説明

正常駆出率心不全の治療

本発明は、HfnEFの治療における使用のためのペルヘキシリン、またはこの薬学的に許容される塩およびHfnEFを治療するためにペルヘキシリン、またはこの薬学的に許容される塩の有効量を必要とする動物に投与することを含む、HFnEFの治療方法に関する。本発明はさらに、HFnEFまたはこの兆候の治療に有効な一以上の他の化合物とともにペルヘキシリンを同時に使用する、または同時に投与することを含む、HFnEF治療用の治療プログラムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正常左室(LV)駆出率心不全(HFnEF)の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
収縮機能不全の心不全(heart failure:HF)治療における飛躍的な進歩により、クオリティ・オブ・ライフが向上し、生存率も上昇してきている。しかしながら、HFの臨床的証拠がある患者の50%までが、比較的(またはほぼ)左室駆出率が正常である(正常左室(LV)駆出率を伴うHF症候群:HF with normal left ventricle(LV) ejection fraction syndrome(HFnEF)、または、左室駆出率が保存されているHF症候群:HF with preserved left ventricle ejection fraction syndrome(HFpEF)とも称される)ことが見出されている。HfnEFの患者は入院患者の中で急速に増えており、心不全により死に至ることもある。
【0003】
正常なEFであるにもかかわらず、HFnEF患者は収縮機能障害はわずかであるが、大部分の主たる異常は、LVの能動的な弛緩および/または受動的充満(passive filling)の障害である。しかしながら、能動的弛緩および充満の安静時の測定は、症状および運動能力にあまり関連せず、したがってHFnEFには、「究極的な判断基準」の診断心エコー検査が存在しない。効果的な心室充満は、LVの内因性の(受動的な)特性とともに負荷条件に依存する、高いエネルギー依存性の能動的弛緩過程および受動的充満に起因している。双方のこれらのパラメーターは、交感神経が活性化されることによって運動時には顕著に変化するので、これらの安静時のパラメーターが運動能力および症状をあまり予見できないことは驚くことではない。
【0004】
HFnEF患者の治療については、www.acc.org.で入手可能な、Hunt et al.,“ACC/AHA 2005 Guideline Update for the Diagnosis and Management of Chronic Heart Failure in the Adult”,2005,Section 4.3.2中で議論されている。
【0005】
ペルヘキシリン(2−(2,2−ジシクロヘキシルエチル)ピペリジン)は、心臓での遊離脂肪酸代謝からよりエネルギー効率がよいグルコースへシフトすることができることによって原理的には作用する、抗狭心症薬として知られている。
【0006】
国際公開第2005/087233号は、慢性心不全(chronic heart failure (CHF))の治療用のペルヘキシリンの使用を開示しており、ここで、CHFは初期に誘発される虚血の影響であり、またはCHFは初期の非虚血性の誘発因子の結果である。
【0007】
発明の要約
本発明の第一形態によれば、HFnEFを治療するためにペルヘキシリン、またはこの薬学的に許容される塩の有効量を必要とする動物に投与することを含む、HfnEFの治療方法が提供される。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、HFnEFの治療における使用のためのペルヘキシリン、またはこの薬学的に許容される塩が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態によれば、HFnEFまたはこの兆候の治療に有効な一以上の他の化合物、例えば、利尿薬、アンジオテンシン受容体遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬とともにペルヘキシリンまたはこの薬学的に許容される塩を同時に使用する、または同時に投与することを含む、HFnEF治療用の治療プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、HFnEF患者およびコントロールの有酸素運動能力(VOmax)に相関する変数を示す。
【図2】図2は、31P表面コイル状に横たわったHFpEF患者のMR像(パネルA)および左室からの対応する局在化31P MRスペクトル(パネルB)を示す。パネルCは、HfpEF患者およびコントロールにおける個々のPCr/γ−ATP比である。
【図3】図3は、HCMの心臓エネルギー状態におけるエネルギー欠乏に対する原因としての働きを確立し、ペルヘキシリンの影響を評価するために行った試験のフローチャートである。
【図4】図4A〜4Dは、HCM対コントロールの基本データを表わす。より詳細には、図4Aはピーク酸素消費(ピークVO2)結果を表わす。図4Bは、拡張期心室充満の結果(nTTPF、心拍に対して平均化された最大拡張到達時間(normalized for heart rate Time To Peak Filling))を示し、また、PCr/ATP比(心臓のエネルギー状態の尺度)がHCM患者ではコントロールに比べて低いことを示す。図4Cは、HCM患者の31P心臓スペクトルの例であり、この際、ポイントCは、リンコイルの中心、VOI;関心領域のボクセル(voxel of interest)を示し、2,3−DPGは2,3−ジホスホグリセレート;PDEはホスホジエステル;PCrはクレアチンリン酸を示し;α,β,γは3つのATPのリン酸核を示し、nTTPF(LVの能動的弛緩速度の尺度)はコントロールにおける運動時には実質的に変化しないが、HCM患者では異常に遅延することを示す。そして、図4Dは、心筋のエネルギー結果(PCr/γATP比)を示し、また、運動能力(ピークVO)がコントロールに対してHCM患者において低くなっていることを示す。
