説明

歯科用研磨装置

【課題】 安定した研磨動作が可能で、しかも小型軽量化とコスト低減を図ることができる歯科用研磨装置を提供する。
【解決手段】 歯科治療に用いられる歯科用研磨装置100の電源として充電式電池6を使用し、また、診療台11に充電台12を設け、この充電台12の穴部12a(12b)に前記歯科用研磨装置100の装置本体1を差し込むことで、充電部151(152)により充電式電池6を満充電まで充電し、次の治療に使用可能にした。また、組み込まれる充電式電池6として10C以上の電流で急速充電できるリチウムイオン二次電池が用いられことも特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療などに用いられる歯科用研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科治療において患者の歯の研磨などに用いられる歯科用研磨装置として、例えば特許文献1に開示されるように装置本体内部に直流モータを収容し、この直流モータにより研磨部材を高速回転させるようなものが知られている。
【0003】
このような歯科用研磨装置は、直流モータの電源が外部から供給されるようになっており、電源と直流モータの間は、電源コードにより接続されている。しかし、歯科研磨装置に電源コードが接続されている状態は、治療の際に電源コードが邪魔になることが多く、治療の妨げになることがある。
【0004】
そこで、最近になって電源として充電式電池を使用し、この充電式電池によりモータの電源を供給するようにしたものが考えられている。このような充電式電池を用いれば、電源コードが全く必要でなくコードレスとなるので、治療の妨げを排除することができる。
【特許文献1】特開2000−233126号公報
【特許文献2】特開2005−123183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、充電式電池を電源として使用した場合、電池残量が問題となり、仮に残量が少なくなった状態でモータを駆動し続けると、モータの回転速度を安定して保持するのが難しくなり研磨作業などに支障をきたすことになる。このため、電池残量が所定値まで低下したならば直ちに充電式電池を満充電まで充電するのが望ましい。しかし、充電式電池は、一般に用いられる例えばニッケル水素蓄電池の場合で、普通充電で12時間程度、急速充電で2〜3時間の充電時間が必要である。このため、このような充電式電池を用いた歯科用研磨装置は、この間、使用不能になってしまう。このため、同じタイプの歯科用研磨装置を複数台用意しておき、これらを順番に使用することが考えられるが、これではコストが嵩んでしまい現実的でない。
【0006】
そこで、歯科用研磨装置を長時間連続して使用できるようにするため、容量の大きな充電式電池を搭載することが考えられる。しかし、このような大容量の充電式電池は、それ自体大きなものであるため、このような充電式電池を装置内に組み込めば、装置本体が大型で重量も大きなものになり、使い勝手の極めて悪いものになってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、安定した研磨動作が可能で、しかも小型軽量化とコスト低減を図ることができる歯科用研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、装置本体と、前記装置本体内部に設けられる10C以上の電流で急速充電可能な充電式電池と、前記装置本体に回転可能に設けられる研磨部材と、前記装置本体内に設けられ、前記充電式電池より電力が供給され前記研磨部材を回転駆動する回転駆動手段とを具備したことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、さらに充電手段を有し、該充電手段は、前記装置本体を保持する保持手段を有するとともに、該保持手段に前記装置本体を保持した状態で前記充電式電池を充電する充電部を有することを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記装置本体及び充電手段は、これら装置本体及び充電手段間を連結可能にする連結手段と、該連結手段の連結状態で前記充電式電池を前記充電部に接続する接続端子を有することを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記装置本体は、前記充電式電池の電池残量を表示する電池残量表示手段を有することを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、さらに前記充電式電池の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを検出し、前記充電式電池の充電又は放電を停止させる監視保護手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定した研磨動作が可能で、しかも小型軽量化とコスト低減を図ることができる歯科用研磨装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる歯科用研磨装置の概略構成を示している。図1において、1は装置本体で、この装置本体1は、筒状をしている。この場合、装置本体1は、治療の際に医者が手で握り易い太さ及び形状になっている。
【0016】
装置本体1の内部には、回転駆動手段としてモータ2が収容されている。このモータ2は、界磁マグネットと電気子コイルの磁気的相互作用により回転体を回転駆動する直流モータが用いられる。
【0017】
