説明

段ボール生産装置

【課題】塗布ロール上の液状物質の量を調整可能な作動位置から、調整不可能な不作動位置へ主調整アセンブリを移動させて所望の主調整具を選択する際にも、段ボール生産装置の運転を継続し、塗布ロール上の液状物質の量を連続的に且つ大幅な変動なしに調整する。
【解決手段】糊が、糊トレー353から塗布ロール355に供給され、ライダーロール55により搬送される片面段ボール27の段頂部に塗布ロールから付与される。主調整アセンブリ357は、塗布ロール上の糊の量を調整する所望の主調整具を複数の主調整具363A、363Bから選択し、その所望の主調整具が塗布ロールに対して接触する作動位置と、離間する不作動位置との間で移動する。補助調整アセンブリ359の補助調整具359は、塗布ロール上の糊の量を調整する。所望の主調整具を選択する際に、主調整アセンブリが不作動位置に位置している間、補助調整具が塗布ロール上の糊の量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段成形された中芯とライナとを貼合して段ボールを生産する段ボール生産装置に関し、詳細には、段ボールを生産する過程において糊または水などの液状物質を中芯またはライナに付与する機構を備えた段ボール生産装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、段成形された中芯の表裏両面にライナを糊付けして両面段ボールを生産する装置が知られている。たとえば、両面段ボール生産装置として、特許文献1に記載された装置が存在する。特許文献1に記載された装置は、段成形された中芯に第1のライナが接着された片面段ボールに、第2のライナを接着するための糊付け機械を備えている。その糊付け機械は、糊トレーと、その糊トレー内の糊に含浸された糊塗布ロールと、定圧アセンブリと、ライダーロールとから構成されている。定圧アセンブリは、糊塗布ロールの外周表面に塗布された糊の被膜が均一の厚みになるように、糊塗布ロールの外周表面から余分な糊を除去するものである。ライダーロールは、糊塗布ロールとの間隔を調整することができるように配置される。片面段ボールは、中芯のフルートの段頂部が糊塗布ロールの外周表面に接触するようにライダーロールの外周面に巻かれて搬送される。中芯のフルートの段頂部が、糊塗布ロール上の糊被膜に接触することにより、適量の糊が各段頂部に塗布され、その後に、第2のライナが貼合されて両面段ボールが生産される。
【0003】
上記定圧アセンブリは、中心軸の回りに回転可能な枠部材と、その枠部材に取り付けられた複数の異なる形状の測定ロッドアセンブリとを備えている。各測定ロッドアセンブリは、所定の圧力で糊塗布ロールの外周面に向かって押圧される測定ロッドを有している。複数の測定ロッドアセンブリのいずれか1つのアセンブリが、糊塗布ロールと対向するように、枠部材上で回転することにより、選択される。各測定ロッドアセンブリは、糊塗布ロールの外周表面に形成される糊の被膜の厚さに応じて、選択される。すなわち、糊塗布ロール上の糊の被膜の厚さは、中芯のフルートの種類に応じて好適な厚さにされることが必要であることから、中芯のフルートの種類が変更される場合には、そのフルートの種類に適する測定ロッドアセンブリが選択される必要がある。一方、複数の同じ形状の測定ロッドアセンブリがスペアアセンブリとして用意される場合には、測定ロッドが消耗した測定ロッドアセンブリは、枠部材上で回転することにより、新たな測定ロッドアセンブリに交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−42638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された装置において、測定ロッドアセンブリが選択または交換される場合には、通常、両面段ボール生産装置全体の運転が停止され、糊塗布ロールおよびライダーロールの回転が停止される。この停止状態で、定圧アセンブリが糊塗布ロールから離間し、新たな測定ロッドアセンブリが糊塗布ロールに対向し得る位置まで回転し、定圧アセンブリが糊塗布ロールに接近するという一連の動作が実行される。
【0006】
しかし、測定ロッドアセンブリが選択または交換される度に、両面段ボール生産装置の運転が停止されることは、両面段ボールの生産効率を低下させる問題があった。一方、測定ロッドアセンブリが選択または交換される間、両面段ボール生産装置の運転が継続される場合、糊塗布ロール上の糊の被膜の厚さは調整されないことから、過剰の糊が、ライダーロールに巻かれた中芯のフルートの段頂部に塗布される。この結果、過剰な糊が無用に塗布されるだけでなく、乾燥不足による接着強度の低下を来たしたり、両面段ボールの部分に反りが生ずることがあり、両面段ボールの品質を低下させる問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、塗布ロールの外周表面上に保持された糊または水などの液状物質の量を調整するための作動状態から、その調整が不可能な不作動状態へ主調整アセンブリを変化させて所望の主調整具を選択する際にも、段ボール生産装置の運転を継続しながら、塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量を連続的に且つ大幅な変動なしに調整することが可能な段ボール生産装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明態様は、段成形された中芯、またはその中芯と貼合されるライナに付与される液状物質を収容する収容部と、前記収容部内の液状物質が供給されるように回転可能に配置され、その供給された液状物質を外周表面上に保持することが可能な塗布ロールと、前記塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質が前記段成形された中芯の段頂部、または前記貼合されるライナに付与されるように、前記段成形された中芯、または前記貼合されるライナを、前記塗布ロールの外周表面に対して所定の位置関係で搬送する搬送部と、複数の主調整具を有し、前記塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量を調整するために使用される所望の主調整具を前記複数の主調整具の中から選択することが可能であり、その所望の主調整具により前記保持された液状物質の量を調整するための作動状態と、前記保持された液状物質の量を調整することが不可能な不作動状態との間で変化することが可能な主調整アセンブリと、補助調整具を有し、その補助調整具により前記保持された液状物質の量を調整する補助調整アセンブリと、を備え、前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する際に、少なくとも、前記主調整アセンブリが前記不作動状態にある間、前記補助調整具が前記保持された液状物質の量を調整する構成である。
【0009】
発明態様において、段ボール生産装置は、片面段ボール、両面段ボール、または複層両面段ボールのいずれを生産する装置であってもよい。
【0010】
発明態様において、収容部は、段成形された中芯のフルートの段頂部に付与される糊を収容する構成でも、貼合されるライナに付与される水または水溶性のコーティング剤を収容する構成であってもよい。
【0011】
発明態様において、主調整アセンブリは、塗布ロールの外周表面上に保持されるべき液状物質の量に対応する異なる形状を有する複数の主調整具を有する構成でも、または調整具の消耗に備えて同じ形状の複数の主調整具を有する構成であってもよい。
【0012】
発明態様において、補助調整具は、単一の調整具でも、または複数の調整具であってもよい。複数の補助調整具が備えられる構成であれば、所望の主調整具が選択されるときに、その所望の主調整具に合わせて所望の補助調整具が選択される構成を採用してもよい。
【0013】
発明態様において、補助調整具は、少なくとも、主調整アセンブリが不作動状態にある間、塗布ロールの外周表面に保持された液状物質の量を調整する構成であればよい。このことから、補助調整具は、主調整アセンブリの不作動状態または作動状態への変化に関連して、液状物質の量を調整するための作動状態またはその調整が不可能な不作動状態へ変化する構成でも、または主調整アセンブリの状態の変化に関係なく液状物質の量を常時調整する構成であってもよい。
【0014】
請求項2に記載の具体的態様は、主調整具および補助調整具の構成に関する具体的態様であり、前記複数の主調整具が、前記塗布ロールの外周表面上に保持される液状物質の量を最少量に調整する特定の主調整具を含み、前記補助調整具が、前記特定の主調整具により調整される液状物質の最少量と同じ量、または、その最少量より多い量に液状物質の量を調整する構成である。
【0015】
本具体的態様において、補助調整具は、特定の主調整具が調整する最少量と同じ量、または、その最少量より多い量に液状物質の量を調整する構成であれば、いかなる構成でもよい。たとえば、補助調整具が、塗布ロールの外周表面と接触可能な接触面に形成された凹部を有する場合、その補助調整具の凹部は、特定の主調整具の最小の凹部と同じ大きさ、または、その最小の凹部よりも大きくなるように形成される構成が考えられる。または、補助調整具が、液状物質の量を調整するために塗布ロールの外周表面との間で所定の間隔に設定される構成である場合、補助調整具と外周表面との所定の間隔は、特定の主調整具と外周表面との最小の間隔と同じ、または、その最小の間隔よりも大きくなるように設定される構成が考えられる。
【0016】
請求項3に記載の具体的態様は、主調整具および補助調整具の構成に関する具体的態様であり、前記主調整アセンブリが前記作動状態にあるとき、前記所望の主調整具が、前記保持された液状物質の量を調整するために前記塗布ロールの外周表面を押圧し、前記主調整アセンブリが前記不作動状態にあるとき、前記複数の主調整具のいずれも、前記保持された液状物質の量を調整するための押圧力で前記塗布ロールの外周表面を押圧することはなく、前記補助調整具が、前記保持された液状物質の量を調整するために前記塗布ロールの外周表面を押圧し、前記複数の主調整具および前記補助調整具の各々が、前記塗布ロールの外周表面を押圧することが可能な押圧面に形成された多数の凹部を有し、前記補助調整具が、前記特定の主調整具の前記押圧面に形成された最小の凹部と同じ、または、その最小の凹部より大きい凹部を有する構成である。
【0017】
本具体的態様において、複数の主調整具および補助調整具の各々が有する凹部は、塗布ロールの外周表面を押圧することが可能な押圧面上に、液状物質が保持される隙間を形成するものであればよい。たとえば、各調整具が、円筒状のロッドと、そのロッドの外周面に多数回巻かれたワイヤとを有する場合、各調整具の凹部は、ロッド上に巻かれた隣り合うワイヤにより形成される隙間から構成されてもよい。または、各調整具が、円筒状のロッドと、そのロッドの外周面に形成された螺旋状の溝とを有する場合、各調整具の凹部は、ロッド上に形成された溝から構成されてもよい。
【0018】
請求項4に記載の具体的態様は、主調整アセンブリおよび補助調整アセンブリの動作を制御する構成に関する具体的態様であり、前記補助調整アセンブリが、前記補助調整具により前記保持された液状物質の量を調整するための作動状態と、前記保持された液状物質の量を調整することが不可能な不作動状態との間で変化することが可能であり、前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する動作と、前記主調整アセンブリおよび前記補助調整アセンブリの状態の変化とを制御する制御部を備えた構成である。
【0019】
本具体的態様において、制御部は、所望の主調整具の選択動作と、主調整アセンブリおよび補助調整アセンブリの状態の変化とを制御する構成であれば、いかなる構成でもよい。たとえば、主調整アセンブリが作動状態または不作動状態へ変化している間に、複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する動作が実行されるように、制御部は構成されてもよい。または、主調整アセンブリが作動状態から不作動状態へ変化した後に、補助調整アセンブリが不作動状態から直ちに作動状態へ変化するように、制御部は構成されてもよい。
【0020】
請求項5に記載の具体的態様は、制御部の詳細な構成に関する具体的態様であり、前記制御部が、前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する際に、前記補助調整アセンブリを前記作動状態へ変化させ、その後に前記主調整アセンブリを前記不作動状態へ変化させて前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択し、その選択後に前記主調整アセンブリを前記作動状態へ変化させ、その後に前記補助調整アセンブリを前記不作動状態へ変化させる構成である。
【0021】