【図5】図5Aおよび5Bはそれぞれピーク酸素消費(ピークVO2)、p=0.003および心筋エネルギーの(PCr/γATP比)、p=0.003におけるプラセボおよびペルヘキシリンの影響を表し、この際p値はペルヘキシリンおよびプラセボ反応間の有意な差を表す。ピークVO(運動能力)は、ペルヘキシリンで増加する(図5A)。ペルヘキシリンは、PCr/ATP比(心臓のエネルギー状態)を向上させるが、プラセボ群ではこれは変化なかった(図5B)。図5Cおよび5Dは、それぞれプラセボ群(3C)およびペルヘキシリン群(3D)におけるnTTPF変化、p=0.03を表し、この際、p値はペルヘキシリンおよびプラセボ反応間での有意な差を表す。プラセボ群において、nTTPF(LVの能動的弛緩速度の尺度)は、基準でおよび処置の間、異常に延びていた。健常なコントロールにおける反応を点線で示す。ペルヘキシリンによって健常なコントロール(点線によって示される)において見られるのと同程度の反応に正常化する(図5D)。図5Eおよび5Fは、(息切れの)NYHAスコアが、ペルヘキシリン投与で低下(向上)し(5E)、心不全で生存しているミネソタアンケートスコア(Minnesota living with heart failure questionnaire score)はペルヘキシリン投与で低下した(=クオリティオブライフが向上した)(5F)ことを示す。
【図6】図6は、HCMの病態生理学におけるエネルギー欠乏の原因に対する働きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本明細書の実施例1で報告した試験の知見は、a)HfpEF患者は、安静時のPCr/ATP比の顕著な減少を示し、これは、心筋エネルギー「保存」が損なわれていることを示し、b)運動時には、エネルギー要求的心臓拡張期の能動的弛緩段階が患者において延長し(これに対し、コントロールにおいては短縮)、患者においては収縮機能の増加もしなかった。これらの異常が相伴って、運動時の1回拍出量の低下を招いた。HfpEF患者は運動時に変時の不全を示すことも見出された。
【0012】
これらの知見は、実施例2で報告する肥大型心筋症(HCM)である患者の研究において見出された知見と密接に関連する。実施例2の試験により、HCM患者の治療において、ペルヘキシリン剤が有効であることも示された。HFnEFおよびHCMの関連する病態生理のために、本発明者らはHCM治療におけるペルヘキシリンの効果に基づいて、この同じ薬剤がHfnEFの治療においても有効であろうということを予測できる。
【0013】
本発明の実施形態において、ペルヘキシリンは塩の形態、好ましくはマレイン酸エステル(塩)の形態で存在する。ペルヘキシリンは、治療的な、しかし非毒性の血漿ペルヘキシリンレベルを達成するために合わせた投与量で用いることができる(Kennedy JA,Kiosoglous AJ,Murphy GA,Pelle MA,Horowitz JD.“Effect of perhexiline and oxfenicine on myocardial function and metabolism during low−flow ischemia/reperfusion in the isolated rat heart”,J Cardiovasc Pharmacol 2000;36(6):794−801)。通常の患者に対する典型的な投与量は、1日当たり100mg〜300mgであるが、ペルヘキシリン代謝が遅い患者には、より少ない投与量が適当であろう。
【0014】
ペルヘキシリン化合物の塩のような薬学的に許容される製剤もまた、本発明において用いることができる。また、薬剤は投与に都合の良いいかなる方法でも製剤化することができ、よって、一以上の薬学的に許容される担体または賦形剤とともに混合物の形態で従来の方法における薬剤の使用もまた本発明の範囲内に含まれる。好適には、製剤中の他の成分と混合可能であるという意味で担体は「許容される」べきであり、その受容者に有害であってはいけない。薬剤は経口、口腔、非経口、静脈内または直腸投与用に製剤化することができる。追加的に、または代替的に、薬剤は錠剤、カプセル、シロップ、エリキシル剤のような従来の形態または他の公知の経口投与形態で製剤化してもよい。
【0015】
本発明を下記非限定的実施例によって説明する。
【実施例】
【0016】
実施例1
運動に関する変化の役割は、左室(LV)弛緩において、正常(または保全された)LV駆出率である心不全(HFnEF)患者において運動が限定される機構としての心室血管整合(vasculo−ventricular coupling)、および心臓のエネルギー障害がこれらの異常に基づいているかどうかで評価される。
【0017】
HFpEFの患者37人および適合したコントロール20人で試験は行われた。心室血管整合(Vasculo− ventricular coupling(VVC))および最大LV拡張到達時間(LV能動的弛緩の尺度)(nTTPF)は、MUGAスキャン(Multiple Uptake Gated Acquisition scanning)によって安静時および運動時に評価した。心臓のエネルギー状態(PCr/ATP比)は、31P磁気スペクトロスコピーによって測定した。安静時には、nTTPFおよびVVCは患者およびコントロールにおいて同じであった。心臓のPCr/ATP比は、コントロールに対して患者では減少していた(1.57±0.52対2.14±0.62;P=0.003)。VOmaxは、コントロールに対して患者でより低くなっていた(19±4対36±8ml/kg/min;P<0.001)。最大運動時には、コントロールに対して患者では心拍数があまり増加せず(52±16対81+14bpm;p<0.001)、最大下運動時での1回拍出量および心拍出量における相対的変化がコントロールに対して患者では低くなった(0.99±0.34対1.25±0.47、P=0.04;1.36±0.45対2.13±0.72、P<0.001)。コントロールにおいて運動時nTTPFは低下したが、患者においては増加した(−0.03±12秒対+0.07±0.11;P=0.005)。コントロールでは運動時のVVCは減少したが、患者では変化がなかった(−0.01±0.15対−0.25+0.19;p<0.001)。心拍数、VVCおよびnTTPFはVOmaxの非依存的予測因子であった。
【0018】
方法
患者
試験は、心不全クリニックから予め集められた37人のHFpEF患者を被験者とした。また、心臓既往歴または糖尿病のない、年齢−性別が適合した健常なコントロールについても試験した。試験参加者には、臨床検査、12誘導心電図、肺機能検査、心エコー図、代謝負荷試験、核医学的心室造影を行い、サブグループには、心臓のエネルギー状態を評価するために、心臓の31P MRS試験を行った。コントロールのすべてが心血管系検査、12誘導心電図および心エコー図が正常であった。(1):i)心不全の症状および兆候、ii)駆出率50%以上、iii)弁異常がないというACC/AHA勧告にしたがってHFpEF患者を決定した。また、患者は、iv)制限が心臓が原因であることを示す代謝運動試験(metabolic exercise testing)におけるガス交換のパターンを用いて年齢および性別から予想されるVOmax<80%、v)形式的(formal)な肺機能試験において肺疾患の客観的証拠がなく、および/または運動時に、およびピーク運動(peak exercise)15L以上での換気予備能(ventilatory reserve)を伴う動脈血不飽和化がないことが要求される。緩やかな拡張異常は健常の若い被験者においてもしばしばみられ、中程度から重度の安静時拡張異常は、HfpEFの明らかな証拠を持つ患者においてもしばしば存在しないので、患者が心臓以外ではなく心臓を起因とする運動制限があるという確固たる証拠を持つために、また安静時の拡張異常の存在を求めることによって根底にある病態生理学に早まった判断をしないように、この規定が選択された。静脈洞以外の律(rhythm)を有する患者は除外した。
