説明

段ボール箱詰めシステム

【課題】包装物である中身製品をできるだけ損傷させることなく均一化された袋包装体を実現し、形状の良い袋包装体を安定して集積し、集積した袋包装体を安定して段ボール箱内に挿入することで、低コストで省スペースな段ボール箱詰めシステムを提供する。
【解決手段】縦型の製袋充填包装機のような包装機10で製造された袋包装体Pは、背貼りシール部のある側が袋包装体の上側として、袋包装体の製造時には袋底側となる袋端部を搬送方向前方に向けて、搬送経路21が上り傾斜路となった上り傾斜搬送コンベヤ20で搬送される。袋包装体Pの製造途中で底側に沈んでいた(搬送方向前方に偏っていた)製品Sが、上り傾斜搬送コンベヤ20への移載の際に与えられる加速度によって自然に袋内で移動して均される。袋包装体は、そうした袋内での製品の偏りが解消された形状が良好な状態で、天地を逆に製函した段ボール箱B2に集積詰めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピロー包装体のような不定形で軟弱な複数の袋包装体を、搬送しつつ整列させて包装内容物に損傷を与えることなく段ボール箱に箱詰めする段ボール箱詰めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型製袋充填包装機或いは横型製袋充填包装機では、ウェブ状の包装材を曲成して縦ヒートシールを施して筒状包装材に成形し、筒状包装材の中に包装物を投入・充填して横ヒートシールを施してピロー包装体のような袋包装体が連続して製造される。連続して製造される袋包装体は、その後、搬送装置で搬送されながら所定の数にグループ化され、段ボール箱に箱詰めされて出荷される。
【0003】
段ボール箱内での集積効率を向上させるため、本出願人は、既に、所定間隔で搬送される袋包装品をずれ重ね状態にダンボール箱へ高速に積め込むことを可能にする袋包装品のダンボール箱への箱詰め方法を提案している(特許文献1)。この箱詰め方法によれば、袋包装品をシャトル式ベルトコンベアにより所定間隔で搬送しかつ一個落下するごとにコンベア下流端を段階的に伸縮していくようにして、停止中の横送り用ベルトコンベア上へ落下させ、該所要数の袋包装品を該横送り用ベルトコンベアと横送りガイドとで各袋包装品の落下前方側が持ち上がった状態にかつ袋間隔が近接した状態になるように受承し、横送り用ベルトコンベアを駆動して横送り爪で袋包装品Fを波形マルチトレイ上へ送り渡してコンベアを駆動停止し、波形マルチトレイ上の全ての袋包装品Fを個別に所要数のバキュームパッドPで吸引把持した後、バキュームパッドの間隔を狭めて袋包装品が次々にずれ重なるようにしてダンボール箱内へ箱詰めしている。
【0004】
また、箱詰め処理ラインを複数列にする、或いは段ボールシートの収容枚数を増加するため収容部の占有スペースを広くしても装置全体の占有スペースをコンパクトにして省スペース化を図ることができる製函・箱詰め装置が提案されている(特許文献2)。この製函・箱詰め装置によれば、包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、収容部に収容された段ボールシートを一枚ずつ取り出して組み立て、底面をテーピングして製函する製函手段と、製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、搬送手段を複数並列に設置するとともに、当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を複数の各商品搬送経路の下方にそれぞれ対応させて分路し、当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設けている。箱詰め装置部を複数並列に設置しても当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の下方には、各段ボール箱搬送経路が該商品搬送経路と平行に設置されており、各段ボール箱搬送手段によって形成される各段ボール箱搬送経路には、一台の製函手段から、仕分け手段を介して段ボール箱を間断なく供給することで、装置全体の省スペース化と製函装置の稼働率を高めることを図っている。
