説明

歯車伝動装置

【課題】偏心回転する歯車と偏心体との間に配置する軸受が発熱することを抑制する。
【解決手段】歯車伝動装置100は、内歯歯車33と、外歯歯車20と、クランクシャフト14を備えている。外歯歯車20は、内歯歯車33と噛み合いながら相対的に偏心回転する。クランクシャフト14は、外歯歯車20に形成されている貫通孔35に係合する偏心体16を有している。クランクシャフト14は、外歯歯車20を偏心回転させる。貫通孔35の内周面と偏心体16の外周面との間に玉軸受22が介在している。貫通孔35の内周面に玉軸受22のアウターレースに相当する第1溝20aが形成されており、偏心体16の外周面に玉軸受22のインナーレースに相当する第2溝16aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯車伝動装置に関する。特に、外歯歯車が内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する歯車伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外歯歯車が内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する歯車伝動装置が知られている。外歯歯車が偏心回転するタイプの場合、外歯歯車は、内歯歯車の軸線の周りを偏心回転する。外歯歯車の歯数は内歯歯車の歯数と異なる。そのため、外歯歯車が内歯歯車と噛み合いながら偏心回転すると、両者の歯数差に応じて、外歯歯車が内歯歯車に対して相対的に回転する。そのような歯車伝動装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているように、歯車伝動装置は、外歯歯車を偏心回転させるために、偏心体を有するクランクシャフトを備えている。その偏心体は、外歯歯車に形成されている貫通孔に係合する。クランクシャフトが回転すると、偏心体がクランクシャフトの軸線の周りを偏心回転する。その結果、偏心体に係合している外歯歯車が、内歯歯車と噛み合いながら偏心回転する。
【0003】
特許文献2には、内歯歯車が偏心回転するタイプの歯車伝動装置が開示されている。このタイプの歯車伝動装置では、クランクシャフトの偏心体が、内歯歯車に形成されている貫通孔に係合する。外歯歯車が偏心回転するタイプも、内歯歯車が偏心回転するタイプも、偏心回転する歯車に貫通孔を形成し、その貫通孔に偏心体が係合しているという点で共通する。以下では、主として外歯歯車が偏心回転するタイプについて説明するが、本明細書が開示する技術は、内歯歯車が偏心回転するタイプの歯車伝動装置にも適用可能であることに留意されたい。
【0004】
特許文献1及び2に示されているように、外歯歯車(又は内歯歯車)の貫通孔と偏心体との間には、両者の摩擦を低減させるために、ニードル軸受が配置される。ニードル軸受は、複数の円柱状の転動体を備えている。円柱状の転動体の周面は、偏心体の外周面と貫通孔の内周面の双方に接している。特許文献1の図1によく示されているように、ニードル軸受(転動体)120の軸方向に隣接して、部品122、123が配置されている。部品122、123は、ワッシャのような部品であり、ニードル軸受120が軸方向に移動することを防止する。以下の説明では、便宜的に、部品122、123をワッシャと称する。特許文献2にも同様のワッシャが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−180278号公報
【特許文献2】特開2004−293640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2の歯車伝動装置では、ニードル軸受の転動体がワッシャに接することにより、あるいは、転動体を保持する保持器がワッシャに接することにより、ニードル軸受が軸方向に移動することを防止する。クランクシャフトが回転すると、転動体は、偏心体の外周面を転がりながら偏心体の周方向に沿って移動する。このときに、転動体(あるいは、保持器)とワッシャの間に摩擦が生じ、接触部分が発熱する。このような発熱は、歯車伝動装置にダメージを与える虞がある。本明細書は、偏心回転する歯車と偏心体との間に配置する軸受が発熱することを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する歯車伝動装置は、内歯歯車と、外歯歯車と、クランクシャフトを備えている。