【0019】
心エコー
心エコーは、2.5−MHzトランスデューサーを用いてVivid7心エコー装置によって左側位で参加者に対して行われた。心臓の定量化は、欧州心エコー学会(European Association of Echocardiography)にしたがって決定した。(2)LV収縮期末弾性(end−systolic elastance)(Ees)、LV収縮性の測定は、非侵襲性心拍技術(noninvasive single−beat technique)を用いて決定した。(3)全動脈樹の剛性の尺度である大動脈弾性率(Ea)は、LV収縮終期圧/1回拍出量の比として算出した。試験は、電子的に保存され、オフラインで分析した。
【0020】
31P心臓磁気スペクトロスコピー(MRS)
ビボにおける心筋エネルギー学は3−TeslaでMRSによって測定した(4)。31P心臓磁気スペクトロスコピーは、フィリップス社Achieva 3スキャナーおよび直線偏光トランスミッターならびに直径14cmのレシーバー31Pコイルを用いて行った。繰り返し時間は、136平均、512サンプルで10000msであった。分析は心電図(ECG)同期で行い、トリガー遅延を心臓拡張期で獲得するようにセットした。全スキャン時間は23分であった(5)。Java核磁気共鳴ユーザーインターフェイスv3.0(jMRUI)を分析に用いた。心臓のエネルギー論状態の尺度であるPCr/ATP比を決定するためにPCrおよびγ−ATPを用いた(6)。虚血性心疾患および糖尿病の患者(N=7)は、これらの疾患が心臓エネルギーを損なうことが知られているので、MRS試験から除外した(7,8)。禁忌の患者もMRS試験から除外した(N=5)。一人の患者のスペクトルは、品質がよくなかったため、分析から除外した。3人のコントロールがMRS試験に対して禁忌であった。患者の臨床状態を知らない分析者によってデータは個別に分析された。
【0021】
核医学的心室造影
LV駆出率および拡張期充満は、既に論じられているように(9,10)、安静時および自転車エルゴメーター上での段階的な半直立運動の間に核医学的心室造影によって測定した。各段階での開始時に心拍数安定化のために30秒置いた後、安静時および運動時で3分間データを取った。運動は、予備心拍数の50%負荷で行った。データは、サン・マイクロシステムズ社(ハンプシャー,UK)LinkMedical MAPSソフトウェアを用いて分析した。秒当たりの拡張終期カウント(end−diastolic count per second (EDC/s))を単位としたピーク左室充満速度および収縮末期後のミリ秒でのR−R間隔で正規化された(normalised for R−R interval)最大拡張到達時間(nTTPF)は、心臓拡張活動−時間カーブの最初の微分係数(derivative)から算出した。相対体積変化の決定と同様に物理的、生理的劣化を補正するために各スキャンの間重量測定および血液ガンマ活性のカウントのために静脈血サンプルを得た。(11)高い心拍数でのこれらの拡張期充満の放射性核種の測定の妥当性は、既に確立されている。(12)
すべての同期された血液プールスキャン由来体積(gated blood pool scan−derived volumes)は、体表面積で正規化し、拡張終期容積指数(end−diastolic volume index(EDVI))、収縮終期容積指数(end−systolic volume index(ESVI))、心拍出量指数(stroke volume index(SVI))、および心係数の各指標を算出した。次の指標:a)大動脈弾性率指標(arterial elastance index(EaI))=ESP/SVi;b)LV収縮終期弾性率指標(end−systolic elastance index(ELVI))=ESP/ESVIおよびc)心室血管整合比(vasculo−ventricular coupling ratio(VVC))=Eal/ELVI=(1/EF)−1を計算した。(13)
代謝運動試験
すべての参加者が、同時呼気分析を用いた標準的傾斜プロトコールを使って症候限界性直立トレッドミル運動を行った。(14)
統計
連続型変数は、平均±SDで表わされる。独立(unpaired)スチューデントのt検定(両側)を平均値間での差を評価するために用いた。カテゴリー変数はピアソンのカイ2乗検定を用いて比較した。報告したすべてのP値は、両側検定に基づいて計算し、P値が0.05未満を統計的有意性を示すとみなした。データセットの分散(Variances)は、F検定を用いて決定した。変数間の関係を記述するために、ピアソンの相関係数(r)を用いた。すべての被験者をモデル中に組み込んだ。単変量解析上の従属変数に関連することが見出された対象(interest)の変数は、独立変数を同定するためにステップワイズ線形回帰分析(stepwise linear regression analysis)中に含めた。統計操作を実行するためにSPSS(v15.0)を用いた。
【0022】
結果
得られた結果を下記表1〜3および図1および2に示す。
【0023】
図1において、有酸素運動能力(VOmax)と関連する変数を示す。パネルA:VOmaxはnTTPFにおける運動誘発性変化とは相関しなかった。パネルB:VOmaxは心室血管整合比における運動誘発性変化とは相関しなかった。パネルC:VOmaxは心拍数における運動誘発性変化に直接的に相関した。黒丸はHFpEF患者を、白丸は健常なコントロールを示す。ベータブロッカーの患者を分析から除外すると、有意性のレベルは同様であった。
【0024】
図2において、パネルAは、31P表面コイルに横たわったHFpEF患者のMR像を示し、対応する左室の局在化31P MRスペクトルをパネルBに示す。共鳴はPCrおよびATPのγ−、α−、そしてβ−リン酸エステル共鳴由来である。パネルCは、HfpEF患者およびコントロールでの個々のPCr/γ−ATP比である。PCr/γ−ATP比は健常なコントロールと比較して、HfpEF患者では有意に(P=0.003)減少していた。
【0025】
【表1−1】

【0026】
【表1−2】

【0027】