【0005】
従来の段ボール箱詰めシステムの一例が図9〜図11に示されている。図9、図10はその上面図と側面図であり、図11は図9に示す段ボール箱詰めシステムの、縦型製袋充填機から排出される袋包装体を搬送する上流部分を拡大して示す側面図である。段ボール箱詰めシステム100は、上流側より、製品を包装材に包装して袋包装体を製造する縦型製袋充填機のような包装機110、包装機110で製造された袋包装体を搬送する上り傾斜搬送コンベヤ120、折り畳まれた段ボール箱を展開して製函する段ボール箱製函機130、搬送されてくる袋包装体を集積するとともに集積状態とされた袋包装体を箱詰め製品として製函された段ボール箱に箱詰めする段ボールケーサ140、袋包装体が箱詰めされた段ボール箱を搬送する搬送コンベヤ150、段ボール箱を封函する段ボール箱封函機160、及び段ボール箱を搬出する搬出コンベヤ180を備えている。
【0006】
段ボール箱への箱詰め位置における段ボール箱の天地デザインに合わせるため、包装機110の搬出部においては回転式の搬出シュート111が配設されており、製造されたピロー包装体のような袋包装体Pは、その表側を上面とし縦ヒートシール部(背貼りシール部)がある側を下面とした正常姿勢で、袋包装体Pの頭部と尻部をそれぞれ搬送方向の前方、後方として搬送される。段ボール箱Bへの箱詰め位置においては、段ボール箱Bは正常な天地姿勢で製函されており、表側を上にして集積された袋包装体Pが段ボール箱B内に挿入されて箱詰めされる。
【0007】
縦型製袋充填機のような包装機110で製造された袋包装体Pにおいては、包装の中身である製品は製造中に袋の底部であった長手方向下方に偏って沈んでいる。袋包装体Pが搬出され箱詰め位置まで搬送されるときも、特段の手段を講じない限りは袋内での製品の偏りは解消されず、袋包装体の形状はこのような下膨れのような状態のままである。したがって、複数の袋包装体は、箱詰め機(ケーサ)140においては、厚みが不均一で形状が良好でない状態で段ボール箱内に箱詰めされることになる。製品偏りのある状態で且つ集積状態が悪い状態で箱詰めされ、集積及び段ボール箱内への挿入に支障をきたす可能性がある。
【0008】
また、袋内での製品の偏りを解消するために均しコンベヤ121を配設し、袋包装体を当該均しコンベヤ121で搬送する中で、製品の均一化と袋形状の安定化を図ることが行われることもある(図11参照)。この均しコンベヤ121は、搬送路に設けられた断面四角のローラ122によって袋包装体Pをガタガタ搬送するというように、搬送中の袋包装体Pに振動を与えるコンベヤである。袋包装体Pの後方側に寄っている製品に下方から振動を与えても、実際には、製品は袋の前方に寄っていくことは少なく、上押えコンベヤ123で袋包装体Pをその厚み方向に押え付けることで製品を袋前方にずらすようにしていた。即ち、均しコンベヤ121の搬送路の上方には上押えコンベヤ123が配設されており、均しコンベヤ121の搬送路と平行に走行されるスポンジベルト124が搬送中の袋包装体Pに上方から緩衝作用を以て、製品に押え付け力を作用させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−76322号公報
【特許文献2】特許第3586796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
不定形で軟弱であり内容物が割れる或いは欠けるというような壊れやすい袋包装体を段ボール箱に箱詰めするには、袋包装体を安定して集積し、集積した箱詰め製品としての袋包装体を段ボール箱に安定して挿入する必要がある。そうした安定した集積と箱詰めを行うためには、箱詰めの前工程において袋包装体の形状を均一に整えることが求められる。断面四角ローラを備えた振動搬送手段や上押えコンベヤ等の、袋包装体の形状を均一に整える手段を特別に構築し配設することは、袋包装体の中身である製品を壊してしまうと共にコストも上昇させる、或いは設置スペースが増加する等の不都合も生じるので、必ずしも得策ではない。
