説明

歯科診療台

【課題】ヘッドレストや背板シートが伸縮機能を有している場合でも、患者の口腔近傍の適正位置にインスツルメントホルダを簡易且つ的確に配置させることができる歯科診療台を提供することを目的とする。
【解決手段】座席シート2と、該座席シート2の一端部に傾動自在に連設された背板シート3と、該背板シート3の上端部に連設されたヘッドレスト4と、前記背板シート3の肩部に保持されたインスツルメントホルダ5とを備えた歯科診療台Aであって、前記ヘッドレスト4は、伸縮機構9によって前記背板シート3との連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記インスツルメントホルダ5は、ホルダ本体5aと、該ホルダ本体5aを支持する杆部材5bとからなり、伸縮機構10によって前記ヘッドレスト4の伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記ヘッドレスト4の伸縮機構9及び前記インスツルメントホルダ5の伸縮機構10のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療台に関し、更に詳しくは、歯科診療時に術者(ドクター、アシスタント)によって使用される各種インスツルメントを保持する為のインスツルメントホルダを備えた歯科診療台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科診療台は、座席シートと、該座席シートの一端部に傾動自在に連設された背板シートと、該背板シートの上端部に傾動自在に連設されたヘッドレストとを主な構成部材として備える。そして、このような歯科診療台による歯科診療においては、診療台上に仰臥した患者の患部(口腔)周りの適所に術者が位置して、インスツルメントホルダに保持された各種インスツルメントから診療態様に応じたインスツルメントをピックアップして歯科の診療を行う。インスツルメントホルダは、診療台の側部に位置移動可能に設置されるトレーテーブルや、背板シートの肩部若しくは側部、或いは、診療台の側部に設置されるスピットン装置等に設けられている。インスツルメントは、歯科診療において頻繁に使用され、その為、術者の使い勝手や診療の効率性等の観点から、インスツルメントホルダが、インスツルメントのピックアップや収納がし易い位置にあることが望ましく、一方、インスツルメントを使用しない時には、診療の邪魔にならない位置にあることが望ましい。特許文献1〜4には、インスツルメントホルダを位置移動可能に備えた歯科診療台の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51−138995号公報
【特許文献2】実開昭56−1135626号公報
【特許文献3】実公昭61−6911号公報
【特許文献4】実公昭62−17072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、診療台の上下位置調整自在な機構に加えて、ヘッドレストを背板シートに対して伸縮可能とし、或いは背板シートを座席シートに対して伸縮可能とした歯科診療台も開発され実用化されるようになった。このような歯科診療台においては、患者を着座させた際に、患者の体格(身長、座高、体厚)に合わせて、ヘッドレストや背板シートの出幅、座席シートの高さ調整等ができる為、診療台上での患者の仰臥姿勢を術者個々の診療スタイルに簡易に適合させることができる。しかし、インスツルメントホルダの設けられる態様によっては、このような位置調整を行った際に、インスツルメントホルダとヘッドレスト上の患部(患者口腔部)との距離が初期状態から変化(接近或いは離反)することになる。このようにインスツルメントホルダとヘッドレストとの距離が変化すると、上記のように術者と患部との相対位置関係が適正に調整されたにも拘わらず、術者がインスツルメントをインスツルメントホルダからピックアップし、或いは、インスツルメントホルダに収納することがし難くなったりすることがある。その為、改めてインスツルメントホルダの位置調整を行う必要があり、これによる煩わしさはなお残存することは否めなかった。インスツルメントホルダとヘッドレストとの相対位置関係が適正でない場合は、背板シートからはみ出した患者の髪や肩等の患者の体の一部がインスツルメントのピックアップ或いは収納作業の障害となったり、術者がインスツルメントのピックアップ或いは収納を行おうとする際に不自然な姿勢となることによって術者自体に負担がかかるだけでなく、患者に不快感を与えてしまったりすることがある。これによって、診療の円滑性や快適性が損なわれることにもなる。
【0005】
特許文献1に開示された歯科診療台の場合、インスツルメントホルダをヘッドレストの側部とスピットン装置の側部との間で相互に移し替えができる。しかし、ヘッドレストや背板シートが伸縮機能を有していない為、患者の体格に合わせた調整をすることができない。また、特許文献2に開示された歯科診療台の場合、インスツルメントホルダが背板シートの側部に沿って摺動自在に保持されているので、インスツルメントホルダの位置調整が可能である。しかし、仮に、本歯科診療台のヘッドレストや背板シートに伸縮機能を付加したとしても、ヘッドレストや背板シートを患者の体格に合わせて調整した上で改めてインスルツルメントホルダの位置調整をする必要がある。更に、特許文献3には、診療台の側部に沿って前後移動可能且つ垂直軸周りに回転可能なスピットン装置にインスツルメントホルダが設けられた歯科診療台が開示されている。本特許文献は、うがい位置、患者の着座スペース、アシスタントインスツルメントの位置、アシスタントスペース、測定器の配置スペース等の確保を意図するものであるが、特許文献2の場合と同様に、本歯科診療台のヘッドレストや背板シートに伸縮機能を付加したとしても、ヘッドレストや背板シートを患者の体格に合わせて調整した上で改めてインスルツルメントホルダの位置調整をする必要がある。また、特許文献4には、診療台の側部に沿って移動自在に設けられたスピットン装置にバキュームシリンジ等を保持するインスツルメントホルダが設けられた歯科診療台が開示されている。本特許文献において、スピットン装置を診療台の側部に沿って移動自在とした理由は、スピットン装置側から患者が診療台に乗り降りする場合にも支障がないようにする為であり、インスツルメントホルダは当該スピットン装置と共に移動するが、術者の使い勝手に合わせるよう移動されるものではない。ましてや、本歯科診療台のヘッドレストや背板シートに伸縮機能を付加したとしても、ヘッドレストや背板シートを患者の体格に合わせて調整した上で改めてインスルツルメントホルダの位置調整をする必要があることになる点は上記と同様である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、ヘッドレストや背板シートが伸縮機能を有している場合でも、患者の口腔近傍の適正位置にインスツルメントホルダを簡易且つ的確に配置させることができる歯科診療台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る歯科診療台は、座席シートと、該座席シートの一端部に傾動自在に連設された背板シートと、該背板シートの上端部に連設されたヘッドレストと、前記背板シートの肩部に保持されたインスツルメントホルダとを備えた歯科診療台であって、前記ヘッドレストが、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記インスツルメントホルダが、ホルダ本体と、該ホルダ本体を支持する杆部材とからなり、伸縮機構によって前記ヘッドレストの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
第2及び第3の発明に係る歯科診療台は、インスツルメントホルダが、第1の発明とは異なり、基体フレームに前記背板シートの肩部近傍に及ぶよう保持された歯科診療台であって、第2の発明は、前記ヘッドレストが、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記インスツルメントホルダが、ホルダ本体と、該ホルダ本体を支持する杆部材とからなり、伸縮機構によって前記ヘッドレストの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする。また、第3の発明は、前記背板シートは、伸縮機構によって前記座席シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記インスツルメントホルダが、ホルダ本体と、該ホルダ本体を支持する杆部材とからなり、伸縮機構によって前記背板シートの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記背板シートの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
第3の発明に係る歯科診療台においては、前記ヘッドレストを、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とし、前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作を相互に連関するよう構成しても良い。
【0010】