請求項6に記載の具体的態様は、塗布ロールの外周表面に対する主調整具および補助調整具の配置に関する具体的態様であり、前記保持された液状物質の量を調整するために前記補助調整具と前記塗布ロールの外周表面とが対向する位置は、前記塗布ロールの所定の回転方向において、前記収容部から液状物質が前記塗布ロールの外周表面に供給される位置から、前記塗布ロールの外周表面から液状物質が前記搬送部により搬送される前記中芯または前記ライナに付与される位置までの範囲で、前記保持された液状物質の量を調整するために前記主調整具と前記塗布ロールの外周表面とが対向する位置よりも、上流側に位置する構成である。
【0022】
本具体的態様において、補助調整具と塗布ロールの外周表面との対向位置が、主調整具と塗布ロールの外周表面との対向位置より、上流側に位置すれば、いかなる角度位置にあってもよい。
【0023】
請求項7に記載の具体的態様は、主調整具および補助調整具と収容部との配置に関する具体的態様であり、前記複数の主調整具の中から選択された所望の主調整具が、前記塗布ロールの回転中心を通る水平面上に位置して前記塗布ロールの外周表面と対向するように配置され、前記選択された所望の主調整具または前記補助調整具により、前記塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量が調整され、余剰の液状物質は前記塗布ロールの外周表面から前記収容部に掻き落とされる構成である。
【0024】
請求項8に記載の具体的態様は、補助調整具に液状物質を供給する構成に関する具体的態様であり、前記補助調整アセンブリが、前記補助調整具により前記保持された液状物質の量を調整するための作動状態と、前記保持された液状物質の量を調整することが不可能な不作動状態との間で変化することが可能であり、前記補助調整アセンブリが前記不作動状態から前記作動状態へ変化する前に、前記液状物質が前記補助調整具に付着した状態を設定する設定手段を備える構成である。
【0025】
本具体的態様において、設定手段は、補助調整アセンブリが不作動状態から作動状態へ変化する前に液状物質が補助調整具に付着した状態を設定する構成であれば、如何なる構成であってもよい。たとえば、収容部に収容された液状物質を補助調整具に供給するための構成でも、または収容部とは別個に液状物質を収容する手段から液状物質を補助調整具に供給するための構成であってもよい。
【0026】
請求項9に記載の具体的態様は、収容部の具体的態様であり、前記収容部が、前記段成形された中芯の段頂部に付与される糊を収容する構成である。
【0027】
請求項10に記載の具体的態様は、収容部の具体的態様であり、前記収容部が、前記貼合されるライナに付与される水を収容する構成である。
【発明の効果】
【0028】
[発明態様の効果]
発明態様においては、複数の主調整具の中から所望の主調整具が選択される際に、少なくとも、主調整アセンブリが不作動状態にある間、補助調整具が塗布ロールの外周表面上の液状物質の量を調整することから、段ボール生産装置の運転を継続しながら、塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量を連続的に且つ大幅な変動なしに調整することが可能となる。
【0029】
[具体的態様の効果]
段ボールに付与される糊などの液状物質の量が変動することにより段ボールに反りが生ずることを低減するとともに、液状物質の消費を抑えるためには、塗布ロールの外周表面上に保持される液状物質の量が、段ボールの生産に適する最少量に抑えられ、また塗布ロールの外周表面の全面にわたって液状物質が保持される量が均一であることが好ましい。塗布ロールの外周表面上に保持される液状物質の量は、段ボールのフルートの種類、耐水シートなどの紙質、および坪量などの要因に応じて異なる必要があり、このため、複数の主調整具として複数種類の形状のものが用意される。しかし、補助調整具が主調整具と同数だけ備えられる構成が考えられるが、液状物質塗布装置の構成が大型で複雑になるという問題がある。そこで、請求項2の具体的態様において、補助調整具は、複数の主調整具の中の特定の主調整具により調整される最少量と同じ、または、その最少量より多い量に液状物質の量を調整することから、液状物質塗布装置の大型複雑化を防止するとともに、選択された所望の主調整具により調整が開始されたときに、塗布ロールの外周表面上で液状物質が不足する箇所が生ずることを防止することができる。
【0030】
請求項3の具体的態様において、補助調整具が、複数の主調整具の中の特定の主調整具の最小の凹部と同じ、または、その最小の凹部より大きい凹部を有することから、主調整アセンブリが不作動状態にある間でも、塗布ロールの外周表面上に保持される液状物質の量が精度良く調整され、塗布ロールの外周表面上で液状物質が不足する箇所が生ずることを確実に防止することができる。
【0031】
請求項4の具体的態様において、制御部が、所望の主調整具を選択する動作と、主調整アセンブリおよび補助調整アセンブリの状態の変化とを制御する。この結果、補助調整具が液状物質の量を常時調整する構成に比べ、選択された所望の主調整具は、補助調整具の調整動作により外周表面上での液状物質の調整量が変動するという悪影響を受けることなく、液状物質の量を精度良く調整することができる。
【0032】
請求項5の具体的態様において、制御部が、複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する際に、補助調整アセンブリを作動状態へ変化させ、その後に主調整アセンブリを不作動状態へ変化させて複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択し、その選択後に主調整アセンブリを作動状態へ変化させ、その後に補助調整アセンブリを不作動状態へ変化させる。この結果、所望の主調整具は、主調整アセンブリが不作動状態にある状態で選択されることから、主調整具が塗布ロールと干渉することなく確実に選択される。また、補助調整具が液状物質の量を常時調整する構成に比べ、選択された所望の主調整具は、補助調整具の調整動作により外周表面上での液状物質の調整量が変動するという悪影響を受けることなく、液状物質の量を精度良く調整することができる。
【0033】
請求項6の具体的態様において、補助調整具と塗布ロールの外周表面との対向位置が、塗布ロールの所定の回転方向において、収容部から液状物質が塗布ロールの外周表面に供給される位置から、塗布ロールの外周表面から液状物質が搬送部により搬送される中芯またはライナに付与される位置までの範囲で、主調整具と塗布ロールの外周表面との対向位置よりも、上流側に位置する。この結果、選択された所望の主調整具により調整が開始されるときに、その所望の主調整具は、上流側で補助調整具により調整された液状物質を、さらに下流側で精度良く調整することができる。
【0034】
請求項7の具体的態様において、複数の主調整具の中から選択された所望の主調整具が、塗布ロールの回転中心を通る水平面上に位置して塗布ロールの外周表面と対向するように配置され、選択された所望の主調整具または補助調整具により、塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量が調整され、余剰の液状物質は塗布ロールの外周表面から収容部に掻き落される。この結果、主調整具または補助調整具により塗布ロールの外周表面から掻き取られた余剰の液状物質を収容部に回収することができる。しかも、主調整具は塗布ロールの回転中心を通る水平面上に位置することから、主調整具により掻き取られた余剰の液状物質は、塗布ロールの外周表面に付着することなく、収容部に確実に回収される。
【0035】
請求項8の具体的態様において、設定手段は、補助調整アセンブリが不作動状態から作動状態へ変化する前に、液状物質が補助調整具に付着する状態を設定する。この結果、補助調整アセンブリが作動状態へ変化した直後において、補助調整具による液状物質の量の調整が困難となる状態が発生することを確実に防止することができる。
【0036】
請求項9の具体的態様において、収容部が、段成形された中芯の段頂部に付与される糊を収容することから、主調整具および補助調整具により、中芯の段頂部に付与される糊の量が精度良く調整される。
【0037】
請求項10の具体的態様において、収容部が、貼合されるライナに付与される水を収容することから、主調整具および補助調整具により、ライナの全面にわたって水が均一に付与され、段ボールの反りが確実に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る両面段ボール生産装置10の外観的構成を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表ライナ糊付装置35を拡大して示す正面図である。
【図3】第1の実施形態に係る主調整アセンブリ357の右側部分の構成を拡大して示す上面図である。
【図4】第1の実施形態に係る主調整具363Aのロッド375Aを拡大して示す説明図である。
【図5】第1の実施形態に係る補助調整アセンブリ359の右側部分を拡大して示す上面図である。
【図6】上記両面段ボール生産装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】第1の実施形態に係る下位管理装置510の主制御ルーチンの処理を示すフローチャートである。
【図8】上記下位管理装置510の初期糊付制御ルーチンの処理を示すフローチャートである。
【図9】上記下位管理装置510の連続運転時の糊付制御ルーチンの処理を示すフローチャートである。
【図10A】第1の実施形態に係る主調整アセンブリ357が作動状態にあり、補助調整アセンブリ359が不作動状態にある状態を示す説明図である。
【図10B】上記主調整アセンブリ357が作動状態にあり、上記補助調整アセンブリ359が不作動状態から作動状態へ変化した状態を示す説明図である。
【図10C】上記主調整アセンブリ357が主調整具の選択のために回転途中の状態にあり、上記補助調整アセンブリ359が作動状態にある状態を示す説明図である。
【図10D】上記主調整アセンブリ357が主調整具の選択を完了した後に作動状態に変化し、上記補助調整アセンブリ359が作動状態にある状態を示す説明図である。
【図10E】上記主調整アセンブリ357が作動状態にあり、上記補助調整アセンブリ359が作動状態から不作動状態へ変化した状態を示す説明図である。
【図11】第2の実施形態に係る両面段ボール生産装置10の外観的構成を示す正面図である。
【図12】第2の実施形態に係る表ライナ糊付装置700を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[第1の実施形態]
両面段ボールを生産する両面段ボール生産装置に本発明を適用した第1の実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。なお、本実施形態において、上下方向、左右方向および前後方向は、図面に矢印で示された方向を表す。
【0040】
《外観的構成》
一般に、両面段ボール生産装置は、原紙から連続する段ボールを生産する生産ラインと、連続する段ボールに対して切断などの加工を施して段ボールシートを生産する加工ラインとからなり、特開2009−160797号公報などにより公知である。生産ラインは、多数の生産装置のラインから構成され、たとえば、ミルロールスタンドと、シングルフェーサと、ブリッジ部と、グルーマシンと、ダブルフェーサとから構成される。加工ラインは、多数の加工装置のラインから構成され、たとえば、スリッタスコアラと、カットオフ装置と、除去装置と、スタッカ装置とから構成される。
【0041】
図1は、本実施形態の両面段ボール生産装置10における加工ラインの構成を省略した状態で、生産ラインのみの概略の構成を示す。ミルロールスタンド110は、前後方向両側にそれぞれ原紙がロール状に巻かれた紙ロールが装着されるように構成される。ミルロールスタンド110の上部には、紙継ぎを行なうスプライサ13が備えられる。一方の紙ロールから給紙されている場合に、他方の紙ロールが装着され、紙継ぎ準備がなされる。一方の紙ロールの原紙が残り少なくなると、スプライサ13によって他方の紙ロールの原紙に紙継ぎされる。そして、他方の紙ロールから原紙が供給されている間に一方の紙ロールが装着され紙継ぎ準備がなされる。このようにして、原紙は順次紙継ぎされミルロールスタンド110から下流側へ向けて連続的に繰り出されることになる。紙ロールの原紙が紙継ぎされる場合には、オペレータが、スプライサ13のスプライスヘッド部において、紙継ぎ部分に薄膜のアルミニウムのテープを貼り付ける作業を行う。
【0042】
各原紙は、用途に応じて裏ライナ、中芯および表ライナとよばれる。ミルロールスタンド110は、供給される紙の用途に応じて裏ライナ用ミルロールスタンド110a、中芯用ミルロールスタンド110bおよび表ライナ用ミルロールスタンド110cから構成される。裏ライナ用ミルロールスタンド110aは、シングルフェーサ120に対して、裏ライナ15が巻かれた裏ライナロール11aから裏ライナ15を供給する。中芯用ミルロールスタンド110bは、シングルフェーサ120に対して、段成形される中芯17が巻かれた中芯ロール11bから中芯17を供給する。表ライナ用ミルロールスタンド110cは、ダブルフェーサ150に対して、表ライナ19が巻かれた表ライナロール11cから表ライナ19を供給する。