外歯歯車は、内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する。内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車には、貫通孔が形成されている。クランクシャフトは偏心体を有している。偏心体は、内歯歯車又は外歯歯車の一方に形成されている貫通孔に係合している。偏心体は、内歯歯車又は外歯歯車の一方を偏心回転させる。すなわち、外歯歯車が偏心回転する場合、外歯歯車に貫通孔が形成されており、クランクシャフトの偏心体が、外歯歯車の貫通孔に係合している。上記貫通孔の内周面と偏心体の外周面との間には、玉軸受が介在している。上記貫通孔の内周面には、玉軸受のアウターレースに相当する第1溝が形成されている。また、上記偏心体の外周面には、玉軸受のインナーレースに相当する第2溝が形成されている。
【0008】
上記の歯車伝動装置によると、第1溝と第2溝と球状の転動体(典型的には玉)とが玉軸受を形成する。玉軸受の場合、転動体は、アウターレースとインナーレースによって、軸方向に移動することが抑制される。そのため、転動体に接触して転動体が軸方向に移動することを規制する部品が不要である。それにより、転動体が発熱することを抑制することができる。なお、玉軸受の場合、インナーレースとアウターレースの軸方向の相対的な位置が変化しにくい。そのため、外歯歯車が偏心回転するタイプであれば、外歯歯車が軸方向に移動することも抑制することができる。外歯歯車が軸方向に移動することを規制する規制部品を省略することもできる。その結果、外歯歯車と規制部品の間で発熱が起こることも抑制することができる。
【0009】
本明細書で開示する歯車伝動装置では、内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車を2つ以上備えており、転動体(玉)の直径が、内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車の厚みよりも小さくてよい。なお、ここでいう「内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車」は、上記した偏心体が係合している歯車のことである。具体的にいうと、外歯歯車が偏心回転するタイプの場合、外歯歯車を2つ以上備えており、転動体の直径が、外歯歯車の厚みよりも小さくてよい。内歯歯車が偏心回転するタイプの場合、内歯歯車を2つ以上備えており、転動体の直径が、内歯歯車の厚みよりも小さくてよい。
【0010】
上記したように、本明細書が開示する歯車伝動装置では、外歯歯車が偏心回転するタイプの場合、外歯歯車が軸方向に移動することも抑制することができる。さらに、転動体の直径が外歯歯車の厚みよりも小さければ、2つ以上の外歯歯車を近接して配置することができる。歯車伝動装置の軸方向の長さを短くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本明細書が開示する技術は、偏心回転する歯車と偏心体との間に配置する軸受の発熱が抑制された歯車伝動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の歯車伝動装置の断面図を示す。
【図2】図1の破線で囲った部分30の拡大断面図を示す。
【図3】従来の歯車伝動装置の一部分の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例を説明する前に、実施例の技術的特徴を以下に簡潔に記す。
(特徴1)歯車伝動装置は、ケースに回転可能に支持されているキャリアを備えている。クランクシャフトは、軸方向への移動を抑制する軸受によって、そのキャリアに回転可能に支持されている。
(特徴2)第1溝及び第2溝の軸方向に沿った断面の形状は、ともに円弧である。
【実施例】
【0014】
実施例では外歯歯車が偏心回転するタイプの歯車伝動装置(減速装置)について説明するが、本明細書が開示する技術は、内歯歯車が偏心回転するタイプの歯車伝動装置にも適用できることに留意されたい。図1は、歯車伝動装置100の断面図を示す。図面を明瞭化するため、一部の部品については、断面を表すためのハッチングを省略している。歯車伝動装置100は、外歯歯車20が内歯歯車33と噛み合いながら偏心回転する偏心揺動型である。なお、内歯歯車33は、ケース32と複数の内歯ピン34で構成される。ケース32の内周面には、軸方向に平行な溝が、周方向に等間隔に形成されている。それらの溝に内歯ピン34が嵌め込まれている。それらの溝の全てに内歯ピン34が嵌め込まれていてもよいし、一部の溝には内歯ピン34が嵌め込まれていなくてもよい。