本発明の歯科診療台において、ヘッドレストの伸縮機構及びインスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が連関する機構、或いは、背板シートの伸縮機構及びインスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が連関する機構として、連動機構を採用し、これにより、ヘッドレスト及びインスツルメントホルダの夫々の伸縮動作が連動してなされ、或いは、背板シート及びインスツルメントホルダの夫々の伸縮動作が連動してなされるよう構成しても良い。
【0011】
第1乃至第3の発明に係る歯科診療台において、前記インスツルメントホルダの使用時における予め設定されたヘッドレストとの相対的な位置情報を記憶する記憶手段と、インスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御する制御部とを備え、該制御部は、インスツルメントホルダをその伸縮機構をして所定の使用位置に位置付ける際、前記記憶手段より前記位置情報を読み出し、この位置情報に基づきインスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御するよう構成しても良い。
【0012】
また、第1乃至第3の発明に係る歯科診療台において、前記インスツルメントホルダの使用時におけるヘッドレストとの予め設定された相対的な位置情報を記憶する記憶手段と、診療台の自動姿勢制御操作手段と、インスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御すると共に前記自動姿勢制御操作手段に基づき診療台の姿勢を制御する制御部とを備え、該制御部は、自動姿勢制御操作手段の制御操作指令に基づき診療台の姿勢を制御し、これと並行して、前記記憶手段より前記位置情報を読み出し、この位置情報に基づき前記インスツルメントホルダを所定の使用位置に位置付けるようインスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御するよう構成しても良い。
【0013】
また、本発明の歯科診療台において、前記インスツルメントホルダの伸縮機構が、他の伸縮機構との連関を無効とする手段を備えているものとしても良い。
【0014】
更に、本発明の歯科診療台において、前記インスツルメントホルダにおけるホルダ本体部が、前記杆部材の先端部に着脱自在に装着され、当該診療台の他部位に、該ホルダ本体部を着脱自在に装着し得る補助装着部が設けられているものとしても良い。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明に係る歯科診療台によれば、背板シートが座席シートに対して傾動自在に連設され、且つ、背板シートの上端部にはヘッドレストが連設されているから、背板シートを倒し患者頭部をヘッドレストに載せた仰臥診療や、背板シートを起立させた座位診療を、診療態様に応じて適宜実施することができる。また、インスツルメントホルダが背板シートの肩部に保持されているから、術者はインスツルメントホルダでのインスツルメントのピックアップ及び収納操作を患者の口腔部の近傍で行うことができ、ピックアップ及び収納時の操作負担が軽減されると共に、診療作業の円滑性が図られる。そして、ヘッドレストが、伸縮機構によって背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされているから、患者の体格に応じて、患者の頭部をヘッドレストに安定的に保持させることができ、的確な診療がなし得ると共に、患者も不快感なく安心して診療を受けることができる。しかも、インスツルメントホルダが伸縮機構によって前記ヘッドレストの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されているから、ヘッドレストを伸縮させ、ヘッドレストを患者の体格に合わせて適正位置に調整した際には、インスツルメントホルダもその伸縮機構をしてヘッドレストとの適正な相対位置関係を維持した位置調整がなされる。
【0016】
第2及び第3の発明に係る歯科診療台によれば、第1の発明と同様に、背板シートを倒し患者頭部をヘッドレストに載せた仰臥診療や、背板シートを起立させた座位診療を、診療態様に応じて適宜実施することができる。また、インスツルメントホルダが、基体フレームに前記背板シートの肩部近傍に及ぶよう保持されているから、術者はインスツルメントホルダでのインスツルメントのピックアップ及び収納操作を患者の口腔部の近傍で行うことができ、ピックアップ及び収納時の操作負担が軽減されると共に、診療作業の円滑性が図られる。そして、第2の発明においては、ヘッドレストが、伸縮機構によって背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされているから、患者の体格に応じて、患者の頭部をヘッドレストに安定的に保持させることができ、的確な診療がなし得ると共に、患者も不快感なく安心して診療を受けることができる。しかも、インスツルメントホルダが伸縮機構によって前記ヘッドレストの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、ヘッドレストの伸縮機構及びインスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されているから、ヘッドレストを伸縮させ、ヘッドレストを患者の体格に合わせて適正位置に調整した際には、インスツルメントホルダもその伸縮機構をしてヘッドレストとの適正な相対位置関係を維持した位置調整がなされる。
【0017】
また、第3の発明においては、背板シートが、伸縮機構によって座席シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされているから、患者は、自身の体格に応じて、安定的に背板シート上にその上半身を凭せ掛けることができ、これに伴い頭部もおのずとヘッドレストに安定的に保持される。従って、的確な診療がなし得ると共に、患者も不快感なく安心して診療を受けることができる。しかも、インスツルメントホルダが伸縮機構によって前記背板シートの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、前記背板シートの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されているから、背板シートを伸縮させ、背板シートを患者の体格に合わせて適正位置に調整した際には、インスツルメントホルダもその伸縮機構をして背板シートに保持されたヘッドレストとの適正な相対位置関係を維持した位置調整がなされる。この場合に、前記ヘッドレストも、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とし、前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作を相互に連関するよう構成すれば、背板シート及びヘッドレストのいずれかを伸縮させれば、それに連関してインスツルメントホルダも伸縮する。また、両者を伸縮させれば、両伸縮機構の複合した伸縮動作と連関してインスツルメントホルダも伸縮し、ヘッドレストとインスツルメントホルダとのより的確な相対位置付けが可能となる。
【0018】
本発明において、ヘッドレストの伸縮機構及びインスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が連関する機構、或いは、背板シートの伸縮機構及びインスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が連関する機構として、連動機構を採用すれば、ヘッドレスト或いは背板シートを伸縮させることにより、これに連動してインスツルメントホルダが伸縮し、患者の体格に応じたヘッドレストとインスツルメントホルダとの所期の相対位置関係が簡易且つ的確に設定される。また、連動機構としては、簡易なメカ的或いは電気的機構を用いることができ、これにより、本発明の歯科診療台を大幅なコストアップを伴うことなく提供することができる。
【0019】
本発明の歯科診療台が、前記記憶手段と、前記制御部とを更に備え、該制御部が、インスツルメントホルダをその伸縮機構をして所定の使用位置に位置付ける際、前記記憶手段よりヘッドレストとインスツルメントホルダとの位置情報を読み出し、この位置情報に基づきンスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御するよう構成すれば、ヘッドレスト又は背板シート或いは両者を患者の体格に応じて伸縮させて位置決める動作に伴い、前記位置情報に基づく動作制御により、ヘッドレストとインスツルメントホルダとが所期の相対位置に的確に位置付けられる。従って、術者固有の使い勝手等に応じてヘッドレストとインスツルメントホルダとの相対的な位置情報を予め記憶手段に記憶させておけば、前記ヘッドレスト又は背板シートの患者の体格に応じた伸縮動作に連関して、ヘッドレストとインスツルメントホルダとが術者の所望の相対位置関係に自動的に設定される。このような機能により、診療開始時における準備作業が効率的且つ的確になされる。
【0020】