【0011】
そこで、段ボール箱詰めシステムにおいて、既存の設備に工夫を施して、特別な専用の手段を設けることなく、袋内での製品の偏りを解消して袋包装体の形状を均すとともに、袋包装体の集積を安定して行い且つ集積された袋包装体の段ボール箱内への挿入を安定して行うことを可能にする点で解決すべき課題がある。
【0012】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、包装物である中身製品をできるだけ壊すことなく均一化された製品形状を実現させるとともに、形状の良い袋包装体を安定して集積し、集積した箱詰め製品としての袋包装体を安定して段ボール箱内に挿入することで、コストを増加させることなく省スペースで袋包装体の整形と箱詰めをすることができる段ボール箱詰めシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決し目的を達成するため、この発明による段ボール箱詰めシステムは、
背貼りシール部によって成形された筒状包装材に製品を充填しエンドシール部によって袋包装体を製造する包装機、前記包装機から排出される前記袋包装体を搬送する搬送コンベヤ、及び前記搬送コンベヤで搬送されてきた前記袋包装体を集積してその集積状態にある複数の前記袋包装体を製函された段ボール箱に箱詰めする箱詰め機を備え、前記搬送コンベヤは、前記袋包装体の前記背貼りシール部を有する側を上面とし前記製品の充填時に袋底側を搬送方向前方に向けた姿勢で、前記袋包装体を搬送する上り傾斜搬送コンベヤであり、前記箱詰め機は、前記段ボール箱を天地が逆の状態に製函し、前記袋包装体を前記背貼りシール部の無い表側を下面にして集積し、集積した前記袋包装体を前記段ボール箱に箱底側から挿入することを特徴とする。
【0014】
この発明による段ボール箱詰めシステムによれば、例えば、縦型の製袋充填包装機で製造されたピロー包装体のような袋包装体は、背貼りシール部のある側が袋包装体の上側として、袋包装体の製造時には袋底側となる袋端部を搬送方向前方に向けて、搬送経路が上り傾斜路となった上り傾斜搬送コンベヤで搬送されるので、製袋充填包装機による袋包装体の製造途中で底側に沈んでいた製品、即ち、搬送方向前方に偏っていた製品が、上り傾斜搬送コンベヤに移載される際に搬送の向きの変更に伴う加速度を受けて自然に袋内で移動して均される。袋包装体は、そうした袋内での製品の偏りが解消された形状が良好な状態で、天地を逆に製函した段ボール箱に集積詰めされる。
【0015】
この段ボール箱詰めシステムにおいて、前記袋包装体が箱詰めされた前記段ボール箱は天地が逆の状態で封函され、更に、前記箱詰め機の後流側には、封函された前記段ボール箱を天地が正常状態に反転する段ボール箱反転装置を配設することができる。均すことで定形に近い状態の袋包装体を集積し、段ボール箱内に挿入して箱詰めをし、その後に封函をする。封函された段ボール箱は天地が逆の状態にあるが、これを反転装置によって天地を反転させることにより、段ボール箱は従来と同じく天地が正常な姿勢に変更された状態で搬出することができる。段ボール箱内に集積状態に挿入されている袋包装体は、挿入時には背貼りシール部が上側を向いていたが、段ボール箱が反転されるときに、背貼りシール部が無い表側が上側の姿勢となり、段ボール箱を開梱したときに正常な姿勢を取っている袋包装体を取り出すことができる。不定形なピロー包装体を個々に高速で反転させるよりも、複数の袋包装体が箱詰めされた定形状態にある段ボール箱を一括して低速反転させる方が、反転(回転)数の少ない扱いをすることができ、その結果、トラブルを少なくし、システムを安定して稼働させることができる。
【0016】
また、この発明による段ボール箱詰めシステムは、背貼りシール部によって成形された筒状包装材に製品を充填しエンドシール部によって袋包装体を製造する包装機、前記包装機から排出される前記袋包装体を搬送する搬送コンベヤ、及び前記搬送コンベヤで搬送されてきた前記袋包装体を集積してその集積状態にある複数の前記袋包装体を製函された段ボール箱に箱詰めする箱詰め機を備え、前記搬送コンベヤは、前記袋包装体の前記背貼りシール部を有する側を下面とし前記製品の充填時に袋底側を搬送方向前方に向けた姿勢で、前記袋包装体を搬送する上り傾斜搬送コンベヤであり、前記箱詰め機は、前記段ボール箱を天地が正常状態に製函し、前記袋包装体を前記背貼りシール部のある側を下面にして集積し、集積した前記袋包装体を前記段ボール箱に箱表側から挿入することを特徴とする。