【0043】
シングルフェーサ120は、上段ロール21と、下段ロール23と、裏ライナ糊付装置25とから構成される。上段ロール21および下段ロール23の周面には、軸線方向に延在する凹部と凸部とが交互に形成される。上段ロール21および下段ロール23は、それぞれの凹部と凸部とが相互に噛合うように設置され、両者の噛合い部で中芯用ミルロールスタンド110bから両者の間に供給される中芯17を段成形して波状に加工するように構成される。
【0044】
裏ライナ糊付装置25は、上段ロール21の周面における上段ロール21と下段ロール23との噛合い部の回転方向下流側に設置され、中芯17の段頂部に糊を付ける機能を有する。裏ライナ用ミルロールスタンド110aから供給される裏ライナ15は、上段ロール21の周面に沿って運ばれ段成形された中芯17と貼合され、これにより片面段ボール27が形成される。片面段ボール27は、裏ライナ15の片面に幅方向に延在する段山が搬送方向に並設された形状をしている。
【0045】
シングルフェーサ120の搬送方向下流側の斜め上方には、テイクアップコンベア29が設置される。テイクアップコンベア29は、一対の無端ベルトで構成され、シングルフェーサ120において形成された片面段ボール27を挟持してブリッジ部130に搬送する機能を有する。ブリッジ部130は、シングルフェーサ120とダブルフェーサ150以降の加工装置との速度差を吸収するために片面段ボール27を一時的に滞留させる。ブリッジ部130は、ダブルフェーサ150により引っ張られる片面段ボール27の搬送にブレーキをかけるためにブレーキスタンド31を備える。2段ヒータ33が、ブレーキスタンド31の下流に配設され、片面段ボール27および表ライナ19をそれぞれ加熱するように構成される。2段ヒータ33は、片面段ボール27と表ライナ19とがグルーマシン140およびダブルフェーサ150により接着される前に接着のために必要な熱量を紙に与える働きをする。
【0046】
グルーマシン140は、ブリッジ部130とダフルフェーサ150との間に配設されており、片面段ボール29の段頂部に糊を付ける表ライナ糊付装置35を備える。グルーマシン140は、糊付けされた片面段ボール27および表ライナ19をダブルフェーサ150の入口に供給するように構成される。
【0047】
ダブルフェーサ150は、片面段ボール27と表ライナ19とを貼合して両面段ボール37を形成する。ダブルフェーサ150は、熱板39と、ウェイトロール41と、上部ベルト43と、下部ベルト45とから構成される。熱板39は、金属製の中空の箱であり、内部の加熱蒸気によって上面は高温に維持される。熱板39は、両面段ボール37の搬送方向に複数並設され、それらの上面が両面段ボール37の下面を案内するとともに加熱するように構成される。
【0048】
ウェイトロール41は、熱板39の上方に軸線が搬送方向に直交するように設置される。ウェイトロール41は、両面段ボール37の搬送方向に複数並設され、両面ダンボール37を上側から熱板39に向けて押圧する。上部ベルト43および下部ベルト45は、両面段ボール37を上下から挟持して搬送する。上部ベルト43および下部ベルト45は、両面段ボール37を一定の速度で搬送するためにダブルフェーサ駆動モータ47により駆動される。
【0049】
〈糊付装置の構成〉
本実施形態における糊付装置の詳細な構成について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、段成形された中芯17を裏ライナ15に貼合する裏ライナ糊付装置25と、片面段ボール27の中芯17に表ライナ19を貼合する表ライナ糊付装置35とが備えられる。両糊付装置25、35は、ほぼ同じ構成を有するので、表ライナ糊付装置35を例にして以下に説明する。図2は、表ライナ糊付装置35を拡大して示す。
【0050】
図2において、2段ヒータ33から送り出された片面段ボール27は、グルーマシン140のフレームに設けられたガイドロール51およびアイドラロール53を介して、ライダーロール55に供給される。ライダーロール55は、ダブルフェーサ駆動モータ47と同期して、反時計回り方向に回転駆動される。ライダーロール55から送り出された片面段ボール27は、ダブルフェーサ150に供給される。
【0051】
表ライナ糊付装置35は、糊351を収容する糊トレー353と、糊が塗布される塗布ロール355と、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜の厚さを調整するための主調整アセンブリ357および補助調整アセンブリ359とを備えている。糊351は、ライナおよび中芯の原紙の種類に応じた液状の糊であり、澱粉糊や耐水糊などの公知の糊である。塗布ロール355は、その下方部分が糊トレー353内の糊351に含浸されるように配置され、塗布駆動モータ360により、時計回り方向に回転駆動される。ライダーロール55は、塗布ロール355に対する間隔が調節可能に構成される。ライダーロール55により搬送される片面段ボール27の中芯17の段頂部が、塗布ロール355の外周表面に形成された糊被膜と接触するように、ライダーロール55は塗布ロール355に対するライダーロール55の間隔が調節される。ライダーロール55および塗布ロール355の構成は、特開2004−42638号公報などにより公知である。本実施形態の糊351は、本発明の液状物質の一例である。本実施形態の糊トレー353および塗布ロール355は、本発明の収容部および塗布ロールの一例である。本実施形態のガイドロール51、アイドラロール53およびライダーロール55は、本発明の搬送部の一例である。
【0052】
(主調整アセンブリの構成)
図2において、主調整アセンブリ357は、アセンブリ本体361と、アセンブリ本体361から外方に延出する2つの主調整具363A、363Bとを備える。
【0053】
図3は、主調整アセンブリ357の右側部分を拡大して示す。アセンブリ本体361は、左右の支持板により支持される。図3は、アセンブリ本体361が右側支持板365により支持される構成のみを示す。アセンブリ本体361および左右の支持板は、回動支持軸367に固定され、回動支持軸367とともに回動するように構成される。回動支持軸367を回動させる選択駆動モータ369が、可動板371に支持される。選択駆動モータ369の出力軸369Aは、連結部材を介して回動支持軸367に連結される。可動板371は、グルーマシン140のフレームに固定される。
【0054】
図2に示す主調整アセンブリ357は、図3に示すA−A線に従う断面により、示される。主調整具363A、363Bは、図2に示すように、アセンブリ本体361の対向する2つの外側面に設けられる。主調整具363A、363Bは同じ構成を有する。主調整具363Aは、ロッド375Aと、そのロッド375Aを回転可能に保持するホルダ377Aと、そのホルダ377Aを外方に向かって押圧する押圧機構379Aとを備える。同様に、主調整具363Bも、ロッド375Bと、ホルダ377Bと、押圧機構379Bとを備える。ロッド375A、375Bは、右側支持板365に固定された主ロッド駆動モータ381A、381Bの出力軸383A、383Bに連結部材を介して連結される。押圧機構379A、379Bは、エアポンプから圧縮空気が供給される空気袋を有する。ロッド375A、375Bが図2に示すように塗布ロール355の外周表面に接触して所定の圧力で外周表面を押圧することができるように、押圧機構379A、379Bは、空気袋の空気圧を調整することにより、ホルダ377A、377Bに押圧力を付与する。空気袋を備えた押圧機構は、特開2004−42638号公報に開示された管状耐圧ブラッダを備えた測定ロッドアセンブリとして公知である。ロッド375A、375Bは、塗布ロール355の回転中心を通る水平面上において、塗布ロール355の外周表面と接触することができるように配置される。主調整具363A、363Bは、図2に示すように、ホルダ377A、377Bに取り付けられたエプロン385A、385Bを備える。ロッド375A、375Bが塗布ロール355の外周表面に接触して余剰の糊を掻き取ったとき、エプロン385A、385Bは、掻き取られた余剰の糊が糊トレー353内に落下するように余剰の糊を導く。主調整具363A、363Bの基本的構成は、特開2004−42638号公報および特許第2850155号公報などにより公知である。
【0055】
図4は、ロッド375Aの一部を拡大して示す。ロッド375Aは、図4に示すように、ロッド本体375A−1の外周面上に、ワイヤ375A−2が密着した状態で多数回巻かれて構成される。多数の凹部375A−3が、多数の隣接するワイヤ375A−2により、ロッド375Aの外周面に形成される。ロッド375Aが塗布ロール355の外周表面上の糊被膜に接触したときに、その外周表面上に保持される糊の量は、多数の凹部375A−3内に保持される量に調整される。この結果、塗布ロール355の外周表面上に保持される糊の量は、ロッドに巻かれるワイヤの径の大きさに応じて調整される。ロッド375Bは、ロッド375Aと同様な構成を有するが、ロッド375Bのワイヤの径は、ワイヤ375A−2の径と異なる。本実施形態では、ロッド375Aを備える主調整具363Aは、中芯17の坪量が大きく、中芯17の原紙として耐水シートが使用される場合に、塗布ロール355の外周表面上に保持される糊被膜の厚さを比較的厚い糊被膜に調整するために使用される。ロッド375Bを備える主調整具363Bは、塗布ロール355の外周表面上に保持される糊被膜の厚さを比較的薄い糊被膜に調整するために使用される。具体的には、中芯17の坪量が大きく、中芯17の原紙として耐水シートが使用される場合以外の場合、たとえば、中芯17の原紙として通常のシートが使用される場合、または、中芯17の原紙として耐水シートが使用されるときでも、中芯17の坪量が小さい場合に、ロッド375Bを備える主調整具363Bは、使用される。糊被膜の厚さを薄く調整するために、ロッド375Bのワイヤの径は、ロッド375Aのワイヤ375A−3の径よりも小さい。本実施形態では、ロッド375Aを備える主調整具363Aは、中芯17の坪量が所定の坪量170g/平方メートル以上で、中芯17の原紙として耐水シートが使用される場合に使用される。ロッド375Bを備える主調整具363Bは、中芯17の坪量に関係なく、耐水性の低い通常のシートが使用される場合、または、中芯17の坪量が所定の坪量170g/平方メートルよりも小さく、中芯17の原紙として耐水シートが使用される場合に使用される。一般に、耐水シートは、表面に耐水コート液が塗布されたシートで、海産物や湿気を帯びた内容物を梱包する箱用のシートである。耐水シートは、吸水性が低いことから中芯とライナとの接着に大量の糊を必要とする。本実施形態の主調整アセンブリ357および主調整具363A、363Bは、本発明の主調整アセンブリおよび主調整具の一例である。本実施形態の多数の凹部375A−3は、本発明の多数の凹部の一例である。また、本実施形態において、押圧機構379A、379Bが、空気袋の空気圧を調整することにより、ロッド375A、375Bを塗布ロール355の外周表面に押圧させる状態が、本発明の主調整アセンブリの作動状態の一例である。また、外周表面上の糊被膜の厚さを調整することが可能な押圧力で、ロッド375A、375Bが塗布ロール355の外周表面を押圧することがない状態、または、ロッド375A、375Bが塗布ロール355の外周表面と対向しない状態が、本発明の主調整アセンブリの不作動状態の一例である。
【0056】
(補助調整アセンブリの構成)
図2において、補助調整アセンブリ359は、1つの補助調整具387と、補助調整エアシリンダ389とを備える。補助調整エアシリンダ389がグルーマシン140のフレームに固定され、補助調整具387が補助調整エアシリンダ389の作動軸389Aの先端部に取り付けられる。補助調整エアシリンダ389は、作動軸389Aが塗布ロール355の回転中心に向かって突出するように配置される。補助調整具387は、補助調整エアシリンダ389の作動軸389Aが突出したとき、塗布ロール355の外周表面に接触する作動位置に位置決めされ、補助調整エアシリンダ389の作動軸389Aが引っ込んだとき、図2に示すように塗布ロール355の外周表面から離間した不作動位置に位置決めされる。本実施形態の補助調整アセンブリ359および補助調整具387は、本発明の補助調整アセンブリおよび補助調整具の一例であり、補助調整具387が塗布ロール355の外周表面と接触する作動位置、および、その外周表面から離間した不作動位置が、本発明の補助調整アセンブリの作動状態、および不作動状態の一例である。
【0057】
