドが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。これに応じて、レーザマーカ装置22は、受信したブロック0についての位置座標データを当該レーザマーカ装置22におけるマーキング実行用のバッファに保持して印字データに変換する。そして、欠陥マーキング装置においては、ステップS13において、次のブロック1についての欠陥の位置座標データが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。
【0063】
続いて、欠陥マーキング装置においては、ブロック1についての欠陥の位置座標データの送信が完了し、レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、ステップS14において、処理対象をブロック0に切り替えるために、ブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される。そして、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック0の基準座標がレーザマーカ装置22によるマーキング開始位置に到達したときに、ステップS15において、ブロック0についてのマーキングを開始させるために、制御部24からトリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対してマーキングタイミングトリガ信号が入力される。
【0064】
欠陥マーキング装置においては、このようにしてブロック0についてのマーキングが開始されるとともに、ステップS16において、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、ブロック1についての位置座標データを印字データに変換するための変換コマンドが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。これに応じて、レーザマーカ装置22は、受信したブロック1についての位置座標データを当該レーザマーカ装置22におけるマーキング実行用のバッファに保持して印字データに変換する。そして、欠陥マーキング装置においては、ステップS17において、次のブロック2についての欠陥の位置座標データが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。
【0065】
このように、欠陥マーキング装置においては、ブロック0についてのマーキングの最中に、2ブロック後に続くブロック2についてのデータが、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信される。続いて、欠陥マーキング装置においては、ブロック0についてのマーキングが終了するとともにブロック2についての欠陥の位置座標データの送信が完了し、レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、ステップS18において、処理対象をブロック1に切り替えるために、ブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される。そして、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック1の基準座標がレーザマーカ装置22によるマーキング開始位置に到達したときに、ステップS19において、ブロック1についてのマーキングを開始させるために、制御部24からトリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対してマーキングタイミングトリガ信号が入力される。
【0066】
欠陥マーキング装置においては、このようにしてブロック1についてのマーキングが開始されるとともに、ステップS20において、ブロック2についての位置座標データを印字データに変換するための変換コマンドが制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信され、以後、同様の処理が繰り返されることになる。
【0067】
なお、欠陥マーキング装置においては、例えば図7及び図8に示すようなタイミングで、レーザマーカ装置22に対する各信号の入力が行われる。
【0068】
すなわち、欠陥マーキング装置においては、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、ブロック1についての欠陥の位置座標データが送信され、当該レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、処理対象をブロック0に切り替えるためのブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される(1)。また、欠陥マーキング装置においては、ブロック0に処理対象が切り替えられると、所定の時間経過後に、レーザマーカ装置22の準備を完了した旨を示すマーカレディ信号が入力される。
【0069】
そして、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1におけるブロック0の基準座標がレーザマーカ装置22によるマーキング開始位置に到達したときに、ブロック0についてのマーキングを開始させるために、制御部24からトリガ分配器29を介してレーザマーカ装置22に対してマーキングタイミングトリガ信号が入力される(2)。これに応じて、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22におけるマーキング実行用のバッファに保持されているブロック0についての位置座標データが印字データに変換され、マーキングが行われる。
【0070】
欠陥マーキング装置においては、マーキングの最中にはマーキング中信号が入力される(3〜4)。そして、欠陥マーキング装置においては、制御部23からレーザマーカ装置22に対して、ブロック2についての欠陥の位置座標データが送信され、当該レーザマーカ装置22におけるデータ受信用のバッファに当該位置座標データが保持されると、所定のタイミングでマーカレディ信号が出力され、さらに1ミリ秒以内に、処理対象をブロック1に切り替えるためのブロック番号切り替え信号が制御部23からレーザマーカ装置22に対して入力される(5)。また、欠陥マーキング装置においては、このブロック番号切り替え信号の入力の立ち上がりタイミングと同時に、前のブロック0についてのマーキング(印字)が完了した旨を示すマーキング完了信号が入力され、以後、同様のタイミングで各信号の入力が繰り返される。
【0071】