【0015】
まず、歯車伝動装置100の基本的な構造について説明する。歯車伝動装置100は、内歯歯車33とキャリア46と外歯歯車20とクランクシャフト14を備えている。キャリア46は、一対のアンギュラ玉軸受29によって、ケース32に支持されている。キャリア46は、第1プレート44と第2プレート40で構成されている。第1プレート44から第2プレート40に向けて柱状部42が延びており、その柱状部42と第2プレート40が固定されている。クランクシャフト14は、一対の円錐ころ軸受12によって、キャリア46に支持されている。一対の円錐ころ軸受12によって、クランクシャフト14が軸線38方向に移動することが抑制される。
【0016】
クランクシャフト14は、歯車伝動装置100の軸線38からオフセットした位置で、軸線38に平行に延びている。クランクシャフト14は、入力歯車36と偏心体16を備えている。入力歯車36は、一対の円錐ころ軸受12の外側でクランクシャフト14に固定されている。偏心体16は、一対の円錐ころ軸受12の間でクランクシャフト14に固定されている。外歯歯車20には貫通孔35が形成されている。偏心体16が、玉軸受22を介して貫通孔35に係合している。外歯歯車20は、クランクシャフト14を介してキャリア46に支持されている。なお、玉軸受22は、アウターレース20aとインナーレース16aと転動体18と保持器(図示省略)で構成されている。玉軸受22のさらなる詳細については後述する。
【0017】
モータ(図示省略)のトルクが入力歯車36に伝達されると、クランクシャフト14が回転する。クランクシャフト14が回転すると、偏心体16が偏心回転する。偏心体16の偏心回転に伴って、外歯歯車20が、内歯歯車33と噛み合いながら軸線38の周りを偏心回転する。外歯歯車20の歯数と内歯歯車33の歯数(内歯ピン34の数)は異なる。そのため、外歯歯車20が偏心回転すると、外歯歯車20と内歯歯車33の歯数差に応じて、外歯歯車20が内歯歯車33に対して相対的に回転する。その結果、外歯歯車20を支持しているキャリア46が、内歯歯車33(ケース32)に対して相対的に回転する。なお、キャリア46及び内歯歯車33の軸線は、歯車伝動装置100の軸線38と等しい。
【0018】
図2を参照し、歯車伝動装置100に特有の構造を説明する。図2に示すように、外歯歯車20の貫通孔35の内周面35xに、第1溝20aが形成されている。第1溝20aは円弧状であり、貫通孔35の内周面35xを周方向に一巡している。また、偏心体16の外周面16xに、第2溝16aが形成されている。第2溝16aは円弧状であり、偏心体16の外周面16xを周方向に一巡している。第1溝20aと、第2溝16aと、球状の転動体(玉)18によって玉軸受22が形成されている。第1溝20aは玉軸受22のアウターレースに相当し、第2溝16aは玉軸受22のインナーレースに相当する。
【0019】
転動体18は、第1溝20aと第2溝16aの双方に接しており、双方の溝20a、16aによって軸方向(図1の軸線38方向)に移動することが抑制されている。転動体18の軸方向への移動が抑制されるということは、第1溝20aと第2溝16aの軸方向の相対的な位置が変化しにくいことを意味する。上記したように、クランクシャフト14は、一対の円錐ころ軸受12によって、軸線38方向に移動することが抑制されている(図1を参照)。第1溝20aと第2溝16aの軸方向の相対的な位置変化が抑制されるので、外歯歯車20が軸方向に移動することが抑制される。なお、図面では転動体18の曲率が第1溝20a及び第2溝16aの曲率と同じように見えるが、実際には、転動体18の曲率は、第1溝20a及び第2溝16aの曲率よりも僅かに大きい。すなわち、第1溝20a及び第2溝16aは、転動体18よりも僅かに緩やかな曲面を有している。そのため、転動体18は、第1溝20a及び第2溝16aに点接触する。
【0020】
