説明

歩幅推測方法、移動軌跡算出方法及び歩幅推測装置

【課題】歩幅をより正確に推測するための新たな手法を提案すること。
【解決手段】ナビゲーション装置1において、加速度センサー41の検出結果に対するフィルター処理が行われ、Z軸の加速度のピークが検出されることで、ユーザーの歩行が検出される。そして、フィルター処理されたZ軸の加速度を用いて、ユーザーの歩行速度に応じて予め定められた相関モデル式に従ってユーザーの歩幅が推測される。また、ジャイロセンサー43の検出結果に対してもフィルター処理が行われ、フィルター処理されたZ軸回りの角速度に対する積分処理が行われて、ユーザーの歩行方向が推測される。そして、推測された歩幅と歩行方向とを用いて、ユーザーの移動軌跡が算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩幅推測方法、移動軌跡算出方法及び歩幅推測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーの歩幅を推測する歩幅推測装置として、加速度センサーを備え、この加速度センサーにより検出された加速度の時間変化分から、予め定められたテーブルを参照して歩幅を推測するものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−152355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーの歩幅は、歩行距離を算出したり、現在のユーザーの位置を算出してユーザーの移動軌跡を算出したりする際に必要不可欠な情報であるため、なるべく正確に推測する必要がある。しかし、歩幅は、ユーザーの体格や歩き方等の要素によって変化する。そのため、固定的なテーブルを用いて歩幅を推測する特許文献1の技術では、歩幅を正確に推測することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、歩幅をより正確に推測するための新たな手法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための第1の形態は、ユーザーの上下動の加速度を検出することと、検出された前記加速度が大きくなるほど歩幅を大きくする当該加速度と歩幅との相関度合を前記ユーザーの速度に基づいて変更して、検出された前記加速度を用いて歩幅を推測することと、を含む歩幅推測方法である。
【0007】
また、他の形態として、ユーザーの上下動の加速度を検出する加速度検出部と、前記加速度検出部により検出された前記加速度が大きくなるほど歩幅を大きくする当該加速度と歩幅との相関度合を前記ユーザーの速度に基づいて変更して、検出された前記加速度を用いて歩幅を推測する歩幅推測部と、を備えた歩幅推測装置を構成してもよい。
【0008】
この第1の形態等によれば、ユーザーの上下動の加速度が大きくなるほど歩幅を大きくする当該加速度と歩幅との相関度合をユーザーの速度に基づいて変更して、検出された加速度を用いて歩幅を推測する。詳細は後述するが、実験の結果、ユーザーの上下動の加速度とユーザーの歩幅との間には正の相関があることがわかった。また、加速度の変化に対する歩幅の変化の割合は、ユーザーの速度に応じて変化することがわかった。そのため、ユーザーの速度に基づいて加速度と歩幅との相関度合を変更することにより、ユーザーの歩幅をより正確に推測することが可能となる。
【0009】
また、第2の形態として、第1の形態の歩幅推測方法であって、前記ユーザーの速度が高速になるほど、前記加速度の変化に対する歩幅の変化の割合を小さくするように前記相関度合を変更することを含む、歩幅推測方法を構成してもよい。
【0010】
この第2の形態によれば、ユーザーの速度が高速になるほど、加速度の変化に対する歩幅の変化の割合を小さくするように相関度合を変更することで、ユーザーの速度に応じた適切な歩幅推測を実現することができる。
【0011】
また、第3の形態として、第1又は第2の形態の歩幅推測方法であって、前記推測することは、前記相関度合を用いた前記加速度と歩幅との相関モデル式を用いて歩幅を推測することである、歩幅推測方法を構成してもよい。
【0012】
この第3の形態によれば、ユーザーの上下動の加速度と歩幅との相関モデル式を用いることで、歩幅を簡易に求めることができる。
【0013】
また、第4の形態として、第1〜第3の何れかの形態の歩幅推測方法であって、検出された前記加速度から低周波成分を抽出することを更に含み、前記推測することは、前記抽出された低周波成分の前記加速度を用いて歩幅を推測することである、歩幅推測方法を構成してもよい。
【0014】
この第4の形態によれば、検出したユーザーの上下動の加速度から低周波成分を抽出し、抽出した低周波成分の加速度を用いて歩幅を推測する。ユーザーの上下動の加速度には、高周波のノイズ成分が含まれ得る。そのため、ユーザーの上下動の加速度から低周波成分を抽出し、当該加速度を用いて歩幅を推測することで、歩幅推測の正確性を向上させることができる。
【0015】
また、第5の形態として、第4の形態の歩幅推測方法であって、前記ユーザーの速度に応じて、前記抽出する周波数帯域を変更することを含む、歩幅推測方法を構成してもよい。