【0017】
袋包装体は、背貼りシール部のある側を袋包装体の下側として、袋包装体の製造時には袋底側となる袋端部を搬送方向前方に向けて、搬送経路が上り傾斜路となった上り傾斜搬送コンベヤで搬送されるので、袋包装体の製造途中で底側に沈んでいた製品、即ち、搬送方向前方に偏っていた製品が、上り傾斜搬送コンベヤに移載される際に搬送の向きの変更に伴う加速度を受けて自然に袋内で移動して均される。袋包装体は、そうした袋内での製品の偏りが解消された形状が良好な状態で、天地が正常に製函された段ボール箱に集積詰めされる。
【0018】
この段ボール箱詰めシステムにおいて、上り傾斜搬送コンベヤの搬送速度を可変とすることができる。上り傾斜搬送コンベヤの搬送速度を可変とすることによって、各袋包装体が包装機から降下する速度よりも搬送コンベヤの搬送を大きくすることで、搬送コンベヤへの移載の際に受ける加速度の大きさが変わり、袋内に搬送方向前方に偏っていた偏在していた製品がそうした加速度に基づく力を受けて袋内で移動する程度、即ち、均し具合を変えることができる。具体的には搬送速度を速くするほど、製品の均し具合を大きくすることができる。
【0019】
この段ボール箱詰めシステムにおいて、個々の前記袋包装体についてその重さを計測するウェイトチェッカ及びその高さを計測する高さ計測器を、前記上り傾斜搬送コンベヤに沿って傾斜して配置することができる。従来、ウェイトチェッカや高さ計測器は、箱詰め位置までに設置される搬送コンベヤに付設される機器であって、当該搬送コンベヤに沿って水平配置されているが、本発明においては、これらの機器を上り傾斜搬送コンベヤに沿って傾斜状態の姿勢で配置することができる。これによって、上り傾斜搬送コンベヤの長さを必要十分に確保しつつ搬送ライン全体の長さを短縮化して、ラインの構築とこれら機器の収納・配置についても省スペースにするとともに、傾斜についても緩やかな傾斜として袋包装体の搬送を安定させることができる。
また、この段ボール箱詰めシステムにおいて、前記包装機は、前記袋包装体を当該包装機の手前正面側に排出する縦型製袋充填機であるとするができ、或いは前記包装機は、前記袋包装体を背面側から排出する縦型製袋充填機であるとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明による段ボール箱詰めシステムは、上記のように構成されているので、袋包装体は袋内での製品の偏りがなく、均一に均された形状の良い袋包装体となり、箱詰め機(ケーサー)においては、形状の良い袋包装体を安定して集合させて且つ集積状態が良い状態で段ボール箱内に安定して挿入するので、袋包装体を良好な集積状態で段ボール箱内へ確実に箱詰めをすることができる。
また、袋内の製品の偏りを均すために従来設けられていた専用の均しコンベヤについては、包装された袋内の製品をコンベヤが壊すことがあったが、本発明の段ボール箱詰めシステムはこうした均しコンベヤを必要としないので、袋内に包装された製品が壊れることもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はこの発明による段ボール箱詰めシステムの一実施例を示す上面図である。
【図2】図2は図1に示す段ボール箱詰めシステムの側面図である。
【図3】図3は図1に示す段ボール箱詰めシステムの、縦型製袋充填機から排出される袋包装体を搬送する上流部分を拡大して示す側面図である。
【図4】図4は図1に示す段ボール箱詰めシステムに用いられる段ボール反転装置の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、この発明による段ボール箱詰めシステムに用いられる袋包装体と段ボール箱の天地を説明する図である。
【図6】図6はこの発明による段ボール箱詰めシステムの別の実施例を示す上面図である。