歯車伝動装置100は、軸方向に並ぶ2つの外歯歯車20を備えている。外歯歯車20同士の間には、隙間52が設けられている。また、外歯歯車20とアンギュラ玉軸受29のアウターレース28の間には、隙間50が設けられている。上記したように、外歯歯車20は、軸方向に移動することが抑制される。そのため、外歯歯車20の軸方向の端面は、いずれの部品とも接触しない。
【0021】
ここで、図3を参照し、典型的な従来の歯車伝動装置200について説明する。図3は歯車伝動装置200の一部を示しており、歯車伝動装置100の部分30に対応する。歯車伝動装置200では、偏心体216が、ニードル軸受222を介して外歯歯車220の貫通孔235に係合している。ニードル軸受222の転動体(ローラ)218の周面は、貫通孔235の内周面235x及び偏心体216の外周面216xに線接触している。偏心体216の軸方向の両側に、ワッシャ260が設けられている。ニードル軸受222の保持器262が、ワッシャ260に接触している。保持器262は、外歯歯車220の軸方向の一方の端面にも接触している。ワッシャ260と外歯歯車220によって、ニードル軸受222の軸方向移動が抑制される。また、アウターレース228が、外歯歯車220の軸方向の他方の端面に接触している。保持器262とアウターレース228によって、外歯歯車220の軸方向移動が抑制される。
【0022】
歯車伝動装置100の利点について、従来の歯車伝動装置200と比較して説明する。上記したように、歯車伝動装置200では、ニードル軸受222の軸方向の移動を抑制するために、ニードル軸受222(保持器262)を、ワッシャ260と外歯歯車220に接触させる。そのため、歯車伝動装置200を駆動しているときに、ニードル軸受222とワッシャ260、あるいは、ニードル軸受222と外歯歯車220の間に摩擦が生じる。摩擦熱が発生し、歯車伝動装置200に悪影響を及ぼす。摩擦熱は、歯車伝動装置200にダメージを与える虞がある。それに対して、歯車伝動装置100では、玉軸受22(転動体18)が軸方向に移動することを抑制するために、ワッシャ等の部品を必要としない。玉軸受22が発熱することが抑制されるので、歯車伝動装置100は、歯車伝動装置200に比べ耐久性が高い。また、歯車伝動装置100は、歯車伝動装置200に比べ部品の数を少なくすることができる。
【0023】
上記したように、歯車伝動装置200では、転動体218が、貫通孔235の内周面235x及び偏心体216の外周面216xに線接触している。それに対して、歯車伝動装置100では、転動体18が、第1溝20a及び第2溝16aに点接触している。歯車伝動装置100は、転動体と他の部品との接触面積が歯車伝動装置200よりも小さい。そのため、歯車伝動装置100は、歯車伝動装置200よりも転動体の転がり損失が小さく、転動体自身が発熱しにくい構造を有している。また、歯車伝動装置200では、ワッシャ260と保持器262を接触させる。そのため、歯車伝動装置200内に封入した潤滑剤が、転動体218の周囲に届きにくい。歯車伝動装置100は、潤滑剤が転動体18の周囲に届き易く、転動体18の摩擦をさらに小さくすることができる。
【0024】
歯車伝動装置200では、ワッシャ260と保持器262が接触する範囲でしか偏心体216の偏心量(クランクシャフトの軸線からのずれ量)を調整することができない。それに対して、歯車伝動装置100では、偏心体16の偏心量を自由に調整することができる。
【0025】
歯車伝動装置200では、外歯歯車220の軸方向への移動を抑制するために、外歯歯車220の軸方向の端面を、アウターレース228と保持器262に接触させている(破線70部分と破線72部分)。そのため、外歯歯車220とアウターレース228の間(破線70部分)、及び/又は、外歯歯車220と保持器262の間(破線72部分)に摩擦熱が生じる。また、摩擦により外歯歯車220が磨耗する。それに対して、歯車伝動装置100では、玉軸受22によって、外歯歯車20の軸方向移動が抑制される。歯車伝動装置100が駆動している間に、外歯歯車20同士、あるいは、外歯歯車20と他の部品が接触することが抑制される。隙間50及び52(図2を参照)を維持することができ、外歯歯車20同士、あるいは、外歯歯車20と他の部品の間で摩擦熱が発生することを抑制することができる。また、外歯歯車20が摩擦により磨耗することも抑制することができる。
【0026】
