説明

殺虫効果を有するN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体

【課題】殺虫効果あるいはダニを殺す効果を示すN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体の新規の化合物を提供する。
【解決手段】式I
【化1】


(式中、Ar、a、r、R、R、R、R、R、b、c、R、R、R、R、R、d、e、U、V、X、WR、Rの各々については本願明細書の発明の開示に記載する通りの意味をもつ)で示す化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して害虫の駆除用の化合物ならびに同化合物を使用する昆虫類並びにダニ類等の駆除に関わるものである。より具体的には、殺虫効果を有するN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体、および農業分野の産業においての使用に許容される同誘導体の塩の組成物、および昆虫類並びにダニ類生物の駆除を目的としてそれらを使用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に昆虫などの虫の類は、農作物に対して大きな被害を与えるものに留まらず、シロアリや土の中で育つ昆虫類の幼虫は庭などに形成される構築物や芝生にも大きな被害を与えることは周知である。この様な虫により引き起こされる被害は、当該作物、芝、構築物の価格に換算すると数百万ドルにも及びかねないものである。作物に被害を与える昆虫には様々なものがあり、それらは多くの目に分類される広範囲な昆虫が含まれるが、これらの内、例えば同翅亜目に属する昆虫が特に重要である。ホモプテラ(同翅亜目)に属する昆虫には、アブラムシ、ヨコバイ、セミ、コナジラミ、コナカイガラムシをそのいくつかの例とする多くの昆虫が含まれる。これらホモプテラに属する昆虫は吸汁するための管形状の口を持ち維管束植物の樹液を吸いだしそれを栄養分とするものである。ホモプテラに属する昆虫による被害はこれら昆虫が食餌としたことに直接的に原因するものに留まらず広範な被害を引き起こす。例えばこれらの昆虫の多くは、食餌とした作物の上にハニデューと呼ばれる蜜状の粘液を分泌し、分泌された粘液自身が当該作物の外観を損なうものである。また煤のような外観をもつカビがその粘液表面に発生することも多く、当該作物が食品であるか観賞用作物であるかを問わず、その外観を損ない商品価値を低下させるものである。これらホモプテラに属する昆虫の中には、自身の食餌として作物を食する際に毒性を持つ唾液を当該作物に注入するものも存在する。昆虫のこのような唾液は、作物の形状に異変を生起せしめ、その作物を枯らしてしまうこともまれではない。ホモプテラに属する昆虫は以上の外に、病原菌の媒介者としての役目を果たすこともある。昆虫の行為が直接的に引き起こす被害とは異なり、病原菌が媒介されることに原因する農作物への被害は、病原菌を媒介する昆虫の個体数が大きくなくてもその被害は看過できない程度にまで大きくなることがある。
【0003】
このような背景から今日にあっても、より安全で、より効果的で、より安価なもの、すなわち新しい殺虫剤、新しいダニの駆除剤への受容は絶えることなく存在する。昆虫やダニは、その種類によるものの、小麦、とうもろこし、大豆、じゃがいも、綿などをその例とする様々な農作物に対して、その地面から上の部分あるいは下の部分において看過できない被害をもたらすものであり、これら様々な昆虫やダニを駆除する目的で殺虫剤やダニ駆除剤は今日においても必要とされている。農作物を様々な昆虫やダニがもたらす被害から護るための殺虫剤やダニの駆除剤についてはそれらが当該農作物に害を及ぼさないものであると共に、哺乳類ならびにそれら以外の生物に対してなんら問題となる危害を加えないものであることが望まれる。
【0004】
アルカンジアミン化合物を対象とし、それが殺虫効果を発揮するとする特許は既に多数存在する。例えば[特許文献1]がそれであり、同特許には下記の一般式で与えられるアルキレンジアミン類である殺虫剤作用を示す化合物が開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,806,553号明細書
【0005】
【化21】

【0006】
ここで、Wは5員または6員のヘテロ環官能基であり、少なくともその1員は−O−、−S−、−N−のいずれかをヘテロ原子としており、同ヘテロ環官能基は置換基を有することもあるものとし、R、R、Rはそれぞれが水素またはアルキル基、Rは水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、−CH−W−基(ただしWはW)のいずれかであり、Xは−S−、−NR−、一価結合の置換基のいずれか(ただしRは水素かアルキル基)であり、ここでXが−NR−である場合、上記した一般式の一部、次に示す部分と同一となることがあり得るものであり、
【0007】
【化22】

【0008】
Yは−N−、=CR−(ただしRは水素、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基のいずれか)のいずれかであり、Zはシアノ基、ニトロ基のいずれか、そしてAはエチレン基、トリメチレン基(ただし、その一部にはアルキル基が置換基として結合していることもある)のいずれかである。
【0009】
[特許文献2]には次に示す一般式で示されるテトラハイドロフラン−3−イルメチル誘導体が開示されている。
【特許文献2】特開平08−269035号公報
【0010】
【化23】

【0011】
ここでR、Rは水素またはC−Cアルキル基(その一部に置換基が導入されていてもよい)であり、R〜Rは水素、C−Cアルキル基(その一部に置換基が導入されていてもよい)、C−Cアルケニル基(その一部に置換基が導入されていてもよい)、C−Cアルキニル基(その一部に置換基が導入されていてもよい)のいずれかであり、nは2〜5の整数、Rは水素またはC−Cアルキル基,XはCHまたはN、YはNOまたはC≡Nであり、RとRは相互に結合し環を形成していても良いものとする。
【0012】
[特許文献3]はその特許請求範囲に含めるものとしてフランの誘導体であって次式をその一般式とする幾種類かの化合物を示し、それらが胃腸の疾患の治療に有効な成分であるとしている。
【特許文献3】米国特許第5,075,301号明細書
【0013】
【化24】

【0014】
ここでXはRCH−で表される反応基をその一例としており、RはRN−で表される反応基でありRとRは互いに同一であっても同一でなくても良く、各々が水素または低炭素数のアルキル基であり、Yは−CH−または−C(=O)−であり、lは整数1〜3のいずれかであり、Rは水素、低炭素数のアルキル基、低炭素数アルカノイル基、置換型または非置換型アロイル基のいずれかであり、Zは次に記載の化学式で示される複数の化学構造式で示される反応基をその幾つかの例として含む反応基いずれかである。
【0015】
【化25】

【0016】
ここで、Qは酸素または硫黄、Rは水素、低炭素数アルキル基、置換型または非置換型のアリール基のいずれかである。
【0017】
【化26】

【0018】
ここで、RとRは互いに同一であっても同一でなくても良くその各々は水素、シアノ基、低炭素数アルコキシカルボニル基、低炭素数アルキルスルホニル基、置換型または非置換型のアリルスルホニル基、ニトロ基のいずれかであり(ただしRとRの双方が同時に水素であることは無いものとする)、R2aとR3aはここで述べたRとRと同様に定義される反応基である。
【0019】
【化27】

【0020】
ここでRとRは上記したものと同様に定義されるものであり、Rは水素、低炭素数アルキル基のいずれかであり、nは1または2の整数である。
【0021】
[特許文献4] は次に示す一般式で示される化合物類を殺虫剤として有効であるとし、その特許請求範囲に含めている。
【特許文献4】欧州特許第EP0547451B1号明細書
【0022】
【化28】

【0023】
ここで、Xは2−クロロ−5−ピリジルまたは2−クロロ−5−チアゾイル基であり、Rは水素または(C−C)アルキル基であり、Rは水素、(C−C)アルキル基、(C−C)アルキニル基、(C−C)アルケニル基、および2−クロロ−5−ピリジルであり、RとRはその各々が水素、ハロゲン、(C−C)アルキル基、(C−C)アルキニル基、(C−C)アルケニル基、置換型または非置換型のベンジル基、のいずれかであるかまたはX−C(R)H−で表される反応基であり(ただしXとRはそれぞれ前述した定義によるものとする)、Nは整数2ないし3のいずれかであり、Yは−NOまたは−CNである。[特許文献5]はその特許請求範囲に含むものとして次の一般式で示される類の化合物あるいはその塩を含有する何種類かの組成物が殺虫剤として有効であるとして開示している。
【特許文献5】米国特許第5,852,012号明細書
【0024】
【化29】

【0025】
ここでAは2−クロロピリジ−5−イル基、2−メチルピリジ−5−イル基、1−オキシド−3−ピリジニオ基、2−クロロ−1−オキシド−5−ピリニオ基、2−クロロチアゾール−5−イル基のいずれかであり、Rは水素、(C−C)アルキル基、フェニル(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルケニル基、(C−C)アルキニル基のいずれかであり、XはN−NOまたはN−CNである。
【0026】
米国特許は次の一般式で示される類の化合物を殺虫剤として有用であるとし開示している。
【0027】
【化30】

【0028】
ここでnは0または1の整数であり、R、R、R、Rは各々が水素とアルキル基のいずれかであり、RとRは各々が水素、水酸基、アルキル基のいずれかであり、nが1の場合にはRがRと一価の結合を形成するものであっても良く、Xは−S−、−O−、=N−R、=CH−R(Rは例えば水素、ハロゲン、アルキル基、水酸基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、アルケニルカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、モノ−またはジ−アルキルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、フェニルスルホニルアミノカルボキニル基、アルキルスルホニル基、フェナシル基のいずれかであり、Rは水素、アルキル基、アリール基、ベンジル基のいずれか)のいずれかであり、Yは−N−、=C(−)−Rのいずれか(Rは例えば水素、ハロゲン、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオカルボニル基、フェノキシカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、ベンゾイルアミノカルボニル基、フェニルスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、フェニルチオ基、フェニルスルホニル基のいずれか)であり、Rは水素、アルキル基のいずれかであり、Uはヘテロ5員環またはヘテロ6員環であり、少なくともその一員は−O−、−S−、−N−のいずれかのヘテロ原子であって、同ヘテロ環は置換基を有するものであっても良い。
【0029】
しかしながら、以上に列記した特許あるいは特許出願はいずれも、本発明による化合物化学構造、同化合物が殺虫効果やダニの駆除効果を持つことを明示するものでも、示唆するものでもない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明によると特定のN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体は、本発明による方法に従い、それを含有してなる殺虫剤組成物あるいはダニの駆除用組成物として使用すると、様々な昆虫ならびのコナダニの殺虫/駆除に関して予期できなかったほどに高い活性を示すものがあることが発見された。化学式Iの化合物は次に示す一般式で表される。
【0031】
【化31】

【0032】
ここでArは以下に示す反応基のいずれかであり、
【0033】
【化32】

【0034】
、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、sは0か1のいずれかの整数であり、aとrは互いに独立して定まるものであってそれら各々は0と1のいずれかの整数であり、Rは水酸基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、並びに次に記す反応基のいずれかであり、
【0035】
【化33】

【0036】
はハロゲン、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、その内アリール基とヘテロアリール基にあってはハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかを置換基として一つないしそれ以上有するものであっても良く、mは1か2のいずれかの整数であり、R、R10、R11、R12、R13は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、アリールオキシ基のいずれかであり、R14、R15、R16は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基のいずれかであり、R17は水素、アルキル基ならびに次に示す各種の反応基のいずれかであり、
【0037】
【化34】

【0038】
18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、R、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、アルキル基のいずれかであり、bとcは互いに独立して定まる各々が0か1のいずれかの整数であり、bとcの双方が1である場合にはR、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素かアルキル基のいずれかであり、Rは水素、アルキル基、並びに次の化学式が示す反応基のいずれかであり、
【0039】
【化35】

【0040】
nは1か2のいずれかの整数、R23、R24、R25、R26、R27は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、dとeとは互いに独立して定まる0か1のいずれかの整数であり、dとeの双方が1の場合はU、Vは共に−CH−基であり、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、並びに次の化学式で示される反応基の内のいずれかであり、
【0041】
【化36】

【0042】
pは1か2のいずれかの整数であり、R28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して定まるものであって各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、Rは−C≡Nと−NOの内のどちらかであり、Wは−CR33−と−N−の内のどちらかであり、Xは−CR3435−、−O−、−S−、−NR36−のいずれか(ここでR33、R34、R35、R36は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素とアルキル基の内のどちらか)であり、ただし、ここでi)Arがオキソラン−3−イル基(M)であり、ii)a、b、cの全てが1であり、RからRの全てが水素であり、iii)d、e、rの全てが0であり、iv)Rが−(CHCR14=CR1516または−(CHC≡CR17であり、v)Rは水素とアルキル基の内のどちらかであり、vi)Rは水素、アルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基のいずれかであり、vii)Wは−CR33−(ここでR33は水素)場合、vii)Xが−S−以外のものであり、dとeの双方が0である場合にはRとXは−CH(CH−または−CHYCH−(ここでqは1か2いずれかの整数であり、YはO、S、NR37、のいずれか、ただしR37は水素とアルキル基の内のいずれか)のどちらかを伴って環を形成することがあるものとし、Xは−CH−、−O−、−S−、−N−のいずれかであり、Xが−CH−か−N−のいずれかである場合にはRは水素、アルキル基、並びにRが取りえるものとして前述した種々反応基の内のいずれかであり、bとcの双方が0の場合にはRとRは−CHCH−を伴ってピペラジン環を形成することもある。
【0043】
本発明は上記した化学式Iに該当する化合物の内のいずれか、少なくとも一種をそれが十分に大きな殺虫効果を発現できる量以上含む組成物にも関わるものである。本発明は、これに加えて、必要によってはその組成物に、効果を発揮するに十分な量の一種ないしそれ以上数の種類の第二成分化合物を少なくとも一種類の殺虫剤組成物の形成に適した担体成分物質と共に配合することにも関わるものである。
【0044】
本発明は、その必要性に応じて様々な種類の昆虫の発生を抑制する方法にも関するものであり、同方法にあっては、上記した組成物の殺虫剤としての効果を発揮できるに足る量を農作物が多量に存在する場所、あるいは対象とする昆虫が潜む箇所、ないしは潜むと考えられる箇所への散布/使用に関わるものである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明は概して特定の新規に発見された有用な化合物に関するものであり、特定の化合物とはN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体(以後、化学式Iの化合物と呼ぶ)に属するものであり、化学式Iで表されるものであり、その農業分野での使用に適した塩である。
【0046】
【化37】

【0047】
Arは以下に示す反応基のいずれかであり、
【0048】
【化38】

【0049】
、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、sは0か1のいずれかの整数であり、aとrは互いに独立して定まるものであってそれら各々は0と1のいずれかの整数であり、Rは水酸基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、並びに次に記す反応基のいずれかであり、
【0050】
【化39】

【0051】
はハロゲン、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、その内アリール基とヘテロアリール基にあってはハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかを置換基として一つないしそれ以上有するものであっても良く、mは1か2のいずれかの整数であり、R、R10、R11、R12、R13は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、アリールオキシ基のいずれかであり、R14、R15、R16は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基のいずれかであり、R17は水素、アルキル基ならびに次に示す各種の反応基のいずれかであり、
【0052】
【化40】

【0053】
18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、R、R、R、Rは独立して定まるものであってそれら各々はハロゲン、アルキル基のいずれかであり、bとcは互いに独立して定まる各々が0か1のいずれかの整数であり、bとcの双方が1である場合にはR、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素かアルキル基のいずれかであり、Rは水素、アルキル基、並びに次の化学式が示す反応基のいずれかであり、
【0054】
【化41】

【0055】
nは1か2のいずれかの整数、R23、R24、R25、R26、R27は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、dとeとは互いに独立して定まる0か1のいずれかの整数であり、dとeの双方が1の場合はU、Vは共に−CH−基であり、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、並びに次の化学式で示される反応基の内のいずれかであり、
【0056】
【化42】