【図7】図7は図6に示す段ボール箱詰めシステムの側面図である。
【図8】図8は図6に示す段ボール箱詰めシステムの、縦型製袋充填機から排出される袋包装体を搬送する上流部分を拡大して示す側面図である。
【図9】図9は従来の段ボール箱詰めシステムの一例を示す上面図である。
【図10】図10は図9に示す段ボール箱詰めシステムの側面図である。
【図11】図11は図9に示す段ボール箱詰めシステムの、縦型製袋充填機から排出される袋包装体を搬送する上流部分を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による段ボール箱詰めシステムの実施例を説明する。
【0023】
図1〜図3は、この発明による段ボール箱詰めシステムの一実施例を示す上面図、側面図及びシステムの上流部分を示す拡大側面図である。段ボール箱詰めシステム1は、上流側より、製品Sを包装材に包装して袋包装体Pを製造する包装機10、包装機10で製造された袋包装体Pを搬送する上り傾斜搬送コンベヤ20、折り畳まれた段ボール箱B1を展開して製函する段ボール箱製函機30、搬送されてくる袋包装体Pを集積するとともに集積された袋包装体Pをその状態で製函された段ボール箱B2に箱詰めする段ボールケーサ40、袋包装体Pが箱詰めされた段ボール箱B3を搬送する搬送コンベヤ50、箱詰めされた段ボール箱B3を封函する段ボール箱封函機60、封函された段ボール箱B4を反転させる段ボール箱反転装置70、及び反転された段ボール箱B4を搬出する搬出コンベヤ80を備えている。
【0024】
段ボール箱詰めシステム1の包装機10は、筒状包装材に包装して袋包装体を製造する縦型製袋充填機である。縦型製袋充填機は、ウェブ状の包装材Fwを繰り出して、フォーマ11にて筒状に曲成し、縦ヒートシーラ13によって両側縁部をヒートシールして充填筒12の周囲に筒状包装材Ftに成形し、充填筒12に投入された製品Sを筒状包装材Ftに充填し、製品Sの上方及び下方において横ヒートシーラ・カッタ14によって筒状包装材Ftに横ヒートシールをしてカッタで切断することにより、ピロー包装体のような袋包装体Pを製造するもので、既知のものでよい。横ヒートシーラ・カッタ14の下方には曲線シュート15が設けられており、縦ヒートシーラ13によってヒートシールがされた背貼りシール部が上面を向いた状態に方向転換して包装機10から排出される。なお、包装機10は、ウェブ状の包装材Fwが巻き取られたウェブロールRwが装填されるロール装填部16を備えている。
【0025】
ここで、袋包装体Pと段ボール箱Bとの姿勢について定義を説明しておく。図5の(a)左側に示す袋包装体Pは、縦ヒートシール部(背貼りシール部)が袋の下側に存在し、商品等を表す印刷が施されることが多い表面Paが上面を向いている状態を示している。図5の(a)の右側に示す袋包装体Pは、左側に示すものとは逆であって、背貼りシール部Sbが袋の上側に存在している状態を示している。図5の(b)は段ボール箱が正常な天地姿勢にある状態を示すもので、上側の図は段ボール箱Bのフラップfbを閉じた封函状態(段ボール箱B4)を示す図であり、下側の図はフラップfbが未封函状態(段ボール箱B2,B3)にあることを示している。
【0026】
図3に詳細に示すように、包装機10で製造された袋包装体Pを搬送する上り傾斜搬送コンベヤ20は、曲線シュート15から袋包装体Pを受け取る搬入位置22で最も高さが低く、袋包装体Pを受け取った後、搬送するにしたがってゆっくりと上昇していき、段ボールケーサ40に袋包装体Pを送り込む搬出位置23に至る一連の傾斜搬送路21を備えている。上り傾斜搬送コンベヤ20では、袋包装体Pは、背貼りシール部Sbが上面を向いた状態で、且つ包装機10において製品Sが充填される袋の下端部が搬送方向(上り方向)の前方を向いた状態で搬送される。傾斜搬送路21に沿ってウェイトチェッカ24が配置されている。ウェイトチェッカ24は、各袋包装体Pの重量を計測しており、重量が許容される範囲内に入っているか否かをチェックしている。傾斜搬送路21のウェイトチェッカ24が配置されている位置の直ぐ下流には、各袋包装体Pの高さを計測する高さ計測機25が配置されている。高さ計測機25は、各袋包装体Pの高さを計測し、高さが許容される範囲内に入っているか否かをチェックしている。重さ又は高さが許容範囲外の袋包装体Pについては、段ボールケーサ40に搬入されないように、直ちにコンベヤ外に排出される。