本発明の歯科診療台が、前記と同様の記憶手段と、前記自動姿勢制御操作手段と、前記に加え診療台の姿勢を制御する機能も含む制御部を更に備え、該制御部が、自動姿勢制御操作手段の制御操作指令に基づき診療台の姿勢を制御し、これと並行して、前記記憶手段より前記位置情報を読み出し、この位置情報に基づき前記インスツルメントホルダを所定の使用位置に位置付けるようインスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御するよう構成すれば、次のような作用・効果を奏する。即ち、本発明が対象とする歯科診療台の場合、診療の開始にあたって患者を診療台上に導入させる際、導入の為に低位置にある座席シートに患者を着座させ、自動姿勢制御操作手段(例えば、操作パネルに設けられた操作スイッチ)を操作することにより、座席シートが上昇し、起立していた背板シートが倒伏して診療態様に応じた仰臥診療姿勢に位置付ける機構が採用されている。本発明においては、自動姿勢制御操作手段の制御操作指令に基づき診療台の姿勢を制御すると共に、ヘッドレスト又は背板シート或いは両者を患者の体格に応じて伸縮させて位置決める動作に伴い、前記位置情報に基づく動作制御により、ヘッドレストとインスツルメントホルダとが所期の相対位置に的確に位置付けられる。従って、前記と同様に、術者固有の使い勝手等に応じてヘッドレストとインスツルメントホルダとの相対的な位置情報を予め記憶手段に記憶させておけば、自動的な診療台の姿勢制御動作に加え、前記ヘッドレスト又は背板シートの患者の体格に応じた伸縮動作に連関して、ヘッドレストとインスツルメントホルダとが術者の所望の相対位置関係になるよう自動的に設定され、設定に則したインスツルメントホルダの位置付けがなされる。このような機能により、診療開始時における患者の導入から診療姿勢の設定に至る準備作業が効率的且つ的確になされる。
【0021】
本発明において、前記インスツルメントホルダの伸縮機構が、他の伸縮機構との連関を無効とする手段を備えているものとすれば、インスツルメントホルダの伸縮機構のみを単独で伸縮動作させることができる。従って、他の伸縮機構の伸縮動作に伴ってインスツルメントホルダの伸縮機構を伸縮動作させた後、術者自らが使い勝手に沿うようインスツルメントホルダの伸縮機構のみを伸縮動作させて微調整し、より診療作業の適正化を図ることができる。
【0022】
本発明において、前記インスツルメントホルダにおけるホルダ本体部が、前記杆部材の先端部に着脱自在に装着され、当該診療台の他部位に、該ホルダ本体部を着脱自在に装着し得る補助装着部が設けられているものとすれば、診療態様によって、当該インスツルメントホルダに保持されているインスツルメントを使用しない場合、或いは、術者の診療位置によってホルダ本体がヘッドレストの近傍にない方が好ましい等の場合、ホルダ本体を取外して前記他部位の補助装着部に装着させることによって、様々な診療態様に応じた臨機応変な対応が簡易になされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の発明に係る歯科診療台の一実施形態を示す概略的側面図である。
【図2】同歯科診療台の部分破断平面図である。
【図3】図2におけるX−X線矢視断面に相当する模式図である。
【図4】同歯科診療台の別の実施形態を示す部分破断平面図である。
【図5】同歯科診療台の変形例を示す図4と同様図である。
【図6】同歯科診療台の更に別の実施形態を示す部分破断平面図である。
【図7】同歯科診療台の変形例を示す図6と同様図である。
【図8】図6に示す例の他の変形例を示す図6と同様図である。
【図9】図7に示す例の他の変形例を示す図7と同様図である。
【図10】同歯科診療台の更に別の実施形態を示す部分破断平面図である。
【図11】第2及び第3の発明に係る歯科診療台の一実施形態を示す概略的側面図である。
【図12】同歯科診療台の部分破断平面図である。
【図13】同歯科診療台の変形例を示す図12と同様図である。
【図14】図11におけるY線部の構造の一例を説明する概念図である。
【図15】本発明の歯科診療台に採用されるインスツルメントホルダの一実施形態の要部の分解斜視図である。
【図16】同インスツルメントホルダの部分縦断側面図である。
【図17】本発明の歯科診療台に装備される操作パネルの一例を示す要部の平面図である。
【図18】本発明の歯科診療台の動作制御の一例を示す制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の歯科診療台の実施の形態について図面に基づき説明する。図1乃至図3に示す歯科診療台Aは、大略的に、基台1と、該基台1の上に昇降機構1aを介して上下昇降可能に支持された座席シート2と、該座席シート2の一端部に傾動自在に連設された背板シート3と、該背板シート3の上端部(着座する患者の頭部側端部)に連設されたヘッドレスト4と、前記背板シート3の肩部に保持されたインスツルメントホルダ5とより構成される。座席シート2は、座席シート基体(以下、基体フレームと言う)2aと、該基体フレーム2aの上面に固着一体とされたクッション材からなる座席シート本体2bとよりなる。基体フレーム2aの一側部には、トレーテーブル6が水平及び昇降移動可能に支持されており、他側部にはスピットン装置7が付設されている。前記基体フレーム2aの一端にヒンジピン2cを介して、第1背板フレーム30が傾動自在に連設されており、背板シート3は、該第1背板フレーム30に後記する伸縮機構8を介して前記連設方向に沿って移動可能に支持された第2背板フレーム3aと、該第2背板フレーム3aの表面に固着一体とされたクッション材からなる背板シート本体3bとよりなる。ヘッドレスト4は、前記第2背板フレーム3aに、前記連設方向に沿って伸縮自在に保持された支杆部材4aと、該支杆部材4aの先端に一体に固着支持されたクッション材からなるヘッドレスト本体4bとよりなる。
【0025】
前記伸縮機構8は、前記第1背板フレーム30に固着された一対のレール部材8a,8aと、前記第2背板フレーム3aに固着され該レール部材8a,8aにその長手方向に沿って摺動自在に支持された摺動部材8bとよりなる。レール部材8a,8aは、背板シート3の座席シート2に対する連設方向に沿って平行に配設され、該レール部材8a,8a間に支持される摺動部材8bは、当該連設方向に沿って摺動可能とされる。従って、背板シート3は、第1背板フレーム30に対して、当該連設方向に沿って伸縮可能な関係に支持される。該レール部材8a,8aと摺動部材8bとの間には摩擦抵抗を伴う不図示の滑動部材が介在され、摺動部材8bは、前記連設方向に沿った外力が付加されると、レール部材8a,8aに対して摺動するが、外力が付加されないとその位置に静止し得るよう構成される。前記ヘッドレスト4の支杆部材4aは、その基部4aaが摺動部材8bの一端部より該摺動部材8bにその摺動方向に沿って形成されたガイド空所8cに挿通され、且つガイド空所8cに対して相対摺動可能に保持され、背板シート3の上端部より突出するよう延出されている。従って、ヘッドレスト4は背板シート3に対して相対的に伸縮可能とされ、支杆部材4aの基部4aaとガイド空所8cとの相対摺動可能な機構によってヘッドレスト4の伸縮機構9が構成される。基部4aaとガイド空所8cとの間には、摩擦抵抗を伴う不図示の滑動部材が介在され、ヘッドレスト4に当該摺動方向に沿った外力が付加されると、基部4aaがガイド空所8cに対して摺動するが、外力が付加されないとその位置に静止するよう構成される。
【0026】
ヘッドレスト4の支杆部材4aの途中には、直交関係の枝杆部材4cが分岐しており、その先端部には、インスツルメントホルダ5を構成する杆部材5bが、支杆部材4aと並列して摺動可能に保持されている。枝杆部材4cとインスツルメントホルダ5の杆部材5bとの間には、摩擦抵抗を伴う不図示の滑動部材が介在され、杆部材5bは、当該摺動方向に沿った外力が付加されると、枝杆部材4cに対して摺動するが、外力が付加されないとその位置に静止し得るよう構成される。枝杆部材4cと杆部材5bとの相対摺動可能な機構によってインスツルメントホルダ5の伸縮機構10が構成される。インスツルメントホルダ5は、該杆部材5bと、該杆部材5bの先端に一体的に支持されるホルダ本体5aとよりなり、杆部材5bは、前記枝杆部材4cによる保持部より延び、背板シート3の肩部から突出してその先端に支持されたホルダ本体5aがヘッドレスト4の近傍に及んでいる。このホルダ本体5aには、術者のハンドリング操作によりピックアップ或いは収納可能に複数の歯科用インスツルメント(ハンドピース)50が保持されている。図1では、このインスツルメント50が、スリーウェイシリンジ及びバキュームシリンジであることを示している。インスツルメント50には、前記スピットン装置7等から導出される作用媒体管路内装ホース50aが連結されている。
【0027】
前記のような構成の歯科診療台Aにおいて、歯科診療を行う場合、患者(不図示)の導入時には、座席シート2が患者が着座し易い低位置に保持されると共に背板シート3が起立状態とされている。また、ヘッドレスト4と、インスツルメントホルダ5、即ち、ホルダ本体5aとの相対位置は、前記伸縮機構10を構成する杆部材5bを前記枝杆部材4cに対して摺動させて、術者の使い勝手に応じた適正位置に調整・設定されている。座席シート2の上に患者を着座させる際、患者の体格に合わせるように背板シート3を前記伸縮機構8をして手動で伸縮させる。この背板シート3の伸縮によりヘッドレスト4及びインスツルメントホルダ5も一体的に伸縮する。このように、患者の体格に合わせて背板シート3の位置調整をした後、座席シート2を前記昇降機構1aをして上昇させ、背板シート3を不図示の傾動機構をして倒伏させ、図1に示すような仰臥診療姿勢に位置決めする。必要によってはこの状態で更に背板シート3を伸縮させて、患者の体格により適合するよう調整する。そして、前記ヘッドレスト4の伸縮機構9を手動で作動させることによって、ヘッドレスト4上の患者の頭部とヘッドレスト4との位置関係を診療に適正な状態となるよう調整する。この時、ホルダ本体5aはヘッドレスト4に対して、前記初期設定された相対位置を保った状態で協働し、これにより、実質的にヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10のそれぞれの伸縮動作が相互に連関した構成が確立される。その後、必要によって、前記伸縮機構10を手動で作動させて、ヘッドレスト4上の患者頭部とインスツルメントホルダ5との相対位置を、術者が診療し易い位置となるよう微調整する。このように、インスツルメントホルダ5の伸縮機構10は、ヘッドレスト4の伸縮機構9とは無関係に伸縮動作が可能とされており、従って、伸縮機構10自体が前記伸縮機構9との伸縮動作の連関を無効とする手段を備えていることになる。診療姿勢の位置決めは、術者の診療特性に合わせて、或いは、診療態様に合わせて、事前に設定された自動姿勢制御モードに基づき、対応する操作スイッチの操作によって自動的になされるよう構成されることが望ましく、これについての詳細は後記する。
