説明

欠陥検査装置、欠陥検査方法、及びパターン基板の製造方法

【課題】欠陥の種別によらず、確実に欠陥を検出する欠陥検査装置、欠陥検査方法、及びパターン基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる欠陥検査装置は、同一形状のパターンが繰り返し設けられている試料3を検査する欠陥検査装置であって、試料3からの光を受光する光検出器5と、光検出器5の受光量に応じた受光量データを、上限値と下限値で規定される範囲内に含まれているか否かによって2値化処理を行って、2値化画像を生成する2値化処理部12と、同一形状のパターンでの2値化画像の差分を算出して、差分画像を生成する差分処理部15と、差分画像に基づいて、欠陥についての判定を行う欠陥判定部16と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置、欠陥検査方法、及びパターン基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には、カラー表示を行うためにカラーフィルタ基板が用いられるものがある。カラーフィルタ基板は通常、R,G,Bの着色層と遮光層(BM)が設けられている。製造工程において、カラーフィルタ基板に異物等が付着すると、欠陥が生じてしまう。したがって、歩留まりの低下を防ぐため、カラーフィルタ基板の検査を行う方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載の方法では、反射暗視野照明による画像と、反射明視野照明による画像に対して2値化処理を行っている。そして、それぞれの2値化画像を用いて、絵柄単位で比較処理を行っている。そして、比較処理の結果から、暗視野画像、及び明視野画像のそれぞれについて、欠陥候補群を求めている。さらに、暗視野画像、及び明視野画像の欠陥候補群のANDを取ることで、欠陥を検出している。さらに、撮像画像の2値化画像データを比較して、その比較結果により、欠陥部を抽出しているとの記載もある(段落0004)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−300892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラーフィルタ基板の欠陥には、白欠陥と黒欠陥とがある。白欠陥は、着色層やBMが欠落して、光を透過する欠陥である。黒欠陥は、異物等が付着して、光を遮光する欠陥である。このように、様々な欠陥が存在するため、特許文献1の方法では、確実に欠陥箇所を検出することができないという問題点がある。特に、欠陥種別が予め分かっていない場合、適切に欠陥箇所を検出することが困難である。すなわち、BMや着色層があるため、白欠陥、及び黒欠陥を同時に検出することができるように、2値化処理を行うことが困難である。例えば、黒欠陥はBMとほぼ同じ受光量になるため、抽出することが困難である。なお、この問題は表示装置用のカラーフィルタ基板以外でも生じ得る。
【0006】
本発明は、欠陥の種別によらず、確実に欠陥を検出することができる欠陥検査装置、欠陥検査方法、及びパターン基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る欠陥検査装置は、同一形状のパターンが繰り返し設けられている試料を検査する欠陥検査装置であって、試料からの光を受光する光検出器と、前記光検出器の受光量に応じた受光量データを、上限値と下限値で規定される範囲内に含まれているか否かによって2値化処理を行って、2値化画像を生成する2値化処理部と、前記同一形状のパターンでの前記2値化画像の差分値を算出する差分処理部と、前記差分値に基づいて、欠陥についての判定を行う欠陥判定部と、を備えるものである。これにより、確実に欠陥を検出することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る欠陥検査装置は、上記の欠陥検査装置であって、前記光検出器の視野の一部を欠陥判定領域とし、前記欠陥判定領域内のパターンにおける2値化画像と、前記欠陥判定領域外のパターンにおける2値化画像とによって、前記差分値を算出するものである。これにより、簡便な処理で確実に欠陥を検出することができる。
【0009】
本発明の第3の態様に係る欠陥検査装置は、上記の欠陥検査装置であって、前記欠陥判定部が、前記差分画像をしきい値と比較した比較結果に応じて、欠陥についての判定を行うものである。これにより、確実に欠陥を検出することができる。
【0010】