【0027】
図3に示すように、包装機10によって製造された袋包装体Pは、背貼りシール部Sbがある側を上面、即ち、袋包装体Pの上側に向けて、且つ包装機10によって製品Sが充填される製造中に袋底側となる袋端部を搬送方向前方に向けて、上り傾斜搬送コンベヤ20の上り傾斜路となった搬送経路を昇るように搬送される((I)の状態で示す)。したがって、包装機10において袋包装体Pの製造途中で底側に沈んでいた製品S、即ち、搬送方向前方に偏っていた製品Sは、上り傾斜搬送コンベヤ20に移載される際に、搬送の向きが大きく変更されて製品Sには加速度が作用し、自然に袋内を後方に移動して均される((II)の状態で示す)。袋包装体Pは、そうした袋内での製品Sの偏りが解消された形状が良好な状態で、天地が逆の状態に製函された段ボール箱B2に集積詰めされる。
【0028】
上り傾斜搬送コンベヤ20の搬送速度については、可変とすることができる。上り傾斜搬送コンベヤ20の搬送速度を可変とすることによって、搬送途中の各袋包装体Pが受ける加速度の大きさが変わり、袋内に搬送方向前方に偏在していた製品Sがそうした加速度の変化を受けて袋内で移動する程度、即ち、均し具合を変えることができる。具体的には曲線シュート15を滑り降りる速度よりも上り傾斜搬送コンベヤ20の搬送速度を大きくするほど、上り傾斜搬送コンベヤ20への移載の際の製品Sの均し具合を大きくすることができる。均すことで定形に近い状態の袋包装体Pは安定して集積され、段ボール箱B2内に安定して挿入されて箱詰めされ、その後に封函される。
【0029】
段ボール箱製函機30は、折り畳まれた段ボール箱を展開して製函するもので、後述する段ボールケーサ40の横方に隣接して配置されている。スタッカ31に折り畳まれてスタック状に集積された段ボール箱B1は、吸引手段32等によって一つずつ繰り出されて、成形ステーション33にて折り畳みを直角に開かれて箱状に製函される(段ボール箱B2)。この段ボール箱製函機30では、段ボール箱B1は、天地が逆の状態にセットされており、本来は天面側となるフラップが折り込まれてテープ貼りにて封がされ、本来は底面側となるフラップが開かれた状態にセットされる。成形ステーション33で所定の展開状態に成形された段ボール箱は、適宜の手段(プッシャ等)によって送り込みステーション34に押し出され、送り込みステーション34から移送路35を通って、段ボールケーサ40の箱詰めステーション41まで送り移される。
【0030】
段ボールケーサ40は、搬送されてくる袋包装体Pを集積すると共に集積状態の袋包装体Pを製函された段ボール箱に箱詰めする機械である。複数の袋包装体Pの集積は、隣り合う袋包装体P同士が瓦状に部分的に重なる態様で集積される。この集積のため、上り傾斜搬送コンベヤ20を一列になって搬送されてくる袋包装体Pは交互に振り分けられ、振り分けられた左右の列配置のみならず前後に隣り合う行配置の袋包装体Pも集積される。集積された袋包装体Pは、昇降が制御される吸引手段42によって集積状態のまま吸着されて、下方に移送されてきている段ボール箱B2内に上方より挿入される。通常、一つの段ボール箱B2内には、集積状態の袋包装体Pが吸引手段42によって複数回繰り返して箱詰めされ、その結果、段ボール箱B2内には複数の袋包装体Pが、高さ方向に多層に積層された状態で箱詰めされる。
【0031】
袋包装体Pが箱詰めされた段ボール箱Bは搬送コンベヤ50によって搬送される。搬送コンベヤ50では、段ボール箱Bのフラップfb,fbは開いたままである。搬送コンベヤ50によって段ボール箱封函機60に搬送された段ボール箱B3は、段ボール箱封函機60において天地が逆の状態のままフラップfb,fbが閉じられて封函される。封函された段ボール箱Bは段ボール箱反転装置70によって天地が反転され、反転された段ボール箱B4は天地が正常な状態で搬出コンベヤ80によって搬出される。封函された段ボール箱B4は天地が逆の状態にあるが、これを段ボール箱反転装置70によって天地を反転させることにより、段ボール箱B4は従来と同じく天地が正しい姿勢で搬出される。