また、歯科診療台Aの実施例では、ヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10に加え、背板シート3にも伸縮機構8を備えた構成が開示されているが、背板シート3が伸縮機構8を有していないような形態でもよく、少なくともヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5とが相対位置を保つよう協働する構成を有していればよい。
【0028】
図1〜図3に示す例において、ヘッドレスト4の背板シート3に対する伸縮機構をなしとし、背板シート3の伸縮機構8をヘッドレスト4の伸縮機構を兼ねるようにすることもできる。即ち、ヘッドレスト4と、インスツルメントホルダ5のホルダ本体5aとの相対位置を、前記インスツルメントホルダ5の杆部材5bを前記枝杆部材4cに対して摺動させて(伸縮機構10を作動させて)、術者の使い勝手に応じた適正位置に調整・設定した上で、座席シート2の上に患者を着座させる際、患者の体格に合わせるように背板シート3を前記伸縮機構8をして手動で伸縮させる。この背板シート3の伸縮によりヘッドレスト4及びインスツルメントホルダ5も一体的に伸縮する。従って、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5とは、その初期設定された相対位置関係を維持して伸縮し、伸縮機構8が、背板シート3の伸縮機構及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構を連動させる連動機構、或いは、ヘッドレスト4の伸縮機構及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構を連動させる連動機構を、実質的に兼ねることになる。
【0029】
図4に示す歯科診療台Bは、背板シート3が、第1背板フレーム30に対して固定されており、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5とが患者の体格に合わせて伸縮し得るよう構成された例を示している。即ち、ヘッドレスト4の支杆部材4aに、その長手方向に沿ったラックギヤ9aが連接され、第1背板フレーム30に該ラックギヤ9aに噛合するピニオンギヤ9bが軸回転自在に取付けられ、該ラックギヤ9a及びピニオンギヤ9bによってヘッドレスト4の伸縮機構9が構成されている。また、インスツルメントホルダ5の杆部材5bに、その長手方向に沿ったラックギヤ10aが連接され、第1背板フレーム30に該ラックギヤ10aに噛合するピニオンギヤ10bが軸回転自在に取付けられ、該ラックギヤ10a及びピニオンギヤ10bによってインスツルメントホルダの伸縮機構10が構成されている。更に、両ピニオンギヤ9b,10bが噛合し、これによって伸縮機構9及び伸縮機構10の連動機構11が構成されている。尚、図4においては、図2に示すようなトレーテーブル6の図示を省略している(以降の歯科診療台の平面図においても同様)が、同様に備わっているものとする。
【0030】
このような構成の歯科診療台Bにおいて、前記と同様に患者の体格に合わせてヘッドレスト4の背板シート3からの出幅調整をする場合、手動操作により、ヘッドレスト4を伸縮機構9をして伸縮させ、患者の頭部の位置に合うようヘッドレスト4の位置調整をする。この伸縮操作に伴い、ラックギヤ9aに噛合するピニオンギヤ9bがその支軸周りに回転する。ピニオンギヤ9bの回転によりこれに噛合するピニオンギヤ10bもウイズ回転する。そして、ピニオンギヤ10bとラックギヤ10aとの噛合関係により、インスツルメントホルダ5の杆部材5bがヘッドレスト4と同方向に伸縮動作する。従って、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5とを、術者の使い勝手に合うようその相対位置関係を初期設定しておけば、ヘッドレスト4を伸縮調整しても、その相対位置関係が維持され、インスツルメントホルダ5に保持されるインスツルメント50のピックアップ或いは収納のハンドリング適性が変化することがない。尚、ピニオンギヤ9b,10bのいずれかに、その支軸との間にトクルリミッタのような負荷部材を介在させ、一定以上の外力が付加されない限り、ヘッドレスト4の伸縮動作がなし得ないよう構成することが望ましい。このように構成することにより、ヘッドレスト4やインスルツメントホルダ5が不意に変位することを防止することができる。本歯科診療台Bのその他の構成は、前記歯科診療台Aと同様であるから共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0031】
図5に示す歯科診療台Cは、前記歯科診療台Bの変形例を示し、ヘッドレスト4の伸縮機構9が、電動機構によって伸縮動作する点で前記歯科診療台Bとは異なる、即ち、ヘッドレスト4の伸縮機構9が、支杆部材4aにその長手方向に沿って連接されたダブルラックギヤ9cと、該ダブルラックギヤ9cの一方のラックに噛合するピニオンギヤ(ウォームホイール)9dと、該ウォームホイール9dに噛合するウォームギヤ9eを出力軸に一体固着したモータ9fと、前記ダブルラックギヤ9cの他方のラックに噛合するピニオンギヤ9gとより構成されている。また、インスツルメントホルダ5の伸縮機構10は前記と同様に、ラックギヤ10aと、ピニオンギヤ10bとより構成されている。そして、ピニオンギヤ9gとピニオンギヤ10bとが噛合し、これによって、伸縮機構9,10の連動機構11が構成されている。ウォームホイール9d、ピニオンギヤ9g及びピニオンギヤ10bは、第1背板フレーム30に軸回転自在に支持され、またモータ9fは第1背板フレーム30に固定されている。
【0032】
このような構成の歯科診療台Cにおいて、前記と同様に患者の体格に合わせてヘッドレスト4の背板シート3からの出幅調整をする場合、モータ9fを作動させ、この回転をウォームギヤ9e及びウォームホイール9dを介してダブルラックギヤ9cに伝達し、背板シート3の座席2に対する連設方向に沿って往復するような支杆部材4aの直線運動に変換して、ヘッドレスト4を患者の頭部に合うよう位置調整する。この伸縮操作に伴い、ダブルラックギヤ9cに噛合するピニオンギヤ9gがその支軸周りに回転する。ピニオンギヤ9gの回転によりこれに噛合するピニオンギヤ10bもウイズ回転する。そして、ピニオンギヤ10bとラックギヤ10aとの噛合関係により、インスツルメントホルダ5の杆部材5bがヘッドレスト4と同方向に伸縮動作する。従って、前記と同様に、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5とを、術者の使い勝手に合うようその相対位置関係を初期設定しておけば、ヘッドレスト4を伸縮調整しても、その相対位置関係が維持され、インスツルメントホルダ5に保持されるインスツルメント50のピックアップ或いは収納のハンドリング適性が変化することがない。本歯科診療台Cのその他の構成は、前記歯科診療台Bと同様であるから、ここでも共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0033】
図6に示す歯科診療台Dは、パンタグラフ機構を用いて、ヘッドレスト4の伸縮機構、インスツルメントホルダ5の伸縮機構及び両者を連関する連動機構を構成した例を示すものである。即ち、図例のパンタグラフ機構12は、パンタグラフ構造の頂点位置の支点ピン12aが第1背板フレーム30に固定され、可動ピン12bが第1背板フレーム30にヘッドレスト4及びインスツルメントホルダ5の伸縮方向に沿って形成された長孔30aに摺動自在に挿通され、両ピン12a,12bを対角位置とする平行四辺形(ひし形)のリンク機構を基本構成とする。そして、支点ピン12aによって連結される隣接2辺のリンク12c、12dの揺動端側には、ピン結合された連結リンク12e,12fを介して、夫々ヘッドレスト4の支杆部材4a及びインスツルメントホルダ5の杆部材5bの基端部がピン結合されている。
【0034】
このような構成の歯科診療台Dにおいて、前記と同様に患者の体格に合わせてヘッドレスト4の背板シート3からの出幅調整をする場合、手動により、ヘッドレスト4を背板シート3から引き出し、或いは、背板シート3に押し戻すよう操作すると、パンタグラフ機構12のリンク構造が、支点ピン12aを支点として前記平行四辺形の変形を伴った運動をなし、可動ピン12bの長孔30aで規制された摺動により、インスツルメントホルダ5の杆部材5bがヘッドレスト4の支杆部材4aと同方向に移動する。従って、ヘッドレスト4の位置調整に伴い、初期設定された相互の相対位置を保ったままインスツルメントホルダ5が変位し、インスツルメントホルダ5に保持されるインスツルメント50のピックアップ或いは収納のハンドリング適性がそのまま維持される。このように、パンダグラフ機構12は、その機構的特性により、ヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10を兼ねる両者の連動機構を構成するものであり、図6ではこれらの機構を含むものであることを明示するために、図示のような符号を付している。