装置本体1の一方端部には、研磨部材保持部3が設けられている。この研磨部材保持部3は、前記モータ2の回転体の軸に連結されるチャック(不図示)を有し、このチャックに研磨部材4を着脱可能にしている。研磨部材4は、支持軸41先端に、円錐状をした研磨部本体42を有したもので、支持軸41を前記チャックに保持され前記モータ2により高速回転される。勿論、研磨部材保持部3は、チャックに代わってねじ込みにより研磨部材4を固定するものでもよい。
【0018】
装置本体1には、電池収納部5が設けられている。この電池収納部5には、充電式電池6が収納される。電池収納部5には、不図示の蓋部が設けられ、この蓋部により電池収納部5の開口部を開閉可能にしている。
【0019】
ここで、充電式電池6には、急速充電が可能なリチウムイオン二次電池が用いられる。リチウムイオン二次電池は、アルミニウムラミネートフィルムからなる外装部材による容器と、この容器内に収容された非水電解質と、前記容器内に収納されアルミニウム箔よりなる正極集電体にリチウムコバルト酸化物を正極作用物質として含む正極層が担持された正極と、前記容器内に収納されアルミニウム箔よりなる負極集電体に平均粒子径が1μm以下の粒度分布を有するチタン酸リチウムを負極活物質粒子として含む負極層が担持された負極とを備えた構造を有している。
【0020】
ここで、リチウムイオン二次電池についてさらに詳細に説明する。かかる、リチウムイオン二次電池は、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を備えている。活物質であるリチウムチタン酸化物は、特許文献1に開示される通り、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、リチウムイオンの挿入・離脱が1.4Vから1.7V/Li付近で行われる。このため、この二次電池は大電流での急速充電を行っても、従来の負極活物質に炭素材料を用いた場合と比べてリチウムの析出が起こらずに安全性を確保できる。また、リチウムの吸蔵放出に伴う膨張収縮が生じるのを抑制することができるため、20C電流の急速充電を繰り返し行った際にも負極活物質の構造破壊を抑えることができる。その結果、充放電を繰り返し行った場合においても長い寿命を維持できる。電池の電位としては2.4V程度であることから、従来のニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池の2本直列分に相当するため、使用本数で50%の減量化が達成できる。
【0021】
具体的には、以下のような方法で組み立てたリチウムイオン二次電池は20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電することが可能な急速充電二次電池であることが確認されている。ここで、『C』は充放電率を表す単位であり、完全放電から完全充電(または完全充電から完全放電)までを定電流充電した場合に計算上1時間で行えるレートを1Cとして表現する。1/10時間の場合、10Cと表現する。したがって、例えば20C充電とは、1C充電の20倍の電流が必要になる。
【0022】
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径5μmでLi吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、導電剤として平均粒子径0.4μmの炭素粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で90:7:3となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。
【0023】
なお、活物質の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所株式会社 型番SALD−300)を用いた。まず、ビーカー等に試料約0.1gを入れた後、界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌し、攪拌水槽に注入した。2秒間隔で、64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析し、累積度数分布が50%の粒径(D50)を平均粒子径とした。
【0024】
次いで、厚さ10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)を負極集電体に前記スラリーを塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより電極密度2.4g/cm3の負極を作製した。
【0025】
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、導電材として黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で87:8:5となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させてスラリーを調製した。厚さ15μmのアルミニウム箔(純度99.99%)にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスすることにより電極密度3.5g/cm3の正極を作製した。
【0026】
<二次電池の組み立て>
容器(外装部材)の形成材料として、厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムを用意した。このアルミニウム含有ラミネートフィルムのアルミニウム層は、膜厚約0.03mmであった。アルミニウム層を補強する樹脂には、ポリプロピレンを使用した。このラミネートフィルムを熱融着で貼り合わせることにより、容器(外装部材)を得、さらに金属アルミニウムの容器に収めた。