本発明の第4の態様に係る欠陥検査装置は、上記の欠陥検査装置であって、前記試料が、異なる色の画素を有する基板であり、前記光検出器が異なる色の受光画素を有するカラーカメラであり、前記試料において、欠陥があると判定された欠陥画素と同じ列にある同色画素の受光量データを抽出し、前記受光画素の色毎に、前記同色画素の受光量データを足し合わせることで、前記欠陥画素の色判定を行うものである。これにより、欠陥画素の色判定を確実に行うことができる。
【0011】
本発明の第5の態様に係る欠陥検査装置は、上記の欠陥検査装置であって、前記試料が、異なる色の画素を有する基板であり、前記光検出器が異なる色の受光画素を有し、色毎に異なるゲインが設定されたカラーカメラであり、正常箇所における受光量データが、前記異なる色の画素間で揃うように、ゲインが設定されていることを特徴とするものである。これにより、より確実に欠陥を検出することができる。
【0012】
本発明の第6の態様に係る欠陥検査装置は、上記の欠陥検査装置であって、光路中に色フィルタを挿入すること、又は、照明光のスペクトルを調整することによって、色毎の強度調整を行うことを特徴とするものである。これにより、より確実に欠陥を検出することができる。
【0013】
本発明の第7の態様に係る欠陥検査方法は、同一形状のパターンが繰り返し設けられている試料を検査する欠陥検査方法であって、試料からの光を光検出器で受光するステップと、前記光検出器の受光量に応じた受光量データを、上限値と下限値で規定される範囲内に含まれているか否かによって2値化処理を行って、2値化画像を生成するステップと、前記同一形状のパターンでの前記2値化画像の差分値を算出するステップと、前記差分値に基づいて、欠陥についての判定を行うステップと、を備えるものである。これにより、確実に欠陥を検出することができる。
【0014】
本発明の第8の態様に係る欠陥検査方法は、上記の欠陥検査方法であって、前記光検出器の視野の一部を欠陥判定領域とし、前記欠陥判定領域内のパターンにおける2値化画像と、前記欠陥判定領域外のパターンにおける2値化画像とによって、前記差分値を算出するものである。
【0015】
本発明の第9の態様に係る欠陥検査方法は、上記の欠陥検査方法であって、前記欠陥判定部が、前記差分画像をしきい値と比較した比較結果に応じて、欠陥についての判定を行うものである。
【0016】
本発明の第10の態様に係る欠陥検査方法は、上記の欠陥検査方法であって、前記試料が、異なる色の画素を有しており、前記光検出器が異なる色の受光画素を有するカラーカメラであり、前記試料において、欠陥があると判定された欠陥画素と同じ列にある同色画素の受光量データを求め、前記受光画素の色毎に、前記同色画素の受光量データを足し合わせることで、前記欠陥画素の色判定を行うものである。
【0017】
本発明の第11の態様に係る欠陥検査方法は、上記の欠陥検査方法であって、前記試料が、異なる色の画素を有する基板であり、前記光検出器が異なる色の受光画素を有し、色毎に異なるゲインが設定されたカラーカメラであり、正常箇所における受光量データが、前記異なる色の画素間で揃うように、前記ゲインが設定されていることを特徴とするものである。これにより、より確実に欠陥を検出することができる。
【0018】
本発明の第12の態様に係る欠陥検査方法は、上記の欠陥検査方法であって、光路中に色フィルタを挿入すること、又は、照明光のスペクトルを調整することによって、色毎の強度調整を行うことを特徴とするものである。これにより、より確実に欠陥を検出することができる。
【0019】
本発明の第13の態様に係るパターン基板の製造方法は、上記の欠陥検査方法により、試料であるパターン基板を検査する検査ステップと、前記検査ステップによって検査された試料の欠陥を修正する欠陥修正ステップと、を有するものである。これにより、確実に欠陥を検出、修正を行うことができるため、生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、欠陥の種別によらず、確実に欠陥を検出することができる欠陥検査装置、欠陥検査方法、及びパターン基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る欠陥検査装置の構成を示す図である。
【図2】欠陥検査装置に用いられる処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】処理装置による欠陥検出処理に用いられる画像データを模式的に示す図である。
【図4】処理装置による色判定処理に用いられる画像データを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0023】