【0032】
図4に段ボール箱反転装置70の作動が(a)〜(c)に順次説明されている。図4の(a)〜(c)のそれぞれにおいて、側面図と正面図とが示されている。段ボール箱反転装置70は、搬入側の搬送コンベヤ50と搬出側の搬出コンベヤ80との間に挟まれて配置されており、ハウジング71の内部には、段ボール箱B4の周囲を支持した状態で回転するドラム72を備えている。ドラム72には、段ボール箱B4の上下の天面及び底面を挟んで段ボール箱B4を搬送コンベヤ50や搬出コンベヤ80との間で移送させる移送ベルト73,73が設けられている。また、段ボール箱B4の左右の側面はガイド74,74によって案内される。図4(a)に示すように、封函された段ボール箱B4が天地逆の状態で搬送コンベヤ50から段ボール箱反転装置70のドラム72内に搬入される。ドラム72が回転することで、段ボール箱B4が回転される(図4(b)には90度回転した状態が示されている)。ドラム72が更に回転することで、封函された段ボール箱B4が正常な天地状態に反転され、搬出コンベヤ80によって搬出される。
【0033】
段ボール箱B4内に集積状態に挿入されている袋包装体Pは、挿入時には背貼りシール部Sbが上側を向いていたが、段ボール箱B4が反転されるときに、背貼りシール部Sbが無い表面Paが上側の姿勢となる。段ボール箱B4を開梱したときには、背貼りシール部Sbが無い表面Paが表側となった正常な姿勢の袋包装体Pを目にすることになる。不定形なピロー包装体を個々に高速で反転させるよりも、複数の袋包装体Pが箱詰めされた定形状態にある段ボール箱B4を一括して反転させる方が、反転(回転)数の少ない扱いをすることができる。その結果、トラブルが少なくなり箱詰めシステムを安定して稼働させることができる。
【0034】
段ボール箱詰めシステム1において、個々の袋包装体Pについてその重さを計測するウェイトチェッカ24及びその高さを計測する高さ計測器25は、上り傾斜搬送コンベヤ20に沿って傾斜して配置されている。従来、ウェイトチェッカ24や高さ計測器25は、箱詰め位置までに設置される搬送コンベヤに付設される機器であって、当該搬送コンベヤに沿って水平配置されているが、本発明においては、これらの機器を上り傾斜搬送コンベヤ20に沿って傾斜状態の姿勢で配置されているので、上り傾斜搬送コンベヤ20の長さを必要十分に確保しつつ搬送ライン全体の長さを短縮化して、ラインの構築とこれら機器の収納・配置についても省スペースにするとともに、傾斜についても緩やかな傾斜として袋包装体の搬送を安定させることができる。
【0035】
図6〜図8にはこの発明による段ボール箱詰めシステムの別の実施例を示す上面図、側面図及び縦型製袋充填機から排出される袋包装体を搬送する上流部分を拡大して示す側面図である。この実施例に示す段ボール箱詰めシステム1aのうち、図1〜図3に示すシステム1と同等の構成要素については、同じ符号を付すことで再度の説明を省略する。この段ボール箱詰めシステム1aでは、包装機(縦型製袋充填機)10で製造された袋包装体Pは、包装機10の背面側から水平コンベヤ17に排出される。したがって、各袋包装体Pにおいては、背貼りシール部Sbは下面側にあって、上面は背貼りシール部Sbの無い表面Paとなっている。段ボール箱詰めシステム1aでは、上り傾斜搬送コンベヤ20〜段ボール箱封函機60までの構造は図1〜図3に示すシステムと変わりはないが、袋包装体Pの姿勢は背貼りシール部Sbが下面側にある正常な天地状態であるので、箱詰めした段ボール箱を反転する必要がなく、段ボール箱反転装置70が不要であり、直ちに搬出コンベヤ80で搬出される。
【符号の説明】
【0036】
1,1a 段ボール箱詰めシステム
10 包装機 11 フォーマ
12 充填筒 13 縦ヒートシーラ
14 横ヒートシーラ・カッタ 15 曲線シュート
16 ロール装填部 17 水平コンベヤ
20 上り傾斜搬送コンベヤ 21 傾斜搬送路