【0016】
この第5の形態によれば、ユーザーの速度に応じて、ユーザーの上下動の加速度から抽出する周波数帯域を変更することで、歩幅推測の正確性が一層向上する。
【0017】
また、第6の形態として、第1〜第5の何れかの形態の歩幅推測方法によりユーザーの歩幅を推測することと、ジャイロセンサーを用いて前記ユーザーの歩行方向を推測することと、推測された前記歩幅及び前記歩行方向を用いて、前記ユーザーの移動軌跡を算出することと、を含む移動軌跡算出方法を構成してもよい。
【0018】
この第6の形態によれば、ジャイロセンサーを用いてユーザーの歩行方向を推測し、推測した歩幅及び歩行方向を用いて、ユーザーの移動軌跡を算出する。上述した形態の歩幅推測方法により推測した歩幅と、ジャイロセンサーを用いて推測した歩行方向とを用いることで、ユーザーの移動軌跡を適切に求めることができる。
【0019】
また、第7の形態として、第6の形態の移動軌跡算出方法であって、前記歩行方向を推測することは、前記ジャイロセンサーの検出結果から低周波成分を抽出することと、前記ユーザーの速度に応じて、前記抽出する周波数帯域を変更することと、前記抽出された前記ジャイロセンサーの低周波成分の検出結果を用いて、前記歩行方向を推測することと、を含む、移動軌跡算出方法を構成してもよい。
【0020】
この第7の形態によれば、ジャイロセンサーの検出結果から低周波成分を抽出し、ユーザーの速度に応じて、抽出する周波数帯域を変更する。そして、抽出したジャイロセンサーの低周波成分の検出結果を用いて、ユーザーの歩行方向を推測する。ユーザーの上下動の加速度と同様、ジャイロセンサーの検出結果にも高周波のノイズ成分が含まれ得るため、検出結果から低周波成分を抽出することで、ユーザーの歩行方向をより正確に推測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成図。
【図2】フィルター処理の前後における加速度の時間変化の一例を示す図。
【図3】フィルター処理の前後における加速度の時間変化の一例を示す図。
【図4】加速度と歩幅との相関関係の一例を示す図。
【図5】加速度と歩幅との相関関係の一例を示す図。
【図6】加速度と歩幅との相関関係の一例を示す図。
【図7】ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図。
【図8】処理部を機能ブロックで表したブロック図。
【図9】歩行速度域判定用テーブルのテーブル構成の一例を示す図。
【図10】閾値周波数決定用テーブルのテーブル構成の一例を示す図。
【図11】相関モデル式データのデータ構成の一例を示す図。
【図12】センサーデータのデータ構成の一例を示す図。
【図13】移動軌跡データのデータ構成の一例を示す図。
【図14】移動軌跡算出処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、歩幅推測装置及び移動軌跡算出装置を備えた電子機器の一種である着脱式のナビゲーション装置に本発明を適用した場合の実施形態について説明する。但し、本発明を適用可能な実施形態が以下説明する実施形態に限定されるわけではない。
【0023】
1.概略構成
図1は、本実施形態における着脱式のナビゲーション装置1を歩行者であるユーザーが装着した様子及びナビゲーション装置1の概略構成の説明図である。ナビゲーション装置1は、操作部20からの指示操作に従って、歩行者であるユーザーの歩幅の推測や移動方向の推測、移動軌跡の算出等を行う機能を有する電子機器であり、図1に示すように例えばユーザーの右腰に装着されて使用される。
【0024】
ナビゲーション装置1は、加速度センサー41及びジャイロセンサー43を有するセンサー部40を具備している。そして、加速度センサー41により検出された加速度に基づいてユーザーの歩行を検出するとともに、加速度と歩幅との相関関係を表すモデル式に従って歩幅を推測する。また、ジャイロセンサー43により検出された角速度に基づいてユーザーの移動方向を推測する。そして、推測した歩幅及び移動方向を用いてユーザーの位置を逐次的に算出していくことでユーザーの移動軌跡を算出し、表示部30に表示させる。
【0025】
加速度センサー41は、直交3軸の加速度を検出するセンサーであり、歪みゲージ式や圧電式の何れであってもよく、またMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサーであってもよい。また、ジャイロセンサー43は、直交3軸の角速度を検出するセンサーであり、加速度センサー41と軸方向が同一となるように配置設定されている。尚、図1では、加速度センサー41とジャイロセンサー43とを独立したセンサーとして図示しているが、加速度センサー41とジャイロセンサー43とは一体型のセンサーであってもよい。
【0026】