本実施形態にかかる検査装置について、図1を用いて説明する。検査装置は、光源1と、ステージ2と、対物レンズ4と、光検出器5と、処理装置10と、を備えている。ここでは、試料3を液晶表示装置等の表示装置に用いられるカラーフィルタ基板として説明する。カラーフィルタ基板はR、G、Bの三色の着色層と着色層の間に設けられた遮光層(ブラックマトリクス、以下、BM)とを備えている。着色層はマトリクス状に配列されている。そして、各着色層の間にBMが配置される。よって、BMは格子状に形成される。従って、試料3は、同じ形状のパターンが繰り返し形成されたパターン基板となる。すなわち、試料3の表面には、同じ形状のパターンが所定の周期で繰り返し配列されている。ここで、繰り返しパターンの1周期分のパターンをセルと称する。換言すると、試料3は、セルパターンがマトリクス状の配列されたパターン基板となる。
【0024】
本実施の形態にかかる欠陥修正装置は試料3の欠陥を光学的に検出する。光源1は、試料3を照明するための光を出射する。光源1として、たとえば、ランプ光源やLED光源を用いることができる。カラー画像を撮像する場合、光源1からの照明光を、白色光とすることが好ましい。
【0025】
光源1からの照明光は、所定の光学系(図示せず)を通って、試料3に入射する。これにより、試料3の所定領域を照明することができる。試料3はステージ2に載置されている。ステージ2は透明ステージ、あるいは、中空ステージであり、照明光を透過する。また、ステージ2は、2次元駆動ステージや3次元駆動ステージなどの駆動ステージであり、試料3を移動させることができる。ステージ2を駆動して、試料3を移動させると、照明光による照明領域が変化する。このようにステージ2を駆動することで、試料3全体を走査することができる。よって、試料3全体の撮像、検査が可能になる。ステージ2による走査に限らず、光源1からの光を走査してもよい。試料3を固定して光源1と所定の光学系を同期して移動しても良い。
【0026】
試料3を透過した透過光は、対物レンズ4で屈折される。そして、試料3を透過した透過光は対物レンズ4を介して、光検出器5に入射する。試料3の像は、対物レンズ4などによって、光検出器5の受光面に結像される。したがって、光検出器5は、試料3の透過像を撮像する。
【0027】
光検出器5は、たとえばCCD(Charged Coupled Device)カメラなどの2次元アレイ光検出器である。従って、受光面には受光画素がアレイ状に配列されている。ここでは、光検出器5として、カラーCCDカメラを用いている。光検出器5がカラーカメラの場合、R、G、Bの受光画素を備えており、それぞれが対応する色の受光量データを取得する。さらに、光検出器5は、色毎のゲインが設定されたゲイン設定部5aを備えている。受光量データは、検出した光の強度に応じた値となっている。これにより、試料3の透過光による像(透過像)を撮像することができる。したがって、透過像は、複数の画素の受光量データによって構成されている。光検出器5は、受光量に応じた受光量データを処理装置10に出力する。処理装置10は、受光量データに基づいて、試料3の像を表示する。これにより、試料3の像がカラー表示される。さらに、処理装置10は、その受光量データに対してデータ処理を行う。
【0028】
次に、処理装置10のデータ処理について、図2、及び図3を用いて、説明する。図2は、処理装置10の構成を示すブロック図である。図3は、処理装置10の処理に用いられた画像を模式的に示す図であり、光検出器5の1フレーム分の画像である。処理装置10は、受光量データ記憶部11と、2値化処理部12、上下限値設定部13、2値化データシフト部14、差分処理部15、欠陥判定部16、及び色判定部17を備えている。なお、以下の説明では、説明の明確化を図るため、光検出器5の画素を受光画素とし、カラーフィルタ基板の画素をセル、又はCF画素としている。
【0029】
受光量データ記憶部11は、光検出器5から出力された受光量データを記憶する。ここでは、R、G、Bの受光量データをIr、Ig、Ibとして示している。光検出器5の各受光画素の受光量データは例えば、0〜255の8ビットの値で示される。各受光画素の受光量データIr,Ig、Ibがそれぞれ0〜255の値になっている。この受光量データに基づいて、試料3の像をカラー表示することで、試料3を拡大して観察することができる。もちろん、8ビット以外としてもよい。各受光画素の受光量データは、任意のグレースケールで示される。
【0030】
