説明

歯科用治療椅子

【課題】患者さんが歯科治療椅子に座った時に、座った位置がどこであれ、座ったままの状態で、座部を移動して患者さんの口腔の位置を診療しやすい所定の位置にして歯科治療をしやすくする。
【解決手段】座板4と背凭れ3と前記座板4上に移動可能な座部10を有し、該座部10は患者が腰掛けた時の圧力分布を検出する圧力センサ1111〜11mnを有する。患者が座位した時の圧力分布を検出し、その圧力分布に応じて座部10を移動して、背凭れ3に対する患者の口腔位置を一定にして治療しやすい状態にする。座部10は、前記座板4上を左右(または前後)に移動可能な下側座部101と、該下側座部101上を前後(又は左右)に移動可能な上側座部102とを有し、該上側座部102に前記圧力センサ1111〜11mnを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用治療椅子、より詳細には、患者さんが歯科治療椅子に座った時に、患者さんが座った位置に関係なく、患者さんの口腔位置と背凭れの関係を所定の関係に保つようにし、もって、治療の精度を上げ、或いは、患者さんの座り心地を安定させるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の歯科治療用椅子の一例の概略を説明するための外観図で、図中、1は基台、2はヘッドレスト、3はバックレスト(背凭れ)、4はコンターシート(座板)、5はレッグレスト、6はフットレスト(ステップ)である。歯科治療に当り、患者さんは、この歯科治療椅子に座るが、その際、座る位置が必ずしも一定せず、前後方向にずれて座ったり、左右方向にずれて座ったり等し、安頭台2或いはバックレスト3に対する患者さんの口腔位置が一定せず、歯科治療がしにくい等の問題があった。また、患者さんは、バックレスト3に対して背中が安定せず、座り心地が不安定である等の問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、患者さんが歯科治療椅子に座った時に、座った位置を検出し、座った位置がどこであれ、座ったままの状態で、座部を移動して患者さんを所定の位置に移動し、患者さんとバックレストの関係を所定の関係に保ち、患者さんの口腔の位置を診療しやすい所定の位置にして歯科治療をしやすくし、同時に、患者さんの座り心地を安定に保つようにすることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、座板と背凭れと前記座板上に移動可能な座部を有し、該座部は患者が腰掛けた時の圧力分布を検出する圧力センサを有し、該圧力分布に応じて前記座部を移動して、背凭れに対する患者の口腔位置を一定にするようにしたことを特徴としたものである。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記座部は、前記座板上を左右(または前後)に移動可能な下側座部と、該下側座部上を前後(又は左右)に移動可能な上側座部とを有し、該上側座部に前記圧力センサを有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
患者さんが歯科治療椅子に座った時に、座った位置を検出し、座った位置がどこであれ、座ったままの状態で座部を移動して患者さんを所定の位置に移動し、患者さんとバックレストの関係を所定の関係に保ち、患者さんの口腔の位置を所定の位置にするようにしたので、術者は歯科治療がしやすく、患者さんは座り心地が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明による歯科用治療椅子の一実施例を説明するための全体斜視図、図2は側面図で、図中、10は、本発明によって追加された座部で、その他の参照番号1−6は、図3に示した従来技術と同じ機能、同じ動作をする。座部10は、座板(コンターシート)4上に前後方向(矢印A方向及び左右B方向)に移動可能に取り付けられており、レッグレスト5、及びフットレスト6も、該座部10と一体的に移動可能に取り付けられている。なお、バックレスト(背凭れ)3は、座板(コンターシート)4と一体的に取り付けられており、周知のように、前後に傾動はするが移動(スライド)はしない。
【0008】
座部10の表面には、縦横方向(A方向及びB方向)に多数の感圧素子1111〜11mnが設けられており、患者さんが該座部10の上に座った時に、各感圧素子は、受けた圧力に応じた電圧を発生し、それによって、患者さんが座った位置を知ることができる。
【0009】
座部10は、通常は、所定の位置(例えば、患者さんが中心に座った時は、患者さんの背中とバックレスト3とが整合し、患者さんの口腔位置が所定の位置になる位置)にあるが、患者さんが、中心からずれて座った時は、座部10が前後及び/又は左右に移動し、患者さんの座っている位置が前記の中心位置になるように移動されるようになっている。
【0010】
座部10は、上下2枚の座部101,102とから成り、下側の座部101が前後A方向(又は左右B方向)に移動可能に座板(コンターシート)4上に取り付けられ、この下側座部101の上に上側座部102が左右B方向(又は前後A方向)に移動可能に取り付けられており、この上側座部102に感圧素子1111〜11mnがマトリックス状に配設されており、患者さんが座位した時の圧力分布より患者さんの臀部の位置を検出し、例えば、一番圧力のかかっている場所を所定の位置にもってくるようにする。
【0011】
座部10の移動は、座部10(101,102)自身が前後方向及び左右方向に移動(スライド)するようにしてもよいが、下側座部101を前後又は左右方向に移動(スライド)可能とし、該上側座部102を左右方向又は前後方向にベルトコンベアのようにロールにより移動可能とすることも可能である。
【0012】
なお、図には、座部10の移動の仕方については詳細に記載されていないが、動力源は電気、油圧、エアー圧等のいずれでも良く、また、座板4と下側座部101との間、下側座部101と上側座部102との間の機械的な連結機構もレール式、ローラ式等任意所望の機構を用いることができる。
【0013】
上述のように、本発明によると、歯科治療に当り、患者さんが歯科用治療椅子に座った時に、座った位置が予め定められた所定の位置(例えば、中心位置)からずれていたとしても、そのずれを自動的に検知して、患者さんを予め定められた所定の位置に移動するようにしたので、患者さんとバックレストの関係を所望の関係に保つことができ、従って、患者さんの座り心地を安定させ、かつ、患者さんの口腔の位置を所定の位置にもってくる(治療位置にずれがない)ので、歯科治療がしやすく、歯科治療の精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による歯科用治療椅子の一実施例を説明するための全体斜視図である。
【図2】本発明による歯科用治療椅子の一実施例を説明するための側面図である。
【図3】従来の歯科治療用椅子の一例の概略を説明するための外観図である。
【符号の説明】
【0015】
1…基台、2…ヘッドレスト、3…バックレスト(背凭れ)、4…コンターシート(座板)、5…レッグレスト、6…フットレスト(ステップ)、10…座部(101…下側座部,102…上側座部)、1111〜11…感圧素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座板と背凭れと前記座板上に移動可能な座部を有し、該座部は患者が腰掛けた時の圧力分布を検出する圧力センサを有し、該圧力分布に応じて前記座部を移動して、背凭れに対する患者の口腔位置を一定にするようにしたことを特徴とする歯科用治療椅子。
【請求項2】
前記座部は、前記座板上を左右(または前後)に移動可能な下側座部と、該下側座部上を前後(又は左右)に移動可能な上側座部とを有し、該上側座部に前記圧力センサを有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用治療椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−68769(P2007−68769A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259103(P2005−259103)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000150671)株式会社長田中央研究所 (194)
【Fターム(参考)】