プラス−マイナス値は、平均値±SDである。ベータブロッカーの患者を分析から除外すると、安静時のHRは別として有意性のレベルは同じであった(P=0.14)。NYHAはニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)を、ACEはアンジオテンシン変換酵素を、ARBはアンジオテンシンII受容体ブロッカーを、BMIはボディ・マス・インデックスを、SBPは収縮期血圧(systolic blood pressure)を、DBPは、拡張期血圧(diastolic blood pressure)を、MABPは平均動脈圧(mean arterial blood pressure)を、LAは左心房を、E/Eは基準中隔比(basal inferoseptum ratio)での僧帽弁のE−波速度−E’組織速度(PW−TDI)を示し、Eesは左室収縮期末弾性率を示し、Eaは大動脈弾性率である。ボディ・マス・インデックスは、身長(メートル)の2乗で体重(キログラム)を割った値である。
【0028】
【表2】

【0029】
プラス−マイナス値は、平均値±SDである。ベータブロッカーの患者を分析から除外すると、運動時のピーク充満速度は別として有意性のレベルは同じであった(P=0.08)。EDCは拡張末期カウント(end diastolic count)である。SBPは収縮期血圧(systolic blood pressure)であり、DBPは、拡張期血圧(diastolic blood pressure)であり、MABPは、平均大動脈血圧(mean arterial blood pressure)である。相対的なΔ一回拍出係数は、SVi運動時/SVi安静時であり、相対的なΔ心拍出量係数(Cardiac Output Index)は、COi運動時/COi安静時である。相対的なΔELVlは、ELV運動時/ELV安静時である。相対的なΔElはE運動時/E安静時である。Δ心室血管整合比は、(Eal/ELVl)運動時−(Eal/ELVl)安静時である。ΔVVC−0.01±0.15−0.25±0.19<0.001
【0030】
【表3】

【0031】
数人の患者がベータブロッカーを服用したので変数に対して多変量解析で調節した。
【0032】
患者の特性
HFpEF患者は、一般的に、女性、肥満、高血圧の既往歴がある年齢67±9歳であったが、高血圧は十分に手当てを受けていた(収縮期BP138±19mmHg対131±23mmHg;p=0.23、患者対コントロール)(下記表1参照)。基準前外側左室壁での組織ドップラーE/E’(左室拡張終期圧の尺度)(15)は、コントロールよりも患者のほうが有意に高かった。コントロールよりも患者でEesがより高い傾向もあった(有意ではない)。HFpEF患者は、代謝運動試験において、VO2maxおよびピークHRが有意に減少もしていた。VO2maxおよびΔHR(HR運動時−HR安静時)間で正の相関があった(r=0.7、P<0.001)(図1参照)。半直立自転車運動間で相対的な1回拍出量(SVi運動時/SVi安静時)は、コントロール群と比較して患者でより低く(0.99±0.34対1.25±0.47;P=0.04)、相対的な心拍出量係数(COi運動時/COi安静時)もより低かった(1.36±0.45対2.13±0.72;p<0.001)。(表2参照)
左室能動的弛緩
nTTPFは能動的弛緩の速度(16)および僧帽弁開放の時間での経壁圧傾斜によって決定される。nTTPFは、HfpEF患者およびコントロールで安静時は同様であった。運動の間、コントロールでは短縮したが、患者では延長した(表2)。VOmaxおよびΔnTTPF(nTTPF運動時−nTTPF安静時)間で負の相関があった(r=−0.4、P=0.005)(図1参照)。さらに、運動の間、収縮機能パラメーター、例えばEFおよびピーク排出速度と同様に、ピーク充満速度のような他の核医学的心室造影拡張期充満変数は、コントロールに比べて患者で有意に減少した(表2参照)。
【0033】
左室収縮機能および心室血管整合(Vasculo−Ventricular Coupling)
VVCは、HfpEF患者およびコントロールで安静時は同様であった。運動時、全動脈樹の剛性の尺度であるLV大動脈弾性率は、患者およびコントロールの双方で増加したが、患者でより増加する傾向があった。LV収縮機能の尺度であるLV収縮期末弾性率は、コントロールで運動時に顕著に増加したが、患者では実質的にあまり増加しなかった。したがって、心室血管整合比は、運動時に患者では実質的に変化しなかったが、健常なコントロールでは運動時に実質的に低下し、さらに安静時LVEFおよびピーク排出速度は患者およびコントロールで同様であったが、運動時は両者とも患者群で低かった。運動時のVO2maxおよびΔVVC間で負の相関があった(r=−0.6、P<0.001)(図1)。
【0034】
インビボでの心筋のエネルギー状態
安静時、心臓のPCr/ATP比は健康なコントロール(N=17)と比較してHFpEF患者(N=24)では有意に減少していた、それぞれ1.57+0.52および2.14±0.63、P=0.003(図2参照)。
【0035】
有酸素運動能力の独立的予測因子
多変量解析において、線形回帰モデルを従属変数としてVOmaxを調べるために用い、HR、VVCおよびnTTPFにおける運動誘発性変化がVOmaxの独立的予測因子であることが見出された(表3参照)。
【0036】
考察
主な知見は、:a)HFpEF患者は安静時のPCr/ATP比において顕著な低下を示し、これは、運動時に悪化しやすい心筋エネルギー「保存」が損なわれていることを示す、b)当然の結果として、運動の間、拡張期のエネルギー要求的能動弛緩段階は患者において延びていて(これに対し、コントロールでは短縮していた)、これに伴ってLV収縮機能を増加させることができなくなっていた。これらの心臓拡張および収縮機能双方の併合した動的異常により、運動時に1回拍出量が低くなっていた。c)従来の研究と一致しているが、HFpEF患者は運動時に変時不全を示した。(17)d)この試験は、HfpEF患者を包括的に特徴付けるための心機能の(安静時よりも)動的時の評価が重要であることを明確に示す。
【0037】
HFpEFの病態生理学は、少なからず論議の主題となってきた。これらの患者は、典型的には高血圧であり、正常に機能しないLV能動的弛緩を示し、および/または安静時の受動的左室心臓拡張剛性(stiffness)の増加を示す(18)。これにより、運動制限が主としてLV拡張期充満の結果であると結論付けられ、「心拡張心不全」という用語を用いる者もいる(19)。しかしながら、心拡張不全は健康な老人においても安静時に共通して見られる(20)。さらに、収縮機能、特に長軸(long axis)収縮機能の「些細な」異常もLV駆出率が正常であるにもかかわらずHFpEF患者において普遍的に見られる(21)。これによりHFpEFが主に収縮機能の障害であることを提案しているものもある(22)。これらの双方の可能性を比較するために、我々は、HfpEF患者群の選択に対して我々の機構的研究の偏りを避けるために、(安静時の心拡張のパラメーターを用いるよりも)VO2maxによって評価されるような明白な心臓原因を用いて、運動制限としてHfpEFを決定した。