22 搬入位置 23 搬出位置
24 ウェイトチェッカ 25 高さ計測機
30 段ボール箱製函機 31 スタッカ
32 吸引手段 33 成形ステーション
34 送り込みステーション 35 移送路
40 段ボールケーサ 41 箱詰めステーション
42 吸引手段
50 搬送コンベヤ
60 段ボール箱封函機
70 段ボール箱反転装置 71 ハウジング
72 ドラム 73 移送ベルト
74 ガイド
80 搬出コンベヤ
B1,B2 B3,B4 段ボール箱 P 袋包装体
S 製品 Sb 背貼りシール部 fb フラップ
Fw ウェブ状の包装材 Ft 筒状包装材 Rw ウェブロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背貼りシール部によって成形された筒状包装材に製品を充填しエンドシール部によって袋包装体を製造する包装機、前記包装機から排出される前記袋包装体を搬送する搬送コンベヤ、及び前記搬送コンベヤで搬送されてきた前記袋包装体を集積してその集積状態にある複数の前記袋包装体を製函された段ボール箱に箱詰めする箱詰め機を備え、
前記搬送コンベヤは、前記袋包装体の前記背貼りシール部を有する側を上面とし前記製品の充填時に袋底側を搬送方向前方に向けた姿勢で、前記袋包装体を搬送する上り傾斜搬送コンベヤであり、
前記箱詰め機は、前記段ボール箱を天地が逆の状態に製函し、前記袋包装体を前記背貼りシール部の無い表側を下面にして集積し、集積した前記袋包装体を前記段ボール箱に箱底側から挿入することを特徴とする段ボール箱詰めシステム。
【請求項2】
前記包装機は、前記袋包装体を当該包装機の手前正面側に排出する縦型製袋充填機であることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱詰めシステム。
【請求項3】
前記袋包装体が箱詰めされた前記段ボール箱は天地が逆の状態で封函され、前記箱詰め機の後流側に、封函された前記段ボール箱を天地が正常状態に反転する段ボール箱反転装置が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の段ボール箱詰めシステム。
【請求項4】
背貼りシール部によって成形された筒状包装材に製品を充填しエンドシール部によって袋包装体を製造する包装機、前記包装機から排出される前記袋包装体を搬送する搬送コンベヤ、及び前記搬送コンベヤで搬送されてきた前記袋包装体を集積してその集積状態にある複数の前記袋包装体を製函された段ボール箱に箱詰めする箱詰め機を備え、
前記搬送コンベヤは、前記袋包装体の前記背貼りシール部を有する側を下面とし前記製品の充填時に袋底側を搬送方向前方に向けた姿勢で、前記袋包装体を搬送する上り傾斜搬送コンベヤであり、
前記箱詰め機は、前記段ボール箱を天地が正常状態に製函し、前記袋包装体を前記背貼りシール部の無い表側を下面にして集積し、集積した前記袋包装体を前記段ボール箱に箱底側から挿入することを特徴とする段ボール箱詰めシステム。
【請求項5】
前記包装機は、前記袋包装体を背面側から排出する縦型製袋充填機であることを特徴とする請求項4に記載の段ボール箱詰めシステム。
【請求項6】
前記上り傾斜搬送コンベヤの搬送速度は可変であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の段ボール箱詰めシステム。
【請求項7】
個々の前記袋包装体についてその重さを計測するウェイトチェッカ及びその高さを計測する高さ計測器が、前記上り傾斜搬送コンベヤに沿って傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の段ボール箱詰めシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−16580(P2011−16580A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194886(P2009−194886)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】