本実施形態では、ユーザーから見て前後方向の前方向を「X軸の正方向」、左右方向の右方向を「Y軸の正方向」、上下方向(鉛直方向)の下方向を「Z軸の正方向」とする直交3軸の座標系として説明する。また、説明を分かり易くするために、加速度センサー41及びジャイロセンサー43の検出軸の軸方向及び各軸の正方向を、X軸,Y軸,Z軸の軸方向及び正方向と同じとして説明する。但し、実際には異なっていてもよいのは勿論である。加速度センサー41及びジャイロセンサー43の検出軸と、X軸,Y軸,Z軸の軸方向とは相対的な関係でユーザーに固定されるため、行列計算によって、加速度センサー41及びジャイロセンサー43の検出結果から、X,Y,Zそれぞれの値を算出することができる。
【0027】
2.原理
2−1.歩数検出の原理
先ず、本実施形態における歩数検出の原理について説明する。歩数は、加速度センサー41により検出された直交3軸の加速度のうち、ユーザーの上下動の加速度であるZ軸の加速度に基づいて検出する。
【0028】
具体的には、Z軸の加速度の時系列変化において、加速度がピーク(極大値)となった時刻においてユーザーにより一歩が踏み出されたものと判定し、一歩とカウントする。しかし、加速度センサー41により検出されるZ軸の加速度には高周波のノイズ成分が含まれ得る。そのため、一歩であると思って検出した加速度のピークが“真の”ピークではなく、単なるノイズ成分である“偽の”ピークである場合があり、歩数のミスカウントに繋がるという問題がある。
【0029】
上述したZ軸の加速度に含まれるノイズは高周波の成分である。そこで、本実施形態では、Z軸の加速度に対してフィルター処理を行うことで、加速度センサー41により検出されるZ軸の加速度の低周波成分を抽出する。具体的には、歩行時の1歩1歩の周波数(1秒当たりの歩数)は、高く見積もっても5[Hz]程度であり、10[Hz]となることはないと言える。そのため、数[Hz]をカットオフ周波数(所定の閾値周波数)として、それよりも高い周波数成分をカットすることで、加速度の低周波成分、すなわち歩行時の加速度の成分を抽出する。そして、抽出した低周波成分の加速度のピークを検出して一歩と判定する。ある加速度のピークから次の加速度のピークまでの時間が「一歩に要する時間」である。
【0030】
さらに、本実施形態では、上述したフィルター処理を行う際の閾値周波数を、ユーザーの速度に応じて可変に設定する。本願発明者が実験を行った結果、ユーザーの速度によってZ軸の加速度に含まれる周波数成分が異なることがわかった。具体的には、ユーザーの速度が高速になるほど、Z軸の加速度の振幅は大きくなり、振動の周期は短くなる傾向がある。すなわち、ユーザーの速度が高速になるほど、より高周波の成分がノイズとしてZ軸の加速度に含まれる傾向がある。そこで、本実施形態では、ユーザーの速度が高速であるほど、閾値周波数を高く設定して加速度に対するフィルター処理を行う。
【0031】
図2及び図3は、Z軸の加速度の生のデータと、Z軸の加速度に対してフィルター処理を行った後のデータとを対比した実験結果を示す図である。ユーザーの歩行速度を「高速」にして、実際に加速度センサー41により検出されるZ軸の加速度に対して閾値周波数を変えてフィルター処理を施す実験を行った。但し、この実験における閾値周波数の適正値は4.0[Hz]である。
【0032】
図2は、閾値周波数を適正値よりも低い2.5[Hz]としてフィルター処理を行った場合の実験結果を示す図であり、図3は、閾値周波数を適正値である4.0[Hz]としてフィルター処理を行った場合の実験結果を示す図である。これらの図において、横軸は時間を示しており、縦軸はフィルター処理の前後のZ軸の加速度を示している。また、フィルター処理を施す前の加速度を波線で、フィルター処理を施した後の加速度を実線で示している。
【0033】
何れの図においても、フィルター処理を施す前においては、Z軸の加速度は高周波成分を含んでおり、上下方向に大きな振幅で細かく振動していることがわかる。一方、フィルター処理を施した後においては、Z軸の加速度から高周波成分が除去されて、加速度が平滑化されていることがわかる。
【0034】
図2では、閾値周波数を適正値よりも低くしてフィルター処理を行ったため、高速歩行時の加速度の成分が必要以上にカットされてしまい、検出された加速度のピーク数と実際の歩数とは乖離する結果が得られた。一方、図3では、閾値周波数を適正値としてフィルター処理を行ったため、高速歩行時の加速度の成分が適切に抽出され、検出された加速度のピーク数と実際の歩数とは一致する結果が得られた。
【0035】
2−2.歩幅推測の原理
次に、歩幅推測の原理について説明する。本実施形態では、Z軸の加速度と歩幅との相関関係を表すモデル式として予め定められた歩幅推測モデル式に従って歩幅を推測する。本願発明者は、上述したフィルター処理を施した後のZ軸の加速度と、ユーザーの歩幅との間には相関関係があることを発見した。
【0036】
図4〜図6は、Z軸の加速度と歩幅との相関関係を説明するための図である。ユーザーの歩行速度を「低速」、「中速」、「高速」の3つの歩行速度域に分類し、それぞれの歩行速度域について、フィルター処理を施した後のZ軸の加速度と歩幅との関係を調べる実験を行った。図4は歩行速度域を「低速」とした場合の実験結果であり、図5は歩行速度域を「中速」とした場合の実験結果であり、図6は歩行速度域を「高速」とした場合の実験結果である。1つのプロットが1つの実験結果を表している。