【0057】
pは1か2のいずれかの整数であり、R28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して定まるものであって各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、Rは−C≡Nと−NOの内のどちらかであり、Wは−CR33−と−N−の内のどちらかであり、Xは−CR3435−、−O−、−S−、−NR36のいずれか(ここでR33、R34、R35、R36は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素とアルキル基の内のどちらか)であり、ただし、ここでi)Arがオキソラン−3−イル基(M)であり、ii)a、b、cの全てが1であり、RからRの全てが水素であり、iii)d、e、rの全てが0であり、iv)Rが−(CHCR14=CR1516または−(CHC≡CR17であり、v)Rは水素とアルキル基の内のどちらかであり、vi)Rは水素、アルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基のいずれかであり、vii)Wは−CR33−(ここでR33は水素)である場合、vii)Xが−S−以外のものであり、dとeの双方が0である場合にはRとXは−CH(CH−または−CHYCH−(ここでqは1か2いずれかの整数であり、YはO、S、NR37、のいずれか、ただしR37は水素とアルキル基の内のいずれか)のどちらかを伴って環を形成することがあるものとし、Xは−CH−、−O−、−S−、−N−のいずれかであり、Xが−CH−か−N−のいずれかである場合にはRは水素、アルキル基、並びにRが取りえるものとして前述した種々反応基の内のいずれかであり、bとcの双方が0の場合にはRとRは−CHCH−を伴ってピペラジン環を形成することもある。
【0058】
本発明の実施にあって好ましい化合物は化学式Iで示されるものの内、aが1であり、b、c、d、eの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素であり、Rが水素かアルキル基のいずれかであり、Wが−CR33−と−N−の内のどちらか(ここでR33が水素とする)であり、Xが−O−、−S−、−NR36−のいずれかであり、そしてRとXは−CH(CH−または−CHYCH−(ここでYは−O−か−NR37−のいずれか、ただしR37は水素とアルキル基の内のいずれか、であり、Xは−N−であり、Rは水素かアルキル基のいずれか)のどちらかを伴って環を形成してなる種々の化合物である。
【0059】
より一層好ましい化合物は化学式Iで示されるものの内、Arが次の化学式で示される種々の反応基
【0060】
【化43】

【0061】
のいずれか(ただし、これら化学式においてsは0であり、R、R、Rの各々が水素であり、Rがハロゲンとする)からなるものである。
【0062】
本発明の一態様にあっては、より限定的に述べるならば、新規かつ有用なN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体、化学式Iとして特定される種々の化合物、並びにこれら化合物の農業分野における使用に適した種類の塩が様々な種類の昆虫やダニの発生/増殖を抑制するに予期できなかった程に著しい効能を発揮する。
【0063】
【化44】

【0064】
ここでArは次の構造式で示される反応基のいずれかであり、
【0065】
【化45】

【0066】
、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、sは0か1のいずれかの整数であり、aとrは互いに独立して定まるものであってそれら各々は0と1のいずれかの整数であり、Rは水酸基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、並びに次に記す反応基のいずれかであり、
【0067】
【化46】

【0068】
はハロゲン、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、その内アリール基とヘテロアリール基にあってはハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかを置換基として一つないしそれ以上有するものであっても良く、mは1か2のいずれかの整数であり、R、R10、R11、R12、R13は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、アリールオキシ基のいずれかであり、R14、R15、R16は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基のいずれかであり、R17は水素、アルキル基ならびに次に示す各種の反応基のいずれかであり、
【0069】
【化47】

【0070】
18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、R、R、R、Rは独立して定まるものであってそれら各々は水素、アルキル基のいずれかであり、bとcは互いに独立して定まる各々が0か1のいずれかの整数であり、bとcの双方が1である場合にはR、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素かアルキル基のいずれかであり、Rは水素、アルキル基、並びに次の化学式が示す反応基のいずれかであり、
【0071】
【化48】

【0072】
nは1か2のいずれかの整数、R23、R24、R25、R26、R27は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、dとeとは互いに独立して定まる0か1のいずれかの整数であり、dとeの双方が1の場合はU、Vは共に−CH−基であり、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、並びに次の化学式で示される反応基の内のいずれかであり、
【0073】
【化49】

【0074】
pは1か2のいずれかの整数であり、R28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して定まるものであって各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、Rは−C≡Nと−NOの内のどちらかであり、Wは−CR33−と−N−の内のどちらかであり、Xは−CR3435−、−O−、−S−、−NR36のいずれか(ここでR33、R34、R35、R36は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素とアルキル基の内のどちらか)であり、ただし、ここでi)Arがオキソラン−3−イル基(M)であり、ii)a、b、cの全てが1であり、RからRの全てが水素であり、iii)d、e、rの全てが0であり、iv)Rが−(CHCR14=CR1516または−(CHC≡CR17であり、v)Rは水素とアルキル基の内のどちらかであり、vi)Rは水素、アルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基のいずれかであり、vii)Wは−CR33−(ここでR33は水素)である場合、vii)Xが−S−以外のものである。
【0075】
本発明の上記した態様にあっては、その実施に好ましい化合物は化学式Iにおいて、aが1であり、b、c、d、eの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素であり、Rが水素かアルキル基のいずれかであり、Wが−CR33−と−N−の内のどちらか(ここでR33が水素とする)であり、Xが−O−、−S−、−NR36のいずれかである。
【0076】
本発明の上記と同じ態様にあって、その実施においてより以上に好ましい化合物は化学式Iで示されるものの内、Arが次の化学式[化50]で示される種々の反応基
【0077】
【化50】

【0078】
のいずれか(ただし、これら化学式においてsは0であり、R、R、Rの各々が水素であり、Rがハロゲンとする)からなるものである。
【0079】
本発明の上記とは異なる一態様にあって、より限定的に述べるならば、新規かつ有用なN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体であって、化学式Iとして特定される種々の化合物、並びにこれら化合物の農業分野における使用に適した種類の塩が様々な種類の昆虫やダニの発生/増殖を抑制するに予期できなかった程に著しい効能を発揮する。
【0080】
【化51】

【0081】
ただし本態様にあっては、ここでArは次の構造式で示される反応基のいずれかであり、
【0082】
【化52】

【0083】
、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、sは0か1のいずれかの整数であり、aとrは互いに独立して定まるものであってそれら各々は0と1のいずれかの整数であり、Rは水素、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、並びに次に記す反応基のいずれかであり、
【0084】
【化53】

【0085】
はハロゲン、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、その内アリール基とヘテロアリール基にあってはハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかを置換基として一つないしそれ以上有するものであっても良く、mは1か2のいずれかの整数であり、R、R10、R11、R12、R13は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、アリールオキシ基のいずれかであり、R14、R15、R16は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基のいずれかであり、R17は水素、アルキル基ならびに次に示す各種の反応基
【0086】
【化54】

【0087】
のいずれかであり、これら構造式で示した反応基にあってR18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、R、R、R、Rは独立して定まるものであってそれら各々は水素、アルキル基のいずれかであり、bとcは互いに独立して定まる各々が0か1のいずれかの整数であり、bとcの双方が1である場合にはR、R、R、Rは互いに独立して定まるものであってそれら各々は水素かアルキル基のいずれかであり、dとeはともに0であり、RとXは、−CH(CH−または−CHYCH−(ここでqは1か2いずれかの整数であり、Yは−O−、−S−、−NR37−、のいずれか、ただしR37は水素とアルキル基の内のいずれか)のどちらかを伴って環を形成し、Xは−CH−、−O−、−S−、−N−のいずれかであり、Xが−CH−か−N−のいずれかである場合にはRは水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、並びに次に化学式(ここでqは1か2いずれかの整数)
【0088】
【化55】

【0089】
で示される種々反応基の内のいずれかであり、R28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して定まるものであって各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、Rは−C≡Nと−NOの内のどちらかであり、Wは−CR33−と−N−の内のどちらか(ここでR33は水素とアルキル基の内のどちらか)である。
【0090】
本発明を本態様にしたがって実施するにあたって好ましい種類の化合物は化学式Iで示される種類のものの内、aが1であり、b、c、d、eの各々が全て0であり、R、R、R、Rの各々が全て水素であり、Wが−CR33−と−N−の内のどちらか(R33は水素)であり、Yは−O−かNR37のいずれかであり、Xが−N−であり、Rが水素かアルキル基のいずれかである。
【0091】
本発明をこの態様にしたがって実施するにあたってより好ましい種類の化合物は、化学式Iで示される種類のものの内、Arが次に記された
【0092】
【化56】

【0093】
で示される種々反応基の内のいずれかであり、かつ同化学式においてsが0であり、R、R、Rの各々が全て水素であり、Rがハロゲンであるものである。
【0094】
以上のほか、本発明に係る種々の化合物は非対称中心を複数箇所に保有する分子構造の化合物であっても良く、そのような場合、同化合物は光学異性体対やジアステレオマー分子を構成する。また本発明に係る種々の化合物は二種あるいはそれ以上数の異性体(多型)を形成する可能性をも許容するものであり、このような異性体間には物理的ないしは化学的な有意差が発現する。本発明に係る種々の化合物は互いに互変異性体として存在することも許容される。互変異性体にあってはその水素原子が当該分子中において移動しその存在位置に関して一定の平衡状態が達成される。本発明に係る種々の化合物は、以上のほか、酸性ないしはアルカリ性の分子構造部分を有することもある。このような場合、本発明による化合物であるための必要条件として分子構造部分により形成される塩や金属錯体物質が農業分野での使用に適したものであることがあげられる。
【0095】
本発明は上記したような光学異性体、多型の分子、互変異性体分子、塩化合物、金属錯体であるものの使用をも包含するものである。農業分野での使用に適した塩化合物や金属錯体である物質には、これらに限るわけではないが、その例として、アンモニウム塩、有機ないし無機酸との間で形成される塩、すなわち塩酸、スルホン酸、エタンスルホン酸、トリフロロ酢酸、メチルベンゼンスルホン酸、リン酸、グルコン酸、パモン酸などの酸との間で形成される塩があり、また一方、アルカリ金属ないしはアルカリ土類金属の錯体、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属が関与する錯体がある。
【0096】
本発明による方法は化学式Iで示した化合物のいずれであるにしろそれが所期の殺虫効果ないし昆虫の繁殖抑制効果を発現するのに要する量だけ対象としている昆虫の個体に如何にして届けるかに関わるものである。殺虫効果が有りとするに好ましい量とは当該昆虫を殺すに十分な量のことである。本発明に関わる特許請求の範囲に含まれる方法にあっては、化学式Iの化合物の誘導体を対象とする昆虫類に接触/付着させ、この誘導体が接触/付着した後に、同昆虫類の体内において化学式Iのいずれかである化合物に変化せしめるものである。このような性質を有する化合物の使用は本発明に関わる特許請求の範囲に属するものであり、またこのような性質を有する化合物を殺虫剤先駆物質と呼ぶ。
【0097】
本発明の別の態様にあっては、本発明は化学式Iのいずれか少なくとも一つの化合物についてその殺虫効果発現に必要な量を含む様に調製した組成物に関するものでああり、同組成物が同組成物の調製を目的として当該殺虫剤組成物への配合成分としての適正を有する担体物質を少なくとも一種類含有せしめることを特徴とする。
【0098】
本発明の別の態様にあっては、本発明は化学式Iのいずれか少なくとも一つの化合物についてその殺虫効果発現に必要な量を含む外、少なくとも一種の第二の化合物について、その有効量を併せて含む様に調製した組成物に関するものであり、同組成物が同組成物の調製を目的として当該殺虫剤組成物への配合成分としての適正を有する担体物質を少なくとも一種類含有せしめることを特徴とする。
【0099】
本発明の別の態様にあっては、本発明は昆虫類の増殖を抑制する方法に関するものであり、特に、前記に定義した組成物をその殺虫剤としての所定の効果を発現するに必要な量だけ、これらに限定する意味でなくその例をあげれば、様々な穀類、綿類の木、野菜類、果樹などの作物の特定部位、あるいはその他の部分域で昆虫類が潜んでいるか潜んでいる可能性が考えられる部位、部分域に投与することを特徴とするものである。
【0100】
本発明は、上記の外、上記に定義した化合物、あるいは上記に定義した組成物を医薬品としての用途に利用すること、農業分野以外の分野で問題となる昆虫類の増殖抑制に用いることをも含むものであり、例えば、乾燥木材のシロアリや地下繁殖型のシロアリがこれらの昆虫類に該当する。更には、本発明にかかる様々な化合物は、動物用医薬品の分野において、動物に寄生して食餌を得ている体内型/体外型寄生虫の類のいくつかに対して、それらの駆除薬として効果を発揮することが期待される。ここでいう動物への寄生虫の類には、これらに限定するとの意味でなくその例として、Gastrophilus spp.、Stomoxys spp.、Trichodectes spp.、Rhodnius spp.、Ctenocephalides canisなどの類があげられる。
【0101】
本明細書において用いる「アルキル基」並びに「アルコキシ基」はそれが単独で用いられると、より大きな部分の一部として用いられるとにかかわらず、別途特定されない限りは、少なくとも一つないしは二つの炭素原子からなる直鎖または分岐鎖のものを指すものとし、この炭素鎖を形成する炭素の数が1であるのを最小とするか2であるのを最小とするかはそれが形成する置換基としての適正さにより定まるものとする。その最大の炭素数は、好ましくは12であり、さらに好ましくは10であり、最も好ましくは7である。本明細書において用いる「アルケニル基」並びに「アルキニル基」はそれが単独で用いられると、より大きな部分の一部として用いられるとにかかわらず、少なくとも二つの炭素原子からなる直鎖または分岐鎖のものを指すものとし、かつそれぞれ少なくとも一つの炭素−炭素間二重結合、ないし炭素−炭素間三重結合を有するものとし、その好ましい最長炭素鎖は炭素数で12、より好ましくは炭素数で10、最も好ましくは炭素数で7である。「アリール基」とは芳香族環構造を指すもので、これには複数の環が縮合したもの、その炭素数が4から10の範囲内のものも含まれ、これらの例としてはフェニル基やナフチル基がある。「ヘテロアリール基」とは少なくとも一つの炭素以外の原子、これらに限定をするものではなく例示すれば、硫黄、酸素、窒素といった原子を環形成の構造中に有するような芳香族環ないしはその縮合環である反応基を指す。「GC分析」とはガスクロマトグラフによる化学反応生成物混合体の分析を指す。「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドをいう。「THF」はテトラハイドロフランであり、「ハロゲン」および「ハロ」はフッ素、臭素、ヨウ素、塩素の内、任意のいずれかを指す。「常温」および「室温」なる用語は「RT」と略称されることも多く、例えば化学反応が進行中の反応系混合物の温度に言及するために用いられるが、それは20℃ないし30℃の範囲の温度を言うものである。「殺虫剤としての作用を有する」、「ダニの駆除作用を有する」、「殺虫剤」、「ダニの駆除剤」の各々は本発明による化合物、同化合物と共に少なくとも一種の第二成分である化合物を含む組成物、あるいは同化合物と共に少なくとも一種の適当な担体成分物質を含む組成物であって、昆虫類あるいはダニ類生物を殺したり、その活動に制限を加えたりする作用を発現するものをいう。
【0102】
化学式Iで示した新規化合物は、市販されている中間化合物をその出発原料とし、当業者には公知である方法を組み合わせて合成できるものである。
【0103】
スキーム1として次に記載するのは、化学式Iに該当する化合物であるN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体を合成するための一般的な方法の概略を示すものであり、このスキームにあっては、特にArをR、R、R、Rなる置換基を有するピリド−3−イル(Aとして示した反応基においてsが0)とし、aを1、R、R、R、Rはその全てを水素とし、b、c、d、e、及びrの全てが0であるとし、WをCR33(ここでR33は水素)とし、Rを−NOとしている。
【0104】
【化57】