このように光検出器5で撮像された試料3の像を図3(a)に示す。図3(a)は、試料3の一部の透過像を模式的に示す図である。図3に示すように、赤の着色層31r、緑の着色層31g、青の着色層31b、及びBM32が存在している。赤の着色層31r、緑の着色層31g、青の着色層31bがアレイ状に配列されている。なお、以下の説明において、赤の着色層31r、緑の着色層31g、青の着色層31bをまとめて、着色層31とする。BM32は格子状に設けられ、各着色層31を区切っている。すなわち、各着色層の間に、BM32が配列される。なお、図3では、横一列が同じ色の着色層31となっている。例えば、上から2列目の一列は赤色の着色層31rとなり、上から3列目の一列は、青色の着色層31bとなり、上から4列目の一列は緑色の着色層31gとなっている。そして、3色の着色層31が赤、青、緑の順番で繰り返し配列される。さらに、試料3には、白欠陥33と黒欠陥34が存在している。黒欠陥34は青の着色層31b上に存在し、白欠陥33は、緑の着色層31gの上に存在している。
【0031】
白欠陥33、着色層31、黒欠陥34、BM32の順で受光量データが高くなっている。すなわち、白欠陥33の受光画素で最も受光量データが高く、BM32の受光画素で最も受光量データが低くなっている。BM32では、受光量データが"0"に近くなっている。
【0032】
2値化処理部12は、上記の受光量データに応じて2値化処理を行い、2値化画像を生成する。具体的には、上下限値設定部13に記憶されている上限値と下限値を読み出して、受光量データと比較する。各受光画素の受光量データを上限値Thと比較し、かつ下限値Tlと比較する。受光量データが上限値Thを超えている場合、あるいは、受光量データが下限値Tlを下回っている場合、その受光画素の値を"1"とする。反対に受光量データが、上限値Th以下、かつ下限値Tl以上の場合は、その受光画素の値を"0"とする。もちろん、上限値Thは、受光量データの最大値(255)よりも小さい値となっており、下限値Tlは最小値(0)よりも大きい値となっている。
【0033】
2値化処理部12が、複数の受光画素に対して2値化処理を行うことで、2値化画像が生成される。例えば、実際の2値化画像は白黒画像として示される。ここでは、撮像した領域全体の2値化画像を生成する。着色層31の色抜けが発生している白欠陥33では、受光量データが上限値Thよりも大きくなる。一方、異物などが付着した黒欠陥34では、受光量データが下限値Tlよりも小さくなる。2値化画像を生成することで、欠陥種別に関係なく、欠陥が抽出される。正常箇所の着色層31の受光量データよりも高い値を上限値Thとし、低い値を下限値Tlとする。すなわち、上限値Thは、白欠陥33と典型的な着色層31との間の値となっている。下限値Tlは、黒欠陥34と典型的な着色層31との間の値となっている。
【0034】
白欠陥33及び黒欠陥34では、2値化データが"1"となり、正常な着色層31では2値化データが"0"となる。さらに、正常なBM32は、受光量データが下限値Tlを下回るため、2値化データは、"1"となる。この2値化画像を図3(b)に示す。図3(b)の2値化画像では、上限値Th及び下限値Tlで規定される範囲内の受光画素を受光画素41として示し、範囲外の受光画素を受光画素40として示している。また、白欠陥33と黒欠陥34に対応する受光画素を受光画素40aとして示し、この受光画素40aは範囲外の受光画素40となる。よって、受光画素41では2値化データが"0"であり、受光画素40、40aでは2値化データが"1"となる。2値化画像では、BM32、白欠陥33、及び黒欠陥34が第1の値となり、正常な着色層が第2の値となっている。
【0035】
2値化データシフト部14は、パターン繰り返し周期に対応する受光画素数だけ2値化データをシフトする。これにより、比較用の2値化画像が生成される。たとえば、n個(nは1以上の自然数)のセルに対応する受光画素数だけ、2値化データをシフトする。この比較用の2値化画像は、図3(c)示すようになる。ここでは、2値化画像を2セル分だけ右方向にセルシフトしている。従って、シフト後の2値化画像(図3(c))では、シフト前の2値化画像(図3(b))と比べて、白欠陥33と黒欠陥34に対応する受光画素40aが2セル分右方向にずれている。そして、後述するように、近傍のセルの2値化画像を比較する。
【0036】
差分処理部15は、シフト前の2値化画像と、シフト後の2値化画像との差分を取る。図3(b)の2値化画像から図3(c)の2値化画像を引くことで、図3(d)に示すような差分画像が得られる。ここでは、受光画素毎に、2値化データの差分値が算出される。同一形状のパターン中の同じ位置の2値化データの差分を取る。すなわち、同一形状のセルにおいて、対応する位置の2値化データが比較される。これにより、1つの受光画素毎に2値化データの差分値が算出される。着色層31からの光を受光した受光画素では、着色層31に対応する受光画素同士で差分値が算出され、BM32からの光を受光した受光画素では、BM32に対応する受光画素同士で差分値が算出される。