このように、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22を構成するレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれにバッファを設け、任意のブロックについてマーキングを行う時間から2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信して当該バッファに保持させ、これをレーザマーカ装置22によって印字データへと一括変換する処理を、3ブロック周期で長尺フィルム状製品1の搬送に応じて連続的に行う。
【0072】
これにより、欠陥マーキング装置においては、制御部23とレーザマーカ装置22との間でデータのシリアル伝送を行う際に生じる時間的制約を一切解消することができ、欠陥の直近に任意の形状で高精度にマーキングを行うことができる。また、このような欠陥マーキング装置を用いてマーキングが施された長尺フィルム状製品1から最終製品を切り抜く際には、従来であれば、マーキングが施された広い領域単位を除去せざるを得なかったところ、欠陥の直近にマーキングが施されることにより、無条件に最終製品の大きさに切り抜いた後、マークが印字されているもののみ除去すればよく、工数が削減されて作業者の負担が大幅に軽減されるとともに、歩留まりが大幅に向上される。
【0073】
また、欠陥マーキング装置においては、時間的制約に関する問題の解消に加え、マーキングの高精度化及び高密度化を実現することができる。
【0074】
すなわち、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送方向について検査機21による検査位置下流及びレーザマーカ装置22によるマーキング位置上流に、それぞれ、エッジ検出センサ25,26を設け、マーキングを行う座標を補正することにより、当該長尺フィルム状製品1の幅方向の位置精度を向上させることができる。
【0075】
また、欠陥マーキング装置においては、長尺フィルム状製品1の搬送速度に応じたパルス信号を出力するロータリーエンコーダ27を設け、当該長尺フィルム状製品1の搬送速度の変動を補正することにより、当該長尺フィルム状製品1の搬送方向の位置精度も向上させることができる。
【0076】
さらに、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22を構成するレーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・のそれぞれにおけるマーキング開始位置について、長尺フィルム状製品1の搬送方向についてのマーキング可能領域の上流端ではなく、マーキング可能領域中央とすることにより、マーキングを開始するまでの待ち時間を短縮することができ、単位面積あたりのマーキング個数を増加させることができる。
【0077】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、レーザマーカ装置22を構成する各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・を2列に形成し、互い違いに千鳥状に並設するものとして説明したが、本発明は、これら各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・を長尺フィルム状製品1の幅方向に1列に並設するようにしてもよい。ただし、欠陥マーキング装置においては、各レーザマーカ22a,22b,22c,22d,・・・の間にマーキング不可能領域を設けないようにするために、千鳥状に且つマーキング可能領域の一部が隣接するレーザマーカのマーキング可能領域と重複するように並設するのが望ましい。
【0078】
また、上述した実施の形態では、図5に示したように、レーザマーカ装置22と検査機21との間隔が3ブロック分であるものとして説明したが、本発明は、この間隔を任意に設定することができる。欠陥マーキング装置においては、この間隔に応じて、制御部23に設けられるバッファの容量が決定される。すなわち、欠陥マーキング装置においては、制御部23に設けられるバッファとして、レーザマーカ装置22と検査機21との間に存在するブロック数分のデータを保持できる容量のものが必要とされる。なお、欠陥マーキング装置においては、図5乃至図8を用いて説明したように、3ブロック単位の周期で処理を行うことに変わりはない。すなわち、欠陥マーキング装置においては、レーザマーカ装置22と検査機21との間隔を少なくとも3ブロック分以上とすればよい。
【0079】
さらに、上述した実施の形態では、レーザマーカ装置22によって任意のブロックについてマーキングを行う時間から2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信するものとして説明したが、本発明は、レーザマーカ装置22におけるバッファの容量を大きくするのであれば、マーキングを行うブロックの2ブロック分以上前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信するようにしてもよい。すなわち、欠陥マーキング装置においては、任意のブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての位置座標データを、制御部23からレーザマーカ装置22に対して送信するようにすればよい。
【0080】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】連続的に搬送されている長尺フィルム状製品をブロックに区分けし、検査機によって検出された欠陥について汎用のレーザマーカを用いて連続的にマーキングを行う様子を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態として示す欠陥マーキング装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】同欠陥マーキング装置におけるレーザマーカ装置を構成する個々のレーザマーカの構成を説明する底面図である。
【図4】同欠陥マーキング装置においてブロック毎にマーキングを行う際の一連の処理を概略的に説明するフローチャートである。
【図5】同欠陥マーキング装置の動作をより明確化すべく、具体的な条件に基づいて構成された欠陥マーキング装置を用いて連続的にマーキングを行う様子を説明するための図である。
【図6】同欠陥マーキング装置において、制御部からレーザマーカ装置に対するデータの送信及びマーキングを行うブロック番号を切り替えるためのブロック番号切り替え信号の入力と、他の制御部からレーザマーカ装置に対するマーキングタイミングトリガ信号の入力の手順を説明するフローチャートである。