【0035】
図7に示す歯科診療台Eは、歯科診療台Dと同様にパンタグラフ機構を用いて、ヘッドレスト4の伸縮機構、インスツルメントホルダ5の伸縮機構及び両者を連関する連動機構を構成した例を示すものである。しかし、本歯科診療台Eにおけるパンタグラフ機構12の基本構成は、歯科診療台Dのパンタグラフ機構12と同様であるが、前記連結リンク12e,12fに代えて、リンク12c、12dに夫々の長手方向に沿って形成された長孔12g,12hを介して、夫々ヘッドレスト4の支杆部材4a及びインスツルメントホルダ5の杆部材5bの基端部がピン結合されている点で、歯科診療台Dにおけるパンタグラフ機構12とは異なる。
【0036】
このような構成の歯科診療台Eにおいて、前記と同様に患者の体格に合わせてヘッドレスト4の背板シート3からの出幅調整をする場合、手動により、ヘッドレスト4を背板シート3から引き出し、或いは、背板シート3に押し戻すよう操作すると、パンタグラフ機構12のリンク構造が、支点ピン12aを支点として前記平行四辺形の変形を伴った運動をなし、可動ピン12bの長孔30aで規制された摺動と、長孔12g,12hを介した支杆部材4a及び杆部材5bのピン結合によって規制された相互摺動により、インスツルメントホルダ5の杆部材5bがヘッドレスト4の支杆部材4aと同方向に移動する。従って、ヘッドレスト4の位置調整に伴い、前記と同様に初期設定された相互の相対位置を保ったままインスツルメントホルダ5が変位し、インスツルメントホルダ5に保持されるインスツルメント50のピックアップ或いは収納のハンドリング適性がそのまま維持される。この場合も、パンダグラフ機構12は、その機構的特性により、ヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10を兼ねる両者の連動機構を構成するものであり、図7ではこれらの機構を含むものであることを明示するために、図示のような符号を付している。
【0037】
図8に示す歯科診療台Fは、図6に示す歯科診療台Dにおけるパンタグラフ機構12を、前記と同様の連動機構及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構を兼ねるものとし、ヘッドレスト4は電動の伸縮機構9によって伸縮するものとして構成した点で、図6に示す歯科診療台Dとは異なる。ヘッドレスト4の伸縮機構9は、支杆部材4aにその長手方向に沿って連接されたラックギヤ9hと、該ラックギヤ9hに噛合するピニオンギヤ(ウォームホイール)9iと、該ウォームホイール9iに噛合するウォームギヤ9jを出力軸に一体固着したモータ9kとにより構成される。従って、モータ9kを作動させることによって、ヘッドレスト4の支杆部材4aをその伸縮方向に沿って伸縮させることができる。また、ヘッドレスト4の支杆部材4a及びインスツルメントホルダ5の杆部材5bの夫々の基端部には、図6に示す例と同様のパンタグラフ機構12におけるリンク12c、12dの揺動端側が、ピン結合された連結リンク12e,12fを介して、ピン結合されている。ウォームホイール9iは第1背板フレーム30に軸回転自在に支持され、モータ9kは第1背板フレーム30に固定されている。
【0038】
このような構成の歯科診療台Fにおいて、前記と同様に患者の体格に合わせてヘッドレスト4の背板シート3からの出幅調整をする場合、モータ9kを作動させ、この回転をウォームギヤ9j及びウォームホイール9iを介してラックギヤ9hに伝達し、支杆部材4aの直線運動に変換して、ヘッドレスト4を患者の頭部に合うよう位置調整する。この伸縮操作に伴い、パンタグラフ機構12のリンク構造が、支点ピン12aを支点として前記平行四辺形の変形を伴った運動をなし、可動ピン12bの長孔30aで規制された摺動により、インスツルメントホルダ5の杆部材5bがヘッドレスト4の支杆部材4aと同方向に移動する。従って、ヘッドレスト4の位置調整に伴い、初期設定された相互の相対位置を保ったままインスツルメントホルダ5が変位し、インスツルメントホルダ5に保持されるインスツルメント50のピックアップ或いは収納のハンドリング適性がそのまま維持される。このように、パンダグラフ機構12は、その機構的特性により、インスツルメントホルダ5の伸縮機構10を兼ねると共にヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10の連動機構を構成するものであり、図8ではこれらの機構を含むものであることを明示するために、図示のような符号を付している。
【0039】
図9に示す歯科診療台Gは、図7に示す歯科診療台Eにおけるパンタグラフ機構12を、前記と同様の連動機構及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構を兼ねるものとし、ヘッドレスト4は図8の例に示す電動の伸縮機構9によって伸縮するものとして構成した点で、図7に示す歯科診療台Eとは異なる。従って、図8に示す例と同様に、患者の体格に合わせてヘッドレスト4の背板シート3からの出幅調整をするべく、伸縮機構9を伸縮動作させることにより、パンタグラフ機構12が、図7の例と同様に、インスツルメントホルダ5の杆部材5bをヘッドレスト4の支杆部材4aと同方向に移動させるよう機能する。従って、ヘッドレスト4の位置調整に伴い、前記と同様に初期設定された相互の相対位置を保ったままインスツルメントホルダ5が変位し、インスツルメントホルダ5に保持されるインスツルメント50のピックアップ或いは収納のハンドリング適性がそのまま維持される。この場合も、パンダグラフ機構12は、その機構的特性により、インスツルメントホルダ5の伸縮機構10を兼ねると共にヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10の連動機構を構成するものであり、図9ではこれらの機構を含むものであることを明示するために、図示のような符号を付している。
【0040】
図10に示す歯科診療台Hは、背板シート3の伸縮機構8、ヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10がいずれも電動機構によってなされるよう構成されたものである。そして、ヘッドレスト4の伸縮機構9とインスツルメントホルダ5の伸縮機構10とは、電気的な制御機構によってその伸縮動作を連関させるよう構成されている。即ち、背板シート3の伸縮機構8は、第1背板フレーム30に固定されたラックギヤ8cと、第2背板フレーム3a(図3参照)に軸回転自在に支持され該ラックギヤ8cに噛合するピニオンギヤ(ウォームホイール)8dと、該ウォームホイール8dに噛合するウォームギヤ8eを出力軸に直結し前記第2背板フレーム3aに固定されたモータ8fとより構成される。ラックギヤ8cは、背板シート3の座席シート2に対する連設方向に沿うよう配設され、モータ8fを作動させることにより、その回転動力が、ウォームギヤ8e及びウォームホイール8dに伝達され、ウォームホイール8dがラックギヤ8cに対して噛合相対転動し、これにより背板シート3が座席シート2に対して伸縮がなされる。従って、患者の体格に応じて背板シート3の位置調整がなされる。
【0041】
ヘッドレスト4の伸縮機構9は、図8及び図9に示す例と同様に、ラックギヤ9hと、ピニオンギヤ(ウォームホイール)9iと、ウォームギヤ9jと、モータ9kとにより構成される。従って、モータ9kを作動させることにより、その回転動力が、ウォームギヤ9j、ウォームホイール9i及びラックギヤ9hに伝達され、これによりラックギヤ9hに螺進・螺退作用が働き、ヘッドレスト4の背板シート3に対する伸縮がなされ、患者の体格に応じてヘッドレスト4の位置調整がなされる。インスツルメントホルダ5の伸縮機構10は、インスツルメントホルダ5の杆部材5bにその長手方向に沿って連接されたラックギヤ10cと、第2背板フレーム3aに軸回転自在に支持され該ラックギヤ10cに噛合するピニオンギヤ(ウォームホイール)10dと、該ウォームホイール10dに噛合するウォームギヤ10eを出力軸に直結し前記第2背板フレーム3aに固定されたモータ10fとより構成される。従って、モータ10fを作動させることにより、その回転動力が、ウォームギヤ10e、ウォームホイール10d及びラックギヤ10cに伝達され、これによりラックギヤ10cに螺進・螺退作用が働き、インスツルメントホルダ5の背板シート3に対する伸縮がなされてその位置調整がなされる。
【0042】
そして、伸縮機構9を構成するウォームホイール9iには、ポテンショメータ等の回転量検出手段が組み込まれ、患者の体格に応じて伸縮機構9を動作させる際、この回転量検出手段による検出情報に基づき、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との予め設定された相対位置関係を保つように、伸縮機構10のモータ10fの作動制御がなされる。伸縮機構8を伸縮動作させる際は、ヘッドレスト4及びインスツルメントホルダ5の背板シート3に対する相対位置を変える必要がないから、原則として伸縮機構9及び伸縮機構10の伸縮動作はなされない。しかし、図10の歯科診療台Hの構成のように、ヘッドレスト4及びインスツルメントホルダ5の背板シート3に対する相対位置関係を維持する為に伸縮機構8の伸縮動作と並行して伸縮機構9を伸縮動作させる必要がある時は、伸縮機構10も前記電気的な連関関係で伸縮動作するよう構成される。その他の構成は、図2に示す歯科診療台Aと同様であるから、共通部分に同一の符号を付しその説明を割愛する。