【0105】
【化58】

【0106】
【化59】

【0107】
スキーム1として記載した通り、例えば市販されているエチレンジアミンのような、個々の状況にあわせて適宜選択したジアミンについて、そのアミノ基の一つがその後、不要な反応を起こさないように保護するために、ジ−tert−ブチルジカルボネートと反応させ、当該選択/採用したジアミンに対応する(tert−ブトキシ)カルボキサミドを生成した。ここで生成するtert−ブトキシカルボキサミドは公知の化合物である。続いて、このtert−ブトキシカルボキサミドを適宜選択した1)アリールハライド、例えば公知の化合物である(6−クロロピリド−3−イル)メチルクロライド、あるいは適宜選択した2)アリールホルムアルデヒド、例えば公知の化合物である(6−クロロ−3−ピリジル)ホルムアルデヒドと反応させた。前者の反応1)にあっては適当な溶剤中、アルカリ性条件下において反応を進めることで、例えばその二箇所においてアルキル化された化合物、すなわちi)N−(2−[ビス[6−クロロ(3−ピリジル)]メチル]アミノ)エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミドとその一箇所においてアルキル化された化合物、すなわちii)(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドが生成された。こうして生成されたi)とii)の混合物はカラムクロマトグラフによることで簡単に分離できた。これらの二物質は共に化学式Iにて示した化合物の合成用中間物として有用なものである。後者の反応2)はより好ましく、前記選択/採用したホルマリン誘導体をアルカリ性条件下、乾燥剤物質の存在のもとでtert−ブトキシカルボキサミドと縮合反応させた。選択/採用した反応性原料化合物に対応した種類のイミンが得られ、同イミンは単離することなく保存した。イミンについてその還元反応を生起させた。同還元反応は、例えばホウ化水素ナトリウムによる還元反応であった。その反応生成物は当該イミンに対応した種類の前述した中間物ii)であった。中間物(b−ii)は、ここでRは水素であるが、次に(4−メトキシフェニル)メチルクロライドやプロパルギルブロマイドをその例とする適宜選択したハロゲン誘導体と反応させることでそれら反応原料の構造に対応した構造の中間物(c)を得た。ここでR部分は(4−メトキシフェニル)メチル基やプロパルギル基をその例とする置換基になっている。この中間物(c)はトリフロロ酢酸を例とする酸との反応に供し、アミン部分の保護として作用してきたtert−ブトキシカルボキサミド基を取りはずし、その例を(2−アミノエチル)[6−クロロ(3−ピリジル)メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンや(2−アミノエチル)[6−クロロ(3−ピリジル)メチル]プロプ−2−イニルアミンとする中間物(d)を得た。この中間物(d)を遊離アミンの形で単離し、触媒の存在下において、適当なアルキルチオ誘導体と反応させることで同遊離アミンを変性することで幾種類もの化学式Iの化合物を得ることができた。同アルキルチオ誘導体の具体例としては、市販されている化合物である1,1−ビス(メチルチオ)−2−ニトロエチレンをあげることができる。この変性反応にあっては同分子に−C(XR)=WRで表される構造部分を導入するもので、ここでXはSであり、Rは−CH基であり、WはR33を水素、Rを−NOとする反応基−CR33である。
【0108】
化学式Iの化合物を別の化学式Iの化合物に変性することができる場合がある。例えば、XがSでありRが−CHである化学式Iの化合物をメタノール溶媒中でメチラートナトリウムで処理すると同化合物に対応した別種の化学式Iの化合物、すなわちXがOでありRが−CHである化合物に変化する。後段に記載した実施例1並びに実施例2は以上記述したスキーム1に属する化学式I化合物の生成方法をその一定のものに限って詳細に示すものである。
【0109】
次にスキーム2として化学式Iの化合物であるN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体であって、特にArをR、R、R、Rなる置換基を有するピリド−3−イル(Aとして示した反応基においてsが0)とし、aを1、R、R、R、Rはその全てを水素とし、b、c、d、e、及びrの全てが0であるとし、RとXはそれらに−CH(CH−をも加えて環を構成するものとし、そこでXとWはそれぞれが共にNであり、Rは水素であり、Rを−NOとしている化合物を合成する一般的な方法の概略を示す。
【0110】
【化60】

【0111】
【化61】

【0112】
スキーム2にあっては上記した通り、公知の化合物である(6−クロロ−3−ピリジル)ホルムアルデヒドをその一例とする、適宜選択した構造の(アリール)ホルムアルデヒドを2−アミノエタン−1−オールなどのアミノアルカノールと縮合反応させ、その反応生成物をナトリウムボロハイドライドのような還元剤で還元すると、選択/使用したこれら原料に対応した構造の中間物アルコール(e)が得られた。この中間物アルコール(e)の一例は2−{[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]アミノ}エタン−1−オールである。この中間物アルコール(e)、そのRが水素であるものを適宜選択した1−ヨウ化プロパンのようなハロゲン化物とアルカリ性において反応させると使用した原料化合物に対応した中間物(f)が得られた。ここで、今回にあってはR部分にはn−プロピル基がくるものであった。中間物(f)は更にチオニルクロライドのような化合物と反応させ、同中間物の構造に対応した構造のハロゲン化中間化合物(g)を得た。本ハロゲン化中間化合物(g)の例は[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル](2−クロロエチル)プロピルアミンである。中間化合物(g)を次に、例えば市販されている2−(ニトロメチレン)イミダゾリジンのナトリウム塩と反応させ環を形成させことで環が導入された構造の化学式I化合物を得た。ただしここではRとXがそれらに−CH(CH−をも加えて環を構成したものであり、XとWは共にNであり、Rは水素、Rは−NOであった。後段に記載の実施例3においてスキーム2に概略説明した化学式Iの化合物の生成方法をそれに属する一例に沿って詳細に説明を加えるものである。
【0113】
中間化合物(g)は同じく化学式Iの化合物であるもののそれとは構造を異にする化合物に変性できることがある。例えばこれら化合物の一つを4−(アザニトロメチレン)−3−メチル−1,3,5−オキサジアザペルヒドロイン[非特許文献1]に記載された方法により生成した)とアルカリ性条件下で反応させ前記とはことなる構造の環を当該化合物に導入することができるもので、ちなみにこの例にあっては、RとXが−CHYCH−をも含んで環を形成するもので、Yが例えばOであり、XとWのそれぞれが共にNであり、Rが−CH、Rが−NOであった。
【非特許文献1】P.Maienfisch他;Pest Management Science 165−176(2001)
【0114】
次にスキーム3として化学式Iの化合物であるN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体であって、特にArをR、R、R、Rなる置換基を有するピリド−3−イル(Aとして示した反応基においてsが0)とし、aを1、R、R、R、Rはその全てを水素とし、b、c、d、e、及びrの全てが0であるとし、RとXはそれらに−CH(CH−をも加えて環を構成するものとし、そこでXはNであり、WがCR33(ただしR33は水素)、Rは水素、Rを−NOとしている化合物を合成するための上記したスキーム1〜2とは異なる一般的な方法の概略を示す。
【0115】
【化62】

【0116】
【化63】

【0117】
スキーム3に記載した通り、市販品として入手できるN−{−2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}(tert−ブトキシ)カルボキサミドのような、適切にアミノ基を保護したジアミン類の一つを公知のあるいは市販されている化合物である(ジアルキルチオ)エテン類の化合物の一つ、例えば1,1−ジ(メチルチオ)−2−ニトロエタンとをアルカリ条件下で環化させると、使用した(ジアルキルチオ)エテン類化合物の構造に対応した環を含む誘導体化合物(h)が得られた。同誘導体化合物(h)の例としては(tert−ブトキシ)−N−{2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチル}カルボキサミドがある。中間化合物(h)については次に酸性条件下に曝しそのアミン保護を取り外すことで遊離のアミン系化合物(i)の塩、その例はしては2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチルアミンの酢酸塩が得られる。この化合物(i)の酢酸塩にArに相当する部分の置換基を導入することになるがそれには同塩(i)を例えば(6−クロロ−3−ピリジル)ホルムアルデヒドのような化合物と反応させ、同アルデヒドの構造に対応した置換基が導入された形のアミン系中間化合物(j)、その例は[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]{2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチル}アミンである、を得た。中間化合物(j)は更にそれに例えば2−クロロベンズアルデヒドなどの化合物をアルカリ条件下で反応させることで化学式Iに該当する化合物の一種を得た。ちなみに2−クロロベンズアルデヒドなどとした化合物はRに該当する置換基を同化合物に導入するものである。ここに概略説明したスキーム3にかかる化学式Iに該当する構造の種々の化合物を生成する方法の詳細を後段に実施例5として記載している。
【0118】
次に、スキーム4として、化学式Iの化合物である様々なN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体を合成する一般的な方法であってスキーム1〜3とは異なる方法の概要を示す。ここでいう化学式Iの化合物にあっては、Arは例えばピリド−3−イル(すなわちAで示した構造の置換基であってsは0)であり、それには置換基R、R、R、Rが全て結合している。またaは1であり、R、R、R、Rはその全てを水素とし、b、c、及びrはその各々が0である。
【0119】
【化64】

【0120】
スキーム4として記載した通り、すでに説明したスキーム1ならびに後段に記載の実施例1に示した中間化合物(d)、その一例は遊離したアミン系化合物、(2−アミノエチル)[6−クロロ(3−ピリジル)メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンであるが、を公知の化合物である(2Z)−2−アザ−3−エトキシブト−2−エンニトリルと反応させて、同遊離アミン系化合物に−C(XR)=WRなる置換基を導入することで化学式Iの化合物を得るものである。ここで−XRは−CHであり、Wは−N−であり、Rは−NOであり、dとeは共に0である。スキーム4にかかる化学式Iに該当する構造の種々化合物の内、ここに概略説明した構造の化合物を生成する方法の詳細を後段に実施例6として記載している。
【0121】
前記と同様に、中間化合物(d)をアルカリ性条件下にて、例えば2Z)−2−アザ−3−(ジエチルアミノ)−4−クロロブト−2−エンニトリルと反応させると化学式Iの化合物に−UC(XR)=WRなる置換基を導入することができた。ただしここでdは1、Uは−CH−、−X−は−NR36、R36およびRは−C、Wは−N−、RはCNである。スキーム4にかかる化学式Iに該当する構造の種々化合物の内でここに概略説明した構造の化合物を生成する方法の詳細は後段に実施例7として記載している。
【0122】
さらに前記と同様に、中間化合物(d)を、アルカリ性条件下にて例えば公知の化合物である2Z)−2−アザ−4−クロロ−3−メトキシブト−2−エンニトリルと反応させ同化合物に−C(VCl)=WRなる置換基を導入することができ、その反応生成物として中間化合物(k)を得た。ただしここでeは1、Vは−CH−、Wは−N−、RはCNである。次に、得られた中間化合物(k)を例えばジエチルアミンと反応させることで化学式Iの化合物に置換基XRを導入した。ここで−X−はNR36、R36とRは各々が共に−Cである。スキーム4にかかる化学式Iに該当する構造の種々化合物の内でここに概略説明した構造の化合物を生成する方法の詳細は後段に実施例8として記載している。
【0123】
スキーム5として、化学式Iの化合物である様々なN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体を合成する一般的な方法であってスキーム1〜4とは異なる方法の概要を示す。ここでいう化学式Iの化合物にあっては、Arは例えば1,3−チアゾール−5−イル基またはオクソラン−3−イル基(それぞれはB、Mで表した構造の置換基であり、sは0)であり、aは1、R、R、R、Rはその各々が全て水素であり、b、c、d、eおよびrはその全てが0であり、WはNであり、Rは−NOである。
【0124】
【化65】