【図7】同欠陥マーキング装置におけるレーザマーカ装置に対する各信号の入力タイミングを説明する図であって、当該レーザマーカ装置に対して送信された位置座標データとの時間的関係を説明する図である。
【図8】同欠陥マーキング装置におけるレーザマーカ装置に対する各信号の入力タイミングを説明する図である。
【図9】従来のマーキング方法の例を説明する図である。
【図10】従来のマーキング方法の他の例を説明する図である。
【図11】図9に示す従来のマーキング方法によってマーキングされた長尺フィルム状製品から欠陥を有する部分として除去される領域を説明する図である。
【図12】図10に示す従来のマーキング方法によってマーキングされた長尺フィルム状製品から欠陥を有する部分として除去される領域を説明する図である。
【符号の説明】
【0082】
1 長尺フィルム状製品
21 検査機
22 レーザマーカ装置
22a,22b,22c,22d,・・・ レーザマーカ
23,24 制御部
25,26 エッジ検出センサ
27 ロータリーエンコーダ
28 パルス分配器
29 トリガ分配器
30 操作/表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置であって、
上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査手段と、
上記検査手段によって上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成する制御手段と、
上記検査手段から所定距離だけ上記長尺フィルム状製品の搬送方向に離隔された位置に設けられ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを印字データに変換し、上記検査手段によって検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段とを備え、
上記レーザマーカ手段は、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有し、
上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを保持するバッファを設けていること
を特徴とする欠陥マーキング装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記レーザマーカ手段によって任意のブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての上記位置座標データを、当該レーザマーカ手段に対して送信して上記バッファに保持させ、
上記レーザマーカ手段は、上記バッファに保持している当該ブロックについての上記位置座標データを上記印字データへと一括変換すること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項3】
上記レーザマーカ手段は、上記検査手段から少なくとも3ブロック分以上離隔された位置に設けられていること
を特徴とする請求項2記載の欠陥マーキング装置。
【請求項4】
上記バッファは、上記ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけのデータを保持する容量とされること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項5】
上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記検査手段による検査位置下流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第1のエッジ検出手段と、
上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記レーザマーカ手段によるマーキング位置上流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第2のエッジ検出手段とを備え、
上記制御手段は、上記第1のエッジ検出手段及び上記第2のエッジ検出手段のそれぞれによって検出された上記長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置に基づいて、上記検査手段による検査位置と上記レーザマーカ手段によるマーキング位置とにおける当該長尺フィルム状製品の幅方向の蛇行量を算出し、この情報に基づいて、補正した上記位置座標データを生成すること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項6】
上記長尺フィルム状製品の搬送速度に応じたパルス信号を出力するパルス出力手段を備え、
上記レーザマーカ手段は、上記パルス出力手段によって出力されたパルス信号に基づいて、上記長尺フィルム状製品の搬送速度の変動を補正すること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項7】
上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記長尺フィルム状製品の幅方向に千鳥状に並設され、マーキング可能領域の一部が隣接するレーザマーカのマーキング可能領域と重複するように並設されていること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項8】
上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、上記長尺フィルム状製品の搬送方向についてのマーキング可能領域中央がマーキング開始位置とされること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項9】
所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング方法であって、
上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査工程と、
上記検査工程にて上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成し、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有して当該検査工程にて検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段に対して、上記位置座標データを送信する送信工程と、