【0038】
大部分の患者が最も深刻な症状を経験する動的運動間での収縮および心拡張機能の変化にはほとんど注意が向けられてこなかった。ある研究では、HFpEF患者10人を非侵襲的な圧−容積ループ(pressure volume loops)で評価し、年齢が適合しているコントロールと比較した(23)。前者は大動脈弾性率(全動脈樹剛性の尺度)が増加し、LV収縮期末弾性(心収縮間の心室の剛性の尺度、および左室の収縮状態の相対的負荷独立尺度)が増加した(24)。心臓拡張の異常は、一般に安静時には患者においてみられなかった一方、ハンドグリップ運動の間に顕著な差が現れた。LV能動的弛緩速度は健康な対象において増加したが、患者では減少した(25)。同じ群からの他の研究、アフロカリビアン高血圧患者における運動関連症状は、運動時の変事不全および不十分な血管拡張保存と強く関連しているように思われる(26)。
【0039】
本試験は、運動がより生理学的に相関している形態(動的足運動)の間の患者のより大きな系統での運動制限の病態生理学機構および予測因子を調査した。患者では、左室の収縮および拡張機能での双方で顕著な動的異常およびより低いピーク運動HRが存在した。運動能力不全の独立的予測因子は、運動時の異常な心室血管整合、運動時のHR反応の減少および運動時のLV能動的弛緩速度の「矛盾した」減速(nTTPFの延長として顕著である)であった。これらの観察の相対的なロバスト性にもかかわらず、これらの変化が適応性である、または不適応性であるかどうかを決定することは、困難なままである。この困難の例としては、HfpEFにおける予測性運動能力における変時反応不全の独立値がある。例えば、VOmaxは、運動時の心拍出量によって大部分は決定され、後者は単に、HRおよびSVの産物である。これに基づけば、HR不全の有害な結果はもっともらしく思われる。しかしながら、能動的弛緩の著しい減速およびLV受動的心拡張剛性の増加の状況において、SVが増加する、および心臓エネルギー負荷が減少することによって、拡張期充満期がより長くなることは有益であることが期待される。これは一部分、HFpEFの古典的原因である肥大型心筋症におけるβブロッカー治療の効果によって説明される(27)。心房ペーシングによって増加する心拍数によってHFpEF患者において仰向けの安静時の1回拍出量および心拍出量が減少することが示されてきたので、後者もまたもっともらしく思われる(28)。にもかかわらず、拡張期充満期が延びるにもかかわらず、最大下運動時の間、SVにおける相対的変化は我々の患者においてはより低かった。しかしながら、限定的HRの間心臓の作業負荷を増加させることがなかったのは、限定されたエネルギー保存を伴う心臓がエネルギー的に極度の節約を行うという戦略を意味しているのであろう。最終的に、代わりの説明は、不十分な変事反応は単に心不全の結果、および/または引き金であるということである。(29)かような不全は、典型的には周期心不全を起こし、一部には迷走神経の損傷がみられる。(30)もしそうであれば、心拍応答型ペーシングの影響を受けやすいので、心拍数がHFpEFにおける運動制限の因果的役割を果たすかどうかを確認するためには、明らかにさらなる研究を行うことが重要であろう。
【0040】
HfpEFにおける心室血管整合不全の役割を解釈する際にも、同様の試みが必要となる。本試験における患者は高血圧の既往歴があるが、(多くの場合血管拡張剤などの)抗高血圧剤で十分な手当を受けていて、よって、安静時の血圧および大動脈弾性率はコントロール群よりも顕著に高くはなかった。従来の研究と一致して(31)、安静時には、LV収縮期末弾性(収縮性または収縮剛性の尺度)は患者群においてより高くなる傾向があったが、これはあまり重要ではない。運動時の大動脈弾性率の増加は、コントロール群に対して患者群でより増大する傾向があった(おそらく収縮剛性がより増加していることを反映している)。しかしながら、コントロールにおいて運動時の左室LV収縮期末弾性がほぼ倍であったのに対して、患者ではわずか35%の増加であり、したがって、コントロールでは運動時のVVCは33%減少したが、患者では変化がなかった。これらの知見は、運動時の左室収縮状態の生理的な増加の鈍化を示す。心拍数に伴う変化と同様に、これらの変化は、不適応性か、適応性であると解釈される。疾患の高い「相対負荷」に対して十分に収縮機能を増加させることができず、それ故、心臓のエネルギー効率を最適化できないことがHfpEFの一因となっていると考えられる。一方、LV収縮期末弾性の増加がより小さいことにより、心拍出量における損なわれた動的増加を犠牲にして、すでにエネルギー制約のある心臓においてエネルギー要求の絶対的増加が減少するであろう。
【0041】
これらの観察を総合すると、LV収縮機能を増加させることができないことと同様に、動的エネルギー損失が運動時のLV能動的弛緩の遅延の主な原因であると我々は考える。仮説を一般化するために、心臓エネルギー欠乏の確立された原因(虚血性心疾患および糖尿病)を有する患者を除外することによって我々の試験に可能性のあるバイアスを避けた(32,33)。にもかかわらず、PCr/ATP比は、依然として安静時のコントロールに対してHfpEF患者では実質的に減少した。患者においてPCr/ATP比がより低いことは、安静時に高ネルギーリン酸保存(high energy phosphates reserveratio)が減少していることを示す(34,35)。心臓MRSシグナルを得るのに必要な時間は、運動時の高エネルギーリン酸状態の測定の妨げとなるが、どんな基準エネルギー損失も動的に悪化する可能性がある。動的エネルギー損失の悪化は、nTTPFによって顕在化する、エネルギー要求的能動弛緩の延長を説明するであろう。さらに、より低い心拍数およびLV収縮期末弾性のより少ない増加は、動的心臓エネルギー要求を制限するための戦略を表わすのであろう。この安静時のエネルギー欠損の原因は、インスリン耐性(36)、加齢によるミトコンドリア機能の損失(37)、ならびに神経内分泌活性および異常基質代謝(38)に関連しうる。かような知見は、心臓の基質の利用を変えることによって心臓エネルギー状態を増加させる「代謝剤」の治療的価値を評価するための論理的根拠をもたらす(39)。これらの薬剤は、収期不全の患者に希望となるであろう(40)。
【0042】
試験の制限