【0043】
尚、電気的構成であれば、ヘッドレスト4の伸縮動作の開始と、ヘッドレスト4及びインスツルメントホルダ5が相対的位置関係になるタイミングとともに、時間差を設けることが電気的制御によって可能である。つまりは、伸縮動作比率を変えてヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5の伸縮動作のタイミング又はスピードを変えるよう、適宜差動又は差停止手段を連関機構の制御に組み込ませることができる。ヘッドレスト4の伸縮とインスツルメントホルダ5の伸縮とを即時的に連動させずに、差動や差停止させる機能を追加することで、ヘッドレスト4よりインスツルメントホルダ5の適正位置への移動を遅らせることができる。実施内容としては、例えば、適正距離の維持動作において、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5の伸縮の速さ同士を変えて時差のある停止にしたり(差停止)、同じスピードでも始動のタイミングをずらしたりする(差動)構成が考えられる。これによって、両者の連動に伴って患者や術者が感じる可能性のある、近傍に配されたインスツルメントホルダ5の即時的な伸縮が与える可能性のある恐怖感を、低減できる場合があるので有意義である。
【0044】
図11〜図13は、インスツルメントホルダ5が、基体フレーム2aに取付けられ、ホルダ本体5aがヘッドレスト4の近傍に及ぶよう構成された例を示している。図11に示す歯科診療台Iの基本構成は図1に示す歯科診療台Aと同様であるので、共通部分には同一の符号を付しその説明を割愛する。この例では、インスツルメントホルダ5の杆部材5bが、基体フレーム2aに取付けられたエアシリンダ等からなる伸縮機構10Aの伸縮ロッド10Aaに連結され、該杆部材5bの先端に保持されたホルダ本体5aがヘッドレスト4の近傍部に及ぶよう構成される。そして、図12に示すように、背板シート3には、背板シート3の伸縮機構8と、ヘッドレスト4の伸縮機構9とが備えられている。伸縮機構8は、第1背板フレーム30に固定されたラックギヤ8gと、該ラックギヤ8gに噛合し前記第2背板フレーム3a(図3参照)に軸回転可能に支持されたピニオンギヤ8hとよりなる。ラックギヤ8gは、背板シート3の座席シート2に対する連設方向に沿って配設され、背板シート3を手動で操作することにより、ラックギヤ8gに沿ってピニオンギヤ8hが転動し、これによって、座席シート2に対する背板シート3の伸縮が可能とされる。
【0045】
また、ヘッドレスト4の伸縮機構9は、支杆部材4aにその長手方向に沿って連接されたラックギヤ9mと、該ラックギヤ9mに噛合し第2背板フレーム3aに軸回転可能に支持されたピニオンギヤ9nとより構成される。従って、ヘッドレスト4を背板シート3から引き出し、或いは、背板シート3に押し戻すよう手動で操作することができ、これにより、患者の体格に合わせたヘッドレストの背板シート3からの出幅調整が可能とされる。そして、ピニオンギヤ9nには、ポテンショメータ等の回転量検出手段が組み込まれ、患者の体格に応じて伸縮機構9を伸縮動作させる際、この回転量検出手段による検出情報に基づき、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との予め設定された相対位置関係を保つように、伸縮機構10Aの伸縮作動制御がなされる。これにより、ヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10Aのそれぞれの伸縮動作が相互に連関する構成が確立される。
同様に、ピニオンギヤ8hにも、ポテンショメータ等の回転量検出手段を組み込み、患者の体格に応じて伸縮機構8を伸縮動作させる際、この回転量検出手段による検出情報に基づき、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との予め設定された相対位置関係を保つように、伸縮機構10Aの伸縮差動制御がなされる構成にすることもできる。
尚、ピニオンギヤ8h,9nには、夫々の支軸との間にトルクリミッタ等の負荷部材を介在させ、一定以上の外力が付加されない限り、各伸縮機構8,9が伸縮動作しないよう構成することが望ましい。
【0046】
図13は、図12における伸縮機構8及び伸縮機構9が夫々電動機構によって作動するよう構成した歯科診療台Jを示している。即ち、本例における伸縮機構8は、前記と同様のラックギヤ8g及びピニオンギヤ8hに加え、該ピニオンギヤ8hをウォームホイールとしてこれに噛合するウォームギヤ8iを出力軸に直結したモータ8jを備えている。モータ8jは第2背板フレーム3aに固定されている。また、本例における伸縮機構9は、前記と同様のラックギヤ9m及びピニオンギヤ9nに加え、該ピニオンギヤ9nをウォームホイールとしてこれに噛合するウォームギヤ9oを出力軸に直結し第2背板フレーム3a(図3参照)に固定されたモータ9pを備えている。これらの伸縮機構8,9は、いずれもモータ8j,9pの作動により伸縮動作する。そして、伸縮機構9を構成するウォームホイール9nには、前記と同様にポテンショメータ等の回転量検出手段が組み込まれ、患者の体格に応じて伸縮機構9を伸縮動作させる際、この回転量検出手段による検出情報に基づき、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との予め設定された相対位置関係を保つように、伸縮機構10Aの伸縮作動制御がなされる。これにより、ヘッドレスト4の伸縮機構9及びインスツルメントホルダ5の伸縮機構10Aのそれぞれの伸縮動作が相互に連関する構成が確立される。
同様に、伸縮機構8を構成するピニオンギヤ(ウォームホイール)8hにポテンショメータ等の回転量検出手段を組み込み、患者の体格に応じて伸縮機構8を伸縮動作させる際、この回転量検出手段による検出情報に基づき、ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との予め設定された相対位置関係を保つように、伸縮機構10Aの伸縮差動制御がなされる構成にすることもできる。
【0047】
図14は、図11に示すY線部の構造の一例を示すものであり、インスツルメントホルダ5の杆部材5bが、略水平状態で配設された前記伸縮機構10Aの伸縮ロッド10Aaに連結された水平杆部5baと、該水平杆部5baの先端部に垂直軸周りに回転可能に連結された垂直杆部5bbと、該垂直杆部5bbの上端部に水平軸周りに傾動可能に連結された傾動杆部5bcとよりなり、該傾動杆部5bcの先端部にホルダ本体5aが支持されてインスツルメントホルダ5が構成されている。水平杆部5baと垂直杆部5bbとの連結部には、モータ5cと、該モータ5cの回転動力を垂直杆部5bbの垂直軸周りの回転に駆動伝達するギヤ機構5d、5eが内装されている。また、垂直杆部5bbと傾動杆部5bcとの連結部には、モータ5fと、該モータ5fの回転動力を傾動杆部5bcの水平軸周りの傾動回転に駆動伝達するギヤ機構5g、5hが内装されている。このような構成のインスツルメントホルダ5は、伸縮機構10Aの作動により水平杆部5baが矢印a方向に伸縮し、モータ5cの作動により垂直杆部5bbが矢印bのように垂直軸周りに回転し、モータ5fの作動により傾動杆部5bcが矢印cのように水平軸周りに傾動する。従って、これら作動部を適宜作動させることによって、術者にとって使い勝手の良い位置にホルダ本体5aを位置付け、或いは、使用しない時には他の診療作業等に邪魔にならない位置にホルダ本体5aを退避させておくことができる。
尚、ギヤ5h等にポテンンショメータ等を組み込み、その回転位置情報に基づきヘッドレスト4との相対位置を制御するよう構成することも可能である。また、前記モータ5c、5fを設けず、手動によって、ギヤ機構5d,5e、5g,5hを介した前記回転或いは傾動を可能とするよう構成することも可能である。
【0048】
図15及び図16は、本発明の歯科診療台に採用されるインスツルメントホルダ5の一実施形態を示し、ホルダ本体5aが杆部材5bに対して着脱自在に支持されている例を示すものである。図15に示すように、杆部材5bに対してその軸線方向に沿って着脱が可能とされるホルダ本体5aには、複数のインスツルメント保持部5i…が形成され、該インスツルメント保持部5i…には、図1或いは図2に示す各種インスツルメント50がピックアップ或いは収納可能に保持される。各インスツルメント保持部5i…には、インスツルメントの有無を検出するセンサ(不図示)が付設され、このセンサ用の電源供給線及び信号線5jが、ホルダ本体5aにおける杆部材5bとの接続部に配設された雄コネクタ部5kに結線されている。ホルダ本体5aにおける杆部材5bとの接続部の周面には、圧縮ばね5mにより弾力付勢された押ボタン5nが突出しており、該押ボタン5nには係止片5oが連成されている。一方、杆部材5bのホルダ本体5aとの接続部には、前記雄コネクタ部5kと電気的に結合可能とされる雌コネクタ部5p、及び前記係止片5oが係止される係止凹部5qが設けられている。雌コネクタ部5pには杆部材5b内を経て不図示の制御部等に接続される電線5rが結線されている。
【0049】