【0037】
これらの図を見ると、何れの歩行速度域においても、Z軸の加速度が大きくなるほど、歩幅が大きくなっていることがわかる。つまり、Z軸の加速度と歩幅との間には正の相関がある。本実施形態では、Z軸の加速度と歩幅との相関関係を一次関数で近似した相関モデル式を用意しておき、当該相関モデル式に従ってユーザーの歩幅を推測する。
【0038】
また、図4〜図6を見ると、歩行速度域が低速から高速に近づくほど、Z軸の加速度の変化に対する歩幅の変化の割合が小さくなり、相関モデル式を一次関数とした場合にはその傾きが小さくなっていくことがわかる。すなわち、ユーザーの歩行速度によって、Z軸の加速度と歩幅との相関の度合いが異なることがわかる。そこで、本実施形態では、ユーザーの歩行速度域に応じた異なる相関モデル式を用意しておき、判定したユーザーの速度に対応する相関モデル式に従って歩幅を推測する。
【0039】
2−3.歩行方向推測の原理
次に、歩行方向推測の原理について説明する。本実施形態では、ジャイロセンサー43により検出された上下方向(Z軸)の軸回りの角速度に基づいてユーザーの歩行方向を推測する。すなわち、Z軸はヨー軸に相当するため、ヨー軸の軸回りの角速度に基づいて歩行方向を推測する。
【0040】
具体的には、ジャイロセンサー43により検出された角速度に対して、加速度センサー41の検出結果と同様にフィルター処理を行うことで、角速度を平滑化する。そして、平滑化されたヨー軸の軸回りの角速度に対して積分処理を行ってユーザーの移動方向を推測する。すなわち、歩数検出において判定された一歩に要する時間におけるヨー軸の軸回りの角速度を積分して、当該時間におけるユーザーの歩行方向の変化量を算出する。そして、算出した歩行方向の変化量を前回(最新)の歩行方向に加算することで、ユーザーの今回の歩行方向を推測する。
【0041】
角速度のフィルター処理においては、上述した歩数検出の場合と同様、ユーザーの速度によって閾値周波数を可変に設定してフィルター処理を行う。図示は省略するが、実験の結果、Z軸回りの角速度の時間変化は、Z軸の加速度の時間変化とほぼ同様の傾向を示すことがわかった。すなわち、ユーザーの速度が高速になるほど、より多くの高周波成分がノイズとしてZ軸回りの角速度に含まれる傾向がある。この結果に基づいて、ユーザーの速度が高速になるほど、閾値周波数を高く設定して角速度に対するフィルター処理を行う。
【0042】
また、ジャイロセンサー43により検出される角速度は、時間変化に伴って誤差が増加していく傾向がある。すなわち、検出開始からの経過時間に応じて検出誤差が漸増していくため、積分処理で求められる歩行方向にも誤差が累積していく傾向がある。そこで、本実施形態では、積分処理で求められた歩行方向の時間変化のうち、所定角度(例えば3度)以下の角度の変化を除去する処理を行う。すなわち、所定角度以下の歩行方向の変化量を強制的に“0”に修正する修正処理を行い、修正された歩行方向をユーザーの歩行方向と推測する。
【0043】
3.機能構成
図7は、ナビゲーション装置1の機能構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、処理部10と、操作部20と、表示部30と、センサー部40と、GPS位置算出部50と、記憶部60とを備え、各部がバス70で接続されたコンピューターシステムである。
【0044】
処理部10は、記憶部60に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部を統括的に制御する機能部であり、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーにより実現される。本実施形態では、処理部10は、記憶部60に記憶されている移動軌跡算出プログラム601に従ってユーザーの移動軌跡を算出して、表示部30に表示させる。
【0045】
操作部20は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号を処理部10に出力する。この操作部20の操作により、移動軌跡算出の開始指示操作や、リセット指示操作、電源切断指示操作等の各種指示入力がなされる。
【0046】
表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、処理部10から入力される表示信号に基づいた各種表示を行う表示装置である。表示部30には、移動軌跡や時刻情報等が表示される。
【0047】
センサー部40は、ユーザーの歩行状態を検出するためのセンサーを有する機能部であり、例えば加速度センサー41とジャイロセンサー43とを備えて構成される。加速度センサー41及びジャイロセンサー43の検出結果は、処理部10に随時出力される。
【0048】
GPS位置算出部50は、測位用衛星の一種であるGPS衛星から発信されているGPS衛星信号を利用して、所定の時間間隔(例えば30秒に1回)でユーザーの位置、移動速度及び移動方向を算出する位置算出回路である。GPS位置算出部50は、ナビゲーション装置1とGPS衛星間の擬似距離を利用した公知の位置算出計算を行ってユーザーの位置を算出する。また、ナビゲーション装置1及びGPS衛星の移動に伴うドップラー周波数の時間変化を利用した公知の移動速度・移動方向算出計算を行って、ユーザーの移動速度及び移動方向を算出する。