図5は、補助調整アセンブリ359の右側部分を拡大して示す。図5において、補助調整具387は、主調整具と同様に、アセンブリ本体391と、ロッド393と、そのロッド393を回転可能に保持するホルダ395と、そのホルダ395を塗布ロール355に向かって押圧する押圧機構397とを備える。ロッド393は、主調整具363Aのロッド375Aと同様に、ロッド本体の外周面上に、ワイヤが密着した状態で多数回巻かれて構成される。ロッド393のワイヤの径は、2つの主調整具363A、363Bの中で、より細い径のワイヤを備える主調整具363Bと同じワイヤ径か、または、そのワイヤ径より大きいワイヤ径に設定される。
【0058】
図2において、補助調整具387が塗布ロール355の外周表面と接触する位置P1は、糊351が糊トレー353から塗布ロール355の外周表面に供給される位置PSから、その外周表面上に保持された糊被膜が片面段ボール27に付与される位置PTまでの範囲において、主調整具363A、363Bが塗布ロール355の外周表面と接触する位置P2より、塗布ロール355の回転方向において、上流側に存在する。また、補助調整具387が塗布ロール355の外周表面と接触する位置P1は、図2に示すように、主調整具363A、363Bが塗布ロール355の外周表面と接触する位置P2より、下方に存在する。本実施形態における位置P1、位置P2、位置PS、および位置PTが、本発明における「補助調整具と塗布ロールの外周表面とが対向する位置」、「主調整具と塗布ロールの外周表面とが対向する位置」、「液状物質が塗布ロールの外周表面に供給される位置」、および「塗布ロールの外周表面から液状物質が搬送部により搬送される中芯またはライナに付与される位置」の一例である。
【0059】
アセンブリ本体391は、左右の支持板により支持される。図5は、アセンブリ本体391が右側支持板399により支持される構成のみを示す。右側支持板399は、図5に示すように、右方に延出する延出部分399Aを有する。支持ブラケット401がグルーマシン140のフレームに固定され、ガイドバー403が前後方向に延びて支持ブラケット401に架設される。右側支持板399の延出部分399Aは、ガイドバー403に沿って前後方向に移動可能に装着される。なお、図2に示す補助調整アセンブリ359は、図5に示すB−B線に従う断面により、示される。
【0060】
ロッド393は、右側支持板399に固定された補助ロッド駆動モータ405の出力軸405Aに連結部材を介して連結される。押圧機構397は、ロッド393が塗布ロール355の外周表面に接触して所定の圧力で外周表面を押圧することができるように、ホルダ395に空気圧を付与する。補助調整具387は、図2に示すように、ホルダ395に取り付けられたエプロン407を備える。ロッド393が塗布ロール355の外周表面に接触して余剰の糊を掻き取ったとき、エプロン407は、掻き取られた余剰の糊が糊トレー353内に落下するように余剰の糊を導く。
【0061】
〈紙継ぎ検出器の構成〉
裏ライナロール11aまたは表ライナロール11cの原紙が、坪量の異なる原紙に交換される場合、主調整具は、交換される原紙の坪量などの紙の種類に応じて選択される必要がある。原紙が交換されるときには、アルミニウムのテープが原紙の紙継ぎ部分に貼り付けられる。主調整具の選択は、原紙の紙継ぎ部分が糊付装置に到達するタイミングで実行される。このため、裏ライナ15の原紙の紙継ぎ部分が、裏ライナ15の搬送方向において裏ライナ糊付装置25より上流側の所定位置に到達したことを検出するために、第1紙継ぎ検出器DT1が、スプライサ13から裏ライナ15が送出される位置に近接して配置される。また、片面段ボール27を構成する裏ライナ15の原紙の紙継ぎ部分が、片面段ボール27の搬送方向において表ライナ糊付装置35より上流側の所定位置に到達したことを検出するために、第2紙継ぎ検出器DT2が、ブレーキスタンド31から片面段ボール27が送出される位置に近接して配置される。第1および第2の紙継ぎ検出器DT1、DT2は、金属センサにより構成され、アルミニウムのテープが貼り付けられた紙継ぎ部分に生ずる渦電流を感知して、紙継ぎ部分が所定位置に到達したことを検出する。
【0062】
《電気的構成》
本実施形態の両面段ボール生産装置10の電気的構成について、添付図面を参照して以下に説明する。図6は、本実施形態の両面段ボール生産装置10の電気的構成を示すブロック図である。図6において、上位管理装置500は、両面段ボールを生産して多数の連続するオーダを実行する生産管理計画を記憶し、両面段ボール生産装置10の生産管理を実行する。下位管理装置510は、上位管理装置500からの制御指令情報に従って、両面段ボールを生産するためのミルロールスタンド110からダブルフェーサ150までの生産装置群160と、両面段ボールを加工するためのスリッタスコアラからスタッカ装置までの加工装置群170とを制御する。また、下位管理装置510は、上位管理装置500からの制御指令情報に従って、裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35を制御する。
【0063】
下位管理装置510は、プログラムメモリ520および作業メモリ530に接続され、これらのメモリとともに、本実施形態の両面段ボール生産装置10を制御するコンピュータを構成する。下位管理装置510は、第1および第2の紙継ぎ検出器DT1、DT2にそれぞれ接続され、紙継ぎ部分が所定位置に到達したときに各紙継ぎ検出器から到達検出信号を受け取る。また、下位管理装置510は、操作パネル540に接続され、操作パネル540から入力された情報を受け取る。
【0064】
〈メモリの構成〉
プログラムメモリ520は、下位管理装置510の全体を制御する図7に示す主制御ルーチンプログラム、図8に示す初期糊付制御ルーチンプログラム、図9に示す連続運転時糊付制御ルーチンプログラム、速度変換テーブル、および所定の設定値などを固定記憶するメモリである。作業メモリ530は、主制御ルーチンプログラムを実行する際に、上位管理装置500から送られる種々の情報、フラグ、および演算処理結果を一時記憶するメモリである。
【0065】
〈駆動制御部の構成〉
下位管理装置510は、生産ライン制御装置550と、加工ライン制御装置560と、裏ライナ糊付制御装置570と、表ライナ糊付制御装置580と、塗布ロール速度制御装置590とにそれぞれ接続される。生産ライン制御装置550は、下位管理装置510からの運転制御情報に従って、生産装置群160に連結された駆動モータおよびエアシリンダなどを含む駆動装置551を制御する。たとえば、生産ライン制御装置550は、下位管理装置510からの生産稼働速度指令に従って、駆動装置551に含まれるダブルフェーサ駆動モータ47の回転速度を制御する。加工ライン制御装置560は、下位管理装置510からの運転制御情報に従って、加工装置群170に連結された駆動モータおよびエアシリンダなどを含む駆動装置561を制御する。裏ライナ糊付制御装置570は、下位管理装置510からの運転制御情報に従って、裏ライナ糊付装置25に連結された駆動モータおよびエアシリンダなどを含む駆動装置571を制御する。同様に、表ライナ糊付制御装置580は、下位管理装置510からの運転制御情報に従って、表ライナ糊付装置35に連結された駆動モータおよびエア供給作動装置などを含む駆動装置581を制御する。駆動装置581は、塗布駆動モータ360、選択駆動モータ369、主ロッド駆動モータ381A、381B、補助ロッド駆動モータ405などの駆動モータを含むとともに、押圧機構379A、379B、397をそれぞれ動作させるエアポンプ、補助調整エアシリンダ389などのエア供給作動装置を含む。駆動装置571も、駆動装置581と同様な駆動モータおよびエア供給作動装置を含む。表ライナ糊付制御装置580は、下位管理装置510からの運転制御情報に従って、選択駆動モータ369の回転および停止とその回転方向とを制御し、補助ロッド駆動モータ405の回転および停止とその回転速度とを制御し、押圧機構379A、379B、397をそれぞれ動作させるエアポンプの作動および不作動を制御し、補助調整エアシリンダ389の作動および不作動を制御する。裏ライナ糊付制御装置570も、表ライナ糊付制御装置580と同様な制御を行う。塗布ロール速度制御装置590は、下位管理装置510からの速度指令に従って、駆動装置571に含まれる塗布駆動モータおよび駆動装置581に含まれる塗布駆動モータ360の回転速度を制御する。
【0066】
《動作および作用》
本実施形態の両面段ボール生産装置10の動作および作用について、図7〜図9を参照して以下に説明する。図7〜図9に示すフローチャートの各ステップは、下位管理装置510により実行される。
【0067】
本実施形態の動作の一例として、以下の動作が連続して順次実行されるものとする。
(1)電源投入後における坪量の大きな耐水シートの原紙を使用する段ボール生産動作
(2)坪量の小さな通常のシートの原紙に変更した場合における段ボール生産動作
【0068】
〈電源投入後における坪量の大きな耐水シートの原紙を使用する段ボール生産動作〉
中芯17の原紙として、耐水シートであって、坪量の大きな原紙、たとえば坪量180g/平方メートルの原紙が使用され、裏ライナ15および表ライナ19の原紙としても、耐水シートであって、中芯17の坪量に合わせて坪量の大きな原紙が使用される場合に、図7を参照して両面段ボールの生産動作を以下に説明する。本実施形態では、糊トレー353内の糊351として、耐水糊が使用される。
【0069】
先ず、上位管理装置500を含めて、両面段ボール生産装置10の電源が投入されると、下位管理装置510は、プログラムメモリ520から主制御ルーチンプログラムを読み出し、図7に示す主制御ルーチンの実行を開始する。下位管理装置510の初期設定が実行され、フラグなどの作業メモリ530の内容がクリアされる(S1)。この初期設定状態において、裏ライナ15、中芯17、および表ライナ19の紙ロール11a〜11cとして、坪量の大きな原紙が装着される。
【0070】
下位管理装置510は、上位管理装置500から、両面段ボールの生産管理計画の一部を受け取り、作業メモリ530に記憶する(S2)。生産管理計画は、生産装置群160の稼働速度および両面段ボールの生産長さなどの情報と、加工装置群170の稼働速度、両面段ボールシートのサイズ、両面段ボールシートの生産数量などの情報とを含む。
【0071】
生産装置群160および加工装置群170が稼働される前に、裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35の初期設定を行う制御が実行される。これらの糊付装置の初期設定は、図8に示す初期糊付制御ルーチンにより実行される(S3)。初期糊付制御ルーチンの実行により、坪量の大きな耐水シートの中芯17に適する主調整具が選択される。また、初期糊付制御ルーチンの実行により、両糊付装置25、35の塗布ロールを回転駆動する塗布駆動モータの回転速度が設定される。すなわち、塗布ロールの周速度とライダーロールの周速度との速度差が、坪量の大きな耐水シートの中芯17に適する速度差となるように、塗布駆動モータの回転速度が設定される。一般に、中芯の坪量が大きくなると、より多くの糊が中芯の段頂部に付与される必要があることから、塗布ロールの周速度はライダーロールの周速度よりも遅い速度に設定される。初期糊付制御ルーチンの詳細な動作については、後述する。
【0072】
生産稼働速度および加工稼働速度が、生産管理計画中から取得され、下位管理装置510から生産ライン制御装置550および加工ライン制御装置560に指令される(S4)。本実施形態のダブルフェーサ駆動モータ47は、指令された生産稼働速度に従って回転駆動され、ライダーロール55は、この生産稼働速度に同期した速度で回転駆動される。
【0073】
生産ラインおよび加工ラインの公知の制御が、下位管理装置510から生産ライン制御装置550および加工ライン制御装置560に指令される(S5)。たとえば、生産ラインに関して、紙ロール11a〜11cの消費状態の検出、片面段ボール27および両面段ボール37の搬送長さの測定などの動作制御が、生産ライン制御装置550に指令される。また、裏ライナ15および表ライナ19の糊付制御が、下位管理装置510から裏ライナ糊付制御装置570および表ライナ糊付制御装置580に指令されるとともに、塗布ロールの速度制御が、下位管理装置510から塗布ロール速度制御装置590に指令される(S6)。塗布ロール速度制御装置590は、ステップS3において設定された塗布ロールの周速度に従って、糊付装置25の塗布駆動モータおよび糊付装置35の塗布駆動モータ360の回転速度を制御する。ステップS5、S6で実行される制御により、中芯17が段成形されながら裏ライナ15と貼合されて片面段ボール27が生産され、この片面段ボール27が表ライナ19と貼合されて両面段ボール37が生産され、所定の加工が両面段ボール37に施されて両面段ボールシートが生産される。
【0074】
上記両面段ボールが生産されている間、第2紙継ぎ検出器DT2が検出信号を発生したか否かが判断される(S7)。裏ライナ15の紙ロール11aが紙継ぎされない限り、検出信号が発生していないと判断される(S7:NO)。