【0125】
スキーム1に示した合成ルートの変形タイプであるスキーム5に示した通り、N−(2−アミノエチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミドをその一例とする中間化合物(a)を適宜選択したタイプの(アリール)ホルムアルデヒド、例えば4−メトキシベンズアルデヒドと反応させることで例えば(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミド(m)を得ることができる。ここでの置換基Rは(4−メトキシフェニル)メチル基であった。本中間化合物(m)には、それに更に適宜選択された(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)ホルムアルデヒドや(オキソラン−3−イル)ホルムアルデヒドのような第二の(アリール)ホルムアルデヒドと同様に反応させることで置換基Arを導入できる。このようにして生成された中間化合物(n)の例としては(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドや(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル](オキソラン−3−イルメチル)アミノ}エチル)カルボキサミドがある。中間化合物(n)は三フッ化酢酸などの酸で処理することでアミノ基の保護のために形成した部分である(tert−ブトキシ)カルボキサミドを構成する部分を除去し、中間化合物(o)を得ることができる。同中間化合物(o)の例としては(2−アミノエチル)[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンまたは(2−アミノエチル)[(4−メトキシフェニル)メチル](オキシラン−3−イルメチル)アミンがある。遊離のアミンである中間化合物(o)はそれに適宜選択した構造のアルキルチオ誘導体、例えば公知の化合物であるジメチルN−ニトロイミドジチオカルボネートを反応させ−C(XR)=WR基を導入することで化学式Iに該当する化合物を生成することができた。ここでXはS、WはN、Rは−CH、Rは−NOである。化学式Iに該当する化合物の内でスキーム5の説明中に示した構造の化合物を合成する方法は後段において実施例9ならびに実施例10としてその詳細を記載した。
【0126】
当業者には、一定の毒性成分物質も、それを配合した組成物の作成方法ならびに同組成物の投与方法によっては、それが使用される対象が同一であっても、発現する効果に差異が生じることは理解される。本発明による殺虫効果を有する化合物は8/16ないし4/8米国メッシュのような比較的粗い粒剤形状の組成物とすることで農業分野における使用に給されても良い。また組成物粒剤は所望の適用様式に従って水溶性であることもあれば水分散性を有するものであることもあり、大気中に浮遊するような細かい組成物粉体とされたり、水と混合しての使用を前提とする組成物粉体とされたり、水と混合し乳化液とし使用する濃縮組成物とされたり、水系の乳状分散組成物とされたり、水溶液組成物とされたり、更に他の公知の農業的に有用な剤形にされ得るものである。本明細書において示した物質の数量表記にあってはその概略値を示すに留まるものであり、その旨の記載がなくとも「約」などを意味する形容詞句が数量値の前におかれているかのごとく理解されるものとする。
【0127】
以上に記載した殺虫剤組成物は昆虫類の抑制が望まれるエリアに水溶液の形態にてスプレー噴霧したり、粉体形状あるいは顆粒形状に製剤化して散布したりできる。また同組成物に含有させる有効成分の濃度は重量濃度として0.1、0.2、0.5%といった低濃度から95%以上の高濃度までの広い範囲から適宜選択できるものである。
【0128】
粉体形状の組成物とはタルク、天然クレイ、キーゼルグアー、クルミ殻や綿実の粉砕粉、その他有機物であるか無機物であるかを問わず適宜選択された物質の細かい粉体に有効成分物質を分散/担持させ製剤化した流動性に優れた混合物である。ここで細かい粉体とはその平均径が約50ミクロン未満である。このような粉体形状に製剤化された組成物の典型的な一例にあっては1.0重量%ないしはそれ以下程度の殺虫有効成分物質と残り99.0%のタルクで構成されている。
【0129】
殺虫剤として使用する組成物をその使用時点で水に混合するタイプの製剤(以下では水和剤とよぶ)にあっては、細かく粉砕された粉体形状をしており、水や特定のスキームにて準備した溶媒液に簡単に分散混合できるように調製される。このような水和剤である粉体は、その使用時点にて様々にその状態に関し変更が加えられることになるが、最終的には、乾燥した粉体としてあるいは水や特定のスキームで準備した溶媒液と混合し形成したに乳化液として昆虫類の抑制しようとする対象エリアに付着させようとするものである。水和剤とするべく製剤する場合に採用される典型的な担体粉末にはフラー粘土、カオリン粘土類、シリカ類、その他様々な吸着容量/親水性に富んだ無機の希釈剤粉末がある。水和剤は通常概ね5〜80重量%の有効成分化合物を含有し、同含有量は採用する担体剤の吸着量に応じて決定されるものである。また同水和剤には有効成分化合物の分散を助けるために少量の湿潤助剤、分散助剤あるいは乳化助剤も加えられる。例えば、優れた水和剤組成物にあっては、例えば、その有効成分含量が80重量%、パルメット粘土の含量が17.9重量%、リグノスルホン酸ナトリウムが1.0重量%、湿潤助剤であるスルホン酸化された直鎖型ポリエステルが0.3重量%含まれている。多くの場合これら添加剤のほかに別種の湿潤助剤および/または油剤を同水和剤使用時の溶解/分散/混合の作業において同混合系に追加投入し当該水和剤溶解/分散/混合液がその散布対象である作物の葉への展着を助ける。
【0130】
殺虫剤用途分野における優れた組成物には、上記したもののほか乳化型濃縮製剤(EC)がある。これは組成物の成分物質が相互に溶解し均一系をつくるもので、その組成物はそのまま水あるいは特定のスキームで準備された溶媒に分散できるものである。同乳化型濃縮製剤である組成物は当該殺虫剤の有効成分化合物と液体型または固体型の乳化剤成分のみで構成されたり、これらに加えてキシレン、芳香族系重質ナフサ、イスフォロン(isphorone)、あるいはこれら以外の不揮発性有機溶剤を含んで構成されたりする。このようにして調製された乳化型濃縮製剤は水あるいは特定のスキームで調整された溶媒に混合/乳化し、同乳化液を当該殺虫対象エリアに噴霧散布される。同乳化型濃縮製剤が含むべき有効成分化合物の重量%値はその混合物製剤がどのように使用されるのかに依存して決定されるが、その重量ベース濃度は同乳化型濃縮製剤重量に対して0.5%から95%の範囲内に調製されるのが一般である。
【0131】
流動性粉体製剤とよばれるタイプの組成物は前記の乳化型濃縮製剤(EC)タイプの組成物とその有効成分化合物が液体中に溶解あるいは分散されている以外は同様である。ここで有効成分化合物を溶解/分散する媒体(担体)は多くの場合は水である。流動性粉体製剤には乳化型濃縮製剤の場合と同様に低割合の界面活性剤を含有し、また含有する有効成分化合物の含有割合は一般には0.5重量%から95重量%の範囲内にあり、中でも多くの場合、10〜50重量%の範囲内に調製される。流動性粉体製剤はその使用時において水あるいは特定のスキームで準備した溶媒液にて希釈され、一般的にはその希釈液として対象エリアにスプレー散布される。
【0132】
農業分野での利用を前提とした組成物において採用される湿潤助剤、分散助剤、乳化助剤には、これらに限定するものではなく、スルホン化アルキルあるいはスルホン化アルキルアリールの塩類、アルキルサルフェートあるいはアルキルアリールサルフェートの塩類並びにこれらのナトリウム塩、アルキルアリールポリエーテルアルコール、硫酸化高級アルコール、ポリエチレンオキシド、動物性あるいは植物性の油脂のスルホン化物、石油系油脂のスルホン化物、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステルへのエチレンオキサイド付加物とそのエステル類、長鎖アルキルメルカプタンへのエチレンオキサイド付加物がある。これら例示した以外にも多くの優れた界面活性剤が市販されている。界面活性剤が採用される場合、その含量は当該組成物全体重量の1〜15%である。
【0133】
以上記載したタイプの製剤以外にも有用なものに当該有効成分化合物を比較的低揮発性の溶媒、例えば水、コーンオイル、ケロシン、プロピレングリコール、その他の溶剤液に溶解/分散させたものがある。
【0134】
以上の他にも更に殺虫剤用途の組成物製剤として有用とされるものにアセトン、アルキル化ナフタレン、キシレン、その他の有機溶剤液に当該有効成分化合物を所望の濃度で完全に溶解したものがあり、このほか粒状製剤で当該殺虫活性化合物を比較的径が大きい粒子表面に担持させたものは空中散布あるいは上部に覆いを有する作物の覆いの内側まで製剤を送入する目的に適している。また高圧スプレー用製剤であるが、霧状に噴霧することで製剤中の揮発性溶剤が揮発し有効成分化合物のみが細かく分かれて散布される故に有用となる場合がある。顆粒形状の製剤は、それが水溶性であると水分散性であるとを問わず、流動性をもつもので、ダストを発生せず、また簡単に水に溶解あるいは分散できるものである。農業分野での使用にあっては、作業現場においてこれら製剤すなわち顆粒状製剤、乳化型濃縮製剤、流動性粉体型濃縮製剤、水系乳剤、溶液剤、等々は所定の割合で水に希釈されるが、その有効成分化合物の濃度は最終的に散布される液中に0.1ないし0.2重量%を下限とし1.5ないし2%を上限とする範囲に希釈調製されるものであって良いものである。
【0135】
殺虫剤ないしダニ類の駆除剤用の有効成分であって、本発明による化合物は当該化合物とは異なる第二成分化合物の一種以上と併せて組成物とし使用したり、あるいは組成物とすることなくそのような一種以上の第二成分化合物と同時に使用したりできるものである。このように併用することによって次のような利点が生まれる。例えば、これらに限定するとの意味でなく、併用した化合物間に相乗効果が作用し対象とする昆虫やダニ類の抑制効率が高くなり、その分殺虫剤の散布対象エリアの単位面積あたり使用量を削減し環境への負荷や同化合物を使用/散布する作業者への悪影響を軽減できることになるのがひとつであり、抑制効果が発現する昆虫やダニ類のバラエティが広がることであり、作物におよぼす薬害を低減できることであり、あるいは抑制対象でない哺乳動物や魚類などの生物への影響に関わって定まる当該化合物の許容使用量が改善することである。
【0136】
ここで述べる第二成分化合物には、これらに限定する意味でなく、例えば、本発明による化合物とは異なる種類の殺虫/ダニ抑制力をもつ化合物、植物の生長制御成分、肥料成分、土壌改良剤成分、これら以外の農業関連化学物質がある。本発明による有効成分化合物を使用する場合、同化合物のみを含有した組成物として使用される場合であろうと、それ以外の種類の化合物を併用する組成物として使用される場合であろうと、当該成分化合物の使用量はその効能が発現するに足る使用量とされる必要があるのは勿論であり、同使用量は個々の種々状況で異なるものの、約0.001〜約3.0kg/haの範囲内とされるのが一般的で更に好ましくは約0.03〜約1.0kg/haの範囲内のいずれかの値とされる。また実際の使用において殺虫剤が所定の対象物に届かず無駄になる分がある場合、例えばここに示した使用量の4倍といった高い使用量が採用されることもある。
【0137】
本発明による化合物が当該化合物とは異なる第二成分化合物の一種以上と同時に使用される場合にあって同第二成分化合物が除草効果を有する化合物である場合には、当該除草剤として以下のようなものが採用できる。ただしこれらはその例示であってこれらに限定するものではない。N−(フォスホノメチル)グリシン(「グリホサート」);(2,4−ジクロロフェノキシ)酢酸(「2,4−D」)、(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)酢酸(「MCPA」)、(+/−)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロパノイック酸、(「MCPP」)をその例とする種々のアリールオキシアルカノイック酸類化合物;N,N−ジメチル−N’−[4−(1−メチルエチル)フェニル]ユリア(「イソプロツロン」)をその例とする種々のユリア類化合物;2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−3−ピリジンカルボキシリック酸(「イマザピル」)、(+/−)−2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−4−メチルベンゾイック酸と(+/−)−2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−5−メチルベンゾイック酸(「イマザメタベンゾ」)、(+/−)−2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−5−エチル−3−ピリジンカルボキシリック酸(「イマゼタピル」)、(+/−)−2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−3−キノリンカルボキシリック酸(「イマザキン」)が反応生成物として混在する混合物その例とする種々のイミダゾリノン類化合物;5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ニトロベンゾイック酸(「アシフロールフェン」)、メチル5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロベンゾアート(「ビフェノックス」)、5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−(メチルスルフォニル)−2−ニトロベンズアミド(「フォマサフェン」)をその例とするジフェニルエーテル類の化合物;4−ヒドロキシ−3,5−ジアイオドベンゾニトリル(「アイオキシニル」)、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンゾニトリル(「ブロモキシニル」)をその例とするヒドロキシベンゾニトリル類の化合物;2−[[[[(4−クロロ−6−メトキシ−2−ピリミジンル)アミノ]カルボニル]アミノ]スロホニル]ベンゾイック酸(「クロリムロン」)、2−クロロ−N−[[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]カルボニル]ベンゼンスルフォンアミド(アクロルスルホン)、2[[[[[4,6−ジメトキシ−2−ピリミジンル)アミノ]カルボニルアミノ]スルフォニル]メチル]ベンゾイック酸(「ベンスルフロン」)、2−[[[[(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジンル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルフォニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシリック酸(「ピラゾスルフロン」)、3−[[[[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルフォニル]−2−チオフェンカルボキシリック酸(「チフェンスルフロン」)、2−(2−クロロエトキシ)−N[[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]カルボニル]ベンゼンスルフォンアミド(「トリアスルフロン」)をその例とするスルフォニルユリア類の化合物;(+/−)−2[4−[(6−クロロ−2−ベンズオクサゾリル)オキシ]フェノキシ]プロパノイック酸(「フェノクサプロップ」)、(+/−)−2−[4[[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]オキシ]フェノキシ]プロパノイック酸(「フルアジフォップ」)、(+/−)−2−[4−(6−クロロ−2−キンオクサリニル)オキシ]フェノキシ]プロパノイック酸(「キザロフォップ」)、(+/−)−2−[(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノキシ]プロパノイック酸(「ジクロフォップ」)をその例とする2−(4−アリールオキシフェノキシ)アルカノイック酸類の化合物;3−(1−メチルエチル)−1H−1,2,3−ベンゾチアジアジン−4(3H)−オン−2,2−ジオキサイド(「ベンタゾン」)をその例とするベンゾチアジアジノン類の化合物;N−(ブトキシメチル)−2−クロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)アセトアミド(「ブタクロール」)、2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミド(「メトラクロール」)、2−クロロ−N−(エトキシメチル)−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)アセトアミド(「アセトクロール」)、(RS)−2−クロロ−N−(2,4−ジメチル−3−チエニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミド(「ジメテンアミド」)をその例とする2−クロロアセトアニリド類の化合物;3,6−ジクロロ−2−メトキシベンゾイック酸(「ジカンバ」)を例とするアレンカルボキシリック酸類の化合物;[(4−アミノ−3,5−ジクロロ−6−フルオロ−2−ピリジニル)オキシ]酢酸(「フルルオキシピル」)をその例とするピリジルオキシ酢酸類の化合物等々を除草効果を有する上記第二成分化合物の例としてあげることができる。
【0138】
本発明によるものであって殺虫効果を持つ活性化合物を一種以上の第二成分化合物と併用する場合にあって、この第二成分化合物が本発明によるいずれの化合物とも異なるものの殺虫効能を有する化合物である場合、これらに限定するものとしてではなく、当該第二成分化合物の例として次のような化合物をあげることができる。クロロピリフォス、ダイアジノン、ジメトコート、マラチオン、パラチオンメチル、テルブフォスなど有機リン系殺虫成分の類の化合物;フェンバレレート、デルタメスリン、フェンプロパスリン、シフルスリン、フルシスリナート、アルファ・シペルメスリン、ビフェンスリン、シペルメスリン、乖離シハロスリン、エトフェンプロックス、エスフェンバレレート、トラロメトリン、テフルスリン、シクロプロスリン、ベータシフルスリン、アクリナスリンをその例とするピレスロイド系殺虫成分の類の化合物;アルデカーブ、カルバリール、カロボフラン、メトミールをその例とするカルバメート系殺虫成分の類の化合物;エンドスルファン、エンドリン、ヘプタクロール、リンデンをその例とする有機塩素系殺虫成分の類の化合物;ジフルベヌロン、トリフルムロン、テフルベンズロン、クロロフルアズロン、フルシクロクスロン、ヘクサフルムロン、フルフェノクスロン、ルフェンロンをその例とするベンゾユリア系殺虫成分の類の化合物;その他にもアミトラッズ、クロフェンテジン、フェンピロクシメート、ヘキシチアゾックス、スピノサッド、イミダクロプリッドを上記の第二成分として採用できる殺虫効果を有する化合物の例としてあげることができる。
【0139】
本発明によるものであって殺虫効果を持つ活性化合物を一種以上の第二成分化合物と併用する場合にあって、この第二成分化合物が殺菌剤成分である場合、これらに限定するものとしてではなく、当該第二成分化合物の例として次のような化合物をあげることができる。ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファナート‐メチルを例とするベンズイミダゾール系の殺菌剤;エポキシコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、フルトリアフォール、プロピコナゾール、テブコナゾール、トリアディメフォン、トリアディメノールをその例とする1,2,4−トリアゾール系の殺菌剤;メタラキシ、オキサディキシル、プロシミドン、ビンクロゾリンをその例とする置換アニリド系の殺菌剤;フォセチル、イプロベンフフォス、ピラゾフォス、エヂフェンフォス、トルクロフォス‐メチルをその例とする有機リン系の殺菌剤;フェンプロピモルフ、トリデモルフ、ドドモルフをその例とするモルフォリン系の殺菌剤;その他、フェナリモル、イマザリル、プロクロラズ、トリシクラゾール、トリフォリンなどの浸透性殺菌剤;マンコゼブ、マネブ、プロピネブ、ジネブ、ジラムをその例とするジチオカルバメート系の殺菌剤;更にはクロロサロニル、ジクロロフルアニド、ジチアノン、イプロギオン、キャプタン、ダイノカプ、ドダイン、フルアジナム、グルアザチン、PCNB、ペンシクロン、キントジーン、トリシルアミド、バリダマイシンをその例とする非浸透性殺菌剤;銅、硫黄でなるものを例とする無機殺菌剤、等々を前述した第二成分に該当する殺菌剤の例としてあげることができる。
【0140】
本発明によるものであって殺虫効果を持つ活性化合物を一種以上の第二成分化合物と併用する場合にあって、この第二成分化合物がネマトードの駆除薬成分である場合、これらに限定するものとしてではなく、当該第二成分化合物の例としてカルボフラン、カルボスルファン、ツルブフォス、アルデカルブ、エトプロップ、フェナムフォス、オキサミル、イサゾフォス、カヅサフォス、等々のネマトード駆除薬成分をあげることができる。
【0141】
本発明によるものであって殺虫効果を持つ活性化合物を一種以上の第二成分化合物と併用する場合にあって、この第二成分化合物が植物の生長制御効果を有する成分である場合、これらに限定するものとしてではなく、当該第二成分化合物の例としてマレイン酸ヒドラジド、クロルメカット、エセフォン、ジベレリン、メピカット、チディアゾン、イナベンフィド、トリアフェンテノール、パクロブタラゾール、ウナコナゾール、DCPA、プロヘキサジオン、トリネクサパック‐エチル、等々の生長制御剤化合物をあげることができる。