【0037】
正常箇所(非欠陥箇所)では、2値化データが同じ値になり、着色層31、及びBM32にかかわらず、差分値が"0"となる。一方、欠陥に対応する受光画素では、シフト前の2値化データが" 1"、シフト後の2値化データが"0"となる。このため、差分値は"+1"となる。さらに、欠陥に対応する受光画素からシフト量だけずれた受光画素では、シフト前の2値化データが"0"、シフト後の2値化データが"1"となっている。このため、差分値が"−1"となる。上記のように、正常箇所では、差分値が"0"、または"−1"となり、欠陥箇所では、差分値が"1"となる。このように、差分処理部15は、3値(−1、0、+1)からなる差分画像を生成する。図3(d)では、差分値が+1の受光画素を、受光画素50とし、差分値が0又は−1の受光画素を受光画素51として示している。
【0038】
欠陥判定部16は、差分値に基づいて、欠陥の有無を判定する。ここでは、差分値が1となっている受光画素50を欠陥箇所と判定し、差分値が0、または−1となっている受光画素51を正常箇所と判定する(図3(d))。このように、欠陥判定部16は、差分値としきい値を比較して、欠陥を抽出する。差分値が1以上の場合、欠陥箇所とし、差分値が1未満の時は、正常箇所とする。このように、欠陥判定用のしきい値と比較することで欠陥を検出することができる。
【0039】
このようにして、試料3における欠陥箇所の座標及び欠陥サイズを求める。すなわち、欠陥箇所の位置、あるいは欠陥箇所を含む画素が特定される。欠陥有と判定された受光画素のデータが検出された時のステージ位置と、視野内の欠陥有と判定された受光画素の位置とによって、試料3上における欠陥の座標が検出される。欠陥有と判定された受光画素の数によって、欠陥サイズを検出することができる。このようにして、欠陥についての判定が行われる。欠陥の種別が予め分かっていない場合でも、欠陥の検出漏れを防ぐことができる。すなわち、受光量データが低くなる黒欠陥、及び受光量データが高くなる白欠陥の両方を確実に検出することができる。よって、本実施の形態に係る欠陥検査装置、及び欠陥検査方法は、自動欠陥検査、自動欠陥修正に適している。
【0040】
本実施の形態では、上限値及び下限値で規定される範囲に含まれるか否かによって、2値化している。上限値との比較結果で白欠陥が抽出され、下限値との比較結果で黒欠陥が抽出される。2値化画像は、全ての欠陥を抽出した画像となっている。さらに、差分画像を算出することで、黒欠陥よりも受光量データが低いBM32が欠陥として検出されるのを防ぐことができる。これにより、欠陥の誤検出を防ぐことができる。よって、確実に欠陥を抽出することができる。
【0041】
なお、欠陥判定は光検出器5の視野の一部の領域で行うことが好ましい。例えば、図3(d)に示されるように、視野の中心部分を欠陥判定領域61として、欠陥判定領域61内のパターンにおける2値化画像と、欠陥判定領域61外のパターンにおける2値化画像とによって、差分画像を生成する。すなわち、欠陥判定領域61内の2値化データと、欠陥判定領域61外の2値化データの差分値を取る。そして、この差分値によって欠陥判定を行う。もちろん、差分値を取る2つの2値化画像は、同じ形状のパターンに基づく画像となっている。
【0042】
例えば、視野が640×480の受光画素で構成されているとし、200×200の受光画素を欠陥判定領域61とする。欠陥判定領域61は視野の一部となる。この欠陥判定領域61だけ差分値を求めるとする。この場合において、シフト量を欠陥判定領域61の1列分の受光画素数よりも大きくする。すなわち、シフトする受光画素数を200よりも大きくする。こうすることで、シフト後の2値化画像の欠陥箇所が欠陥判定領域61から外れる(図3(c)において欠陥に対応する受光画素)。このように、欠陥判定領域61内のパターンにおける2値化画像と、欠陥判定領域61外のパターンにおける2値化画像とによって、差分画像を生成する。
【0043】
この場合、欠陥判定部16における、差分値としきい値との比較処理を省略することができる。すなわち、差分値が"−1"の受光画素が欠陥判定領域61から外れるため、差分値が"0"又は"1"のいずれかになる。よって、差分値が直接欠陥の有無を示すことになる。よって、欠陥判定に必要な処理時間を短くすることができる。換言すると、視野の一部である欠陥判定領域61よりもシフト量を大きくすることで、差分値が"−1"となっている受光画素が、欠陥判定領域61の外側になる。よって、2値化データシフト部14におけるシフト量は、欠陥判定領域61よりも大きくすることが好ましい。これにより、簡便な処理で欠陥を検出することができる。