放射性核種運動プロトコールには、安静時HRよりHRを50%保存しているHRを維持するために患者に質問を行うことが含められていた。このHR保存はピークHR速度に較正されるため、患者における絶対的作業負荷はより低かった。これは患者におけるより高い相対負荷を表わすので、比較される患者を同時に負荷をかけることは適切ではない。さらに、SVにおける多くの変化は、原始的にはHRの増加による心拍出量の続いての増加を伴って、運動の最初の段階で起こる(41)。患者のごく一部は運動時の心血管反応に影響を与えるβ−ブロッカーを服用していたが、これらの患者を分析から除外した場合、知見および有意性のレベルは変化しなかった。また、カルシウムブロッカーを服用している患者もいたが、これらはすべて末梢で作用し(高血圧に対するジヒドロピリジン類)、したがって、心筋に影響を与えるとは考えられない。理想的には我々は運動時の心臓エネルギー論を測定したかったが、MRスキャナーの閉鎖状態で同じ動的足運動を再現しようとしたら、運動時の心臓MRS試験は今のところ非常に挑戦的である。MRSおよび放射性核種試験はまた正常リズム(regular rhythm)を必要とするので、心房細動のある患者は試験から除外した。対照的に、放射性核種試験の強化は、より高い心拍数での一時的な分解能を増加させた。これは、運動心エコーとともにしばしば経験されるように交絡(confounding)E:A融合(fusion)を未然に防ぐ。放射性核種試験は、したがって、E:A融合(fusion)がない患者のサブグループに向けての体系的にバイアス機械的な(systematically biasing mechanistic)HfpEFの影響を受けない。
【0043】
結論
HFpEF患者は、動的に悪化している場合に運動時の異常な能動的弛緩およびLV収縮期末弾性増加不全の原因となっている異常な安静時心臓エネルギー状態を有している。また、変時性反応は患者において運動時に明らかに損なわれていた。HFpEFを有する患者の運動能力の非依存的予知因子は、能動的弛緩、心拍数および心血管整合における運動誘発性変化である。
【0044】
実施例2
試験は、HCMの心臓エネルギー状態におけるエネルギー欠乏に対する原因としての働きを確立し、ペルヘキシリンの影響を評価するために行った。
【0045】
試験は、サウスバーミンガム研究倫理委員会(South Birmingham Research Ethics Committee)によって支援され、研究はヘルシンキ宣言(the Declaration of Helsinki)において要約された原則を順守している。すべての試験の参加者に書面のインフォームドコンセントを提供した。試験は最低3か月持続して(minimum 3 months duration)、無作為、二重盲検、プラセボでコントロールされた並行群形式で行った。図3は、試験のフローチャートを示す。予め設定された一次エンドポイント(primary end point)は、ピーク酸素消費(ピークVO)であった。予め設定された二次エンドポイントは、症状(symptomatic status)、安静時心筋エネルギー(PCr/γ−ATP比)および安静時および運動時の拡張機能(nTTPF)であった。同じ年齢および性別の33人のコントロールをHCM患者の基本データとの比較のために集めた。すべてのコントロールは通常のECGおよび心エコー図(LVEF≧55%)を有し、心血管疾患の既往歴および症状がなかった。
【0046】
ハートホスピタル(The Heart Hospital)、ユニバーシティカッレジロンドン病院、ロンドンおよびクイーンエリザベスホスピタル(Queen Elizabeth Hospital)、バーミンガム、UKにおいて、2006〜2008年の間に、専用心筋症クリニックから患者を集めた。試験対象患者基準は、ピークVOの減少があり(年齢および性別から予測される75%未満)、安静時に顕著なLVOT閉塞がない(勾配(gradient)<30mmHg)、洞律動における(in sinus rhythm)18〜80歳の症候性HCM患者(主な兆候は息切れ)であった。除外基準は、心外膜冠動脈疾患の存在、異常な肝機能試験、アミオダロンまたは選択的セロトニン再取り込み阻害薬との併用(ペルヘキシリンとの相互作用の可能性のため)、末梢神経障害および妊娠の可能性がある女性であった。ペルヘキシリンは抗−糖尿病治療においてそのような患者において減少させる必要がある血漿グルコースの低下をもたらすので、糖尿病患者もまた試験の盲検性を維持するために除外した。これらの参加基準を満たした46人の同意した患者が試験で集められた。
【0047】
患者は以下の複数の試験および評価を受けた。
【0048】
心肺運動試験
各試験の前に較正したSchiller CS−200 Ergo−Spiroエクササイズマシンを用いて行われた。被験者は肺活量測定を行い、これは、同時呼気分析とともに標準的傾斜プロトコールを用いた症候限界性直立トレッドミル試験に続けて行われた(Bruce RA,McDonough JR.Stress testing in screening for cardiovascular disease.Bull N Y Acad Med 1969;45(12):1288−1305.;Davies NJ,Denison DM.The measurement of metabolic gas exchange and minute volume by mass spectrometry alone.Respir Physiol 1979;36(2):261−267)。ピーク酸素消費(ピークVO2)を運動の間に達成された最も高いVO2として規定し、ml/min/kgで表わした。
【0049】
症状(symptomatic status)の評価
全てのHCM患者は、心不全で生存しているミネソタアンケートスコア(Minnesota living with heart failure questionnaire score)を記入し、またNYHAクラスでも評価した。
【0050】
経胸壁心エコー
Vivid7心エコー装置(GE Healthcare)および2.5−MHzトランスデューサーを用いて左側臥位で参加者に対して心エコーを行った。安静時のスキャンは標準的な4室短軸径(apical 4−chamber)および2室短軸径(apical 2−chamber)で得た。LV体積は2方向(biplane)心エコーによって求め、LVEFは修正された(modified)シンプソンの公式から求めた(Lang RM,Bierig M,Devereux RB et al.Recommendations for chamber quantification:a report from the American Society of Echocardiography’s Guidelines and Standards Committee and the Chamber Quantification Writing Group,developed in conjunction with the European Association of Echocardiography,a branch of the European Society of Cardiology.J Am Soc Echocardiogr 2005;18(12):1440−1463.)。脈波ドップラーサンプル体積(Pulse wave doppler sample volume)を安静時のLVOTO勾配を評価するために用いた。