【0027】
次いで、前記正極に正極端子を電気的に接続すると共に、前記負極に負極端子を電気的に接続した。厚さ12μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを正極に密着させて被覆した。セパレータで被覆された正極に負極を対向するように重ね、これらを渦巻状に捲回して電極群を作製した。この電極群をプレスして扁平状に成形した。容器(外装部材)に扁平状に成形した電極群を挿入した。
【0028】
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチルラクトン(GBL)が体積比(EC:GBL)で1:2の割合で混合された有機溶媒にリチウム塩であるLiBF4を1.5mol/L溶解させ、液状の非水電解質を調製した。得られた非水電解質を前記容器内に注液し、リチウム二次電池を組み立てた。このようなリチウム二次電池は、満充電時電圧2.8V、放電終止電圧1.5Vで使用することができる。
【0029】
この実施の形態では、前記充電式電池6として、10C以上の電流で急速充電可能なリチウムイオン二次電池が使用される。勿論、かかる充電式電池6は、上述した20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電可能なものである。
【0030】
装置本体1の側面には、スイッチ7及び電池残量表示部8が配置されている。スイッチ7は、例えば複数段にスライド操作可能にしたスライドスイッチが用いられ、最初のスライド操作で充電式電池6の電力をモータ2に供給し、これ以降のスライド操作によりモータ2の回転速度を可変できるようになっている。勿論、スイッチ7は、充電式電池6の電力をモータ2に供給する電源スイッチとモータ2の速度調整のためのスイッチを別々に設けるようにしても良い。電池残量表示部8は、充電式電池6の放電状態を表示するもので、電池残量が所定値以上で発光体を点灯し、電池残量が所定値より低下すると点滅する。ここでの発光体としては、例えばLEDが用いられる。この場合、例えば、充電残量が所定値以上のときは青色のLED、電池残量が所定値より低下すると赤色のLEDをそれぞれ点灯するようにしても良い。
【0031】
装置本体1の基端部には、連結手段を構成する充電端子部9が設けられている。この充電端子部9は、後述する充電台12側の充電端子部13に接続可能になっていて、前記充電式電池6の充電を可能にするものである。この場合、充電端子部9は、図2に示すように装置本体1側面の、該装置本体1の中心軸を挟んで相対向する位置に、前記中心軸に沿って装置本体1端面に貫通する凹部901、902が形成され、また、これら凹部901、902の底部に電極10a、10bが各別に設けられている。これら電極10a、10bは、例えば正極を構成するもので、前記充電式電池6の正極端子に電気的に接続されている。また、充電端子部9は、装置本体1端面の中心部分に凹部903が形成され、この凹部903底面に電極10cが設けられている。この電極10cは、例えば負極を構成するもので、前記充電式電池6の負極端子に電気的に接続されている。
【0032】
このように構成された歯科用研磨装置100は、治療に使用しない場合、図3に示す診療台11上に置かれる。診療台11には、充電台12が設けられている。この充電台12には、充電手段として複数(図示例では2個)の充電部151,152が設けられている。これら充電部151,152には、それぞれ対応して円柱状をした穴部12a、12bが形成されている。これら穴部12a、12bは、前記歯科用研磨装置100の装置本体1を差し込んで保持する保持手段を構成している。
【0033】
穴部12a(12b)には、連結手段を構成する充電端子部13が設けられている。この充電端子部13は、図4に示すように穴部12a(12b)の内周面で、該穴部12a(12b)の中心軸を挟んで相対向する位置に、凸部121、122が形成されている。これら凸部121、122は、前記充電端子部9の凹部901,902に対応するもので、前記装置本体1を前記穴部12a(12b)に差し込んだ(保持)状態で、凹部901,902内に嵌合される。凸部121、122の上面には、電極14a、14bが設けられている。これら電極14a、14bは、正極を構成するもので、前記凸部121、122が前記凹部901,902に嵌合された状態で、前記電極10a、10bと電気的に接続される。また、電極14a、14bは、前記充電部151(152)の正極側出力端子に電気的に接続されている。穴部12a(12b)の底面には、凸部123が形成されている。この凸部123は、前記充電端子部9の凹部903に対応するもので、前記歯科用研磨装置100を前記穴部12a(12b)に差し込んだ状態で、凹部903内に嵌合される。凸部123の上面には、電極14cが設けられている。この電極14cは、負極を構成するもので、前記凸部123が前記凹部903に嵌合された状態で、前記電極10cと電気的に接続される。また、電極14cは、前記充電部151(152)の負極側出力端子に電気的に接続されている。
【0034】
充電部151(152)は、不図示のAC−DC変換器を有するもので、電源コード17を介してAC電源に接続され、前記穴部12a(12b)に装置本体1を差し込まれた歯科用研磨装置100の充電式電池6を満充電まで充電する。
【0035】
また、充電台12の前面には、充電部151、152に対応させて充電表示部161,162が設けられている。これら充電表示部161,162は、前記充電式電池6の充電状態を表示するもので、充電式電池6の充電中は発光体を点灯し、満充電になると消灯する。ここでの発光体としては、例えばLEDが用いられる。この場合、充電表示部161,162は、充電異常時は発光体を点滅、又は音声で報知することも可能である。