【0044】
さらに、色判定部17により、欠陥となった着色層(以下、欠陥画素)の色判定を行うことも可能である。色判定を行うことで、欠陥となった着色層の色が検出される。CF画素が欠陥画素として検出された場合、色判定部17は、欠陥画素が何色の着色層であるかを判定する。欠陥画素の色判定を行うことで、欠陥の自動検出、さらには自動修正が可能になる。この色判定について、図4を用いて説明する。図4は、色判定を行うために処理された画像データを模式的に示す図である。上記のように、カラーフィルタ基板では、横一列が同じ色のCF画素になっているとして説明する。
【0045】
色判定部17は、欠陥判定部16で欠陥として判定された着色層(以下、欠陥画素)に対して色判定を行う。図4(a)に示すように、緑色の着色層31gに白欠陥33が存在している場合を考える。図4では、欠陥が存在する画素を欠陥画素35とし、その欠陥画素35を含む横方向の1画素列を画素列36としている。ここで、欠陥画素35を含む画素列36は、全て同じ緑色のCF画素となっている。
【0046】
よって、画素列36に含まれる複数画素のRGB成分を算出することで、色判定を行うことができる。ここでは、欠陥箇所を含む短冊状領域を抽出する。すなわち、図4(b)に示すように、欠陥箇所よりも上側と下側の受光画素列39をマスクする。換言すると、受光画素39の受光量データを"0"とする。これにより、図4(c)に示すように、横方向を長手方向とする短冊状領域37が抽出される。短冊状領域37は、複数のCF画素に亘って設けられている。図4(c)に示す例では、短冊状領域37に6つのCF画素が含まれていることなる。短冊状領域37は緑色のCF画素(着色層)のみ含まれており、青色のCF画素(着色層)と赤色のCF画素(着色層)は含まれていない。また、短冊状領域37にはBM32が含まれている。短冊状領域37の幅は、欠陥箇所の縦方向の幅と一致している。ここでは、短冊状領域37は、光検出器5の視野に対応する長さを有している。短冊状領域37が色判定を行うための色判定領域として抽出される。
【0047】
そして、短冊状領域37において、RGB成分をそれぞれ抽出する。例えば、短冊状領域37に含まれる複数の受光画素の受光量データを色毎に足し合わせる。短冊状領域の受光量データについて、青色の合計値、赤色の合計値、及び緑色の合計値を求める。ここで、画素列36は、緑色の着色層31から構成されるので、緑色の合計値が最も高くなる。よって、3つの合計値を比較して、合計値が最も高い色を欠陥画素の色とする。
【0048】
これにより、確実に欠陥画素35の色を判定することができる。なぜなら、白欠陥33が存在する欠陥画素35では、白色光が透過するため、赤色、青色、緑色の光それぞれが光検出器5で受光される。欠陥画素35のみで色判定した場合、RGBの成分を抽出しても、ほとんど同じ値になってしまう。本実施の形態では、複数のCF画素に亘る短冊状領域37において、受光量データを抽出している。画素列36が同じ色と仮定すると、欠陥画素35と同色の受光量データが強調される。よって、確実に色判定を行うことができる。なお、色成分を抽出する領域の形状は、短冊状に限られるものでない。すなわち、欠陥画素35と同じ画素列36の受光画素を含む領域を、色判定領域として抽出すればよい。例えば、欠陥画素35と両隣のCF画素を色判定領域として抽出しても良い。なお、短冊状領域37の方向は、カラーフィルタの配列方向に応じた方向となる。従って、縦方向に同じ色のCF画素が配列されている場合、短冊状領域37の長手方向は縦方向となる。よって、色判定領域の方向は、ステージ上でのカラーフィルタの配置に応じて、ユーザが予め登録しても良い。もちろん、欠陥が黒欠陥の場合も、同様に判定することができる。
【0049】
なお、光検出器5がグレースケールのカメラの場合は、色判定が必要ないパターン基板については、色判定を行わなくても良い。また、試料3が異なる色の画素を持たない場合も、色判定を行わなくても良い。すなわち、光検出器5が異なる色の受光画素を持ち、かつ、試料3がそれぞれ異なる色の画素を持っている場合に、上記の色判定処理を実施する。このように、光検出器5と試料3が複数色の画素から構成されていなければ、色判定は不要となる。もちろん、光検出器5の画素の色と試料3の画素の色は、R,G,B以外の色であっても良い。
【0050】