【0051】
核医学的心室造影
拡張期充満は、安静時および自転車エルゴメーター上での段階的な半直立運動の間に標準的な技術を用いて平衡R−波ゲート血液プールシンチグラフィによって評価した(Atherton JJ,Moore TD,LeIe SS et al.Diastolic ventricular interaction in chronic heart failure.Lancet 1997;349(9067):1720−1724;LeIe SS,Macfarlane D,Morrison S,Thomson H,Khafagi F,Frenneaux M.Determinants of exercise capacity in patients with coronary artery disease and mild to moderate systolic dysfunction Role of heart rate and diastolic filling abnormalities.Eur Heart J 1996;17(2):204−212)。秒あたりの拡張終期カウント(EDC/s)を単位としてピーク左室充満速度およびミリ秒でのR−R間隔で正規化された(normalised for R−R interval)最大拡張到達時間(nTTPF)を安静時および運動時(予備心拍数の50%)に測定した。心拍数が高いときの拡張期充満のこれらの放射性核種測定の妥当性は、これまでに確立されてきた(Atherton et al.and LeIe et al.,上記参照)。
【0052】
31P心臓磁気スペクトロスコピー(MRS)
ビボにおける心筋エネルギー学は3−Teslaフィリップス社Achieva 3TスキャナーでMRSを用いて測定した(Shivu GN,Abozguia K,Phan TT,Ahmed I,Henning A,Frenneaux M.(31)P magnetic resonance spectroscopy to measure in vivo cardiac energetics in normal myocardium and hypertrophic cardiomyopathy:Experiences at 3T.Eur J Radiol 2008)。Java核磁気共鳴ユーザーインターフェイスv3.0(jMRUI)を分析に用いた(Naressi A,Couturier C,Castang I,de Beer R,Graveron−Demilly D.Java−based graphical user interface for MRUI,a software package for quantitation of in vivo/medical magnetic resonance spectroscopy signals.Comput Biol Med 2001;31(4):269−286)参照)。心臓のエネルギー論状態の尺度であるPCr/γ−ATP比を決定するためにPCrおよびγ−ATPピークを用いた(Neubauer S, Krahe T,Schindler R et al.31P magnetic resonance spectroscopy in dilated cardiomyopathy and coronary artery disease.Altered cardiac high−energy phosphate metabolism in heart failure.Circulation 1992;86(6):1810−1818)。参加者の臨床状態を知らない分析者によってデータは分析された。クラメルラオ比(Carmeo−Rao ratio)をノイズ比に対するシグナルを評価するために用いた。HCM患者の心臓31P MRSスペクトルの典型的な例を図4Cに示す。
【0053】
治療介入(Intervention)
基本試験に続いて、ペルヘキシリン(n=25)またはプラセボ(n=21)100mgODのどちらかを投与するために患者を二重盲検法で無作為化した。血清ペルヘキシリンレベルを薬物開始後1および4週間後に得た。投与量の調整は、治療レベルを達成し、薬物毒性を避けるために、血清レベルにしたがって内容を知らされていない医師による助言を受けた。観察者の盲検性が維持されていることを確かにするために、内容を知らされていない観察者によって、同様の投与量の調整が、無作為に割り当てられたプラセボ投与患者に対してもなされた。試験の最後に、前述したように患者を再度評価した。
【0054】
統計分析
Windows版SPSS ver.15.0およびMicrosoft Office Excel 2007を用いてデータを解析し、平均±標準偏差(SD)として表した。変数が通常に分布している場合には独立(unpaired)スチューデントのt検定(両側)によって、データが一般的に分布していない場合には、マン・ホイットニーのU検定によって、ペルヘキシリンおよびプラセボ基本データ間の連続型変数の比較を決定した。処置後のペルヘキシリン対プラセボ群における相違の有意性を評価するために、共変量として基本値(baseline value)を用いたANCOVAを行った。一次エンドポイントに対して、90%の検出力(power)および5%確率(probability)で、プラセボ群に対して、3ml/kg/minのピークVo2における変化を検出するために、必要とされるサンプルサイズは44である。検出力90%およびp値<0.05である心臓PCr/ATP比における5%変化を同定するためには30人の患者が必要となるであろう。0.99の検出力、5%確率である、nTTPFにおける25%以上の変化を検出するためには、40人の患者が必要となるであろう。したがって、脱落を含めて50人を研究し、これらのうち32人がMRS試験に参加するであろう。
【0055】
参加者の特性および処置を下記表1に示す。VO2はピーク酸素消費を示し、ACEはアンジオテンシン変換酵素を示し、ARBはアンジオテンシンII受容体阻害薬を示す。
【0056】
【表4】

【0057】
基本データ(HCM対コントロール)
全てのHCM患者およびコントロールの臨床特性および心肺運動試験結果を表1に示す。グループは、年齢および性別に対して非常に一致していた。投薬使用(ベータブロッカーおよび/またはカルシウムチャネルブロッカー)によってコントロールと比較してHCM群では心拍数が低かった。
【0058】