【0142】
土壌調整剤とは土壌に混入することで作物を効率よく生長させる効果を発現する種々の物質であり、土壌が過剰に高密度に固まるのを防止したり、排水性を良くしたり、土壌内部への侵入をたやすくしたり、土壌中の栄養成分含量の最適化を助けたり、殺虫殺菌などのための成分と土壌、肥料成分と土壌の相溶性を促進したりする。本発明によるものであって殺虫効果を持つ活性化合物を一種以上の第二成分化合物と併用する場合にあって、この第二成分化合物が土壌調整用の物質である場合、これらに限定するものとしてではなく、当該第二成分物質の例として、陽イオン型の栄養素と保持力を向上させる腐植土;カルシウム、マグネシウム、カリ、ナトリウム、水素含有イオンを例とする陽イオン型栄養分;植物の生長を促進できる土壌状態の形成を助ける微生物製剤、等々をあげることができる。ここでいう微生物製剤にはバシルス菌、シュードモナス菌、アゾトバクター菌、アゾスピリラム菌、リゾビウム菌、土壌由来のシアノバクテリアを含む様々な菌類を含んで調製されるものである。
【0143】
肥料には様々なものがあるがそれらいずれもは植物にとって補助食品に相当するものであり、肥料は通常、窒素、リン、カリウムが含まれている。本発明によるものであって殺虫効果を持つ活性化合物を一種以上の第二成分化合物と併用する場合にあって、この第二成分化合物がこのような肥料のいずれかである場合、これらに限定するものとしてではなく、当該第二成分化合物の例として硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ボーン・ミールなどの窒素肥料;スーパーリン酸塩、トリプル・スーパーリン酸塩、硫酸アンモニウム、硫酸ジアンモニウムなどのリン肥料;カリウムの塩化物、硫酸カリ、硝酸カリなどのカリ肥料等々がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0144】
以下に記載する複数の実施例は本発明についてその内容をより詳細に説明するものである。しかし当然のことながら、これら実施例としての記述は本発明の範囲を制限するものと理解されてはならないものである。ここに記載する実施例は、本発明によるものであって化学式Iに該当する種々の化合物を合成する方法を示すことを目的としており、この目的に沿う形に分類/組織化されている。加えて、これら方法の各々に対して、同方法で合成される化合物を表形式で示し、かつそれら化合物生物学的活性データも示す様にした。
【実施例1】
【0145】
本実施例においては{[2−[((1Z)−1−メチルチオ−2−ニトロビニル)アミノ]エチル][(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)[(4−メトキシフェニル)メチル]アミン(化合物138)の合成法を示す。
【0146】
ステップA−2種類の中間化合物i)N−(2−[ビス[6−クロロ(3−ピリジル)メチル]アミノ]エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミドとii)(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの混合体の合成
【0147】
N−(2−アミノエチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド(公知の化合物)の14.5g(0.09モル)とトリエチルアミンの25ml(過剰量)を200mlのアセトニトリルの液に入れ攪拌した。この液に別途調製した(6−クロロピリジ−3−イル)メチルクロライド(公知の化合物)の29.3g(0.18モル)を100mlのアセトニトリルに溶解した液を滴下した。全量の滴下を完了した後、約24時間に渡り同反応混合液を常温で攪拌した。この時間が経過した後、その中に生成した個体物質をフィルターで分離採集し、採取した個体物質はその後アセトニトリルの液で洗浄した。一方、そのフィルタリングした時のろ液と洗浄時に発生した使用済みの洗浄液を同一の容器にまとめ減圧することで当該液量が半分になるまで濃縮した。この濃縮液は食塩の飽和水溶液に入れ、同混合液については酢酸エチルにより数回にわたる抽出操作にかけた。酢酸エチルとその層に溶出した成分の混合液は硫酸ナトリウムで乾燥しフィルターにかけて同硫酸ナトリウムとそれに吸収された水分を除去した後、減圧下で気化残留物のみが残るまで濃縮した。同気化残留物であるゼラチン様の高粘性物を塩化メチレンでスラリー状にし、それに含まれる個体物質をフィルターにかけて分離した。分離した固体物質を炭酸カリウムの飽和水溶液に入れ同混合液を塩化メチレンによる抽出操作にかけた。この操作で得られた抽出物は減圧下において気化残留物油となるまで濃縮した。先のフィルター操作におけるろ液については塩化メチレンの液に溶解し、炭酸カリウムの飽和水溶液で洗浄した。この時の有機溶媒層は減圧下で前記とは別の、すなわち第二の気化残留物油となるまで濃縮した。これら二種類の気化残留物油を合体しシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて分離精製した。溶離は、塩化メチレンおよび塩化メチレン中4%以下のメタノールを使用して達成した。流出液の適切な流出部分を同一容器にまとめ減圧下にて気化残留物のみになるまで濃縮した。この気化残留物液はその大部分がi)とii)で示した中間化合物の混合体であり、同混合体は再度シリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離はメタノール濃度が2%のメタノール・塩化メチレン混合液を使用して達成した。全回と同様に、適切な流出部分を分取し同一容器にまとめて減圧下にて気化残留物のみになるまで減圧下で濃縮した。以上の操作により各々12.8gの中間化合物i)とii)が調製できた。NMRスペクトル分析によりこれら化合物の構造が想定の通りであることを確認した。
【0148】
ステップB−中間化合物である(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの合成
【0149】
(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの1.5g(0.0052モル)とジイソプロピルエチルアミンの2.3ml(0.013モル)を約15mlの塩化メチレンに投入した溶液を0℃にまで冷却し、よく攪拌混合しながら同混合液中に(4−メトキシフェニル)メチルクロライドの0.7ml(0.0052モル)を約3mlの塩化メチレンに溶解した液全量を滴下する。同滴下を完了した後、常温に戻しながら同反応混合物を18時間に渡って攪拌を継続しながら反応の進行を待った。その後において同反応混合液に全く反応の進行がなかったことを薄膜クロマトグラフィ(TLC)にて確認した。同反応混合液を2時間加熱還流し、TLC分析により、全く反応が起こらなかったことを確認した。同反応混合物中の塩化メチレンを減圧下にて除去し、同塩化メチレンに変わる溶剤としてクロロホルムを採用しそれに同反応混合物を溶解した。この反応混合物溶液を1時間に渡り加熱還流し、その後、常温にまで放冷し、更に18時間に渡り攪拌を継続した。その後、TLC分析にてある程度の量の反応生成物が同反応混合物中に混在するのを確認した。その後、再度同反応混合物を約9時間に渡り加熱還流し、その後、常温にまで放冷し温度が低下してからは常温にて、放冷中とその後の時間併せて18時間に渡って攪拌を続けた。その後、減圧下において同反応混合物からクロロホルムを除去しそれに替えてアセトニトリルを溶剤として同気化残留物に投入した。同反応混合物をその後4時間に渡り常温にて攪拌を続けた後60℃まで加熱し、同温度で更に10時間攪拌、最後には常温にて同反応混合物を60時間に渡り攪拌した。その後、同反応混合物を減圧下で濃縮し得られた気化残留物をシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離は30%の酢酸エチルを含有するヘキサンを使用して達成した。この時の該当流出部分は同一容器に集め減圧下で濃縮することで化合物、合計1.6gを得た。同化合物についてはNMRスペクトル分析にて所定の構造を有することを確認した。
【0150】
ステップC−中間化合物である(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンの合成
【0151】
(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドを1.4g(0.0035モル)分取し、0℃に冷却、同中間化合物によく攪拌しながら10ml(過剰量)のトリフルオロ酢酸の全量を滴下した。滴下を完了して後にその反応混合物の冷却を中止し常温にもどるに要する時間を含む1時間に渡り攪拌を継続した。このようにして1時間経過の後にTLC分析を行い、同反応混合物中の反応が全て完了していることを確認した。この反応を完了した混合物は減圧下において気化残留物のみになるまで濃縮した。同気化残留物を塩化メチレンに溶解しそれに15%の苛性ソーダ水溶液を加えてアルカリ性にした。同混合物は数回に渡り塩化メチレンを用いた抽出操作を繰り返し得られた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した。同混合物液をフィルターし、得られた液層部分を減圧下で濃縮、約1.0gの中間化合物を得た。同中間化合物についてはNMRスペクトル分析にて想定される構造を有することを確認した。
【0152】
ステップD−化合物138の合成
【0153】
15mlのアセトニトリル溶剤に(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンの0.5g(0.0016モル)と1,1−ビス(メチルチオ)−2−ニトロエチレンの0.24g(0.0016モル)に4−ジメチルアミノピリジンをそれが触媒として作用するに必要な程度の量を含む混合液を攪拌しながら20時間に渡り加熱還流した。その後、この反応混合物を放冷し室温にすると共に室温になった後も含めて60時間に渡って攪拌を継続した。この反応混合物を減圧/濃縮し得た気化残留物をシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離は酢酸エチルの割合が25〜40%であるサクサンエチルとヘキサンの混合溶剤を使用して達成した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧/濃縮し約0.5gの化合物138を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例2】
【0154】
本実施例においては{2−[((1Z)−1−メトキシ−2−ニトロビニル)アミノ]エチル}[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)プロピ−2−イニルアミン(化合物244)の合成法を示す。
【0155】
ステップA−中間化合物(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドのもう一つ別の方法による合成(実施例1のステップAにおける中間化合物ii)。
【0156】
(6−クロロ−3−ピリジル)ホルムアルデヒド(公知の化合物)の28.0g(0.198モル)、N−(2−アミノエチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド(公知の化合物)の38.1g(0.238モル)、トリエチルアミンの80.0g(0.790モル)及び硫酸マグネシウムの35.7g(0.297モル)を約1000mlのメタノールに溶解し、常温で18時間に渡り攪拌した。その後、同反応混合物を氷水浴にて冷却し、ナトリウムボロハイドライドの44.8g(1.188モル)を少量ずつ何回かに分けて追加投入し、全量の投入を終えて後、氷水浴から取り出し室温に戻すと共にその間を含む18時間に渡って攪拌を続けた。この時間が経過した後、同反応混合物に約500mlの水を入れ、減圧下におくことで同混合物中のメタノールの一部分に相当する量を蒸散/除去した。この混合物について酢酸エチルを少量ずつ使用してなる抽出操作を数回繰り返すやり方で抽出操作を実施した。この抽出液は同一の容器にまとめ水による洗浄、その後に飽和食塩水による洗浄を行なった。この有機溶剤側の相を分離し硫酸マグネシウムで乾燥、フィルタリングした後減圧下で濃縮し気化残留物を得た。その気化残留物をシリカゲル充填カラムクロマトグラフにより精製した。溶離はヘキサン、酢酸エチル、1:9の混合比のメタノール/酢酸エチル混合液の3種類の溶剤を使用して達成した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下にて濃縮約35.9gの中間化合物を得た。同中間化合物についてはNMRスペクトル分析により推定構造を有していることを確認した。
【0157】
ステップB−中間化合物(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]プロピ−2−イニルアミノ}エチル)カルボキサミドの合成
【0158】
(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの3.0g(0.011モル)、プロパルギルブロマイドの2.3g(0.016モル)、ジエタノールアミンの2.0g(0.016モル)を100mlのアセトニトリルに溶解した溶液を攪拌しながら18時間に渡り加熱還流した。その後、この反応混合物を冷却し減圧下にてその中の溶剤を蒸散させ気化残留物を得た。同気化残留物を塩化メチレンに溶解し50mlの水を投入し洗浄した。同水による洗浄は各回同量の水を用いて合計3回繰り返し、その後50mlの飽和食塩水によりもう一度洗浄した。得られた有機液相を硫酸ナトリウムで乾燥し、フィルターにかけ、その後、減圧下にて濃縮、気化残留物を得た。同気化残留物はシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離にはヘキサンと酢酸エチルの3:1混合液を用いた。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下にて濃縮し2.1gの中間化合物を得た。同中間化合物についてはNMRスペクトル分析により推定構造を有していることを確認した。
【0159】
ステップC−中間化合物(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]プロピ−2−イニルアミンの合成
【0160】
この中間化合物は(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]プロピ−2−イニルアミノ}エチル)カルボキサミドの2.1g(0.0064モル)とトリフルオロ酢酸の20ml(過剰量)を20mlの塩化メチレンに投入/混合した液を用い、実施例1のステップCにおいて示した合成方法と近似した方法により合成した。得られた当該中間化合物の量は1.3gであった。同中間化合物についてはNMRスペクトル分析により推定構造を有していることを確認した。
【0161】
ステップD−中間化合物{2−[((1Z)−1−メチルチオ−2−ニトロビニル)アミノ]エチル}[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)プロピ−2−イニルアミン(化合物248)の合成
【0162】
この中間化合物は(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]プロピ−2−イニルアミンの1.3g(0.0056モル)と1,1−ビス(メチルチオ)−2−ニトロエチレンの1.0g(0.0068モル)を75mlのアセトニトリルに投入/混合し液を用い、実施例1のステップDにおいて示した合成方法と近似した方法により合成した。得られた反応生成物はシリカゲル充填カラムクロマトグラフィで精製した。溶離にはヘキサンと酢酸エチルの1:1混合液を使用した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下にて濃縮し、中間化合物1.1gを得た。同中間化合物についてはNMRスペクトル分析により推定構造を有していることを確認した。
【0163】
ステップE−化合物244の合成
【0164】
化合物183の0.5g(0.0015モル)とナトリウムメチラートの0.1g(0.0015モル)を20mlのメタノール中に投入/混合し、同溶液を常温で18時間に渡って攪拌した。この後、同反応混合物を減圧下において濃縮、気化残留物を得た。同気化残留物はその後シリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離には混合比7:3の酢酸エチルとヘキサンの混合溶剤を用いた。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下にて濃縮し、約0.4gの化合物244、融点114−115℃、を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例3】
【0165】
本実施例においては{2−[アザニトロメチレン]イミダゾリジニル}エチル}[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)プロピルアミン(化合物488)の合成法を示す。
【0166】
ステップA−中間化合物2−{[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]アミノ}エタン−1−オールの合成
【0167】
(6−クロロ−3−ピリジル)ホルムアルデヒド(公知の化合物)の8.5g(0.060モル)、2−アミノエタン−1−オールの4.4g(0.072モル)、トリエチルアミンの4.9g(0.048モル)、硫酸マグネシウムの14.4g(0.119モル)、ナトリウムボロハイドライドの13.6g(0.360モル)を150mlのメタノールに投入/混合した液を用いて、実施例2のステップAに示したものと類似の方法によって本中間化合物を得た。得られた当該中間化合物の量は約11.3gであったがそのうちの重量で約10%は不純物であった。同中間化合物がNMRスペクトル分析により推定構造を有していることを確認した。
【0168】
ステップB−中間化合物2−{[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)プロピルアミノ]エタン−1−オールの合成
【0169】
2−{[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]アミノ}エタン−1−オールの11.3g(約0.055モル)、1−アイオドプロパンの25.4g(0.150モル)、トリエチルアミンの14.5g(0.143モル)を50mlのアセトニトリルに投入/混合した液を用いて、実施例2のステップBに示したものと類似の方法によって本中間化合物を得た。得られた当該中間化合物の量は約2.2gであった。
【0170】
ステップC−中間化合物[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)(2−クロロエチル)プロピルアミンの合成
【0171】
2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]プロピルアミノ}エタン−1−オールの1.0g(0.0044モル)を2mlのクロロホルム溶解した溶液を0℃に冷却し、攪拌しながら同混合液に2ml(過剰量)のチオニルクロライドを滴下した。同滴下操作の完了後、その反応混合物を放置し常温に戻し、その後1時間に渡って攪拌と加熱還流を続けた。その後、同反応混合物は濃縮し10%の苛性ソーダ水溶液でアルカリ性に条件にした。アルカリ性条件にした同反応混合液に対し酢酸エチルを使用し数回に渡る抽出操作を加えた。得られた抽出液は同一容器に集め硫酸マグネシウムで乾燥しフィルターにかけた。そのろ過液については減圧下において濃縮し、約1.0gの中間化合物を得た。
【0172】
ステップD−化合物488の合成
【0173】
[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル](2−クロロエチル)プロピルアミンの0.90g(0.004モル)と2−(ニトロメチレン)イミダゾリジンの0.47g(0.004モル)を20mlのDMFに溶解した溶液を攪拌しながら0℃に冷却、攪拌を続けながら同溶液に濃度60%の苛性ソーダを含むミネラルオイルの苛性ソーダ量が0.19g(0.005モル)に相当する量を投入した。同苛性ソーダ・ミネラルオイル混合液の投入後も0℃において更に4時間に渡り同液の攪拌を継続した。18時間に渡り攪拌しながら常温に戻した。その後、同反応混合物を水の中に投入し、酢酸エチルによる抽出操作を実施した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、フィルターにかけ、ろ液を減圧下で濃縮し気化残留物を得た。この時点での同気化残留物のNMRスペクトル分析の結果は同反応がまだ完了していないことを示した。そこで同気化残留物をDMFに溶解し新たに準備した苛性ソーダ(60%濃度)・ミネラルオイルの前述した量を同溶解液に投入し、投入の完了を待って反応混合物を60〜70℃に加熱し、同温度で2時間に渡り攪拌を継続した。その後、前述したものと同様の操作により0.63gの化合物488を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例4】
【0174】
本実施例においては{2−[4−(アザニトロメチレン)−5−メチル(1,3,5−オキサジアザヒドロイン−3−イル)]エチル}ビス[6−クロロ(3−ピリジル)メチル]アミン(化合物548)の合成法を示す。
【0175】
ステップA−中間化合物ビス[6−クロロ(3−ピリジル)メチル](2−ブロモエチル)アミンの合成
【0176】