【0075】
裏ライナ15、中芯17および表ライナ19の紙ロール11a〜11cの紙の種類の変更が指令されたか否かが判断される(S8)。本実施形態では、ステップS2で受け取った生産管理計画に従って紙の種類の変更が指令された場合、または、操作パネル540から紙の種類の変更が指令された場合、紙の種類の変更が指令されたと判断される(S8:YES)。紙の種類の変更が指令されたと判断されない場合(S8:NO)、処理はステップS5に戻り、ステップS5、S6での制御が繰り返し実行され、坪量の大きな耐水シートからなる原紙の両面段ボールが連続して生産される。
【0076】
(初期糊付制御ルーチンの詳細な動作)
初期糊付制御ルーチンの詳細な動作について、図8を参照して以下に説明する。下位管理装置510は、図7に示すステップS3を実行するとき、プログラムメモリ520から初期糊付制御ルーチンプログラムを読み出し、初期糊付制御ルーチンの実行を開始する。
【0077】
裏ライナ糊付制御および表ライナ糊付制御を共に実行するための制御状態が設定される(SA1)。この制御状態の設定により、下位管理装置510は、裏ライナ糊付制御装置570、表ライナ糊付制御装置580および塗布ロール速度制御装置590をそれぞれ制御することが可能な状態になる。
【0078】
裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35の主調整アセンブリの主調整具が、塗布ロールの外周表面上の糊被膜の厚さを調整することが不可能な不作動状態に設定される(SA2)。たとえば、表ライナ糊付装置35において、主調整アセンブリ357の主調整具363Aの押圧機構379Aが、空気袋内の空気圧が低下するようにエアポンプを作動させ、ロッド375Aを押圧する押圧力を減少させる。これにより、主調整具363Aのロッド375Aは、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜の厚さを調整することができない不作動状態に設定される。本実施形態において、初期糊付制御ルーチンは、両糊付装置25、35の補助調整具が塗布ロールから離間した不作動状態に保持された状態で、主調整アセンブリの状態の変化および設定を制御する。
【0079】
紙の種類に関する情報が、図7に示すステップS2で受け取った生産管理計画の中から取得され、作業メモリ530に記憶される(SA3)。紙の種類に関する情報は、両面段ボールの生産に使用される原紙が耐水シートであるかまたは通常のシートであるかを表すシート種別情報と、中芯17の原紙の坪量に関する情報と、裏ライナ15および表ライナ19の原紙の坪量に関する情報とを含む。
【0080】
両糊付装置25、35の主調整具の選択が指令される(SA4)。ステップSA4においては、ステップSA3で取得されたシート種別情報から、両面段ボールの生産に使用されるシートの種別が判断される。また、ステップSA4においては、ステップSA3で取得された中芯17の原紙の坪量に関する情報と、プログラムメモリ520に記憶された所定の坪量に関する情報とが、比較される。シートの種別の判断結果と、坪量の比較結果とに基づいて、主調整具の選択が指令される。たとえば、生産管理計画から取得されたシート種別情報が耐水シートを表し、また、生産管理計画から取得された中芯17の原紙の坪量が180g/平方メートルで、所定の坪量が170g/平方メートルである場合、取得された坪量は所定の坪量以上であるから、坪量が大きい耐水シートと判断される。坪量が大きい耐水シートである場合、より多くの量の糊が中芯17の段頂部に付与される必要がある。このため、ワイヤ径の大きなロッドを有する主調整具が、坪量の大きい耐水シートの原紙に適する。表ライナ糊付装置35に関して、ワイヤ径の大きなロッド375Aを有する主調整具363Aが、坪量180g/平方メートルの耐水シートからなる原紙に適することから、主調整具363Aの選択が、下位管理装置510から表ライナ糊付制御装置580に指令される。表ライナ糊付制御装置580は、主調整具363Aが塗布ロール355と向き合う位置となるように駆動装置581に含まれる選択駆動モータ369を回転駆動する。裏ライナ糊付装置25の主調整具も、主調整具363Aの選択と同様に、下位管理装置510から裏ライナ糊付制御装置570への選択指令に従って、駆動装置571の選択駆動モータにより選択される。
【0081】
両糊付装置25、35の塗布駆動モータの速度が設定される(SA5)。塗布駆動モータの速度設定は、ステップSA3で取得されたシート種別情報および中芯17の原紙の坪量に関する情報と、各糊付装置のライダーロールの回転速度に関する情報とに基づいて実行される。ライダーロールの回転速度は、図7に示すステップS4で指令された生産稼働速度と同期した速度である。本実施形態では、プログラムメモリ520が、中芯17のシートの種別、中芯17の原紙の坪量およびライダーロールの回転速度の組み合わせに対応する塗布駆動モータの回転速度を記憶する速度変換テーブルを有する。たとえば、表ライナ糊付装置35に関して、塗布駆動モータ360の回転速度に関する情報が、耐水シートからなる中芯17の原紙の坪量180g/平方メートルとライダーロール55の回転速度とに基づいて、速度変換テーブルから読み出される。裏ライナ糊付装置25の塗布駆動モータの回転速度に関する情報も、表ライナ糊付装置35と同様に、速度変換テーブルから読み出される。下位管理装置510は、両糊付装置25、35の2つの塗布駆動モータの回転速度に関する情報を塗布ロール速度制御装置590に供給して速度制御を指令する。塗布ロール速度制御装置590は、駆動装置571、581に含まれる塗布駆動モータの回転速度をそれぞれ制御する。これにより、各塗布駆動モータは、指令された速度で駆動され、各塗布ロールは所定の周速度で回転する。このとき、ライダーロールの周速度に対する塗布ロールの周速度の速度差は、坪量の大きな耐水シートの中芯17の段頂部に付与される糊の量に応じた値である。
【0082】
選択された主調整具の主ロッド駆動モータの駆動が指令される(SA6)。下位管理装置510は、裏ライナ糊付制御装置570および表ライナ糊付制御装置580に主ロッド駆動モータの駆動を指令する。両制御装置570、580は、選択された主調整具のロッドが塗布ロールとは逆方向に所定の速度で回転するように主ロッド駆動モータを駆動する。たとえば、表ライナ糊付制御装置580に関して、選択された主調整具363Aのロッド375Aが塗布ロール355とは逆方向に回転するように主ロッド駆動モータ381Aが駆動される。
【0083】
両糊付装置25、35の主調整アセンブリの選択された主調整具が、塗布ロールの外周表面上の糊被膜の厚さを調整することが可能な作動状態に設定される(SA7)。たとえば、表ライナ糊付装置35において、主調整アセンブリ357の主調整具363Aの押圧機構379Aが、空気袋内の空気圧が高くなるようにエアポンプを作動させ、ロッド375Aを押圧する押圧力を増加させる。これにより、主調整具363Aのロッド375Aは、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜の厚さを調整することができる作動状態に設定される。これにより、主調整アセンブリ357の主調整具363Aは、塗布ロール355の外周表面に接触し、坪量の大きな耐水シートの中芯17に適する糊被膜の厚さに糊の量を調整することができる。
【0084】
〈坪量の小さな通常のシートの原紙に変更した場合における段ボール生産動作〉
中芯17の原紙が、耐水シートから耐水性の低い通常のシートへ変更され、また、中芯17の原紙の坪量が、大きな坪量180g/平方メートルから小さな坪量120g/平方メートルへ変更された場合における両面段ボールの生産動作について、以下に説明する。なお、中芯17の原紙が変更された場合には、この中芯17の原紙のシート種別および坪量などに合わせて、裏ライナ15および表ライナ17の原紙も坪量の小さな通常のシートの原紙へ変更される。本実施形態では、耐水シートから通常のシートへ変更する場合でも、糊トレー353内の糊351として、耐水糊が引き続き使用される。
【0085】
ステップS2で受け取った生産管理計画に従って紙の種類の変更が指令された場合、または、操作パネル540から紙の種類の変更が指令された場合、図7に示すステップS8で紙の種類の変更が指令されたと判断される(S8:YES)。シートの種別および坪量の大きさなどの紙の種類の変更が指令されると、裏ライナ15および中芯17の紙ロール11a、11bの紙継ぎが指令される(S9)。下位管理装置510は、生産ライン制御装置550に紙継ぎの指令を供給し、生産装置群160の中の裏ライナ用ミルロールスタンド110a、中芯用ミルロールスタンド110bおよびスプライサ13が紙継ぎ動作を行うように駆動装置551を駆動する。紙継ぎ動作において、アルミニウムのテープが紙継ぎ部分に貼り付けられる。
【0086】
第1紙継ぎ検出器DT1が検出信号を発生したか否かが判断される(S10)。検出信号が発生されていないと判断された場合(S10:NO)、ステップS10の判断が繰り返し実行される。裏ライナ15の紙ロール11aの紙継ぎ部分が、第1紙継ぎ検出器DT1の配置位置に到達したとき、検出信号が発生されたと判断され(S10:YES)、図9に示す連続運転時の糊付制御ルーチンが実行される(S11)。下位管理装置510は、裏ライナ糊付装置25の制御のために、プログラムメモリ520から連続運転時の糊付制御ルーチンプログラムを読み出し、その糊付制御ルーチンの実行を開始する。連続運転時の糊付制御ルーチンの実行により、坪量の小さな通常のシートに適する主調整具が選択され、その主調整具の選択動作が実行されている間、補助調整具が作動される。また、連続運転時の糊付制御ルーチンの実行により、裏ライナ糊付装置25の塗布ロールを回転駆動する塗布駆動モータの回転速度が設定される。連続運転時の糊付制御ルーチンの詳細な動作については、後述する。
【0087】
連続運転時の糊付制御ルーチンの実行が終了すると、フラグFLがセットされているか否かが判断される(S12)。フラグFLは、ステップS1の初期設定によりリセットされていることから、セットされていないと判断される(S12:NO)。その後に、下位管理装置510は、ステップS2と同様に、上位管理装置500から、両面段ボールの生産管理計画の中の次に実行すべき部分を受け取り、作業メモリ530に記憶する(S13)。
【0088】
ステップS13の実行の後に、処理はステップS4に戻り、ステップS4〜S7が前述のように実行される。ステップS7において、第2紙継ぎ検出器DT2が検出信号を発生したか否かが判断される。裏ライナ15の紙ロール11aの紙継ぎ部分が、第2紙継ぎ検出器DT2の配置位置に到達しない限り、検出信号が発生されたと判断されない(S7:NO)。この結果、処理はステップS8に進み、紙の種類の変更が指令されたか否かが判断される(S8)。裏ライナ15および中芯17の紙継ぎ動作がすでに実行された後であることから、現時点では、紙の種類の変更が指令されていないと判断される(S8:NO)。
【0089】
裏ライナ15の紙ロール11aの紙継ぎ部分が、第2紙継ぎ検出器DT2の配置位置に到達するまで、ステップS5〜S8が繰り返し実行される。この結果、中芯17が段成形されつつ坪量の小さな裏ライナ15と貼合されて片面段ボール27が生産され、その片面段ボール27はブリッジ部130に向けて搬送される。
【0090】
裏ライナ15の紙ロール11aの紙継ぎ部分が、第2紙継ぎ検出器DT2の配置位置に到達すると、検出信号が発生されたと判断される(S7:YES)。検出信号の発生が判断されると、表ライナ19の紙ロール11cの紙継ぎが指令される(S14)。下位管理装置510は、生産ライン制御装置550に紙継ぎの指令を供給し、生産装置群160の中の表ライナ用ミルロールスタンド110cおよびスプライサ13が紙継ぎ動作を行うように駆動装置551を駆動する。
【0091】
作業メモリ530に記憶されるフラグFLが、セットされる(S15)。フラグFLは、ステップS11で実行される連続運転時の糊付制御ルーチンが、裏ライナ糊付装置25と表ライナ糊付装置35とのいずれを制御するために実行されるのかを識別するために使用される。フラグFLがセットされた場合(FL=1)、連続運転時の糊付制御ルーチンは、表ライナ糊付装置35の制御のために実行され、フラグFLがリセットされた場合(FL=0)、連続運転時の糊付制御ルーチンは、裏ライナ糊付装置25の制御のために実行される。
【0092】
フラグFLがセットされた後、ステップS11の連続運転時の糊付制御ルーチンが、表ライナ糊付装置35の制御のために実行される。連続運転時の糊付制御ルーチンの実行により、坪量の小さな通常のシートに適する主調整具が選択され、その主調整具の選択動作が実行されている間、補助調整具が作動される。また、連続運転時の糊付制御ルーチンの実行により、表ライナ糊付装置35の塗布ロールを回転駆動する塗布駆動モータの回転速度が設定される。
【0093】