【0049】
記憶部60は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備えた記憶装置であり、処理部10がナビゲーション装置1を制御するためのシステムプログラムや、移動軌跡算出機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。また、処理部10により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成している。
【0050】
図8は、処理部10を機能ブロックとして表した概念図である。処理部10は、歩行速度判定部11と、フィルター処理部12と、歩行検出部13と、歩幅推測部14と、歩行方向推測部15と、移動軌跡算出部16とを備えて構成される。各機能部は、それぞれを独立した回路として構成することも可能であるし、プロセッサーを用いてデジタル演算処理することでソフトウェア処理として構成することも可能である。
【0051】
歩行速度判定部11は、加速度センサー41により検出されたZ軸の加速度の振幅、及び、歩行検出部13により検出された一歩に要する時間に基づいて、ユーザーの歩行速度域を判定する機能部であり、判定した歩行速度域をフィルター処理部12に出力する。
【0052】
フィルター処理部12は、加速度センサー41及びジャイロセンサー43により検出された加速度及び角速度に対するフィルター処理を行って低周波成分を抽出する機能部である。フィルター処理部12は、歩行速度判定部11から出力された歩行速度域に応じて閾値周波数を可変に設定してフィルター処理を行う。
【0053】
歩行検出部13は、フィルター処理部12から出力されたZ軸の加速度のピークを検出することでユーザーの歩行を検出する機能部である。歩幅推測部14は、歩行検出部13により一歩が検出された場合に、フィルター処理部12から出力されたZ軸の加速度を用いて、記憶部60に記憶された相関モデル式に従って歩幅を推測する機能部である。
【0054】
歩行方向推測部15は、フィルター処理部12から出力されたヨー方向の角速度に対する積分処理を行って、ユーザーの歩行方向を推測する機能部である。移動軌跡算出部16は、歩幅推測部14から出力された歩幅と、歩行方向推測部15から出力された歩行方向とを用いて、ユーザーの移動軌跡を算出する機能部である。
【0055】
4.データ構成
図7に示すように、記憶部60には、プログラムとして、処理部10により読み出され、移動軌跡算出処理(図14参照)として実行される移動軌跡算出プログラム601が記憶されている。また、予め定められたデータとして、歩行速度域判定用テーブル602と、閾値周波数決定用テーブル603と、相関モデル式データ604とが記憶されている。また、随時更新されるデータとして、センサーデータ605と、推測歩幅データ606と、推測歩行方向データ607と、GPSデータ608と、移動軌跡データ609とが記憶される。
【0056】
移動軌跡算出処理とは、処理部10が、加速度センサー41の検出結果に基づいて歩行検出及び歩幅推測を行うとともに、ジャイロセンサー43の検出結果に基づいて移動方向を推測し、推測した歩幅及び歩行方向を用いてユーザーの移動軌跡を算出する処理である。移動軌跡算出処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
【0057】
図9は、歩行速度域判定用テーブル602のテーブル構成の一例を示す図である。歩行速度域判定用テーブル602は、ユーザーの歩行速度のレベルを表す歩行速度域の判定用のテーブルであり、歩行速度域を判定するための判定条件6021と、「低速」、「中速」、「高速」の3段階に分類された歩行速度域6023とが対応付けて記憶されている。
【0058】
詳細には、「Z軸の加速度の振幅が5.0[m/s2]未満であるか、一歩に要する時間が0.6秒よりも長い」という判定条件6021に対しては、歩行速度域6023として「低速」が記憶されている。ユーザーの歩行速度が低速になるほど、Z軸の加速度の振幅は小さくなり、一歩に要する時間は長くなる傾向があるためである。
【0059】
また、「Z軸の加速度の振幅が10.0[m/s2]よりも大きいか、一歩に要する時間が0.5秒よりも短い」という判定条件6021に対しては、歩行速度域6023として「高速」が記憶されている。ユーザーの歩行速度が高速になるほど、Z軸の加速度の振幅は大きくなり、一歩に要する時間は短くなる傾向があるためである。
【0060】
また、上述した2つの判定条件の何れにも該当しない場合の判定条件6021である「上記以外」に対しては、歩行速度域6023として「中速」が記憶されている。
【0061】
図10は、閾値周波数決定用テーブル603のテーブル構成の一例を示す図である。閾値周波数決定用テーブル603は、加速度及び角速度に対するフィルター処理を行う際の閾値周波数の決定用のテーブルであり、歩行速度域6031と、閾値周波数6033とが対応付けて記憶されている。歩行速度域6031が低速から高速になるほど、より高い閾値周波数6033が設定されている。