実施例3のステップA〜Cに示したものと類似の方法によって本中間化合物を得た。得られた当該中間化合物の量は3.3gであった。同中間化合物がNMRスペクトル分析により推定構造を有していることを確認した。
【0177】
ステップB−化合物548の合成
【0178】
ビス[6−クロロ(3−ピリジル)メチル](2−ブロモエチル)アミンの0.62g(0.0016モル)と4−(アザニトロメチレン)−3−メチル−1,3,5−オキサジアザペルヒドロイン[非特許文献2]に記載された方法により合成;本文書では化合物17cと呼ぶ)の0.25g(0.0015モル)と炭酸カリウムの0.32g(0.0023モル)を20mlのDMFに溶解した溶液を攪拌しながら70℃にまで加熱し同温度で更に3時間に渡り攪拌を継続した。この工程の完了後、同反応混合物を常温まで放冷しそのまま40時間静置した。この反応混合物をその後フィルターにかけ同ろ液を減圧下で濃縮、気化残留物を得た。この気化残留物を酢酸エチルに溶解、水で洗浄した後、有機溶液相を分取し硫酸ナトリウムで乾燥、フィルタリングした。ろ液はシリカゲル充填カラムクロマトグラフィで精製した。溶離には酢酸エチルならびに10%のメタノールを含有する塩化メチレンの二種類の溶液を採用した。適切な流出部分は同一の容器に集めて減圧下で濃縮、0.45gの化合物548を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【非特許文献2】(P.Maienfisch et al;Pest Management Science 165−176(2001)
【実施例5】
【0179】
本実施例においては[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル][(2−クロロフェニル)メチル]{2−(ニトロメチレンイミダゾリジニル)エチル}−アミン(化合物501)の合成法を示す。
【0180】
ステップA−中間化合物(tert−ブトキシ)−N−{2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチル}−カルボキサミドの合成
市販品として入手できる化合物であるN−{2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}(tert−ブトキシ)カルボキサミドの2.03g(0.010モル)と1,1−ジ(メチルチオ)−2−ニトロエテンの1.18g(0.010モル)とトリエチルアミンの2ml(過剰量)の全てを40mlのアセトニトリル溶剤に攪拌混合し、攪拌を継続しながら4時間に渡り加熱還流した。この後、同反応混合物を減圧下で固体状の気化残留物となるまで濃縮した。同気化残留物はその後、ジエチルエーテルで洗浄後乾燥し、1.76gの化合物を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0181】
ステップB−中間化合物2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチルアミンの酢酸塩の合成
【0182】
氷水浴で冷却、0℃にて攪拌しながら(tert−ブトキシ)−N−{2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチル}カルボキサミドの0.40g(0.0015モル)とトリフルオロ酢酸の2ml(過剰量)の双方を10mlの塩化メチレンに投入し両者を混ぜ合わせた。この混合作業を終了した後において反応混合物を氷水浴から取り出し常温に戻すと共に18時間に渡って攪拌を続けた。この後、同反応混合物を減圧下で濃縮して気化残留物を得た。その残留物をアセトニトリル10mlとジエチルエーテル50mlとの混合液中で攪拌し、その時生成した沈殿物をフィルタリングすることで同一容器に集め乾燥し0.4gの化合物を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0183】
ステップC−中間化合物[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]{2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチル}アミンの合成
食塩入りの氷水浴(−5℃)にて冷却、同温度に保持し、攪拌を続けながら2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチルアミンの酢酸塩の0.14g(0.0005モル)と(6−クロロ−3−ピリジル)ホルムアミドの0.09g(0.0006モル)とナトリウムシアノボロハイドライドの0.05g(0.0008モル)と酢酸の0.5mlを順次10mlのメタノールに投入混合した。全量の投入混合を完了した後、同塩入り氷水浴から取り出し、同反応混合物の温度を常温に戻すと共にその後も計18時間に渡って攪拌を続けた。この後、同反応混合物のpHを10%濃度の水酸化アンモニウム水溶液で8に調整した。そして同混合物に対して各回50mlの塩化メチレンによる抽出操作を2回繰り返した。同2回の抽出操作で得られた抽出液を同一の容器に集め硫酸ナトリウムで乾燥、フィルターにかけた。得られたろ液について減圧下で濃縮、気化残留物とした。更にその残留物をシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離はメタノールと塩化メチレンの混合溶媒を使用して達成した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下で濃縮し0.05gの化合物を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。ステップA〜Cを繰り返し実行することでステップA〜Cに続くステップを実行するに必要な量の本中間化合物を合成した。
【0184】
ステップD−化合物501の合成
【0185】
氷水浴で冷却、0℃にて攪拌しながら、[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル]{2−[2−(ニトロメチレン)イミダゾリジニル]エチル}アミンの0.12g(0.0004モル)と2−クロロベンズアルデヒドの0.06g(0.0004モル)とナトリウム・トリアセトキシボロハイドライドの0.13g(0.0006モル)と硫酸マグネシウムの0.10g(0.0008モル)とを約20mlの1,2−ジクロロエタン中で混合した。これら成分全てを投入後に氷水浴から取り出し自然に常温に戻すと共にその後も18時間に渡って攪拌を継続した。この後、この反応混合物に水5mlを投入することで反応混合物中で進行中の反応を中断させ、同混合物のpHを8〜9に中和調整した。その後、この液に対して各回50mlの塩化メチレンを使った抽出操作を2回行なった。得られた抽出液を同一容器に集めて硫酸ナトリウムで乾燥し、フィルターにかけ、減圧下にて濃縮し0.07gの化合物501を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例6】
【0186】
本実施例においては(2E)−2−アザ−3−[(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミノ]ブテ−2−エンニトリル(化合物178)の合成法を示す。
【0187】
(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)[(4−メトキシフェニル)メチル]アミン(実施例1のステップA〜Cにより生成された中間化合物)の0.2g(0.0007モル)と(2Z)−2−アザ−3−エトキシブテ−2−エンニトリル(公知の化合物)の0.11g(0.0010モル)を10mlのアセトニトリルに溶解した溶液を攪拌しながら加熱、2時間に渡り還流した。その後、この反応混合物をシリカゲル充填カラムクロマトグラフィで精製した。溶離には85%濃度の酢酸エチルを含有するヘキサンを採用した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下で濃縮、化合物178を0.14g得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例7】
【0188】
本実施例においては(2Z)−2−アザ−3−(ジエチルアミノ)−4−[(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミノ]ブテ−2−エンニトリル(化合物181)の合成法を示す。
【0189】
ステップA−中間化合物である(2Z)2−アザ−3−(ジエチルアミノ)−4−クロロブテ−2−エンニトリルの合成
【0190】
(2Z)−2−アザ−4−クロロ−3−メトキシブテ−2−エンニトリル(公知の化合物)の0.5g(0.0038モル)を10mlのアセトニトリルに溶解した溶液を攪拌しながらそれにジエチルアミンの0.3g(0.0042モル)を加え、その後、30分間攪拌を継続した。ついで同反応混合物をシリカゲルに吸収させた。そして同混合物をカラムクロマトグラフィにて精製した。溶離には塩化メチレンを使用した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下で濃縮、化合物を0.32g得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0191】
ステップB−化合物181の合成
【0192】
(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)][(4−メトキシフェニル)メチル]アミン(実施例1のステップA〜Cにより生成された中間化合物)の0.25g(0.0008モル)と(2Z)2−アザ−3−(ジエチルアミノ)−4−クロロブテ−2−エンニトリルの0.14g(0.0008モル)とN,N−ジイソプロピルエチルアミンの0.13g(0.0010モル)を10mlのアセトニトリルに溶解した溶液を48時間に渡り常温で攪拌した。この後、フィルタリングにより同反応混合物中に生成した固体物質を取り出しジエチルエーテルで洗浄し乾燥し、0.25gの化合物181を得た。同化合物の融点は68〜72℃であった。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例8】
【0193】
本実施例においては(2E)−2−アザ−4−(ジエチルアミノ)−3−[(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミノ]ブテ−2−エンニトリル(化合物183)の合成法を示す。
【0194】
ステップA−中間化合物(2E)−2−アザ−4−クロロ−3−[(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ]エチル}アミノ)ブテ−2−エンニトリルの合成
【0195】
(2−アミノエチル)[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル)][(4−メトキシフェニル)メチル]アミン(実施例1のステップA〜Cによって生成された中間化合物)の0.50g(0.0016モル)と(2Z)−2−アザ−4−クロロ−3−メトキシブテ−2−エンニトリル(公知の化合物)の0.32g(0.0024モル)を10mlのアセトニトリルに溶解した溶液を常温にて30分間攪拌した。その後、同反応混合物をシリカゲルへ吸着させ、カラムクロマテトグラフィにて精製した。溶離には塩化メチレン、続いて酢酸エチルを使用した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下で濃縮し化合物0.47gを得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0196】
ステップB−化合物183の合成
【0197】
(2E)−2−アザ−4−クロロ−3−[(2−{[(6−クロロ(3−ピリジル)メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ)エチル]アミノ]ブテ−2−エンニトリルの0.3g(0.0007モル)とジエチルアミンの0.11g(0.0015モル)を約10mlのアセトニトリルに溶解した溶液を48時間に渡り常温で攪拌した。その後、同反応混合物を100mlの塩化メチレンに溶解し、同溶液を50mlの5%の炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。その有機溶液相を分離し硫酸マグネシウムで乾燥しフィルタリングした。得られたろ液を減圧下で濃縮し、その気化残留物を得た。その残留物をシリカゲル充填カラムクロマトグラフィで精製した。溶離はジエチルエーテルを75%含有するヘキサン、ならびにジエチルエーテルを使用して達成した。適切な流出部分を同一の容器に集め減圧下で濃縮し、0.30gの化合物183を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例9】
【0198】
本実施例においては{2−[((1Z)−2−アザ−1−メチルチオ−2−ニトロビニル)アミノ]エチル}[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル)メチル)[(4−メトキシフェニル)メチル]アミン(化合物300)の生成法を示す。
【0199】
ステップA−中間化合物(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの合成
【0200】
4−メトキシベンズアルデヒドの3.0g(0.022モル)とN−(2−アミノエチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド(公知の化合物)の3.6g(0.022モル)とナトリウム・トリアセトキシボロンハイドリドの7.0g(0.033モル)と硫酸マグネシウムの5.3g(0.044モル)を30mlの1,2−ジクロロエタンに溶解した溶液を使用し、実施例5のステップDと同様の方法によって中間化合物を合成した。当該反応生成物はシリカゲル充填カラムクロマトグラフィで精製した。溶離は2%から5%のメタノールを含有する塩化メチレンの溶液を使用して達成した。適切な流出部分を同一の容器に集め減圧下で濃縮し、0.72gの化合物を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。同じ生成反応を繰り返し実施し、追加量の本中間化合物を得た。
【0201】
ステップB−中間化合物(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの合成
【0202】
(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)ホルムアルデヒドの0.25g(0.0017モル)と(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)カルボキサミドの0.47g(0.0017モル)とナトリウム・トリアセトキシボロンハイドリドの0.54g(0.0025モル)と硫酸マグネシウムの0.40g(0.0034モル)を約10mlの1,2−ジクロロエタンに溶解した溶液を使用し、実施例5のステップD、したがって上記したステップAと同様の方法によって中間化合物を合成した。この反応生成物はシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにより精製した。最初に実施したカラムクロマトグラフィではその溶離には2から5%の範囲内にある濃度のメタノールを含有する塩化メチレンを採用し、第二回目として実施したカラムクロマトグラフィでは1.5%のメタノールを含有する塩化メチレンを採用した。適切な流出部分を同一の容器に集め減圧下で濃縮し、0.48gの化合物を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0203】
ステップC−中間化合物(2−アミノエチル)[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル))メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンの合成
【0204】
(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル)メチル)[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ]エチル}カルボキサミドの0.3g(0.0007モル)とトリフルオロ酢酸の3ml(過剰量)を約20mlの塩化メチレンに混合、これを使用し、実施例1のステップCと同様の方法によって中間化合物を合成した。これによって得られた目的物質の量は0.20gであった。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0205】
ステップD−化合物300の合成
【0206】
(2−アミノエチル)[(2−クロロ(1,3−チアゾール−5−イル)メチル][(4−メトキシフェニル)メチル]アミンの0.20g(0.0006モル)とジメチルN−ニトロイミドジチオカルボネートの0.18g(0.0011モル)を40mlのアセトニトリル中に混合、これを使用し、実施例1のステップDと同様の方法によって化合物を合成した。ここで得られた反応生成物はシリカゲル充填ノカラムクロマトグラフィで精製した。溶離には15%濃度の酢酸エチルを含有するヘキサン液、ならびに50%濃度の酢酸エチルを含有するヘキサン液を用いた。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下にて濃縮、0.23gの化合物300を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【実施例10】
【0207】
本実施例においては{2−[((1Z)−2−アザ−1−メチルチオ−2−ニトロビニル)アミノ]エチル}[(4−メトキシフェニル)メチル](オキシラン−3−イルメチル)アミン(化合物486)の生成法を示す。
【0208】
ステップA−中間化合物(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル](オキシラン−3−イルメチル)アミノ}エチル)カルボキサミドの合成
【0209】
(オキソラン−3−イル)ホルムアルデヒドの0.2g(0.0020モル)と(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ}−エチル)カルボキサミド(実施例9のステップAにて合成)の0.56g(0.0020モル)とナトリウム・トリアセトキシボロハイドライドの0.64g(0.0030モル)と硫酸マグネシウムの2.5g(0.021モル)を50mlの1,2−ジクロロエタン中に入れて混合、これを使用し、実施例5のステップDと同様の方法によって化合物を生成した。この反応生成物はシリカゲル充填ノカラムクロマトグラフィで精製した。溶離には1%濃度のメタノールを含有する塩化メチレンを用いた。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下にて濃縮、0.59gの化合物を得た。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0210】
ステップB−中間化合物(2−アミノエチル)[4−メトキシフェニル]メチル](オキシラン−3−イルメチル)アミンの合成
【0211】
(tert−ブトキシ)−N−(2−{[(4−メトキシフェニル)メチル](オキシラン−3−イルメチル)アミノ}エチル)カルボキサミドの0.3g(0.00082モル)とトリフルオロ酢酸の3ml(過剰量)を約20mlの塩化メチレンに混合、これを使用し、実施例1のステップCと同様の方法によって中間化合物を合成した。これによって得られた目的物質の量は0.22gであった。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0212】
ステップC−化合物486の合成
【0213】
(2−アミノエチル)[4−メトキシフェニル]メチル](オキシラン−3−イルメチル)アミンの0.22g(0.0008モル)とN−ニトロイミドジチオカルボネート・ジメチルの0.21g(0.0012モル)を35mlのアセトニトリル中で混合、これを使用し、実施例1のステップDと同様の方法によって中間化合物を合成した。反応生成物はシリカゲル充填カラムクロマトグラフィにて精製した。溶離には15%と50%の濃度に酢酸エチルをヘキサン混合して得られる2種の溶離剤を使用した。適切な流出部分を同一容器に集め減圧下において濃縮した。これによって得られた化合物486の量は0.23gであった。NMRスペクトル分析により、同化合物が推定構造を有していることを確認した。
【0214】
本発明に関わる化学式Iによって表されるようなタイプの化合物には光学活性を示す、あるいはラセミ体であるものが含まれるであろうことは当業者に周知である。また、化学式Iによって表されるようなタイプの化合物には立体異性体、互変異性体、更には多型構造体が含まれるであろうことも当分野では周知である。本発明はラセミ体であったり、光学活性を有したり、多型構造を持っていたり、互変異性体であったり、立体異性体であったり、あるいはこれらの内のいずれかの組み合わせでなる混合物であったりする場合も含めた化合物にも及ぶものである。またこのような光学的に活性である化合物の合成方法については当分野では周知であり、同公知技術には、ラセミ体をその構成成分に分離する方法や光学活性を有する中間化合物を原料とし当該光学活性な化合物を生成する方法がその例としてあげることができる。
【0215】
次の表は、本発明で有用な化学式Iの化合物の更なる例を幾つか示すものである。
【0216】
表1
殺虫効果を示すN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体化合物
【0217】
【化66】