連続運転時の糊付制御ルーチンの実行が終了すると、フラグFLがセットされているか否かが判断される(S12)。フラグFLは、ステップS15でセットされていることから、セットされていると判断され(S12:YES)、フラグFLはリセットされる(S16)。
【0094】
ステップS16の実行後、処理はステップS5に戻り、ステップS5〜S8が繰り返し実行される。この結果、2段ヒータ33から送り出された片面段ボール27は、表ライナ糊付装置35により糊を付与され、ダブルフェーサ150により表ライナ19と貼合され、両面段ボール37が生産される。
【0095】
(連続運転時の糊付制御ルーチンの詳細な動作)
連続運転時の糊付制御ルーチンの詳細な動作について、図9および図10A〜図10Eを参照して以下に説明する。下位管理装置510は、図7に示すステップS11を実行するとき、プログラムメモリ520から連続運転時の糊付制御ルーチンプログラムを読み出し、その糊付制御ルーチンの実行を開始する。
【0096】
フラグFLがセットされているか否かが判断される(SB1)。セットされていると判断された場合(SB1:YES)、表ライナ糊付制御を実行するための制御状態が設定される(SB2)。セットされていないと判断された場合(SB1:NO)、裏ライナ糊付制御を実行するための制御状態が設定される(SB3)。これらの制御状態の設定により、下位管理装置510は、裏ライナ糊付制御装置570および表ライナ糊付制御装置580のいずれかと、塗布ロール速度制御装置590とを制御することが可能な状態になる。
【0097】
制御される糊付装置の補助ロッド駆動モータの駆動が指令される(SB4)。下位管理装置510は、制御可能となった糊付制御装置に補助ロッド駆動モータの駆動を指令する。糊付制御装置は、補助調整具のロッドが塗布ロールとは逆方向に所定速度で回転するように補助ロッド駆動モータを駆動する。たとえば、表ライナ糊付制御装置580が制御可能になっている場合、表ライナ糊付制御装置580は、補助調整具387のロッド393が塗布ロール355とは逆方向に所定速度で回転するように補助ロッド駆動モータ405を駆動する。
【0098】
制御される糊付装置の補助調整具が塗布ロールと接触するように補助調整アセンブリが作動位置に移動される(SB5)。下位管理装置510は、制御可能となった糊付制御装置に補助調整アセンブリの移動を指令し、補助調整エアシリンダの作動軸が塗布ロールに向けて突出するように補助調整エアシリンダを作動させる。たとえば、表ライナ糊付制御装置580が制御可能になっている場合、表ライナ糊付制御装置580は、作動軸389Aが突出して補助調整具387のロッド393が塗布ロール355と接触するように、補助調整エアシリンダ389を作動させる。この補助調整エアシリンダの作動により、補助調整具387は、図10Aに示す不作動位置から図10Bに示す作動位置へ移動する。補助調整具387のロッド393が塗布ロール355と接触したとき、主調整アセンブリ357の主調整具は糊被膜の厚さを調整することができるように塗布ロール355に押圧された作動状態にあり、たとえば、図10Bに示すように、主調整具363Aのロッド375Aが塗布ロール355に押圧された状態を継続している。塗布ロール355の外周表面上の余剰な糊は、主調整具363Aのロッド375Aにより掻き取られる。その掻き取られた余剰な糊は、主調整具363Aのエプロン385Aに沿って下方に移動し、主調整具363Aの下方において作動位置に向かって移動している補助調整具387に向かって落下する。この落下した糊は、補助調整具387のロッド393に供給され、ロッド393に巻かれたワイヤにより形成された凹部内に保持される。この結果、補助調整具387が作動位置に達して補助調整具387のロッド393が塗布ロール355と接触した直後において、塗布ロール355の外周表面上に保持された糊被膜の厚さがロッド393の接触により一時的に大きく変動することが防止される。また、補助調整具387に向かって落下した余剰な糊は、補助調整具387のエプロン407に沿って移動し、糊トレー353内に落下する。この結果、塗布ロール355から掻き落とされた余剰な糊は、糊トレー353に回収される。図10Aおよび図10Bに示す状態では、主調整アセンブリ357が作動状態にあることから、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜は、主調整具363Aにより調整される。本実施形態において、主調整具363Aのロッド375Aにより掻き取られた余剰な糊が、主調整具363Aのエプロン385Aに沿って下方に移動し、主調整具363Aの下方において作動位置に向かって移動している補助調整具387に向かって落下する構成が採用されている。主調整具363Aのロッド375A、エプロン385A、および、主調整具363Aの下方に補助調整具387を配置する構成の組み合わせが、本発明の「液状物質が補助調整具に付着した状態を設定する設定手段」の一例である。
【0099】
制御される糊付装置の主調整アセンブリが、塗布ロールの外周表面上の糊被膜の厚さを調整することができない不作動状態へ変化される(SB6)。下位管理装置510は、制御可能となった糊付制御装置に主調整アセンブリの状態の変化を指令し、主調整アセンブリを不作動状態へ変化させる。たとえば、表ライナ糊付装置35において、主調整アセンブリ357の主調整具363Aの押圧機構379Aが、空気袋内の空気圧が低下するようにエアポンプを作動させ、ロッド375Aを押圧する押圧力を減少させる。これにより、主調整具363Aのロッド375Aは、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜の厚さを調整することができない不作動状態に設定される。主調整アセンブリが不作動状態に設定された状態では、補助調整アセンブリ359が作動位置に位置していることから、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜は、補助調整具387により調整される。
【0100】
シート種別情報を含む紙の種類に関する情報が、図7に示すステップS2で受け取った生産管理計画の中から取得され、作業メモリ530に記憶される(SB7)。
【0101】
制御される糊付装置の主調整具の選択が指令される(SB8)。ステップSB8においては、ステップSB7で取得されたシート種別情報から、両面段ボールの生産に使用されるシートの種別が判断される。また、ステップSB8においては、ステップSB3で取得された中芯17の原紙の坪量に関する情報と、プログラムメモリ520に記憶された所定の坪量に関する情報とが、比較される。シートの種別の判断結果と、坪量の比較結果とに基づいて、主調整具の選択が指令される。たとえば、生産管理計画から取得されたシート種別情報が通常のシートを表し、また、生産管理計画から取得された中芯17の原紙の坪量が120g/平方メートルで、所定の坪量が170g/平方メートルである場合、取得された坪量は所定の坪量より小さいことから、坪量が小さい通常のシートと判断される。坪量が小さい通常のシートである場合、より少ない量の糊が中芯17の段頂部に付与される必要がある。このため、ワイヤ径の小さなロッドを有する主調整具が、坪量の小さい通常のシートの原紙に適する。表ライナ糊付装置35に関して、ワイヤ径の小さなロッド375Bを有する主調整具363Bが、通常のシートの原紙に適することから、主調整具363Bの選択が、下位管理装置510から表ライナ糊付制御装置580に指令される。表ライナ糊付制御装置580は、主調整具363Bが図10Cに示すように塗布ロール355と向き合う位置となるように駆動装置581に含まれる選択駆動モータ369を回転駆動する。主調整具363Bが選択されている間、補助調整アセンブリ359のみが図10Cに示すように作動位置に維持されていることから、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜は、補助調整具387により調整される。本実施形態では、選択駆動モータ369は、主調整具の選択のために、主調整アセンブリ357を一方向に180度回転させ、次の主調整具の選択のために、主調整アセンブリ357を逆方向に180度回転させる。主調整アセンブリが主調整具の選択のために交互に方向を変えて180度回転するときには、押圧機構は空気袋の空気圧を低下させていることから、主調整具のロッドが塗布ロールの糊被膜の厚さを大きく変動させることはない。
【0102】
制御される糊付装置の塗布駆動モータの速度が設定される(SB9)。塗布駆動モータの速度設定は、ステップSB7で取得されたシート種別情報および中芯17の原紙の坪量に関する情報と、制御される糊付装置のライダーロールの回転速度に関する情報とに基づいて実行される。ライダーロールの回転速度は、図7に示すステップS4で指令された生産稼働速度と同期した速度である。本実施形態では、プログラムメモリ520が、中芯17のシートの種類、中芯17の原紙の坪量およびライダーロールの回転速度の組み合わせに対応する塗布駆動モータの回転速度を記憶する速度変換テーブルを有する。たとえば、表ライナ糊付装置35に関して、塗布駆動モータ360の回転速度に関する情報が、通常のシートからなる中芯17の原紙の坪量120g/平方メートルとライダーロール55の回転速度とに基づいて、速度変換テーブルから読み出される。下位管理装置510は、制御される糊付装置の塗布駆動モータの回転速度に関する情報を塗布ロール速度制御装置590に供給して速度制御を指令する。塗布ロール速度制御装置590は、制御される糊付装置の駆動装置に含まれる塗布駆動モータの回転速度を制御する。これにより、塗布駆動モータは、指令された速度で駆動され、塗布ロールは所定の周速度で回転する。このとき、ライダーロールの周速度に対する塗布ロールの周速度の速度差は、坪量の小さな通常のシートの中芯17の段頂部に付与される糊の量に応じた値である。
【0103】
選択された主調整具の主ロッド駆動モータの駆動が指令される(SB10)。下位管理装置510は、制御可能ななった糊付制御装置に主ロッド駆動モータの駆動を指令する。糊付制御装置は、選択された主調整具のロッドが塗布ロールとは逆方向に所定の速度で回転するように主ロッド駆動モータを駆動する。たとえば、表ライナ糊付制御装置580に関して、選択された主調整具363Bのロッド375Bが塗布ロール355とは逆方向に回転するように主ロッド駆動モータ381Bが駆動される。
【0104】
制御される糊付装置の主調整アセンブリの選択された主調整具が、塗布ロールの外周表面上の糊被膜の厚さを調整することが可能な作動状態に設定される(SB11)。たとえば、表ライナ糊付装置35において、主調整アセンブリ357の主調整具363Bの押圧機構379Bが、空気袋内の空気圧が高くなるようにエアポンプを作動させ、ロッド375Bを押圧する押圧力を増加させる。これにより、主調整具363Bのロッド375Bは、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜の厚さを調整することができる作動状態に設定される。これにより、主調整アセンブリ357の主調整具363Bは、図10Dに示すように塗布ロール355の外周表面に接触し、坪量の小さな通常のシートの中芯17に適する糊被膜の厚さに糊の量を調整することができる。図10Dに示す状態では、主調整アセンブリ357が作動状態へ変化したことから、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜は、主調整具363Bにより調整される。
【0105】
制御される糊付装置の補助調整具が塗布ロールから離間するように補助調整アセンブリが不作動位置に移動される(SB12)。下位管理装置510は、制御可能となった糊付制御装置に補助調整アセンブリの移動を指令し、補助調整エアシリンダの作動軸が引っ込んで補助調整アセンブリが塗布ロールから離間するように補助調整エアシリンダを作動させる。たとえば、表ライナ糊付制御装置580が制御可能になっている場合、表ライナ糊付制御装置580は、作動軸389Aが引っ込んで補助調整具387のロッド393が塗布ロール355から離間するように、補助調整エアシリンダ389を作動させる。この補助調整エアシリンダの作動により、補助調整具387は、図10Dに示す作動位置から図10Eに示す不作動位置へ移動する。図10Eに示す状態では、主調整アセンブリ357が作動状態に維持されていることから、塗布ロール355の外周表面上の糊被膜は、主調整具363Bにより調整される。
【0106】
制御される糊付装置の補助ロッド駆動モータの停止が指令される(SB13)。下位管理装置510は、制御可能となった糊付制御装置に補助ロッド駆動モータの停止を指令する。たとえば、表ライナ糊付制御装置580が制御可能になっている場合、表ライナ糊付制御装置580は、補助調整具387のロッド393の回転が停止するように補助ロッド駆動モータ405の駆動を停止する。
【0107】
本実施形態における下位管理装置510、裏ライナ糊付制御装置570、表ライナ糊付制御装置580、および連続運転時の糊付制御ルーチンの一連の処理の組み合わせは、本発明の制御部の一例である。