このような構成のインスツルメントホルダ5において、図16に示すようにホルダ本体5aと杆部材5bとが接続された状態から、前記押ボタン5nを前記圧縮ばね5mの弾力に抗して押し下げ、係止片5oと係止凹部5qとの係止を解除してホルダ本体5aを引き抜くように操作すれば、雄コネクタ部5kと雌コネクタ部5pとの電気的接続も解除されて、ホルダ本体5aを離脱させることができる。杆部材5bに装着接続させる際は、押ボタン5nを押し込み、雄コネクタ部5kと雌コネクタ部5pとを整合させ、ホルダ本体5aを杆部材5bに向け押し込むよう操作すれば図16に示すような接続状態とすることができる。杆部材5bから離脱されたホルダ本体5aは、例えば、図2に示すようにスピットン装置7の側部に形成された補助装着部7aに装着させておくことができる。この補助装着部7aは、杆部材5bにおける前記接続部と同様の構造とされており、この補助装着部7aにおけるホルダ本体5aの着脱も前記と同様のワンタッチ操作によってなされる。補助装着部7aに装着されたホルダ本体5aにおいて各種インスツルメントを同様に保持させておくことは可能であり、従って、診療態様によっては、この状態でインスツルメントをピックアップ或いは収納して診療作業に使用することができる。また、診療態様によって当該ホルダ本体5aに保持されるインスツルメントを使用しない場合は、この補助装着部7aにホルダ本体5a装着させて退避させておくこともできる。
【0050】
図17は、本発明の歯科診療台に装備される操作パネルの一例を示す要部の平面図であり、図18は同操作パネルを用いて歯科診療台の動作制御を行う場合の制御ブロック図の一例を示す。図17に示す操作パネル13は、図2に示すトレーテーブル6の一側部に形成されており、この操作パネル13の下部には主にドクターによって使用される各種インスツルメントを保持する為のインスツルメントホルダ14が設けられている。図例では、このインスツルメントホルダ14にスリーウェイシリンジ14a、エアタービンハンドピース14b、14c及びマイクロモータハンドピース14dが保持されている例を示している。トレーテーブル6は、図2に示すようにハンガーアーム6aによって歯科診療台Aの側部に水平及び昇降移動可能に支持されており、術者(ドクター)はトレーテーブル6に形成されたハンドル6bを把持操作して診療し易い位置にトレーテーブル6を位置調整し診療にあたる。トレーテーブル6上には、歯科診療に必要な各種薬品や、ピンセット等の診療器具が載置され、更には、その側部に診療情報等を表示する表示部等(不図示)が設置される。
【0051】
操作パネル13には、各種操作スイッチが設けられており、スイッチ13a〜13dは、診療台の自動位置制御スイッチであり、診療態様により予め定められた動作パターンに対応する。例えば、奥歯或いは前歯の診療を行う場合の座席シート2の適正高さ、背板シート3の適正傾斜角度が後記するチェア制御部16の記憶手段(CPU)16aに記憶されており、スイッチ13a及びスイッチ13bはこれらの診療態様に対応する。スイッチ13aを操作すると、座席シート2及び背板シート3の昇降機構1a及び傾動機構が作動して、座席シート2及び背板シート3が、前記予め設定された奥歯診療に適正な高さ及び傾斜角度に自動的に位置決めされる。また、スイッチ13bを操作すると、座席シート2及び背板シート3が、同様に前歯診療に適正な高さ及び傾斜角度に自動的に位置決めされる。スイッチ13cは、座席シート2及び背板シート3の高さ及び傾斜角度を元の状態に戻す為の操作スイッチであって、この場合の適正な高さ及び傾斜角度も予め前記記憶手段(CPU)16aに記憶されている。診療が終ると、このスイッチ13cを操作して元の状態に戻すことにより患者の退出をし易くする。そして、この状態に維持して次の患者の導入まで待機させる。スイッチ13dは、診療中患者にうがいをさせる為の背板シート3の傾動操作スイッチであって、仰臥診療中にうがいをさせる必要が生じた時は、術者はこのスイッチ13dを操作すると背板シート3が起立し、うがいに適正な角度に位置決めされる。うがいが終了し仰臥診療態勢に戻す場合は、このスイッチ13dを再度操作することにより、背板シート3は元の仰臥診療姿勢に戻る。
【0052】
スイッチ13e,13fは、座席シート2を単独で昇降させる為の操作スイッチであり、スイッチ13g,13hは、背板シート3を単独で傾動させる為の操作スイッチである。スイッチ13i,13jは、ヘッドレスト4の伸縮機構9を伸縮動作させる為の操作スイッチである。このスイッチ13i,13jが対象とする伸縮機構9は、図5、図8、図9、図10及び図13に示すように電動機構によって伸縮動作するものである。この2種のスイッチ13i,13jは、例えば、患者の体格の大小に応じて予め記憶手段に記憶された伸縮機構9の伸縮度合に対応し、術者は導入された患者の体格を見てどちらかのスイッチを操作すると、伸縮機構9が対応する伸縮度合で伸縮して、ヘッドレスト4が患者の頭部に合うよう自動的に位置付けられる。また、スイッチ13k,13mは、背板シート3の伸縮機構8を伸縮動作させる為の操作スイッチである。このスイッチ13k,13mが対象とする伸縮機構8は、図10や図13に示すように電動機構によって伸縮動作するものである。この2種のスイッチ13e,13fは、例えば、患者の体格の大小に応じて予め記憶手段に記憶された伸縮機構8の伸縮度合に対応し、術者は導入された患者の体格を見てどちらかのスイッチを操作すると、伸縮機構8が対応する伸縮度合で伸縮して、背板シート3が患者の背部に合うよう自動的に位置付けられる。
【0053】
スイッチ13nは、背板シート3の伸縮機構8又はヘッドレスト4の伸縮機構9の伸縮動作とインスツルメントホルダ5の伸縮機構10,10Aの伸縮動作とを連動させるか否かを切替える操作スイッチである。ヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との相対的な位置情報が予め前記記憶手段に記憶されており、このスイッチ13nを操作して連動状態とされている時に、例えば、前記スイッチ13i,13jのいずれかが操作されると、後記する制御部15aは、ヘッドレスト4の伸縮機構9を前記いずれかの伸縮度合で伸縮させヘッドレスト4を患者の体格に応じた位置に位置付けると共に、インスツルメントホルダ5の現在位置若しくは伸縮機構9の前記ポテンショメータ等による位置情報を取得した上で、前記伸縮機構10,10Aを伸縮動作させ、インスツルメントホルダ5を前記相対的な位置情報に合うよう位置決めする。このように、ヘッドレスト4の伸縮動作と連動させてインスツルメントホルダ5を伸縮動作させる構成は、図10及び図13の例に適用される。また、スイッチ13k,13mのいずれかが操作されると、前記制御部15aは、背板シート3の伸縮機構8を前記いずれかの伸縮度合で伸縮させ背板シート3を患者の体格に応じた位置に位置付けると共に、インスツルメントホルダ5の現在位置を取得した上で、前記伸縮機構10Aを伸縮動作させ、インスツルメントホルダ5を前記相対的な位置情報に合うよう位置決めする。このように、背板シート3の伸縮動作と連動させてインスツルメントホルダ5を伸縮動作させる構成は、図13の例に適用される。スイッチ13nを操作して連動解除状態とした場合に、スイッチ13i〜13mのいずれかをインスツルメントホルダ5の伸縮スイッチに割り当てるよう構成すれば、この割り当てられたスイッチを操作することにより、インスツルメントホルダ5の伸縮機構10,10Aを伸縮動作させることができる。また、これに代え、伸縮機構10,10Aの専用スイッチを設けることも可能である。スイッチ13nを操作して連動解除とする構成は、インスツルメントホルダ5の伸縮機構10,10Aと他の伸縮機構との連関を無効にする手段に相当する。
【0054】
スイッチ13oは、前記診療台の自動位置制御スイッチ13a〜13dの起動操作スイッチであり、このスイッチ13oが操作された上で自動位置制御スイッチ13a〜13dのいずれかのスイッチ操作がなされると、前記座席シート2或いは背板シート4の昇降或いは傾動制御がなされる。更に、該スイッチ13oのスイッチ操作がなされた上で、前記スイッチ13i〜13mのいずれかのスイッチ操作がなされると、背板シート3の傾動或いは伸縮動作によってその姿勢を自動的に制御し、或いはヘッドレスト4の伸縮機構9を伸縮動作させてその位置を自動調整し、同時に各スイッチ13i〜13mに対応付けて記憶されたヘッドレスト4とインスツルメントホルダ5との相対位置情報を読み出し、これに応じてインスツルメントホルダ5の伸縮機構10,10Aを伸縮動作させて、インスツルメントホルダ5のその位置情報に合うよう位置決めさせるよう構成することができる。この場合の位置情報は、例えば、複数の術者が使用する場合に、各術者毎の使い勝手に合うよう予め記憶された複数の位置情報とされ、これらの位置情報を前記スイッチ13i〜13mを割り付けることによって上記機能を奏するよう構成することが考えられる。
尚、操作パネル13には、前記以外の操作スイッチも設けられており、歯科診療に必要な各種機器等の操作がこの操作パネル13上でなされる。
以上のスイッチ構成は例示の形態に過ぎず、スイッチを別位置に設けたり、各スイッチに対応する制御内容や機能が異なっていてもよい。少なくとも本発明構成の実施に必要なスイッチが備えられていればよい。
【0055】