なお、上限値及び下限値は、光源1のスペクトルや着色層の透過率等に応じて設定すれば良い。すなわち、正常な着色層における受光量データに応じた、上限値及び下限値を図で示したゲイン設定部5aに設定する。より確実に欠陥を検出するために、光検出器5において、色ごとのゲインを設定しても良い。すなわち、光検出器5から出力される受光量データIr、Ig、Ibが、正常な着色層で、略同じ値になるようにゲインを設定する。通常、光検出器5がカラーカメラの場合、受光画素が色ごとに分けられている。すなわち、R,G,Bの受光画素が存在することになる。そこで、受光画素の色毎に、ゲインを最適化する。このゲインは図2で示したゲイン設定部5aに設定されており、ユーザが設定変更してもよい。
【0051】
具体的には、正常箇所において、赤の着色層31rからの受光量データが40〜50程度で、青の着色層31rからの受光量データが25〜35程度で、緑の着色層31gの受光量データが150〜160程度の場合、青色の受光画素のゲインを高くして、緑の受光画素のゲインを低くする。これにより、3色の受光量データIr、Ig、Ibがほぼ同じ値(例えば、100〜110程度)となる。正常箇所では、3色の受光量データIr、Ig、Ibが揃うことになり、受光量データが略同じ値で重なる。従って、上限値と下限値を近くすることができる。これにより、2値化画像を生成する際に、欠陥部分を検出することができる受光量の範囲を広く取ることができる。このように、色ごとに異なるゲインを設定して、異なる色のCF画素間で正常箇所の受光量データを揃えることが好ましい。いずれの色においても、透過率が減少するシミ状の欠陥等の検出が可能になる。なお、電気的なゲインの設定に限らず、フィルタなどを用いて、受光量データを揃えてもよい。すなわち、光路中に色フィルタを挿入することで、受光量データが揃うようになる。あるいは、光源1からの照明光のスペクトルを調整することで、受光量データが揃うようになる。このようにしても、色毎の強度調整を行うことができる。これらのゲインは、光源11のスペクトルや、着色層31の透過率によって、ユーザが設定すれば良い。
【0052】
なお、上記の説明では、試料3を透過した透過光による透過画像を用いたが、試料3で反射した反射光による反射画像を用いて検査を行っても良い。また、同じ光検出器5で取得された受光量データを用いることで、1つの光検出器5のみで検出することができる。よって、部品点数の増加を防ぐことができる。もちろん、異なる光検出器5で取得した受光量データを用いても良い。例えば、透過光を検出する光検出器5を2つ設けて、その2つの光検出器5で取得した透過画像に対して、上記の2値化処理等を行う。ここでは、試料3上の異なる位置での受光量データを比較する。さらには、反射画像の受光量データと透過画像の受光量データとを比較しても良い。これらの場合は、異なる上限値と下限値を設定する。このように、異なる光検出器5で取得した撮像データで2値化画像を生成しても良い。
【0053】
上記の検査方法によれば、白欠陥と黒欠陥以外の様々な欠陥を検出することができる。上記の検査方法は、同一形状のパターンが繰り返し形成された試料、特に、カラーフィルタ基板の検査に好適である。上記の検査装置を用いてカラーフィルタ基板を検査し、カラーフィルタ基板の欠陥を検出する。そして、カラーフィルタ基板の欠陥を修正することによって、欠陥のないカラーフィルタ基板が製造される。これにより、カラーフィルタ基板の生産性を向上することができる。上記の検査方法によって、色判定まで全自動で行うことが可能になる。よって、欠陥修正の自動化に寄与することができ、欠陥修正の生産性を向上することができる。もちろん、カラーフィルタ以外の試料に対して欠陥を検出して、欠陥修正を行っても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 光源
2 ステージ
3 試料
4 対物レンズ
5 光検出器
5a ゲイン設定部
10 処理装置
11 受光量データ記憶部
12 2値化処理部
13 上下限値設定部
14 2値化データシフト部
15 差分処理部
16 欠陥判定部
17 色判定部
31r 赤色の着色層
31g 緑色の着色層
31b 青色の着色層
32 BM
33 白欠陥
34 黒欠陥
35 欠陥画素
36 画素列
37 短冊状領域
39 画素列
40 受光画素
41 受光画素
50 受光画素
51 受光画素
61 欠陥判定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状のパターンが繰り返し設けられている試料を検査する欠陥検査装置であって、
試料からの光を受光する光検出器と、
前記光検出器の受光量に応じた受光量データを、上限値と下限値で規定される範囲内に含まれているか否かによって2値化処理を行って、2値化画像を生成する2値化処理部と、
