説明

歯面清掃用組成物

【課題】 有機系の増粘材や界面活性剤を含まず、歯牙の漂泊効率を低下させることがない歯面清掃用組成物を提供する。
【解決手段】 パミス:20〜70重量%,アルコール:10〜40重量%,水:10〜40重量%,無機増粘材:1〜10重量%から成り、有機増粘材を含まないことを特徴とする歯面清掃用組成物とする。アルコールは、エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,2−メチル−2−プロパノール,グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ソルビトール,マンニトール,ポリエチレングリコール,ポリエチレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯牙の漂白の際に、漂白前の歯面の清掃に用いる歯面清掃用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯牙の漂白は過酸化物や酸化チタン粉末を歯面に適用してその作用により歯面を漂白する。このとき、漂白前に歯面を十分に清掃することが必要である。従来、歯面の清掃に使用されていた研磨粒を含んだ歯面清掃用の組成物には粘性を与えるために有機系の増粘材が使用されていた(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながら、有機系の増粘材は水洗いしても歯面に残留し易く、残留してしまった際には漂白剤に含まれる過酸化物や酸化チタン粉末と反応してしまい、結果として漂白効果が低下してしまうという問題があった。また、清掃時の操作性や水で流し易くするためにラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を配合しているものも存在する(例えば、特許文献4〜6参照。)。しかし、界面活性剤は経皮吸収作用が高く発ガン性も指摘されているため、極少量でも口腔内で使用される組成物に用いるべきではない。
【0003】
【特許文献1】特開昭52−133306号公報
【特許文献2】特開平4−173726号公報
【特許文献3】特開2001−58933号公報
【特許文献4】特開昭52−133306号公報
【特許文献5】特開昭54−112907号公報
【特許文献6】特開平8−71088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、有機系の増粘材や界面活性剤を含ないため歯牙の漂泊効率が低下しない歯面清掃用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、水とアルコールの混合物に対して研磨粒としてパミスを配合し、粘度調整に無機増粘材を使用することで従来の界面活性剤やセルロース系増粘材等の有機系増粘材を使用しない歯面清掃用組成物とすると、前記課題を解決可能であることを究明して本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明は、パミス:20〜70重量%,アルコール:10〜40重量%,水:10〜40重量%,平均粒子径が1〜80nmの無機増粘材:1〜10重量%から成り、有機増粘材を含まないことを特徴とする歯面清掃用組成物である。本発明に係る歯面清掃用組成物においては、アルコールが、エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,2−メチル−2−プロパノール,グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ソルビトール,マンニトール,ポリエチレングリコール,ポリエチレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る歯面清掃用組成物は、歯牙の漂白を阻害する有機物を歯面に残留させ難いので効率よく漂白を行える優れた歯面清掃用組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いるパミス(pumice)は平均粒子径10〜200μmであることが好ましい。平均粒子径が10μmより小さいと十分な歯面清掃の効果が得られず、200μmを超えると歯面清掃の効果が得られないと同時に操作性も低下してしまう。また、パミスは組成物中に20〜70重量%配合され、好ましくは30〜40重量%配合される。20重量%未満では清掃効率が低下し、70重量%を超えて配合すると組成物の粘度が高くなり過ぎる。なお、本発明には従来の歯磨剤で使用されていた平均粒子径が0.5〜100μm程度の研磨粒子を含まないことが好ましい。従来の研磨粒子とはダイヤモンド粒子,酸化亜鉛粒子,アルミナ粒子,炭酸カルシウム粒子等のことである。
【0009】
アルコールは水に対して相溶性が高い程適している。アルコールとしては、エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,2−メチル−2−プロパノール,グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ソルビトール,マンニトール,ポリエチレングリコール,ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等を例示できる。
【0010】
無機増粘材は、平均粒子径が1〜80nmであり、1nm未満では組成物中に配合することが難しくなり、80nmを超えると歯面を傷める。無機増粘材としては、シリカ微粉末,シリカ−アルミナ微粉末,シリカ−ジルコニア微粉末,ケイ酸マグネシウムナトリウム等を例示できる。無機増粘材は組成物中に1〜10重量%配合され、より好ましくは3〜7重量%である。1重量%未満では十分な増粘効果が得られず組成物が使用時に飛散してしまう。一方、10重量%を超えて配合すると組成物の粘度が高くなり過ぎて使用時の操作性が低下する。
【0011】
本発明に係る歯面清掃用組成物には、その特性に影響を与えない範囲で香料,甘味料,保存剤,着色料などの添加物を任意に加えても良いのは勿論である。
【実施例】
【0012】
実施例1〜5の配合を表1に、比較例1,2の配合を表2に示す。
【0013】
比較例3として、有機成分であるカルボキシメチルセルロースを配合した市販製品(商品名 CSSプロフィーペーストRDA250:井上アタッチメント社製)を使用した。比較例4として、窒化ケイ素,ケイソウ土等の研磨材に有機成分であるカルナウバロウを配合した市販製品(商品名 ピュアテクト;睦化学工業株式会社製)を使用した。
【0014】
<試験方法>
牛抜去歯を用い歯面の清掃状態を確認した。実施例及び比較例に記載した組成物をゴム製の研磨用カップに適量採り、2000rpmで歯面を清掃した。清掃後、洗浄瓶を用いて歯面を洗い流した。研磨前後の歯面を走査型共焦点レーザー顕微鏡(商品名 LEXT OLS3500:オリンパス社製)を用いて観察し、清掃による歯面へのダメージ及び組成物の残留の有無を確認した。
【0015】
歯面へのダメージは以下の指標により評価を行った。
○:傷は確認されなかった。
△:僅かな傷が確認された。
×:傷が確認された。
【0016】
【表1】

【0017】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パミス:20〜70重量%,アルコール:10〜40重量%,水:10〜40重量%,平均粒子径が1〜80nmの無機増粘材:1〜10重量%から成り、有機増粘材を含まないことを特徴とする歯面清掃用組成物。
【請求項2】
アルコールが、エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,2−メチル−2−プロパノール,グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ソルビトール,マンニトール,ポリエチレングリコール,ポリエチレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種または2種以上の組み合わせである請求項1に記載の歯面清掃用組成物。

【公開番号】特開2010−70504(P2010−70504A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240253(P2008−240253)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】