【0108】
[第2の実施形態]
両面段ボールを生産する両面段ボール生産装置に本発明を適用した第2の実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。第2の実施形態は、裏ライナ15および表ライナ19に水を付与する装置を追加して備える点で、第1の実施形態と相違する。第2の実施形態は、ライナに水を付与する装置以外は、第1の実施形態と同じ構成であるので、同一構成の部分には同一番号を付して示す。
【0109】
《外観的構成》
本実施形態の両面段ボール生産装置10の外観的構成について、図11を参照して以下に簡単に説明する。図11は、第2の実施形態の両面段ボール生産装置10における加工ラインの構成を省略した状態で、生産ラインのみの概略の構成を示し、第1の実施形態を示す図1に相当する図面である。
【0110】
図11において、裏ライナ水付与装置600が、裏ライナ用ミルロールスタンド110aのスプライサ13から裏ライナ15が送出される位置に近接して配置される。裏ライナ水付与装置600は、スプライサ13から送出された裏ライナ15に適量の水を付与する。プレヒータ601が、裏ライナ水付与装置600とシングルフェーサ120との間に配置され、裏ライナ水付与装置600から送出された裏ライナ15を予熱する。表ライナ水付与装置700が、グルーマシン140に追加して備えられる。表ライナ水付与装置700は、2段ヒータ33から送出される表ライナ19に適量の水を付与し、その表ライナ19をダブルフェーサ150に供給する。
【0111】
〈水付与装置の構成〉
裏ライナ水付与装置600および表ライナ水付与装置700は、同じ構成を有することから、表ライナ水付与装置700を一例として、図12を参照して以下に説明する。
【0112】
表ライナ水付与装置700は、水701を収容する水トレー703と、水が塗布される塗布ロール705と、塗布ロール705の外周表面上の水被膜の厚さを調整するための主調整アセンブリ707および補助調整アセンブリ709とを備えている。塗布ロール705は、その下方部分が水トレー703内の水701に含浸されるように配置され、塗布駆動モータ711により、時計回り方向に回転駆動される。
【0113】
アイドラロール713が、塗布ロール705の前方においてグルーマシン140のフレームに配置され、2段ヒータ33から送出された表ライナ19を塗布ロール705に向けて搬送する。アイドラロール715が、塗布ロール705の後方においてグルーマシン140のフレームに配置され、塗布ロール705から送出された表ライナ19をダブルフェーサ150に向けて案内する。表ライナ19は、塗布ロール705の外周表面に対して押し付けられるように、両アイドラロール713、715により所定の張力を付与される。本実施形態の水701は、本発明の液状物質の一例である。本実施形態の水トレー703および塗布ロール705は、本発明の収容部および塗布ロールの一例である。本実施形態のアイドラロール713、715は、本発明の搬送部の一例である。
【0114】
(主調整アセンブリの構成)
図12において、主調整アセンブリ707は、アセンブリ本体717と、アセンブリ本体717から外方に延出する2つの主調整具719A、719Bとを備える。主調整具719A、719Bは、第1の実施形態の主調整具363A、363Bと同様な構成を有し、ロッドと、そのロッドを回転可能に保持するホルダと、そのホルダを外方に向かって押圧する押圧機構とを備える。主調整具719A、719Bの各々のロッドは、第1の実施形態におけるロッド375Aと同じ構成を有し、ロッド本体の外周面上に、ワイヤが密着した状態で多数回巻かれて構成される。多数の凹部が、多数の隣接するワイヤにより、ロッドの外周面に形成される。ロッドが塗布ロールの外周表面上の水被膜に接触したときに、その外周表面上に保持される水の量は、多数の凹部内に保持される量に調整される。この結果、塗布ロールの外周表面上に保持される水の量は、ロッドに巻かれるワイヤの径の大きさに応じて調整される。第2の実施形態における主調整具719A、719Bのワイヤ径は、約0.12〜0.15mmであり、第1の実施形態における主調整具363A、363Bのワイヤ径は、約0.76〜1.01mmであり、液状物質の粘性などの特性に応じてワイヤ径が設定される。主調整具719A、719Bは、第1の実施形態における主調整具363A、363Bのエプロン385A、385Bと同様に、ホルダに取り付けられたエプロンを備える。主調整具719A、719Bのロッドが塗布ロール705の外周表面に接触して余剰の水を掻き取ったとき、エプロンは、掻き取られた余剰の水が水トレー703内に落下するように余剰の水を導く。
【0115】
主調整アセンブリ707は、主調整具が塗布ロールの外周表面上の水被膜の厚さを調整することが可能な作動状態と、その外周表面上の水被膜の厚さを調整することが不可能な不作動状態との間で変化することができるように構成される。主調整アセンブリ707の状態を変化させる構成は、第1の実施形態における押圧機構が空気袋の空気圧を調整して作動状態と不作動状態との間で主調整アセンブリ357の状態を変化させる構成と同じ構成であるので、その説明を省略する。主調整アセンブリ707は、主調整具719A、719Bのいずれか一方を選択するために回転支持軸と共に180度回転可能に構成される。主調整アセンブリ707を回転させる機構は、第1の実施形態における主調整アセンブリ357を回転させる機構と同じ構成であるので、その説明を省略する。主調整具719A、719Bのロッドは、主ロッド駆動モータにより回転駆動されるように構成される。主調整具719A、719Bのロッドを回転駆動する機構は、第1の実施形態における主調整具363A、363Bのロッドを回転駆動する機構と同じ構成であるので、その説明を省略する。本実施形態の主調整アセンブリ707および主調整具719A、719Bは、本発明の主調整アセンブリおよび主調整具の一例である。
【0116】
(補助調整アセンブリの構成)
図12において、補助調整アセンブリ709は、1つの補助調整具721と、補助調整エアシリンダ723とを備える。補助調整エアシリンダ723がグルーマシン140のフレームに固定され、補助調整具721が補助調整エアシリンダ723の作動軸723Aの先端部に取り付けられる。補助調整エアシリンダ723は、作動軸723Aが塗布ロール705の回転中心に向かって突出するように配置される。補助調整具721は、補助調整エアシリンダ723の作動軸723Aが突出したとき、塗布ロール705の外周表面に接触する作動位置に位置決めされ、補助調整エアシリンダ723の作動軸723Aが引っ込んだとき、図12に示すように塗布ロール705の外周表面から離間した不作動位置に位置決めされる。
【0117】
補助調整具721は、主調整具と同様に、アセンブリ本体725と、ロッド727と、そのロッド727を回転可能に保持するホルダ729と、そのホルダ729を塗布ロール705に向かって押圧する押圧機構731とを備える。ロッド727は、主調整具のロッドと同様に、ロッド本体の外周面上に、ワイヤが密着した状態で多数回巻かれて構成される。ロッド727のワイヤの径は、2つの主調整具719A、719Bの中で、より細い径のワイヤを備える主調整具と同じワイヤ径か、または、そのワイヤ径より大きいワイヤ径に設定される。補助調整具721は、第1の実施形態における補助調整具387のエプロン407と同様に、ホルダに取り付けられたエプロンを備える。補助調整具721のロッドが塗布ロール705の外周表面に接触して余剰の水を掻き取ったとき、エプロンは、掻き取られた余剰の水が水トレー703内に落下するように余剰の水を導く。補助調整具721のロッド727を回転駆動する機構は、第1の実施形態における補助調整具387のロッド393を回転駆動する機構と同じ構成であるので、その説明を省略する。本実施形態の補助調整アセンブリ709および補助調整具721は、本発明の補助調整アセンブリおよび補助調整具の一例である。
【0118】
補助調整具721が塗布ロール705の外周表面と接触する位置P1は、水701が水トレー703から塗布ロール705の外周表面に供給される位置PSから、その外周表面上に保持された水被膜が表ライナ19に付与される位置PWまでの範囲において、主調整具719A、719Bが塗布ロール705の外周表面に接触する位置P2より、塗布ロール705の回転方向において、上流側に存在する。また、補助調整具721が塗布ロール705の外周表面と接触する位置P1は、図13に示すように、主調整具719A、719Bが塗布ロール705の外周表面と接触する位置P2より、下方に存在する。
【0119】
《電気的構成》
第2の実施形態の両面段ボール生産装置10の電気的構成について、以下に簡単に説明する。第2の実施形態は、図6に示す第1の実施形態の電気的構成に対して、裏ライナ水付与装置600および表ライナ水付与装置700と、両水付与装置を制御および駆動する装置とを更に備える点で相違する。すなわち、第2の実施形態は、裏ライナ水付与装置600に関して、その水付与装置600を駆動する駆動装置と、その駆動装置を制御する裏ライナ水付与制御装置とを更に有し、表ライナ水付与装置700に関して、その水付与装置700を駆動する駆動装置と、その駆動装置を制御する表ライナ水付与制御装置とを更に有する。また、第2の実施形態は、両水付与装置600、700の塗布駆動モータの速度を制御する塗布ロール速度制御装置を更に有する。第2の実施形態における裏ライナ水付与制御装置、表ライナ水付与制御装置および塗布ロール速度制御装置は、第1の実施形態における裏ライナ糊付制御装置570、表ライナ糊付制御装置580および塗布ロール速度制御装置590と同じ基本構成を有することから、その説明を省略する。
【0120】
《動作および作用》
第2の実施形態の両面段ボール生産装置10の動作および作用について、以下に簡単に説明する。第2の実施形態において、裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35は、第1の実施形態と同様に、中芯17のシートの種別および坪量の大きさに応じて、主調整具および補助調整具により塗布ロールの外周表面上の糊被膜の厚さを均一な薄い膜に調整すると共に、中芯17のシートの種別および坪量の大きさに応じて、ライダーロールに対する塗布ロールの周速度を制御する。この糊被膜の厚さの調整と塗布ロールの周速度の制御とにより、段形成された中芯17の段頂部に付与される糊の量が正確に調整される。中芯の段頂部に付与される糊の量が正確に調整されることから、不均一な量の糊が付与されることにより生ずる中芯とライナとの接着強度不足および段ボールの局部的な反りなどが低減される。
【0121】
一般に、糊がライナまたは中芯に付与されたとき、糊の中に含有される水分がライナまたは中芯に吸収される。この結果、付与された糊は、一定量の水分が奪われた状態となり、糊の成分である澱粉組成物と水との比率(倍水比)が変化する。この倍水比の変化は、糊の初期接着力、常態接着力および流動性を変化させる。特に、本実施形態の裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35により薄い糊被膜に調整された糊が、ライナまたは中芯に付与された場合、薄い糊被膜に含有される水分の総量は少ないことから、ライナまたは中芯に一定量の水分が奪われ、付与された糊の残留水分が一層少なくなり、糊の接着力および流動性に悪影響を与えることがある。
【0122】
そこで、第2の実施形態では、裏ライナ水付与装置600が、段形成された中芯17と貼合される前の裏ライナ15に適量の水を付与する。また、表ライナ水付与装置700が、片面段ボール27の中芯17と貼合される前の表ライナ17に適量の水を付与する。裏ライナ水付与装置600および表ライナ水付与装置700は、裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35と同様な構成を有することから、原紙の坪量が大きければ、塗布ロールの外周表面上の水被膜の厚さを厚く調整し、また、裏ライナ15および表ライナ19の搬送速度に対して塗布ロールの周速度が遅くなるように制御する。この結果、裏ライナ糊付装置25および表ライナ糊付装置35により糊被膜が薄い膜に調整されても、ライナまたは中芯に付与された薄い糊被膜から、裏ライナ15および表ライナ19に奪われる水分が少なくなる。このため、ライナと中芯とを貼合する薄い糊被膜は、充分な水分を含有した状態にあり、良好な接着力や流動性を発揮し、段ボールに高い接着強度を与えると共に、局部的な段ボールの反りを抑制することができる。
【0123】
[変形例]
本発明の第1および第2の実施形態について以上説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者であれば種々の変形を加えることができる。
【0124】
(1)両実施形態では、補助調整アセンブリ359、709は1つの補助調整具387、721を有する構成である。この構成に代えて、複数の補助調整具が設けられ、紙の種類に応じた特定の補助調整具が複数の補助調整具の中から選択される構成であってもよい。