前記同一形状のパターンでの前記2値化画像の差分値を算出する差分処理部と、
前記差分値に基づいて、欠陥についての判定を行う欠陥判定部と、を備える欠陥検査装置。
【請求項2】
前記光検出器の視野の一部を欠陥判定領域とし、
前記欠陥判定領域内のパターンにおける2値化画像と、前記欠陥判定領域外のパターンにおける2値化画像とによって、前記差分値を算出する請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記欠陥判定部が、前記差分画像をしきい値と比較した比較結果に応じて、欠陥についての判定を行う請求項1、又は2に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記試料が、異なる色の画素を有する基板であり、
前記光検出器が異なる色の受光画素を有するカラーカメラであり、
前記試料において、欠陥があると判定された欠陥画素と同じ列にある同色画素の受光量データを抽出し、
前記受光画素の色毎に、前記同色画素の受光量データを足し合わせることで、前記欠陥画素の色判定を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記試料が、異なる色の画素を有する基板であり、
前記光検出器が異なる色の受光画素を有し、色毎に異なるゲインが設定されたカラーカメラであり、
正常箇所における受光量データが、前記異なる色の画素間で揃うように、ゲインが設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
光路中に色フィルタを挿入すること、又は、照明光のスペクトルを調整することによって、色毎の強度調整を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
同一形状のパターンが繰り返し設けられている試料を検査する欠陥検査方法であって、
試料からの光を光検出器で受光するステップと、
前記光検出器の受光量に応じた受光量データを、上限値と下限値で規定される範囲内に含まれているか否かによって2値化処理を行って、2値化画像を生成するステップと、
前記同一形状のパターンでの前記2値化画像の差分値を算出するステップと、
前記差分値に基づいて、欠陥についての判定を行うステップと、を備える欠陥検査方法。
【請求項8】
前記光検出器の視野の一部を欠陥判定領域とし、
前記欠陥判定領域内のパターンにおける2値化画像と、前記欠陥判定領域外のパターンにおける2値化画像とによって、前記差分値を算出する請求項6に記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
前記欠陥判定部が、前記差分画像をしきい値と比較した比較結果に応じて、欠陥についての判定を行う請求項6、又は7に記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記試料が、異なる色の画素を有しており、
前記光検出器が異なる色の受光画素を有するカラーカメラであり、
前記試料において、欠陥があると判定された欠陥画素と同じ列にある同色画素の受光量データを求め、
前記受光画素の色毎に、前記同色画素の受光量データを足し合わせることで、前記欠陥画素の色判定を行う請求項6乃至8のいずれか1項に記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
前記試料が、異なる色の画素を有する基板であり、
前記光検出器が異なる色の受光画素を有し、色毎に異なるゲインが設定されたカラーカメラであり、
正常箇所における受光量データが、前記異なる色の画素間で揃うように、前記ゲインが設定されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の欠陥検査方法。
【請求項12】
光路中に色フィルタを挿入すること、又は、照明光のスペクトルを調整することによって、色毎の強度調整を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載の欠陥検査方法により、試料であるパターン基板を検査する検査ステップと、
前記検査ステップによって検査された試料の欠陥を修正する欠陥修正ステップと、を有するパターン基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−196827(P2011−196827A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63991(P2010−63991)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】