上記したように、歯車伝動装置200では、外歯歯車20の軸方向移動を抑制するために、外歯歯車20の軸方向の端面にアウターレース228と保持器218を接触させる。そのため、摩擦を低減させるために、外歯歯車20の表面(軸方向の端面)とアウターレース228との接触面を平坦にする加工が必要である。同様に、外歯歯車20の表面と保持器218との接触面を平坦にする加工も必要である。それに対して、歯車伝動装置100では、外歯歯車20の表面と他の部品とを接触させないので、平坦加工(仕上げ加工)を省略することができる。
【0027】
歯車伝動装置100の他の特徴を説明する。転動体18の直径Rが、外歯歯車20の厚みTよりも小さい。そのような構成により、転動体18が外歯歯車20の表面(軸方向の端面)に接触することがない。そのため、軸線38方向において、外歯歯車20同士を近接して配置することができる。別言すると、外歯歯車20同士の隙間52を小さくすることができる。それにより、歯車伝動装置100の軸線38方向の長さを短くすることができる。
【0028】
図1に示すように、第1プレート44に軸線38と同軸の第1貫通孔2が形成されており、第2プレート40に軸線38と同軸の第2貫通孔6が形成されている。また、外歯歯車20の中央部に中央貫通孔4が形成されている。貫通孔2、4、6によって、歯車伝動装置100の貫通孔8が形成されている。貫通孔8は、歯車伝動装置100を軸線38方向に貫通している。貫通孔8内に、ケーブル、配管等を通過させることができる。
【0029】
第1プレート44とケース32の間に、軸線38の周りを一巡しているオイルシール24が配置されている。オイルシール24は、歯車伝動装置100内の潤滑剤(オイルやグリース)が歯車伝動装置100の外に漏れることを防止している。アンギュラ玉軸受29は、キャリア46に形成された第3溝46aと、転動体(玉)26と、アウターレース28と、保持器(図示省略)によって形成されている。第3溝46aは、アンギュラ玉軸受29のインナーレースに相当する。第3溝46aがアンギュラ玉軸受29のインナーレースを兼ねることにより、歯車伝動装置100の主軸受(アンギュラ玉軸受)29を構成する部品を少なくすることができる。
【0030】
上記実施例では、クランクシャフト14は、歯車伝動装置100の軸線38からオフセットした位置で、軸線38に平行に延びている。しかしながら、クランクシャフトは、歯車伝動装置の軸線(キャリア及び内歯歯車の軸線)上に延びていてもよい。この場合、外歯歯車の中央部に形成されている中央貫通孔の内周面に第1溝を形成する。その第1溝と、偏心体に形成されている第2溝と、転動体(玉)によって、玉軸受を構成する。
【0031】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0032】
14:クランクシャフト
16:偏心体
16a:第2溝
20:外歯歯車
20a:第1溝
22:玉軸受
33:内歯歯車
35:貫通孔
100:歯車伝動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯歯車と、
内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する外歯歯車と、
内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車に形成されている貫通孔に係合する偏心体を有しているとともに、前記一方の歯車を偏心回転させるクランクシャフトと、
を備えており、
前記貫通孔の内周面と偏心体の外周面との間に玉軸受が介在しており、
前記貫通孔の内周面に玉軸受のアウターレースに相当する第1溝が形成されており、
前記偏心体の外周面に玉軸受のインナーレースに相当する第2溝が形成されていることを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項2】
前記一方の歯車を2つ以上備えており、
前記玉軸受の転動体の直径が、前記一方の歯車の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の歯車伝動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−132523(P2012−132523A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286148(P2010−286148)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】