【0125】
(2)両実施形態では、補助調整アセンブリ359、709は、主調整具の選択動作に関連して、補助調整エアシリンダ389、723の作動により作動位置または不作動位置へ移動される構成である。この構成に代えて、補助調整具が塗布ロール上の液状物質を常時調整することができるように補助調整アセンブリが作動位置に常時配置される構成であってもよく、この場合には、補助調整アセンブリの移動を制御する制御装置が不要となる。
【0126】
(3)両実施形態では、主調整具386A、386B、719A、719Bのロッドおよび補助調整具387、721のロッドは、ロッド本体の外周面上にワイヤが密着した状態で多数回巻かれて構成され、多数の凹部が、多数の隣接するワイヤによりロッドの外周面に形成される構成である。この構成に代えて、主調整具および補助調整具のロッドが、ロッド本体の外周面上に螺旋状の溝が形成されることにより構成され、糊などの液状物質が螺旋状の溝内に保持される構成であってもよい。この場合、螺旋状の溝は、ロッド本体の中央位置から左右両側の領域で、互いに逆方向に形成されることが望ましい。
【0127】
(4)両実施形態では、2つの主調整具363A、363Bまたは2つの主調整具719A、719Bが備えられ、いずれかの主調整具がシート種別および坪量の大きさに応じて選択される。また、ライダーロール55の周速度に対する塗布ロール355の周速度、または、表ライナ19の搬送速度に対する塗布ロール705の周速度は、シート種別および坪量の大きさに応じて制御される。この構成に代えて、3個以上の主調整具が備えられ、1つの主調整具が、シート種別、坪量の大きさおよびフルートの種類の組み合わせに応じて選択され、塗布ロールの周速度がシート種別、坪量の大きさおよびフルートの種類に応じて制御されることがない構成であってもよい。
【0128】
(5)両実施形態では、補助調整具387、721が不作動位置から作動位置へ移動する途中において、主調整具により塗布ロールの外周表面から掻き取られた余剰の糊または水が、作動位置に向かう補助調整具に落下して補助調整具のロッドの凹部に付着した状態になる。この構成に代えて、糊または水などの液状物質を圧力で噴射する噴射装置が備えられ、補助調整具が作動位置へ移動される前に、噴射装置が液状物質を補助調整具のロッドに噴射して供給する構成であってもよい。この場合、噴射装置は、糊トレーまたは水トレー内の液状物質をポンプで吸い上げて噴射する構成でも、糊トレーなどとは別個の液状物質の貯蔵タンクから吸引して噴射する構成であってもよい。また、補助調整具が不作動位置から作動位置へ移動する前に、補助調整具が糊トレーまたは水トレーに一旦浸されることで、液状物質が補助調整具に付着した状態を設定する構成であってもよい。更に、補助調整具が塗布ロールの外周表面に接触する位置に常時配置される構成である場合、主調整具が液状物質の量を調整することができる作動状態にあるとき、収容部内の液状物質の液面を上昇させて補助調整具が液面下方に沈む不作動状態とし、主調整具がその選択のために不作動状態にあるとき、収容部内の液状物質の液面を下降させて補助調整具が液面上方に露出する作動状態とする構成であってもよい。この構成により、補助調整具が作動状態へ変化する前には、液状物質が補助調整具に付着した状態を設定することができる。
【0129】
(6)両実施形態では、主調整具363A、363B、719A、719Bおよび補助調整具387、721は、作動状態または作動位置において、塗布ロールの外周表面上の液状物質の量を調整するために、その外周表面と接触して押圧する。この構成に代えて、主調整具および補助調整具が、作動状態または作動位置において、塗布ロールの外周表面と接触することなく、その外周表面との間隔を調整することにより、外周表面上の液状物質の量を調整する構成であってもよい。
【0130】
(7)第2の実施形態では、裏ライナ水付与装置600および表ライナ水付与装置700が、裏ライナ15および表ライナ19に水を付与する構成である。一般に、裏ライナが中芯と貼合される前に裏ライナに水を付与する装置は、特公平6−11521号公報および特開2005−193504号公報などにより知られており、また、片面段ボールが表ライナと貼合される前に表ライナおよび片面段ボールに水を付与する装置は、特公昭55−23147号公報および特開2000−202929号公報などにより知られている。このため、第2の実施形態における水付与装置が、片面段ボールに水を付与する構成も容易に採用することができる。
【0131】
(8)第1の実施形態では、ステップSA4、SB8において、主調整アセンブリ357の主調整具が選択され、使用済の主調整具は塗布ロールと対向しない位置に保持される。本実施形態では、糊が使用済の主調整具に付着したままの状態であるので、主調整具のロッドの凹部内の糊が固まりロッドが目詰まりを起こすおそれがある。そこで、使用済の主調整具のロッドから糊を洗い流すクリーニング装置が設けられてもよい。この場合、クリーニング装置は、適宜のタイミングで自動的にまたは手動操作で作動される構成が採用される。
【0132】
(9)両実施形態では、主調整具の不作動状態は、押圧機構が空気袋の空気圧を低下させることにより、主調整具のロッドが、液状物質の量を調整するために必要な押圧力では塗布ロールの外周表面に対して押圧されていない状態である。また、補助調整具の不作動状態は、塗布ロールから離間した不作動位置に移動した状態である。この実施形態の構成に代えて、主調整具の不作動状態は、主調整具のロッドが塗布ロールから離間した不作動位置に位置する状態とし、補助調整具の不作動状態は、押圧機構が空気袋の空気圧を低下させることにより、補助調整具のロッドが、液状物質の量を調整するために必要な押圧力では塗布ロールの外周表面に対して押圧されていない状態とすることも可能である。
【符号の説明】
【0133】
10 両面段ボール生産装置
15 裏ライナ
17 中芯
19 表ライナ
25 裏ライナ糊付装置
35 表ライナ糊付装置
55 ライダーロール
351 糊
353 糊トレー
355、705 塗布ロール
357、707 主調整アセンブリ
359、709 補助調整アセンブリ
363A、363B、719A、719B 主調整具
387、721 補助調整具
510 下位管理装置
570 裏ライナ糊付制御装置
580 表ライナ糊付制御装置
600 裏ライナ水付与装置
700 表ライナ水付与装置
701 水
703 水トレー
713、715 アイドラロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段成形された中芯、またはその中芯と貼合されるライナに付与される液状物質を収容する収容部と、
前記収容部内の液状物質が供給されるように回転可能に配置され、その供給された液状物質を外周表面上に保持することが可能な塗布ロールと、
前記塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質が前記段成形された中芯の段頂部、または前記貼合されるライナに付与されるように、前記段成形された中芯、または前記貼合されるライナを、前記塗布ロールの外周表面に対して所定の位置関係で搬送する搬送部と、
複数の主調整具を有し、前記塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量を調整するために使用される所望の主調整具を前記複数の主調整具の中から選択することが可能であり、その所望の主調整具により前記保持された液状物質の量を調整するための作動状態と、前記保持された液状物質の量を調整することが不可能な不作動状態との間で変化することが可能な主調整アセンブリと、
補助調整具を有し、その補助調整具により前記保持された液状物質の量を調整する補助調整アセンブリと、を備え、
前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する際に、少なくとも、前記主調整アセンブリが前記不作動状態にある間、前記補助調整具が前記保持された液状物質の量を調整することを特徴とする段ボール生産装置。
【請求項2】
前記複数の主調整具は、前記塗布ロールの外周表面上に保持される液状物質の量を最少量に調整する特定の主調整具を含み、
前記補助調整具は、前記特定の主調整具により調整される液状物質の最少量と同じ量、または、その最少量より多い量に液状物質の量を調整することを特徴とする請求項1に記載の段ボール生産装置。
【請求項3】
前記主調整アセンブリが前記作動状態にあるとき、前記所望の主調整具は、前記保持された液状物質の量を調整するために前記塗布ロールの外周表面を押圧し、前記主調整アセンブリが前記不作動状態にあるとき、前記複数の主調整具のいずれも、前記保持された液状物質の量を調整するための押圧力で前記塗布ロールの外周表面を押圧することはなく、
前記補助調整具は、前記保持された液状物質の量を調整するために前記塗布ロールの外周表面を押圧し、
前記複数の主調整具および前記補助調整具の各々は、前記塗布ロールの外周表面を押圧することが可能な押圧面に形成された多数の凹部を有し、
前記補助調整具は、前記特定の主調整具の前記押圧面に形成された最小の凹部と同じ、または、その最小の凹部より大きい凹部を有することを特徴とする請求項2に記載の段ボール生産装置。
【請求項4】
前記補助調整アセンブリは、前記補助調整具により前記保持された液状物質の量を調整するための作動状態と、前記保持された液状物質の量を調整することが不可能な不作動状態との間で変化することが可能であり、
前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する動作と、前記主調整アセンブリおよび前記補助調整アセンブリの状態の変化とを制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の段ボール生産装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択する際に、前記補助調整アセンブリを前記作動状態へ変化させ、その後に前記主調整アセンブリを前記不作動状態へ変化させて前記複数の主調整具の中から所望の主調整具を選択し、その選択後に前記主調整アセンブリを前記作動状態へ変化させ、その後に前記補助調整アセンブリを前記不作動状態へ変化させることを特徴とする請求項4に記載の段ボール生産装置。
【請求項6】
前記保持された液状物質の量を調整するために前記補助調整具と前記塗布ロールの外周表面とが対向する位置は、前記塗布ロールの所定の回転方向において、前記収容部から液状物質が前記塗布ロールの外周表面に供給される位置から、前記塗布ロールの外周表面から液状物質が前記搬送部により搬送される前記中芯または前記ライナに付与される位置までの範囲で、前記保持された液状物質の量を調整するために前記主調整具と前記塗布ロールの外周表面とが対向する位置よりも、上流側に位置することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の段ボール生産装置。
【請求項7】
前記複数の主調整具の中から選択された所望の主調整具が、前記塗布ロールの回転中心を通る水平面上に位置して前記塗布ロールの外周表面と対向するように配置され、
前記選択された所望の主調整具または前記補助調整具により、前記塗布ロールの外周表面上に保持された液状物質の量が調整され、余剰の液状物質は前記塗布ロールの外周表面から前記収容部に掻き落とされることを特徴とする請求項6に記載の段ボール生産装置。
【請求項8】
前記補助調整アセンブリは、前記補助調整具により前記保持された液状物質の量を調整するための作動状態と、前記保持された液状物質の量を調整することが不可能な不作動状態との間で変化することが可能であり、
前記補助調整アセンブリが前記不作動状態から前記作動状態へ変化する前に、前記液状物質が前記補助調整具に付着した状態を設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の段ボール生産装置。
【請求項9】
前記収容部は、前記段成形された中芯の段頂部に付与される糊を収容することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の段ボール生産装置。
【請求項10】
前記収容部は、前記貼合されるライナに付与される水を収容することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の段ボール生産装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−31586(P2011−31586A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182898(P2009−182898)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000139931)株式会社ISOWA (39)
【Fターム(参考)】