【0062】
詳細には、歩行速度域6031「低速」に対しては、閾値周波数として1.5[Hz]が記憶され、歩行速度域6031「中速」に対しては、閾値周波数として2.5[Hz]が記憶されている。また、歩行速度域6031「高速」に対しては、閾値周波数として4.0[Hz]が記憶されている。
【0063】
図11は、相関モデル式データ604のデータ構成の一例を示す図である。相関モデル式データ604は、ユーザーの歩幅を推測するための相関モデル式が定められたデータであり、歩行速度域6041と、歩幅推測モデル式6043とが対応付けて記憶されている。
【0064】
各歩行速度域6041に対して、Z軸の加速度「x」を変数とし、歩幅「y」を関数値とする一次関数で近似された歩幅推測モデル式6043が一対一に対応付けて記憶されている。歩幅推測モデル式6043の傾きと切片の値は、歩行速度域6041に応じて異なる値が定められている。すなわち、歩行速度域が高速に近づくほど、Z軸の加速度の変化に対する歩幅の変化の割合が小さくなるように、一次関数の傾きとして小さな値が設定されている。尚、一次関数としたのは一例であって、歩幅推測モデル式を二次以上の関数で近似することとしてもよい。
【0065】
図12は、センサーデータ605のデータ構成の一例を示す図である。センサーデータ605は、センサー部40の検出結果のデータであり、センサー部40の検出時刻6051(例えばミリ秒)と、加速度センサー41により検出された3軸の加速度6023と、ジャイロセンサー43により検出された3軸の軸回りの角速度6025とが対応付けて記憶される。
【0066】
推測歩幅データ606は、歩幅推測モデル式6043に従って推測されるユーザーの歩幅のデータである。推測歩行方向データ607は、ジャイロセンサー43の検出結果に基づいて推測されたユーザーの歩行方向のデータである。また、GPSデータ608は、GPS位置算出部50により算出された絶対的な位置、移動速度及び移動方向を、算出された時刻と対応付けて記憶したデータであり、GPS位置算出部50から所定の時間間隔でデータが出力される度に更新されるデータである。
【0067】
図13は、移動軌跡データ609のデータ構成の一例を示す図である。移動軌跡データ609は、ユーザーの移動軌跡のデータであり、算出結果の出力時刻6091と、算出した位置6093、歩行速度6095及び歩行方向6097と、相対/絶対種別6099とが対応付けて記憶される。
【0068】
相対/絶対種別6099は、位置6093、歩行速度6095及び歩行方向6097の算出結果が、相対的な算出結果と絶対的な算出結果との何れの算出結果であるかを示す種別である。前回の算出結果を基準として相対的に算出された算出結果に対しては「相対」、GPS位置算出部50により絶対的に算出された算出結果に対しては「絶対」が記憶される。GPS位置算出部50から絶対的な算出結果が出力される度に、移動軌跡データ609がリセットされる。
【0069】
5.処理の流れ
図14は、記憶部60に記憶されている移動軌跡算出プログラム601が処理部10により読み出されて実行されることで、ナビゲーション装置1において実行される移動軌跡算出処理の流れを示すフローチャートである。移動軌跡算出処理は、処理部10が、操作部20を介してユーザーにより電源投入操作がなされたことを検出した場合に実行を開始する処理である。以下の移動軌跡算出処理においては、センサー部40の検出結果が記憶部60のセンサーデータ605に随時更新・記憶されるものとして説明する。
【0070】
先ず、処理部10は、初期設定を行う(ステップA1)。具体的には、フィルター処理の閾値周波数として所定値(例えば1.5Hz)を設定するとともに、記憶部60の各種データに初期値を設定する。そして、フィルター処理部12は、現在設定されている閾値周波数で、加速度センサー41及びジャイロセンサー43の各軸の出力値に対するフィルター処理を実行する(ステップA3)。
【0071】
次いで、歩行検出部13は、フィルター処理が施された後のZ軸の加速度からピークを検出したか否かを判定し(ステップA5)、ピークを検出するまで待機する(ステップA5;No)。そして、ピークを検出した場合は(ステップA5;Yes)、一歩と判定して歩数を更新する(ステップA7)。そして、歩行検出部13は、前回ピークから今回ピークまでの時間を一歩に要する時間として算出する(ステップA9)。
【0072】
次いで、歩行速度判定部11は、記憶部60に記憶されている歩行速度域判定用テーブル602を参照してユーザーの歩行速度域を判定する(ステップA11)。具体的には、加速度センサー41により検出されたZ軸の加速度の振幅と、ステップA9で算出した一歩に要する時間とを用いて、何れの判定条件6021に該当するかを判定する。そして、該当した判定条件6021に対応する歩行速度域6023を読み出す。
【0073】