安静時の心臓PCr/γATP比は、コントロールよりHCM患者で低く(1.28±0.01対2.26±0.02,p<0.0001)(図4AおよびB参照)、ベータブロッカー治療を受けている患者を除いた後でもそのままであった(p<0.0001)。安静時、LV弛緩の感受性マーカーであるnTTPFは、HCM患者およびコントロールで同じであった(0.17±0.002対0.18±0.003秒,p=0.44)。最大下運動(予備心拍数の50%が達成される作業負荷で)の間、コントロールでは比較的一定であった(0.18±0.003秒から0.16±0.002秒、[δnTTPF=−0.02±0.003秒])が、患者群では増大した(0.17±0.002から0.34±0.002秒、[δnTTPF=+0.17±0.002秒])p<0.0001)(図4C)。このパターンはベータブロッカーを服用している患者を除外した後でも維持され、コントロールから有意に相違したままであった(p<0.0001)。患者はコントロールと比較して明らかな運動制限を示した(23±0.12対38±0.24ml/kg/min,p<0.0001)(図4D)。
【0059】
無作為化、二重盲検、プラセボでコントロールされた並行群
ペルヘキシリンおよびプラセボ群は非常に一致した(表1参照)。プラセボ投与の一人の患者だけが低コンプライアンスにより試験を完了しなかった。副作用は、処置の最初の1週間の間の、ペルヘキシリン群における一過性の吐き気(n=3)および目まい(n=2)、ならびにプラセボ群における一過性の吐き気(n=2)および頭痛(n=1)に限定された。試験の間に死亡した人はいなかった。
【0060】
心筋エネルギー論
PCr/γATP比は、プラセボ(1.29±0.01から1.23±0.01)と比較して、ペルヘキシリン投与で増加した(1.27±0.02から1.73±0.02)、p=0.003(図5A参照)。PCrおよびγATPに対する平均クラメル−ラオ比は、それぞれ7.5%および10.8%であった。分析からクラメル−ラオ比>20である3人の患者を含めた後でも、PCr/γATP比におけるペルヘキシリンの効果は有意なままであった(p=0.02)。
【0061】
拡張期心室充満
プラセボ群では治療前後で運動の間nTTPFが同じように延びた(それぞれ0.17±0.004から0.35±0.005[δnTTPF 0.18±0.006秒]および0.23±0.006から0.35±0.005秒[δnTTPF 0.12±0.006秒])のに対し、ペルヘキシリン群では、安静時および運動時で同様にnTTPFにおいて治療で実質的に向上し(0.19±0.003から0.19±0.004秒[δnTTPF 0.00±0.003秒])、ペルヘキシリンおよびプラセボ反応間でp=0.03であった(図5Bおよび5C参照)。
【0062】
症状
ペルヘキシリン群でプラセボ群より多くの患者がNYHA分類において改善し(67パーセント対30パーセント)、悪化したのはより少なかった(8パーセント対20パーセント)(p<0.001)。心不全で生存しているミネソタアンケートスコア(Minnesota living with heart failure questionnaire score)は、ペルヘキシリン群において改善を示し(スコアが低下し)(36.13±0.94から28±0.75まで)、プラセボ群において変化しなかった(p<0.001)(図5Dおよび5E参照)。
【0063】
運動能力(ピーク酸素消費)
基準値でのピークVoはペルヘキシリンおよびプラセボ群において同じであった(表1)。処置後、ピークVO2は、プラセボ群において−1.23ml/kg/分低下し(23.56±0.27から22.32±0.27ml/kg/分まで)、ペルヘキシリン群では2.09ml/kg/分増加した(22.2±0.2から24.29±0.2ml/kg/分まで),p=0.003(図5F参照)。
【0064】
結果の議論
試験により症候性HCMの患者が安静時の心臓エネルギー欠乏(PCr/γATP比の減少)を表わすことが示される。この欠陥は、運動時のエネルギー要求的初期拡張LV能動的弛緩の遅延(nTTPFの延長)を伴った。代謝調節剤のペルヘキシリンは、顕著な心筋エネルギー増強をもたらした。HCMの病態生理学においてエネルギー欠乏の原因となる役割を支持するものとして、運動時のHCMの特徴的「矛盾した」nTTPF−延長の正常化を引き起こすことによってこのエネルギー増強がもたらされた。これらの生化学的、生理学的向上は、既に至適薬物治療を受けている症候性HCM患者における顕著な主観的(NYHA分類およびQoLスコア)および客観的(VO2)臨床的利点として現れた(図6参照)。
【0065】
全ての引用された文献の内容は、全ての目的に対して、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0066】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
HfnEFの治療における使用のためのペルヘキシリン、またはこの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記ペルヘキシリンが薬学的に許容される塩の形態である、請求項1に記載の使用のためのペルヘキシリン。
【請求項3】
前記ペルヘキシリンがマレイン酸エステルの形態である、請求項2に記載の使用のためのペルヘキシリン。
【請求項4】
HfnEFを治療するためにペルヘキシリン、またはこの薬学的に許容される塩の有効量を必要とする動物に投与することを含む、HFnEFの治療方法。
【請求項5】
前記動物が哺乳類である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記哺乳類がヒトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
HFnEFまたはこの兆候の治療に有効な一以上の他の化合物とともにペルヘキシリンを同時に使用する、または同時に投与することを含む、HFnEF治療用の治療プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527438(P2012−527438A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511329(P2012−511329)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050539
【国際公開番号】WO2010/133815
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.WINDOWS
【出願人】(511280869)ハート メタボリクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】