図18は前記のような構成の歯科診療台を動作制御させる制御ブロック図の一例を示すものである。操作部は前記操作パネル13に相当し、前記各スイッチ13a〜13oが操作手段に相当する。表示手段13Aは例えば前記トレーテーブル6の一側部に設けられ、各種動作部の動作状態や、患者に関する各種診療情報等が表示される。操作パネル13には操作用制御部としてCPU13Bが配設されているが、これは後記するチェア制御部16のCPU16a或いは支持制御部のCPU15aと一体に構成しても良い。チェア制御部16は、その制御の中枢を司る制御部としてのCPU16aを備え、チェア駆動手段16bは前記座席シートの昇降機構1aや背板シート3の傾動機構である。また、インスツルメント駆動手段16cは、各種インスツルメントに応じた作用媒体(空気、電気、水、バキューム等)の供給等を制御するものである。また、サーボ制御部16dは、座席シート2や背板シート3の昇降機構や傾動機構に使用される油圧機構における油圧バルブを開閉して座席シート2や背板シート3の昇降及び傾動スピードを制御する。モータ制御部16eは、当該油圧機構の油圧ポンプを制御する。更に、SV制御部16fは当該油圧機構に配設される各種電磁弁の制御を行う。前記のようにスイッチ操作により、座席シート2や背板シート3の昇降或いは傾動指示があると、これら各制御部16d〜16fの制御により、チェア駆動手段16bが作動して、座席シート2や背板シート3の所定の昇降或いは傾動動作がなされる。
【0056】
支持部制御部15は、ヘッドレスト伸縮機構9、背板伸縮機構8及びインスツルメントホルダ伸縮機構10(10A)を含み、これらの動作を連関させるよう制御する制御部としてCPU15aが設けられている。該CPU15aは前記のヘッドレスト4とインンスツルメントホルダ5との予め設定された相対位置情報を記憶する記憶手段を含んでいる。各伸縮機構8,9,10(10A)の駆動手段80,90,100は、前記各実施形態で例示したモータやエアシリンダ等である。また、位置検出手段80a,90a,100aとしては、各動作部分に組み込まれるポテンショメータ等が用いられる。本支持部制御部15のCPU15aから、操作部13のCPU13Bに、位置検知手段80a,90a,100aによる位置検知情報が支持部位置情報として入力され、この支持部位置情報に基づきチェア位置制御部16における各部の制御がなされる。また、各スイッチの操作情報は、操作部13のCPU13Bから支持部制御部15のCPU15aに入力され、位置検知手段80a,90a,100aによる位置検知情報に基づき、前記のようにインスツルメントホルダ5の位置調整等がなされる。
【0057】
尚、インスツルメントホルダ5の構造は例示のものに限定されず、他の構造のものも採用可能である。また、ヘッドレスト4の伸縮機構9に傾動機構を付加して、診療態様(例えば、診療対象が上顎歯牙か、下顎歯牙か)に応じて適宜ヘッドレスト4を傾動させ得るよう構成することも可能である。更に、図18に示す制御ブロック図は一例に過ぎず、他の制御ブロック構成により本発明の各動作を制御することもできる。
【符号の説明】
【0058】
A〜J 歯科診療台
2 座席シート
2a 基体フレーム(座席シートフレーム)
3 背板シート
4 ヘッドレスト
5 インスツルメントホルダ
5a ホルダ本体
5b 杆部材
8 背板シートの伸縮機構(背板伸縮機構)
9 ヘッドレストの伸縮機構(ヘッドレスト伸縮機構)
10,10A インスツルメントホルダの伸縮機構(インスツルメントホルダ伸縮機構)
11 連動機構
12 パンタグラフ機構(伸縮機構、連動機構)
13a〜13d 診療台の自動位置制御スイッチ(自動姿勢制御操作手段)
15a CPU(制御部、記憶手段)
7a 補助装着部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席シートと、該座席シートの一端部に傾動自在に連設された背板シートと、該背板シートの上端部に連設されたヘッドレストと、前記背板シートの肩部に保持されたインスツルメントホルダとを備えた歯科診療台であって、
前記ヘッドレストは、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記インスツルメントホルダは、ホルダ本体と、該ホルダ本体を支持する杆部材とからなり、伸縮機構によって前記ヘッドレストの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする歯科診療台。
【請求項2】
座席シートと、該座席シートの一端部に傾動自在に連設された背板シートと、該背板シートの上端部に連設されたヘッドレストと、基体フレームに前記背板シートの肩部近傍に及ぶよう保持されたインスツルメントホルダとを備えた歯科診療台であって、
前記ヘッドレストは、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記インスツルメントホルダは、ホルダ本体と、該ホルダ本体を支持する杆部材とからなり、伸縮機構によって前記ヘッドレストの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする歯科診療台。
【請求項3】
座席シートと、該座席シートの一端部に傾動自在に連設された背板シートと、該背板シートの上端部に連設されたヘッドレストと、基体フレームに前記背板シートの肩部近傍に及ぶよう保持されたインスツルメントホルダとを備えた歯科診療台であって、
前記背板シートは、伸縮機構によって前記座席シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記インスツルメントホルダは、ホルダ本体と、該ホルダ本体を支持する杆部材とからなり、伸縮機構によって前記背板シートの伸縮方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記背板シートの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする歯科診療台。
【請求項4】
請求項3に記載の歯科診療台において、
前記ヘッドレストは、伸縮機構によって前記背板シートとの連設方向に沿った方向への伸縮が可能とされ、
前記ヘッドレストの伸縮機構及び前記インスツルメントホルダの伸縮機構のそれぞれの伸縮動作が相互に連関するよう構成されていることを特徴とする歯科診療台。
【請求項5】
請求項1に記載の歯科診療台において、
前記ヘッドレストの伸縮機構と、インスツルメントホルダの伸縮機構とが、連動機構を介して連関し、前記ヘッドレスト及びインスツルメントホルダの夫々の伸縮動作が連動してなされるよう構成したことを特徴とする歯科診療台。
【請求項6】
請求項2に記載の歯科診療台において、
前記ヘッドレストの伸縮機構と、インスツルメントホルダの伸縮機構とが、連動機構を介して連関し、前記ヘッドレスト及びインスツルメントホルダの夫々の伸縮動作が連動してなされるよう構成したことを特徴とする歯科診療台。
【請求項7】
請求項3に記載の歯科診療台において、
前記背板シートの伸縮機構と、インスツルメントホルダの伸縮機構とが、連動機構を介して連関し、前記背板シート及びインスツルメントホルダの夫々の伸縮動作が連動してなされるよう構成したことを特徴とする歯科診療台。
【請求項8】
請求項4に記載の歯科診療台において、
前記ヘッドレストの伸縮機構と、インスツルメントホルダの伸縮機構とが、連動機構を介して連関し、前記ヘッドレスト及びインスツルメントホルダの夫々の伸縮動作が連動してなされるよう構成したことを特徴とする歯科診療台。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科診療台において、
前記インスツルメントホルダの使用時における予め設定されたヘッドレストとの相対的な位置情報を記憶する記憶手段と、インスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御する制御部とを備え、該制御部は、インスツルメントホルダをその伸縮機構をして所定の使用位置に位置付ける際、前記記憶手段より前記位置情報を読み出し、この位置情報に基づきンスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御することを特徴とする歯科診療台。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科診療台において、
前記インスツルメントホルダの使用時におけるヘッドレストとの予め設定された相対的な位置情報を記憶する記憶手段と、診療台の自動姿勢制御操作手段と、インスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御すると共に前記自動姿勢制御操作手段に基づき診療台の姿勢を制御する制御部とを備え、該制御部は、自動姿勢制御操作手段の制御操作指令に基づき診療台の姿勢を制御し、これと並行して、前記記憶手段より前記位置情報を読み出し、この位置情報に基づき前記インスツルメントホルダを所定の使用位置に位置付けるようインスツルメントホルダの伸縮機構の動作を制御することを特徴とする歯科診療台。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の歯科診療台において、
前記インスツルメントホルダの伸縮機構が、他の伸縮機構との連関を無効とする手段を備えていることを特徴とする歯科診療台。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の歯科診療台において、
前記インスツルメントホルダにおけるホルダ本体部が、前記杆部材の先端部に着脱自在に装着され、当該診療台の他部位に、該ホルダ本体部を着脱自在に装着し得る補助装着部が設けられていることを特徴とする歯科診療台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−273916(P2010−273916A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130389(P2009−130389)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】