【0036】
なお、16は充電部151、152にAC電源を供給するためのメインスイッチである。
【0037】
図5は、このように構成された歯科用研磨装置の回路構成を示している。なお、図5は、上述した図1及び図3と同一部分には同符号を付している。
【0038】
装置本体1内部には、前記充電式電池6が設けられている。この充電式電池6は、上述した特性を有するものである。
【0039】
充電式電池6には、前記充電端子部9の電極10a(10b)及び電極10cが接続され、また、スイッチ7を介して制御部18及び前記モータ2が接続されている。スイッチ7は、上述したようにスライドスイッチからなるもので、最初のスライド操作によりオン動作されるスイッチ部701と、これ以降のスライド操作によりオン動作される複数のスイッチ部702、703を有している。そして、スイッチ部701のオン動作により、前記充電式電池1の電力を制御部18及びモータ2に供給し、スイッチ部702、703のオン動作により制御部18に対しモータ速度指令を与える。モータ2は、後述するモータ駆動部19の指示により前記研磨部材4を回転駆動する。
【0040】
制御部18には、モータ駆動部19及び電池残量表示部8が接続されている。また、制御部18は、モータ速度制御部181及び電池残量監視部182を有している。モータ速度制御部181は、前記スイッチ部702、703のオン動作に応じたモータ速度指令により、前記モータ駆動部19を介してモータ2の回転速度を制御する。電池残量監視部182は、前記充電式電池6の放電状態を監視し、充電残量が所定値以上で電池残量表示部8の発光体を点灯し、充電残量が所定値より低下すると発光体を点滅させる。
【0041】
充電式電池6には、監視保護手段として監視保護回路20が設けられている。この監視保護回路20は、充電式電池6の状態を監視するもので、かかる監視結果に応じて不図示のスイッチを駆動して充電式電池6の充放電を停止させる。この場合、監視保護回路20は、充電式電池6の過充電、過放電及び過電流を監視する。そして、充電式電池6の充電電圧が所定値の範囲では、充電式電池6の充放電を許容し、充電式電池6の充電電圧が所定値以上になると過充電と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池6の充電を停止させ、また、充電式電池6の充電電圧が所定値以下になると過放電と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池6の放電を停止させる。さらに充電式電池6の放電電流が所定値以上になると、過電流と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池6の放電を停止させる。これにより、充電式電池6が過充電状態になって電解液の分解によりガスが発生し、電池内部の圧力が上昇して漏液するのを防止し、また、充電式電池6が過放電状態になって負極の集電体の銅が電解液で溶解し電池性能を劣化させるのを防止する。このような監視保護回路20は、モジュール化され、前記充電式電池6内部に一体に組み込まれるものが用いられる。
なお、監視保護回路20は、充電式電池6の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを監視するものであっても良い。
【0042】
一方、前記充電台12の充電部151(152)の出力端子には、前記充電端子部13の電極14a(14b)及び電極14cが接続されている。この充電端子部13の各電極14a(14b)及び電極14cには、前記充電台12の穴部12a(12b)に前記歯科用研磨装置100の装置本体1が差し込まれた状態で、前記装置本体1の充電端子部9の各電極10a(10b)及び電極10cが電気的に接続される。図示例はこの状態を示している。
【0043】
充電部151(152)は、不図示のAC−DC変換器を有するもので、電源コード17を介してAC電源に接続され、前記穴部12a(12b)に差し込まれた歯科用研磨装置100の充電式電池6を満充電まで充電可能にしている。
【0044】
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
【0045】
歯科用研磨装置100は、予め充電台12の穴部12a(12b)に装置本体1が差し込まれ、充電部151(152)により充電式電池6を満充電まで充電される。ユーザは、充電表示部161(162)が消灯し、充電式電池6が満充電になっていることを確認して、歯科用研磨装置100を穴部12a(12b)より抜き取る。
【0046】
次に、スイッチ7をスライド操作してスイッチ部701をオンにすると、充電式電池6の電力が制御部18とモータ2に供給され、制御部18によりモータ駆動部19を介してモータ2が回転駆動される。また、スイッチ7をさらにスライド操作してスイッチ部702、703をオンさせると、これらスイッチ部702、703のオン動作に応じたモータ速度指令により、モータ速度制御部181は、モータ駆動部19を介してモータ2の回転速度を制御する。この状態で、研磨部材4は、高速回転され、歯の研磨が行われる。
【0047】
電池残量監視部182は、充電式電池6の電池残量を監視する。そして、電池残量が所定値より低下すると、電池残量表示部8の発光体を点滅させる。ユーザは、電池残量表示部8の表示を確認すると、歯科用研磨装置100の装置本体1を再び充電台12の穴部12a(12b)に差し込んで充電式電池6を満充電まで充電し、次の使用に備える。
【0048】