次いで、歩幅推測部14は、記憶部60に記憶されている相関モデル式データ604を参照し、ステップA11で判定した歩幅速度域6041に対応付けられた歩幅推測モデル式データ6043を選択する(ステップA13)。そして、歩幅推測部14は、選択した歩幅推測モデル式6043に従ってユーザーの歩幅を推測し、記憶部60の推測歩幅データ606を更新する(ステップA15)。
【0074】
その後、フィルター処理部12は、記憶部60に記憶されている閾値周波数決定用テーブル603を参照し、ステップA11で判定された歩行速度域6031に対応する閾値周波数6033を読み出して、閾値周波数を更新する(ステップA17)。
【0075】
そして、歩行方向推測部15は、ステップA9で算出した一歩に要する時間におけるフィルター処理が施されたZ軸回りの角速度を積分して、ユーザーの歩行方向の変化量を算出する(ステップA19)。そして、記憶部60の移動軌跡データ609に記憶されている最新の歩行方向6097と、算出した歩行方向変化量とを用いてユーザーの歩行方向を推測して、記憶部60の推測歩行方向データ607を更新する(ステップA21)。
【0076】
次いで、移動軌跡算出部16は、移動軌跡データ609に記憶されている最新の位置と、推測歩幅データ606に記憶されている歩幅と、推測歩行方向データ607に記憶されている歩行方向とを用いて、現在のユーザーの位置及び速度を算出する(ステップA23)。そして、移動軌跡算出部16は、算出した位置及び速度と、ステップA21で算出した歩行方向とで、記憶部60の移動軌跡データ609を更新する(ステップA25)。また、移動軌跡算出部16は、表示部30の移動軌跡の表示を更新する(ステップA27)。
【0077】
その後、移動軌跡算出部16は、GPS位置算出部50からGPSデータ608を入力したか否かを判定し(ステップA29)、入力したと判定した場合は(ステップA29;Yes)、入力したGPSデータ608に含まれる位置、速度及び移動方向で記憶部60の移動軌跡データ609を更新する(ステップA31)。また、GPSデータ608を入力しなかったと判定した場合は(ステップA29;No)、ステップA33へと処理を移行する。
【0078】
次いで、移動軌跡算出部16は、移動軌跡の算出を終了するか否かを判定する(ステップA33)。すなわち、操作部20を介して移動軌跡算出の終了指示操作がなされたか否かを判定する。そして、移動軌跡の算出をまだ終了しないと判定した場合は(ステップA33;No)、ステップA3に戻り、移動軌跡の算出を終了すると判定した場合は(ステップA33;Yes)、移動軌跡算出処理を終了する。
【0079】
6.作用効果
ナビゲーション装置1において、加速度センサー41の検出結果に対するフィルター処理がフィルター処理部12により行われる。そして、歩行検出部13により、フィルター処理された後のZ軸の加速度のピークが検出されることで、ユーザーの歩行が検出される。そして、歩行検出部13により歩行が検出された場合に、フィルター処理されたZ軸の加速度を用いて、ユーザーの歩行速度に応じて予め定められた歩幅推測モデル式に従って、ユーザーの歩幅が歩幅推測部14により推測される。
【0080】
一方、フィルター処理部12では、ジャイロセンサー43の検出結果に対してもフィルター処理が行われる。そして、歩行方向推測部15により、フィルター処理されたZ軸回りの角速度に対する積分処理が行われて、ユーザーの歩行方向が推測される。そして、歩幅推測部14により推測された歩幅と、歩行方向推測部15により推測された歩行方向とを用いて、ユーザーの移動軌跡が移動軌跡算出部16により算出される。
【0081】
原理で説明したように、ユーザーの上下動(Z軸)の加速度とユーザーの歩幅との間には正の相関がある。また、加速度の変化に対する歩幅を変化の割合は、ユーザーの速度に応じて変化する。そのため、ユーザーの歩行速度に応じて、上下動の加速度と歩幅との相関度合を変えてユーザーの歩幅を推測することで、ユーザーの歩幅をより正確に推測することが可能となる。
【0082】
本実施形態では、ユーザーの上下動の加速度と歩幅との相関が、相関モデル式としてユーザーの歩行速度域毎に定められている。相関モデル式は、上下動の加速度を変数とし、歩幅を関数値とする一次関数で近似されたモデル式であり、歩行速度域が高速に近づくほど、相関モデル式の傾きとして小さな値が設定されている。一次関数といった単純な相関モデル式を用いることで歩幅の推測を簡易に行うことができるとともに、ユーザーの歩行速度に応じて相関モデル式のパラメーターを定めておくことで、歩幅の推測を適切に行うことができる。
【0083】
7.変形例
7−1.電子機器
本発明は、ナビゲーション装置の他にも、歩幅推測装置を備えた電子機器であれば何れの電子機器にも適用可能である。例えば、歩数計や腕時計等についても同様に適用可能である。
【0084】
7−2.センサー部のキャリブレーション
センサー部40に対するキャリブレーション(センサーの更正処理)を所定のタイミングで行い、キャリブレーションされたセンサー部40の検出結果に基づいて歩幅の推測及び歩行方向の推測を行うことにしてもよい。キャリブレーションは、センサーのゼロ点バイアスやスケールファクターといった誤差パラメーターの値を求めることで実現することができる。
【0085】