【0218】
ここで中Arは次に示す置換基のいずれかである。
【0219】
【化67】

【0220】
ここでArがAであり、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、R33が水素基である場合WがCR33、そしてRがNOである:
【0221】
【化68】

【0222】
この構造式に該当する殺虫効果を示すN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体化合物は化合物1ないし化合物44であり、その各々は次の表に示す通りである。
【0223】
【表1】

【0224】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、WがN、かつRがNOである:
【0225】
【表2】

【0226】
ここで、ArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、WがN、かつRがC≡Nである:
【0227】
【表3】

【0228】
【表4】

【0229】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、R33が水素基である場合WがCR33、XがS、RがCHかつRがNOである:
【0230】
【化69】

【0231】
【表5】

【0232】
ここでArがAであって、特に注記がない限りaが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−フェニル基、同フェニル基の置換位はそれぞれRないしR13であり、特に注記がない限りXはSであり、かつRがNOである:
【0233】
【化70】

【0234】
【表6】

【0235】
【表7】

【0236】
【表8】

【0237】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、Rが−(CH−フェニルでmは1、同フェニル基の置換位はそれぞれRないしR13であり、その内R、R10、R12、R13は水素基であり、かつRがC≡Nである:
【0238】
【表9】

ここでArがAであって、aが1で、b、c、e、r、sの各々が0であり、dが1で、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、Rが−(CH−フェニルでmは1、同フェニル基の置換位はそれぞれRないしR13であり、その内R、R10、R12、R13は水素基であり、かつRがC≡Nである:
【0239】
【化71】

【0240】
【表10】

【0241】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、r、sの各々が0であり、eが1でR、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、Rが−(CH−フェニルでmは1、同フェニル基の置換位はそれぞれRないしR13であり、その内R、R10、R12、R13は水素基であり、かつRがC≡Nである:
【0242】
【化72】

【0243】
【表11】

【0244】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−2−イルで、mは1、同ピリジ−2−イル基の置換位はそれぞれR10ないしR13であり、R10、R11、R12、R13は各々が全て水素基であり、かつRがNOである:
【0245】
【化73】

【0246】
【表12】

【0247】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−3−イルで、mは1、同ピリジ−3−イル基の置換位はそれぞれR、R11ないしR13であり、R、R12、R13の各々が水素基であり、そしてmは1である:
【0248】
【化74】

【0249】
【表13】

【0250】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−4−イルで、mは1、同ピリジ−4−イル基の置換位はそれぞれR、R10、R12、R13であり、R、R10、R12、R13の各々は全て水素基であり、かつRがNOである:
【0251】
【化75】

【0252】
【表14】

【0253】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−CR14=CR1516で、かつ特に注記がない限りRがNOである:
【0254】
【化76】

【0255】
【表15】

【0256】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17で、かつ特に注記がない限りRがNOである:
【0257】
【化77】

【0258】
【表16】

【0259】
【表17】

【0260】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17で、R17はその置換位がそれぞれR18ないしR22であるフェニル基でありR18、R19、R21、R22全てが水素基であり、かつRがNOである:
【0261】
【化78】

【0262】
【表18】

【0263】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17で、R17はその置換位がそれぞれR18、R20、R22であるピリミジン−5−イル、R18、R20、R20は全てが水素基であり、かつRがNOである:
【0264】
【化79】

【0265】
【表19】

【0266】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17で、Rは−(CH−フェニルであり、このフェニル基の置換位はそれぞれR23ないしR27であり、R17、R23、R24、R26、R27は水素基であり、mとnは共に1であり、かつRがNOである:
【0267】
【化80】

【0268】
【表20】

【0269】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−3−イルであり、このピリジ−3−イル基の置換位はそれぞれRとR11ないしR13であり、Rはフェニル基であり、このフェニル基の置換位はそれぞれR23ないしR27であり、R、R12、R13、R23、R24、R26、R27は水素基であり、mとnは共に1であり、かつRがNOである:
【0270】
【化81】

【0271】
【表21】

【0272】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−フェニルであり、mは1であり、このフェニル基の置換位はそれぞれRないしR13であり、Rは−(CH−フェニルであり、このフェニル基の置換位はそれぞれR28ないしR32であり、R、R10、R12、R13、R28、R29、R31、R32は水素基であり、かつRがNOである:
【0273】
【化82】

【0274】
【表22】

【0275】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−3−イルであり、このピリジ−3−イル基の置換位はそれぞれRとR11ないしR13であり、Rは−(CH−フェニル基であり、このフェニル基の置換位はそれぞれR28ないしR32であり、R、R12、R13は水素基であり、RとR11は共に塩素基であり、mとpは共に1であり、XはSであり、WはCR33でそのR33は水素基であり、かつRがNOである:
【0276】
【化83】

【0277】
【表23】

【0278】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−CR14=CR1516であり、Rは−(CH−フェニル基であり、このフェニル基の置換位はそれぞれR28ないしR32であり、R14、R15、R16、R28、R28、R29、R31、R32、は水素基であり、mとpは共に1であり、かつRがNOである:
【0279】
【化84】

【0280】
【表24】

【0281】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17であり、Rは−(CH−フェニル基であり、このフェニル基の置換位はそれぞれR28ないしR32であり、R17、R28、R29、R31、R32、は水素基であり、mとpは共に1であり、かつRがNOである:
【0282】
【化85】

【0283】
【表25】

【0284】
ここでaが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R28、R29、R30、R31、R32の各々が水素基であって、mとpは共に1であり、Xが−S−で、かつWがCR33である場合R33が水素基である:
【0285】
【化86】

【0286】
【表26】

【0287】
【表27】

【0288】
【表28】

【0289】
【表29】

【0290】
【表30】

【0291】
【表31】

【0292】
【表32】

【0293】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基であり、RとXが−CH(CH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0294】
【化87】

【0295】
【表33】

ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−フェニルであり、ここでmが1であり、このフェニル基の置換位はそれぞれRないしR13であり、R13は水素基であり、Rは塩素基であり、RとXは−CH(CH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0296】
【化88】

【0297】
【表34】

【0298】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−3−イルでmは1であり、そのピリジ−3−イル基の置換位はそれぞれRおよびR11ないしR13であり、R、R11、R12、R13、は水素基であり、かつRとXは−CH(CH−と共に環を形成する:
【0299】
【化89】

【0300】
【表35】

【0301】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、rおよびsが0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−CR14=CR16であり、R14、R15、R16が水素基であり、mが1で、RとXは−CH(CH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0302】
【化90】

【0303】
【表36】

【0304】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基、Rが−(CH−C≡CR17であり、mが1で、かつRとXは−CH(CH−と共に環を形成する:
【0305】
【化91】

【0306】
【表37】

【0307】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0308】
【化92】

【0309】
【表38】

ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−フェニルであり、mが1で、このフェニル基の置換基RないしR13はそのいずれもが水素基であり、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0310】
【化93】

【0311】
【表39】

【0312】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−ピリジ−3−イルであり、mが1で、このピリジ−3−イル基の置換基RとR11ないしR13の内R、R12、R13はいずれもが水素基であり、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0313】
【化94】

【0314】
【表40】

【0315】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−CR14=CR15CR16であり、R14、R15、R16が水素基であり、mが1で、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0316】
【化95】

【0317】
【表41】

【0318】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17であり、R17が水素基で、mが1であり、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0319】
【化96】

【0320】
【表42】

【0321】
ここでArがBでRが塩素基であり、aが1で、b、c、d、e、rの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素基であって、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0322】
【化97】

【0323】
【表43】

【0324】
ここでArがBでRが塩素基であり、aが1で、b、c、d、e、rの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17であり、R17が水素基で、mが1であり、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0325】
【化98】

【0326】
【表44】

【0327】
ここでArがMであり、aが1で、b、c、d、e、rの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素基であって、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0328】
【化99】

【0329】
【表45】

【0330】
ここでArがMであり、aが1で、b、c、d、e、rの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−フェニルであり、mが1で、このフェニル基の置換基RないしR13の内R、R10、R12、R13はそのいずれもが水素基であり、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0331】
【化100】

【0332】
【表46】

【0333】
ここでArがMであり、aが1で、b、c、d、e、rの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが−(CH−C≡CR17であり、R17が水素基で、mが1であり、RとXは−CHYCH−と共に環を形成し、かつRがNOである:
【0334】
【化101】

【0335】
【表47】

【0336】
ここでArがAであって、aが1で、b、c、d、e、r、sの各々が0であり、R、R、R、R、R、R、Rの各々が水素基であって、Rが塩素基であり、RとRは−CHCH−と共にピペラジン環を形成する:
【0337】
【化102】

【0338】
【表48】

【0339】
次にその一般式が化学式Iである本発明による化合物のいくつかについて、その物性的特性データを以下に表にして示す。
【0340】
表2
殺虫効果を有するN−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体類化合物の物理特性
【0341】
【表49】

【0342】
【表50】

【0343】
【表51】

【0344】
【表52】

【0345】
【表53】

【0346】
【表54】

【0347】
【表55】

【0348】
殺虫剤候補を調製した飼料表面に添加し、タバコバッドワーム(Heliothis virescens[Fabricius])に対する同殺虫剤候補の有効性を評価した。
【0349】
この試験では、小麦麦芽を主とする組成の調製飼料を加熱(65〜70℃)、溶解し、4×6(24個)の試験井戸を持つマルチウェル・プレート(ID#430345−径15.5mm×深さ17.6mm、Corning Costar Corp.、One Alewife Center,Cambridge MA 02140)の各試験井戸に、1mlずつを入れた。同飼料はその後常温にまで放冷された後に殺虫剤候補の散布を受けた。
【0350】
殺虫効能の評価のための各殺虫剤候補の溶液の作製にあってはPackard 204DT Multiprobe(登録商標)・ロボットシステム(Packard Instrument Company、800 Research Parkway,Meriden,CT 06450)を使用した。同ロボットにより、まず一つの殺虫剤候補の50ミリモル濃度DMSO溶液を、容積比1:1の水・アセトン混合液で1:7の(ストック液)対(水・アセトン混合液)の希釈比率で希釈した。同ロボットによりその後続いて、この希釈溶液をピペットで取り出し、24マルチウェル・プレートの3個の試験井戸のすでに投入されている調製飼料の上へ、各試験井戸当たり40マイクロリットルずつ投入した。他の7種類の殺虫剤候補のストック液の各々について、これと同様の操作を繰り返した。このようにして殺虫剤候補の投与を受けた後同試験井戸の内容物は放置乾燥され、最終的に各試験井戸当たり0.25ミリモルの殺虫剤候補物質が飼料表面に残存するか、あるいは0.25ミリモル濃度で同飼料中に溶解して残存することになった。この一連の試験にあっては以上のほか、これら殺虫剤候補を含有する試験井戸以外に対照用としてDMSOのみを投入したブランクの試験井戸も準備した。
【0351】
当該殺虫剤候補の様々な投与濃度での殺虫効能を評価する目的で、前記殺虫剤候補各々の50ミリモル濃度の標準ストック液(DMSO溶液)に代えて、それぞれの特定倍数希釈液を調製し、これを利用する以外は全て前記と同様の手順で同様の評価試験を実施することにした。例えば前記50ミリモル濃度の標準ストック液に関しては、同ロボットを使用して、それを更にDMSOで希釈し5、0.5、0.05、0.005、0.0005ミリモル濃度、更にはそれ以上に高倍率で希釈した各殺虫剤候補の溶液を調製した。この一連の評価試験にあっては、前記マルチウェル・プレート一枚には一種類の殺虫剤候補の選ばれた4レベルの濃度溶液について、その各濃度レベル当たり6試験井戸を割り振り、すなわち同一殺虫剤候補の同一濃度の溶液の同一容量を6試験井戸の調製飼料表面に投入し、重複試験をすることとした。
【0352】
卵からかえってすぐの(孵化一秒後の)幼虫を、上記準備した試験井戸の各々に、約5ミリグラムずつ投入した。幼虫の投入後には同試験井戸の開口部を透明なプラスチックの粘着テープで封じた。ただし同粘着テープには必要程度の空気の流入が続くように細孔が作られている。その後、同マルチウェル・プレートを培養器にいれ5日間、25℃、相対湿度60%に保った(毎日14時間は同試験井戸内を明るくした)。
【0353】
このようにした5日間の殺虫剤候補へ暴露した後、ブランクの試験井戸中の幼虫の体重の合計に対する各試験井戸中の幼虫の体重の合計の不足量の比率によって当該殺虫剤候補の当該投入濃度における成長抑制%とし、また死滅幼虫の数の割合を当該殺虫剤候補の当該投入濃度における死滅率%として殺虫剤候補の殺虫剤効能を評価した。
【0354】
以上記載した評価試験で得られた結果からいくつかの投与濃度レベルにおける殺虫剤効能を選択して表3に示す。ここで試験に供した化合物は化学式Iで示される化学構造を有し、更には表1に示した化合物番号を用いて特定されている。
【0355】
表3
N−(ヘテロアリールアルキル)アルカンジアミン誘導体であるいくつかの化合物のタバコバッドワーム(Helothis virescens[Fabricius])に対する殺虫効能の薬剤添加飼料給餌試験による評価
【0356】
【表56】