送信された上記位置座標データを、上記レーザマーカ手段を構成する上記複数のレーザマーカのそれぞれによって受信してバッファに保持する工程と、
上記バッファに保持している上記位置座標データを印字データに変換し、上記レーザマーカ手段によってマーキングを行う工程とを備えること
を特徴とする欠陥マーキング方法。
【請求項1】
所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング装置であって、
上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査手段と、
上記検査手段によって上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成する制御手段と、
上記検査手段から所定距離だけ上記長尺フィルム状製品の搬送方向に離隔された位置に設けられ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを印字データに変換し、上記検査手段によって検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段とを備え、
上記レーザマーカ手段は、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有し、
上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記制御手段から送信された上記位置座標データを保持するバッファを設けていること
を特徴とする欠陥マーキング装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記レーザマーカ手段によって任意のブロックについてマーキングを行う時間から少なくとも2ブロック分前の時間に、当該ブロックについての上記位置座標データを、当該レーザマーカ手段に対して送信して上記バッファに保持させ、
上記レーザマーカ手段は、上記バッファに保持している当該ブロックについての上記位置座標データを上記印字データへと一括変換すること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項3】
上記レーザマーカ手段は、上記検査手段から少なくとも3ブロック分以上離隔された位置に設けられていること
を特徴とする請求項2記載の欠陥マーキング装置。
【請求項4】
上記バッファは、上記ブロックの面積に基づいて決定される最大密度個数分だけのデータを保持する容量とされること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項5】
上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記検査手段による検査位置下流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第1のエッジ検出手段と、
上記長尺フィルム状製品の搬送方向について上記レーザマーカ手段によるマーキング位置上流に設けられ、当該長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置を検出する第2のエッジ検出手段とを備え、
上記制御手段は、上記第1のエッジ検出手段及び上記第2のエッジ検出手段のそれぞれによって検出された上記長尺フィルム状製品の幅方向のエッジ位置に基づいて、上記検査手段による検査位置と上記レーザマーカ手段によるマーキング位置とにおける当該長尺フィルム状製品の幅方向の蛇行量を算出し、この情報に基づいて、補正した上記位置座標データを生成すること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項6】
上記長尺フィルム状製品の搬送速度に応じたパルス信号を出力するパルス出力手段を備え、
上記レーザマーカ手段は、上記パルス出力手段によって出力されたパルス信号に基づいて、上記長尺フィルム状製品の搬送速度の変動を補正すること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項7】
上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、それぞれ、上記長尺フィルム状製品の幅方向に千鳥状に並設され、マーキング可能領域の一部が隣接するレーザマーカのマーキング可能領域と重複するように並設されていること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項8】
上記レーザマーカ手段を構成する複数のレーザマーカは、上記長尺フィルム状製品の搬送方向についてのマーキング可能領域中央がマーキング開始位置とされること
を特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項9】
所定の方向へと連続的に搬送されている長尺フィルム状製品に存在する欠陥に対してマーキングを行う欠陥マーキング方法であって、
上記長尺フィルム状製品の搬送方向に一定長に区分けされたブロック毎に、当該長尺フィルム状製品に存在する欠陥を検出する検査工程と、
上記検査工程にて上記ブロック毎に検出された欠陥の位置を含む位置座標データを生成し、上記長尺フィルム状製品の搬送方向に直交する幅方向に並設された互いに独立に作動する複数のレーザマーカを有して当該検査工程にて検出された欠陥に対応してレーザを照射することによってマークを印字するレーザマーカ手段に対して、上記位置座標データを送信する送信工程と、
送信された上記位置座標データを、上記レーザマーカ手段を構成する上記複数のレーザマーカのそれぞれによって受信してバッファに保持する工程と、
上記バッファに保持している上記位置座標データを印字データに変換し、上記レーザマーカ手段によってマーキングを行う工程とを備えること
を特徴とする欠陥マーキング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−108473(P2006−108473A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294637(P2004−294637)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル株式会社 (595)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル株式会社 (595)
【Fターム(参考)】
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