キャリブレーションを行うタイミングとしては、例えば電源投入時のタイミングや所定の時間間隔が経過したタイミング、ユーザーによりキャリブレーションの指示操作がなされたタイミング、温度変化が一定以上生じたタイミング等とすることができる。キャリブレーションされたセンサー部40の検出結果を用いることで、歩幅推測及び歩行方向推測の正確性を一層高めることができる。
【0086】
7−3.フィルター処理の閾値周波数
上述した実施形態では、加速度に対するフィルター処理と、角速度に対するフィルター処理とで、共通の閾値周波数を設定するものとして説明した。しかし、加速度に対するフィルター処理の閾値周波数と、角速度に対するフィルター処理の閾値周波数とを個別に設定することとしてもよい。この場合は、図10の閾値周波数決定用テーブル603を、加速度のフィルター処理用と、角速度のフィルター処理用との2種類に分けて記憶部60に記憶させておき、この2種類のテーブルに従って閾値周波数をそれぞれ設定すればよい。
【0087】
7−4.歩行速度域の判定
上述した実施形態では、歩行速度判定部11が、加速度センサー41により検出されたZ軸の加速度の振幅、及び、歩行検出部13により検出された一歩に要する時間に基づいて、ユーザーの歩行速度域を判定するものとして説明した。しかし、速度を直接算出して歩行速度域を判定することとしてもよい。
【0088】
具体的には、歩行速度判定部11は、加速度センサー41により検出された一歩に要する時間における加速度を積分して、当該一歩に要する時間における速度変化量を算出する。そして、算出した速度変化量を前回(最新)の歩行速度に加算することで、今回のユーザーの歩行速度を算出する。そして、ユーザーの歩行速度に応じて、ユーザーの歩行速度域を「低速」、「中速」、「高速」の3段階に分類する。
【0089】
7−5.歩幅の推測
上述した実施形態では、Z軸の加速度と歩幅との相関を表す相関モデル式に従ってユーザーの歩幅を推測するものとして説明したが、例えばZ軸の加速度と歩幅との対応関係を定めたテーブルを歩行速度域毎に用意しておき、ユーザーの歩行速度域に応じたテーブルに従って歩幅を推測することとしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 ナビゲーション装置、 10 処理部、 20 操作部、 30 表示部、 40 センサー部、 41 加速度センサー、 43 ジャイロセンサー、 50 GPS位置算出部、 60 記憶部、 70 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの上下動の加速度を検出することと、
検出された前記加速度が大きくなるほど歩幅を大きくする当該加速度と歩幅との相関度合を前記ユーザーの速度に基づいて変更して、検出された前記加速度を用いて歩幅を推測することと、
を含む歩幅推測方法。
【請求項2】
前記ユーザーの速度が高速になるほど、前記加速度の変化に対する歩幅の変化の割合を小さくするように前記相関度合を変更することを含む、
請求項1に記載の歩幅推測方法。
【請求項3】
前記推測することは、前記相関度合を用いた前記加速度と歩幅との相関モデル式を用いて歩幅を推測することである、
請求項1又は2に記載の歩幅推測方法。
【請求項4】
検出された前記加速度から低周波成分を抽出することを更に含み、
前記推測することは、前記抽出された低周波成分の前記加速度を用いて歩幅を推測することである、
請求項1〜3の何れか一項に記載の歩幅推測方法。
【請求項5】
前記ユーザーの速度に応じて、前記抽出する周波数帯域を変更することを含む、
請求項4に記載の歩幅推測方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の歩幅推測方法によりユーザーの歩幅を推測することと、
ジャイロセンサーを用いて前記ユーザーの歩行方向を推測することと、
推測された前記歩幅及び前記歩行方向を用いて、前記ユーザーの移動軌跡を算出することと、
を含む移動軌跡算出方法。
【請求項7】
前記歩行方向を推測することは、
前記ジャイロセンサーの検出結果から低周波成分を抽出することと、
前記ユーザーの速度に応じて、前記抽出する周波数帯域を変更することと、
前記抽出された前記ジャイロセンサーの低周波成分の検出結果を用いて、前記歩行方向を推測することと、
を含む、
請求項6に記載の移動軌跡算出方法。
【請求項8】
ユーザーの上下動の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部により検出された前記加速度が大きくなるほど歩幅を大きくする当該加速度と歩幅との相関度合を前記ユーザーの速度に基づいて変更して、検出された前記加速度を用いて歩幅を推測する歩幅推測部と、
を備えた歩幅推測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−149709(P2011−149709A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8809(P2010−8809)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】