【0357】
【表57】

【0358】
表3に示す通り、本発明による化合物で評価試験に供したものは全てがタバコバッドワームに対する殺虫剤効能を発現すること、ならびにその中の多くのものが100%の死滅率と100%の成長抑制率の双方またはそれらのいずれか一方を記録している。
【0359】
殺虫剤候補については以上の評価試験の他にもコットン・アブラムシ(Aphis gossypii)に対する殺虫剤効能を調べた。この調査は当該殺虫剤候補をコットンの生草に散布し、そこに生育するコットン・アブラムシの数を同様のコットンの薬剤未散布の生草に生育する数と目視により比較するものであった。その試験作業の詳細は次の通りである。
【0360】
各殺虫剤候補の試験対象である一濃度レベルに対して直径7.6cmの育苗ポット各々に種を植えて7ないし10日後のコットンの苗が出揃ったポットを各2本準備し、各ポットの苗の葉に、コットンの別の草木の葉のコットン・アブラムシのコロニーが発達・付着した部分の切片を貼り付ける方法でコットン・アブラムシを接種した。接種後約12時間に渡り放置しその間にコットン・アブラムシが十分に新しい葉の側に移動し十分な生育をはじめるのをまって、以下に記す殺虫剤候補の溶液をこのようにして準備した苗の葉にスプレー散布した。まず、アセトンにその1ml当たり10mgの評価対象の化合物を溶解した溶液を作成し、この溶液1mlを、別途作製した100mlの水に0.03mlのポリオキシエチレン(10)・イソオクチルフェニル・エーテルを溶解した溶液の9mlと混合することにより、1,000ppmの評価試験対象化合物を含有する溶液をこれら化合物の各々について作製した。このようにして作製した溶液を、前述のごとく準備した育苗ポット一本当たり、約2.5mlずつその苗木に散布した。(評価対象の化合物一つ当たり2本の苗木で試験するため、各化合物について5mlの化合物溶液が必要となる。)また必要によっては、前記1,000ppmに調製した化合物液を10%のアセトンならびに300ppmのポリオキシエチレン(10)・イソオクチルフェニル・エーテルを含有する水溶液を用いて300ppm濃度、100ppm濃度、30ppm濃度あるいは10ppm濃度にまで希釈し、これらの希釈液で前記同様の手順の評価試験を実施した。各試験用苗木に対して評価対象の化合物溶液を、上側と下側双方の葉の表面において散布溶液がしたたり始める程度の量になるまでスプレーを続けた。この時、全ての苗木についてそのスプレー散布作業にはDeVilbus Atomizer Model 152(Sunrise Medical,Carlsbad,CA)を使用した。その時のスプレー圧は0.63〜0.74kg/cm、ノズルから苗木までの距離は30.5cm程度であった。比較対照としてアミトラズ(amitraz)やジメチルクロルジメフォルム(dimethylchlordimeform;DCDM)のような化合物の標準溶液を上記したと同様の方法で調製し苗木に散布すると共に、評価対象の化合物を含まず10%アセトンと300ppmのポリオキシエチレン(10)・イソオクチルフェニル・エーテルのみを含有する水溶液を調製し苗木に散布した。以上、評価対象化合物を含む種々の溶液、標準溶液、評価対象化合物を含まない溶液を別途準備したそれぞれ別々の育苗ポットの苗木に散布し、その葉の表面が乾燥するのまで放置した。葉が乾燥した後、各育苗ポットを底に2.5cmの深さまで水をいれたトレイに並べ育苗室に24時間保持した。この時間経過後において各育苗ポットにおけるアブラムシの死滅個体数の評価対象化合物溶液散布前の接種したアブラムシ個体数に対する割合を当該散布化合物溶液にかかる死滅率として算出した。ここでアブラムシ死滅率が20%ないし75%であつた評価対象化合物は殺虫活性あり(SA)とし、75%以上のアブラムシ死滅率を記録した評価対照化合物については、殺虫活性が高い(A)と評価し、20%以下のアブラムシ死滅率しか記録しない評価対象化合物については殺虫活性なし(I)と評価した。
【0361】
次に掲載する表4および表4Aに以上の評価試験に基づく各評価対象化合物の当該散布濃度における殺虫活性評価結果を示す。この表においても、化学式Iに該当する化合物は表1で用いたものと同一の化合物番号で特定している。
【0362】
表4
本表に記載の本発明になる化合物の各々は1,000ppmあるいはそれ以下の濃度での散布に試験においてコットン・アブラムシの生育個体数を75%以上の割合で死滅させた。
【0363】
【表58】

【0364】
表4A
本表に記載の本発明になる化合物の各々は1,000ppmあるいはそれ以下の濃度での散布に試験においてコットン・アブラムシの生育個体数を20%〜75%の範囲内の割合で死滅させた。
【0365】
【表59】

表4ならびに表4Aに示した通り、本発明になる一連の化合物の内、評価対象として選んだ化合物のほとんどのものが、1,000ppmないしはそれ以下の散布濃度においてアブラムシの生育個体数の75%以上を死滅させたことになる。評価対象として選んだ化合物の内、少数のものは1,000ppmないしはそれ以下の散布濃度においてアブラムシをその生育個体数の20%〜75%の範囲内の割合で死滅させた。
【0366】
ここでは本発明について好ましい実施例を中心に説明・記述してきた。しかしながら、本発明の分野における通常の技術を有する者にはこれら好ましい実施例の変形としての処方を実施に移すことは容易であり、また、本発明は必ずしも本明細書に記述された通りにしか実施できないものでないことは自明である。したがって、本発明は別途記載した発明の範囲を示すための請求項によるもののほか、同請求項の記載による発明の精神を具現する実施形態あるいは同発明の範囲の事項の変形態であるものも本発明の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される化合物及びその農業上許容し得る塩、
【化1】

式中、Arは下記に示す基のいずれかであり、
【化2】

式中、R、R、R及びRは互いに独立し、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基のいずれかであり、そして
sは0か1のいずれかの整数であり、
aとrは互いに独立して、各々は0か1のいずれかの整数であり、
Rは水酸基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、又は下記の基のいずれかであり、
【化3】

式中、Rはハロゲン、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、アリール基とヘテロアリール基にあってはハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかを置換基として一つないしそれ以上有するものであっても良く、
mは1か2のいずれかの整数であり、
、R10、R11、R12、R13は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、又はアリールオキシ基のいずれかであり、
14、R15、R16は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、又はアリール基のいずれかであり、
17は水素、アルキル基又は次に示す基のいずれかであり、
【化4】

式中、R18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
、R、R、Rは互いに独立して、各々はハロゲン、アルキル基のいずれかであり、
bとcは互いに独立して、各々は0か1のいずれかの整数であり、そして
bとcの双方が1である場合には、
、R、R、Rは互いに独立して、各々は水素かアルキル基のいずれかであり、
は水素、アルキル基、又は次の化学式で示す基のいずれかであり、
【化5】

式中、nは1か2のいずれかの整数であり、
23、R24、R25、R26、R27は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
dとeとは互いに独立して、各々は0か1のいずれかの整数であり、そして
dとeの双方が1の場合は、
U、Vは共に−CH−基であり、
は水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、又は次の化学式で示される基のいずれかであり、
【化6】

式中、pは1か2のいずれかの整数であり、そして
28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
は−C≡Nか−NOのいずれかであり、
Wは−CR33−か−N−のいずれかであり、
Xは−CR3435−、−O−、−S−、又は−NR36のいずれかであり、
ここでR33、R34、R35、R36は互いに独立して、各々は水素かアルキル基のいずれかであり、ただし、ここでi)Arがオキソラン−3−イル基(M)であり、ii)a、b、cの全てが1であり、RからRの全てが水素であり、iii)d、e、rの全てが0であり、iv)Rが−(CHCR14=CR1516または−(CHC≡CR17であり、v)Rは水素かアルキル基のどちらかであり、vi)Rは水素、アルキル基、アルケニル基、又はハロアルケニル基のいずれかであり、そしてvii)Wは−CR33−(ここでR33は水素)である場合、viii)Xは−S−以外のものであり、
dとeの双方が0である場合には
とXは−CH(CH−または−CHYCH−と一緒になって環を形成してもよく、
ここでqは1か2いずれかの整数であり、YはO、S、NR37、のいずれかであり、ただしR37は水素とアルキル基のいずれかであり、
Xは−CH−、−O−、−S−、又は−N−のいずれかであり、
Xが−CH−か−N−のいずれかである場合には
は水素、アルキル基、又はRについて前述した基のいずれかであり、bとcの双方が0の場合には
RとRは−CHCH−と一緒になってピペラジン環を形成してもよい。
【請求項2】
aが1であり、b、c、d、eの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素であり、Rが水素かアルキル基のいずれかであり、Wが−CR33−と−N−のどちらか(ここでR33が水素とする)であり、Xが−O−、−S−、又は−NR36−のいずれかであり、そしてRとXは−CH(CH−または−CHYCH−と一緒になって環を形成してもよく、
ここでYは−O−か−NR37−のいずれかであり、ただしR37は水素とアルキル基のいずれかであり、Xは−N−であり、そしてRは水素かアルキル基のいずれかである、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Arが式
【化7】

で示される基のいずれか(ただし、sは0であり、R、R、Rの各々が水素であり、Rがハロゲンである)である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
式Iで示される化合物及びその農業上許容し得る塩、
【化8】

式中、Arは下記の式で示される基のいずれかであり、
【化9】

式中、R、R、R、Rは互いに独立しているものであって、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、そして
sは0か1のいずれかの整数であり、
aとrは互いに独立しているものであって、各々は0か1のいずれかの整数であり、
Rは水酸基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、又は下記の基のいずれかであり、
【化10】

式中、Rはハロゲン、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基のいずれかであり、アリール基とヘテロアリール基はハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかの一つ以上の置換基よって置換されていてもよく、
mは1か2のいずれかの整数であり、そして
、R10、R11、R12、R13は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、又はアリールオキシ基のいずれかであり、
14、R15、R16は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、又はアリール基のいずれかであり、
17は水素、アルキル基又は下記に示す基のいずれかであり、
【化11】

式中、R18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
、R、R、Rは互いに独立して、各々は水素、又はアルキル基のいずれかであり、
bとcは互いに独立して、各々が0か1のいずれかの整数であり、そして
bとcの双方が1である場合には
、R、R、Rは互いに独立して、各々は水素かアルキル基のいずれかであり、Rは水素、アルキル基、又は下記の式で示す基のいずれかであり、
【化12】

式中、nは1か2のいずれかの整数であり、
23、R24、R25、R26、R27は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
dとeとは互いに独立して、0か1のいずれかの整数であり、そして
dとeの双方が1の場合はU及びVは共に−CH−基であり、
は水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、又は下記の式で示される基のいずれかであり、
【化13】

式中、pは1か2のいずれかの整数であり、
28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
は−C≡Nか−NOのいずれかであり、
Wは−CR33−か−N−のいずれかであり、
Xは−CR3435−、−O−、−S−、又は−NR36のいずれかであり、
ここでR33、R34、R35、R36は互いに独立して、各々は水素とアルキル基のどちらかであり、
ただし、i)Arがオキソラン−3−イル基(M)であり、ii)a、b、cの全てが1であり、RからRの全てが水素であり、iii)d、e、rの全てが0であり、iv)Rが−(CHCR14=CR1516または−(CHC≡CR17であり、v)Rは水素とアルキル基のどちらかであり、vi)Rは水素、アルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基のいずれかであり、そしてvii)Wは−CR33−(ここでR33は水素)である場合、viii)Xは−S−以外のものである。
【請求項5】
aが1であり、b、c、d、eの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素であり、Rが水素かアルキル基のいずれかであり、Wが−CR33−か−N−のどちらか(ここでR33は水素である)であり、Xが−O−、−S−、又は−NR36のいずれかである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Arが下記の式
【化14】

で示される基のいずれかである、請求項5記載の化合物、
ただし、sは0であり、R、R、Rの各々が水素であり、Rがハロゲンである。
【請求項7】
式Iで示される化合物及びその農業上許容し得る塩、
【化15】

式中、Arは下記の式で示される基のいずれかであり、
【化16】

式中、
、R、R、Rは互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、そして
sは0か1のいずれかの整数であり、
aとrは互いに独立して、各々は0か1のいずれかの整数であり、
Rは水酸基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シアノアルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルフォスホナト基、オクソラン−3−イルメチル基、2H−3,4,5,6−テトラハイドロピラン−2−イルメチル基、シクロヘキシ−1−エン−3−イル基、チエン−3−イルメチル基、フラン−2−イルメチル基、フラン−3−イルメチル基、ベンゾ[b]フラン−2−イルメチル基、2−R−1,3−チアゾール−4−イルメチル基、5−R−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル基、又は下記の基のいずれかであり、
【化17】

式中、Rはハロゲン、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、アリール基とヘテロアリール基はハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかの基の一つ以上によって置換されていても良く、
mは1か2のいずれかの整数であり、そして
、R10、R11、R12、R13は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシイミノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、2−アルキル−2H−テトラゾール−5−イル基、アリール基、又はアリールオキシ基のいずれかであり、
14、R15、R16は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、又はアリール基のいずれかであり、
17は水素、アルキル基、又は下記に示す基のいずれかであり、
【化18】

式中、R18、R19、R20、R21、R22は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
、R、R、Rは独立して、各々は水素、又はアルキル基のいずれかであり、
bとcは互いに独立して、各々が0か1のいずれかの整数であり、そして
bとcの双方が1である場合には
、R、R、Rは互いに独立して、各々は水素かアルキル基のいずれかであり、
d及びeは0であり、
及びXは−CH(CH−又はCHYCH−と一緒になって環を形成し(ここでqは1又は2である)、
Yは−O−、−S−又は−NR37のいずれかであり(ここでR37は水素又はアルキルである)、
Xは−CH−、−O−、−S−又は−N−のいずれかであり、
Xが−CH−又は−N−である場合、
は水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、又は下記の式で示される基のいずれかであり、
【化19】

式中、pは1か2のいずれかの整数であり、そして
28、R29、R30、R31、R32は互いに独立して、各々は水素、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基のいずれかであり、
は−C≡Nか−NOのどちらかであり、
Wは−CR33−か−N−のどちらかである(ここでR33は水素とアルキル基のどちらか)。
【請求項8】
aが1であり、b、c、d、eの各々が0であり、R、R、R、Rの各々が水素であり、Wが−CR33−か−N−のいずれかであり(ここでR33は水素である)、Yは−O−又はNR37であり、Xが−N−であり、そしてRは水素又はアリキルである、
請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Arが下記の式で示される基のいずれかである請求項5記載の化合物、
【化20】

式中、sは0であり、R、R、Rの各々が水素であり、Rはハロゲンである。
【請求項10】
殺虫に有効な量の請求項1記載の化合物及び少なくとも一種の農業上許容し得る増量剤又は助剤を含む殺虫組成物。
【請求項11】
さらに農薬、植物成長調節剤、化学肥料及び調節剤のいずれかの化合物を1種以上含む請求項10記載の殺虫組成物。
【請求項12】
請求項10記載の殺虫に有効な量の殺虫組成物を昆虫が存在するか又は存在すると予想される位置に適用することからなる昆虫を制御する方法。
【請求項13】
請求項11記載の殺虫に有効な量の殺虫組成物を昆虫が存在するか又は存在すると予想される位置に適用することからなる昆虫を制御する方法。

【公表番号】特表2007−513166(P2007−513166A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542729(P2006−542729)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/040284
【国際公開番号】WO2005/055715
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】