したがって、このようにすれば、歯科治療に用いられる歯科用研磨装置100の電源として充電式電池6を使用し、また、診療台11に充電台12を設け、この充電台12の穴部12a(12b)に前記歯科用研磨装置100を差し込むことで、充電部151(152)により前記充電式電池6を満充電まで充電し、次の歯科治療に使用可能にした。また、組み込まれる充電式電池6として10C以上の電流で急速充電できるリチウムイオン二次電池が用いられことも特徴としている。これにより、充電式電池6は短時間の急速充電が可能で、しかも歯科用研磨装置100を充電台12の穴部12a(12b)に差し込む作業だけで充電式電池6を繰り返し充電ができるので、最低1個の歯科用研磨装置100でも、治療を長時間中断することなく安定した研磨動作を実現することができる。このことは、歯科用研磨装置100を必要以上の個数用意する必要がないので、コスト的にも安価にできる。
【0049】
充電式電池6を使用することにより歯科用研磨装置100を電源コードのないコードレスに構成できるので、治療作業の妨げを排除でき、能率の良い治療を行うことができる。
【0050】
充電式電池6の充電を頻繁に行うことができるので、電池容量の小さな充電式電池6を使用することが可能で、歯科用研磨装置100自体の小型軽量化とともにコスト低減につなげることができる。これらのことは、急速充電が可能な充電式電池6を使用することによって実現できることである。
【0051】
歯科用研磨装置100の充電端子部9を構成する正極側の電極10a、10bと負極側の電極10cは、異なる方向を向いて離れて配置され、前記充電端子部9に接続される充電台12の充電端子部13も正極側の電極14a、14bと負極側の電極14cは、異なる方向を向いて離れて配置されているので、充電式電池6を充電するため充電端子部9と13間を接続する際も正負極間での短絡を確実に防止できる。
【0052】
歯科用研磨装置100には、充電式電池6の放電状態を表示する電池残量表示部8が設けられ、歯科用研磨装置100を使用しながら充電式電池6の放電状態を一目で確認することができるので、充電式電池6の電池残量がゼロになって使用不能になるようなことを未然に回避できる。また、充電台12にも充電部151、152ごとに充電表示部161、162が設けられ、これら充電部151、152による充電式電池6の充電状態及び充電異常などを一目で確認することができるので、充電式電池6の状態を常に正確に把握することもできる。
【0053】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【0054】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる歯科用研磨装置の概略構成を示す図。
【図2】一実施の形態の歯科用研磨装置に用いられる充電端子部の概略構成を示す図。
【図3】一実施の形態の歯科用研磨装置に用いられる充電台の概略構成を示す図。
【図4】一実施の形態の充電台に用いられる充電端子部の概略構成を示す図。
【図5】一実施の形態にかかる歯科用研磨装置の回路構成を示す図。
【符号の説明】
【0056】
1…装置本体、2…モータ、3…研磨部材保持部
4…研磨部材、41…支持軸、42…研磨部本体
5…電池収納部、6…充電式電池、7…スイッチ
701〜703…スイッチ部、8…電池残量表示部
9…充電端子部、901.902、903…凹部
10a.10b、10c…電極、11…診療台
12…充電台、12a.12b…穴部
121.122、123…凸部、13…充電端子部
14a.14b、14c…電極、151.152…充電部
161.162…充電表示部、16…メインスイッチ
17…電源コード、18…制御部、181…モータ速度制御部
182…電池残量監視部、19…モータ駆動部
20…監視保護回路、100…歯科用研磨装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内部に設けられる10C以上の電流で急速充電可能な充電式電池と、
前記装置本体に回転可能に設けられる研磨部材と、
前記装置本体内に設けられ、前記充電式電池より電力が供給され前記研磨部材を回転駆動する回転駆動手段と
を具備したことを特徴とする歯科用研磨装置。
【請求項2】
さらに充電手段を有し、該充電手段は、前記装置本体を保持する保持手段を有するとともに、該保持手段に前記装置本体を保持した状態で前記充電式電池を充電する充電部を有することを特徴とする請求項1記載の歯科用研磨装置。
【請求項3】
前記装置本体及び充電手段は、これら装置本体及び充電手段間を連結可能にする連結手段と、該連結手段の連結状態で前記充電式電池を前記充電部に接続する接続端子を有することを特徴とする請求項2記載の歯科用研磨装置。
【請求項4】
前記装置本体は、前記充電式電池の電池残量を表示する電池残量表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の歯科用研磨装置。
【請求項5】
さらに前記充電式電池の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを検出し、前記充電式電池の充電又は放電を停止させる監視保護手段を有することを特徴とする請求項1記載の歯科用研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−36079(P2008−36079A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213590(P2006−213590)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】